JP3887791B2 - 港湾内の海水交換方法と装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漁港や比較的狭い湾内の海水交換を効果的かつ経済的に行うことができる方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
港湾内の海水交換がうまく働かずに閉鎖性となると、富栄養化や水質の汚濁により赤潮や青潮が発生したり貧酸素状態となり、環境や生態系へ悪影響を及ぼすことになる。
【0003】
そこで、このような港湾内の浄化方法として、例えば港外の海水をポンプによって港内へ導入して海水交換を行う方法や、港内を浚渫する方法などが行われているが、前者の方法はポンプのメンテナンスやポンプ稼働の動力費用がかかり、また浚渫による方法は局所的であるので、港内全体を浄化するには長期にわたる施工が必要となり、いずれの方法によっても多大な費用と時間がかかり、しかも根本的な解決とはなっていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、防波堤や護岸等の港湾施設を構築する場合に、港湾内の海水交換を効果的かつ経済的に行うことができる方法と装置を提案するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、潮の干満差の激しい港湾において特に有効な方法であって、壁面に多くの孔を開けた透水性の多孔ケーソンの防波堤を設置すると共に、護岸を構成するケーソンの海側壁面も多孔として該護岸内に海水を貯留可能とし、満潮時に該護岸内に海水貯留しておき、干潮時になったらその貯留した海水を放出することにより、港湾内の海水の交換浄化を行うものである。
【0006】
また、本発明では、これと併せて、港湾内の海底に平面V字形(又はL字形)のブロックをその内角が護岸側に向くように複数個設置して、護岸部から放出される上記貯留海水の底層流を該ブロックで上昇流に変換させ、その撹拌作用により海水交換を更に助長する。以下、本発明の実施形態を図により説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用した漁港の一例を示す説明図、図2は本発明の作用を示す護岸ケーソンの説明図で、1は壁面に多数の孔を開設した透水性の多孔ケーソンを直列につないで構成された防波堤で、この多孔ケーソンによる防波堤は例えば本出願人の提案に係る実公昭55−44893号公報等に開示されている。
【0008】
2は海側の壁面に全面にわたって上記ケーソンと同様に多数の孔3を開孔したケーソンから構成される護岸で、該護岸2の内部は水室4とし、海側の壁面内側には上記孔3を閉塞可能な遮断弁となる上下動する水門5が設けられ、満潮時に水室4内に流入した海水を貯留可能に構成されている(図2参照)。
【0009】
なお、水門5の開閉操作はその全てを一般動力に頼ってもよいが、浮力と潮位差を利用して補助的に動力を使用することもできる。
【0010】
6は港内の海底に複数設置された平面V型(あるいはL型)をなす湧昇流発生用ブロックで、該ブロック6のいくつかはその内角部を上記護岸2側に向け、また他のいくつかは港内の海水の流れや河川からの流入に対して抵抗するように内角部を向けておく。
【0011】
しかして、満潮時には護岸2の水門5を開けておいて護岸2内の水室4に海水を流入させ、満潮が過ぎると水門5を閉じて護岸2のケーソンの孔3を閉塞し、水室4内の水位を満潮時の水位に保持しておく。そして、最大干潮時となったら護岸2の水門5を開け、水室4内の海水を孔3を介して港内に一気に放出するのである。
【0012】
これにより、港内の海水は港外へ向かう大きな流れを形成することとなり、通水性の前記防波堤1と相まって、港内外の海水交換が効果的に行われることとなる。
【0013】
また、護岸2の前方には前記したV型ブロック6が港内海底に設置されており、護岸2から放出される海水の底層流は該ブロック6に衝突し、渦流を伴なう湧昇流を発生させ、強い撹拌作用が働くので、海底の土砂を巻き上げることとなり、前記した港外へ向かう流れに乗って港内浄化が一層促進されることとなる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は上述のようにしてなり、護岸内に海水を貯留可能に構成し、潮の干満差を利用して港湾内外の海水交換を行なうものであるから、極めて経済的であり、単に防波堤を透水性のケーソンとして海水交換を行う場合に比して浄化効果が大幅に促進される。
【0015】
また、上記護岸と併用して前記V型またはL型のブロックを港湾内の海底に設置することにより、港湾内の海水の撹拌効果によって更に海水の交換浄化が助長されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を適用した漁港の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の作用を示す護岸部分の拡大説明図である。
【符号の説明】
1−透水性の防波堤
2−護岸
3−護岸ケーソンの孔
4−護岸内の水室
5−水門
6−V型(又はL型)の湧昇流発生用ブロック

Claims (4)

  1. 港湾の防波堤を多孔ケーソンを用いた透水性の防波堤とし、港湾内の護岸は海側壁面を多孔としたケーソンを用いて護岸内に海水を貯留可能に構成し、満潮時に護岸内に海水を貯留して、干潮時にはその貯留した海水を港湾内に放出することにより、港湾内の海水交換を促進するようにした港湾内の海水交換方法。
  2. 港湾内の海底には、内角を前記護岸方向へ対向させた平面V型又はL型のブロックを複数設置し、干潮時に前記護岸から放出される貯留海水を該ブロックに衝突させることにより、港湾内の海水を撹拌して海水の交換浄化を更に促進させるようにした請求項1記載の港湾内の海水交換方法。
  3. 港湾の防波堤を多孔ケーソンを用いた透水性の防波堤とし、港湾内の護岸は海側壁面を多孔としたケーソンにより築造して該多孔壁面の各孔を遮断可能な水門を設置することにより該護岸内に海水を貯留可能に構成してなる港湾内の海水交換装置。
  4. 港湾内の海底には、内角を前記護岸方向へ対向させた平面V型又はL型のブロックを複数設置してなる請求項3記載の港湾内の海水交換装置。
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