JP3887039B2 - 光学素子成形装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、加熱して軟化させた光学素子材料を押圧成形し、その後冷却して所要形状の光学素子とする際に用いる光学素子成形装置に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
この種の光学素子成形装置は、対をなす成形型を開いた状態において、その間に光学素子材料を位置させ、この対をなす成形型を互いに接近させて加熱軟化させ、最終的に対をなす成形型を閉じた状態で成形する。対をなす成形型は、例えば、上下または左右に配置した一対の胴型(モールドダイ、型ホルダ、ダイセット等も呼ぶこともある)に支持され、あるいは単一の筒状の胴型内に摺動自在に支持される。
【0003】
このような光学素子成形装置において、一つ(一対)の胴型に一対の成形型だけを支持する場合、つまり一つの胴型の中心に一つの成形型を支持する場合には、胴型と成形型の軸は、成形型の中心(胴型に形成した成形型支持孔の中心)にあり、よって、成形型支持孔と成形型のクリアランスを抑えれば、成形品に生じる偏心は抑えられる。
【0004】
一対の胴型に複数の成形型を支持する場合には、複数の成形型の軸がずれないように、一対の胴型間に相対回転防止手段あるいは横ずれ防止手段を設けていた。例えば、特開平6−206732号公報では、一対の胴型の対角位置に、互いに嵌合及び摺動する一対のピン(突起)と孔(凹部)を設けて一対の胴型の相対回転を防止し、よって複数の成形型の軸ずれを防いでいる。また、特願平7−48706号公報では、一方の胴型外周に位置規制板を設け、この位置規制板を他方の胴型に摺動させて同様に複数の成形型の軸ずれを防いでいる。さらに、特開平6−305748号公報では、一対の胴型の中心に非円形(Dカット)位置決めピンとその摺動孔を設けている。
【0005】
このような従来装置はいずれも、対をなす成形型間での軸ずれは原理的に生じない。しかしながら、成形型の外形と、胴型に形成する成形型支持孔とは、加工の容易性から通常円形に形成され、このため、成形型が胴型に対して回転してしまうという問題があることが分かった。成形型(成形品)が軸対称形状である場合には、成形型が成形型支持孔に対して回転しても大きな問題は生じないが、非軸対称形状(例えば回転非対称非球面レンズや、累進多焦点眼鏡レンズ)の場合には、対をなす成形型の一方が他方に対して相対回転してしまうと、成形品に偏心不良が発生する。従来技術は、胴型の相対回転あるいは位置ずれを問題にしており、胴型内の成形型の回転については全く対処できない。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、以上の問題意識に基づき、押圧成形時に対をなす成形型の相対回転が生じない光学素子成形装置を得ることを目的とする。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、接離移動する対をなす胴型にそれぞれ挿入固定孔を形成し、この挿入固定孔にそれぞれ挿入固定した対をなす成形型の間に光学素子材料を位置させ、この対をなす胴型及び成形型を互いに接近させて加熱成形する光学素子成形装置において、対をなす成形型の一方に、該成形型とは別部材からなる、該対をなす成形型の接離方向を向く一対の回転防止ピンを立設固定し、他方に、この一対の回転防止ピンが相対摺動可能に嵌合する、該成形型とは別部材からなるブッシュを挿入固定したことを特徴としている。
【0008】
対をなす胴型には、複数の成形型を支持することができる。また、一対の胴型には、両者の位置ずれを防止する位置規制手段を備えることがより好ましい。
【0009】
【発明の実施形態】
図1ないし図3は、本発明による光学素子成形装置の一実施形態を示す。この実施形態は、一対の上胴型10と下胴型20に複数の成形型を支持する態様に本発明を適用したものである。図3に示すように、上胴型10と下胴型20にはそれぞれ、上下位置を対応させて、複数個(この例では4個)の成形型の挿入固定孔11と21が穿設されている。
【0010】
図1は、この挿入固定孔11と21に挿入固定される光学素子成形用の上型12と下型22を示している。上型12はその上端部にフランジ12aを有し、同下型22は下端部にフランジ22aを有している。フランジ12aは、上胴型10の上端面と上型基台13との間に挟着固定され、フランジ22aは、スペーサ24を介して、下胴型20の下端面と下型基台23との間に挟着固定されている。スペーサ24は、上型12と下型22の間隔を設定する。
【0011】
上型12と下型22の母材は、例えば超硬合金タングステンカーバイドからなるもので、その成形面を超精密旋盤で研削した後ダイヤモンド研磨材を用いてさらに面粗さを整え、その上に、スパッタリングにより1μm厚程度の白金膜(耐酸化膜)12b、22bを形成している。白金膜12b、22bは、母材の耐熱性、耐酸化性、耐濡れ性を改善する。
【0012】
下型22には、その成形面の外側の径方向の対向する部分に、一対の回転防止ピン(凸部)25が立設固定されている。一方、上型12には、この回転防止ピン25が摺動自在に嵌合するブッシュ(凹部)15が挿入固定されている。回転防止ピン25は、例えば、高硬度材料、例えばタングステンカーバイドから構成し、26は、回転防止ピン25よりは柔らかい高硬度材料、例えばタングステン・モリブデン合金から構成することが好ましい。
【0013】
上記構成の本光学素子成形装置は、図2のように上胴型10と下胴型20を開いた状態で、プリフォーム(光学素子材料)31を各下型22の白金膜22b上に載せる。次に、常法に従い、上胴型10、下胴型20及びプリフォーム31の周囲に非酸化ガス(窒素ガス)雰囲気を作り、その雰囲気中で、プリフォーム31を加熱し、上胴型10を下降させる。そして上胴型10と下胴型20の温度が適当な温度になった時点で、上胴型10を下胴型20に対してさらに下降させて、プリフォーム31を押圧し上型12と下型22の形状をプリフォーム31に転写する。成形終了後、温度がガラス転移点以下となった時点で、上胴型10を上昇させて、上胴型10と下胴型20を開き、成形品を取り出す。
【0014】
この成形の際、下型22の回転防止ピン25は、上型12のブッシュ15に対して相対摺動し、上型12と下型22との相対回転を防ぐ。このため、上型12と下型22によって成形される成形品、つまり上型12と下型22の成形面が非軸対称である場合にも、偏心不良の生じるおそれはない。回転防止ピン25とブッシュ15のクリアランスは、数μm以内とする。ブッシュ15は回転防止ピン25より硬度の低い材料から構成しておくことにより、ブッシュ15に主に摩耗を発生させ、適宜交換することができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、押圧成形時に対をなす成形型の相対回転が生じない光学素子成形装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子成形装置の一実施形態を示す、対をなす上下の成形型の縦断面図である。
【図2】図1の成形型を胴型に組み込んだ状態を示す縦断面図である。
【図3】胴型単体の平面図である。
【符号の説明】
10 10D 上胴型
11 挿入固定孔
11D 挿入固定孔(非円形)
12 上型(成形型)
15 ブッシュ(凹部)
20 下胴型
21 挿入固定孔
22 下型(成形型)
24 スペーサ
25 回転防止ピン(凸部)
31 プリフォーム(光学素子材料)
Claims (3)
- 接離移動する対をなす胴型にそれぞれ挿入固定孔を形成し、この挿入固定孔にそれぞれ挿入固定した対をなす成形型の間に光学素子材料を位置させ、この対をなす胴型及び成形型を互いに接近させて加熱成形する光学素子成形装置において、
上記対をなす成形型の一方に、該成形型とは別部材からなる、該対をなす成形型の接離方向を向く一対の回転防止ピンを立設固定し、他方に、この一対の回転防止ピンが相対摺動可能に嵌合する、該成形型とは別部材からなるブッシュを挿入固定したことを特徴とする光学素子成形型。 - 請求項1記載の光学素子成形型において、対をなす成形型は、一対の胴型に複数が備えられている光学素子成形装置。
- 請求項1または2記載の光学素子成形型において、上記一対の胴型には、両者の位置ずれを防止する位置規制手段が備えられている光学素子成形装置。
Priority Applications (1)
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JP22537096A JP3887039B2 (ja) | 1996-08-27 | 1996-08-27 | 光学素子成形装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH1067524A JPH1067524A (ja) | 1998-03-10 |
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP3887039B2 (ja) |
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1996
- 1996-08-27 JP JP22537096A patent/JP3887039B2/ja not_active Expired - Fee Related
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