JP3886950B2 - 車両の操舵制御装置 - Google Patents
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このような電動パワーステアリング装置においては、運転者から入力される操舵トルクを検出するトルクセンサとして、例えば磁歪式のトルクセンサ(例えば、特許文献1参照)等を備え、このトルクセンサによって検出される操舵トルクの大きさおよび操舵方向に基づき、モータの駆動力や回転方向を制御するようになっている。
従来、この動作基準点を設定する方法としては、例えば車載システムを構成する複数の制御装置が接続された車載システム診断用の通信ライン、つまり車載システム診断用の診断装置から出力される診断用の制御信号やこの診断用の制御信号を受信した各制御装置から出力される診断結果の信号等の送受信に利用される通信ラインに、トルクセンサの動作基準点の設定や予め設定された適宜の動作基準点に対する補正値の設定を指示する制御信号を送出する方法が知られている。しかしながら、このような車載システム診断用の通信ラインを利用した方法では、この通信ラインを介して相互に接続される複数の制御装置に対して所定正規の電源供給、つまり車載バッテリからの電源供給が行われることが前提であって、例えば車両の製造工程等において車載バッテリが搭載されていない状態においては、トルクセンサの動作基準点の設定動作を適切に実行することができない虞がある。すなわち、車載バッテリが搭載されていない状態では、車載システム診断用の通信ラインを介して電動パワーステアリング制御装置へトルクセンサの動作基準点の設定を指示する制御信号の送出と共に車載バッテリ以外の他の電源から電源供給を行うことになり、予め電動パワーステアリング制御装置に対して車載システム診断用の通信ラインを介した電源供給に対応した適宜の構成を設けておくことになる。しかしながら、この場合には、通信ラインを介して相互に接続される電動パワーステアリング制御装置以外の他の複数の制御装置に対しても通信ラインを介した電源供給が行われてしまい、予めこれらの複数の制御装置に対して通信ラインを介した電源供給に対応した適宜の構成を設けていない状態では、これらの複数の制御装置間に予期しない相互作用等が発生する虞がある。ここで、例えば電動パワーステアリング制御装置以外の他の複数の制御装置に対しても通信ラインを介した電源供給に対応した適宜の構成を設ける場合には、これらの複数の制御装置に対して本来不必要な構成を付加することになり、装置構成が複雑化すると共に装置構成に要する費用が増大してしまうという問題が生じる。
また、このような問題に対して、従来、例えば車両でのステアリングホイールやステアリング軸等からなる手動操舵力発生機構の組み立てが完了した状態で操作者の手動による所定の操舵入力を検知した場合にトルクセンサの動作基準点を設定する方法が知られている。しかしながら、この場合には、手動操舵力発生機構の組み立てが完了していることが前提であり、例えば車両の製造工程等において手動操舵力発生機構の組み立てが完了していない状態や、例えば電動パワーステアリング制御装置に電源供給を行う車載バッテリが搭載されていない状態においては、トルクセンサの動作基準点の設定動作を実行することができないという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、トルクセンサの動作基準点を容易かつ適切に設定することが可能な車両の操舵制御装置を提供することを目的とする。
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の操舵制御装置によれば、基準点設定手段に基準点書込信号を入力するための特別の入力端子を新たに設ける必要無しに基準点の設定を容易かつ適切に行うことができる。
例えば図1に示すように、この実施の形態に係る車両の操舵制御装置において、ステアリングホイール1に一体に設けられたステアリング軸2は、ユニバーサルジョイント3a,3bを有する連結軸3を介して、ステアリングギアボックス(図示略)内に設けられたラック・ピニオン機構4のピニオン4aに連結されて手動操舵力発生機構5を構成している。
ピニオン4aはラック軸6のラック歯6aに噛合っており、ステアリングホイール1から入力された回転運動は、ピニオン4aを介してラック軸6の往復運動に変換され、ラック軸6の両端にタイロッド7,7を介して連結された2つの操舵輪W,Wを転舵させる。
ラック軸6と同軸にモータ8が配設されており、モータ8の回転力はラック軸6にほぼ平行に設けられたボールねじ機構9を介して推力に変換される。すなわち、モータ8のロータ(図示略)には駆動側ヘリカルギア8aが一体に設けられ、この駆動側ヘリカルギア8aはボールねじ機構9のねじ軸9aの軸端に一体に設けられたヘリカルギア9bに噛合わされている。
ステアリングギアボックス内には、ピニオン4aに作用する操舵トルクTRQ、すなわち運転者の手動操作により入力された操舵トルクTRQを検出するためのトルクセンサ10aが設けられており、このトルクセンサ10aにて検出した操舵トルクTRQの検出信号は、EPS制御装置10に入力されている。
EPS制御装置10は、例えばトルクセンサ10aにて検出した運転者から入力される操舵トルクTRQおよび車速センサ10bにて検出した車速VSPに応じて、操舵トルクTRQを補助するパワーステアリング用のアシスト量を算出し、このアシスト量をモータ8に出力させるためのトルク指令としてアシストトルクTaを算出する。そして、EPS制御装置10は、例えばトランジスタのスイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路(例えばHブリッジ回路)を具備するパルス幅変調(PWM)による駆動回路(図示略)を介して、このアシストトルクTaを発生させるためのモータ駆動電流を出力する。
警報信号出力部21は、例えばランプ等からなる出力装置を具備するメータ11に接続され、例えばEPS制御装置10の状態診断時等のようにされている状態において警報信号出力部21から出力される警報信号WLPがメータ11に入力されるとメータ11にて適宜の警報出力が実行されるようになっている。例えば警報信号出力部21は、SCS/中立点トリガ信号受信部22に所定電圧レベル(例えば、電圧Vb)の信号SCSが入力された場合に、所定電圧レベル(例えば、電圧Va)のON信号を警報信号WLPとして出力し、一方、SCS/中立点トリガ信号受信部22にゼロレベルの信号SCSが入力された場合に、ゼロレベルのOFF信号を警報信号WLPとして出力するように設定されている。
SCS/中立点トリガ信号受信部22はサービスチェックショートカプラ12に接続され、例えば車両の製造工場やサービス工場等にてEPS制御装置10の状態診断が実行される場合には、サービスチェックショートカプラ12が所定のタイミングで短絡および開放されることで所定の信号(サービスチェックシグナル)SCSがSCS/中立点トリガ信号受信部22へ送出されるようになっている。
この制御装置側端子13aに着脱可能に接続される設定装置側端子13bは、動作基準点設定装置14に具備される警報信号受信部31および中立点トリガ信号送信部32および電源供給部33および接地部34に接続されている。
すなわち、EPS制御装置10の外部に設けられた動作基準点設定装置14によって、トルクセンサ10aから出力される操舵トルクTRQの検出信号に対する操舵方向の動作基準点である中点を設定する際には、コネクタ13の制御装置側端子13aと設定装置側端子13bとが接続されることによって、EPS制御装置10の各電源受給部23および接地部24と、動作基準点設定装置14の各電源供給部33および接地部34とが接続され、動作基準点設定装置14からEPS制御装置10へ、EPS制御装置10を作動可能とする例えば12Vの電圧(N_12V)が供給されると共に各接地部24,34が接地される。さらに、EPS制御装置10の各警報信号出力部21およびSCS/中立点トリガ信号受信部22と、動作基準点設定装置14の各警報信号受信部31および中立点トリガ信号送信部32とが接続されることによって、動作基準点設定装置14からEPS制御装置10へトルクセンサ10aの検出信号に対する中点の設定動作の実行を指示する中立点トリガ信号N_SCSが送出され、この中点の設定動作の実行に応じてEPS制御装置10から出力される警報信号N_WLPが動作基準点設定装置14へ送出される。
ここで、動作基準点設定装置14からEPS制御装置10へ送出される中立点トリガ信号N_SCSは、EPS制御装置10の状態診断の処理時においてサービスチェックショートカプラ12からEPS制御装置10へ送出される信号SCSとは異なる信号となるように設定されている。
これにより、SCS/中立点トリガ信号受信部22を介して動作基準点設定装置14から中立点トリガ信号N_SCSを受信したEPS制御装置10は、例えばこの中立点トリガ信号N_SCSを受信した時点でのトルクセンサ10aから出力される操舵トルクTRQの検出信号の値を操舵方向の動作基準点である中点として設定する。
動作基準点設定装置14は、EPS制御装置10に対して中点の設定動作の実行を指示する際には、例えば図3に示す中立点トリガ信号N_SCSの時刻t1から時刻t2における所定のパルス変化からなる初期化パルスを、コネクタ13を介してEPS制御装置10のSCS/中立点トリガ信号受信部22へ送出する。
EPS制御装置10は、例えばSCS/中立点トリガ信号受信部22に所定のパルス変化からなる初期化パルスが入力された場合には、書き込みモード判定状態に移行し、後述する所定の書き込み完了判別パルスがSCS/中立点トリガ信号受信部22に入力されるまでの期間に亘って、警報信号出力部21から動作基準点設定装置14の警報信号受信部31へ所定電圧レベル(例えば、電圧Va)のON信号を警報信号N_WLPとして送出する。そして、EPS制御装置10は、この初期化パルスの入力以前に設定したトルクセンサ10aの検出信号に対する中点の設定に関する情報を初期化する。
動作基準点設定装置14からEPS制御装置10のSCS/中立点トリガ信号受信部22に書き込み判定パルスが入力されると、EPS制御装置10は、初期化パルスに続いて入力された信号が書き込み判定パルスであるか否かを判定し、入力された信号が書き込み判定パルスであると判定した時点あるいはこの時点の後の所定のタイミング(例えば、図3に示す時刻t6)において、トルクセンサ10aから出力される操舵トルクTRQの検出信号の値を操舵方向の動作基準点である中点として設定する。そして、EPS制御装置10は、中点の設定動作を終了した後に、警報信号出力部21から動作基準点設定装置14の警報信号受信部31へ送出する警報信号N_WLPを、所定電圧レベル(例えば、電圧Va)のON信号からゼロレベルのOFF信号へと変更する。
そして、動作基準点設定装置14は、書き込み判定パルスに続いて、例えば図3に示す中立点トリガ信号N_SCSの時刻t6から時刻t7における所定のパルス変化からなる書き込み完了判別パルスを、コネクタ13を介してEPS制御装置10のSCS/中立点トリガ信号受信部22へ送出する。
動作基準点設定装置14からEPS制御装置10のSCS/中立点トリガ信号受信部22に書き込み完了判別パルスが入力されると、EPS制御装置10は、書き込み完了モード状態に移行し、例えば図3に示す警報信号N_WLPの時刻t6から時刻t7におけるゼロレベルのOFF信号のように、所定のパルス変化からなる書き込み正常終了パルスを警報信号出力部21から動作基準点設定装置14の警報信号受信部31へ送出し、一連の中点の設定動作の実行を終了する。
しかも、EPS制御装置10にコネクタ13を介して動作基準点設定装置14を接続するだけの単純な構成によって、トルクセンサ10aの検出信号に対する基準点の設定を容易に行うことができ、例えば車両の製造工程等において手動操舵力発生機構5の組み立てが完了していない状態や、EPS制御装置10を含む車載システムに電力供給を行う車載バッテリが搭載されていない状態であっても、適宜のタイミングで基準点の設定を行うことができる。
さらに、EPS制御装置10の作動状態、例えば書き込みモード状態や書き込みモード判定状態や書き込み完了モード状態に応じて、EPS制御装置10の警報信号出力部21から動作基準点設定装置14の警報信号受信部31へコネクタ13を介して所定のパルス変化からなる警報信号N_WLPが送出されることで、EPS制御装置10の作動状態を容易に外部から判別することができる。
10 EPS制御装置(電動機制御手段、基準点設定手段)
10a トルクセンサ(操舵状態量検出手段)
13 コネクタ
14 供給装置(動作基準点設定装置)
Claims (2)
- 車両の操舵輪を操舵可能な操舵機構を駆動する電動機と、
運転者から入力される操舵入力に係る操舵状態量を検出する操舵状態量検出手段と、
該操舵状態量検出手段にて検出される前記操舵状態量に応じて、運転者の操舵をアシストするように前記電動機への通電電流を制御する電動機制御手段と、
外部から入力される基準点書込信号に応じて前記操舵状態量検出手段にて検出される前記操舵状態量の検出値に対する所定の基準点を設定する基準点設定手段とを備える車両の操舵制御装置であって、
外部から前記基準点設定手段へ電力および前記基準点書込信号を供給する供給装置を着脱可能に接続するコネクタを備えることを特徴とする車両の操舵制御装置。 - 前記基準点書込信号は、前記所定の基準点の設定を指示するトリガ信号であって、
前記基準点設定手段は前記トリガ信号を受信した時点での前記操舵状態量検出手段にて検出される前記操舵状態量の検出値を前記所定の基準点として設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の操舵制御装置。
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