JP3932176B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスモータによる電動機パワーをステアリング系に直接作用させてドライバの操舵力を軽減する電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電動パワーステアリング装置は、電動機として直流ブラシ付きモータを用いている。しかしながら、直流ブラシ付きモータの場合には経年変化によるブラシの磨耗等の問題があるので、電動機としてブラシレスモータを用いた電動パワーステアリングも開発されている。ブラシレスモータには、アウタステータとして三相巻線が設けられるとともに、インナロータとして複数の永久磁石が設けられている。そして、ブラシレスモータでは、インナロータの回転位相に基づいて三相巻線が通電されると、インナロータが回転駆動する。したがって、ブラシレスモータは、ブラシを必要としないので、ブラシの磨耗に起因して操舵フィーリングを低下させることはない。また、ブラシレスモータは、インナロータを磁石により構成しているので、その慣性モーメントが小さく、慣性モーメントが大きいことに起因して操舵フィーリングを低下させることもない。
【0003】
ブラシレスモータを用いた電動パワーステアリング装置では、ブラシレスモータを駆動する電動機駆動回路を構成するFET[Field Effect Transistor]をPWM[Pulse Width Modulation]駆動あるいはオフするために、電動機制御信号を電動機駆動回路に出力している。そのために、電動パワーステアリング装置では、ブラシレスモータで発生させる補助操舵力(すなわち、ブラシレスモータに流す目標電流)を決定するために、操舵トルク検出手段からの操舵トルク信号等に基づいて目標電流信号を設定するとともに、この目標電流信号にイナーシャ制御やダンパ制御による補正を行っている。さらに、電動パワーステアリング装置では、ブラシレスモータに目標電流を流すために、目標電流信号と電動機電流検出手段からの電動機電流信号(ブラシレスモータに実際に流れている電流)との偏差および電動機位相検出手段からの電動機位相信号(ブラシレスモータのインナロータの実際の回転位相)とに基づいてフィードバック制御により電動機制御信号を設定している。そして、電動パワーステアリング装置では、電動機駆動回路において電動機制御信号に基づいてFETがPWM駆動し、ブラシレスモータが正転駆動または逆転駆動している。
【0004】
しかし、電動機駆動回路では、FETによって数10アンペア程度の電流を流すので、FETにおいて熱を発生する。また、ブラシレスモータを駆動する場合、インナロータの実際の回転位相に基づいて正確に通電制御しなければならない。そこで、ブラシレスモータを用いた電動パワーステアリング装置は、比較的安価で簡易な2個のマイクロコンピュータ(以下、マイコンと記載する)で制御を分業する構成となっている。つまり、主として目標電流信号を設定するマイコンを有する制御装置は、電動機駆動回路から離間した位置に配設されているので、操舵トルク信号を整形するためのアナログ回路等が熱による影響を受けることなく、目標電流を高精度に設定できる。一方、主として電動機制御信号を設定するマイコンを有する駆動制御装置は、ブラシレスモータや電動機位相検出手段の近傍に配設されているので、電動機位相信号の伝達経路が短く、ノイズが少なく位相遅れのない電動機位相信号に基づいてブラシレスモータを正確に通電制御できる。そして、この制御装置(マイコン)と駆動制御装置(マイコン)とは、通信線で電気的に接続されており、相互に信号を送受信している。例えば、制御装置からは目標電流信号等を送信しており、一方、駆動制御装置からはダンパ制御に用いる電動機位相信号等を送信している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、制御装置のマイコンでは操舵トルクのセンタ値等のデータが必要であり、一方、駆動制御装置のマイコンではモータエンコーダのオフセット値等のデータが必要である。そのため、各マイコンで必要なデータは、2つのEEPROM[Electrically Erasable Programmble Read Only Memory]に各々格納され、各EEPROMから各マイコン内に各々読み出されて使用される。そのため、2つのマイコンでブラシレスモータの駆動を制御する電動パワーステアリング装置は、2つのマイコンに対してEEPROMが各々必要となるので、コスト高となる。
【0006】
また、2つのマイコン間では、高速通信を行うために、クロック同期式により信号を送受信している。このクロック同期式の通信では、マスタマイコン(制御装置のマイコン)がマイコン内で発生させているクロックに基づいてデータを送信し、スレーブマイコン(駆動制御装置のマイコン)がマスタマイコンから送信されたクロックに基づいてデータを受信している。そのため、スレーブマイコン(駆動制御装置のマイコン)では、受信したデータにずれが一度でも発生すると、データずれした信号を受信し続けることになる。この場合、スレーブマイコン(駆動制御装置のマイコン)では、正常なデータ(目標電流等)が得られないので、制御不能となり、正常な電動機制御信号を設定できない。その結果、電動パワーステアリング装置では、ステアリング系に補助操舵力を与えることができなくなる。
【0007】
例えば、車両が起動(イグニッションスイッチがオン)したときに、駆動制御装置のマイコンの各部が電気的に立ち上がっていない場合や駆動制御装置のマイコン(CPU[Central Processing Unit])のイニシャルチェックが終了していない場合に制御装置のマイコンがデータの送信を開始すると、駆動制御装置のマイコンでは、データを受信可能な状態でないため、受信したデータにずれが発生する。また、通信中に制御装置のマイコンから駆動制御装置のマイコンへの通信線にノイズが乗ると、通信中のデータにずれが発生し、駆動制御装置のマイコンではデータずれした信号を受信してしまう。
【0008】
そこで、本発明の課題は、ブラシレスモータを分業で制御する2つの制御手段(マイコン等)を備えることに起因する問題点を解消する電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング系に補助操舵力を付与する電動機と、ステアリング系に作用する操舵トルクを検出し、操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、前記電動機の回転位相を検出し、電動機位相信号を出力する電動機位相検出手段と、前記電動機に流れる電動機電流を検出し、電動機電流信号を出力する電動機電流検出手段と、少なくとも前記操舵トルク信号に基づいて目標電流信号を設定する目標電流設定手段と、前記目標電流信号と前記電動機電流信号との偏差および前記電動機位相信号に基づいて電動機制御信号を設定する駆動制御手段と、前記電動機制御信号に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動手段と、を備え、前記目標電流設定手段と前記駆動制御手段とは通信線によって電気的に接続されており、前記電動機はブラシレスモータからなる電動パワーステアリング装置であって、前記目標電流設定手段または前記駆動制御手段のいずれか一方に記憶装置を接続し、前記記憶装置が前記目標電流設定手段に接続されている場合には前記記憶装置に記憶されているデータを前記目標電流設定手段から前記駆動制御手段に前記通信線を介して送信し、前記記憶装置が前記駆動制御手段に接続されている場合には前記記憶装置に記憶されているデータを前記駆動制御手段から前記目標電流設定手段に前記通信線を介して送信することを特徴とする。
【0010】
この電動パワーステアリング装置によれば、目標電流設定手段と駆動制御手段との間で記憶装置(EEPROM等)に格納されているデータを送受信することにより、1つの記憶装置を目標電流設定手段と駆動制御手段とで共有する。そのため、この電動パワーステアリング装置では、目標電流設定手段および駆動制御手段に記憶装置を各々必要としないので、コストを低減できる。
【0011】
また、前記課題を解決した本発明の請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング系に補助操舵力を付与する電動機と、ステアリング系に作用する操舵トルクを検出し、操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、前記電動機の回転位相を検出し、電動機位相信号を出力する電動機位相検出手段と、前記電動機に流れる電動機電流を検出し、電動機電流信号を出力する電動機電流検出手段と、少なくとも前記操舵トルク信号に基づいて目標電流信号を設定する目標電流設定手段と、前記目標電流信号と前記電動機電流信号との偏差および前記電動機位相信号に基づいて電動機制御信号を設定する駆動制御手段と、前記電動機制御信号に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動手段と、を備え、前記目標電流設定手段と前記駆動制御手段とは通信線によって電気的に接続されており、前記電動機はブラシレスモータからなる電動パワーステアリング装置であって、前記駆動制御手段は、前記目標電流信号を受信可能な状態を示すスタンバイ信号を前記目標電流設定手段に送信し、前記目標電流設定手段は、前記スタンバイ信号を受信した後に、前記駆動制御手段への前記目標電流信号を送信することを特徴とする。
【0012】
この電動パワーステアリング装置によれば、駆動制御手段では目標電流信号を受信可能な状態になった場合にスタンバイ信号を送信し、目標電流設定手段ではそのスタンバイ信号を受信した後に駆動制御手段への目標電流信号の送信を開始する。そのため、この電動パワーステアリング装置では、駆動制御手段において、例えば、車両起動時に正常な目標電流信号を確実に受信でき、また、通信中に通信エラーが発生した場合でもスタンバイ信号を送信後には正常な通信を再開できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態を説明する。
【0014】
本発明に係る電動パワーステアリング装置は、コストを低減するために、ブラシレスモータの駆動を制御する目標電流設定手段(マイコン等)と駆動制御手段(マイコン等)の一方に記憶装置(EEPROM等)を接続し、記憶装置が接続されている一方の手段から記憶装置に格納されているデータを記憶装置が接続されていない他方の手段に送信する構成とする。また、本発明に係る電動パワーステアリング装置は、目標電流設定手段から送信するデータを駆動制御手段で正常に受信するために、駆動制御手段から目標電流設定手段にスタンバイ信号を送信し、目標電流設定手段ではスタンバイ信号を受信後にデータを駆動制御手段に送信する構成とする。
【0015】
本実施の形態に係る電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータに供給する目標電流を設定するための制御装置と目標電流に基づいてブラシレスモータを駆動するための駆動装置とが離間して配設され、制御装置と駆動装置との間がワイヤハーネスによって接続されている。本実施の形態に係る制御装置は、各種演算を行うための1チップの制御用マイコンおよび各種データを記憶するためのEEPROMを備えており、ピニオン軸に沿って配設される。一方、本実施の形態に係る駆動装置は、各種演算を行うための1チップの駆動制御用マイコンおよび電動機駆動回路を備えており、ブラシレスモータに隣接して配設される。本実施の形態では、制御用マイコンと駆動制御用マイコンとはクロック同期式により通信する。
【0016】
まず、図1を参照して、電動パワーステアリング装置1の全体構成について説明する。図1は、電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
【0017】
電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール3から操舵輪W,Wに至るステアリング系Sに備えられ、手動操舵力発生手段2による操舵力をアシストする。そのために、電動パワーステアリング装置1は、制御装置4からの目標電流信号IMSに基づいて駆動装置5で電動機電圧VMを発生し、この電動機電圧VMによってブラシレスモータ6を駆動して補助トルク(補助操舵力)を発生させ、手動操舵力発生手段2による手動操舵力を軽減する。
なお、本実施の形態では、ブラシレスモータ6が特許請求の範囲に記載の電動機に相当する。
【0018】
手動操舵力発生手段2は、ステアリングホイール3に一体に設けられたステアリング軸2aに連結軸2bを介してラック&ピニオン機構7のピニオン軸7aが連結されている。なお、連結軸2bは、その両端に自在継ぎ手2c,2dを備えている。ラック&ピニオン機構7は、ピニオン軸7aの先端のピニオン7bに噛み合うラック歯7dがラック軸7cに形成され、ピニオン7bとラック歯7dの噛み合いにより、ピニオン軸7aの回転運動をラック軸7cの横方向(車両幅方向)の往復運動とする機構である。さらに、ラック軸7cには、その両端にボールジョイント8,8およびタイロッド9,9を介して、操舵輪としての左右の前輪W,Wが連結されている。
【0019】
また、電動パワーステアリング装置1は、補助トルクを発生させるために、ブラシレスモータ6を備えている。ブラシレスモータ6は、補助トルクをトルクリミッタ10および歯車式減速機構11を介してピニオン軸7aに作用させる。
【0020】
つまり、電動パワーステアリング装置1は、ドライバがステアリングホイール3に加えた操舵トルクをピニオン軸7aに伝達するとともにその操舵トルクに応じたブラシレスモータ6で発生させた補助トルクをピニオン軸7aに伝達し、ラック&ピニオン機構7によって操舵輪W,Wを転舵させる装置である。
【0021】
電動パワーステアリング装置1では、車幅方向に延びるハウジング(図示せず)に、ラック軸7cが軸長手方向へスライド可能に収納されている。さらに、このハウジングには、ラック&ピニオン機構7やトルクリミッタ10、歯車式減速機構11が収納されている。また、このハウジングの上部開口部は、リッド(図示せず)によって塞がれ、このリッドの中央にピニオン軸7aが挿通され、内部に操舵トルクセンサTSが取り付けられている。さらに、リッドの外周面には、制御装置4を収納するための収納ケース(図示せず)が取り付けられ、制御装置4が配設されている。
【0022】
また、前記ハウジングの側部開口は、別のリッド(図示せず)によって塞がれ、このリッドのハウジングとの反対側にはモータケース(図示せず)が取り付けられている。モータケースには、ブラシレスモータ6が収納されるとともに、ブラシレスモータ6の一端側に電動機回転検出手段13が収納されている。また、モータケースの外周面には、駆動装置5を収納するための収納ケース(図示せず)が取り付けられている。したがって、駆動装置5は、ブラシレスモータ6および電動機回転検出手段13に隣接して配設されている。
【0023】
また、前記ハウジングの側部開口の内側には、トルクリミッタ10が収納されている。トルクリミッタ10は、ブラシレスモータ6のモータ軸(図示せず)にセレーション結合した雄テーパ状のインナ部材(図示せず)を歯車式減速機構11のウォーム軸(図示せず)にセレーション結合した雌テーパ状(カップ状)のアウタ部材(図示せず)に嵌合したトルク制限機構である。トルクリミッタ10に所定の摩擦力を上回る大きなトルクが作用すると、インナ部材の外周面とアウタ部材の内周面とがスリップする。そのため、ブラシレスモータ6から歯車式減速機構11へ伝達する補助トルクを制限し、オーバトルクをカットすることができる。したがって、ブラシレスモータ6に過大なトルクが発生することなく、トルクリミッタ10の下流側にも過大なトルクが伝わらない。
【0024】
さらに、前記ハウジングには、歯車式減速機構11が収納されている。歯車式減速機構11は、ブラシレスモータ6で発生した補助トルクをピニオン軸7aに伝達するトルク伝達手段であり、ウォームギア機構からなる。歯車式減速機構11は、ブラシレスモータ6のモータ軸(図示せず)にトルクリミッタ10を介して連結したウォーム軸(図示せず)、このウォーム軸に形成したウォームギア(図示せず)と、ピニオン軸7aに連結したウォームホイール(図示せず)から構成される。
【0025】
制御装置4は、車速センサVS、操舵トルクセンサTSの各検出信号V,Tが入力される。そして、制御装置4は、これらの検出信号V,Tに基づいてブラシレスモータ6に流す目標となる電流として目標電流信号IMSを演算し、この目標電流信号IMSを駆動装置5に出力する。制御装置4は、駆動装置5とワイヤハーネスWHによって電気的に接続されている。このワイヤハーネスWHは、クロック用通信線CW、データ送信用通信線TW、データ受信用通信線RW、スタンバイ信号用通信線SW等を有している(図2参照)。
なお、本実施の形態では、操舵トルクセンサTSが特許請求の範囲に記載の操舵トルク検出手段に相当し、クロック用通信線CW、データ送信用通信線TW、データ受信用通信線RW、スタンバイ信号用通信線SW等が特許請求の範囲に記載する通信線に相当する。
【0026】
駆動装置5は、電動機電流検出手段12、電動機回転検出手段13の各検出信号IMO,PMOが入力される。そして、駆動装置5は、駆動制御用マイコン50で目標電流信号IMSとこれらの検出信号IMO,PMOに基づいて電動機制御信号VOを生成し、電動機駆動回路51によって電動機制御信号VOに基づいてブラシレスモータ6に電動機電圧VMを印加する(図2参照)。また、駆動装置5は、バッテリBTにフューズFSを介して直接接続されるとともにフューズFS,FSおよびイグニッションスイッチIGを介して接続され、バッテリ電源(12V)が供給される。そして、駆動装置5は、バッテリ電源(12V)によって定電圧(5V)を発生させ、この定電圧を制御装置4にも供給している。
なお、本実施の形態では、電動機回転検出手段13が特許請求の範囲に記載する電動機位相検出手段に相当し、電動機駆動回路51が特許請求の範囲に記載する電動機駆動手段に相当する。
【0027】
車速センサVSは、車速を単位時間当たりのパルス数として検出するセンサであり、検出したパルス数に対応したパルス信号を車速信号Vとして制御装置4に送信している。なお、車速センサVSは、電動パワーステアリング装置1の専用センサであってもよいし、他のシステムの車速センサを利用してもよい。
【0028】
操舵トルクセンサTSは、ピニオン軸7aに作用したトルクに応じて生じる磁歪効果を電気コイルによって電気磁気的に検出する磁歪式トルクセンサであり、ドライバによる手動の操舵トルクの大きさおよび方向を検出している。そして、操舵トルクセンサTSは、検出した操舵トルクに対応したアナログ電気信号を操舵トルク信号Tとして制御装置4に送信している。なお、操舵トルク信号Tは、大きさを示す操舵トルクとトルクの向きを示すトルク方向の情報を含んでいる。
【0029】
電動機電流検出手段12は、ブラシレスモータ6に対して直列に接続された抵抗またはホール素子等を備え、ブラシレスモータ6に実際に流れる電動機電流IMを検出している。そして、電動機電流検出手段12は、電動機電流IMに対応した電動機電流信号IMOを駆動装置5にフィードバック(負帰還)している。なお、電動機電流信号IMOは、三相交流信号であり、ブラシレスモータ6の各相の巻線に実際に流れる電流の大きさを示す電動機電流値と、ブラシレスモータ6の三相巻線の中で電動機電流が流れている相の巻線の情報とを含んでいる。
【0030】
電動機回転検出手段13は、ブラシレスモータ6の一端側に配設され、ブラシレスモータ6のインナロータ(図示せず)の電動機回転角度PMを検出するためのレゾルバである。そのために、電動機回転検出手段13は、ブラシレスモータ6のモータ軸(図示せず)の一端に取り付けられた積層コアロータ(図示せず)と、その積層コアロータの回転角度を磁気的に検知する検知素子(励磁コイルと検出コイルの組合せ)(図示せず)を備えている。そして、電動機回転検出手段13は、電動機回転角度PMに対応した電動機回転信号PMOを駆動装置5に送信している。なお、電動機回転信号PMOは、ブラシレスモータ6のインナロータ(図示せず)の回転方向、回転角度等の情報を含み、2つの励磁信号、2つの余弦信号および2つの正弦信号からなる。
【0031】
図2を参照して、制御装置4の構成について説明する。図2は、制御装置および駆動装置のブロック構成図である。
【0032】
制御装置4は、駆動装置5とワイヤハーネスWHによって電気的に接続されており、ワイヤハーネスWHを介して各種信号を通信している(図1参照)。制御装置4は、1チップの制御用マイコン40、この制御用マイコン40に含まれるトルクセンサI/F回路41と車速センサI/F回路42、各種信号の出力回路(図示せず)、制御用マイコン40で使用する各種データを記憶するためのEEPROM43およびウォッチドックタイマ(図示せず)等から構成されている。なお、本実施の形態では、制御用マイコン40が特許請求の範囲に記載する目標電流設定手段に相当し、EEPROMが特許請求の範囲に記載する記憶装置に相当する。
【0033】
そして、制御装置4では、車両から各種検出信号T,Vおよび駆動装置5から電動機回転速度信号SMOを取り込み、取り込んだ信号T,V,SMOに基づいてブラシレスモータ6に流す目標電流を設定する。
【0034】
また、制御装置4は、ウォッチドックタイマにより制御用マイコン40の動作を監視しており、その動作を自己監視するとともに、ウォッチドックタイマにより制御用マイコン40の動作の異常(故障)を検出した場合には駆動装置5(駆動制御用マイコン50)に故障信号を送信する。さらに、制御装置4は、ウォッチドックパルスを駆動制御用マイコン50に送信し、そのパルスが駆動制御用マイコン50から返信されることを確認することによって、駆動制御用マイコン50の動作を相互監視している。
【0035】
制御用マイコン40の制御構成を説明する前に、トルクセンサI/F回路41および車速センサI/F回路42ならびにEEPROM43について説明しておく。
【0036】
トルクセンサI/F回路41は、操舵トルクセンサTSからの操舵トルク信号T(アナログ信号)が入力され、目標電流設定部40aおよびイナーシャ制御部40dに操舵トルク信号T(ディジタル信号)を出力する。トルクセンサI/F回路41では、アナログ信号である操舵トルク信号Tをディジタル信号に変換する。
【0037】
車速センサI/F回路42は、車速センサVSからの車速信号V(パルス信号)が入力され、目標電流設定部40aおよびイナーシャ制御部40dに車速信号V(ディジタル信号)を出力する。車速センサI/F回路42では、パルス信号である車速信号Vをディジタル信号に変換する。
【0038】
EEPROM43は、制御用マイコン40と駆動制御用マイコン50とで共用する記憶装置であり、電気的な操作により書き換え可能である。EEPROM43には、制御用マイコン40で使用する操舵トルクのセンタ値、目標電流信号IMSを設定するための各種マップ、制御用マイコン40のフェール履歴等および駆動制御用マイコン50で使用するモータエンコーダのオフセット値、駆動制御用マイコン50のフェール履歴等が格納されている。ちなみに、EEPROM43に格納されているデータは、車両の生産工場やディーラ等において書き換えられる。
【0039】
制御用マイコン40の制御構成について説明する。
制御用マイコン40は、目標電流信号IMSを設定するために目標電流設定部40a、ダンパ制御部40b、ダンパ補正部40c、イナーシャ制御部40dおよびイナーシャ補正部40eを備え、その他にクロック発生部40fおよびスタンバイ信号受信部40g等を備えている。そして、制御用マイコン40では、クロック発生部40fで発生したクロックに基づいて、目標電流信号IMSを設定するための各部40a〜40eにおける処理を基本処理時間(制御用)毎に繰り返し実行している。
【0040】
目標電流設定部40aについて説明する。
目標電流設定部40aは、トルクセンサI/F回路41からの操舵トルク信号T(ディジタル信号)および車速センサI/F回路42からの車速信号V(ディジタル信号)が入力され、ダンパ補正部40cに目標電流信号IMSを出力する。目標電流設定部40aでは、予め実験値または設計値に基づいて設定した操舵トルク信号Tおよび車速信号Vと目標電流信号IMSとの対応するマップに基づいて、操舵トルク信号Tおよび車速信号Vをアドレスとして対応する目標電流信号IMSを読み出す。この目標電流信号IMSは、ブラシレスモータ6に流す目標の電動機電流を設定する上で基準となる電流の情報を含む信号である。ちなみに、目標電流信号IMSは、車速信号Vに対して、路面反力の大きい低速の場合には大きい値が対応づけられ、走行時の安定性を確保するために高速の場合には小さい値が対応づけられている。また、目標電流信号IMSは、操舵トルク信号Tに対して、操舵トルク信号Tが0近傍では0に対応づけられ、所定の操舵トルク信号T以上になると操舵トルク信号Tの増加に従って増加する値に対応づけられている。なお、目標電流信号IMSは、ブラシレスモータ6に流すことができる最大電流が規定されているので、最大目標電流以下に設定される。
【0041】
ダンパ制御部40bについて説明する。
ダンパ制御部40bは、駆動制御用マイコン50から送信された電動機回転速度信号SMOが入力され、ダンパ補正部40cにダンパ制御信号を出力する。ダンパ制御部40bでは、予め実験値または設計値に基づいて設定した電動機回転速度信号SMOとダンパ制御信号との対応するデータに基づいて、電動機回転速度信号SMOをアドレスとして対応するダンパ制御信号を読み出す。ダンパ制御信号は、アシストの効き過ぎを減衰させて操舵フィーリングを向上させるために、電動機回転速度信号SMOに対して、電動機回転速度信号SMOが大きいほど大きな値が対応づけられる。なお、ダンパ制御部40bでは、車速センサI/F回路42からの車速信号V(ディジタル信号)を入力し、車速信号Vも加味してダンパ制御信号を設定してもよい。
【0042】
ダンパ補正部40cについて説明する。
ダンパ補正部40cは、目標電流設定部40aからの目標電流信号IMSおよびダンパ制御部40bからのダンパ制御信号が入力され、イナーシャ補正部40eに目標電流信号IMS(ダンパ補正後)を出力する。ちなみに、ダンパ制御部40bとダンパ補正部40cによるダンパ制御では、ブラシレスモータ6に大きな電動機電流IMが供給されたときのブラシレスモータ6の回転部分の慣性によるアシストの効き過ぎを減衰し、操舵フィーリングを向上させる。つまり、ブラシレスモータ6は、大きな電動機電流IMが供給されて回転速度が速くなると、その慣性によって直ぐには回転速度が低下しない。そこで、ダンパ制御では、ブラシレスモータ6の回転速度を抑制制御している。そのために、ダンパ制御は、目標電流信号IMSをダンパ制御信号分減衰させる。そこで、ダンパ補正部40cでは、目標電流信号IMSからダンパ制御信号を減算し、目標電流信号IMS(ダンパ補正後)を算出する。
【0043】
イナーシャ制御部40dについて説明する。
イナーシャ制御部40dは、トルクセンサI/F回路41からの操舵トルク信号T(ディジタル信号)および車速センサI/F回路42からの車速信号V(ディジタル信号)が入力され、イナーシャ補正部40eにイナーシャ制御信号を出力する。まず、イナーシャ制御部40dでは、操舵トルク信号Tを時間微分し、操舵トルクの時間微分値を算出する。そして、イナーシャ制御部40dでは、予め実験値または設計値に基づいて設定した操舵トルクの時間微分値および車速信号Vとイナーシャ制御信号との対応するデータに基づいて、操舵トルクの時間微分値および車速信号Vをアドレスとして対応するイナーシャ制御信号を読み出す。また、イナーシャ制御信号は、操舵トルクの時間微分値に対して、ドライバによるステアリング操作に対しての応答性を向上させるために、この時間微分値が大きいほど大きな値が対応づけられる。
【0044】
イナーシャ補正部40eについて説明する。
イナーシャ補正部40eは、ダンパ補正部40cからの目標電流信号IMS(ダンパ補正後)およびイナーシャ制御部40dからのイナーシャ制御信号が入力され、駆動制御用マイコン50に目標電流信号IMS(ダンパ補正後かつイナーシャ補正後)を送信する。ちなみに、イナーシャ制御部40dとイナーシャ補正部40eによるイナーシャ制御では、ブラシレスモータ6の回転部分の慣性による応答性の低下を向上させ、操舵フィーリングを向上させる。つまり、ブラシレスモータ6は、正回転から逆回転または逆回転から正回転と回転方向を切り替える際、電動機電圧VMの印加する向きを変えても、その慣性によって直ぐには回転方向が切り替わらない。そこで、イナーシャ制御では、ブラシレスモータ6の回転方向の切り替わりがステアリングホイール3の回転方向の切り替わるタイミングに一致するように制御している。そのために、イナーシャ制御は、目標電流信号IMSを、ブラシレスモータ6の慣性を打ち消すためにイナーシャ制御信号分増加させる。そこで、イナーシャ補正部40eでは、目標電流信号IMS(ダンパ補正後)にイナーシャ制御信号を加算し、目標電流信号IMS(ダンパ補正後かつイナーシャ補正後)を算出する。
【0045】
クロック発生部40fについて説明する。
クロック発生部40fでは、制御用マイコン40における基本となるクロックを発生する。制御用マイコン40では、クロック発生部40fで発生したクロックに基づいて基本処理時間(制御用)を生成している。また、制御用マイコン40では、クロック発生部40fで発生したクロックに基づいて駆動制御用マイコン50との間でクロック同期式の通信を行っており、データ送信用通信線TWを介してデータを送信するとともにデータ受信用通信線RWを介してデータを受信している。そのために、制御用マイコン40では、発生したクロックをクロック用通信線CWを介して駆動制御用マイコン50に送信している。
【0046】
スタンバイ信号受信部40gについて説明する。
スタンバイ信号受信部40gは、送信したデータが駆動制御用マイコン50で正常に受信できるように、データの送信開始時点を管理している。そのために、スタンバイ信号受信部40gでは、スタンバイ信号用通信線SWを介して駆動制御用マイコン50から送信されたスタンバイ信号を受信し、そのスタンバイ信号のHI信号/LO信号を監視している。つまり、スタンバイ信号受信部40gでは、スタンバイ信号がHI信号の場合には駆動制御用マイコン50においてデータを受信可能な状態と判定し、駆動制御用マイコン50へのデータの送信を許可する。一方、スタンバイ信号受信部40gでは、スタンバイ信号がLO信号の場合には駆動制御用マイコン50においてデータを受信不可能な状態と判定し、駆動制御用マイコン50へのデータの送信を禁止する。
【0047】
具体的には、イグニッションスイッチIGがオンしたとき(図1参照)、スタンバイ信号受信部40gでは、スタンバイ信号がLO信号からHI信号に切り替わったことを検出するとデータの送信を許可する。このとき、制御用マイコン40では、その許可がでるまで駆動制御用マイコン50へのデータの送信を停止し、許可がでるとデータの送信を開始する。また、イグニッションスイッチIGがオンした後に駆動制御用マイコン50への送信を開始してから、スタンバイ信号受信部40gでは、スタンバイ信号がHI信号からLO信号に切り替わったことを検出するとデータの送信を禁止する。このとき、制御用マイコン40では、一旦、駆動制御用マイコン50へのデータの送信を停止する。その後、スタンバイ信号受信部40gでは、スタンバイ信号がLO信号からHI信号に切り替わったことを検出するとデータの送信を許可する。このとき、制御用マイコン40では、再度、駆動制御用マイコン50へのデータの送信を開始する。
【0048】
特に、イグニッションスイッチIGがオンしたときには、制御用マイコン40では、EEPROM43に格納されているデータを読み出し、読み出したデータのうち駆動制御用マイコン50で使用するデータを駆動制御用マイコン50に送信する。
【0049】
図2を参照して、駆動装置5の構成について説明する。
【0050】
駆動装置5は、制御装置4とワイヤハーネスWHによって電気的に接続されており、ワイヤハーネスWHを介して各種信号を通信している(図1参照)。駆動装置5は、1チップの駆動制御用マイコン50、電動機駆動回路51、電動機電流I/F回路52、R/D変換回路53、各種信号の出力回路(図示せず)およびウォッチドックタイマ(図示せず)等から構成されている。
なお、本実施の形態では、駆動制御用マイコン50が特許請求の範囲に記載する駆動制御手段に相当する。
【0051】
そして、駆動装置5では、車両から各種検出信号IMO,PMOおよび制御装置4から目標電流信号IMS(ダンパ補正後かつイナーシャ補正後)を取り込み、取り込んだ信号IMO,PMO,IMSに基づいて電動機制御信号VOを設定し、ブラシレスモータ6を駆動するために通電する。
【0052】
また、駆動装置5は、ウォッチドックタイマにより駆動制御用マイコン50の動作を監視しており、その動作を自己監視するとともに、ウォッチドックタイマにより駆動制御用マイコン50の動作の異常(故障)を検出した場合には制御装置4(制御用マイコン40)に故障信号を送信する。さらに、駆動装置5は、ウォッチドックパルスを制御用マイコン40に送信し、そのパルスが制御用マイコン40から返信されることを確認することによって、制御用マイコン40の動作を相互監視している。
【0053】
駆動制御用マイコン50を説明する前に、電動機電流I/F回路52およびR/D変換回路53について説明しておく。
【0054】
電動機電流I/F回路52は、電動機電流検出手段12からの電動機電流信号IMO(アナログ信号)が入力され、駆動制御用マイコン50に電動機電流信号IMO(ディジタル信号)を出力する。電動機電流I/F回路52では、アナログ信号である電動機電流信号IMOをディジタル信号に変換する。
【0055】
R/D変換回路53は、電動機回転検出手段13からの電動機回転信号PMO(アナログ信号)が入力され、駆動制御用マイコン50に電動機回転信号PMO(ディジタル信号)を出力する。R/D変換回路53では、アナログ信号である電動機回転信号PMOから回転方向、回転角度を演算し、ディジタル信号である電動機回転信号PMOに変換する。
【0056】
駆動制御用マイコン50について説明する。
駆動制御用マイコン50は、電動機制御信号VOを設定するために電流変換部50a、回転角変換部50b、トルク用偏差演算部50c、磁界用偏差演算部50d、トルク用PI制御部50e、磁界用PI制御部50f、電圧変換部50g、PWM変換部50hを備え、その他にクロック発生部50iおよびスタンバイ信号発信部50j等を備えている。そして、駆動制御用マイコン50では、クロック発生部50iで発生したクロックに基づいて、電動機制御信号VOを設定するための各部50a〜50hにおける処理を基本処理時間(駆動制御用)毎に繰り返し実行している。
【0057】
電流変換部50aについて説明する。
電流変換部50aは、電動機電流I/F回路52からの電動機電流信号IMO(ディジタル信号)および回転角変換部50bからの電動機回転位相信号が入力され、トルク用偏差演算部50cにトルク制御用電流信号および磁界用偏差演算部50dに磁界制御用電流信号を出力する。電流変換部50aでは、三相交流である電動機電流信号IMOと電動機回転位相信号等に基づいて、電動機電流からブラシレスモータ6の回転トルクを発生させている電流成分を取り出してトルク制御用電流信号を設定するとともにブラシレスモータ6の磁界を発生させている電流成分を取り出して磁界制御用電流信号を設定する。
【0058】
回転角変換部50bについて説明する。
回転角変換部50bは、R/D変換回路53からの電動機回転信号PMO(ディジタル信号)が入力され、電流変換部50aおよび電圧変換部50gに電動機回転位相信号を出力するとともに制御用マイコン40に電動機回転速度信号SMOを送信する。回転角変換部50bでは、電動機回転信号PMOの回転角や回転方向に基づいてブラシレスモータ6の回転速度を算出し、電動機回転速度信号SMOを設定する。また、回転角変換部50bでは、電動機回転信号PMOの回転角や回転方向および回転速度に基づいて進み角を加味した正確な回転位相を算出し、電動機回転位相信号を設定する。
【0059】
トルク用偏差演算部50cについて説明する。
トルク用偏差演算部50cは、制御用マイコン40から送信された目標電流信号IMS(ダンパ補正後かつイナーシャ補正後)および電流変換部50aからのトルク制御用電流信号が入力され、トルク用PI制御部50eにトルク制御用偏差信号を出力する。トルク用偏差演算部50cでは、目標電流信号IMSからトルク制御用電流信号を減算し、トルク制御用偏差信号を設定する。
【0060】
磁界用偏差演算部50dについて説明する。
磁界用偏差演算部50dは、電流変換部50aからの磁界制御用電流信号が入力され、磁界用PI制御部50fに磁界制御用偏差信号を出力する。磁界用偏差演算部50dでは、0から磁界制御用電流信号を減算し、磁界制御用偏差信号を設定する。
【0061】
トルク用PI制御部50eについて説明する。
トルク用PI制御部50eは、トルク用偏差演算部50cからのトルク制御用偏差信号が入力され、電圧変換部50gにトルク用PI制御信号(直流電圧成分)を出力する。トルク用PI制御部50eでは、トルク制御用偏差信号にP(比例)およびI(積分)制御を行い、そのトルク制御用偏差を0に近づけるためにブラシレスモータ6に印加する電動機電圧(直流成分)とブラシレスモータ6の回転方向を示すトルク用PI制御信号を設定する。
【0062】
磁界用PI制御部50fについて説明する。
磁界用PI制御部50fは、磁界用偏差演算部50dからの磁界制御用偏差信号が入力され、電圧変換部50gに磁界用PI制御信号(直流電圧成分)を出力する。磁界用PI制御部50fでは、磁界制御用偏差信号にP(比例)およびI(積分)制御を行い、その磁界制御用偏差を0に近づけるためにブラシレスモータ6に印加する電動機電圧(直流成分)とブラシレスモータ6の回転方向を示す磁界用PI制御信号を設定する。
【0063】
電圧変換部50gについて説明する。
電圧変換部50gは、回転角変換部50bからの電動機回転位相信号、トルク用PI制御部50eからのトルク用PI制御信号(直流電圧成分)および磁界用PI制御部50fからの磁界用PI制御信号(直流電圧成分)が入力され、PWM変換部50hにPI制御信号(三相交流電圧成分)を出力する。電圧変換部50gでは、電動機回転位相信号に基づいて、三相(U相、V相、W相)巻線のうちの電動機電圧を印加する相の巻線を決定する。そして、電圧変換部50gでは、トルク用PI制御信号および磁界用PI制御信号に基づいて、三相交流成分であるU相電圧、V相電圧、W相電圧からなるPI制御信号を設定する。
【0064】
PWM変換部50hについて説明する。
PWM変換部50hは、電圧変換部50gからのPI制御信号(三相交流電圧成分)が入力され、電動機駆動回路51に電動機制御信号VOを出力する。PWM変換部50hでは、PI制御信号に基づいてブラシレスモータ6に供給する電動機電流IMの電流値と各相(U相、V相、W相)に対応したPWM信号またはオフ信号を電動機駆動回路51のFET51a〜51fに対して各々生成する。つまり、PWM変換部50hでは、電圧を印加する相の巻線の情報を含むPI制御信号に基づいてPWM信号を生成する対象となるFET51a〜51fを判断し、PI制御信号のU相電圧、V相電圧、W相電圧の情報に基づいてPWM信号のデューティ比を設定する。
【0065】
ちなみに、ブラシレスモータ6は、U相、V相、W相の三相巻線で構成されており、電動機電圧VM(U相電圧VMU、V相電圧VMV、W相電圧VMW)が各相の端子U0,V0,W0に印加され、三相の巻線が位相順に三相交流として通電されることによってインナロータ(モータ軸)(図示せず)が回転する。また、ブラシレスモータ6は、U相→V相→W相→U相の位相順あるいはU相→W相→V相→U相の位相順に通電されることによって、正回転駆動あるいは逆回転駆動する。そこで、PI制御部50e,50fでは各偏差信号によってブラシレスモータ6を回転させる方向と各相の電圧を決定し、電圧変換部50gでは電動機回転位相信号に基づいて通電する相の巻線を決定している。
【0066】
クロック発生部50iについて説明する。
クロック発生部50iでは、駆動制御用マイコン50における基本となるクロックを発生する。駆動制御用マイコン50では、クロック発生部50iで発生したクロックに基づいて基本処理時間(駆動制御用)を生成している。なお、駆動制御用マイコン50では、制御用マイコン40から送信されたクロックに基づいて、制御用マイコン40との間でクロック同期式の通信を行っており、データ送信用通信線TWを介してデータを受信するとともにデータ受信用通信線RWを介してデータを送信している。
【0067】
スタンバイ信号発信部50jについて説明する。
スタンバイ信号発信部50jでは、制御用マイコン40からのデータを正常に受信するために、スタンバイ信号を制御用マイコン40にスタンバイ信号用通信線SWを介して送信している。スタンバイ信号は、HI信号とLO信号からなり、駆動制御用マイコン50においてデータを正常に受信可能な状態やデータを正常に受信している場合にはHI信号が設定され、駆動制御用マイコン50においてデータを正常に受信不可能な状態やデータを正常に受信していない場合にはLO信号が設定される。
【0068】
具体的には、イグニッションスイッチIGがオンしたときに(図1参照)、スタンバイ信号発信部50jでは、制御用マイコン40からのデータを駆動制御用マイコン50において受信可能な状態か否かを確認し、正常に受信できない状態の場合にはスタンバイ信号としてLO信号を設定し、受信可能な状態であることを確認した場合にはスタンバイ信号としてHI信号を設定する。続いて、スタンバイ信号発信部50jでは、データを正常に受信している場合にはスタンバイ信号としてHI信号を設定する。また、制御用マイコン40からのデータの受信を開始した後に、スタンバイ信号発信部50jでは、制御用マイコン40から正常にデータを受信しているか否かを検出し、正常にデータを受信していない場合にはスタンバイ信号としてLO信号を設定する。そして、スタンバイ信号発信部50jでは、制御用マイコン40からのデータの送信が一旦停止したことを確認すると、スタンバイ信号としてHI信号を設定する。
なお、本実施の形態では、HI信号のスタンバイ信号が特許請求の範囲に記載するデータを受信可能な状態を示すスタンバイ信号に相当する。
【0069】
駆動制御用マイコン50において受信可能な状態かの確認では、例えば、駆動制御用マイコン50の各部が電気的に立ち上がっているか、駆動制御用マイコン50のCPUのイニシャルチェックが終了しているか等を確認する。イグニッションスイッチIGがオンしたときにこのようなことを確認しておくことにより、受信開始時にデータずれが発生しない。また、制御用マイコン40から正常にデータを受信しているか否かの検出では、例えば、受信したデータに対してサムチェックやパリティチェックを行ったり、一定時間毎にデータを受信しているかのチェックを行う。このようなチェックを行うことにより、データずれ等を検出することができる。そのため、データ送信用通信線TWへのノイズの影響等により通信エラーが発生した場合でも、そのエラーを解消して、正常な受信を再開することができる。
【0070】
電動機駆動回路51について説明する。
電動機駆動回路51は、駆動制御用マイコン50からの電動機制御信号VOが入力され、ブラシレスモータ6に電動機電圧VMを印加する。そのために、電動機駆動回路51は、FET51a,51b,51c,51d,51e,51fでブリッジ回路が構成され、電源電圧51gから12Vの電圧が供給される。さらに、電動機駆動回路51は、ブラシレスモータ6のU0端子がFET51aのソースSaとFET51bのドレインDbとの接続端に接続され、ブラシレスモータ6のV0端子がFET51cのソースScとFET51dのドレインDdとの接続端に接続され、ブラシレスモータ6のW0端子がFET51eのソースSeとFET51fのドレインDfとの接続端に接続されている。FET51a〜51fは、各ゲートGa〜GfにPWM信号またはオフ信号が各々入力され、PWM信号が入力されて論理レベル1のときにオンする。なお、ブラシレスモータ6に印加される電動機電圧VMは、選択的にPWM駆動されるFETのPWM信号のデューティ比によって決定される。
【0071】
それでは、図1および図2を参照して、電動パワーステアリング装置1における制御装置4および駆動装置5の動作について説明する。ここでは、イグニッションスイッチIGがオンした場合、駆動制御用マイコン50でデータ受信中にデータ送信用通信線TWへのノイズの影響等によりデータずれが発生した場合について説明する。
【0072】
イグニッションスイッチIGがオンした場合について説明する。
【0073】
イグニッションスイッチIGがオンすると、制御装置4では、各電気回路等が立ち上がるとともに、制御用マイコン40に定電圧を供給する。すると、制御用マイコン40では、各部が電気的に立ち上がるとともに、CPUがイニシャルチェックを行う。イニシャルチェック後、制御用マイコン40では、駆動制御用マイコン50からのスタンバイ信号をスタンバイ信号用通信線SWを介して受信し、そのスタンバイ信号のHI信号/LO信号を監視するとともに、クロック用通信線CWを介して内部で発生しているクロックの送信を開始する。このとき、スタンバイ信号がLO信号からHI信号に切り替わるまで、制御用マイコン40では、駆動制御用マイコン50にデータの送信を行わない。また、制御用マイコン40では、EEPROM43に格納されているデータを内部のRAM[Random Access Memory]に読み出す。
【0074】
一方、駆動装置5でも、各電気回路等が立ち上がるとともに、駆動制御用マイコン50に定電圧を供給する。すると、駆動制御用マイコン50では、各部が電気的に立ち上がるとともに、CPUがイニシャルチェックを行う。イニシャルチャック後、駆動制御用マイコン50では、制御用マイコン40からのデータを受信可能な状態か否かを確認し、受信可能な状態になるまで制御用マイコン40にスタンバイ信号としてLO信号をスタンバイ信号用通信線SWを介して送信し、受信可能な状態を確認すると制御用マイコン40にスタンバイ信号としてHI信号をスタンバイ信号用通信線SWを介して送信する。
【0075】
制御用マイコン40では、スタンバイ信号がLO信号からHI信号に切り替わったことを検出すると、駆動制御用マイコン50へのデータの送信を開始する。まず、制御用マイコン40では、RAMに読み出しているEEPROM43に格納されていたデータのうち駆動制御用マイコン50で使用するデータを、データ送信用通信線TWを介してクロック同期式により送信する。
【0076】
すると、駆動制御用マイコン50では、そのEEPROM43に格納されていたデータを、制御用マイコン40から送信されているクロックに基づいてクロック同期式により受信する。このとき、駆動制御用マイコン50では、各部が受信可能な状態なので、正常にデータを受信できる。そして、駆動制御用マイコン50では、受信したEEPROM43に格納されていたデータを、内部のRAMに記憶させる。
【0077】
そして、制御用マイコン40では、基本処理時間(制御用)毎に、操舵トルク信号Tと車速信号Vに基づいて目標電流信号IMSを設定し、さらに、その目標電流信号IMSに操舵トルク信号T、車速信号Vおよび駆動制御用マイコン50からの電動機回転速度信号SMOに基づいてダンパ制御およびイナーシャ制御による補正を施す。また、制御用マイコン40では、スタンバイ信号のHI信号/LO信号を監視している。ちなみに、制御用マイコン40では、目標電流信号IMS(ダンパ補正後かつイナーシャ補正後)等を駆動制御用マイコン50にデータ送信用通信線TWを介してクロック同期式により送信するとともに、電動機回転速度信号SMO等を駆動制御用マイコン50からデータ受信用通信線RWを介してクロック同期式により受信している。
【0078】
一方、駆動制御用マイコン50では、基本処理時間(駆動制御用)毎に、目標電流信号IMS(ダンパ補正後かつイナーシャ補正後)、電動機電流信号IMO(ディジタル信号)および電動機回転信号PMO(ディジタル信号)に基づいて電動機制御信号VOを設定する。また、駆動制御用マイコン50では、制御用マイコン40から正常にデータを受信しているか否かを検出し、データを正常に受信している間はスタンバイ信号としてHI信号を制御用マイコン40にスタンバイ信号用通信線SWを介して送信している。ちなみに、駆動制御用マイコン50では、目標電流信号IMS(ダンパ補正後かつイナーシャ補正後)等を制御用マイコン40からデータ送信用通信線TWを介してクロック同期式により受信するとともに、電動機回転速度信号SMO等を制御用マイコン40にデータ受信用通信線RWを介してクロック同期式により送信している。
【0079】
さらに、電動機駆動回路51では、電動機制御信号VOに対応してFET51a,51b,51c,51d,51e,51fが選択的にPWM駆動し、ブラシレスモータ6のU0端子、V0端子あるいはW0端子に電動機電圧VM(U相電圧VMU、V相電圧VMV、W相電圧VMW)を印加する。このとき、電動機駆動回路51では、電動機制御信号VOに応じてブラシレスモータ6を正回転方向(または逆回転方向)に駆動するために、選択的にPWM駆動するFET51a,51b,51c,51d,51e,51fを順次変え、印加する電動機電圧VMの電圧値も変化させている。
【0080】
そして、ブラシレスモータ6では、U相、V相、W相のいずれかの巻線に電動機電圧VM(U相電圧VMU、V相電圧VMV、W相電圧VMW)が印加され、電動機電流IM(U相電流IMU、V相電流IMV、W相電流IMW)が流れる。すると、ブラシレスモータ6では、インナロータ(図示せず)が正回転方向あるいは逆回転方向に駆動され、モータ軸(図示せず)が正回転あるいは逆回転する。このとき、電動機電流検出手段12では、電動機電流IMを検出し、電動機電流信号IMOを駆動装置5に送信している。また、電動機回転検出手段13では、インナロータ(図示せず)の電動機回転角PMを検出し、電動機回転信号PMOを駆動装置5に送信している。
【0081】
そして、ブラシレスモータ6のモータ軸(図示せず)の回転駆動力は、トルクリミッタ10および歯車式減速機構11を介してピニオン軸7aに伝達される。すると、ピニオン軸7aでは、この回転駆動力が補助トルクとして作用し、ドライバによる操舵トルク(操舵力)をアシストする。その結果、ドライバによる操舵力が軽減される。
【0082】
駆動制御用マイコン50でデータ受信中にデータ送信用通信線TWへのノイズの影響等によりデータずれが発生した場合について説明する。
【0083】
前記したように、駆動制御用マイコン50では、制御用マイコン40から正常にデータを受信しているか否かを検出している。したがって、データずれが発生すると、駆動制御用マイコン50では、制御用マイコン40から受信したデータが異常であることを検出し、制御用マイコン40にスタンバイ信号としてLO信号をスタンバイ信号用通信線SWを介して送信する。ちなみに、データずれが発生した後、駆動制御用マイコン50では、目標電流信号IMS等を正常なデータとして受信できないので、ブラシレスモータ6の駆動制御を正常に行えない。
【0084】
すると、制御用マイコン40では、スタンバイ信号のHI信号/LO信号を監視しているので、スタンバイ信号がHI信号からLO信号に切り替わったことを検出する。そして、制御用マイコン40では、駆動制御用マイコン50へのデータの送信を一旦停止する。
【0085】
駆動制御用マイコン50へのデータの送信が停止されると、駆動制御用マイコン50では、データが送信されてこないことを確認し、制御用マイコン40にスタンバイ信号としてHI信号をスタンバイ信号用通信線SWを介して送信する。
【0086】
すると、制御用マイコン40では、スタンバイ信号のHI信号/LO信号を監視しているので、スタンバイ信号がLO信号からHI信号に切り替わったことを検出する。そして、制御用マイコン40では、再度、駆動制御用マイコン50へのデータの送信を開始する。
【0087】
データ送信の再開後、駆動制御用マイコン50では、データずれが解消し、制御用マイコン40から正常にデータを受信する。そのため、駆動制御用マイコン50では、正常な目標電流信号IMS等に基づいてブラシレスモータ6の駆動制御を正常に行え、正常な電動機制御信号VOを設定する。
【0088】
そして、電動機駆動回路51では、駆動制御用マイコン50で設定した電動機制御信号VOにより、前記と同様にブラシレスモータ6に電動機電圧VMを印加する。すると、ブラシレスモータ6が正回転方向あるいは逆回転方向に駆動し、この回転駆動力が補助トルクとして作用し、ドライバによる操舵トルク(操舵力)をアシストする。その結果、ドライバによる操舵力が軽減される。
【0089】
この電動パワーステアリング装置1によれば、EEPROM43を制御用マイコン40と駆動制御用マイコン50とで共用できる構成としているので、コストを低減できる。また、この電動パワーステアリング装置1によれば、スタンバイ信号により駆動制御用マイコン50でのデータの受信状態を確認する構成としているので、駆動制御用マイコン50ではイグニッションスイッチIGがオンしたときに正常なデータを確実に受信でき、また、受信エラーが発生した場合でも正常なデータの受信を再開できる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、前記の実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では制御用マイコンにEEPROMを接続し、EEPROMに格納されているデータを駆動制御用マイコンに送信する構成としたが、駆動制御用マイコンにEEPROMを接続し、EEPROMに格納されているデータを制御用マイコンに送信する構成としてもよい。
また、本実施の形態では記憶装置をEEPROMとしたが、EPROM、マスクROM等の他の記憶装置でもよい。
また、本実施の形態ではスタンバイ信号としてデータを正常に受信可能な場合をHI信号とし、受信不可能な場合にはLO信号としたが、HI信号とLO信号とを逆に設定する等の他の信号構成でもよいし、あるいは、スタンバイ信号としてデータを正常に受信可能な時やデータ送信のリセットを要求する時だけ特定の信号を送信するようにしてもよい。
【0091】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、1つの記憶装置を目標電流設定手段と駆動制御手段とで共有するので、コストを低減できる。
【0092】
本発明の請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、駆動制御手段でスタンバイ信号を送信するとともに目標電流設定手段でそのスタンバイ信号を受信後に駆動制御手段へのデータの送信を開始することにより、駆動制御手段では正常なデータを確実に受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
【図2】本実施の形態に係る制御装置および駆動装置のブロック構成図である。
【符号の説明】
1・・・電動パワーステアリング装置
4・・・制御装置
5・・・駆動装置
6・・・ブラシレスモータ(電動機)
12・・・電動機電流検出手段
13・・・電動機回転検出手段(電動機位相検出手段)
40・・・制御用マイコン(目標電流設定手段)
43・・・EEPROM(記憶装置)
50・・・駆動制御用マイコン(駆動制御手段)
51・・・電動機駆動回路(電動機駆動手段)
S・・・ステアリング系
CW・・・クロック用通信線(通信線)
RW・・・データ受信用通信線(通信線)
SW・・・スタンバイ信号用通信線(通信線)
TS・・・操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)
TW・・・データ送信用通信線(通信線)
Claims (2)
- ステアリング系に補助操舵力を付与する電動機と、ステアリング系に作用する操舵トルクを検出し、操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、前記電動機の回転位相を検出し、電動機位相信号を出力する電動機位相検出手段と、前記電動機に流れる電動機電流を検出し、電動機電流信号を出力する電動機電流検出手段と、少なくとも前記操舵トルク信号に基づいて目標電流信号を設定する目標電流設定手段と、前記目標電流信号と前記電動機電流信号との偏差および前記電動機位相信号に基づいて電動機制御信号を設定する駆動制御手段と、前記電動機制御信号に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動手段と、を備え、前記目標電流設定手段と前記駆動制御手段とは通信線によって電気的に接続されており、前記電動機はブラシレスモータからなる電動パワーステアリング装置であって、
前記目標電流設定手段または前記駆動制御手段のいずれか一方に記憶装置を接続し、
前記記憶装置が前記目標電流設定手段に接続されている場合には前記記憶装置に記憶されているデータを前記目標電流設定手段から前記駆動制御手段に前記通信線を介して送信し、前記記憶装置が前記駆動制御手段に接続されている場合には前記記憶装置に記憶されているデータを前記駆動制御手段から前記目標電流設定手段に前記通信線を介して送信することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - ステアリング系に補助操舵力を付与する電動機と、ステアリング系に作用する操舵トルクを検出し、操舵トルク信号を出力する操舵トルク検出手段と、前記電動機の回転位相を検出し、電動機位相信号を出力する電動機位相検出手段と、前記電動機に流れる電動機電流を検出し、電動機電流信号を出力する電動機電流検出手段と、少なくとも前記操舵トルク信号に基づいて目標電流信号を設定する目標電流設定手段と、前記目標電流信号と前記電動機電流信号との偏差および前記電動機位相信号に基づいて電動機制御信号を設定する駆動制御手段と、前記電動機制御信号に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動手段と、を備え、前記目標電流設定手段と前記駆動制御手段とは通信線によって電気的に接続されており、前記電動機はブラシレスモータからなる電動パワーステアリング装置であって、
前記駆動制御手段は、前記目標電流信号を受信可能な状態を示すスタンバイ信号を前記目標電流設定手段に送信し、
前記目標電流設定手段は、前記スタンバイ信号を受信した後に、前記駆動制御手段への前記目標電流信号を送信することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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