JP3886920B2 - 炊飯器用表示基板ユニットの気密検査構造及び気密検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、炊飯器(炊飯ジャーを含む)の表示基板ユニットの気密検査構造及び気密検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炊飯器において各種の表示を行うために蓋パネルの下面に液晶を取付けることが従来から行われており、その液晶部分に水の侵入を防止するために液晶を気密空間に収納する構造が採られる(特許文献1参照)。その気密空間は、通常、液晶を搭載した表示基板を基板カバーの上面に取付けるとともに、その基板カバーの外周縁を蓋パネルの下面に気密を保持して押し当てることにより構成される。そして、その気密空間の気密検査を行うために、基板カバーの一部に検査用プロ−ブを挿通するための穴が設けられる。この穴は、気密検査が終了すればテープを貼って閉鎖される。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−237043号公報(実施例、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
気密検査の終了後に検査用の穴を逐一閉鎖する作業を全製品について行うことは、全数検査を行う場合は避けることができないものである。しかし、抜取り検査を行う場合は、検査対象となる少数の製品についてはともかく、検査対象とならない大多数のものについても前記穴の閉鎖作業を逐一行う必要があり、検査工程の作業性を損なう要因となっていた。
【0005】
そこで、この発明は、炊飯器の表示基板ユニットにおいて、検査対象とならない場合は何らの措置も施す必要がないようにする一方、検査対象となる場合は簡単に検査用の穴が形成できるようにして検査工程の作業性を改善することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための気密検査構造は、蓋パネルと基板カバーとによって囲まれた気密空間の内部に表示基板を収納してなる炊飯器用表示基板ユニットにおいて、前記基板カバーに前記気密空間の内部と通じた中空突起を設け、その中空突起の一部に容易に切除可能な脆弱部を設けた構成としたものである。
【0007】
上記の構成の表示基板ユニットの気密検査は次のようにして行う。即ち、表示基板ユニットの内部は製作当初の段階では密閉状態にある。気密検査工程において、検査対象になるものについては中空突起をその脆弱部で切断除去して気密検査用の穴を明け、その穴を通じて気密検査を行う。検査を終了した後はその穴を適宜な手段で閉鎖する。検査対象にならないものは中空突起を残したまま検査工程を終了する。
【0008】
なお、前記中空突起を前記基板カバーの一部に形成した浅い凹部に設け、前記脆弱部をその凹部の深さの範囲内に設けた構成を採ってもよい。そのように構成すると、中空突起を切除した際にその切断端は凹部の表面より低い位置に残存する。従って、穴の閉鎖を行うべく凹部にテープを貼った場合、テープが切断端に接触することがない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいてこの発明の実施形態を説明する。図1に示すように、実施形態の炊飯器は、炊飯器本体1にその後部のヒンジ軸2により蓋セット3を開閉自在に取付けている。蓋セット3の前端寄りに表示基板ユニット4が組込まれ、その表示基板ユニット4の前部にフック5が設けられる。
【0010】
表示基板ユニット4は、図1及び図2に示すように、蓋パネル6と基板カバー7とによって囲まれた気密空間8内に液晶9を搭載した表示基板11が収納される。前記の基板カバー7は周壁12を有する大略楕円形の皿型をなし、その周壁12の上面に環状のパッキン溝13が設けられる(図4参照)。また、その周壁12の数か所に蓋パネル6との結合アーム14が設けられ、さらに蓋セット3の蓋上部材15との結合アーム16も数か所に設けられる(図3、図4参照)。
【0011】
前記の基板カバー7の上面に取付け用のボス部17、17が2か所に設けられ(図2(a)、図4(a)参照)、そのボス部17、17に表示基板11が固定される。前記の周壁12はその表示基板11を囲む大きさに形成され、その表示基板11の両側と周壁12との間に所要数のスイッチ18が設けられる(図5参照)。さらに、表示基板11に接続されたフラットケーブル19が基板カバー7のスリット21から外部に引き出される。そのスリット21とフラットケーブル19の通過部分のすき間にシール材22が充填される(図2参照)。また、基板カバー7の底面に中空突起23が下方に突き出して設けられる。
【0012】
上記の中空突起23は、図2(b)に示すように、基板カバー7の底面に設けた浅い凹部24の中心部に設けられ、その中心部において中空突起23は基板カバー7の内部に連通している。また、中空突起23の根元外周に切込みによる脆弱部25を凹部24の深さの範囲内において形成している。この脆弱部25は中空突起23の肉厚を破るほど深いものではないが、作業者が指先又は工具で中空突起23をつまんで捻ることにより切除される程度の脆さのものである。その切除により凹部24に気密検査用の穴26が明けられる(図2(c)参照)。穴26の周りに生じる切断端27は、凹部24から外部に露出することがない。このため、中空突起23の切除後に凹部24に穴26閉鎖用のテープ28(図2(d)参照)を貼った際に、切断端27がテープ28の裏面に接触することがなく、テープ28を突き破るおそれがない。
【0013】
前記の基板カバー7のパッキン溝13に中空の無端状パッキン29が装着される。そのパッキン29を装着した基板カバー7の外周縁が前記蓋パネル6の下面に押し当てられ、前記の各結合アーム14をビス30により蓋パネル6の下面周縁部のねじ部31にねじ結合し、基板カバー7と蓋パネル6とを一体化して表示基板ユニット4を構成する。この表示基板ユニット4において、基板カバー7と蓋パネル6の外周縁が前記のパッキン29によりシールされ、これによって前記の気密空間8が形成される。その気密空間8の内部に表示基板11、液晶9等が気密を保持して収納される。
【0014】
前記表示基板ユニット4の気密検査を行う場合、通常は抜取り検査であるので、検査対象とならない大多数のものは、何らの措置を施すことなく、即ち中空突起23を残したまま検査を終了する。検査対象となるものは、まず中空突起23を指先でつまんで捻ることにより脆弱部25から先の部分を切断除去して検査用の穴26を明ける。その穴26に検査用プローブを挿入して気密検査を行い、検査終了後、凹部24にテープ28を貼付して気密状態を回復し検査を終了する。前述のように、中空突起23の切断端27は凹部24の深さの範囲内にありそれより高く突き出すことはないので、テープ28が破れる恐れはない。
【0015】
なお、検査終了後の組立て工程において、前記の表示基板ユニット4は蓋上部材15の下面にビス32(図3参照)により固定される。
【0016】
次に、前記蓋セット3のその他の構造として、放熱板セットの検知構造について図6から図8に基づいて説明する。蓋セット3の下面には放熱板セット58が着脱自在に取付けられるが(図1参照)、手入れ等の際に使用者がその放熱板セット58の装着を忘れることがある。このため、放熱板セット58の有無を検知する検知スイッチ34を設けることが行われるが、検知スイッチ34の小型化につれてそれを蓋セット3に固定するナットも小さくなり、作業性を損なう原因となっていた。
【0017】
図6から図8に示した放熱板セット検知構造は、このような問題点を解消するものである。この場合の検知スイッチ34は、図6に示すように蓋セット3のヒンジ軸2に近い部分において蓋リング35の補強金具36に取付けられる。検知スイッチ34は、図7(a)に示すように、平行な2か所の取付け穴37、37’を有する。検知スイッチ34を支持するステー38はばね性のある金属板で形成され、前記補強金具36に取付けるための取付け穴39が後端部に設けられる。また、蓋リング35のボス部41(図8参照)に支持させるための取付け穴39’が前端部に設けられる。ステー38は上記の取付け穴39においてビス40により補強金具36に固定され、他方の取付け穴39’においてはコイルばね42を介在したビス40’により前記ボス部41に支持される。コイルばね42を介在していることにより、ステー38は後端側のビス40による固定部を支点としてある程度の撓みが可能となる。また、ステー38には、その後端側に補強金具36の両側に沿って下向き屈曲させた位置決め片43、43が設けられるとともに、前端側の端辺に上向きに屈曲された取付け片44が設けられ、その取付け片44にビス穴45が設けられる。取付け片44の前面側に前記の検知スイッチ34が取付けられる。該取付け片44の一側辺に前方に突き出した突片46が設けられる。前記のビス穴45と、突片46はそれぞれ前記検知スイッチ34の取付け穴37、37’に対応する。さらに、前記ステー38の前端縁の内側において左右2か所に低い切起こし部47、47が設けられる。
【0018】
一方、前記のステー38とは別部材である帯状のナット支持部材48が設けられ、これに四角ナット49が固着される。このナット支持部材48は左右両端部に下向きの屈曲部51、51が設けられ、その屈曲部51、51が前記ステー38の左右両側辺にスライド可能に嵌合される。屈曲部51、51をステー38に嵌合させた状態で前記の四角ナット49、前記のビス穴45、検知スイッチ34の取付け穴37のセンターが一致する。ナット支持部材48を前端部までスライドさせると、前記の切起こし部47、47上に乗り上げ、その弾性によりナット支持部材48がその位置において仮固定される。
【0019】
前記のステー38に検知スイッチ34を取付けるに先立って前記のナット支持部材48がステー38に仮固定される。検知スイッチ34は、その一方の取付け穴37’に突片46を挿入するとともに、ビス52を他方の取付け穴37に挿入して四角ナット49に螺合させる。四角ナット49はナット支持部材48とともに引寄せられ、取付け片44の後面に押し当てられる。四角ナット49は小型の部品であり取り扱い難いものであるが、上記の構成によると、その四角ナット49が予めナット支持部材48に取付けられおり、かつ屈曲部51、51のステー38への嵌合により回り止めされているので、取り扱いが容易であり作業性もよい。
【0020】
前記検知スイッチ34のアーマチュア53に対向して蓋リング35を貫通して検知部材54が上下動可能に設けられる。検知部材54の下端部外周に設けたばね受け段部55と蓋リング35との間に、ばね係数の小さいコイルばね56がパッキン57とともに嵌合され、これにより検知部材54を下向きに付勢している。検知部材54の下端は放熱板セット58の周縁部に対向し、またその上端部は前記のアーマチュア53に接している(図8(a)参照)。放熱板セット58が装着されると、図8(b)に示すように、検知部材54が放熱板セット58により押し上げられ、同時にアーマチュア53が押上げられる。これにより検知スイッチ34がオンとなり放熱板セット58の装着を電気的に検知することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、炊飯器における表示基板ユニットの気密検査において、検査対象とならないものについては中空突起を残したまま何らの処置を施すことなく次工程に送ることができる。また検査対象となるものについては中空突起を脆弱部において切除することにより検査用の穴を容易に作ることができるとともに検査後の閉鎖も簡単にできるものであるから、気密検査の作業性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の断面図
【図2】(a)同上の一部拡大断面図
(b)中空突起の拡大断面図
(c)中空突起の切除状態の拡大断面図
(d)中空突起の切除後の拡大断面図
【図3】同上の一部分解斜視図
【図4】(a)同上の基板カバーの平面図
(b)(a)図のb−b線の断面図
(c)(a)図のパッキンの一部切欠斜視図
【図5】同上の表示基板ユニットの一部省略斜視図
【図6】同上の蓋セットの横断平面図
【図7】(a)同上の放熱板セット検知装置の一部斜視図
(b)(b)図の組立て状態の平面図
(c)(b)図の左側面図
(d)(b)図の右側面図
【図8】(a)同上の放熱板セット検知装置の断面図
(b)同上の放熱板セット検知装置の作動状態における断面図
【符号の説明】
1 炊飯器本体
2 ヒンジ軸
3 蓋セット
4 表示基板ユニット
5 フック
6 蓋パネル
7 基板カバー
8 気密空間
9 液晶
11 表示基板
12 周壁
13 パッキン溝
14 結合アーム
15 蓋上部材
16 結合アーム
17 ボス部
18 スイッチ
19 フラットケーブル
21 スリット
22 シール材
23 中空突起
24 凹部
25 脆弱部
26 穴
27 切断端
28 テープ
29 パッキン
30 ビス
31 ねじ部
32 ビス
34 検知スイッチ
35 蓋リング
36 補強金具
37、37’ 取付け穴
38 ステー
39、39’ 取付け穴
40、40’ ビス
41 ボス部
42 コイルばね
43 位置決め片
44 取付け片
45 ビス穴
46 突片
47 切起し部
48 ナット支持部材
49 四角ナット
51 屈曲部
52 ビス
53 アーマチュア
54 検知部材
55 ばね受け段部
56 コイルばね
57 パッキン
58 放熱板セット
Claims (4)
- 蓋パネルと基板カバーとによって囲まれた気密空間の内部に表示基板を収納してなる炊飯器用表示基板ユニットにおいて、前記基板カバーに前記気密空間の内部と通じた中空突起を設け、その中空突起の一部に容易に切除可能な脆弱部を設けたことを特徴とする炊飯器用表示基板ユニットの気密検査構造。
- 前記中空突起を前記基板カバーの一部に形成した浅い凹部に設け、前記脆弱部をその凹部の深さの範囲内に設けたことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器用表示基板ユニットの気密検査構造。
- 蓋パネルと基板カバーとによって囲まれた気密空間の内部に表示基板を収納した炊飯器用表示基板ユニットの気密検査方法において、前記基板カバーに前記気密空間の内部と通じた中空突起を予め設けるとともに、その中空突起の一部に容易に切除可能な脆弱部を設けておき、気密検査に際し該中空突起をその脆弱部から切除して気密検査用の穴を明け、その穴を通じて気密検査を行ったのち該穴を閉鎖することを特徴とする炊飯器用表示基板ユニットの気密検査方法。
- 前記中空突起を前記基板カバーの一部に形成した浅い凹部に設けるとともに前記脆弱部をその凹部の深さの範囲内に設け、前記の気密検査終了後前記凹部にテープを貼って前記気密検査用の穴を閉鎖することを特徴とする請求項3に記載の炊飯器用表示基板ユニットの気密検査方法。
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