JP3886849B2 - 茶園管理台車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、茶うね間の通路上をクローラにより走行し、傾斜地の茶樹の剪枝、台刈り、摘採等の茶園管理に必要な作業に適した茶園管理台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、茶園における茶樹の剪枝、台刈り、摘採等の茶園管理作業は、摘採機、剪枝機、台刈り機等を搭載した茶園管理台車を使用することにより、その多くが自動化されつつある。良質の茶葉を産する茶園の多くは、丘陵地に位置し、丘陵地に作られた茶園は、必然的に傾斜地が多く、通常の平地を走行する平地用の茶園管理台車では、安定して移動することが難しい。
【0003】
このために、従来、傾斜地の茶園の茶うねに沿って横方向に安定して走行するために、門形フレームの両側に脚部フレームを傾斜可能に枢支した構造の茶園管理台車が、特開平9−84434号公報等で提案されている。
【0004】
この茶園管理台車は、レール式の走行台車であって、傾斜地の傾斜角度に応じて、門形台車フレームの両側の脚部フレームの傾斜角度を調整可能な構造を有し、傾斜地に茶うねの両側に段差を持って形成された通路に、レールを敷設し、その段違いのレール上に、門形フレームの両側に傾斜して軸支された脚部フレームの下端の車輪を係合させ、両側の段違いレール上を走行する構造である。
【0005】
しかるに、この種の傾斜地対応型の茶園管理台車は、単に門形フレームにおける両側の脚部フレームの角度を、鉛直状態となるように調整して走行させるだけであり、門形フレーム等の上に搭載されるエンジン等の重量物の位置が平地走行の場合と変わらないために、台車の重心位置が、傾斜地の谷側に偏りやすく、管理台車の走行が不安定となる課題があった。
【0006】
一方、茶葉の摘採などを行う茶園管理台車には、平地用として、クローラ走行式のものが各種提案されている(例えば、特開2001−120007号公報等参照)。このクローラ走行式の管理台車は、両側に脚部フレームを設けた門形台車フレームの両脚部フレームの下部に、クローラ走行部を設け、茶うねの両側に形成された通路上にクローラを置き、茶うねを跨ぐようにして走行する構造である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の平地用のクローラ式管理台車は、通常、使用者が搭乗して操作する構造を採用し、台車上には前方を向いて操作するための操作盤と操作席が装着され、一条摘み用の茶摘採機を搭載する場合は、管理台車を茶うねに沿って前進走行するのみで摘採をおこなうことができる。しかし、半条摘み用の茶摘採機を搭載する場合には、茶うねの終端まで摘採を行った後、管理台車の向きを反転させて残りの半条を摘採することになるため、茶うねの端部に管理台車を反転させるための空き地(枕地)を必要とする。このため、枕地が形成できないような狭い茶園においては、比較的小型で、半条摘み用の茶摘採機を搭載し、前進走行のみで摘採を行う自走搭乗式の管理台車は、後進での摘採作業が行えないという理由で、使用できないという課題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、傾斜地の傾斜に対応して、台車の脚フレームの角度と共にその重心位置を良好に調整することができ、傾斜地の茶うねに沿って安定して走行し、茶園の管理作業を良好に行なうことができる茶園管理台車を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の茶園管理台車は、クローラにより走行する左右のクローラ走行部の上に脚フレームが立設され、各脚フレームの外側に筒状の脚支持部が摺動可能に外嵌され、水平部の両側に垂直部を設けた形状の門形フレームが、左右の脚支持部を連結し且つ枢軸を介して回動可能に配設され、門形フレームに作業機器が取り付けられた茶園管理台車であって、門形フレームの水平部に沿って横摺動フレームが左右両側の脚支持部を連結して摺動可能に支持され、横摺動フレーム上にクローラ走行部を駆動するための動力源が取り付けられ、横摺動フレームの両端は、連結軸と長孔を介して左右の脚支持部に連結され、横摺動フレームを門形フレームの水平部に対し移動させて左右の脚フレーム及び脚支持部を門形フレームに対し枢軸を介して回動させるための移動操作機構が設けられたことを特徴とする。
【0010】
ここで、上記構成の茶園管理台車においては、請求項2のように、門形フレームを前門形フレームと後門形フレームとから構成し、左右の脚支持部と横摺動フレームを前後から挟むように、前門形フレームと後門形フレームを相互に連結して配設し、横摺動フレームを前門形フレームと後門形フレームの間に摺動可能に支持させることができる。
【0012】
また、上記請求項1または2の茶園管理台車においては、請求項のように、作業機器を、茶うねの半面を1回の移動によって処理する半条式の機器とし、門形フレームの前部に回動軸を介して左右反転可能に支持し、クローラ走行部の前部と後部上に搭乗用のステップが設けられ、一方の脚フレームの上部には、前進時に前方を向き後部のステップに搭乗して運転操作するための運転操作部が設けられ、他方の脚フレームの上部には、後進時に後方を向き前部のステップに搭乗して運転操作するための運転操作部を設けることができる。
【0014】
さらに、請求項のように、クローラ走行部の先端に、鋭角先端カバーを装着するとよい。
【0015】
【作用】
このような構成の茶園管理台車は、傾斜地の茶園の茶摘採作業などに使用される。傾斜地で摘採などの作業を行なう場合、まず、移動操作機構を操作して、横摺動フレームを横方向に移動させ、左右両側の脚支持部及び脚フレームの傾斜角度を門形フレームに対し、傾斜地の傾斜角度に応じて鉛直状態となるように調整する。横摺動フレームを横方向に移動させると、左右両側の脚支持部及び脚フレームは、門形フレームに対し、枢軸を介して右または左に傾斜するように回動する。この脚支持部及び脚フレームの傾斜回動は、傾斜地の傾斜角度に応じて行なわれ、傾斜地に作られた茶うねの両側に通路に、左右のクローラ走行部を配置した状態で、脚フレーム及び脚支持部が鉛直状態となるように調整し、設定する。
【0016】
このとき、脚フレーム及び脚支持部の傾斜調整は、横摺動フレームを山側に摺動させて行なうが、重量の重い油圧ユニットなどの動力源が横摺動フレーム上に取り付けられているから、脚フレーム及び脚支持部の傾斜時に、谷側に移動しやすい重心位置を山側に移動させることができる。このため、台車の重心が谷側に偏位することを防止し、茶園管理台車を傾斜地でも安定して走行可能させることができる。
【0017】
また、請求項の茶園管理台車のように、半条式の作業機器を門形フレームの前部に反転可能に装着した場合、使用者は、まず、一方のクローラ走行部上のステップの後部に搭乗し、前方を向いて運転操作部を操作しながら台車を茶うねに沿って前進させ、茶うねの片側面の摘採などの作業を行なう。そして、茶うねの端部で、作業機器を左右に反転させ、使用者は他方のクローラ走行部の前部のステップ上に搭乗し、台車の後方を向いて台車を後進させながら、茶うねの残り面の摘採などを行なう。このとき、茶葉の摘採作業の場合、作業機器に装着された茶袋が、門形フレームの前部に設けた作業機器の後方に膨らむが、ステップに搭乗した使用者は、前進・後進共に、茶袋の直ぐ横で茶袋の状態を見ながら、台車の運転操作を行なって、良好に摘採作業などを行なうことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は茶園管理台車の正面図を示し、図2はその平面図を、図3はその背面図を示し、図4は左側面図を示している。この茶園管理台車は、両側にクローラ走行部7,8を設け、両側のクローラ走行部7,8上に各々脚フレーム2,3を立設し、両脚フレーム2,3を筒状の脚支持部4,5を介して横摺動フレーム6で連結し、さらに両脚支持部4,5の下部を門形フレーム1で連結して構成される。
【0019】
両クローラ走行部7,8は、前部に従動輪を軸支し後部に駆動輪を軸支し、中間部に複数のガイド輪を軸支し、それらの従動輪、駆動輪、ガイド輪の間にクローラ71,81を掛け渡して構成され、駆動輪が油圧モータなどの原動機により駆動される。クローラ走行部7,8はその上部をカバー部により覆われるが、特にその前端と後端は、平面視で鋭角をなす鋭角先端カバー部74,84が図2のように鋭角状に突設される。この鋭角先端カバー部74,84を設けることにより、各クローラ走行部7,8が茶うねの間の通路を走行する際、茶うねの裾の部分に鋭角先端カバー部74,84が接触して、クローラ走行部7,8つまり管理台車の走行方向が自動的に通路に沿って修正され、良好に走行する。
【0020】
また、両側のクローラ走行部7,8上に、作業者が搭乗して運転操作するためのステップ73,83が設けられる。このステップ73は、管理台車の正面に向かって左側のクローラ走行部7のカバー部72の上の前端に取り付けられ、さらに、右側のクローラ走行部8のカバー部82の上の後端にも、ステップ83が取り付けられる。また、ステップ73,83は、クローラ71,81の走行面と平行に取り付けられ、クローラ71,81が水平地面つまり鉛直方向に対し垂直な水平地を走行する際、水平状態を維持し、その上に搭乗する搭乗者が安全に搭乗できるようにしている。
【0021】
この茶園管理台車の前部は、茶摘採機、剪枝機、台刈り機等の作業機器10が装着される側とし、後部は集葉袋を載せる荷台フレーム11が装着される側とし、前進と後進を行いながら、茶葉の半条摘みなどを行なう。
【0022】
両側のクローラ走行部7,8の略中央部に、各々、角パイプ状の脚フレーム2,3が垂直に立設される。一方、両側の脚フレーム2,3を傾斜調整可能に連結するために、脚支持部4,5を介して横摺動フレーム6と門形フレーム1が取付られる。脚支持部4,5は、角パイプ状に形成されて脚フレーム2,3に各々上下摺動可能に外嵌されている。図8に示すように、角パイプ状の脚支持部4,5の側部に、めねじ部41が固定され、そのめねじ部41に穿設されたねじ孔に、ねじ棒42が縦に螺合して配設され、ねじ棒42の上端は、脚フレーム2の上部に固定されたねじ棒回転部43に接続される。ねじ棒回転部43はハンドル44の操作によってねじ棒42を回転させるように構成され、ねじ棒42が回転すると、脚支持部4に固定されためねじ部41が脚フレーム2に対し上下に移動する。
【0023】
したがって、ハンドル44の回転に応じて脚支持部4と脚フレーム2は相対的に上下方向に移動し、脚フレーム2が静止している場合、脚フレーム2に外嵌された脚支持部4が上下に移動し、その位置が調整される。上記は前方から向かって左側の脚フレーム2と脚支持部4について説明したが、その反対側の脚フレーム3と脚支持部5についても同様に、めねじ部51、ねじ棒52、ねじ棒回転部53、ハンドル54が取り付けられている。
【0024】
さらに、両側の脚フレーム2,3の上部には、図1、図3、図4に示すように、運転操作部21,31が取り付けられている。運転操作部21,31には、クローラ走行部7,8の油圧モータの油圧を制御するバルブ操作用の操作レバー22,32などが配置される。台車の正面に向かって左側の運転操作部21は、台車を後進させるときに使用するもので、左側のステップ73の上に後方を向いて使用者が搭乗したとき、後方を向いた使用者が容易に運転操作できるように、運転操作部21は前方を向いて配置される。同様に、台車の正面に向かって右側の運転操作部31は、台車を前進させるときに使用するもので、右側のステップ83の上に前方を向いて使用者が搭乗したとき、前方を向いた使用者が容易に運転操作できるように、運転操作部31は後方を向いて配置される。つまり、この管理台車には、前進用と後進用に各々別々の運転操作部21,31が取り付けられ、前進時には前方を向いて、後進時には後方を向いて安全に運転できるようにしている。
【0025】
上記のような台車の両側の脚フレーム2,3を支持する脚支持部4と5を連結するために、門形フレーム1が取り付けられる。この門形フレーム1は、門形に形成された前門形フレーム12と後門形フレーム13とから構成され、前門形フレーム12と後門形フレーム13は、その間に横摺動フレーム6を横方向に摺動可能に保持するように、門形形状に組み付けられる。さらに、前門形フレーム12と後門形フレーム13の両側の下端部が、脚支持部4と5の下部の前面と背面を挟むように配置され、その部分が枢軸14,15を介して脚支持部4と5の下部に軸支される。
【0026】
横摺動フレーム6は、前門形フレーム12と後門形フレーム13の水平部の間に摺動可能に配設され、その水平部内で横方向に良好に摺動するように、ガイド部材によりガイドされた状態で保持されている。そして、この横摺動フレーム6の両端部が連結軸61,62を介して両側の脚支持部4,5の上部に連結される。横摺動フレーム6の両端部には両側に開口した連結部が形成され、その連結部に長孔63,64が形成され、脚支持部4,5の上部に固定した連結軸61,62にその長孔63,64が嵌合して連結される。
【0027】
このように、横摺動フレーム6は、門形フレーム1の水平部内に摺動可能に保持され、横摺動フレーム6の両端部が連結軸61,62と長孔63,64を介して脚支持部4、5の上部に連結される。これにより、横摺動フレーム6の正面からみて左端を左側に突き出すように横摺動フレーム6を摺動させると、図9に示すように、脚支持部4,5は枢軸14,15を軸に左側に回動して傾斜し、横摺動フレーム6の正面からみて右端を右側に突き出すように摺動させると、図10に示すように、脚支持部4,5は枢軸14,15を軸に右側に回動して傾斜する。
【0028】
この横摺動フレーム6を門形フレーム1内で横方向に摺動させるために、移動操作機構として、図2、図8に示すように、後門形フレーム13上にねじ棒65が水平に軸受部68を介して回転可能に支持され、ねじ棒65の端部に連結棒66が連結され、連結棒66の端部にハンドル67が装着される。そして、ねじ棒65にめねじ孔を持つめねじ部69が螺合され、めねじ部69の一部が横摺動フレーム6に連結される。したがって、ハンドル67を回すと、連結棒66を介してねじ棒65が回転し、それに伴いめねじ部69が軸方向に移動し、横摺動フレーム6が門形フレーム1の水平部内で水平方向に摺動する。そして、横摺動フレーム6の移動によって、上記のように、脚支持部4,5と脚フレーム2,3は枢軸14,15を軸に傾動(回動)する。脚支持部4,5と脚フレーム2,3の傾斜方向は、ハンドル67の回転方向つまり横摺動フレーム6の移動方向によって決まることになる。
【0029】
上記構成の門形フレーム1の前門形フレーム12の正面側には、茶摘採機、剪枝機、台刈り機等の作業機器10が、回動軸16を介して回動可能に支持される。回動軸16は前門形フレーム12の前部に固定されたブラケット上に縦に取り付けられ、この回動軸16を介して左右両側に水平方向に回動可能に支持された作業機器10の支持フレームの端部には、固定具17が取り付けられ、回動した後に、この固定具17によってその自由端部を前門形フレーム12の垂直部に固定する。図1、図6は、この作業機器10が通常位置(前進走行で摘採などを行なう状態)にあるときを示し、これに対し、作業機器10をその回動軸16を支点に180度反転させると、図7のように、作業機器10の刃先なでは後方を向き、後進走行で摘採などを行なう状態となる。
【0030】
一方、クローラ走行部7,8を駆動するためのエンジン駆動の油圧ユニット(動力源)は横摺動フレーム6の上に固定される。このエンジン付きの油圧ユニット9は、エンジン、油圧ポンプ、オイルタンク、バルブなどを備え、重量が重くなるが、横摺動フレーム6の上に固定することにより、脚フレーム2,3及び脚支持部4,5を傾斜させたとき、重心を谷側ではなく、山側に移すことできる。
【0031】
すなわち、脚フレーム2,3及び脚支持部4,5を傾斜させる場合には、横摺動フレーム6を山側に摺動させて行なうが、重量の重い油圧ユニット9を横摺動フレーム6上に固定することにより、脚フレーム2,3及び脚支持部4,5の傾斜時に、谷側に移動しやすい重心位置を山側に移動させ、台車の重心が偏倚することを防止し、台車が傾斜地でも安定して走行可能にしている。
【0032】
また、脚フレーム2,3及び脚支持部4,5の傾斜時に、門形フレーム1の中央上に油圧ユニット9が搭載されていると、脚フレーム2,3はその上に搭載された運転操作部21,22が油圧ユニット9に当たり干渉する虞があるが、このように動力源の油圧ユニット9を横摺動フレーム6上に固定することにより、脚フレーム2,3などとの干渉を防止することができる。
【0033】
次に、上記構成の茶園管理台車の動作を説明する。この茶園管理台車は、図例では、作業機器10として摘採機を取り付けているが、摘採機の他に、剪枝機、台刈り機等を、回動軸16で支持された支持フレームに装着して、茶樹の台刈りや剪枝を行なうこともできる。また、この茶園管理台車は、平地の茶園で、摘採などの作業を行なうこともできるが、傾斜地の茶園において、傾斜面に形成された茶うねに沿って横方向(水平方向)に移動しながら茶葉の摘採などを行なうことができる。
【0034】
傾斜地で摘採などの作業を行なう場合、まず、図8のように、ハンドル67を回して、門形フレーム1に対しその上の横摺動フレーム6を横方向に移動させる。例えば、台車の正面に向かって左側に横摺動フレーム6を移動させると、その左端部が門形フレーム1の水平部から突き出すように動く。横摺動フレーム6の両端部は、連結軸61,62と長孔63,64を介して脚支持部4,5に連結されているから、それに伴い、図9のように、脚支持部4が門形フレーム1に対し枢軸14を支点に反時計方向に回動し、同様に、右側の脚支持部5が門形フレーム1に対し枢軸15を支点に反時計方向に回動し、両軸支持部4,5は門形フレーム1に対し傾斜した状態となり、その傾斜角度は横摺動フレーム6の移動長さによって決まる。したがって、両脚支持部4,5内に保持された両側の脚フレーム2,3とその下端のクローラ走行部7,8は脚支持部4,5の回動と共に回動し、図9のように、傾斜地の傾斜角度に応じて脚フレーム2,3及び脚支持部4,5が鉛直状態となるように調整し、設定することができる。
【0035】
同様に、正面に向かって右側に横摺動フレーム6を移動させると、その右端部が門形フレーム1の水平部から突き出すように動き、それに伴い、図10のように、脚支持部5が門形フレーム1に対し枢軸15を支点に反時計方向に回動し、同様に、左側の脚支持部4が門形フレーム1に対し枢軸14を支点に反時計方向に回動し、両軸支時部4,5は門形フレーム1に対し傾斜した状態となり、その傾斜角度は横摺動フレーム6の移動長さによって決まる。
【0036】
したがって、図10のように、両側の脚フレーム2,3とその下端のクローラ走行部7,8は、脚支持部4,5の回動と共に回動し、傾斜地の傾斜角度に応じて脚フレーム2,3及び脚支持部4,5が鉛直状態となるように調整し、設定することができる。また、このとき、上述のように重量の大きい油圧ユニット9は横摺動フレーム6と共に山側に移動するから、台車の重心が谷側に偏倚することを防止し、台車が傾斜地でも安定して走行可能とする。
【0037】
例えば、茶葉の摘採を行なう場合、図9、図10に示すように、管理台車は、茶うねTを跨ぐように配置されるが、その門形フレーム1の前門形フレーム12の前部に装着された茶摘採用の作業機器10の高さ位置を、茶うねTの高さに合わせるように調整する。
【0038】
作業機器10の高さを調整する場合、脚フレーム2,3に対する門形フレーム1の高さ位置を変えて行い、図6に示すように、脚フレーム2,3の側部に取り付けられたねじ棒回転部43,53のハンドル44,54を回して、調整する。ハンドル44を回すと、ねじ棒42が回転し、それに伴い、脚支持部4の側部に固定されためねじ部41が上下に移動し、脚フレーム2に対する脚支持部4の上下位置が変わる。
【0039】
同様に、ハンドル54を回すと、ねじ棒52が回転し、それに伴い、脚支持部5の側部に固定されためねじ部51が上下に移動し、脚フレーム3に対する脚支持部5の上下位置が変わる。これにより、両側の脚支持部4,5の上下位置が変わることによって、そこに枢軸14,15を介して連結支持された門形フレーム1が同様に上下動し、門形フレーム1の前門形フレーム12の前部に装着された作業機器10の高さ位置が、茶うねTの高さに合わせて調整される。
【0040】
そして、使用者は、図11に示すように、一方のクローラ走行部8の後部に設けたステップ83上に搭乗し、作業機器10の駆動部を駆動してその刃部を往復動させながら、脚フレーム3上に取り付けられた運転操作部31の操作レバー32を操作し、両側のクローラ走行部7,8のクローラ71,81を回転駆動させて、台車を茶うねTに沿って前進させる。台車は、クローラ71,81の回転により茶うねTの両側の通路を前進し、作業機器10として茶摘採機がその刃部を往復動させて茶葉を刈り取り摘採して行く。このとき、刈り取った茶葉は、作業機器10の後方に膨らんで装着された茶袋に収容されるが、その茶袋は作業機器10の後方に位置し、ステップ83の上に搭乗する使用者の直ぐ横に位置するため、使用者は茶袋の状態を常に近くで見ながら摘採作業を行なうことができ、また、茶袋が茶葉で一杯になった際、使用者は容易に茶袋を交換することができる。この実施形態で図示する作業機器10は、半条式の茶摘採機であるから茶うねTの一方の側(半分)を一回の走行で摘採していく。
【0041】
そして、茶うねTの末端まで走行し茶うねの半条を摘採した管理台車は、その末端で停止し、その後、図7に示すように、作業機器10をその回動軸16を支点に180度回動させ、茶うねTの残りの半条の上に刃部を位置させる。これで、作業機器10の刃部は台車の後方に向くことになる。そして、使用者は、図12のように、台車の一方のクローラ走行部8の後部ステップ83から他方のクローラ走行部7の前部(作業機器10が装着される側)のステップ73に乗り換え、台車の後方を向いてそのステップ73上に搭乗し、他方の脚フレーム2の上部に設けた運転操作部21の操作レバー22を持って操作しながら、台車を後進させる。これにより、台車は後進しながら、茶うねTの残りの半条分の茶葉を摘採しながら、元の位置まで戻るように移動する。このときも、使用者は、台車の進行方向を見ながら運転することができ、また、作業機器10の後方に膨らんで茶葉を収容した茶袋の状態を直ぐそばでみながら、摘採作業を行なうことができ、茶袋が茶葉で一杯になった際には、容易に茶袋を交換することができる。
【0042】
このように、半条刈りの作業機器10を装着した茶園管理台車であって、1本の茶うねTを台車の往復走行によりその半条づつを摘採或いは刈り取り作業を行なうが、茶うねTの末端まで走行したとき、作業機器10を180度反転させるのみで、台車を反転することなく、復路は台車の後進で走行するから、台車を反転させるために必要な枕地などが茶うねの末端にないような狭い茶園でも、使用することができる。
【0043】
また、台車に搭乗して運転する使用者は、台車の前進時と同様に後進時でも、進行方向を向いて運転操作することができるから、運転がしやすく、さらに、使用者が搭乗する位置は、摘採の場合、摘採機の後方に膨らんだ茶袋の直ぐ横に位置するため、使用者は常に茶袋の状態を見ながら作業を行なうことができ、茶袋が一杯になったときには、茶袋を容易に交換することができる。
【0044】
さらに、使用者が搭乗するステップ73,83は、クローラ走行部7,8の上部に水平に取り付けられるため、クローラ71,81が水平地を走行する状態で常に水平を保持するから、使用者は安全に安定して搭乗し操作することができる。また、ステップ73,83の位置が作業機器10が搭載される門形フレーム1や動力源の位置より低い位置にあるため、そこに搭乗する使用者は、仮に台車が転倒しそうな状態となっても、直ぐにステップから降りることができ、搭乗者への危険を回避することができる。
【0045】
また、構造的には、重量の大きいエンジンを含む油圧ユニット9が横摺動フレーム6上に固定され、傾斜地対応のために、脚フレーム2,3の傾斜角度を変える場合、油圧ユニット9が山側に移動して、台車の重心位置が谷側に偏倚することを防止し、これによって、傾斜地においても管理台車を安定して走行させることができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、管理台車に作業機器として茶摘採機を搭載したが、茶摘採機のほかに、刈ならし機、剪枝機、台刈り機等を搭載して、茶樹の刈ならしなどの作業を行うこともできる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明の茶園管理台車によれば、門形フレームの水平部に沿って横摺動フレームが、左右両側の脚支持部を連結して摺動可能に支持され、横摺動フレーム上にクローラ走行部を駆動するための動力源を取り付けて構成されるから、傾斜地に対応した脚フレーム及び脚支持部の傾斜調整時、横摺動フレームが山側に摺動して傾斜調整することになり、横摺動フレームに取り付けられた重量の重い動力源も山側に移動する。このため、脚フレーム及び脚支持部の傾斜時に、谷側に移動しやすい重心位置を山側に移動させることができ、これによって、台車の重心が谷側に偏倚することを防止し、茶園管理台車を傾斜地でも安定して走行可能させることができる。
【0048】
また、茶うねの半面を1回の移動によって処理する半条式の作業機器を使用し、その作業機器を門形フレームの前部に回動軸を介して左右反転可能に支持させた構造とすると共に、クローラ走行部の前部と後部上に搭乗用のステップを設け、一方の脚フレームの上部に、前進時に前方を向き後部のステップに搭乗して運転操作するための運転操作部を設け、他方の脚フレームの上部に、後進時に後方を向き前部のステップに搭乗して運転操作するための運転操作部を設けた構成とすれば、作業機器が茶摘採機の場合、ステップに搭乗した使用者は、前進・後進共に、茶袋の直ぐ横で茶摘採機の茶袋の状態を見ながら、台車の運転操作を行なって、良好に摘採作業などを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す茶園管理台車の正面図である。
【図2】同茶園管理台車の平面図である。
【図3】同茶園管理台車の背面図である。
【図4】同茶園管理台車の左側面図である。
【図5】同茶園管理台車の右側面図である。
【図6】門形フレーム1を上昇させた状態の正面図である。
【図7】作業機器を180度水平に反転させた状態の正面図である。
【図8】脚フレームを傾斜させる際の部分斜視図である。
【図9】傾斜地の茶うねに対応して脚フレームを傾斜させた状態の正面図である。
【図10】傾斜地の茶うねに対応して脚フレームを傾斜させた状態の正面図である。
【図11】前進走行させている状態の右側面図である。
【図12】後進走行させている状態の左側面図である。
【符号の説明】
1−門形フレーム
2、3−脚フレーム
4、5−脚支持部
6−横摺動フレーム
7,8−クローラ走行部
9−油圧ユニット
10−作業機器
14,15−枢軸
16−回動軸
21、31−運転操作部
22、32−操作レバー
73,83−ステップ

Claims (4)

  1. クローラにより走行する左右のクローラ走行部の上に脚フレームが立設され、該各脚フレームの外側に筒状の脚支持部が摺動可能に外嵌され、水平部の両側に垂直部を設けた形状の門形フレームが、該左右の脚支持部を連結し且つ枢軸を介して回動可能に配設され、該門形フレームに作業機器が取り付けられた茶園管理台車であって、
    前記門形フレームの水平部に沿って横摺動フレームが該左右両側の脚支持部を連結して摺動可能に支持され、該横摺動フレーム上に該クローラ走行部を駆動するための動力源が取り付けられ、該横摺動フレームの両端は、連結軸と長孔を介して前記左右の脚支持部に連結され、該横摺動フレームを該門形フレームの水平部に対し移動させて前記左右の脚フレーム及び脚支持部を門形フレームに対し枢軸を介して回動させるための移動操作機構が設けられたことを特徴とする茶園管理台車。
  2. 前記門形フレームには、前門形フレームと後門形フレームとが前記左右の脚支持部と前記横摺動フレームを挟むように相互に連結して配設され、該横摺動フレームは該前門形フレームと後門形フレームの間に摺動可能に支持されたことを特徴とする請求項1記載の茶園管理台車。
  3. 前記作業機器は、茶うねの半面を1回の移動によって処理する半条式の機器であって、前記門形フレームの前部に回動軸を介して左右反転可能に支持され、前記クローラ走行部の前部と後部上に搭乗用のステップが設けられ、前記一方の脚フレームの上部には、前進時に前方を向き該後部のステップに搭乗して運転操作するための運転操作部が設けられ、該他方の脚フレームの上部には、後進時に後方を向き該前部のステップに搭乗して運転操作するための運転操作部が設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の茶園管理台車。
  4. 前記クローラ走行部の先端に、鋭角先端カバーが装着されたことを特徴とする請求項記載の茶園管理台車。
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