JP3886029B2 - 溶接機およびその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、溶接電流や溶接電圧などをフィードバック制御することによって溶接対象に応じた適切な溶接を行えるようにした溶接機と、その制御方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
抵抗溶接機などの溶接機において、制御対象である溶接電流や溶接電圧などを目標値に一致させるためにフィードバック制御するものが公知である。
【0003】
例えば、直流をインバータを用いて高周波の交流にした後、溶接トランスの一次側に導き、この時に溶接トランスの二次側に誘起される交流低電圧を整流して溶接電極に導き溶接を行うインバータ方式の抵抗溶接機がある。この方式によれば、商用交流電源の周波数に比べて高い周波数の電流を溶接トランスに導くから、商用電源周波数の交流を溶接トランスに導く単相交流式抵抗溶接機に比べて溶接トランスを小型化できるという特徴がある。
【0004】
このようなインバータ式のものにおいて、溶接電極に流れる電流を検出してフィードバックし、この電流(実効値)が一定の目標値になるようにインバータを位相制御する定電流モードがある。この方式では、溶接電極に電流を流す時間が予めタイマーで設定した時間になるのを待って溶接を停止させる。また溶接電極に加わる電圧を検出してフィードバックし、この電圧が一定になるようにインバータを位相制御する定電圧モードもある。この方式も溶接時間はタイマーで設定する。
【0005】
さらに溶接電極の電流および電圧を同時に検出して、これらの積により電力を求めてフィードバックし、この電力が一定になるようにインバータを制御する定電力モードも知られている。
【0006】
フィードバック制御するものでは、入力と出力の関係である伝達係数Gをどのように設定するかが、制御系の性能(安定性、応答性など)に多く影響する。ここに伝達関数G(s)は、入力x(t)と出力y(t)のラプラス変換X(s)、Y(s)の比Y(s)/X(s)である。ここにs=d/dtである。
【0007】
この伝達関数G(s)による制御動作は次の4種類が知られている。比例動作(P動作、Proportional action)、比例+積分動作(P動作、Proportional+integral action)、比例+微分動作(PD動作、 Proportional Differential action )、比例+積分+微分(PID動作、Proportional+Integral+Differential action)の4種類である。
【0008】
図9は従来のPID動作の制御ブロック図であり、アナログ回路により構成したものである。この図において符号2は比例制御部であり、伝達関数Gc(s)は定数Kpとなる。すなわちGc(s)=Kpである。ここに比例定数Kpは(目標値−フィードバック入力値)の差分に対する比例ゲインである。
【0009】
符号4は積分制御部、6は微分制御部であり、 p =K I =K D とした場合にはこれらを図9のように組合せて加算部8で加算した時の伝達関数Gc(s)は、Gc(s)=Kp(1+1/(sTI)+sTD)となる。ここにTIは積分定数(積分時間)、TDは微分定数(微分時間)である。
【0010】
微分動作は、制御対象が遅れを持っている時に制御系の動特性の改善に効果がある。積分動作は定常状態における誤差を小さくする効果があるが、制御が遅くなる傾向を持つ。そこでこれらの動作を組合せて制御を速くし適切な制御特性をえるようにするのがPID動作である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この図9に示す従来のものは、アナログ回路で形成されるため、各定数(Kp、TI、TD)が予め設定されたものである。このため、溶接条件の変化に対してこれらの定数を変更することができないという問題がある。特にPID動作だけでなくP動作、PD動作、PI動作なども選択したいことがあるが、従来のものではこのような選択は不可能であった。
【0012】
また溶接機においては溶接対象によって溶接モードを変更できることが望ましい。そこで従来は制御回路の中に定電流制御回路、定電圧制御回路、定電力制御回路などを別々に設けていた。このため制御回路が複雑で大きくなるという問題もあった。
【0013】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、溶接モードの変更に対してフィードバック制御系の定数を容易に変更でき、PID動作やP、PD、PI動作などの選択も可能になり、また異なる溶接モードによる溶接に簡単に変更することができ、制御回路も極めて簡単にすることが可能になる溶接機の制御方法を提供することを第1の目的とする。またこの方法の実施に直接使用する溶接機を提供することを第2の目的とする。
【0014】
【発明の構成】
本発明によれば第1の目的は、定電流モード、定電圧モード、定電力モードのうちの2以上の溶接モードを含む複数の溶接モードを選択可能とし、選択した溶接モードに従って溶接電流および溶接電圧の少くとも一方を検出し、この検出値を目標値に一致させるように制御出力をフィードバック制御する溶接機の制御方法において、
前記目標値と検出値との差分に基づいて制御出力を求めるためのデジタル演算式として各溶接モードに対して共通な式である下記の差分式:
u(n)=u(n−2)+K0・e(n)+K1・e(n−1)+K2・e(n−2)
ただしK0=Kp+T・Ki/2+2Kd/T
K1=T・Ki−4Kd/T
K2=2Kd/T−Kp+Ki・T/2
P:比例定数
i:積分定数
d:微分定数
T:サンプリング周期
e(n):サンプリング周期nにおける誤差
e(n−1):その直前のサンプリング周期(n−1)における誤差
e(n−2):さらにその前のサンプリング周期(n−2)における誤差
u(n):サンプリング周期nにおける制御出力
u(n−2):この2サンプリング前の制御出力
を予め記憶すると共に、異なる複数の溶接モードに対して前記デジタル演算式で用いる定数の複数の組合せを予め記憶しておき、選択した溶接モードに対する定数のいずれかの組合せを溶接対象に応じて選択し読出して前記デジタル演算式によってデジタル演算を行い制御出力を求めることを特徴とする溶接機の制御方法、により達成される。
【0015】
ここで用いるデジタル演算式は、PID制御のアナログ一般式をラプラス変換することによって求め差分式であるが、この導出方法については後記する。定数は各溶接モードごとに複数の組合せをメモリしておけば、同じ溶接モードであっても溶接対象によって定数の組合せを変更でき、一層適切な溶接が可能になる。
【0016】
第2の目的は、定電流モード、定電圧モード、定電力モードのうちの2以上の溶接モードを含む複数の溶接モードを選択可能とし、選択した溶接モードに従って溶接電流および溶接電圧の少くとも一方を検出し、この検出値を目標値に一致させるように制御出力をフィードバック制御する溶接機において、
溶接電流および溶接電圧の検出部と、検出部の検出値と目標値の差分を求める減算器と、前記差分に基づいて制御出力を求めるために各溶接モードに対して共通に用いる下記の差分式u(n)からなるデジタル演算式の演算を行うデジタル信号処理部と、
u(n)=u(n−2)+K0・e(n)+K1・e(n−1)+K2・e(n−2)
ただしK0=Kp+T・Ki/2+2Kd/T
K1=T・Ki−4Kd/T
K2=2Kd/T−Kp+Ki・T/2
P:比例定数
i:積分定数
d:微分定数
T:サンプリング周期
e(n):サンプリング周期nにおける誤差
e(n−1):その直前のサンプリング周期(n−1)における誤差
e(n−2):さらにその前のサンプリング周期(n−2)における誤差
u(n):サンプリング周期nにおける制御出力
u(n−2):この2サンプリング前の制御出力
デジタル演算式の演算に用いる定数の複数の組合せと前記目標値とを各溶接モードに対して予め記憶するメモリ手段と、選択する溶接モードと目標値と定数の複数の組合せとを入力する入力手段と、選択された溶接モードに対する定数のいずれかの組合せ溶接対象に応じてメモリ手段から読出して前記デジタル信号処理部で実行した演算結果に基づいて制御出力を制御する出力制御手段と、
を備えることを特徴とする溶接機、により達成される。
【0017】
ここに出力制御回路はPWM(Pulse Width Modulation)回路とするのがよく、減算器はデジタル信号処理部にその機能を持たせることができる。全体の動作を管理するためのCPUを設けて、このCPUに減算器の機能を持たせてもよい。また定電力モードでは溶接電流と溶接電圧とを積算することによって溶接電力を求めるので、この積算器の機能もデジタル信号処理部やCPUに持たせることができる。
【0018】
【実施態様】
図1は本発明の一実施態様である抵抗溶接機の全体外観図、図2はその全体回路構成の概念図、図3は主として制御装置の内部構造を示す図、図4は制御装置の動作流れ図、図5はデジタル信号処理部の制御機能を示すブロック図、図6はその信号の時間的な流れを示す図、図7は定数を記憶するメモリテーブルの内容を示す図、図8は定数の変化による出力波形の変化を示す図、である。
【0019】
図1において符号10はコントローラ、12は溶接トランスケース、14は溶接ヘッドである。コントローラ10は電源スイッチ16、モード選択スイッチ18、表示パネル20を持つ。溶接ヘッド14は、上下動可能な上のクランプ部22aと、所定高さに固定された下のクランプ部22bを持ち、これらのクランプ部22a、22bにそれぞれ溶接電極24a、24bが固定されている。
【0020】
各電極24a、24bはウェルドケーブル26によって溶接トランスケース12に収容された溶接トランス60(図2)の二次側に整流器62(図2、3)を介して接続されている。この溶接トランス60の一次側はパワーケーブル28によってコントローラ10に接続されている。
【0021】
溶接ヘッド14の可動クランプ部22aは、ばね(図示せず)を介してエアシリンダ(共に図示せず)により上下に駆動される。また両電極24a、24bの間にはワークの溶接部(図示せず)が置かれる。
【0022】
足踏みスイッチ(図示せず)から送られるオン信号はアクチュエータケーブル30を介してコントローラ10に送られ、この信号(押圧信号)によってエアシリンダは作動する。そして電極24a、24bの溶接部に対する押圧力が一定値になるとリミットスイッチ(図示せず)がオンとなり、このオン信号がアクチュエータケーブル30を介してコントローラ10に送られる。コントローラ10はこのオン信号に基づいて溶接動作を開始させる。すなわちこのオン信号がスタート信号となる。
【0023】
図1で32はウェルドセンスケーブルであり、溶接トランス60の二次側電流を示す信号をコントローラ10に導く。この信号は後記するように電流検出器76(図2参照)で検出した電流値を示す信号である。34は電圧検出用ケーブルであり、クランプ部22a、22bに接続されている。このケーブル34は電極24a、24b間の電圧を検出してコントローラ10に導く。
【0024】
次にコントローラ10の主回路を図2に基づいて説明する。これらの図で、50は交流200Vの商用3相交流電源である。この電源50から3つの相がそれぞれスタートスイッチ52を介して整流回路54に導かれる。この整流回路54は、スイッチング素子としてSCRを用いた3相全波混合ブリッジで構成される。56はこの整流回路54の出力端間に並列接続されたコンデンサである。
【0025】
58はインバータであり、4個のNPNトランジスタからなるブリッジで構成される。このインバータ58はコンデンサ56の充電電圧を交流に変換して、溶接トランス60の一次側に供給する。この溶接トランス60の二次側出力は整流器(ダイオード)62、62で全波整流されて溶接電極24a、24bに導かれる。
【0026】
次に制御装置68を図2に基づいて説明する。制御装置68は、インバータ58をPWM(Pulse Width Modulation)方式によって位相制御する。なおこの制御装置68は、3種の異なる制御方式を選択可能である。図2ではこれらの制御方式を実行する回路を別々に分けて示しているが、実際には後記するようにデジタル信号処理部88やCPU104などを持つデジタルコンピュータで形成される。
【0027】
70は定電流制御部、72は定電圧制御部、74は定電力制御部である。溶接モードは、前記コントローラ10に設けたモード選択スイッチ18(図1)によって選択できるようにしてもよいし、後記するようにキーボードなどの入力手段94で入力してもよい。
【0028】
定電流モードは、前記トランスケース12に設けた電流検出器76の出力から電流検出部78で溶接電流を求め、この溶接電流を一定値に保つようにインバータ58を位相制御する。定電圧モードは、前記電圧検出用ケーブル34で導かれた信号に基づいて電圧検出部80で溶接電圧を求め、この電圧を一定値に保つようにインバータ58を位相制御する。定電力モードは、電流検出部78および電圧検出部80の出力を電力検出部82で積算することにより溶接電力を求め、この電力が一定になるようにインバータ58を位相制御する。なお各方式の設定値や定数などの溶接条件は定数入力部84により設定される。定数入力部84は後記するようにキーボードなどの入力手段94であってもよい。
【0029】
制御装置68は図3に示すように、デジタルコンピュータなどを含む。この図3において、86はバスであり、デジタル信号はこのバス86を介して各部との間で送受される。88はデジタル信号処理部(Digital Signal Processor、DSP)であり、後記するように図5、6に示すデジタル演算処理を高速で行う専用のコンピュータである。このDSP88には後記する減算器88Aの機能を持たせておく。90は後記する図7に示す定数や目標値などを記憶するメモリ手段である。
【0030】
92(92a、92b、92c)はアナログ・デジタル(A/D)変換器であり、前記電流検出部78、電圧検出部80、電力検出部82のアナログ出力をデジタル信号に変換し、バス86を通して各部に送出する。94はキーボードなどの入力手段であり、インターフェース96を介してバス86に接続される。この入力手段94はメモリ手段90に記憶する定数や目標値、その他の設定値を入力するために用いられると共に、後記するCPU104に対する指令信号を入力するためなどに用いられる。従って前記図2に示したモード選択スイッチ18や定数入力部84はこの入力手段94で構成することができる。
【0031】
98は出力制御部としてのPWM制御部であり、DSPによる演算結果に基づいて制御出力を制御する。すなわちインバータ58を位相制御する。100は液晶板(LCD)などの表示手段であり、インターフェース102を介してバス86に接続される。この表示手段100には、溶接モードの選択画面や、目標値の設定画面や、定数などの設定画面などが表示される。この表示手段100は図1に示した表示パネル20であってもよいし、別に設けてもよい。104はCPU(中央演算器)であり、バス86に接続されて各部の制御を行う。なおこのCPU104の動作プログラムなどは前記メモリ手段90に記憶させておいたり、他のメモリに記憶させておく。
【0032】
DSP88は図に示す演算を行う。この演算は前記した差分式u(n)の演算である。一般にPID動作による制御出力u(t)は、目標値に対する制御対象量の誤差(エラー量、すなわち差分e(t))に比例する量Kpe(t)と、積分量KI∫e(t)dtと、微分量Kd・de/dtとの和で示すことができる。すなわち、
u(t)=Kp・e(t)+Ki∫e(t)dt+Kd・de/dt
ただしe(t):制御入力(エラー量、差分)
u(t):制御出力
p :比例定数
i :積分定数
d :微分定数
【0033】
この式をラプラス変換し、双一次変換により離散系へ変換すれば、次に示す差分式u(n)に置き換えることができる。
u(n)=u(n−2)+K0・e(n)+K1・e(n−1)+K2・e(n−2)
u(n):出力
e(n):入力
K0、K1、K2は以下の式による。
K0=Kp+T・Ki/2+2Kd/T
K1=T・Ki−4Kd/T
K2=2Kd/T−Kp+Ki・T/2
p:比例定数
i:積分定数
d:微分定数
T:サンプリング周期。
【0034】
この差分式の演算は専用のデジタル信号処理素子(DSP)で行うことができが、図5に示す機能を持つデジタル回路により行うこともできる。図6はこのデジタル回路でシグナルの時間的流れを示している。
【0035】
図5で110は減算器であり、制御出力であるフィードバック出力と設定目標値との誤差(エラー量、差分)e(t)を求める。或るサンプリング周期nにおける誤差e(n)を遅延回路112に、その直前のサンプリング周期(n−1)における誤差e(n−1)を遅延回路114に、さらにその前のサンプリング周期(n−2)における誤差e(n−2)を遅延回路116にそれぞれ記憶する。これらの遅延回路112、114、116の内容を次のサンプリング周期(n+1)の間でシリアル/パラレル変換器118に並列入力すると、この変換器118はこれら遅延回路112、114、116の内容を直列にして順に乗算器120に出力する。
【0036】
乗算器120は、順に入力される誤差e(n)、e(n−1)、e(n−2)にそれぞれ所定の定数K0、K1、K2を乗算して、順に加算器122に送る。ここに用いる定数K0、K1、K2は前記メモリ手段90の一部であるPIDテーブル90A(図7)に予め記憶しておく。従って加算器122には、K0・e(n)、K1・e(n−1)、K3・e(n−2)が順に直列に(シリアルに)入力される。加算器122はこれらを加算する。なおこの時の出力u(n)の2サンプリング周期前の出力u(n−2)は遅延回路124に記憶され、その内容u(n−2)が前記加算器122で加算され、前記差分式u(n)の演算結果が求められる。
【0037】
以上の演算を行う際の信号の時間的流れは図6に示す。この図でZ-1は単位遅延回路である。すなわち入力e(n)は定数K0と乗算されて加算器122Aに入力される一方、単位サンプリング周期前の入力e(n−1)および2単位サンプリング周期前の入力e(n−2)に定数K1、K2がそれぞれ乗算されて、加算器122Bに入力され、ここでこれらが加算される。この加算値K1・e(n−1)+K2・e(n−2)は加算器122Aに送られ、ここでK0・e(n)に加算される。
【0038】
またこの加算器122Aの出力は2つの単位遅延回路124A、124Bで2単位サンプリング周期遅延され、加算器122Cで前記加算器122Aの加算値に加算される。この結果出力u(n)が求められる。このようにして求めた制御出力u(n)は、PWM制御部98に送られ、インバータ58を位相制御する。。
【0039】
次に図4に基づいて、全体の制御動作を説明する。まずオペレータは入力手段94から溶接モードを指定する(図4、ステップS200)。CPU104は、この指定された溶接モードに基づいて電流、電圧、電力のいずれかを読込み可能な状態にする。CPU104は定電流モードの時には一定電流値である設定目標値をメモリ手段90から読出す。同様に定電圧、定電力モードなら、一定電圧値、一定電力値を設定目標値として読出す(ステップS202)。またオペレータは、図7に示すPIDテーブル90Aから、溶接対象に適した定数の組合せを設定し、入力手段94から設定する(ステップS204)。
【0040】
CPU104は、これらの条件を基にしてDSP88に前記した差分式u(n)の演算を行わせる。すなわちDSP88ではまず誤差(差分)e(n)を求め(ステップS206)。この誤差e(n)から制御出力u(n)を求める(ステップS208)。CPU104は、その結果をPWM制御部98に送る(ステップS210)。PWM制御部98はこの演算結果に基づいて位相制御信号をインバータ58に送り、溶接電流などを制御するものである(ステップS212)。すなわち溶接トランス60の1次電流などを制御する(ステップS214)。
【0041】
図8は、この実施態様においてPID定数を変化させた時の出力波形の変化を求めたものである。図8(1)はPID定数が大きい場合であり、微分動作の影響が大きい。図8(2)はPID定数が小さめの場合であり、積分動作の影響が大きい。図8(3)はPID定数が小さすぎる場合であり目標値まで到達できない状態を示す。
【0042】
図7に示すPID定数のテーブル90Aにおいては、定数K0、K1、K2の組合せを3つの制御モードに対してそれぞれ9種類(テーブル番号1〜9)用意している。これら定数K0、K1、K2は前記したように、比例定数Kp、積分定数(積分時間)Ki、微分定数(微分時間)Kdを含む。従って定数Kiを0にすればPD動作が、定数Kdを0にすればPI動作が、これら定数Ki、Kdを共に0にすればP動作が得られる。このように一部の定数Ki、Kdを0にした組合せをテーブルに記憶しておけば、PID動作以外の動作も選択可能になる。
【0043】
前記の実施態様では、誤差(差分)e(n)を求める減算器88AをDSP88に設けたが、CPU104にこの減算器88Aの動作を行わせてもよい。また電力検出部82はCPU104において電流と電圧を積算して求めてもよい。この発明は抵抗溶接機以外の溶接機であっても、溶接電流や電圧などを制御できるものであれば適用可能である。
【0044】
【発明の効果】
請求項の発明によれば、定数や目標値などの組合せを変えることにより、溶接対象に対応して制御系の定数を容易に変えることができ、PID、P、PD、PI動作などの選択が可能であり、溶接モードの変更も簡単に行うことができる。すなわち異なる溶接モードごとに異なる制御回路を備える必要が無いので制御回路の構成が簡単になる。
【0045】
請求項2〜4の発明によれば、この方法の実施に直接使用する溶接機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施態様である抵抗溶接機の全体外観図
【図2】 その全体回路構成の概念図
【図3】 主として制御装置の内部構造を示す図
【図4】 制御装置の動作流れ図
【図5】 デジタル信号処理部の制御機能を示すブロック図
【図6】 その信号の時間的な流れを示す図
【図7】 定数を記憶するメモリテーブルの内容を示す図
【図8】 定数の変化による出力波形の変化を示す図
【図9】 従来のPID制御のブロック図
【符号の説明】
10 コントローラ
14 溶接ヘッド
58 インバータ
68 制御回路
88 デジタル信号処理部(DSP)
90 メモリ手段
94 入力手段(キーボード)
98 PWM制御部(出力制御部)
100 表示手段
108 CPU

Claims (4)

  1. 定電流モード、定電圧モード、定電力モードのうちの2以上の溶接モードを含む複数の溶接モードを選択可能とし、選択した溶接モードに従って溶接電流および溶接電圧の少くとも一方を検出し、この検出値を目標値に一致させるように制御出力をフィードバック制御する溶接機の制御方法において、
    前記目標値と検出値との差分に基づいて制御出力を求めるためのデジタル演算式として各溶接モードに対して共通な式である下記の差分式:
    u(n)=u(n−2)+K0・e(n)+K1・e(n−1)+K2・e(n−2)
    ただしK0=Kp+T・Ki/2+2Kd/T
    K1=T・Ki−4Kd/T
    K2=2Kd/T−Kp+Ki・T/2
    P:比例定数
    i:積分定数
    d:微分定数
    T:サンプリング周期
    e(n):サンプリング周期nにおける誤差
    e(n−1):その直前のサンプリング周期(n−1)における誤差
    e(n−2):さらにその前のサンプリング周期(n−2)における誤差
    u(n):サンプリング周期nにおける制御出力
    u(n−2):この2サンプリング前の制御出力
    を予め記憶すると共に、異なる複数の溶接モードに対して前記デジタル演算式で用いる定数の複数の組合せを予め記憶しておき、選択した溶接モードに対する定数のいずれかの組合せを溶接対象に応じて選択し読出して前記デジタル演算式によってデジタル演算を行い制御出力を求めることを特徴とする溶接機の制御方法。
  2. 定電流モード、定電圧モード、定電力モードのうちの2以上の溶接モードを含む複数の溶接モードを選択可能とし、選択した溶接モードに従って溶接電流および溶接電圧の少くとも一方を検出し、この検出値を目標値に一致させるように制御出力をフィードバック制御する溶接機において、
    溶接電流および溶接電圧の検出部と、検出部の検出値と目標値の差分を求める減算器と、前記差分に基づいて制御出力を求めるために各溶接モードに対して共通に用いる下記の差分式u(n)からなるデジタル演算式の演算を行うデジタル信号処理部と、
    u(n)=u(n−2)+K0・e(n)+K1・e(n−1)+K2・e(n−2)
    ただしK0=Kp+T・Ki/2+2Kd/T
    K1=T・Ki−4Kd/T
    K2=2Kd/T−Kp+Ki・T/2
    P:比例定数
    i:積分定数
    d:微分定数
    T:サンプリング周期
    e(n):サンプリング周期nにおける誤差
    e(n−1):その直前のサンプリング周期(n−1)における誤差
    e(n−2):さらにその前のサンプリング周期(n−2)における誤差
    u(n):サンプリング周期nにおける制御出力
    u(n−2):この2サンプリング前の制御出力
    デジタル演算式の演算に用いる定数の複数の組合せと前記目標値とを各溶接モードに対して予め記憶するメモリ手段と、選択する溶接モードと目標値と定数の複数の組合せとを入力する入力手段と、選択された溶接モードに対する定数のいずれかの組合せ溶接対象に応じてメモリ手段から読出して前記デジタル信号処理部で実行した演算結果に基づいて制御出力を制御する出力制御手段と、
    を備えることを特徴とする溶接機。
  3. 出力制御手段はPWM回路である請求項の溶接機。
  4. 減算器はデジタル信号処理部が持つ1つの機能で構成される請求項またはの溶接機。
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