JP3885700B2 - 液面検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器に貯蔵される液体の液面位置を検出する液面検出装置に関するものであり、たとえば自動車に装備される容器である燃料タンクの内部に取り付けられて燃料の液面を検出する用途に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来の液面検出装置として、超音波レベル検出装置がある。この超音波レベル検出装置は、超音波が伝播可能な振動部材である金属棒状体の任意の位置に圧電素子を固着し、この圧電素子にパルス状の信号を印加して、印加後の予め決められた固定時間内に検出された信号の位相を検出し、金属棒状体が浸漬する液体のレベルを検出するものである。(たとえば、特許文献1参照。)
上述の超音波レベル検出装置は、液面の変動に対応して回転する浮子(いわゆるフロート)を用いてその回転角度を検出する方式に比べて、運動部分が無いため信頼性を向上させることができる。
【0003】
【特許文献1】
特許第3026105号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液体の温度や圧力が変化すると、それにともない振動部材内における超音波の伝播速度が変化するため、液面位置検出を高い精度で行うことが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みなされたものであり、その目的は、液体の温度や圧力が変化しても、常に高い精度で液面位置を検出可能な液面検出装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0009】
本発明の請求項に記載の液面検出装置では、振動部材と、振動部材の両端部にそれぞれ固定される圧電素子と、振動部材に形成され振動を伝播可能な2つの振動伝播経路とを備え、2つの振動伝播経路は、振動の主たる振動伝播方向が互いに略直交するように形成され、一方の圧電素子はパルス状入力信号が印加されると振動し、この振動が2つの振動伝播経路を介して他方の圧電素子へ伝播し、この振動が伝播される他方の圧電素子は振動を検出して検出信号を外部へ出力し、入力信号および検出信号に基づき振動部材が浸漬される液体の液面位置を検出する振動式液面検出器と、液体が貯蔵される容器とを備え、容器内部に取り付けられる振動式液面検出器により容器内の液体の液面位置を検出する液面検出装置であって、振動式液面検出器は、一方の振動伝播経路の振動伝播方向が液体の液面と平行であり且つ他方の振動伝播経路の振動伝播方向が液体の液面に略垂直であるように容器に取り付けられる構成としている。これにより、一方の振動伝播経路はその全長に亘り常に液体中に浸漬され、他方の振動伝播経路は液体の液面の変化に連動して振動部材の液体に浸漬される部分の長さが変化することになる。すなわち、圧電素子の一方にパルス信号が印加され起振されると、その振動が一方の振動伝播経路を経て圧電素子の他方により検出されるまでの時間は液体の液面が変化しても変わらない。それに対して、圧電素子の一方の振動が他方の振動伝播経路を経て圧電素子の他方により検出されるまでの時間は液体の液面が変化に連動して変化する。しかし、上述の両伝播時間の比率は、液体の温度や圧力が変化しても変わらない。したがって、上述の2種類の検出信号に基づき液面位置を算出することにより、液体の温度や圧力の変化に関わらず、常に高い精度で液面位置を検出できる。
【0010】
本発明の請求項に記載の液面検出装置では、一方の振動伝播経路は容器の底面近傍に配置される構成としている。これにより、容器内の液面位置が低くなった場合、つまり容器内の液体量が少ない場合においても、振動式液面検出器の一方の振動伝播経路はその全長に亘り確実に液体中に浸漬されるので、高い精度で液面位置を検出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態による液面検出装置を、自動車の燃料タンク内の燃料液面位置を検出するための燃料液面検出装置1に適用した場合を例に図に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態による燃料液面検出装置1における、容器である燃料タンク2への振動式液面検出器である燃料液面センサ3の取り付け部分を示す部分断面図であり、図2中のI−I線断面図である。図2は、図1中のII矢視図である。図1の上下方向が自動車の上下方向であり、図1の上方が自動車の上方である。なお、各図において、同一構成部分には同一符号を付してある。
【0013】
燃料液面検出装置1は、大きくは、燃料タンク2、燃料タンク2の内側の底面に取り付けられた燃料液面センサ3から構成され、液体である燃料4の液面41を検出するものである。
【0014】
以下に、燃料液面検出装置1の構成について説明する。
【0015】
振動式液面検出器である燃料液面センサ3は、図1に示すように、振動部材である振動板31、振動板31の両端部それぞれに固定される圧電素子32、振動板31の両端部を保持する防振材33から構成されている。
【0016】
振動板31は、自体の振動を効率良く伝播可能な材質、たとえば、金属材料であるステンレス鋼からなり、図1に示すように、一枚のステンレス鋼製帯板をその両端を揃えるように折り曲げて形成されている。また、振動板31の両端部には、図1に示すように、後述する圧電素子32がそれぞれ固定されている。さらに、振動板31の両圧電素子32、32間には、図1および図2に示すように、振動を伝播可能な2つの振動伝播経路として測定経路31aおよび基準経路31bがそれぞれ形成されている。また、測定経路31aと基準経路31bとは、互いの延出方向が異なり、図1に示すように、測定経路31aの延出方向と基準経路31bの延出方向とは、90度の角度を成している。そして、燃料液面センサ3が燃料タンク2の底面2aに取り付けられると、振動伝播経路の一方である基準経路31bは燃料4の液面41と平行な位置関係となり且つ振動伝播経路の他方であるの測定経路31aは液面41と直行する位置関係となっている。このため、振動板31の測定経路31aは、液面41の位置変化に連動して測定経路31aの燃料4に浸漬される部分の長さが変化するが、基準経路31bは、常に、その全体が燃料4に浸漬されることになる。
【0017】
振動板31の両端部には、図1に示すように、圧電素子32が固定されている。各圧電素子32は、ピエゾ効果を有する物質、たとえばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)から形成されている。また、圧電素子32は、振動板31を確実に振動させることができるように、あるいは振動板31の振動を確実に検出できるように、たとえば接着等により振動板31に強固に固定されている。圧電素子32からは、両者を外部に接続するためのリード線(図示せず)が引き出されている。
また、振動板31は、図1に示すようにその両端部において防振材33に保持されている。
【0018】
防振材33は、適度な柔軟性を有する材質、たとえばゴム、樹脂等から形成されている。
【0019】
ここで、圧電素子32が作動して生じる振動板31の振動が振動板31以外、たとえば燃料タンク2に伝達すると、測定経路31aおよび基準経路31bを伝播する振動レベル(振動エネルギ)が小さくなり圧電素子32による検出信号レベル(信号電圧)が低下する、あるいは、測定経路31aおよび基準経路31b以外を経由して伝播される振動による検出信号が発生する等して、高い精度による液面41位置の検出が困難となる。
【0020】
振動板31を防振材33により保持することで上述の不具合を抑制して、高い精度による液面41位置の検出が可能となる。
【0021】
以上説明したように構成される燃料液面センサ3は、図1に示すように、燃料タンク2の底面2aに形成されるボス部21に、ワッシャ6を介してボルト5を締付けて固定されている。
【0022】
燃料タンク2は、樹脂材料で形成され、図1に示すように、底面2aには、燃料液面センサ3固定用のボス部21が燃料タンク2と一体成形により形成されている。
【0023】
次に、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1における燃料液面センサ3の液面検出原理、作動について説明する。
【0024】
圧電素子32は、パルス状の電気信号を印加されると体積が変化する、すなわち振動する。本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、圧電素子32の一方は、図1において左右方向に振動して、振動板31がその長さ方向と直角方向に振動するように起振され横波(振動方向と進行方向が垂直の波)として振動板31を圧電素子32の他方に向かって伝播する。この横波の伝播速度は、下記の数式1で表される。
【0025】
【数1】
V∝√EI/(ρ1+ρ2)
数式1中において、Vは横波の伝播速度、Eは振動板31のヤング率、Iは振動板31の断面2次モーメント、ρ1は振動板31の密度、ρ2は振動板31周囲の流体の密度である。ρ2は、振動板31が燃料4に浸っている場合は燃料4の密度であり、振動板31が燃料4から露出している場合は空気の密度である。
【0026】
燃料4の密度は、空気の密度よりはるかに大きいので、数式1から明らかなように、振動板31が燃料4に浸っている場合と、振動板31が燃料4から露出している、つまり空気中にある場合とでは、振動板31における振動の伝播速度が異なる。すなわち、振動板31では、その燃料4に浸っている部分における振動伝播速度は、その燃料4から露出して空気中にある部分における振動伝播速度よりも小さくなる。したがって、圧電素子32の一方へパルス状の電気信号を印加してから圧電素子32の他方から発せられる振動検出信号を受信するまでの時間、すなわち振動の伝播時間は、振動板31全体が燃料4に浸漬されている状態、つまり満タン状態のときに最大値となり、燃料4がエンジン(図示せず)により消費されて液面41が低下、すなわち振動板31の空気中への露出部分長さが増加するに連れて伝播時間は減少する。振動板31全体が空気中へ露出した状態のときに最小値となる。
【0027】
したがって、圧電素子32の一方へパルス状の電気信号を印加してから圧電素子32の他方から発せられる振動検出信号を受信するまでの時間(以降、振動伝播時間Tと書く)を計測することにより、容易に液面41位置を検出することができる。
【0028】
ところで、燃料タンク2内の燃料4の温度は、外気温度の影響を受けて変化するのみならず、自動車作動中において、エンジンからの高温のリターン燃料により変化する。このため、燃料タンク2内においては、燃料4の温度および圧力が変化すると、数式1中におけるρ1、ρ2が変化する。すなわち、振動板31中の振動伝播速度Vが変化するので、振動伝播時間Tが変動する。
【0029】
従来の燃料液面センサにおいては、振動板は1つの振動伝播経路、すなわち燃料4の液面41に略直交するように配置される振動伝播経路のみを備えるため、自動車作動中において燃料4の温度および圧力が変動すると、液面41位置が同一であっても振動伝播時間Tが変動し高い精度での検出が困難であった。
【0030】
一方、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1の燃料液面センサ3においては、振動板31は2つの振動伝播経路、すなわち燃料4の液面41に略直交するように配置される測定経路31aと液面41に平行に配置される基準経路31bとを備えている。測定経路31aにおける振動伝播時間をTa、基準経路31bにおける振動伝播時間をTbとすると、両者の値は燃料4温度および圧力の変化に応じて変動するが、両者の比、つまりTa/Tbは燃料4温度および圧力が変化しても一定である。
【0031】
このように、2種類の検出信号、つまりTa、Tbに基づき液面41位置を算出することにより、燃料4の温度や圧力の変化に関わらず、常に高い精度で液面41位置を検出することができる。
【0032】
次に、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1における電気回路構成について、図3に基づいて説明する。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1における電気回路構成を説明する構成図である。なお、図3においては、分かり易さのために、燃料液面センサ3は機能上の要部(振動板31、測定経路31a、基準経路31b、圧電素子32)のみ示している。
【0034】
図3に示すように、イグニッションスイッチ30がONされると、バッテリ40から電力が制御装置10へ供給される。
【0035】
制御装置10は、燃料液面検出装置1の圧電素子32の一方へパルス状の電気信号を印加すると共に、圧電素子32の他方から発せられる振動検出信号を受信する。そして、圧電素子32の一方へパルス状の電気信号を印加してから圧電素子32の他方から発せられる振動検出信号を受信するまでの時間、すなわち振動伝播時間TaおよびTbを計測して、それに基づいて燃料タンク2内の燃料4の液面41を算出する。
【0036】
さらに制御部10は、算出した液面41に基づいて、自動車の運転席に設置されるコンビネーションメータ20内の燃料計21を駆動するための駆動信号を出力する。この駆動信号により燃料計21のムーブメント(図示せず)が指針22を回動させて、燃料4の液面41位置が表示される。
【0037】
以上説明した、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、振動板31と、振動板31の両端部にそれぞれ固定される圧電素子32と、振動板31に形成され振動を伝播可能な2つの振動伝播経路である測定経路31aおよび基準経路31bとを備え、測定経路31aおよび基準経路31bは、振動の主たる振動伝播方向が互いに略直交するように形成され、圧電素子32の一方はパルス状入力信号が印加されると振動し、この振動が測定経路31aおよび基準経路31bを経由して圧電素子32の他方へ伝播し、圧電素子の他方はこの振動を検出して検出信号を外部へ出力し、入力信号および検出信号に基づき振動板31が浸漬される燃料4の液面41位置を検出する燃料液面センサ3を、燃料4が貯蔵される燃料タンク2内部に取り付けてなる燃料液面検出装置1であって、燃料液面センサ3は、基準経路31bの振動伝播方向が燃料4の液面41と平行であり且つ測定経路31aの振動伝播方向が燃料4の液面41に垂直であるように燃料タンク2に取り付けられる構成としている。つまり、振動板31の測定経路31aは、液面41の位置変化に連動して測定経路31aの燃料4に浸漬される部分の長さが変化するが、基準経路31bは、常に、その全体が燃料4に浸漬されることになる。したがって、燃料液面センサ3の出力である2種類の検出信号、すなわち測定経路31aを経由する振動の検出信号および基準経路31bを経由する振動の検出信号に基づき液面41位置を算出することにより、燃料4の温度や圧力が変動した場合においても、常に高い精度で燃料タンク2内の液面41位置を検出することができる。
【0038】
なお、以上説明した、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、測定経路31aを燃料4の液面41と直交するように配置しているが、燃料液面センサ3が取り付けられる燃料タンク2形状によっては、ある程度傾斜させて配置してもよい。一方、基準経路31bは、燃料タンク2内燃料4量の多少に拘わらず良好な液面41位置検出精度を得るために、常に燃料4中に浸漬される必要があり、液面41と平行な位置関係を維持し且つできるだけ燃料タンク2の底面2a近くに配置されることが望ましい。
【0039】
また、以上説明した、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、燃料液面センサ3を燃料タンク2の底面2aに取り付けているが、取り付け位置を燃料タンク2の底面に限る必要はなく側面あるいは上面であってもよい。その場合も、燃料タンク2と測定経路31aおよび基準経路31bとの位置関係を上述したように設定すれば、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1と同様の効果が得られる。
【0040】
また、以上説明した、本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1においては、燃料タンク2の材質を樹脂としているが、他の材質、たとえば鋼板で形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1の部分断面図であり、図2中のI−I線断面図である。
【図2】図1中のII矢視図である。
【図3】本発明の一実施形態による燃料液面検出装置1の電気回路構成を説明する構成図である。
【符号の説明】
1 燃料液面検出装置(液面検出装置)
2 燃料タンク(容器)
2a 底面
21 ボス部
3 燃料液面センサ(振動式液面検出器)
31 振動板(振動部材)
31a 測定経路(一方の振動伝播経路)
31b 基準経路(他方の振動伝播経路)
32 圧電素子
33 防振材
4 燃料(液体)
41 液面
5 ボルト
6 ワッシャ
10 制御装置
20 コンビネーションメータ
21 燃料計
22 指針
30 イグニッションスイッチ
40 バッテリ
E ヤング率
I 断面2次モーメント
V 伝播速度
T、Ta、Tb 振動伝播時間
ρ1、ρ2 密度

Claims (2)

  1. 振動部材と、
    前記振動部材の両端部にそれぞれ固定される圧電素子と、
    前記振動部材に形成され振動を伝播可能な2つの振動伝播経路とを備え、
    前記2つの振動伝播経路は、前記振動の主たる振動伝播方向が互いに略直交するように形成され、
    一方の前記圧電素子はパルス状入力信号が印加されると振動し、この振動が前記2つの振動伝播経路を介して他方の前記圧電素子へ伝播し、この振動が伝播される他方の前記圧電素子は前記振動を検出して検出信号を外部へ出力し、
    前記入力信号および前記検出信号に基づき前記振動部材が浸漬される液体の液面位置を検出する振動式液面検出器と、
    液体が貯蔵される容器とを備え、
    前記容器内部に取り付けられる前記振動式液面検出器により前記容器内の前記液体の液面位置を検出する液面検出装置であって、
    前記振動式液面検出器は、一方の前記振動伝播経路の振動伝播方向が前記液体の液面と平行であり且つ他方の前記振動伝播経路の振動伝播方向が前記液体の液面に略垂直であるように前記容器に取り付けられることを特徴とする液面検出装置。
  2. 前記一方の前記振動伝播経路は前記容器の底面近傍に配置されることを特徴とする請求項1に記載の液面検出装置
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