JP3885339B2 - 排気ガス浄化用触媒、その製造方法及びその使用方法 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒、その製造方法及びその使用方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、ボイラー等の内燃機関から排出される排気ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NOx)を浄化する排気ガス浄化用触媒、その製造方法及びその使用方法に関し、特に酸素過剰雰囲気下でのNOxの浄化性能に優れる排気ガス浄化用触媒、その製造方法及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油資源の枯渇問題および地球温暖化問題の関点から、低燃費自動車の実現が期待されており、特にガソリン自動車に対しては希薄燃焼自動車の開発が注目されている。希薄燃焼自動車においては、希薄燃焼走行時の排気ガス雰囲気は、理論空燃状態(以下、「ストイキ状態」と称す)に比べて酸素過剰雰囲気(以下、「リーン雰囲気」と称す)となる。リーン雰囲気において、従来の三元触媒を適応させた場合には、過剰な酸素の影響からNOx浄化作用が不十分となるという問題があった。このためリーン雰囲気下においてもNOxを浄化できる触媒の開発が望まれていた。
【0003】
従来より、リーン雰囲気下におけるNOx浄化性能を向上させる触媒は種々提案されており、例えば特開平5−168860号公報には、ランタンと白金(Pt)とを多孔質担体に担持させてランタンをNOx吸収材として用いる触媒が開示されている。これはリーン雰囲気下でNOxを吸収し、ストイキ状態あるいは燃料過剰(リッチ)雰囲気下でNOxを放出浄化するものである。
【0004】
しかしながら、上記従来のNOx吸収触媒(例えばPt−ランタン触媒)は、その特性上、リーン雰囲気で定常走行を行うとNOx吸収量が飽和に達してやがて吸収作用が消失するという問題があり、NOx浄化性能が不足し、耐久後の性能も十分でなく、幅広い運転条件下でNOxを浄化することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、請求項1〜5記載の発明の目的は、従来の触媒では十分な活性を示さなかったリーン雰囲気下におけるNOx浄化性能を向上させることができ、かつ三元触媒としての機能を十分に発現することができる排気ガス浄化用触媒を提供するにある。
【0006】
請求項6記載の発明の目的は、本発明の排気ガス浄化用触媒を経済的に、かつ効率的に製造することができ、特にその平均粒径を精密に調整することができる排気ガス浄化用触媒の製造方法を提供するにある。
【0007】
また、請求項7及び8記載の発明の目的は、本発明の排気ガス浄化用触媒のそのNOx浄化作用が特に有効に発現できる排気ガス浄化用触媒の使用方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の排気ガス浄化用触媒は、白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも一種の貴金属を多孔質体に担持した粉末と、次の一般式
【数2】
Figure 0003885339
で表される複合酸化物粉末とを含有し、前記白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種を多孔質体に担持した粉末及び複合酸化物粉末の平均粒径が共に4μm以下であることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の排気ガス浄化用触媒は、請求項1記載の排気ガス浄化用触媒において、貴金属をパラジウム及びロジウムとすることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の排気ガス浄化用触媒は、請求項1記載の排気ガス浄化用触媒において、貴金属をパラジウムとすることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の排気ガス浄化用触媒は、請求項1〜3いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒において、平均粒径を2〜4μmとすることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の排気ガス浄化用触媒は、請求項1〜4いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒において、更に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法は、請求項1〜5いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒を製造するにあたり貴金属担持多孔質体と複合酸化物とを含む水性スラリーを湿式粉砕して、粉末の平均粒径を4μm以下とする工程を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の排気ガス浄化用触媒の使用方法は、上記本発明の排気ガス浄化用触媒のより有効なNOx吸収、放出サイクルを発現させるために、請求項1〜5いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒を、空然比が10〜15の範囲を繰り返すリーンバーンエンジン車に使用することを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の排気ガス浄化用触媒の使用方法は、上記本発明の排気ガス浄化用触媒のより有効なNOx吸収、放出サイクルを発現させるために、請求項1〜5いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒を、空燃比が10〜14.8と、15〜50の範囲とを繰り返すリーンバーンエンジン車に使用することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の排気ガス浄化用触媒中には、まず白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の貴金属を多孔質体に担持した粉末が含まれる。かかる貴金属としては、白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれる少なくとも1種が用いられ、例えばPtとRh、PdとRh、Pdのみ等の種々の組み合わせが可能であるが、特にPdとRh、Pdのみの貴金属を用いると、数2の式で表わされる複合酸化物との相互作用が更に高まりNOx吸収作用がより向上するため好ましい。
【0017】
前記貴金属の含有量は、NOx吸収能と三元触媒性能が十分に得られれば特に限定されないが、0.1gより少ないと十分な三元性能が得られず、10gより多く使用しても有意な特性向上はみられない点から、本発明の排気ガス浄化用触媒1Lあたり0.1〜10gが好ましい。
【0018】
本発明の触媒はストイキ時の三元触媒としての機能も必要であるため、Pt,Pd及びRhから成る群より選ばれた少なくとも一種は、少なくとも一部が多孔質体に担持されることが好ましく、特にアルミナに担持されることが好ましい。ここで用いるアルミナは耐熱性の高いものが好ましく、なかでも比表面積が50〜300m2 /gの活性アルミナが好ましい。またアルミナの耐熱性を向上させるために、従来から三元触媒で適用されているように、セリウム、ランタン等の希土類化合物やジルコニウムなどの添加物をさらに加えてもよい。
【0019】
更に本発明で用いる触媒は、ストイキ時の三元触媒としての機能も必要であるため、従来から三元触媒で用いられている添加物を更に加えても良く、例えば酸素ストレージ機能を有するセリアや、貴金属へのHC吸着被毒を緩和するバリウムや、Rhの耐熱性向上に寄与するジルコニア等である。
【0020】
また、本発明の排気ガス浄化用触媒中に含まれる複合酸化物は、次の一般式
【数3】
Figure 0003885339
で表される。
【0021】
前記複合酸化物には、希土類金属と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属と、少なくとも1種の遷移金属とが含まれる。
【0022】
希土類金属としては、ランタン、セリウム、ネオジム及びサマリウムが、アルカリ金属としてはカリウム、ナトリウム及びセシウムが、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムが、また遷移金属としては、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンが好適に使用できる。
【0023】
このような上記ペロブスカイト型酸化物のような複合酸化物は、酸素欠損を生じ、この生成した酸素欠損を介してNOxの吸着が容易になり、リーン雰囲気においてNOxを吸収するという特性を利用することにより、NOxの浄化性能を向上させることが可能となっている。
【0024】
また、一般にペロブスカイト型酸化物は触媒組成物中のアルミナ系酸化物と固相反応を起こして活性が失活する場合があり、これを抑制するために、アルミナ系酸化物にランタン等をプリコートする方法や、ジルコニアのようにペロブスカイトとの反応性が小さい材料を用いる方法がある。
【0025】
これに対して本発明のようにペロブスカイト型酸化物のAサイトを量論比から僅かに欠損させることにより、ペロブスカイト型酸化物と接する他の酸化物(アルミナ等)との間での固相反応を抑制し、熱的安定性を向上させ、熱耐久後の浄化性能を高く維持できることが可能となった。
【0026】
Aサイトの置換量は、0<α<1であり特に限定されないが、NOx吸収能力を十分に得るためには、特に、0.2≦α<1であることが好ましい。
【0027】
βの値は、1以上だと単相のペロブスカイト構造を構成しなくなるので0<α<1であることが好ましい。
δの値は各原子の価数を満足する酸素量であり、およそ0<δ<4程度である。
【0028】
本発明で用いられる複合酸化物、特に部分置換ペロブスカイト酸化物は、その部分置換量とともにリーン雰囲気下でNOxを吸収する性能を発現させるが、その吸収機構は、気相中のNOxが複合酸化物上でNO2 に酸化され、複合酸化物表面のMg,Ca,Sr,Ba,Na,K及びCsから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素の近傍に硝酸基あるいはそれに近い状態で吸収されるものと考えられる。従ってリーン雰囲気下でNOxを有効に吸収するための複合酸化物の組成は、硝酸塩を容易に製造し得るMg,Ca,Sr,Ba,Na,K及びCsから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を含有し、更に、NOxをNO2 に酸化することができる遷移金属元素を含有することが重要である。
【0029】
該複合酸化物の各構成元素は、触媒に含まれるこれらの全てが複合化している場合に、その上記した作用は最大限に発揮されるが、少なくとも一部が複合体を形成しうる場合でも十分に上記作用を得ることができる。
【0030】
該複合酸化物の各構成元素は、熱耐久後でも別々の酸化物として分離することなく複合酸化物として存在することができ、これは例えばX線回折測定により確認することができる。
【0031】
該複合酸化物中の各構成元素には、その上記作用を妨げる量でなければ微量の不純物を含んでも構わず、例えばバリウム中に含まれるストロンチウムや、ランタン中に含まれるセリウム、ネオジム、サマリウムやジルコニウム中に含まれるハフニウムやイオウ等である。
【0032】
前記複合酸化物は、その作用が得られる量が触媒中に含有されれば特に含有量は限定されず、本発明の排気ガス浄化用触媒1Lあたり20〜100g含有されることが好ましい。
【0033】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、前記貴金属と、複合酸化物とを共存させることにより、各々単独では得られないNOx浄化作用を得ることが可能となっている。即ち、排気ガス雰囲気がリーンとなった場合には、本発明の排気ガス浄化用触媒中の複合酸化物によるNOx吸収作用により、高いNOx浄化性能が得られる。該複合酸化物のNOx吸収し、また排気ガス雰囲気がリーンからストイキに変化すると該複合酸化物からNOxが放出され、高いNOx浄化性能が得られる。該複合酸化物を構成する各成分の単独物を単に混合しただけでは得られない優れたNOx浄化性能を得るものである。
【0034】
また本発明の触媒は熱耐久後においても高いNOx吸収作用を有し、これは該複合酸化物がAサイト割合の少ないペロブスカイト型構造をとっており、他成分(例えばアルミナ)との固相反応が回避されたためである。
【0035】
本発明に用いる貴金属担持多孔質体と複合酸化物は、その平均粒径(メジアン径)が4μm以下でなければならない。粒径をこのような範囲とすることで、リーン時のNOx吸収能力を向上させることができる。
【0036】
即ち、貴金属担持多孔質体及び複合酸化物を含む触媒は、ガス流れ速度を遅くすると優れたNOx吸収作用を発揮でき、このような効果は、上記範囲の平均粒径とすることで達成され、その結果高いNOx吸収活性を得ることができるのである。
【0037】
更に、かかる平均粒径とすることによって、好ましくは本発明の排気ガス触媒中に担持されるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を高分散化し、NOx吸収作用を高めることもできる。
【0038】
特に、前記効果を更に向上させるためには、平均粒径は2〜4μmであることが好ましい。本明細書における平均粒径は、レーザー回折型粒度分布計により測定されたものである。
【0039】
好ましくは、本発明の排気ガス浄化用触媒の低温活性及び還元(酸素不足)雰囲気下における触媒活性をより高めるため、更にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を本発明の排気ガス浄化用触媒に含有する。
【0040】
使用されるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属には、リチウム、カリウム、セリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムが含まれる。その含有量は触媒1L中1〜40gである。1g未満では、炭化水素種の吸着被毒やパラジウムのシンタリングを抑制することができず、40gを越えても有為な増量効果が得られず逆に性能を悪化させる。
【0041】
本発明に用いる複合酸化物は、複合酸化物の各構成元素の硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸、塩酸塩等を、所望する複合酸化物の組成比に混合し、仮焼成した後粉砕して、熱処理焼成する固相反応や、複合酸化物の各構成元素の硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩酸塩、クエン酸塩等を、所望する複合酸化物の組成比に混合し、水に溶解した後、必要に応じてNH4 OHやNH3 CO3 等のアルカリ溶液を滴下して沈殿物を生成し、ろ過した後沈殿物を乾燥させて焼成する共沈法により調製することができるが、これらの方法に限定されるものではなく、前記以外の方法でも複合酸化物が形成されるものであればよい。
【0042】
かかる方法により、複合酸化物を構成する各成分の少なくとも一部を複合化することができる。
【0043】
本発明で用いる複合酸化物の触媒調製用原料には、前記したように、その上記作用を妨げる量でなければ微量の不純物を含んでも構わず、例えばバリウム中に含まれるストロンチウムや、ランタン中に含まれるセリウム、ネオジム、サマリウムや、ジルコニウム中に含まれるハフニウムやイオウ等である。
【0044】
本発明に用いる貴金属担持多孔質体の貴金属原料化合物としては、無機酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、有機酸塩、ハロゲン化物、酸化物、ナトリウム塩、アンミン錯化合物等を組み合わせて使用することができるが、特に水溶性の塩を使用することが触媒性能を向上させる観点から好ましい。貴金属の多孔質体への担持法としては特殊な方法に限定されず、成分の著しい偏在を伴わない限り、公知の蒸発乾固法、沈殿法、含浸法、イオン交換法等の種々の方法を用いることができる。特にアルミナへの担持には、分散性を高める点から含浸法が好ましい。
【0045】
イオン交換法、含浸法による場合、金属原料は溶液で用いることが多いため、その溶液に酸あるいは塩基を添加して、pHを調節することもできる。pHを調節することにより、更に、高分散担持できる可能性もある。
【0046】
本発明の触媒は、一体構造型担体に担持して用いるのが好ましく、貴金属担持多孔質体と複合酸化物とを粉砕してスラリーとし、触媒担体にコートして、400〜900℃の温度で焼成することにより、本発明の排気ガス浄化用触媒を得ることができる。
【0047】
貴金属担持多孔質体と複合酸化物を粉砕するにあたっての粉砕方法は特に限定されず、好ましくは貴金属担持多孔質体と複合酸化物とを含む水性スラリーを湿式粉砕して、平均粒径が4μm以下となるように調整する方法を用いることができる。
【0048】
粉砕に使用することのできる装置は特に限定されず、市販のボール式振動ミルを用いることができ、ボール径、粉砕時間、振幅、振動周波数を調整して所望の粒径を得る。
【0049】
触媒担体としては、公知の触媒担体の中から適宜選択して使用することができ、例えば耐火性材料からなるモノリス構造を有するハニカム担体やメタル担体等が挙げられる。
【0050】
この触媒担体の形状は、特に制限されないが、通常はハニカム形状で使用することが好ましく、このハニカム材料としては、一般に例えばセラミックス等のコージェライト質のものが多く用いられるが、フェライト系ステンレス等の金属材料からなるハニカムを用いることも可能であり、更には触媒粉末そのものをハニカム形状に成形しても良い。触媒の形状をハニカム状とすることにより、触媒と排気ガスの触媒面積が大きくなり、圧力損失も抑えられるため自動車用等として用いる場合に極めて有利である。
【0051】
更に好ましくは、得られた前記排気ガス浄化用触媒に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含浸担持させる。使用できるアルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムからなる群より選ばれる一種以上の元素である。
【0052】
使用できるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の化合物は、酸化物、酢酸塩、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩等の水溶性のものである。これによりパラジウムの近傍に塩基性元素であるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を分散性良く担持することが可能となる。この際、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の原料化合物を同時に、あるいは別個に含有させてもよい。
【0053】
即ち、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物からなる粉末の水溶液を、ウォッシュコート成分を担持した上記触媒に含浸し、乾燥し、次いで、空気中及び/又は空気流通下で200℃〜600℃焼成するものである。これは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の原料化合物を一度低温で熱処理し酸化物形態でコート層中に含有させると、後に高温に曝されても複合酸化物を形成し難くなるからである。かかる焼成温度が、200℃未満だとアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物が充分に酸化物形態となることができず、逆に600℃を越えると原料塩が急激に分解してしまい、担体がひび割れてしまうことがあるので好ましくない。
【0054】
上記本発明の排気ガス浄化用触媒は、その使用条件を特に限定されないが、好ましくは空燃比が10〜50、更に好ましくは空燃比が10〜14.8と15〜50の範囲とを繰り返すリーンバーンエンジン車に使用することができる。このような使用方法とすることにより、NOx吸収・放出のサイクルが極めて有効に成立し、特に効率の良いNOx浄化が可能となる。即ち、空燃比が10〜50の範囲内の空燃比の大きな領域(リーン領域)でNOxを吸収し、空燃比の小さな領域(リッチおよび/またはストイキ)でNOxを浄化することにより、高いNOx浄化性能を得ることができるのであり、さらに好適な範囲は、空燃比の小さな領域が10から14.8、空燃比の大きな領域が15〜50である。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を次の実施例及び比較例により説明する。
実施例1
硝酸パラジウム水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後400℃で1時間焼成して、Pd担持アルミナ粉末(粉末A)を得た。この粉末AのPd濃度は5.0重量%であった。
【0056】
硝酸ロジウム水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後400℃で1時間焼成して、Rh担持アルミナ粉末(粉末B)を得た。この粉末BのRh濃度は3.0重量%であった。
【0057】
炭酸ランタンと炭酸バリウムと炭酸コバルトとの混合物にクエン酸を加え、乾燥後700℃で焼成し、粉末Cを得た。この粉末Cは金属原子比でランタン/バリウム/コバルト=2/7/10であった。
【0058】
上記粉末Aを347g、上記粉末Bを58g、上記粉末Cを360g、活性アルミナ粉末を300g、水900gを磁性ボールミルに投入し、1時間混合粉砕してスラリー液を得た。このスラリー液をコーディエライト質モノリス担体(1.3L,400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃で乾燥した後、400℃で1時間焼成し、コート層重量200g/L−担体の排気ガス浄化用触媒を得た。この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0059】
実施例2
粉末Bのバリウムをカリウムとした以外は実施例1と同様の方法で、排気ガス浄化用触媒を得た。
この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0060】
実施例3
粉末Bのバリウムをセシウムに代えた以外は実施例1と同様の方法で、排気ガス浄化用触媒を得た。
この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0061】
実施例4
粉末Bのコバルトを鉄に代えた以外は実施例1と同様の方法で、排気ガス浄化用触媒を得た。
この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0062】
実施例5
粉末Bのコバルトをニッケルに代えた以外は実施例1と同様の方法で、排気ガス浄化用触媒を得た。
この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0063】
実施例6
粉末Bのコバルトをマンガンに代えた以外は実施例1と同様の方法で、排気ガス浄化用触媒を得た。
この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0064】
実施例7
実施例1で得られた触媒に酢酸Ba水溶液を含浸した後400℃で1時間焼成し、Baを酸化物換算で30g/L担持させて、排気ガス浄化用触媒を得た。
この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0065】
実施例8
実施例1で得られた触媒に酢酸Mg水溶液を含浸した後400℃で1時間焼成し、Mgを酸化物換算で30g/L担持させて、排気ガス浄化用触媒を得た。
この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0066】
実施例9
粉末Aを509g、粉末Cを360g、活性アルミナ粉末を32g、水900gの割合で混合した以外は、実施例1と同様にして排気ガス浄化用触媒を得た。
この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0067】
実施例10
ジニトロジアンミンPt水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥空気中400℃で1時間焼成して、Pt担持粉末(粉末D)を得た。この粉末DのPt濃度は3.0重量%であった。
【0068】
上記粉末Dを289g、実施例1で得られた粉末Bを29gと粉末Cを360g、活性アルミナ粉末を222g、水900gを磁性ボールミルに投入し、1時間混合粉砕してスラリー液を得た。このスラリー液をコーディライト質モノリス担体(1.3L、400セル)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて130℃で乾燥した後、400℃で1時間焼成し、コート層重量200g/L−担体の排気ガス浄化用触媒を得た。
この触媒中の粉末の平均粒径は3.5μmであった。
【0069】
比較例1
粉砕時間を30分に代えた以外は実施例1と同様の方法で、排気ガス浄化用触媒を得た。この触媒中の粉末の平均粒径は、4.5μmであった。
【0070】
比較例2
粉砕時間を20分に代えた以外は実施例1と同様の方法で、排気ガス浄化用触媒を得た。この触媒中の粉末の平均粒径は、5.5μmであった。
【0071】
前記実施例1〜10及び比較例1〜2で得られた排気ガス浄化用触媒の触媒組成及び粉末のその平均粒径を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0003885339
【0073】
試験例
前記実施例1〜10及び比較例1〜2で得られた排気ガス浄化用触媒について、以下の条件で初期及び耐久後の触媒活性評価を行った。活性評価には、自動車の排気ガスを模したモデルガスを用いる自動評価装置を用いた。
【0074】
耐久条件
エンジン4400ccの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度600℃で、50時間運転して耐久を行った。
【0075】
評価条件
触媒活性評価は、排気量2000ccのエンジンの排気系に各触媒を装着し、A/F=14.6(ストイキ状態)で60秒間、その後A/F=22(リーン雰囲気)で20秒間、その後A/F=50(リーン雰囲気)で20秒間の運転を1サイクル行ない、各々平均転化率を測定し、このA/F=14.6(ストイキ状態)の場合の平均転化率とA/F=22(リーン雰囲気)の場合の平均転化率とA/F=50(リーン雰囲気)の場合の平均転化率とを平均してトータル転化率とした。この評価を初期及び耐久後に各々行ない、触媒活性評価値を以下の式により決定した。但し触媒入口温度を350℃とした。
【0076】
【数4】
Figure 0003885339
【0077】
トータル転化率として得られた触媒活性評価結果を表2に示す。比較例に比べて実施例は、触媒活性が高く、後述する本発明の効果を確認することができた。
【0078】
【表2】
Figure 0003885339
【0079】
【発明の効果】
請求項1〜5記載の排気ガス浄化用触媒は、従来の触媒では十分な活性を示さなかったリーン雰囲気下におけるNOx浄化性能を向上させ、かつ三元触媒としての機能を十分に発現することができ、更に熱耐久後においても優れたNOx浄化性能を示すことができる。
【0080】
請求項6記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法は、上記本発明の排気ガス浄化用触媒を経済的かつ効率良く製造することができる。
【0081】
請求項7及び8記載の排気ガス浄化用触媒の使用方法は、上記本発明の排気ガス浄化用触媒の有効なNOx吸収、放出サイクルを特に効率良く発現させることができる。

Claims (8)

  1. 白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも一種の貴金属を多孔質体に担持した粉末と、次の一般式
    Figure 0003885339
    で表される複合酸化物粉末とを含有し、前記白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種を多孔質体に担持した粉末及び複合酸化物粉末の平均粒径が共に4μm以下であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  2. 貴金属をパラジウム及びロジウムとすることを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化用触媒。
  3. 貴金属をパラジウムとすることを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化用触媒。
  4. 平均粒径を2〜4μmとすることを特徴とする請求項1〜3いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒。
  5. 更に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒。
  6. 貴金属担持多孔質体と複合酸化物とを含む水性スラリーを湿式粉砕して、粉末の平均粒径を4μm以下とする工程を含むことを特徴とする請求項1〜5いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  7. 請求項1〜5いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒を、空然比が10〜15の範囲を繰り返すリーンバーンエンジン車に使用することを特徴とする排気ガス浄化用触媒の使用方法。
  8. 請求項1〜5いずれかの項記載の排気ガス浄化用触媒を、空然比が10〜14.8と、15〜50の範囲とを繰り返すリーンバーンエンジン車に使用することを特徴とする排気ガス浄化用触媒の使用方法。
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