JP3884883B2 - 多方向入力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多方向入力装置に係わり、操作軸を操作することにより、複数の電気部品を同時に操作することができる多方向入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の多方向入力装置は図14〜図15に示すように、周囲が側板で覆われ下方側が開放された金属板からなる箱状の枠体30内部に、アーチ状に湾曲形成した金属板からなる第1連動部材31が配設されている。この第1連動部材31は、両端部に取付部31aがそれぞれ形成され、この両端部の取付部31aが枠体30の側板に形成された孔30a、30cに挿入され、第1連動部材31が枠体30内に回動可能に架設されている。
前記取付部31aの端面には孔34が設けられ、この孔34の一方には、回転型の電気部品である可変抵抗器32の回転軸33が係合するようになっている。また、湾曲形成されたアーチ状の部分には、長手方向にスリット孔35が設けられている。
【0003】
前記第1連動部材31の下方側には、第1連動部材31と直交する方向に第2連動部材40が配設されている。この第2連動部材40はダイカスト等の金属材料から成り、中央部に球体41を有し、この球体41から左右の水平方向に延出するアーム部42、42を有し、各アーム部42の先端部には、それぞれ円形の取付部42aが突出形成され、この取付部42aが枠体30の孔30b、30dに挿入されて、第2連動部材40が枠体30内に回動可能に架設されている。
前記それぞれの取付部42aの端面には、孔43が設けられ、この孔43に前記可変抵抗器32の回転軸33が圧入されて係合するようになっている。
また、球体41の中央部には、上下方向に長溝45が貫通形成されている。前記第1と第2の連動部材31、40は、スリット孔35と長溝45とが直交するように配設されている。
【0004】
前記第2連動部材40の長溝45には、操作軸36が挿通されている。この操作軸36は金属から成り、中央部分に小判形状の支持部38が形成され、この支持部38には、上下に棒状の支柱が一体形成されて突出している。
そして、下方側に突出する操作軸36の端部36a寄りには、操作軸36に一体形成された円盤状のバネ受け47が設けられている。
前記操作軸36の支持部38には、小孔39が形成され、この孔39と、第2連動部材40の側部に形成された孔44とを位置合わせし、位置合わせされたそれぞれの孔39、44に金属棒等から成る丸ピン46を挿入、または圧入し、両端部カシメることによって、操作軸36が第2連動部材40に傾倒可能に取り付けられている。
【0005】
また、操作軸36の支持部38から上方に延びる操作軸36は、第1連動部材31の長溝35に挿通され、この操作軸36を第1連動部材31のスリット孔35に沿う等の方向に傾倒させることによって、第2連動部材40が取付部42a、42aを支軸として回動可能になっている。また、スリット孔35に挿通されて上方に延びる操作軸36の上端には、ツマミ55が固着されて取り付けられている。
前記操作軸36の下方の端部36aには、樹脂材料等から成る外形が皿状の作動部材37が取り付けられている。この作動部材37の中央部には、ボス部37aが突出形成され、このボス部37aに貫通形成された孔50に操作軸36の端部36aが挿入されて、作動部材37が上下動可能になっている。
前記枠体30の下方の開放部分には、底板49が取付られて、開放された枠体30の下部を蓋閉すると共に、この底板49に作動部材37の底部が弾接するようになっている。
【0006】
前記第1連動部材31は、丸ピン46を支点として、操作軸36を第2連動部材40の長溝45に沿って傾倒させることによって、取付部31a、31aを支軸として回動可能になっている。また、第2連動部材40は、操作軸36を第1連動部材31のスリット孔35に沿う等の方向に傾倒させることによって、取付部42a、42aを支軸として回動可能になっている。
このような枠体30内に架設された第1、第2の連動部材31、40の、それぞれの孔34、43には、枠体30の側板に係止されている可変抵抗器32、32の回転軸33が圧入されて、第1、第2の連動部材31、40と可変抵抗器32、32とが一体的に動作するようになっている。
【0007】
前記操作軸36のバネ受け部47と作動部材37の内底面との間には、略円錐形状の復帰バネ48が張架され、この復帰バネ48の弾性力で作動部材37を底板49に弾接することにより、操作軸36を直立の中立状態にすることができるようになっている。
【0008】
次に従来の多方向入力装置の動作について説明すると、まず、図15に示すように、未作動持の操作軸36は、上端が枠体30の上部側板の孔30eから上方に突出して、作動部材37は復帰バネ48によって、水平状態になって底板49に弾接して、操作軸36は直立の中立状態になっている。
この状態から図16に示すように、操作軸36を、第2連動部材40の長溝45に沿って、例えば時計回り方向の右方向に傾倒させることによって、第1連動部材31が回動し、この回動で可変抵抗器32を操作して抵抗値を変化させることができる。
前記作動部材37は、操作軸36の傾倒動作によって、図16に示すように傾斜し、この傾斜した作動部材37の周縁の一部が底板49の底面を摺接移動する。これに伴って作動部材37が円形のバネ受け部47方向に移動して、復帰バネ48を圧縮して撓ませる。
【0009】
そして、前記操作軸36に加えていた操作力を解除すると、復帰バネ48の弾性力によって傾斜していた作動部材37が、底板49の底面に沿って摺接移動し、作動部材37は暫次下部底板49の底面に対して水平方向に移動し、操作軸36は、図15に示す直立の中立状態に自動復帰するようになっている。
また、第2連動部材40のアーム部42に係合されている可変抵抗器32を操作するには、操作軸36を第1連動部材31のスリット孔35に沿って傾倒させて、第2連動部材40を回動させることで、可変抵抗器32を操作して抵抗値を変化させることができる。
【0010】
そして、このような操作軸36の傾倒動作時、操作軸36は、枠体30の孔30eの縁部30fにぶつかって、操作軸36の傾倒動作のストッパーを構成するようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したような従来の多方向入力装置は、操作軸36の傾倒動作時、操作軸36が枠体30の縁部30fにぶつかってストッパーを構成するものであるため、ストップ時において、操作軸36と枠体30との間で衝合音が発生するという問題がある。
また、縁部30fが孔30eの打ち抜き形成時にエッジとなっており、このため、操作軸36が縁部30fにぶつかると、操作軸36が削れ、しかも、操作軸36がエッジにぶつかった状態で、孔30eに沿って回転動作した時、操作軸36が縁部30fとの間で擦れを生じて、操作軸36の削れが著しいという問題がある。
また、操作軸36が縁部30fにぶつかった状態で更に倒すと、枠体30の上部側板が曲がり、操作軸36が縁部30fにぶつかった状態での回転動作が円滑にできないという問題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の解決手段として、枠体と、互いに直交した状態で前記枠体に回転可能に取り付けられた第1と第2の連動部材と、該第1と第2の連動部材に対して垂直方向に配置された状態で、前記第1、或いは第2の連動部材に保持され、前記第1と第2の連動部材を回転する傾倒動作可能な操作軸と、前記操作軸の軸方向に対して直交した状態で配設された底板と、前記操作軸に保持されて、前記操作軸の軸方向に移動可能な作動部材と、前記作動部材の底部を前記底板上に弾圧する付勢部材と、前記操作軸の傾倒動作により前記第1、或いは第2の連動部材を介してそれぞれ操作される電気部品とを備え、前記操作軸は、前記付勢部材を収納する筒状部を有し、前記作動部材は、前記底板に摺接する基部と、該基部上に設けられた突起とを有し、前記基部の中央部には、前記操作軸の筒状部に挿入されるボス部が突出して設けられ、このボス部が前記操作軸の軸方向に移動可能に嵌合されて、前記作動部材のボス部が前記操作軸の筒状部内でスプライン結合されており、前記操作軸の傾倒動作時において、前記筒状部の下縁に前記突起が当接して、前記作動部材が前記操作軸と前記底板との間で挟持されて、前記作動部材の軸方向の移動が停止すると共に、前記操作軸の傾倒動作をストップするようにした構成とした。
【0013】
また、第2の解決手段として、前記筒状部の下縁を平坦面にすると共に、前記突起の上部を平坦面にし、前記筒状部と前記突起の平坦面同士を当接させるようにした構成とした。
また、第3の解決手段として、前記操作軸、及び前記作動部材を合成樹脂の成型品で形成した構成とした。
【0014】
また、第4の解決手段として、前記底板には、テーパー部を有する突部を設け、該突部に前記作動部材が乗り上げるようにした構成とした。
また、第5の解決手段として、前記突部を円錐状で形成した構成とした
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の多方向入力装置の1実施の形態について、図1〜図13を基に説明すると、図1は本発明の多方向入力装置の分解斜視図、図2〜図4は本発明に係わる第2連動部材を説明する図、図5〜図7は本発明に係わる操作軸を説明する図、図、図8は本発明に係わる要部の縦断面図、図9は図8の9−9線における縦断面図、図10は図8の10−10線における要部の断面図、図11は図8の11−11線における要部の断面図、図11,図13はは本発明の多方向入力装置の動作を説明する図である。
【0016】
まず本発明の多方向入力装置は、図1に示すように、鉄板等から成る枠体1が配設され、この枠体1は、プレス等で図示下方に折り曲げられた側板1a、1b、1c、1dを有し、内部が空洞で下部が開放され、外形が略直方体に形成されている。また、枠体1の上部が上板1eで蓋閉され、この上板1eの中央部には操作孔1fが形成されている。
前記側板1b以外の3つの側板1a、1c、1dには、それぞれ丸孔1gが形成され、更に側板1a、1cには後述する回転型の電気部品である可変抵抗器3を取り付けるための複数の角穴(図示せず)が設けられている。また、側板1aが対向する側の側板1bには、側板1aの丸孔1gが対向する位置に略半円形状の支持部1hが形成され、この支持部1hの図示左右に側板1bから外方に略直角に折り曲げられた部品押さえ脚1j、1jが形成されている。
【0017】
また、相対向する側板1c、1dのそれぞれの下部には、図示しないプリント基板等に本発明の多方向入力装置を取り付けるための、複数の取付端子1kが下方側に延出形成されている。
また、側板1a、1bの下方には、後述する底板8を取り付けるための舌片1m、1mがそれぞれ形成されている。
【0018】
前記枠体1の空洞内部には、リン青銅板等から成る第1連動部材2が配設されている。そして、この第1連動部材2は、プレス等でアーチ状に上方側に湾曲形成され、このアーチ状部分の長手方向にスリット孔2aが打ち抜き形成されている。
また、前記第1連動部材2の両端部が下方側に折り曲げられ、この折り曲げられた図示左側の一端部にはパイプ状の支持部2bが絞り加工等で突出形成され、この支持部2bが側板1dの丸孔1gに挿入されて回転可能に支持されるようになっている。
【0019】
前記第1連動部材2の図示右側の他端部は、略U字状に折り曲げられて部品操作部2cが形成され、この部品操作部2cは、枠体1の側板1cに形成された丸孔(図示せず)に挿入され、この丸孔から外方に突出し、後述する可変抵抗器3の摺動子受3dの横溝と係合するようになっている。
前記第1の連動部材2は、枠体1の側板1c、1dのそれぞれの丸孔に橋渡しされ、アーチ状に形成された部分が枠体1内部に回動可能に架設されている。
また、前記枠体1の側板1aと、この側板1aに隣接する側板1cに設けられた図示しない複数の角孔には電気部品である、例えば可変抵抗器3、3がスナップ係合等で取り付けられている。
【0020】
回転型の電気部品である前記可変抵抗器3は、図8に示すように、ケース3aの内部にインサート成型等で一体形成された基板3bが配設され、摺動子片3cを取り付けた摺動子受け3dが基板3bに回転自在にスナップ係合等で取り付けられ、摺動子受け3dの回転中心には、縦溝と横溝とを組み合わせた係合溝を有する操作部3eが形成されている。
そして、前記枠体1の側板1cの丸孔(図示せず)から外方に突出している第1連動部材2の略U字状の部品操作部2cが、側板1cに取り付けられている可変抵抗器3の操作部3eに係合し、前記第1連動部材2が回動することによって、可変抵抗器3の摺動子受け3dが回転して、可変抵抗器3の抵抗値が変化するようになっている。
【0021】
前記第1連動部材2のスリット孔2aには、操作軸4の摘み部4aが挿通され、摘み部4a、および根元部4bがスリット孔2aに沿って移動可能になっている。 このような操作軸4は合成樹脂等から成り、図5〜図7に示すように、小判形状に形成された摘み部4aの根元部4bが円形に形成されている。この円形の根元部4bの図示下方には筒状部4cが一体形成されている。
この筒状部4cは、下方が開放されて周囲が外壁で覆われ、内部に後述する略円形の復帰バネからなる付勢部材7を収納するための収納部4dが形成されていると共に、筒状部4cの下縁は平坦面で形成されている。
このような操作軸4は、図5に示す筒状部4cの外壁の一部に対向状態で平坦部4e、4eが形成され、この平坦部4e、4eに、所定の径寸法と高さ寸法で小判形状の軸部4f、4fが軸方向に対して直交する方向に凸状に突出形成されている。
前記軸部4fの下面には、軸部4fの先端部から操作軸4の中心部に向かうに従って、漸次上方に傾斜した傾斜部4jが設けられている。
この軸部4fの上面である円弧状部には、凹部からなるグリス溜部4kが設けられている。
前記収納部4dの内部には、摘み部4aと同一軸心上に軸支部4gが図示下方に延長して一体形成され、この軸支部4gの下方側の先端部4hがバネ性のある筒状部4cより所定量だけ下方側に突出した状態になっている。
前記筒状部4cの内壁には、特に、図11に示すように、収納部4d内に突出して、軸方向に延びる複数個の突起4mが設けられている。
また、筒状部4cの外壁には、軸部4fの下側において、ストッパーを構成するための突部4nが設けられている。
前記操作軸4は、軸部4fを第2連動部材5に軸支することによって、矢印A−A方向、および矢印B−B方向に傾倒可能になっている。
【0022】
前記第2連動部材5は合成樹脂材料から成り、第1連動部材2の下方側に、第1連動部材2と直交する方向に配設されている。
この第2連動部材5は、特に、図2〜図4に示すように、略中心部に操作軸4を挿通する中心孔5cを設けて構成された外形が略矩形の支持部5aが形成され、この支持部5aは周囲が横長と縦長の側壁5bに囲まれ、この側壁5bに囲まれた内側に略矩形の中心孔5cが貫通形成されている。
前記支持部5aの横長の側壁5b、5bの所定位置には、操作軸4の軸部4f、4fが係合可能な丸形の孔5d、5dが貫通、あるいは所定の深さで凹状に形成されている。また、丸形の孔5dの内面の下方は、図12に示すように軸部4fの傾斜部4jに沿ったテーパー状部に形成されている。
前記側壁5bの内面には、特に、図10に示すように、丸形の孔5dの下方近傍に位置し、突部4nを受け入れるための凹部からなるストッパー部5eが設けられている。
そして、操作軸4の軸部4fが丸形の孔5dにスナップ止めされて、操作軸4が第2連動部材5に保持されると共に、突部4nが凹部内に位置して、ストッパー部5eと衝合してストッパーを構成している。
また、この組立後、側壁5bの内壁が操作軸4の外周部である平坦部4eに当接すると共に、小判形状の軸部4fの上下が丸形の孔5dの内面において当接した状態となっている。
【0023】
前記支持部5aからは、図3に示すように、左右の水平方向に第1と第2のアーム部5f、5gが、それぞれ延出形成されている。そして、一方側に延出する第1アーム部5fには、所定の径寸法の支持部5hが形成され、この支持部5hから所定の幅寸法の板状の部品操作部5jが突出形成されている。
また、他方側に延出する第2アーム部5gには、所定の径寸法の支持部5kが形成され、この支持部5kから上面が平坦状に形成され下面が半円状に形成された部品操作部5mが延出形成されている。
【0024】
前記第2連動部材5は、第1アーム部5fの支持部5hが、枠体1の側板1aの丸孔1gに挿入されて回転可能に支持され、第2アーム部5gの支持部5kが、側板1bの半円状の支持部1hに位置して支持されて、第2連動部材5は、回動可能で、一端部である部品操作部5mが上下動可能に枠体1内部に架設されるようになっている。
そして、第1アーム部5fの部品操作部5jが、側板1aに取り付けられた可変抵抗器3の操作部3eの縦溝と係合し、第2アーム部5gの部品操作部5mは、後述する底板8に取り付けられた電気部品、例えば押し釦スイッチ9等のステム部9a上に位置するようになっている。
【0025】
前記枠体1の内部に位置する操作軸4の下方の先端部4hには、操作軸4の軸方向に移動可能な作動部材6が配設されている。
この作動部材6は、樹脂材料から成り、下方側に外形が円形で底面が皿状に湾曲形成された基部6aを有し、この基部6aの中央部には、上方に向けて突出する筒状のボス部6bが形成され、このボス部6bの中央に軸孔6cが貫通形成されている。
更に、作動部材6の基部6aの上面には、上部が平坦面となった円板状の突起6gが形成され、この突起6gによって、作動部材6の軸方向の移動を規制するようになっている。
なお、この突起6gは、円板状の他に、間隔を置いて形成された突起6gでも良い。
前記作動部材6のボス部6bには、操作軸4の突起4mとスプライン結合するための複数個の凹条部6dが設けられると共に、基部6aの下面中央部には凹部6eが、また、基部6aの下面外周部には円弧状面部6fが設けられている。
前記作動部材6は、操作軸4の軸支部4gが軸孔6cに挿入されると共に、ボス部6bが筒状部4cの収納部4dに移動可能に嵌合するようになっている。
この時、作動部材6の凹条部6dには、操作軸4の突起4mがスプライン結合し、作動部材6が操作軸4と共回りするようになっている。
【0026】
前記操作軸4の筒状部4cの収納部4d内には、所定の弾性力を有するコイルバネから成る付勢部材7が配設されている。この付勢部材7は、上下の巻端部が、収納部4d内の天井面と、作動部材6のボス部6c上面とにそれぞれ弾接するようになっている。この付勢部材7は、軸支部4gに挿入されると共に、摘み部4a側の一端部は、筒状部4cの内壁にガイドされ、他端部はボス部6bの外壁にガイドされ、付勢部材の前後左右の動きが規制されるようになっている。
【0027】
前記作動部材6の下部には、枠体1の下部を蓋閉する底板8が配設されている。この底板8は、樹脂材料からなり外形が略矩形に形成され、周囲に側壁8aが部分的に形成され、この側壁8aの内部に平坦状の内底面8bが形成されている。
前記内底面8b上には、外周部から中央部に行くに従って、漸次盛り上がったテーパー部を有する円錐状で皿状の突部8eを設けている。
この内底面8bに、付勢部材7により作動部材6の底部が弾接されるようになっている。また、底板8の一方側の側壁8aからは、例えば押し釦スイッチ9等から成る電気部品を取り付けるための部品取付部8cが突出形成されている。この部品取付部8cが形成された側壁8aと隣り合う側壁8aには、枠体1の側板1c、1dの下方側の端部を位置決めするための複数のガイド部8dが突出形成されている。
【0028】
前記部品取付部8cに取り付けられる押し釦スイッチ9は、内部のスイッチ回路(図示せず)をON/OFFすることができるステム部9aと、内部のスイッチ回路を密閉するケース9bと、このケース9bの側面から下方に延びる複数の取付端子9cとが形成されている。このような押し釦スイッチ9は、底板8の部品取付部8cに取付端子9cがスナップ係合等で仮止めすることができるようになっている。
【0029】
前述したような本発明の多方向入力装置の組立は、まず、枠体1の開放された下部側からアーチ状の第1連動部材2を挿入し、側壁1cの丸孔(図示せず)に部品操作部2cを挿入すると共に、側板1dの丸孔1gに支持部2bを挿入して、第1連動部材2を枠体1内部に架設する。
次に、操作軸4の筒状部4cを第2連動部材5の中心孔5c内に位置させると共に、凸状の小判形状の軸部4fを側壁5b上に位置させる。
この状態で、操作軸4を図示しない治具等で中心孔5cに押圧すると、側壁5bが弾性変形して外方に押し広げられ、凸状の軸部4fが側壁5bに形成されている凹状の丸形の孔5dにスナップ係合される。そして、操作軸4が第2連動部材5に軸支される。
次に、軸部4fの小判形状の両側の直線部と、丸形の孔5dとで形成された隙間であるグリス溜部10(図10参照))にグリスを注入して、操作軸4と第2連動部材5との摺動部におけるキシミ等の不具合が発生しないようにしていると共に、操作軸4のグリス溜部4kにもグリスが回り、該グリス溜部4kにも充填されて、キシミ等の不具合を防止している。
【0030】
次に、前記第2連動部材5に軸支した操作軸4の摘み部4aを第1連動部材2のスリット孔2aに挿通させると共に、摘み部4aを枠体1の操作孔1fから外方に突出させ、円形の根元部4bをスリット孔2aに位置させる。
そして、第2連動部材5の第1アーム部5fの支持部5hを枠体1の側板1aの丸孔1gに挿入して、先端部の部品操作部5jを側板1aから外側に突出させる、第2アーム部5gの支持部5kを枠体1の側板1bの支持部1hに位置させる。
【0031】
次に、第1と第2の連動部材2、5を内部に架設した枠体1を逆さにし、開放された下部を上向きする。そして、逆さになった操作軸4の筒状部4cの収納部4d内に付勢部材7を挿入して収納する。
次に、作動部材6の軸孔6cを操作軸4の軸支部4gに挿入すると、作動部材6のボス部6bが操作軸4の筒状部4c内でスプライン結合されると共に、移動可能に嵌合して、作動部材6のボス部6bが付勢部材7に弾接する。
前記逆さにした枠体1に、部品取付部8cに押し釦スイッチ9を仮止めした底板8を逆さにして載置する。すると、ガイド部8d、8dに側板1cの端部が案内されて底板8が枠体1に位置決めされると共に、押し釦スイッチ9のケース9bの上面に、側板1bの部品押さえ脚1j、1jが位置して、押し釦スイッチ9が底板8に固定される。
【0032】
そして、枠体1の側板1a、1bに形成している複数の舌片1mをカシメると、底板8が枠体1に一体化されて固定され、底板8の内底面8bに作動部材6の底部が弾接して、操作軸4が図8、図9、図12に示すように、直立の中立状態になる。
次に、側板1aの丸孔1gから外方に突出する第2連動部材5の部品操作部5jに、可変抵抗器3の操作部3eを係合させ、側板1aに形成されている複数の角穴(図示せず)に可変抵抗器3をスナップ係合して、側板1aに可変抵抗器3を係止する。
また、側板1cから外方に突出する第1連動部材2の部品操作部2cに、前述と同様に可変抵抗器3の操作部3eを係合させ、側板1cに可変抵抗器3を係止して本発明の多方向入力装置の組立が終了する。
前記組立作業では、第1と第2の連動部材2、5を枠体1に取り付けた後に、可変抵抗器3から成る電気部品を枠体1に取り付ける工程で説明したが、第1と第2の連動部材2、5を取り付ける前の、単品の枠体1に可変抵抗器3を取り付けることも可能である。
【0033】
次に、本発明の多方向入力装置の動作を説明すると、まず、操作軸4の摘み部4aに操作力が加わってない無負荷のときは、図8、図12に示すように、付勢部材7の弾性力により、作動部材6が底板8の内底面8bに弾接されて、基部6aの皿状の底面が水平状態になると共に、操作軸4が直立の中立状態になっている。
また、この中立状態において、底板8の突部8eは、作動部材6の凹部6e内に位置した状態となっている。
この中立状態の操作軸4を第1連動部材2のスリット孔2aに沿って、図8、図12に示す矢印B−B方向に傾倒させると、第2連動部材5が第1と第2のアーム部5f、5gのそれぞれの支持部5h、5kを支点として回動し、作動部材6は図13に示すように、基部6aの底面が底板8の内底面8b上を摺接移動し、基部6aの底面の外周部の円弧状面部6fが底板8の突部8eのテーパー部に当接しながら作動部材6が傾斜する。
【0034】
そして、作動部材6は付勢部材7の弾性力に抗してボス部6bが操作軸4の筒状部4cの収納部4d内に押し込まれる。
この時、図12に示すように中立状態においては、操作軸4と第2連動部材5の結合構造において、両者間には、操作軸4の軸方向と直交する方向で、操作軸4の左右両側に遊びであるクリアランスK1、K2が存在する。
そして、操作軸4を傾倒動作した時、倒れた側にあるクリアランスK1が無くなると共に、反対側にあるクリアランスK2が大きくなる。
この状態で傾倒動作を続けると、作動部材6の円弧状面部6fは、突部8eのテーパー部に乗り上げながら、且つ、作動部材6の動きを規制させながら摺動動作する。
このため、作動部材6が所定の角度傾斜しても、円弧状面部6fが図13の矢印D方向に底板8上でスリップすることが無く、従って、クリアランスK2の状態が維持された状態で傾倒動作を行うことができる。
前記第2連動部材5を回動させると、第1アーム部5fの部品操作部5jが係合している可変抵抗器3の摺動子受け3dが回転して抵抗値が変化する。
また、操作軸4を矢印B方向に傾倒した時、図13に示すように、作動部材6の突起6fの平坦面が筒状部4cの下縁の平坦面にぶつかり、作動部材6が操作軸4と底板8との間で挟持されて、作動部材6の軸方向の移動が停止することによって、操作軸4の傾倒動作をストップ(制止)するようになっている。
即ち、作動部材6が操作軸4よ底板8との間で挟持されて、作動部材6の軸方向の移動が停止することでストッパーが構成されている。
この時、操作軸4は、枠体1の操作孔1fの縁部にぶつからないようになっている。
そして、側板1aに取り付けられている可変抵抗器3の操作が終了後、操作軸4に加えていた操作力を解除すると、付勢部材7の弾性力によって、作動部材6が自動的に水平状態に戻り、操作軸4が直立の中立状態に自動復帰する。
【0035】
また、操作軸4を第2連動部材5の中心孔5cに沿って、図9に示す矢印A−A方向に傾倒させると、第1連動部材2が支持部2bと部品操作部2cを支点として回動する。
この第1連動部材2が回動すると、側板1cに取り付けられて部品操作部2cが係合している可変抵抗器3の摺動子受け3dが回転して、可変抵抗器3の抵抗値が変化する。このときの作動部材6の動作は、前述した操作軸4を矢印B−B方向に傾倒させたときと同じなので説明は省略する。
そして、操作軸4を矢印A方向に傾倒した時、突部4nが凹部内を移動してストッパー部5eに衝合して、ストッパーを構成していると共に、このストッパー構成と同時に、前記の図13で説明したように、作動部材6が操作軸4よ底板8との間で挟持されて、作動部材6の軸方向の移動が停止することによって、操作軸4の傾倒動作をストップするようになっている。
また、この時においても、操作軸4は、枠体1の操作孔1fの縁部にぶつからないようになっている。
また、操作軸4は、360度の全範囲で傾倒動作を行うことができると共に、操作軸4は、傾倒動作を行った状態で、図1で示す矢印E方向に傾動位置を変えて回転することができるようになっている。
そして、その際、操作軸4にスプライン結合された作動部材6が共回りし、作動部材6の基部6aの底部は、付勢部材7の弾圧による底部と底板8との間に摩擦があっても、底板8上でスリップすることなく、転がるように回転する。
この時、作動部材6が操作軸4よ底板8との間で挟持されて、作動部材6の軸方向の移動が停止することによって、操作軸4の傾倒動作がストップ状態にあっても、操作軸4は、枠体1の縁部にぶつからない。
【0036】
次に、可変抵抗器3以外の電気部品である押し釦スイッチ9の操作を説明する。まず、操作軸4を下方側の矢印C方向に押圧する。すると、第2連動部材5は、丸形の孔5dに押圧加重が加わって、第1アーム部5fの支持部5hを支点として、第2アーム部5gが下方側に移動する。
すると、側板1bの支持部1hから外方に出っ張っている第2アーム部5gの部品操作部5mが上下動して、押し釦スイッチ9のステム部9aを押圧し、押し釦スイッチ9のON/OFF操作をすることができる。
前記操作軸4の矢印C方向への押圧は、操作軸4が中立状態のときだけでなく、操作軸4を傾倒させて、可変抵抗器3の抵抗値を操作しているときでも可能である。
【0037】
なお、本発明の実施の形態の説明では、操作軸4側の軸部4fを小判形状の凸状に形成し、第2連動部材5の丸形の孔5dを形成した物で説明したが、軸部4fを凹状に、丸形の孔5dを凸状に形成したものでもよい。
また、操作軸4、第2連動部材5の両方を、それぞれ弾性変形可能な樹脂材料等で形成した物で説明したが、操作軸4、または第2連動部材5のいずれか一方を弾性変形可能な樹脂材料等で形成し、他方をダイカスト等の金属材料で形成した物でもかまわない。
【0038】
また、複数の電気部品を、可変抵抗器3と押し釦スイッチ9とで説明したが、その他の回転操作が可能なエンコーダ等の電気部品、あるいはプッシュ操作が可能な電気部品であればかまわない。
【0039】
また、底板8の突部8eは、円錐状のもので説明したが、テーパー部を設けたリング状のものでも良く、更に、突起8eを無くし、作動部材6が操作軸4と底板8との間で挟持されて、ストッパーを構成しても良い。
また、スプライン結合は、作動部材6の軸孔6cの内壁と、操作軸4の軸支部4gの外壁との間に設けてもよい。
また、グリス溜部4k等は、操作軸4と第1,或いは第2連動部材2,5との摺動部に設けて、キシミ等を防止してもよい。
また、操作軸4の突部4nを受け入れる凹部からなるストッパー部5eは、第2連動部材5の適宜箇所に選定して設けてもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の多方向入力装置は、操作軸4の傾倒動作時において、作動部材6が操作軸4と8底板との間で挟持されて、作動部材6の軸方向の移動が停止すると共に、操作軸4の傾倒動作をストッパーするようにしたため、操作軸4が枠体1の操作孔1fの縁部にぶつかることが無く、従って、ストップ時に、操作軸4と枠体1との間での衝合音が無く、騒音のない多方向入力装置を提供できる。
また、操作軸4が枠体1にぶつかることが無いため、従来のような操作軸36の削れ、枠体30の曲がりが無く、長寿命で、円滑な操作ができる多方向入力装置を提供できる。
【0041】
また、本発明の多方向入力装置は、電子機器のセットに組み込まれて使用され、操作軸4がセットのパネルにぶつかって、作動部材6が操作軸4と8底板との間で挟持される前にストップするようにして使用されることがあるが、セットに組み込まれる前に、多方向入力装置は操作軸4を操作して種々の検査が行われる時点で、上記のような効果を有するものである。
【0042】
また、操作軸4は、付勢部材7を収納する筒状部4cを有し、作動部材6は、底板8に摺接する基部6aと、該基部6a上に設けられた突起6gとを有し、操作軸4の傾倒動作時において、筒状部4cの下縁に突起6gが当接して、作動部材6の軸方向の移動が停止すると共に、操作軸4の傾倒動作をストッパーするようにしたため、付勢部材7の収納部を兼ねる筒状部4cで作動部材6の軸方向に移動を停止できて、スペース効率が良く、小型の多方向入力装置を提供できる。
【0043】
また、筒状部4cの下縁を平坦面にすると共に、突起6gの上部を平坦面にし、筒上部4cと突起6gの平坦面同士を当接させるようにしたため、360度の全円周にわたって作動部材6の軸方向の移動が一定となり、正確なストッパー構造を提供できる。
【0044】
また、操作軸4、及び作動部材6を合成樹脂の成型品で形成したため、両者間における摺動動作が円滑で、摺動音も極めて少ない多方向入力装置を提供できる。 また、底板8には、テーパー部を有する突部8eを設け、該突部8eに作動部材6が乗り上げるようにしたため、作動部材6の軸方向の押し上げ動作をスムースにできて、操作の円滑な多方向入力装置を提供できる。
また、突部8eを円錐状で形成したため、360度の全円周で作動部材6の軸方向の押し上げ動作をスムースにでき、操作の円滑な多方向入力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多方向入力装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の多方向入力装置に係わる第2連動部材の上面図である。
【図3】本発明の多方向入力装置に係わる第2連動部材の正面図である。
【図4】本発明の多方向入力装置に係わる第2連動部材の側面図である。
【図5】本発明の多方向入力装置に係わる操作軸の上面図である。
【図6】本発明の多方向入力装置に係わる操作軸の正面図である。
【図7】図5の7−7線における断面図である。
【図8】本発明の多方向入力装置の要部の縦断面図である。
【図9】図8の9−9線における断面図である。
【図10】図8の10−10線における要部の断面図である。
【図11】図8の11−11線における要部の断面図である。。
【図12】本発明の多方向入力装置の動作を説明するための説明図である。
【図13】本発明の多方向入力装置の動作を説明するための説明図である。
【図14】従来の多方向入力装置の分解斜視図である。
【図15】従来の多方向入力装置の動作を説明するための説明図である。
【図16】従来の多方向入力装置の動作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 枠体
1a〜1d 側板
1e 上板
1f 操作孔
1g 丸孔
1h 支持部
1k 取付端子
1m 舌片
2 第1連動部材
2a スリット孔
2b 支持部
2c 部品操作部
3 可変抵抗器
3a ケース
3b 基板
3d 摺動子受け
3e 操作部
4 操作軸
4a 摘み部
4c 筒状部
4d 収納部
4e 平坦部
4f 軸部
4g 軸支部
4h 先端部
4j 傾斜部
4k グリス溜部
4m 突起
4n 突部
5 第2連動部材
5a 支持部
5b 側壁
5c 中心孔
5d 丸形の孔
5e ストッパー部
5f 第1アーム部
5g 第2アーム部
5h 支持部
5j 部品操作部
5m 部品操作部
6 作動部材
6a 基部
6b ボス部
6c 軸孔
6d 凹条部
6e 凹部
6f 円弧状面部
6g 突起
7 付勢部材
8 底板
8a 側板
8b 内底面
8c 部品取付部
8d ガイド部
8e 突部
9 押し釦スイッチ
9a ステム部
10 グリス溜部

Claims (5)

  1. 枠体と、互いに直交した状態で前記枠体に回転可能に取り付けられた第1と第2の連動部材と、該第1と第2の連動部材に対して垂直方向に配置された状態で、前記第1、或いは第2の連動部材に保持され、前記第1と第2の連動部材を回転する傾倒動作可能な操作軸と、前記操作軸の軸方向に対して直交した状態で配設された底板と、前記操作軸に保持されて、前記操作軸の軸方向に移動可能な作動部材と、前記作動部材の底部を前記底板上に弾圧する付勢部材と、前記操作軸の傾倒動作により前記第1、或いは第2の連動部材を介してそれぞれ操作される電気部品とを備え、前記操作軸は、前記付勢部材を収納する筒状部を有し、前記作動部材は、前記底板に摺接する基部と、該基部上に設けられた突起とを有し、前記基部の中央部には、前記操作軸の筒状部に挿入されるボス部が突出して設けられ、このボス部が前記操作軸の軸方向に移動可能に嵌合されて、前記作動部材のボス部が前記操作軸の筒状部内でスプライン結合されており、前記操作軸の傾倒動作時において、前記筒状部の下縁に前記突起が当接して、前記作動部材が前記操作軸と前記底板との間で挟持されて、前記作動部材の軸方向の移動が停止すると共に、前記操作軸の傾倒動作をストップするようにしたことを特徴とする多方向入力装置。
  2. 前記筒状部の下縁を平坦面にすると共に、前記突起の上部を平坦面にし、前記筒状部と前記突起の平坦面同士を当接させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の多方向入力装置。
  3. 前記操作軸、及び前記作動部材を合成樹脂の成型品で形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の多方向入力装置。
  4. 前記底板には、テーパー部を有する突部を設け、該突部に前記作動部材が乗り上げるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の多方向入力装置。
  5. 前記突部を円錐状で形成したことを特徴とする請求項4記載の多方向入力装置。
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