JP3884236B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の操舵を助ける補助トルクを操舵機構に付与する電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の電動パワーステアリング装置の論理的な構成を例示する制御ブロックダイヤグラムである。この従来装置における制御手順は概ね以下の通りである。
即ち、ステアリング系の操舵トルクτを検出するトルクセンサ2からの操舵トルク信号(操舵トルクτの大きさ及び向き)をコントローラ7に入力し、高周波ノイズを減衰させる減衰手段で操舵トルク信号の高周波ノイズを除去した後に、系の安定を目的とした位相補償部に入力する。
【0003】
そして、この様にして位相補償された操舵トルク信号(操舵トルクτ)と、車速センサ6からの車速信号(車速V)とを目標電流設定部に入力し、これらの物理量(τ,V)に基づいて、電動モータ3に通電すべき目標電流IA の値(アシスト電流の指令値)を決定する。この様にして決定された目標電流IA の値は、電動モータ3に実際に通電されている駆動電流を検出してフィードバックするPI制御(比例・積分制御)部等から成る制御手段により達成される。尚、図中のI/Fは各検出手段(センサ)に関する入力インターフェイス部を表しており、また、各A/Dはアナログ信号に対するデジタル変換器(A/D変換器)を表している。
【0004】
図8は、公知或いは一般の電動パワーステアリング装置の目標電流設定部で使用される、操舵トルクτと目標電流IA との関係を例示するグラフである。
一般的には、例えば本図8の様に、上記の物理量(τ,V)等を利用して、電動モータ3に通電すべき目標電流IA の値(電流指令値)を決定しており、従って、従来装置においても、低速コーナーリング時や車庫入れ時等には、操舵に対する十分な補助力が得られる様になっている。また、本図8の様な設定により、高速走行時には適度な操舵感と走行安定性が確保される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8の偏微分値∂IA /∂τが比較的大きくなっている部分では、即ち、例えば低速走行時に操舵トルクτの絶対値をb付近にまで上昇させる場合等においては、検出された操舵トルクτ(操舵トルク信号)が有するノイズ等の振動成分も同時に大きく増幅されてしまうので、運転者にとって不快な異音や振動が発生する結果となり望ましくない。
また、低速走行時には、車室内の暗騒音や振動が高速走行時よりも低い(小さい)という事情もあり、上記の問題は低速走行時に、より顕著に表面化する。
【0006】
この問題に対する対策として、例えば、カットオフ周波数(除去すべきノイズの周波数帯域の下限値)を画一的に下げてしまうと、ノイズの除去処理は一応徹底されるものの、操舵トルク信号に含まれている必要な信号成分まで減衰させてしまう場合が生じる。従って、この様な場合には、電動パワーステアリング装置としての応答性等が劣化してしまい、これにより操舵感が悪化してしまう。
【0007】
また、図8のグラフの偏微分値∂IA /∂τが比較的大きくなる部分を無くす様に、図8の関係(グラフ形状)を変形すると、低速走行時に|τ|=b付近で十分なアシスト電流(IA )が得られなくなったり、或いは、図8のグラフの原点付近においてもアシスト電流(IA )が現れるグラフ形状と成ってしまう。
このため、低速走行時に|τ|=b付近で十分な補助力が得られなくなったり、直進走行時に十分な中立感が得られなくなる等し、やはり操舵感が悪化してしまう。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、所望の操舵感を損なうことなく、操舵トルク信号等が有するノイズ等に起因する車室内の不快な異音や振動を低減することである。
【0009】
【課題を解決するための手段、並びに、作用及び発明の効果】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、第1の手段は、車両の操舵を助ける補助トルクを操舵機構に付与するモータと、運転者がステアリングホイールに付与する操舵トルクτの大きさ及び向きを検出するトルクセンサと、モータを駆動制御するモータ制御装置とを有する電動パワーステアリング装置において、操舵トルクτの検出値又は関連値が有するノイズ等の特定周波数成分を除去する減衰手段と、この除去すべき特定周波数成分の周波数帯域の定義領域を、運転者の操舵状態又は車両の走行状態に基づいて、動的に変更する減衰特性可変手段とを設けることである。
【0010】
所望の操舵感を実現するために電動パワーステアリング装置に要求される応答性能のレベルは、操舵や走行に関する個々の状況によって動的に変化し、必ずしも高い程良いと言うものではない。即ち、運転者の操舵状態や或いは車両の走行状態によっては高い応答性が要求されないケースもあり、この様な場合には、装置の応答性をある程度下げても、所望の操舵感を実現する上で差し支えない場合が少なくない。また、この様な状況下では、車速Vが小さい等の理由から、車室内の暗騒音が低い場合が多く、よって、操舵トルク信号等が有するノイズ等に起因する車室内の不快な異音や振動の問題が表面化し易い場合が少なくない。
【0011】
本発明の第1の手段によれば、上記の減衰特性可変手段により、除去すべき特定周波数成分の周波数帯域の定義領域を運転者の操舵状態又は車両の走行状態に基づいて動的に変更できるので、高い応答性が要求されないと判断される場合には、上記のカットオフ周波数を下げることにより、特に問題とならない範囲内において応答性は若干下がるものの、所望の操舵感を損なうことなく、車室内に発生若しくは伝達される異音や振動を低減することができる。
【0012】
即ち、検出された各種の物理量に基づいて、高い応答性が要求されているかどうかを定量的に推定することができ、よって、これらの場合には、前記のカットオフ周波数をある程度下げても良く、これにより、所望の操舵感を損なうことなく、車室内に発生若しくは伝達される異音や振動を低減することができる。
【0013】
具体的には、ステアリングホイールの角速度ωに応じて上記の周波数帯域の定義領域を変更する。
【0014】
ハンドル(ステアリングホイール)の据え切り時や、車速Vが極低速で操舵角θがある程度大きな場合や、或いはこれらの操舵に伴ってハンドルを保舵している場合等では、通常ステアリングホイールの角速度ωの値は小さい。また、これらの場合には、補助力(モータの出力トルク)の値を急激に変動させるべき必要性もまた小さいと考えられる。更に、これらの場合には、車室内の暗騒音が低い場合が多い。
【0015】
そこで、上記の手段により、ステアリングホイールの角速度ωに応じて上記の周波数帯域の定義領域を変更することにより、即ち、ステアリングホイールの角速度ωの変動に対して単調に略比例する様に、前記のカットオフ周波数を変化させることにより、所望の操舵感を損なうことなく、車室内に発生若しくは伝達される異音や振動を低減することができる。
【0016】
また、第2の手段は、上記の第1の手段において、上記の操舵トルクτの上記の関連値として、モータに通電させるモータ駆動電流に関する指令値を選択することである。
上記の様な減衰特性可変手段は、操舵トルクτを検出してから、この値に基づいて決定すべき目標電流(電流指令)の値IA を算出するまでの任意の中間段階において有効である。したがって、上記の第2の手段によっても上記の作用・効果を得ることができる。また、この様な第2の手段を用いれば、操舵トルク信号が有する振動成分の他にも、その他の各センサ等から入力された制御信号等に含まれた振動成分をも同時に除去することができるため、多数のセンサを用いてより複雑な電流制御を実施した場合にも、より幅広い制御範囲において上記と同様の作用・効果が得られる。
【0017】
また、第3の手段は、上記の第1又は第2の手段の減衰特性可変手段において、車両の速度Vに応じて上記の周波数帯域の定義領域を変更することである。
車速Vが小さい場合には、車室内の暗騒音も低く、更に、補助力(モータの出力トルク)の値を急激に変動させるべき必要性もまた比較的に小さいものと考えられる。
【0018】
そこで、上記の第3の手段により、車速Vに応じて上記の周波数帯域の定義領域を変更することにより、即ち、車速Vの変動に対して単調に略比例する様に、前記のカットオフ周波数を変化させることにより、所望の操舵感を損なうことなく、車室内に発生若しくは伝達される異音や振動を低減することができる。
【0019】
また、第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段の減衰特性可変手段において、操舵トルクτ、車両のトランスミッションの変速ギヤの状態S、ステアリングホイールの操舵角θ、ステアリングホイールの角加速度α、或いは、これらの物理量τ,S,θ、又はα等に関する関連値に応じて、上記の周波数帯域の定義領域を変更することである。
【0020】
例えば、車両が後方へ後退中(変速ギヤの状態S=リバース状態R)で、図8において「2b/3≦|τ|≦b」なる場合や、或いは更に|θ|>400°なる場合等には、例えば車庫入れ中に保舵している状況等が、その際の状況の1例として考えられる。また、これらの諸条件が満たされている場合等では、電動パワーステアリング装置に対して高い応答性が要求されている状況は考え難い。
また、これらの諸条件が満たされている場合には、車室内の暗騒音が低い場合が多いものと推定される。
【0021】
例えばこの様に、検出された各種の物理量に基づいて、高い応答性が要求されている状態かどうか、或いは、車室内の暗騒音が低い状態かどうか等を定性的或いは定量的に推定することができる。したがって、これらの条件判定が可能な場合には、その時点で要求されている応答性のレベルに応じて前記のカットオフ周波数をある程度下げても良く、これにより、所望の操舵感を損なうことなく、車室内に発生若しくは伝達される異音や振動を低減することができる。
【0022】
また、トランスミッションの変速ギヤの段数等から車速Vの概略値を推定したり、ステアリングホイールの角加速度α等から操舵トルクτの概略値を推定したりして、これらの推定値を上記の状況判断に利用することもできる。
【0023】
尚、上記の第1乃至第4の各手段の間には特段の背反関係は無く、よって、上記の各手段は、それぞれ任意或いは適当に組み合わせて上記と同様の作用・効果をより効果的に引き出すことができるものである。
以上の手段により、前記の課題を効果的に解決することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0025】
(第1実施例)
図1は、本発明の各実施例に係わる電動パワーステアリング装置100の基本的な論理構成を例示する模式的なハードウェア構成図である。
モータ制御装置として作動するコントローラ7は、車速センサ6から車速信号を入力し、また、トルクセンサ2からは運転者がステアリングホイール1に及ぼした操舵トルクτに関するトルク信号を入力して、これらの検出値に見合った補助トルクがモータ3から出力される様に、モータ3の駆動電流を制御する。
【0026】
図2は、電動パワーステアリング装置100を制御する、本第1実施例の制御ブロックダイヤグラムである。
トルクセンサ2により検出されたトルク信号(操舵トルクτ)は、所定の入力インターフェイス(I/F,A/D)を介して、デジタル化された形で上記のコントローラ7のマイコンに入力される。その後、このトルク信号(操舵トルクτ)は、高周波ノイズを除去するロウ・パス・フィルタ71、即ち、ソフトウェアで具現された減衰手段1により、特定の周波数以上の周波数帯域に属する振動成分が減衰処理される。例えば、この減衰対象の周波数帯域の下限値としては100〜200Hz程度で良い。
【0027】
更に、上記の高周波ノイズが除去されたトルク信号(操舵トルクτ)は、制御系を安定させる目的で、位相補償部72によって位相補償処理が施され、その後、目標電流設定部73に入力される。目標電流設定部73では、位相補償処理が施された上記のトルク信号(操舵トルクτ)と、車速演算部74によって算出された車速Vに基づいて、例えば前述の図8のグラフに例示される関係を満たす様に、電流指令の暫定値(目標電流IA ’)が、操舵トルクτの関連値として算出される。更に、この目標電流IA ’は、減衰特性可変手段を備えた減衰手段2(75)により、上記の減衰手段1では十分に除去されなかった低周波ノイズも除去されて出力される。
【0028】
図3は、本第1実施例の「減衰手段2」の入力信号と出力信号との関係を例示する、減衰手段2(75)内部の制御ブロックダイヤグラムである。
(記号説明)
|V|… 車速の絶対値
|ω|… 操舵速度(ステアリング・ホイールの角速度)の絶対値
G … ゲイン
fc1 … カットオフ周波数の基準値
fc … カットオフ周波数(fc =fc1×G)
IA ’… 目標電流の暫定値
IA … 目標電流の指令値
S … 微分演算子
【0029】
ゲイン演算部75aでは、以下の次式(1)により、ゲインGを算出する。
【数1】
G = a×|V|+G0 (a>0,G0>0) …(1)
【0030】
カットオフ周波数演算部75bでは、以下の次式(2)により、カットオフ周波数の基準値fc1を算出する。
【数2】
fc1 = b×|ω|+f0 (b>0,f0>0) …(2)
【0031】
減衰処理部75cでは、次式(3)、(4)に示す様に、演算子g(伝達関数g)を用いて目標電流の暫定値IA ’から目標電流の指令値IA を算出する。
【数3】
g = 1/((S/2πfc )+1)) …(3)
【数4】
IA =gIA ’ …(4)
【0032】
ただし、上記の式(1),(2)は必ずしも1次式である必要はない。例えば、カットオフ周波数fc (=fc1×G)の上限値が100〜200Hz程度となる様な関数やデータマップを用いても良い。
また、上記の各定数a,G0,b,f0の好適値又は最適値は、モータ3のより具体的な仕様や、或いはモータ3の駆動方式、搭載車種、前提ユーザ層等により、チューニングする余地を有するが、以下の各条件等から経験的に決定することができる。
【0033】
(条件1)中速域や、或いは高速域等での通常の走行時には、操舵トルクτや指令電流IA が有するべき有効周波数成分(必要周波数帯域)は、100Hz以下である。
(条件2)モータの駆動電流の振動成分に起因して発生する不快な異音や振動の周波数は、50Hz〜200Hz程度である。
(条件3)据え切りの保舵時等では、設定すべきカットオフ周波数fc は、5Hz〜20Hz程度である。
【0034】
例えば、以上の様な手順に従って、減衰手段2(75)は、車速Vと操舵速度ωの各値に基づいてカットオフ周波数fc を決定し、このカットオフ周波数fc に従って、目標電流の暫定値IA ’が有する振動成分を除去して、目標電流の指令値IA を算出する。
【0035】
図2のPI制御77では、モータ電流検出器が検出したモータ電流の現在の値(実電流)に基づいて、上記の様に算出された目標電流の指令値IA がモータ3に通電される様に、フィードバック制御(比例・積分制御)を行い、モータ3に印加すべき電圧の値を算出し、PWM演算部78に出力する。PWM演算部78は、入力された指令電圧に基づいて、モータ駆動回路が有する図2のスイッチ回路をPWM制御にて電子制御する。
【0036】
例えば、以上の様な構成にしたがって、モータ3に通電するモータ電流を制御することにより、上記の減衰手段2(75)の動作を中心とする、本電動パワーステアリング装置100の動作に基づいた、以下の様な作用・効果を得ることができる。
【0037】
図4は、下記の「操舵条件1」における、(a)従来の電動パワーステアリング装置(図7)での目標電流(IA )の経時的変化を例示するグラフと、(b)本第1実施例での目標電流(IA )の経時的変化を例示するグラフである。
(操舵条件1)
(i)操舵速度 : ω=0.01〔rad/sec〕
(ii)車速 : V≒0〔km/hr〕
【0038】
例えばこの「操舵条件1」の様に、車速Vと操舵速度ωの各絶対値がそれぞれ特に小さい、所謂据え切り保舵状態の場合等には、上記の減衰手段2によりカットオフ周波数fc が5Hz〜20Hz程度と低く設定されるため、従来(図4(a))と比較して低周波ノイズが十分に除去された指令値IA (アシスト電流)が生成される(図4(b))。したがって、これらの場合には、車室内に発生する異音や振動が効果的に低減される。また、これらの場合に必要とされる目標電流(指令値IA )の周波数成分は、概ね数Hz程度以下であるため、応答性や操舵感に支障を来す様な問題も発生しない。
【0039】
図5は、下記の「操舵条件2」における、(a)従来の電動パワーステアリング装置(図7)での目標電流(IA )の経時的変化を例示するグラフと、(b)本第1実施例での目標電流(IA )の経時的変化を例示するグラフである。
(操舵条件2)
(i)操舵速度 : ω=6〔rad/sec〕
(ii)車速 : V=40〔km/hr〕
【0040】
例えばこの「操舵条件2」の様に、中速域や、或いは高速域等での通常の走行時等では、操舵トルクτや指令電流IA が有するべき有効周波数成分(必要周波数帯域)の上限値(=カットオフ周波数fc )が上記の減衰手段2により100Hz程度にまで引き上げられるため、本図5に例示する様に、ノイズの目標電流IA に対する影響は幾分残る(図5(b))。しかしながら、これらの場合には、前述(図8)の偏微分∂IA /∂τの値が比較的小さくなっていたり、或いは、車室内の暗騒音等が比較的高く成っていたりする等の事情により、異音や振動の問題は殆ど表面化しない。
【0041】
従って、例えば以上の様な構成により、所望の操舵感を損なうことなく、操舵トルク信号等が有するノイズ等に起因する車室内の不快な異音や振動を低減することができる。
【0042】
(第2実施例)
図6は、前記の電動パワーステアリング装置100(図1)を制御する、本第2実施例の制御ブロックダイヤグラムである。本図6の減衰手段1(71B)は、前述の第1実施例の減衰手段2(図2、図3)と類似或いは酷似の構造を有しており、この減衰手段1(71B)は、検出された操舵トルク信号(操舵トルクτ)に含まれているノイズ等の除去すべき特定周波数成分の周波数帯域の定義領域を、操舵速度ωや車速Vに基づいて動的に変更する減衰特性可変手段を備えている。
【0043】
例えばこの様に、減衰特性可変手段を備えた減衰手段(71B)を位相補償部72の前段又は後段に配置しても良い。この様な構成によっても、操舵トルク信号(操舵トルクτ)に含まれているノイズ等の特定周波数成分を効果的に除去することができ、これにより、例えば図4、図5に例示される様な第1実施例の効果と略同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、上記の第1実施例の減衰手段2(75)、及び第2実施例の減衰手段1(71B)では、操舵速度ωと車速Vに基づいてカットオフ周波数fc を決定する様に構成されているが、これらの減衰手段の減衰特性可変手段においては、前記のゲインGをある一定値に固定して、カットオフ周波数fc を操舵速度ωのみに基づいて決定する様にしても良い。この様な、比較的簡単な構成下においても、本発明の作用・効果を一定以上に得ることができる。
【0045】
また、上記の各実施例において、操舵速度推定部76の構成は任意であり、公知或いは適当な操舵速度の測定手段又は推定手段を用いて、操舵速度推定部76を構成することができる。これらの構成としては、例えば、ステアリングシャフト8に操舵角センサを取り付けて操舵速度ωを求めたり、モータ電流とモータ電圧の各測定値から操舵速度ωを推定したり、モータに取り付けられたレゾルバの測定値から操舵速度ωを推定したり、或いは、操舵トルクτの時間微分値を利用してより正確に操舵速度ωを推定したりする装置等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例に係わる電動パワーステアリング装置100の基本的な論理構成を例示する模式的なハードウェア構成図。
【図2】電動パワーステアリング装置100を制御する、本発明の第1実施例の制御ブロックダイヤグラム。
【図3】第1実施例の「減衰手段2」の入力信号と出力信号との関係を例示する、減衰手段2内部の制御ブロックダイヤグラム。
【図4】「操舵条件1」における、(a)従来の電動パワーステアリング装置(図7)での目標電流(IA )の経時的変化を例示するグラフと、(b)第1実施例での目標電流(IA )の経時的変化を例示するグラフ。
【図5】「操舵条件2」における、(a)従来の電動パワーステアリング装置(図7)での目標電流(IA )の経時的変化を例示するグラフと、(b)第1実施例での目標電流(IA )の経時的変化を例示するグラフ。
【図6】電動パワーステアリング装置100を制御する、本発明の第2実施例の制御ブロックダイヤグラム。
【図7】従来の電動パワーステアリング装置の論理的な構成を例示する制御ブロックダイヤグラム。
【図8】公知或いは一般の電動パワーステアリング装置の目標電流設定部で使用される、操舵トルクτと目標電流IA との関係を例示するグラフ。
【符号の説明】
100 … 電動パワーステアリング装置
1 … ステアリングホイール
2 … トルクセンサ
3 … 電動モータ
4 … 減速機
5 … ラック&ピニオンギヤ
6 … 車速センサ
7 … コントローラ(モータ制御装置)
8 … ステアリングシャフト
Claims (4)
- 車両の操舵を助ける補助トルクを操舵機構に付与するモータと、運転者がステアリングホイールに付与する操舵トルクτの大きさ及び向きを検出するトルクセンサと、前記モータを駆動制御するモータ制御装置とを有する電動パワーステアリング装置において、
前記操舵トルクτの検出値又は関連値が有するノイズ等の特定周波数成分を除去する減衰手段と、
除去すべき前記特定周波数成分の周波数帯域の定義領域を、前記ステアリングホイールの角速度ωに応じて、動的に変更する減衰特性可変手段とを有することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記操舵トルクτの前記関連値は、前記モータに通電させるモータ駆動電流に関する指令値であることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記減衰特性可変手段は、更に、前記車両の速度Vに応じて、前記定義領域を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記減衰特性可変手段は、更に、前記操舵トルクτ、前記車両のトランスミッションの変速ギヤの状態S、前記ステアリングホイールの操舵角θ、前記ステアリングホイールの角加速度α、或いは、これらの物理量τ,S,θ、又はα等に関する関連値に応じて、前記定義領域を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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