JP2003081122A - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

車両用操舵制御装置

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JP2003081122A
JP2003081122A JP2001277176A JP2001277176A JP2003081122A JP 2003081122 A JP2003081122 A JP 2003081122A JP 2001277176 A JP2001277176 A JP 2001277176A JP 2001277176 A JP2001277176 A JP 2001277176A JP 2003081122 A JP2003081122 A JP 2003081122A
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steering
disturbance
vehicle
steering torque
torque
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JP2001277176A
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Saikan Ri
載寛 李
Takashi Ota
貴志 太田
Yasuo Motoyama
廉夫 本山
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Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両用操舵制御装置に関し、大量に生産され
ている操舵装置をそのまま使用でき、コストアップを抑
制できると共に、制御の連続性を確保することができる
ようにして操舵フィーリングを良好なものにできるよう
にする。 【解決手段】 制御部30により操舵アクチュエータ1
1が制御され、操舵アクチュエータ11がドライバから
の人為的操舵トルクとは別に車両の操舵系に機械的操舵
トルクを入力する。このとき、状態量センサ21〜23
が操舵系に影響する車両の状態量α,V,rを検出し、
制御部30は、この検出された状態量α,V,rに基づ
いて、操舵系に加わる外乱のうち基準周波数よりも低域
の低周波数成分を該基準周波数よりも高域の高周波数成
分と分離して推定し、この推定された外乱に基づいて外
乱を抑制するように操舵アクチュエータ11の出力トル
クをフィードバック制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の操舵系にド
ライバからの操舵トルクとは別に操舵トルクを入力しう
る操舵アクチュエータをそなえ、この操舵アクチュエー
タによって操舵系に加わる外乱操舵入力を抑制するよう
に操舵系の操舵トルクを加える、車両用操舵制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両に搭載される操舵装置を高度
化するために、車載バッテリ電源の電動モータを追加
し、減速機を介してハンドルシャフトに連結し電動モー
タを操舵アクチュエータとして機能させる構造が適用さ
れている。このような操舵装置では、電動モータからハ
ンドルシャフトに要求される操舵トルクを加えることで
所要の操舵を行うことができる。この場合、操舵アクチ
ュエータとしての電動モータの出力トルクを制御するこ
とにより、ハンドルシャフトに加える操舵トルクを調整
することができる。
【0003】ところで、車両の走行時には、操舵系に様
々な外乱が加わり操舵に影響する。このような外乱には
横風,横勾配,路面等があるが、上述のような操舵アク
チュエータを有する操舵装置を利用して、このような外
乱に対する補償機能をもたせることも考えられる。つま
り、このような外乱の操舵への影響を相殺するように操
舵アクチュエータを作動させ外乱に対する補償を行え
ば、上述のようなドライバに代わる操舵をより適切に行
え、更には、操舵自体はドライバに委ねて上述のような
操舵装置を外乱に対する補償機能のみに利用して、操舵
フィーリングを改善することも可能になる。
【0004】このためには、操舵系に加わる外乱とドラ
イバトルクとを区別することが必要になる。しかしなが
ら、上述のような操舵装置では、外乱とドライバトルク
とを区別できず、外乱だけに対する補償機能をもたせる
ことができない。さらに、ドライバのハンドル操作も外
乱として誤認識してしまうため、制御時の操舵フィーリ
ングが悪くなるという課題もある。
【0005】従来、この問題点を解決する操舵制御装置
としては、例えば、「自動と手動運転が混在する自動車
用操舵装置の研究(外乱に起因する車両挙動変化の抑
制)(日本機械学会論文集C編,65巻,639号,199
9,163〜170)」に記載されている装置が知られて
いる。この装置では、ハンドルシャフトのトーションバ
ーの両端に新しく角度検出用レゾルバを設けることによ
って、外乱とドライバトルクとを同時に検出し、そのド
ライバトルクの検出値が例えば1.5[Nm]を越え、
かつモータトルクと逆方向になったときに、制御入力を
解除するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の角度
検出用レゾルバを設ける従来の操舵装置にあっては、大
量に生産されている操舵装置をそのまま使用できないと
いう不具合と、新しく追加されるレゾルバによるコスト
アップを招くという不具合が課題として考えられる。さ
らに、上記装置の制御部がドライバトルクの検出値(例
えば1.5[Nm])の付近で切り替えるようになって
いるため、制御の不連続性による操舵フィーリングの問
題も予測される。
【0007】なお、特許2967669号公報には、ド
ライバの操舵入力の入らない後輪の操舵に関する技術が
記載されているが、ドライバの操舵入力の入る操舵輪
(前輪)に関する上記のような課題には着目しておら
ず、上記の課題を解決しうるものではない。本発明は、
上述の課題に鑑み創案されたもので、大量に生産されて
いる操舵装置をそのまま使用でき、コストアップを抑制
できると共に、制御の連続性を確保することができるよ
うにして操舵フィーリングを良好なものにできるように
した、車両用操舵制御装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の車両用操舵制御装置では、制御手段により操
舵アクチュエータが制御され、操舵アクチュエータがド
ライバからの人為的操舵トルクとは別に車両の操舵系に
機械的操舵トルクを入力する。このとき、状態量検出手
段が操舵系に影響する車両の状態量を検出し、該制御手
段は、この状態量検出手段により検出された状態量に基
づいて、該操舵系に加わる外乱のうち基準周波数よりも
低域の低周波数成分を該基準周波数よりも高域の高周波
数成分と分離して推定し、この推定された外乱に基づい
て該外乱を抑制するように該操舵アクチュエータから該
操舵系に入力される機械的操舵トルク(該操舵アクチュ
エータの出力トルク)をフィードバック制御する。
【0009】操舵系に加わる外乱はドライバの入力する
人為的操舵トルクと分離して検出することは困難であ
り、状態量検出手段により検出された状態量に基づく外
乱にはドライバの入力する人為的操舵トルクも含まれて
しまうが、基準周波数をドライバの操舵操作を行う際の
周波数領域の上限値或いは上限値近傍として(請求項
2)、基準周波数よりも低域の低周波数成分と基準周波
数よりも高域の高周波数成分とに外乱を分離して外乱の
低周波数成分を推定すれば、状態量に基づく外乱からド
ライバの入力する人為的操舵トルク分を除くことが可能
になり、操舵系への外乱影響が抑制されて操舵フィーリ
ングが向上する。
【0010】また、該制御手段を、オブザーバと、低周
波数外乱消去手段と、フィードバック手段と、高域フィ
ルタとから構成し、オブザーバによって、該状態量検出
手段により検出された状態量から該外乱の低周波数成分
と該車両の他の状態量とを推定し、低周波数外乱消去手
段によって、該オブザーバにより推定された該外乱の低
周波数成分に基づいて該外乱の低周波数成分を抑制する
のに必要な操舵トルク量を算出し、状態フィードバック
手段によって、該状態量検出手段により検出された状態
量と該オブザーバにより推定された状態量とからドライ
バの入力する人為的操舵トルクと該外乱の高周波数成分
とを抑制するのに必要な操舵トルク量を算出して、高域
フィルタによって、該状態フィードバック手段により算
出された操舵トルク量のうち該外乱の高周波数成分を抑
制するのに必要な操舵トルク量分のみを取り出すように
してもよい。
【0011】これによって、状態量に基づく外乱からド
ライバの入力する操舵トルク分を除いて外乱のみによる
操舵影響を抑制するように、操舵アクチュエータの機械
的操舵トルクをフィードバック制御することができ、操
舵系への外乱影響が抑制されて操舵フィーリングが向上
する(以上、請求項3)。上記の該操舵系に加わる外乱
の基準周波数よりも低域の低周波数成分とは、車両に加
わる横外乱であることが好ましい(請求項4)。
【0012】該制御手段に、ドライバの操舵を案内する
のに必要な案内操舵トルクを設定する案内操舵トルク設
定手段と、上記外乱に応じて該外乱を抑制するのに必要
な外乱抑制操舵トルクを推定する外乱抑制操舵トルク推
定手段とを設けて、該要求操舵トルク設定手段により設
定された案内操舵トルクと該外乱抑制操舵トルク推定手
段により推定された外乱抑制操舵トルクとに基づいて該
操舵アクチュエータの機械的操舵トルクをフィードバッ
ク制御するようにしてもよい。
【0013】これによって、外乱による操舵影響を抑制
するようにして、良好な操舵フィーリングを確保しなが
ら、操舵アクチュエータの機械的操舵トルクによってド
ライバに操舵を案内することができるようになる(以
上、請求項5)。該案内操舵トルク設定手段では、ドラ
イバに代わって該車両を走行中の走行レーン内に保持す
るために必要な操舵トルクを該案内操舵トルクとして設
定するようにしてもよい。
【0014】これによって、操舵系への外乱影響を抑制
するようにして、良好な操舵フィーリングを確保しなが
ら、該車両を走行中の走行レーン内に保持するように案
内することができる(以上、請求項6)
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態について説明すると、図1〜図6は本発明の一実
施形態としての車両用操舵制御装置を示すもので、図1
はその機能構成を示すブロック図、図2はその構成を示
す模式図、図3はその制御対象を示す模式的なブロック
図、図4はその高域フィルタを示すブロック図、図5は
そのオブザーバを示すブロック図、図6はそのオブザー
バの極配置を示す図である。
【0016】本実施形態の車両用操舵制御装置は、図2
に示すように、車両の操舵系に搭載された操舵アクチュ
エータ11と、操舵系に関連する車両の状態量を検出す
る状態量センサ(状態量検出手段)21,22,23
と、これらの状態量センサ21,22,23により検出
された状態量に基づいて操舵アクチュエータ11を制御
する制御部(制御手段)30とから構成されている。
【0017】なお、制御対象である車両の操舵系は、図
3に示すように、操舵アクチュエータ11からの機械的
操舵トルクTmとドライバの入力する人為的操舵トルク
Thが入力されると、これに応じてステアリングホイー
ル(ハンドル系)2の操舵角αが調整され、操舵−車両
系2次モデルは、操舵角αと外乱φとに応答し、この応
答に応じた操舵反力(キングピン回り)Tsに対してパ
ワーステアリング系(パワステモデル)4が作用し、操
舵系に操舵反力(コラム軸回り)Tcとして加わる。こ
こでは、これらのハンドル系2,操舵−車両系2次モデ
ル5,パワステモデル4を合わせて制御対象3とする。
【0018】操舵アクチュエータ11は、車載のバッテ
リ電源(図示略)からの電力によって作動する電動モー
タにより構成され、減速機(図示略)を介して、ハンド
ルシャフト1に連結されている。これにより、操舵アク
チュエータ11からハンドルシャフト1に操舵トルクを
加えることで操舵を行うことができる。そして、操舵ア
クチュエータ11である電動モータの出力を調整すれば
ハンドルシャフト1に加える操舵トルクを制御すること
ができる。ここでは、操舵に関連する外乱を抑制するよ
うに、操舵アクチュエータ11から所要の操舵トルク
(以下、機械的操舵トルクという)を操舵系(ハンドル
シャフト1に)に付与するようにしている。
【0019】状態量センサとしては、ステアリングホイ
ール2の角度(ハンドル角)αを検出するハンドル角セ
ンサ21と、車速Vを検出する車速センサ22と、車両
のヨーレイトrを検出するヨーレイトセンサ23とがそ
なえられる。制御部30は、これらの状態量センサ(ハ
ンドル角センサ21,車速センサ22,ヨーレイトセン
サ23)によって検出された操舵系に関連する車両の状
態量(ハンドル角α,車速V,ヨーレイトr)に基づい
て、操舵に関連する外乱の操舵影響を抑制するように操
舵アクチュエータ11の出力トルク(機械的操舵トル
ク,モータトルクとも言う)の目標値Tmを設定し、こ
のモータトルクTmが得られるよいうに、操舵アクチュ
エータ11を制御する。
【0020】ところで、操舵制御の対象である制御対象
(車両要部)3の操舵に関連した動きに影響を与えるの
は、ステアリングホイール2を通じたドライバからの操
舵トルク(人為的操舵トルク)Thと、操舵アクチュエ
ータ11からの機械的操舵トルク(モータトルク)Tm
と、操舵に関連する外乱φとがあげられる。モータトル
クTmは容易に把握できるが、人為的操舵トルクThと
外乱φとはそれぞれを個別に把握することは困難であ
る。
【0021】つまり、操舵系に実際に加わった操舵トル
ク、即ち、人為的操舵トルクThとモータトルクTmと
外乱φとの和は、車両の状態量(ハンドル角,車速V,
ヨーレイトr)に基づいて算出でき、モータトルクTm
自体は把握できることから、人為的操舵トルクThと外
乱φとの和までは算出できるが、人為的操舵トルクTh
と外乱φとを個別に把握することは困難である。
【0022】そこで、この車両用操舵制御装置では、ド
ライバの操舵操作の周波数的特性に着目して外乱φのみ
を抑制しうる操舵トルクを推定するようにしている。つ
まり、「デルタ演算子を用いて設計したロバストな自動
車用位置決めサーボ系の制御器」(計測自動制御学会論
文集,27巻,6号,1991,705〜710)に
は、自動車を運転する時、ドライバの操作はおおむね3
[Hz]以下の周波数域であると記載されている。これ
に対して、横風,横勾配,路面,モデリング誤差などか
ら生ずる外乱は広い周波数域で操舵系に影響を及ぼす。
【0023】本装置では、前記の3[Hz]を基準(基
準周波数)にして、外乱を以下のように二つの成分で分
離する(f:周波数[Hz])。 φ(外乱)=φl(低周波数域外乱:0≦f≦3)+φh(高周波数域外乱:3≦f) ・・・(1) そこで、本装置の制御部30は、図1に示すように、オ
ブザーバ31と、低周波数域外乱消去部分(低周波数域
外乱消去手段)32と、状態フィードバック制御部分
(状態フィードバック制御手段)33と、高域フィルタ
34とをそなえて構成されている。
【0024】このうち、オブザーバ31は、状態量セン
サ(ハンドル角センサ21,車速センサ22,ヨーレイ
トセンサ23)によって検出された操舵系に関連する車
両の状態量(ハンドル角α,車速V,ヨーレイトr)に
基づいて、外乱の低周波数成分φlと、計測することが
できない車両の他の状態量[ハンドル角速度α´(=d
α/dt),車両の横速度ν]とを推定する。
【0025】ここでは、図5に示すようにオブザーバを
設計しており、このオブザーバでは、以下の状態方程式
[式(2)]に示すように演算を行う。なお、図5で
は、オブザーバにより推定された値を他の値と区別する
ためにカッコを付して示している。
【0026】
【数1】
【0027】ただし、L=[l1,l2,l3Tは、オブ
ザーバのゲイン行列である。また、式(2)中の文字記
号は、以下の表1に示すような項目及び単位系である。
【0028】
【表1】
【0029】上記のゲイン行列Lは、以下のように設定
する。一般的に、オブザーバの極と状態フィードバック
制御系の極との配置については、複素平面上(図6参
照)で状態フィードバック制御系の極よりもオブザーバ
の極の方を左へ配置するのが望ましいことが知られてお
り、ここでは、オブザーバの極(Po1,Po2,Po3)を
次のように決めている。
【0030】状態フィードバック制御系と関連性のある
1,l2に対応する極Po1,Po2は、次式(3),
(4)に示すように決める。 Po1=(2λ)+j(2λ・tan30°) ・・・(3) Po2=(2λ)−j(2λ・tan30°) ・・・(4) ただし、λは状態フィードバック制御系の極の最小実数
部である。
【0031】状態フィードバック制御系と関連性のない
3に対応する極Po3は、次式(5)に示すように決め
る。 Po3=−V/30 低周波数域外乱φlは、上記の30/Vの時定数で推定
される。ここで、低周波数域外乱φlの主要な要因は横
勾配であり、横勾配以外の要因としては横風がある。
【0032】また、操舵−車両系の特性が車速によって
変動するため、各ゲインl1,l2,l3も車速の関数と
して算出できる。このようにゲイン行列Lを設定できれ
ば、状態量センサ21〜23によって検出されるハンド
ル角α,車速V,ヨーレイトrに応じて上記の式(2)
から、外乱の低周波数成分φlと、計測することができ
ない車両の他の状態量(ハンドル角速度α´,車両の横
速度ν)とを推定することができる。
【0033】低周波数外乱消去手段32では、オブザー
バ31により推定された外乱の低周波数成分φlに基づ
いてこの低周波数域外乱φlを抑制するのに必要な操舵
トルク量(補償量)Tφlを算出する。低周波数成分φl
とこれを抑制するのに必要な操舵トルク量(補償量)T
φlとの間には、相関関係があるので掛かる相関関係に
基づいて低周波数成分φlからこれを抑制するのに必要
な操舵トルク量Tφlを求めることができる。
【0034】状態フィードバック手段33では、状態量
センサ21〜23により検出された状態量(ハンドル角
α,車速V,ヨーレイトr)とオブザーバ31により推
定された状態量(ハンドル角速度α´,車両の横速度
ν)とから、ドライバの入力する人為的操舵トルクTh
と外乱の高周波数成分(高周波数外乱)φhを抑制する
のに必要な操舵トルク量Tφhとの合算値Tφh+hを算出
する。
【0035】ここでは、以下の4次状態方程式[式
(5)]を用いて値Tφh+hを算出するが、この式
(5)は、LQ制御方法に基づき、状態フィードバック
制御部分の制御ゲイン[κ1(V),κ2(V),κ
3(V),κ4(V)]を決めるために使われる制御対象
モデルである。但し、パワステの非線形特性を無視し、
線形関数で近似している(Th=0,φ=0)。また、式
(5)中の文字記号については、前記の表1に示してい
る。
【0036】
【数2】
【0037】高域フィルタ34は、状態フィードバック
手段33により算出された操舵トルク量Tφh+hのうち
外乱の高周波数成分(高周波数外乱)φhを抑制するの
に必要な操舵トルク量分Tφhのみを取り出すものであ
る。これによって、高域フィルタ34の出力量Tφh
高周波数域外乱φhだけを抑制する補償量になる。高域
フィルタ34には、例えば図4(a)に示すように、高
域フィルタ自体を用いてもよく、図4(b)に示すよう
に、低域フィルタを利用してもよい。
【0038】制御部では、このようにして求められた高
周波数域外乱φhだけを抑制する操舵トルク量(補償
量)Tφhと、低周波数外乱消去手段32で算出された
低周波数域外乱φlだけを抑制する操舵トルク量(補償
量)Tφlとの加算値(即ち、前周波数域外乱)Tφ
(=Tφl+Tφh)を、操舵アクチュエータ11の出力
トルク(モータトルク)Tmに設定し(Tm=Tφl
Tφh)、このモータトルクTmが得られるように、操
舵アクチュエータ11を制御する。
【0039】本発明の一実施形態としての車両用操舵制
御装置は、上述のように構成されているので、車両の走
行時には、制御部30において、オブザーバ31が、状
態量センサ(ハンドル角センサ21,車速センサ22,
ヨーレイトセンサ23)によって検出された操舵系に関
連する車両の状態量(ハンドル角α,車速V,ヨーレイ
トr)に基づいて、前記の状態方程式[式(2)]によ
って、外乱の低周波数成分φlと、計測することができ
ない車両の他の状態量(ハンドル角速度α´,車両の横
速度ν)とを推定する。
【0040】そして、低周波数外乱消去手段32が、オ
ブザーバ31により推定された外乱の低周波数成分φl
に基づいてこの低周波数域外乱φlを抑制するのに必要
な操舵トルク量(補償量)Tφlを算出する。さらに、
状態フィードバック手段33が、状態量センサ21〜2
3により検出された状態量(ハンドル角α,車速V,ヨ
ーレイトr)とオブザーバ31により推定された状態量
(ハンドル角速度α´,車両の横速度ν)とからドライ
バの入力する人為的操舵トルクThと外乱の高周波数成
分(高周波数外乱)φhとを抑制するのに必要な操舵ト
ルク量Tφhとの合算値Tφh+hを、前記の4次状態方程
式[式(5)]によって算出する。
【0041】そして、高域フィルタ34が、状態フィー
ドバック手段33により算出された操舵トルク量T
φh+hのうち外乱の高周波数成分(高周波数外乱)φh
抑制するのに必要な操舵トルク量分Tφhのみを取り出
す。制御部30では、このようにして求められた高周波
数域外乱φhだけを抑制する操舵トルク量(補償量)T
φhと、低周波数外乱消去手段32で算出された低周波
数域外乱φlだけを抑制する操舵トルク量(補償量)T
φlとの加算した値(即ち、前周波数域外乱)Tφ(=
Tφl+Tφh)を、操舵アクチュエータ11の出力トル
ク(モータトルク)Tmに設定し(Tm=Tφl+T
φh)、このモータトルクTmが得られるように、操舵
アクチュエータ11を制御する。
【0042】したがって、ドライバの入力する人為的操
舵トルクと分離して検出することが困難な外乱φのみの
大きさに応じて、この外乱φの影響を抑制するように操
舵アクチュエータ11によって制御用操舵トルクTm
(=Tφl+Tφh)を入力することができる。この結
果、操舵フィーリングに悪影響を起こす外乱影響を低減
又は排除することができ、操舵系への外乱影響を確実に
抑制して操舵フィーリングを向上させることができる。
【0043】しかも、本装置では、ハードウェアの改修
を行わず、ハンドル角センサ,車速センサ,ヨーレイトセ
ンサ,モータアクチュエータで構成される従来からの操
舵装置(図2参照)を用いて、高域フィルタを追加しソ
フトウェアを変更するだけで構成することができるの
で、大量に生産されている操舵装置をそのまま使用で
き、低コストで構成することができる。しかも、制御の
連続性を確保することもできる。
【0044】なお、本発明は、上述の実施形態に限定さ
れるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種
々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、操
舵系への外乱影響を抑制するためだけに、制御用操舵ト
ルクTmを設定し操舵アクチュエータ11を制御してい
るが、制御部30に、上記の外乱φを抑制するのに必要
な外乱抑制操舵トルクTφ(=Tφl+Tφh)を推定す
る機能(外乱抑制操舵トルク推定手段)に加えて、ドラ
イバの操舵を案内するのに必要な案内操舵トルクTgを
設定する機能(案内操舵トルク設定手段)を設け、要求
操舵トルク設定手段により設定された案内操舵トルクT
gと該外乱抑制操舵トルク推定手段により推定された外
乱抑制操舵トルクTφとを加算した値(Tg+Tφ)を
モータトルク(機械的操舵トルク)Tm(=Tg+T
φ)として、操舵アクチュエータをフィードバック制御
してもよい。
【0045】この場合、案内操舵トルクTgとは、該車
両を走行中の走行レーン内に保持するために必要な操舵
トルクをドライバに代わって付与するためのものとして
もよい。つまり、車両が走行レーンから逸脱しそうにな
るとこれを抑制するように、逸脱しそうな度合(車両の
走行レーン基準からの横ずれ量)に応じて案内操舵トル
クTgを設定することになる。
【0046】これによって、外乱による操舵影響を抑制
して、良好な操舵フィーリングを確保しながら、操舵ア
クチュエータから入力される制御用操舵トルクによっ
て、車両を走行中の走行レーン内に保持するように案内
するなど、ドライバに操舵を案内することができるよう
になる。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の車両用操舵制御装置によれば、該操舵系に加わる
外乱のうち基準周波数よりも低域の低周波数成分を該基
準周波数よりも高域の高周波数成分と分離して推定し、
この推定された外乱に基づいて該外乱を抑制するように
該操舵アクチュエータから該操舵系に入力される機械的
操舵トルクをフィードバック制御するので、基準周波数
をドライバの操舵操作を行う際の周波数領域の上限値或
いは上限値近傍とすることで(請求項2)、ドライバの
入力する人為的操舵トルクと分離して検出することが困
難である操舵系に加わる外乱のみの大きさを把握して、
この外乱影響を抑制するように操舵アクチュエータによ
って制御用操舵トルクを入力することができる。したが
って、操舵系への外乱影響を確実に抑制して操舵フィー
リングを向上させることができる。しかも、大量に生産
されている操舵装置をそのまま使用でき、低コストで構
成することができるのとともに、制御の連続性を確保す
ることもできる。
【0048】請求項3記載の本発明の車両用操舵制御装
置によれば、状態量に基づく外乱(ドライバの入力する
人為的操舵トルク分を含んだもの)からドライバの入力
する人為的操舵トルク分を除いて外乱のみによる操舵影
響を抑制するように、操舵アクチュエータの制御用操舵
トルクをフィードバック制御することができ、操舵系へ
の外乱影響が抑制されて操舵フィーリングが向上する。
しかも、ソフトウェア的な構成を特徴とするので、ハー
ドウェアの追加や変更をすることなく、低コストで上記
効果を得ることができる。したがって、大量に生産され
ている操舵装置をそのまま使用でき、低コストで構成す
ることができ、また、制御の連続性を確保することもで
きる。
【0049】請求項5記載の本発明の車両用操舵制御装
置によれば、外乱による操舵影響を抑制するようにし
て、良好な操舵フィーリングを確保しながら、操舵アク
チュエータから入力される制御用操舵トルクによってド
ライバに操舵を案内することができるようになる。請求
項6記載の本発明の車両用操舵制御装置によれば、外乱
による操舵影響を抑制するようにして、良好な操舵フィ
ーリングを確保しながら、該車両を走行中の走行レーン
内に保持するように案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての車両用操舵制御装
置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての車両用操舵制御装
置の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態としての車両用操舵制御装
置にかかる制御対象を示す模式的なブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態としての車両用操舵制御装
置にかかる高域フィルタを示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態としての車両用操舵制御装
置にかかるオブザーバを示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態としての車両用操舵制御装
置にかかるオブザーバについて説明する極座標を示す図
である。
【符号の説明】
3 制御対象(車両要部) 11 操舵アクチュエータ 21 状態量センサ(状態量検出手段)としてのハンド
ル角センサ 22 状態量センサ(状態量検出手段)としての車速セ
ンサ 23 状態量センサ(状態量検出手段)としてのヨーレ
イトセンサ 30 制御部(制御手段) 31 オブザーバ 32 低周波数域外乱消去部分(低周波数域外乱消去手
段) 33 状態フィードバック制御部分(状態フィードバッ
ク制御手段) 34 高域フィルタ
フロントページの続き (72)発明者 本山 廉夫 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 Fターム(参考) 3D032 CC08 DA03 DA15 DA23 DA33 DC13 DC40 EB16 EB17 EC22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の操舵系にドライバからの人為的操
    舵トルクとは別に機械的操舵トルクを入力しうる操舵ア
    クチュエータと、該操舵アクチュエータを制御する制御
    手段とをそなえるとともに、該操舵系に影響する車両の
    状態量を検出する状態量検出手段をそなえ、 該制御手段は、 該状態量検出手段により検出された状態量に基づいて、
    該操舵系に加わる外乱のうち基準周波数よりも低域の低
    周波数成分を該基準周波数よりも高域の高周波数成分と
    分離して推定し、この推定された外乱に基づいて該外乱
    を抑制するように該操舵アクチュエータから該操舵系に
    入力される機械的操舵トルクをフィードバック制御する
    ことを特徴とする、車両用操舵制御装置。
  2. 【請求項2】 該基準周波数は、ドライバの操舵操作を
    行う際の周波数領域の上限値或いは上限値近傍であるこ
    とを特徴とする、請求項1記載の車両用操舵制御装置。
  3. 【請求項3】 該制御手段は、 該状態量検出手段により検出された状態量から該外乱の
    低周波数成分と該車両の他の状態量とを推定するオブザ
    ーバと、 該オブザーバにより推定された該外乱の低周波数成分に
    基づいて該外乱の低周波数成分を抑制するのに必要な操
    舵トルク量を算出する低周波数外乱消去手段と、 該状態量検出手段により検出された状態量と該オブザー
    バにより推定された状態量とからドライバの入力する人
    為的操舵トルクと該外乱の高周波数成分とを抑制するの
    に必要な操舵トルク量を算出する状態フィードバック手
    段と、 該状態フィードバック手段により算出された操舵トルク
    量のうち該外乱の高周波数成分を抑制するのに必要な操
    舵トルク量分のみを取り出す高域フィルタとをそなえて
    いることを特徴とする、請求項2記載の車両用操舵制御
    装置。
  4. 【請求項4】 上記の該操舵系に加わる外乱の基準周波
    数よりも低域の低周波数成分とは、車両に加わる横外乱
    であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかの項に
    記載の車両用操舵制御装置。
  5. 【請求項5】 該制御手段は、ドライバの操舵を案内す
    るのに必要な案内操舵トルクを設定する案内操舵トルク
    設定手段と、上記外乱に応じて該外乱を抑制するのに必
    要な外乱抑制操舵トルクを推定する外乱抑制操舵トルク
    推定手段とをそなえ、該要求操舵トルク設定手段により
    設定された案内操舵トルクと該外乱抑制操舵トルク推定
    手段により推定された外乱抑制操舵トルクとに基づいて
    該操舵アクチュエータの機械的操舵トルクをフィードバ
    ック制御することを特徴とする、請求項1〜4の何れか
    の項に記載の車両用操舵制御装置。
  6. 【請求項6】 該案内操舵トルク設定手段では、ドライ
    バに代わって該車両を走行中の走行レーン内に保持する
    ために必要な操舵トルクを該案内操舵トルクとして設定
    することを特徴とする、請求項5記載の車両用操舵制御
    装置。
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