JP3884077B2 - 関節のための連続的受動運動装置 - Google Patents

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Description

発明の技術分野
本発明は、関節の運動療法のための連続的受動運動装置に係わり、特に手関節、足関節治療のための連続的受動運動装置に関する。
発明の背景
損傷を受けた関節のリハビリテーション及び治療が関節の連続的受動運動(CPM)の採用により促進されることが近年明らかになった。この連続的受動運動により、患者による筋肉協調あるいは制御の必要なくある肢関節部の動きを誘導することができる。多くの研究の結果、種々の関節のCPMにおいて、治癒又は回復時間が加速され、治癒が促進され、さらに重要なことには、治療の過程の最終において関節の十分な動きが保証されることが明らかになった。したがって、連続的受動運動療法を用いた関節のリハビリテーションは損傷を受けた関節の治療の重要な方法となっている。
手首、足首、肘関節の運動のための種々のタイプの装置、器具が知られている。例えば、米国特許第4,538,595号には手首、足首、肘関節の運動のための幾つかの受動運動装置が開示されている。図1ないし図4は手首運動装置を示すもので、アクチュエータ(作動装置)が前腕装具組立体に取着されている。アクチュエータアームがアクチュエータから手装具部に延び、操作の間において手の伸展(extension)/屈曲(flexion)動作が行われる。図18、図19、図24に示す肘関節の運動装置においては、円周方向のトラックを用いて肘関節の運動の間において上方腕部の長手軸に対する前腕及び手の角度を調整するようにしている。図8ないし図11に示す足首関節運動装置においては、アクチュエータが上部脚装具組立体に取着され、アクチュエータロッドが足支持部材に取着され、背屈/伸展運動が行われるようになっている。下部脚部の長手軸に対する足の放射方向の位置は図11に示すようにして調整することができる。
米国特許第4,650,183号には足及び足首関節のための運動装置が開示されている。この装置は運動のために用いられると共に、足首関節の機能を評価するのにも用いられる。この装置は使用者が使用中に腰掛けるベンチと、ピボット的にマウントされた足ペダルと、足ペダルに取着され、抵抗を与えるようにした油圧シリンダーとからなっている。
米国特許第5,067,479号には手首関節の治療のためのCPM装置が開示されている。この装置はベースにピボット的にマウントされたチューブ状シャフト内に摺動自在に設けられた入れ子式ロッドを有する。シャフトの一端は偏心トランスミッションにピボット的に取り付けられ、この偏心トランスミッションは上記ベースに支持されたモーターにより駆動される車輪を具備している。このベースは患者の手首の上部に紐で結び付けられるようになっている。このシャフトの他端は患者が掴まる握り部に接続されている。操作において、上記車輪は回転することにより上記ロッドを入れ子式に延ばし、回動させ、これにより手が手首に向けて動くようになっている。モーター収納アセンブリーの整合を調節することにより異なった種類の手首の運動を行うことができる。
米国特許第5,170,776号には足の受動関節運動に向けられた装置が開示されている。この装置は種々のガイドロッド、捩子、ベアリング、モーターに連結された足置きと、可動台とを具備している。
米国特許第5,352,185号には足首運動装置が開示され、これには支持部とシューとを備えたフレームが設けられ、それぞれ使用者の下方脚部と足とを受けるようにしている。この装置は2つのモーター(図1中、8、9)を必要とし、その内の1つは装置の一部を回動させ、足底屈曲/背延びを与えるために用いられ、他の1つは装置の他の部分を回動させ、下方脚部との関連において足の回外/回内を生じさせるようになっている。
生理学的動きの全ての範囲に亘って関節を動かすことのできるCPM装置があれば非常に有利となる。このような機能は徴候、患者について最大限の可能性に対し適用させることができる。ヒトの殆どの関節は1以上の軸を介して動き、また、ある関節は肩、腰などのように3つの軸を介して動く。公知の多くのCPM装置の主な欠点は、一度に1つの軸を介して関節が動くように設定することしかできないことである。CPM装置において2以上のアクチュエータを利用して一度に2つ以上の軸を介して関節が動くようにすることは、装置の大きさ、重量についての制約のため実用的でない。
したがって、種々の型の関節に対し適用でき、かつ、一度に2つ以上の軸を介して関節を全ての範囲で動かすことのできる関節治療運動装置が求められている。
発明の概要
本発明は解剖学的関節に連続的受動運動(CPM)を与えるための装置を提供することを目的とする。
すなわち、この装置は関節の一方の側において第1の肢節部に係合可能な第1の支持部材(22)と、関節の他方の側において第2の肢節部に係合可能な第2の支持部材(85)とを具備する。このCPM装置はアクチュエータ(42)と、先端部と基端部を有するシャフト(50)とを備える。該シャフト(50)がその基端部を介してアクチュエータ(42)にピボット結合されている。このアクチュエータ(42)はシャフト(52)をピボットさせて横向きの運動を与えることができる。この装置は、アーチ状トラック(40)が前記第1の支持部材(22)に取り付けられていて前記第1の肢節部の周りを少なくとも部分的に囲む大きさであることを特徴とする。前記アクチュエータ(42)は前記アーチ状トラック(40)に調整可能にマウントされることにより、前記アクチュエータ(42)が前記関節を中心としてアーチを描いて動くことができるようにされている。このCPM装置は、前記アクチュエータ(42)を前記アーチ状トラック(40)に対して所定の位置に着脱可能にロックするためのロック手段(48)を備える。前記第2の支持部材(85)がシャフト(50)の先端部に調整可能に取着されていることにより、前記第2の支持部材(85)の前記シャフト(50)への取り付け位置が、前記節部に対するアクチュエータ(42)の周方向位置に応じて調整可能となっている。
本発明のこの態様において、前記アクチュエータ(42)が前記アーチ状トラック(40)に摺動可能にマウントされており、前記CPM装置に保持された使用者の肢節部および前記アクチュエータ(42)が前記第1の肢節部の周りに動かされる際、アクチュエータ(42)に対するシャフト(50)のピボット結合が、前記第1の肢節部の長手軸に実質的に垂直な面内を動いて前記関節を通過する。
他の態様として、本発明は足首関節に連続的受動運動を与えるための装置を提供する。この足首CPM装置はフレーム(152)と、該フレーム(152)に取着され使用者の下方脚部を支持するための脚支持部材(172)とを具備する。前記脚支持部材(172)は前記下方脚部を内部に保持するためのハーネス(162)を備える。前記下方脚部は長手軸を画定する。この足首CPM装置は、前記フレーム(152)に取り付けられて下方脚部の周りに少なくとも部分的に延出する寸法を有するアーチ状トラック(170)を備える。アクチュエータ(180)が前記アーチ状トラック(170)に調整可能にマウントされており、前記下方脚部の周りで、アーチ状トラック(170)上の選択された位置にてアクチュエータ(180)をロックするためのロック機構(178)を備える。この足首CPM装置は、基端部および先端部を有するシャフト(184)を備える。前記シャフト(184)はその基端部において前記アクチュエータ(180)にピボット結合されており、前記アクチュエータ(180)は前記シャフト(184)をピボットさせて横向きの運動を与えることができる。この足首CPM装置は、使用者の足を受け入れられるように前記シャフト(184)の先端部にピボット可能に取り付けられた足支持部材(156)を備える。使用時には前記シャフトのピボット運動が前記足首関節の運動を与える。
【図面の簡単な説明】
以下、本発明に係わる連続的受動運動装置の添付図面を参照して説明するが、これらは単なる例示にすぎない。
図1aは本発明に従って構成された手首関節の運動のための連続的受動運動(CPM)装置の斜視図であって、手と腕が装置に係合されている;
図1bは図1a中の矢印1bから見た平面図;
図2は手首関節の運動のためのCPM装置の他の例を示す斜視図であって、腕支持手段が欠如されていて、また、該装置が2つの配向で示され、その内、実線は手首関節の尺側(ulnar)偏位/橈骨(radial)偏位を与える配向の装置の状態を示し、破線は手首関節の伸展及び屈曲を与える配向の装置の状態を示している;
図3は図1aの手首CPM装置の平面図であって、手首関節の尺側偏位/橈骨偏位を与える配向の装置に対する手及び手首の骨格構造の相対的位置関係を示している;
図4は図1aの手首CPM装置の側面図であって、手首関節の伸展及び屈曲を与える配向の装置に対する手及び手首の骨格構造の相対的位置関係を示している;
図5は図3中の矢印5の方向から見た前面図であって、骨格構造を覆う肉体及び握りを掴んだ手を示している;
図6は図4中の矢印6の方向から見た前面図であって、骨格構造を覆う肉体及び握りを掴んだ手を示している;
図7は図5、6と同様に手首CPM装置を示し、手首関節の伸展/屈曲及び尺側偏位/橈骨偏位の組合せを与える配向の装置の状態を示している;
図8は使用者の手首との関連で手首CPM装置の種々の配向を説明するものであって、本発明に係わる周方向トラック上のアクチュエータの配向に依存しつつ、手首関節の伸展/屈曲から偏位に至るまで手首の動きの変化を示している;
図9は本発明に係わる足首CPM装置の斜視図であって、足首の屈曲(plantarflexion)/背屈(dorsiflexion)運動を行う場合の方向を示す図;
図10は図9に示す足首CPM装置を部分的分解した状態を示す斜視図であって、シュー組立体の詳細を示す図;
図10aは図10に示す足首CPM装置のためのシューの他の例を示す図;
図11は本発明に係わる足首CPM装置の斜視図であって、足首関節の内がえし(inversion)/外がえし(eversion)運動を行う場合の配向を示す図;
図12はコントローラー形成部品のコントロールパネルを示す平面図;
図13aは図9に示す足首CPM装置における使用者の脚の図であって、足首関節の内がえし/外がえし運動を行う場合の装置の配向との関連で、足、足首及び下部脚部の骨格構造を示す図;
図13bは、図12aと同様に、足首の足底屈曲/背屈運動を与える場合の装置の配向との関連で、足、足首及び下部脚部の骨格構造を示す図;
図14は本発明に係わるアーチ状トラックにマウントされたアクチュエータの異なる位置についての足首の運動の型を説明する図;
発明の詳細な説明
A)手首CPM装置
図1aを参照すると、手首関節の運動のための連続的受動運動(CPM)装置は20で示されている。この手首CPM装置20は、破線で24として示される使用者の前腕を受理するための腕支持部材22を含む。この前腕24は長手軸を規定している。腕支持部材22は可撓性スリーブ26を含み、このスリーブ26は2つのフック/ループ型固定用ストラップ(紐)28、30をフック32、34とで前腕の周りに固定されている。
手首CPM装置20は更に支持部材22を備えたアーチ状トラック40を含む。この支持部材22はファスナーとスタンドオフ(図示しない)によりトラック40の内側表面に固定されている。アーチ状トラック40は半円形トラックであり、図1aに示されているものは約200度の角度の円弧を形成し、患者の前腕の周りに延び得る十分に大きい直径のものとなっている。
手首CPM装置20は更にモーター駆動のアクチュエータ42を具備し、このアクチュエータ42はハウジング44と、このハウジング44に固着されたスロット付きブラケット46とを備えている。このブラケット46はトラック40上に摺動自在に装着され、アクチュエータ42がトラック上の任意の位置に位置決めされ得るように調整可能となっている。また、ブラケット46は位置調整ロック48を有し、アクチュエータ42をトラック40上の任意の位置にてロックし得るようになっている。窪み49はスロット付きブラケット46との関連でトラック40についてのロック位置を規定するものである。トラック40上のアクチュエータ42の位置はロック調整部48と摺動アクチュエータ42を離脱させ、所望の位置に設定し、係止ロック48と係合させることによりセットされる。
手首CPM装置20はシャフト50を含み、このシャフト50の基端は円形ブラケット52に取り付けられている。このブラケット52はアクチュエータ42にマウントされている。このアクチュエータ42は操作においてハウジング44内に収納されたモーター(図示しない)によりピボットするようになっている。コントローラー/電力供給部54はコード56を介してアクチュエータ42に接続され、充電可能な電池及び/又は電力アダプター58を含むものであってもよい。ハウジング44内のモーターはハウジング44との関連でシャフト50を一方から他方へピポットさせる。
手支持部材85はブラケット72に取着された半円形リング70を具備し、このブラケット72はシャフト50の先端に固定されている。このブラケット72はシャフト50に沿って摺動自在になっている。リング70とブラケット72との間にはゴムパッド又はグロメット68が設けられ、これはリングとブラケットとの間の可撓性クッションとして作用し、ブラケット72に対し撓み得るようになっている。ロック捩子74がブラケット72に対しリング70を所望の位置でロックするのに用いられている。したがって、リングがブラケットを摺動することができないが、これらの間に圧着された可撓性パッド68により前後に撓んだり、揺動し得るようになっている。手支持部材85はU字形横断部材76を含む。このU字形部材76はその端部を介して一対の支柱78に取着されている。この支柱78は半円形リング70の両端部に接続されている。横断部材76は掴み部とループを提供し、フック型締付けストラップ(帯)はこの横断部材76を被覆し、使用者の手82を横断部材76に固定させる。
シャフト50の回動の範囲は、2つの運動範囲(ROM)摺動スイッチ53(図1bに示す)を調整することによりセットすることができる。これら摺動スイッチ53はハウジング44内に配置された角度計と連動するようにしてスロット55(図1a)内に配置されている。アクチュエータ上の目盛り付マーク57は運動停止リミットスイッチ53の位置をセットする場合の参照として用いられる。これらのスイッチ53は、シャフト50のピボット運動を制限することによりシャフト50が移動し得る角度の範囲を決定するものである。
コントローラー54は3−位置スイッチ59、すなわち、オン/オフに相当する位置1;フル荷重の50%に相当する位置2;フル荷重の100%に相当する位置3、を含むコントロール回路を具備する。このコントローラー54は更に、参照によってここに含まれる米国特許第4,716,889号に開示されているモーター電流をモニターするためのリバース・オン・ロード技術を含む。アクチュエータによりピボットするシャフト50は、予め設定された値の範囲で動作し、その範囲を超えた場合は、モーターが方向を変え、シャフト50を反対方向に移動させる。もし、患者がシャフト50の動きに抵抗した場合、モーター電流が増大し、閾値電流を一旦超えると、このユニットは方向を反転する。
図2は手首CPM装置90の他の例を示すもので、腕支持部材は示されていない。この手首CPM装置90は図1aの例の半円形トラック40とは対照的に円形形状のトラック92を含む。窪み94はスロット付ブラケット46との関連でのトラック92をロックするためのロック位置を提供する。図2に実線で示すように、モーターがアクチュエータ42上のシャフト50をピボットさせたとき、駆動バーが軸96の周りにピボットし、破線で示すようにアクチュエータがトラック90上に再配置されると、駆動バーが軸98の周りにピボットする。シャフト50の先端部がトラック92との関連でピボットする距離は使用者又はオペレータが手首の治療の制限に調和するように調整ないし予めセットし、伸展(extension)、屈曲(flexion)、尺側(ulnar)及び橈骨(radial)偏位についての全範囲又は所定範囲の運動を所望に応じて行うようにする。
ヒトの関節は単一の面内、垂直な面内、又はこれらの面の組合せ内で動かすことができる。本発明による運動範囲(ROM)の原則においては、トラックに沿って単一軸駆動が配置され、その中心は操作される関節と同軸であり、関節に対しあらゆる範囲の動きを与えることができる。手首CPM装置20、90の操作上の原則は同一である。
次に、図2を参照して説明すると、矢印100はCPM機構の仮想中心を示している。これは使用時において手首関節の解剖学的中心と一致する。手首CPM装置20の仮想中心も手首関節の解剖学的中心と一致する。使用者はその腕を支持部材22(図1a)に、手首関節がCPM機構の仮想中心100と整合するようにして縛り付ける。この場合、手首関節はシャフト50とアクチュエータ42の台との間のピボット点あるいは結合と整合している。手首関節とトラックとの相対的位置は固定されたままの状態であり、アクチュエータ42の位置はトラック92に沿って変化している。図2はアクチュエータ42がトラック92に沿って摺動するとき、手首と仮想中心100との相対的位置が固定されたままの状態に保たれることを示している。アクチュエータ42がトラック92に沿って約90度の角度変位した後の状態が破線で示されている。シャフト50のアクチュエータ42に対するピボット結合は手首関節の周りにアーチを描く方向で、かつ、前腕の長手軸に実質的に垂直な面にのみ移動するよう制限させる。この場合、手首関節はこの面に浮遊し、これにより関節に対する緊張、押圧が軽減される。このようにして、関節の運動範囲全体に亘って、関節の整合が保たれる。
アクチュエータ42が図2に実線で示す偏位を生じさせる位置から破線で示す屈曲を生じさせる位置へ移動するとき、それはトラック92に沿って90度の角度移動することになる。しかし、横断部材76がブラケット72に固定されているため、同じ軸を介して横断部材76も90度の角度回転することになる。リング70は逆方向に移動し中立位置に戻され、ここで横断部材76が使用者により握られる。これは、ノブ74を緩め、半円形リング70を回動し元の位置に戻すことにより達成される。したがって、アクチュエータ42がトラック40に沿って移動するとき、手支持部材を反対方向に移動させ手首関節を中立位置に保持させることができる。
手支持部材は、リング70とブラケット72との間のゴムパッド68の存在によりアクチュエータのピボット中心に対し浮遊し得るように作製されている。この変位はアクチュエータの同軸ピボット運動と解剖学的関節の同軸ピボット運動との相違を順応させる。この僅かな変位は、関節を予め設定された範囲で移動する間において、解剖学的関節に対する押圧と緊張を軽減させる。したがって、患者がグリップ部材を掴み、関節を種々の型に動作させたとき、このグリップ部材の浮遊作用が関節に対する好ましくないストレスが加わることを防止する。この浮遊性手支持部材は、ハンドグリップが駆動部にしっかりと固着された従来の装置と比較して非常に有利となる。本発明によれば、運動の面を変化させたときでも、解剖学的整合を維持させることができる。
図3、4は図1a、2の手首CPM機構と手首関節との相対的位置関係をそれぞれ示している。ここで、CPM機構の仮想中心100が手首関節の解剖学的中心と一致していることを示している。図3に示す配向は図1aの配向に相当し、ここでアクチュエータ42は手首及び前腕の直下に位置している。ブラケット72は横断部材76を握る指の直下に位置している。この位置において、モーターがシャフト50をピボットさせたとき、手首は矢印110で示す方向に強制的に橈骨偏位され、矢印112に示す方向に尺側偏位される。図2に破線で示すアクチュエータ42の位置は手首及び手に対し伸展及び屈曲の動きを与える。この場合、使用者の前腕は図4に示すように装置内にある。この位置において、シャフト50がピボットしたとき、矢印114で示す方向の手首の伸展が達成され、また矢印116で示す方向の手首の屈曲が達成される。
図5、6は図3、4においてそれぞれ矢印5、6から見た前面図であり、純粋な尺側偏位/橈骨偏位(図5)及び純粋な伸展/屈曲動作(図6)を与えるための手首に対するアクチュエータ42の位置決めをそれぞれ示している。図7は純粋な屈曲と偏位のための動作面間に45度の角度で位置づけられたアクチュエータ42を示しており、これによりシャフト50が駆動されたとき、手首は屈曲/伸展と偏位の組合せの動きを行うことになる。図8はトラック92上のアクチュエータ42の種々の位置に対応する手首の動きの型を要約して示している。
本発明に係わる手首CPM装置は公知のCPM装置との比較において多くの利点を有する。例えば、屈曲(角度、0ないし85度)、伸展(角度、0ないし85度)のための全範囲の動き、手首関節の十分な尺側偏位/橈骨偏位、各動作の調整可能な範囲の動きなどを行うことができる。更にこの装置は単に各純粋な動作のための位置相互間の任意の位置にアクチュエータを位置決めするだけで手首の組合された軸の動作を提供することができ、屈曲から偏位へ変化させるための再組立を必要としない。このような利点は、アクチュエータを肢節と関節の周りに再度位置決めするとき、手首関節をアクチュエータ及びアクチュエータシャフトのピボット点と整合するように維持させるアーチ状のトラックを有するアクチュエータ位置決め機構によって達成される。
B)足首CPM装置
図9ないし11を参照して説明すると、足首関節の受動運動のためのCPM装置が150で示されている。この足首CPM装置150はフレーム152を含み、これに破線で示された使用者の下方脚部158と足160を受け入れるための下方脚装具154とシュー156が取り付けられている。この装具154は可撓性スリーブ162を含み、このスリーブ162はこの装具154に下方脚部158を固定するための一対のフック/ループ型固定用ストラップ(紐)164を備えている。更に、好ましくは半円形のアーチ状トラック170が図11に示すように上端部171を介して上記フレーム152に取着されている。図10にのみ示すように、輪郭を型取った脚部支持部材172がその一端を介してトラック170の内方凹み面に取着され、図11に示すように脚部支持部材172の他端は垂直支柱174の頂部に固定されている。この支柱174は、下方脚部158が装具154に固定されたとき、脚部支持部材172と下方脚部158を支持する。
アクチュエータ180にはスロット付きブラケット182が設けられ、このブラケット182はトラック170上に揺動可能にマウントされている。図9、10に示すように、バネ付勢レバーハンドル178が、0ないし90度の角度範囲に亘って、トラック170のエッジ173に沿って10度毎に形成された窪み(図示しない)と係合するようになっていて、アクチュエータをトラック上の任意の位置にロックし得るようになっている。このアクチュエータ180は、図11に187で示すピボット結合によってシャフト184にピボット結合されたモーター(図示しない)を収納している。アクチュエータが動作しているとき、モーターはL形シャフトを矢印A、Bで示す方向にピボットさせる。アクチュエータ180はモーターのための2つの前方向/逆方向ボタン185、193を含む。これらボタン185、193はアクチュエータ・ハウジングの両側に1つずつ配置されている。図9に示すようにボタン185は矢印Aで示す方向にシャフト184を上に向けて駆動させ、ボタン193は矢印Bで示す方向にシャフト184を下に向けて駆動させる。アクチュエータ180には角度計210がマウントされ、アクチュエータとの関連でシャフト184のピボット運動の範囲をセットしたりモニターしたりするための参照として機能する。
L形シャフト184は2つのリーブ186、188を具備し、その間にデスク190が介在している。シュー156はリーブ186、188にピボット的に取り付けられた足裏又は足プレート192を含む。ロックノブ194がリーブ186、188相互を締付けるために用いられている。このノブ194を緩めることによりシャフト184に対するシュー156の角度を変化させることができ、ノブ194を締付けることによりシューを選択された角度にてロックし得るようになっている。図10の部分拡大図を参照すると、シュー156は、突部157を孔159に一致させ、押圧して嵌合させ、ついでシューを足プレートに対し摺動させることにより装着される。
図10aはシュー組立体300の他の例を示している。シュー302は底部304を含み、これに一対のボス306、308が離間して挿入されていて、底部304の側方から突出している。このシュー組立体300は足プレート314を含み、これの両側中間部に第1の対のスプリングタブ又はブラケット316が鋲止めされている。このタブ316には孔318が設けられ、これにボス306が受け入れられる。他の一対のブラケット324が足プレート314の裏に設けられ、そのそれぞれにはL形スロットを有する垂直延出部が設けられ、これにボス308が嵌合するようになっている。矢印はシューと足プレートとの組立を示し、ボス308がスロット326の垂直部と係合し、ついでシュー302を足プレートに対し押し下げスロット326の水平部にボス308を嵌合させるようにしている。この場合、タブ316の孔318にボス306がピッタリ嵌り込み、その結果、シューと足プレートとが相互にロックされる。シュー302を足プレート314から取外す場合は、タブ316を横方向に引き孔318からボス306を離脱させ、上記と反対の操作を行えばよい。
アクチュエータ180は、手動棒体202が設けられたコントローラ200(図9)に電気的に接続されている。患者により操作される棒体202は親指操作ボタン204を有し、このユニットをオン/オフし得るようになっている。このコントローラ200はバッテリーで動作させるようにしてもよいし、又はアダプター206を用いて壁ソケットから電力を供給してもよい。コントローラ200は制御電子機器と充電可能なバッテリー(図示しない)を含む。
図12はコントローラ200の好ましい例のフロントパネルを示している。これにはオン/オフボタン240、第1のリミットスイッチ242、第2のリミットスイッチ244並びにそれぞれに関連させた発光ダイオード表示部246が設けられている。使用者はスイッチ204を押し足首を動かす。スイッチ204を離すことによりアクチュエータ180が停止し、又は動作範囲をプログラムさせる。図9、12を参照して説明すると、アクチュエータ180のための動作範囲をセットするには、僅か2点のプログラミングを必要とするに過ぎない。すなわち、動作範囲の始点(リミット1)と動作範囲の終点(リミット2)である。この第1の位置又はリミットはボタン185をシャフトが第1のリミット1に達するまで押し、ついでボタン185を離し、リミットボタン242を押すことによりセットされる。第2のリミットはボタン193をシャフトが第2のリミット2に達するまで押し、ついでボタン193を離し、リミットボタン244を押すことによりセットされる。コントローラは患者又は治療者により手動でセットされるこれらの2つのROMリミットを記憶する。これらリミットの値がプログラム化され、記憶されると、アーム184がこの2つの選択されたリミットの間を走行する。このコントローラ200は上述のようにリバース・オン・ロード技術を利用している。
操作において、使用者は足又は脚を足首CPM装置150内に固定する。図9に示すように、トラック170の右又は左側に上端部を介してアクチュエータ180を装着させた状態において、スイッチを入れると、シャフト184及びシュー156がそれぞれ矢印A及びBの方向に上下にピボットする。これにより或る範囲の足底屈曲/背屈がもたらされる。特に図11を参照して説明すると、サブタラ(subtalar)関節複合動作のために、アクチュエータ180がトラックの底部に位置される。これにより矢印C及びDの方向の足首の或る範囲の内がえし/外がえし動作がもたらされる。シャフト184のアクチュエータ180へのピボット結合187は足首関節の周りにアーチを描く方向で、かつ、下方脚部の長手軸に実質的に垂直な面にのみ移動するよう制限されている。このようにして関節の整合(alignment)が関節の運動範囲全体に亘って維持される。
足首CPM装置150の動作範囲は、アーチ状トラック170に沿うアクチュエータ180の位置並びに上述の動作コントローラ200でセットした動作リミットの範囲に依存する。足首CPM装置150の動作範囲を屈曲から内がえし/外がえし動作に変更するためには、使用者はアクチュエータ180上のレバーハンドル178(図9)を押しアクチュエータをトラック170に沿って所望の位置にスライドさせる。このレバーハンドル178を解放することによりアクチュエータはその位置にてロックされる。アクチュエータがその選択された位置に固定されて状態において、足プレート192及びシュー156が垂直方向に回転され、ノブ194が締付けられる。内がえし/外がえしと屈曲/伸展との組合せからなる足首関節の運動は、アクチュエータ180を0ないし90度の間の或る角度にセットし、足プレートを垂直位置にピボットさせ、シューを垂直位置で固定することにより行うことができる。
図13a及び13bは患者の脚の配置を説明するものであり、アクチュエータ180に対する下方脚部250、足首関節252及び足254の相対的配置を示している。図13aに示す位置は図11に相当するもので、足首関節の或る範囲の内がえし/外がえし動作がもたらされ、足首CPM装置150の仮想中心260が足首関節252と一致している。この場合、足首関節はシャフト184とアクチュエータ180との間のピボット結合と整合している。足首の足底屈曲/背曲動作を与えるためのアクチュエータ180の図13bに示す位置への移動においても足首関節は依然としてピボット点と整合している。
図14は足首の運動の1つの型から他の型への移り変わりをアクチュエータ180のトラック170に対する位置の関数として説明するものである。したがって、上記手首CPM装置と同様に、半円形トラックに摺動可能にマウントされたアクチュエータは足首関節の周りに位置するピボット点を維持し、その異なる周方向の位置は足首関節の運動の異なる組合せを提供することになる。
上記の装置は受動運動が2以上の面で有効な他の関節に対しても適用し得ることは当業者にとって自明であろう。したがって、手首、足首関節のためのCPM装置についてその好ましい態様、変形例を説明したが、本発明の範囲は請求の範囲並びにその均等の範囲の全ての態様を包含すべく規定されるべきものである。

Claims (21)

  1. 解剖学的関節に連続的受動運動を与えるための装置であって、
    関節の一方の側において第1の肢節部に係合可能な第1の支持部材(22)と、関節の他方の側において第2の肢節部に係合可能な第2の支持部材(85)と、アクチュエータ(42)と、先端部と基端部を有するシャフト(50)と、を備えており、
    前記シャフト(50)がその基端部を介してアクチュエータ(42)にピボット結合され、前記アクチュエータ(42)はシャフト(52)をピボットさせて横向きの運動を与えることができる装置において、
    アーチ状トラック(40)が前記第1の支持部材(22)に取り付けられていて前記第1の肢節部の周りを少なくとも部分的に囲む大きさであり
    前記アクチュエータ(42)が前記アーチ状トラック(40)に調整可能にマウントされることにより、前記アクチュエータ(42)が前記関節を中心としてアーチを描いて動くことができるようにされており、
    前記装置が、前記アクチュエータ(42)を前記アーチ状トラック(40)に対して所定の位置に着脱可能にロックするためのロック手段(48)を備え、
    前記第2の支持部材(85)がシャフト(50)の先端部に調整可能に取着されていることにより、前記第2の支持部材(85)の前記シャフト(50)への取り付け位置が、前記肢節部に対するアクチュエータの周方向位置に応じて調整可能となっていることを特徴とする装置。
  2. 前記アクチュエータ(42)が前記アーチ状トラック(40)に摺動可能にマウントされており、前記装置に保持された使用者の肢節部および前記アクチュエータ(42)が前記第1の肢節部の周りに動かされる際、アクチュエータ(42)に対するシャフト(50)のピボット結合が、前記第1の肢節部の長手軸に実質的に垂直な面内を動いて前記関節を通過する請求の範囲1記載の連続的受動運動装置。
  3. 前記第2の支持部材(85)が、アーチ状リング(70)と、該アーチ状リング(70)に取り付けられたハンドグリップ部(76)と、前記シャフト(50)の先端部に調整可能に取り付けられたブラケット(72)とを備え、前記アーチ状リング(70)は前記ブラケット(72)に調整可能に取り付けられており、前記ブラケット(72)は前記アーチ状リング(70)を前記ブラケット(72)にロックするためのロック手段(74)を含んでいる請求の範囲1または2記載の連続的受動運動装置。
  4. 前記ブラケット(72)が弾性付勢手段(68)を含み、前記リング(70)が前記弾性付勢手段(68)に支承されていることにより、前記リング(70)が前記シャフト(50)に対し撓み得る請求の範囲3記載の連続的受動運動装置。
  5. 前記第1の支持部材(22)が、使用者の前腕を該第1の支持部材(22)に保持するための、スリーブ(26)を含んでいる請求の範囲3または4記載の連続的受動運動装置。
  6. 前記シャフト(50)の動作を制御するための制御手段(54)が前記アクチュエータ(42)に接続されている請求の範囲1から5のいずれか記載の連続的受動運動装置。
  7. 前記アクチュエータ(42)が第1及び第2のリミットスイッチ(53)を備え、前記第1のリミットスイッチは1方向における前記シャフト(50)のピボット変位を制限し、前記第2のリミットスイッチは反対方向における前記シャフト(50)のピボット変位を制限する請求の範囲6記載の連続的受動運動装置。
  8. 前記アクチュエータ(42)はハウジング(44)と、前記ハウジング(44)にマウントされ前記シャフト(50)の角度変位を指示する角度計(57)とを含み、前記第1及び第2のリミットスイッチ(53)は前記角度計(57)に対し摺動自在に位置し得る請求の範囲7記載の連続的受動運動装置。
  9. 前記制御手段(54)は前記アクチュエータ(42)の動作の間の荷重をモニターするための荷重モニター手段を含み、前記荷重モニター手段は前記荷重が所定の荷重を超えたとき前記シャフト(50)の運動方向を逆転する請求の範囲6から8のいずれか記載の連続的受動運動装置。
  10. 前記アーチ状トラック(40)が半円形であり、前記アーチ状リング(70)が半円形である請求の範囲1から9のいずれか記載の連続的受動運動装置。
  11. 前記アーチ状トラックが円形(92)である請求の範囲1から9のいずれか記載の連続的受動運動装置。
  12. 足首関節に連続的受動運動を与えるための装置であって、
    フレーム(152)および、該フレーム(152)に取り付けられ下方脚部を支持するための脚支持部材(172)と、
    前記フレーム(152)に取り付けられ、下方脚部の周りに少なくとも部分的に延出する寸法を有するアーチ状トラック(170)と、
    基端部および先端部を有するシャフト(184)と、
    使用者の足を受け入れられるように前記シャフト(184)の先端部にピボット可能に取り付けられた足支持部材(156)と、を備える装置において、
    前記脚支持部材(172)は前記下方脚部を内部に保持するためのハーネス(162)を備え、前記下方脚部が長手軸を画定しており、
    アクチュエータ(180)が前記アーチ状トラック(170)に調整可能にマウントされており、前記下方脚部の周りで、アーチ状トラック(170)上の選択された位置にてアクチュエータ(180)をロックするためのロック機構(178)を備えており、
    前記シャフト(184)はその基端部において前記アクチュエータ(180)にピボット結合されており、前記アクチュエータ(180)は前記シャフト(184)をピボットさせて横向きの運動を与えることができ、
    使用時には前記シャフトのピボット運動が前記足首関節の運動を与える装置。
  13. 前記アクチュエータ(180)が前記アーチ状トラック(170)に摺動可能にマウントされており、使用者の脚部および足が前記連続的受動運動装置に保持され、前記アクチュエータ(180)が使用者の下方脚部の周りに動かされる際に、アクチュエータ(180)に対するシャフト(184)の前記ピボット結合(187)が、前記下方脚部の長手軸に実質的に垂直な面内を動いて前記足首関節を通過する請求の範囲12記載の足首関節連続的受動運動装置。
  14. 前記脚支持部材が足プレート(192)にマウントされたシュー(156)を含み、該足プレート(192)がシャフト(184)の前記先端部にピボット可能にマウントされており、前記先端部が前記足プレート(192)を該先端部にロックするためのロック手段(194)を含んでいる請求の範囲12または13記載の足首関節連続的受動運動装置。
  15. 前記シャフト(184)の動きを制御するための制御手段(200)が前記アクチュエータ(180)に接続されている請求の範囲12から14のいずれか記載の足首関節連続的受動運動装置。
  16. 前記アクチュエータ制御手段(200)は第1及び第2のリミットスイッチ(242,244)を含み、前記第1のリミットスイッチ(242)は1方向における前記シャフト(184)のピボット変位を制限し、前記第2のリミットスイッチ(244)は反対方向における前記シャフト(184)のピボット変位を制限する請求の範囲15記載の足首関節連続的受動運動装置。
  17. 前記第1および第2のリミット位置が前記制御手段(200)に予めプログラムされ、蓄積されている請求の範囲16記載の足首関節連続的受動運動装置。
  18. 前記制御手段(200)は前記アクチュエータ(180)の動作の間の荷重をモニターするための荷重モニター手段を含み、前記荷重モニター手段は前記荷重が所定の限界荷重を超えたとき前記シャフト(184)の運動方向を逆転する請求の範囲15から17のいずれか記載の足首関節連続的受動運動装置。
  19. 前記所定の限界荷重は前記制御手段(200)にプログラムされている請求の範囲18記載の足首関節連続的受動運動装置。
  20. 前記アクチュエータ(180)は前記シャフト(180)の角度変位を指示する角度計(210)を含む請求の範囲12から18のいずれか記載の足首関節連続的受動運動装置。
  21. 前記アーチ状トラックが半円形トラックである請求の範囲12から18のいずれか記載の足首関節連続的受動運動装置。
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