JP3884065B2 - 水系キャリア中で調製される自己安定化ラテックスを含有する塗料 - Google Patents
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Description
本発明は、種々の基体を塗装するための改善された水系組成物に関する。特に、本発明は、自己安定化ラテックス(self-stabilized latex)と呼ばれ、かつそのグラフトセグメント中に水系グラフトコポリマー分散を安定化する中和されたカルボン酸官能性またはアミン官能性を有するグラフトコポリマーを含有する塗料組成物を指向する。本発明は、グラフトコポリマーを水系キャリア中で調製することを包含する。
発明の開示
自動車およびトラックは、いくつかの周知の理由から、外装仕上げ塗り(finish)を受ける。まず第1に、そのような仕上げ塗りは、腐食に対するバリア保護を付与する。第2に、消費者は、高い光沢性および優れたDOI(distinctness of image;画像の明瞭さ)を含む魅力的な美的仕上がりを有する外装仕上げ塗りを好む。
典型的な自動車用スチールパネルまたは基体は、数層の仕上塗りまたは塗膜を有する。基体は、典型的には最初に無機防錆性リン酸亜鉛またはリン酸鉄層で塗装され、その上にプライマー(電着プライマーまたは補修プライマーであってもよい)が付与される。任意で、プライマーサーフェーサーを塗布してさらに良好な外観および/または改善された密着性を付与することも可能である。次に、着色したベースコートまたはカラーコートを上記プライマーの上に塗布する。典型的なベースコートまたはカラーコートは顔料を含有するが、顔料はメタリック仕上げの場合には金属フレークを包含する。自動車の仕上塗りの美的品質を保護および保存するために、透明な(着色していない)トップコートを着色ベースコートの上に付与して、ベースコートが長期にわたる環境または屋外への暴露にさえも影響を受けないようにすることは周知である。
塗料組成物は1種以上の膜形成性ポリマーを含有する。最も一般的には、アクリルポリマー(acrylic polymer)は構造が直鎖状であり、塗布に際して架橋剤との反応により硬化する。しかし、非直鎖状グラフトコポリマーの使用は開示されている。例えば、米国特許第4,801,653号(Das et al.)は、ヒドロキシ官能性グラフトコポリマーの使用を開示している。Das et al.は、アクリルポリマーに含有されるグリシジルエステルのエポキシ基とビニルモノマー(アクリルポリマーの存在下で重合される)の少なくとも一部にあるカルボキシル基との縮合反応によりグラフトすることを開示している。
一般にグラフトポリマーの調製において、リビング末端の選択的な停止反応(termination)により末端を官能性化したポリマーを得るために、種々のリビング重合法が開示されている。そのような末端を官能性にしたポリマーは、続いて別のポリマーに、すなわち、ポリマー主鎖上のいわゆるマクロモノマー「アーム」として結合して、櫛型またはグラフトコポリマーを形成してもよい。Websterは、「Living Polymerization Methods」(251 SCIENCE 887(22,February 1991)において概して、グラフトコポリマーおよび櫛形コポリマーを含む立体的形状のポリマーを調製するためのリビング重合法を開示している。
米国特許第4,680,352号(Janowicz et al.)、同第4,722,984号(Janowicz)およびPCT特許第WO87/03605号は、フリーラジカル重合において連鎖移動剤としてコバルト(Co)キレートを使用することを開示している。後者の特許は、コバルト連鎖移動により調製されたマクロモノマーを重合して、ハイソリッド仕上塗料や水系または溶剤系仕上塗料等の塗装用および成形用樹脂において有用なグラフトコポリマーを生ずることを開示している。しかし、そのようなポリマーの使用は、これまでのところ、例えば米国特許第5,010,140号に開示されているように、自動車用仕上塗料の分野において限定された使用であることがわかっている。
本発明は、水系塗料組成物に関する。環境規制の展開により、低い揮発性有機物含有量(VOC)である製品が必要とされるようになった。しかし、自動車用仕上塗料として望ましい特性を有する水系製品を開発することは並大抵のことではない。上述したように、そのような仕上塗料は、美的品質および耐久性に関して高性能でなければならない。
水分散性ポリマーは当業界において周知であり、水性塗料組成物、顔料分散液、接着剤などの形成に使用されてきた。カルボキシル基を含有するグラフトコポリマー類およびこれらのポリマーの調製は日本特開平1-182304号(日付:1989年6月20日)に開示されている。この引用文献は、カルボキシル基を有するグラフトコポリマーを示しており、親水特性を有するアクリル酸およびメタクリル酸由来の側鎖を開示している。この引用文献は、さらに、アクリル酸またはメタクリル酸の第三級アルコール系エステルユニットを使用して、グラフトコポリマーの形成に用いられ、かつ加水分解されてカルボン酸基を形成するのに使用されるマクロモノマーを形成することを教示している。この引用文献により教示される方法は、純粋なグラフトコポリマーを形成しない非効率的な方法であるが、グラフトコポリマーと該グラフトコポリマーから形成される顔料分散液にとって有害な低分子量成分との混合物、およびそのような組成物から形成される仕上塗料を生ずる。
BASFの欧州特許第0363723号は、オリジナル・イクイップメント・マニュファクチャー(OEM)クリアコートに使用するための、メラミンホルムアルデヒド・バインダーで架橋される酸官能性アクリルコポリマー分散液を記載している。このアクリルコポリマーは、溶媒中で二段階プロセスで調製され、その二段階の一方において親水性部分(酸官能性モノマー)が縮合される。全体のコポリマーは、その後で、アミンで中和され、水に分散される。一段階製品との相違点は、固体分/粘度の関係が最も二段階アクリル塗料(two stage acryeic)に好ましいことである。この技術の欠点は、親水性部分が60%を越える酸官能性モノマーである必要があり、これが耐湿性の問題を生ずるかもしれない点である。本発明の方法は、酸またはアミン官能性コポリマー・マクロモノマーが使用可能であるという利点を有し、このことは耐湿性、外観および低い最小膜形成温度に関する利点を付与する。さらに、このグラフトコポリマー分散液の調製には共溶媒がほとんど、あるいは全く必要ない。もう一つの欠点は、親水性部分にヒドロキシ官能性モノマーを導入することは、固形分/粘度バランスにおいて強い負の効果を有する。最後に、もう一つの欠点は、二段階アクリル塗料は共溶媒中で調製される必要がある点である。
Bayerの特許である欧州特許第0218906号および同第0324334号は、溶液中で調製された後で、アミンで中和され、水に分散されるヒドロキシ酸官能性アクリルコポリマーの合成を記載している。これは、上記した固体分/粘度バランスの欠点を有する。
Bayerの欧州特許第0334032号は、水性アクリルコポリマー分散液を安定化するのに用いられる酸官能性ウレタンオリゴマーの合成を記載している。この技術では、ヒドロキシ官能基(架橋用)は、親水性安定化部分に存在したままにならない。
AKZOの米国特許第5,098,947号は、水性塗料用のウレタン修飾アクリルコポリマー分散液を記載している。この技術も、ウレタン部分が調製される共溶媒の使用によって制限される。
上記に示したように、従来技術に開示されている水系仕上塗料は、例えば、耐湿性、耐酸性、耐久性、外観および他の特性に関して著しく不利である。したがって、改善された特性を有する水系仕上塗料の開発の問題が依然として残され、自動車塗料産業における相当の研究開発の主題となっている。
本発明は、著しい利点を提供する。酸またはアミン官能性マクロモノマーが使用でき、これは改善された耐湿性および外観を付与する。低い最小膜形成温度が用いられる。グラフトコポリマー分散液を調製するのに、共溶媒はほとんど、あるいは全く必要ない。酸官能性またはアミン官能性グラフトは、アミノホルムアルデヒドおよび/または(非)ブロック化ポリイソシアネート架橋剤による架橋のためのヒドロキシ官能性でもあり得る。
発明の開示
本発明は、グラフトコポリマーのブレンドを含有する水性硬化性組成物であって、活性官能性または反応性の基および硬化剤を含有する組成物に関する。グラフトコポリマーは、カルボキシルまたはアミン官能性を有し、かつ平均分子量(MW)が500〜30,000である重合性α−βエチレン性不飽和モノマーを少なくとも10重量%含有するアクリルコポリマーマクロモノマーから調製される。約2〜98%(重量)のマクロモノマーが、98〜2%の他のα、βエチレン性不飽和モノマーのブレンドを用いて共重合されて、MWが少なくとも3000のグラフトコポリマーを形成する。マクロモノマーは、アミンまたは酸または他の中和剤で中和され、続いて水系キャリア中に分散し、マクロモノマーの水系分散液の存在下で主鎖モノマーを共重合することによりグラフトコポリマーを形成する。
好適には、硬化剤は、ワンパッケージ系ではメラミンホルムアルデヒドまたはアルキル化メラミンホルムアルデヒド化合物またはブロック化もしくは非ブロック化イソシアネート化合物、ツーパッケージ系ではイソシアネート化合物(好ましくは、水分散性ポリイソシアネート)、または他の架橋剤(エポキシ、シラン、カルボジイミド等)を含有し、グラフトコポリマー上に存在する官能基と反応する。
改善された水系または水性塗料系はこれらのグラフトコポリマーを用いることにより得られることがわかっている。そのような組成物は、自動車用仕上塗料にとって望ましい優れた塗装特性を付与するという利点を有する。本発明は、
(a)重量平均分子量が3000〜500,000のグラフトコポリマーであって、かつ
(i)エチレン性不飽和モノマーを含有するポリマー主鎖を、前記グラフトコポリマーの重量に対して2〜98%と、
(ii)各マクロモノマーの単一の末端点において前記ポリマー主鎖に結合するマクロモノマーであって、前記マクロモノマーが、全てカルボン酸性官能価あるいはアミン官能価を有する重合したエチレン性不飽和モノマーを前記マクロモノマーの重量の10〜100%含有し、かつ約500〜30,000の重量平均分子量を有していて、前記マクロモノマーが中和されると水溶性または水分散性になるようにしており、および前記マクロモノマーがコバルトキレート連鎖移動剤の存在下で反応させてあるメタクリレートモノマー性ユニットを含有するマクロモノマーを、前記グラフトコポリマーの重量に対して98〜2%とを含有するグラフトコポリマーをバインダーの重量に対して約5〜98%と、
(b)前記グラフトコポリマー中の前記カルボン酸性官能価またはアミン官能価と反応し架橋する架橋剤を、前記バインダーの重量に対して2〜50%と、
(c)80〜100%の水を含有する水系キャリアを、組成物の重量に対して40〜90重量%と
を含有し、
前記グラフトコポリマーが、80〜100%の水を含有する水系キャリア中における、前記マクロモノマーと前記主鎖を構成する前記モノマーとの重合生成物であり、前記カルボン酸基またアミン基の少なくとも一部が中和されて、前記主鎖部分が粒子形状である水系キャリア中での安定な分散液または溶液を形成することを特徴とする塗料組成物を指向する。
上記のグラフトコポリマーは、硬化性直鎖または分岐鎖膜形成性ポリマーまたはバインダー材料と共に種々の割合で用いてもよい。例えば、この組成物は、直鎖または分岐鎖ヒドロキシ官能性アクリル、ポリエステル、またはポリウレタンコポリマーを含有していてもよい。さらに、バインダー材料(比較的少量で)としては、例えば、増粘剤、粘着性プロモーター(adhesion promoter)などが挙げられる。
本発明の組成物は、自動車およびトラックおよびそれらの部品の外装を仕上げるに特に有用である。本発明の組成物は、顔料および他の慣用の成分の存在に応じて、プライマー、プライマー・サーフェーサー、ベースコートおよび/またはクリアコートとして使用してもよい。水系クリアコートにおける使用が特に有利である。本発明は、さらに、上記塗料組成物で基体を塗装するための方法も包含する。請求される組成物は、さらに、上記組成物による塗料を付着させた基体を包含する。このグラフトコポリマーおよび該グラフトコポリマーを製造するための方法も本発明の一部である。
本発明は、幾つかの著しい利点を提供する。第1に、1つのセグメントで縮合された酸またはアミン基を有するグラフトコポリマーは、安定な分散液を得るために酸またはアミンをそれ程必要とせず、したがって、最終的に得られる塗料中に感水性カルボキシル基またはアミン基をほとんど遊離しない。
第2に、標準的なエマルジョンは、感水性残留物として膜にさらに残留し続ける界面活性剤により安定化され、塗膜界面に移動して、低い接着性および層間剥離をもたらす弱い境界層を生じる。界面活性剤は、吹き付けを行う間にトラップされる泡を安定化してピンホールを生ずる。本発明による組成物は、少量の界面活性剤を用いて、好ましくは界面活性剤を全く用いないで製造される。
第3に、水が共溶媒ではない標準的なエマルジョンは、表面に塗布された後での凝集(膜形成)を可能するのに相当量の溶媒を必要とする。このことは、高いVOCを生ずる。本発明では、自己安定化ラテックスの表面に存在する親水性マクロモノマーが水によって可塑化され、かつ溶媒をほとんど、あるいは全く使用せずに膜形成を可能にし、したがって、塗料組成物が非常に低いVOCで処方できるようにする。本発明のこれら、および他の利点は、以下の発明の詳細な説明を参照するとこにより、さらによく理解できる。
発明の詳細な説明
本発明の水性塗料は、水性のベース中にアクリルバインダー系を含有する。このバインダー系は、その包括的な概念において、アクリルマクロモノマーの存在下での2〜98%(重量)のα−β不飽和モノマーのフリーラジカル開始共重合により形成される水溶性または水分散性アクリルグラフトコポリマーを含有する。このアクリルマクロモノマーは数平均分子量(MN)が500〜30,000の間であり、少なくとも10%の酸またはアミン官能性α−β不飽和モノマーを含有する。「酸またはアミン」という用語は、それらの一方または他方のいずれかであって、集合としてではないことを意味する。その理由は、カチオン性またはアニオン性の系を意図し、両性の系を糸していないからである。カルボキシル基またはアミンを、例えば、カルボキシル基の場合にはアミンで少なくとも部分的に中和した後、これらの樹脂は安定な溶液または水分散液を形成する。これらの樹脂は、組成物中で単独の、あるいは他のそのような樹脂との会合体の粒子を形成し、そこにおいて、マクロモノマーは比較的親水性であり、したがって水系キャリアに可溶性または分散性であり、(マクロモノマーが結合している)ポリマー主鎖は比較的水不溶性である。そのような粒子は、例えばジアクリレート・モノマーユニットにより架橋していてもよく、あるいは架橋していなくてもよく、好ましくは平均粒子径が50〜1000ナノメーター(nm)、好ましくは100〜250nmである。
アクリルマクロモノマーは、好ましくは、フリーラジカル開始剤を用いてCo(II)またはCo(III)キレート連鎖移動剤を含有する溶媒中で調製され、10〜100重量%、好ましくは20〜40重量%の官能性モノマー[例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびイタコン酸、またはそれらの無水物(重合後、酸に加水分解できるもの)]を含有する。アミン官能性モノマーとしては、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジエチル(またはジメチル)アミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、マクロモノマーは、メタクリル酸またはジメチルアミノエチルメタクリレートをベースとする。
概して、塗料組成物の全ポリマー性およびオリゴマー性成分は、慣用的に「バインダー」または「バインダー・ソリッド」と呼ばれ、水系液体キャリア中に溶解、乳化あるいは分散される。バインダー・ソリッドは、概して、通常は固体である組成物のポリマー成分を含む。一般に、触媒、顔料、または化学的添加剤(安定化剤など)はこのバインダー・ソリッドの一部とは考えられない。顔料以外の非バインダー・ソリッドは、通常は、組成物の約10重量%以上の量ではない。本発明の塗料組成物は、好適には、約10〜90重量%、さらに典型的には50〜70重量%のバインダーと、約40〜90重量%、さらに典型的には50〜70重量%の水系キャリアを含有する。
本発明の組成物は、好適には、バインダーの重量に対して約5〜98%、好ましくは20〜90%、好適には40〜80%の特定のグラフトポリマーを含有する。
グラフトコポリマーは、約2〜98重量%、好ましくは5〜40重量%、最も好ましくは15〜40重量%のマクロモノマーと、それに対応して約98〜2重量%、好ましくは60〜95重量%、最も好ましくは60〜85重量%の主鎖ポリマーとを含有する。グラフトコポリマーは、重量平均分子量が少なくとも約3,000、好ましくは20,000〜500,000、最も好ましくは20,000〜300,000である。グラフトコポリマーの側鎖は、重量平均分子量が約500〜30,000、好ましくは3,000〜10,000の比較的水溶性であるマクロモノマーから形成され、該マクロモノマーの重量に対して約10〜100重量%、好ましくは20〜40重量%の重合したエチレン性不飽和酸またはアミンモノマー(次に少なくとも部分的に中和される)を含有する。これらの側鎖は、比較的親水性であり、最終的に得られる塗料組成物中にグラフトポリマーが十分に分散されたままに保つ。
グラフトコポリマーの主鎖は、側鎖と比較して疎水性であり、重合したエチレン性不飽和酸またはアミンモノマーまたはその塩を含有する。この主鎖は、重合したモノマーを含有してもよく、該モノマーはアクリレートまたはスチレンであるが、50%以下のメタクリレートを含有可能である。そのようなモノマーは、以下に挙げるようなアルキルメタクリレートおよびアルキルアクリレート、脂環族メタクリレート、脂環族アクリレート、アリールメタクリレートおよびアリールアクリレートを含有していてもよい。それは、グラフトコポリマーの重量に対して50重量%以下の重合したエチレン性不飽和非疎水性モノマーを含有してもよく、該モノマーは酸またはアミン以外の反応性官能基を含有していてもよい。そのようなモノマーの例としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、ニトロフェノールアクリレート、ニトロフェノールメタクリレート、フタルイミドメチルアクリレート、およびフタルイミドメタクリレートが挙げられる。他のビニルモノマーを主鎖に組み込んでもよく、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和スルフィン酸、エチレン性不飽和リン酸、またはエチレン性不飽和ホスホン酸が挙げられ、それらのエステルも使用可能であり、例えばスチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルリン酸およびそのエステルなどが挙げられる。
一つの実施例において、水性アクリルグラフトコポリマーは、0〜60重量部、さらに好ましくは10〜40重量部のヒドロキシ官能性アクリルモノマーを含有し、該ヒドロキシ官能性アクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレートおよび4−ヒドロキシブチルアクリレートが挙げられる。これらの全部または大部分が側鎖に存在してもよく、架橋部位としての役目を果たしてもよい。
先に示したように、グラフトポリマーは、ポリマー主鎖に結合するマクロモノマー側鎖を含有する。各マクロモノマーは、理想的には単一の末端エチレン性不飽和基を含有し、その末端エチレン性不飽和基はグラフトコポリマーの主鎖に重合され、典型的にはメタクリル酸、そのエステル(酸エステルおよびアミノエステルを含む)、ニトリル、アミド、またはこれらのモノマーの混合物のモノマーの重合したものを含有する。
上記の酸またはアミンは、グラフトコポリマーの主鎖にも使用可能であるが、通常は、主鎖の水不溶性を維持するためにマクロモノマー・アーム中よりも少ない重量で用いられる。しかし、そのような場合、主鎖における酸またはアミンの選択は、マクロモノマー中の酸またはアミンの使用と一致させる。
酸またはアミンの他に、マクロモノマーの重量に対して90重量%以下の他の重合したエチレン性不飽和モノマーをマクロモノマーに存在させてもよく、例えば炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖モノアルコールのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。これらの大部分(マクロモノマーの50%より高く、好ましくは60〜80%)はメタクリレートでなければならず、例えばアルキルメタクリレート(アルキル基の炭素数1〜12)が使用可能であり、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が使用可能である。脂環族メタクリレートが使用可能であり、例えば、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。ベンジルメタクリレート等のアリールメタクリレートも使用可能である。
ヒドロキシ官能価を含有するエチレン性不飽和モノマーとしては、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレート(アルキル基の炭素数が1〜12)が挙げられる。好適なモノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシイソプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシイソプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等およびそれらの混合物が挙げられる。反応性官能価は、モノマー前駆体から得てもよく、例えば、ポリマー中のグリシジルメタクリレートユニットのエポキシ基が挙げられる。そのようなエポキシ基は、水または少量の酸による後重合反応において、水酸基へ転化されてもよく、あるいはアンモニアおよび/または第1級アミンを用いてヒドロキシルアミンを得てもよい。
好適な他のオレフィン性不飽和成分としては、アクリルアミドおよびメタクリルアミドおよびアルコキシメチル(メタ)アクリルアミドモノマーとしての誘導体であり、例えば、メタクリルアミド、N−イソブトキシメチルメタクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミド;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸およびそのハーフエステルおよびジエステル;スチレンおよびビニルトルエン等の芳香族ビニル;ポリエチレングリコールモノアクリレートおよびポリエチレングリコールモノメタクリレート;例えばジエチルアミノエチルメタクリレートおよびt−ブチルアミノエチルメタクリレートのようなアミノ官能性(メタ)アクリレート;グリシジルメタクリレートのようなグリシジル官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。
他の官能性モノマーとしては、アクリロニトリル、アクロレイン、アリルメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、メチルアクリルアミドグリコラートメチルエーテル、エチレン尿素エチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、トリアルコキシシシルプロピルメタクリレート、モノエポキシエステルまたはモノエポキシエーテルとα−β不飽和酸との反応生成物、およびグリシジル(メタ)アクリレートと炭素数22以下の一官能性酸との反応生成物が挙げられる。
上記モノマーは、グラフトコポリマーの主鎖としても使用可能である。
グラフトポリマーは、グラフト用の末端エチレン性不飽和を有するマクロモノマー存在下でエチレン性不飽和モノマーを重合することにより調製してもよい。得られるグラフトポリマーは、複数のマクロモノマー“アーム”(主鎖に結合する)を有する主鎖から構成されると考えられる。本発明の組成物において、マクロモノマー・アームおよび主鎖の双方は、架橋化合物またはポリマーと反応可能な反応性官能価を有していてもよいが、任意にそのような反応性官能価をマクロモノマー上にのみ有する。カルボキシル官能価を有すると言われるマクロモノマーは、その一部が如何なるカルボキシル官能価も、または可変量のカルボキシル官能価も有さないマクロモノマーの一部であると理解すべきである。
得られたマクロモノマーが確実に、主鎖モノマーと重合してグラフトコポリマーを生成する唯一1個の末端エチレン性不飽和基を有するようにするために、マクロモノマーは触媒連鎖移動剤を用いて重合される。典型的には、マクロモノマー調製方法の第1の工程において、モノマーを水混和性または水分散性の不活性有機溶媒およびコバルト連鎖移動剤とブレンドし、通常は反応混合物の還流温度まで加熱する。次の工程で、モノマーおよびコバルト触媒および慣用の重合触媒をさらに追加し、所望の分子量のマクロモノマーが形成されるまで重合を続ける。
好ましいコバルト連鎖移動剤または触媒は、米国特許第4,680,352号(Janowicz et al.)、同第4,722,984号(Janowiz)およびWO87/03605号特許に記載されている。最も好ましいものは、ペンタシアノコバルテート(IIまたはIII)、ジアクアビス(ボロンジフルオロジメチル−グリオキシメート)コバルテート(IIまたはIII)およびジアクアビス(ボロンジフルオロフェニルグリオキシメート)コバルテート(IIまたはIII)であり、エチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和スルフィン酸、エチレン性不飽和リン酸、またはエチレン性不飽和ホスホン酸およびそれらのエステルも使用可能であり、例えばスチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸およびそのエステル等が挙げられる。典型的には、これらの連鎖移動剤は、使用されるモノマーに対して約5〜1000ppmの濃度で用いられる。
マクロモノマーは、好ましくは、フリーラジカル開始剤およびCo(IIまたはIII)キレート連鎖移動剤を用いて溶媒中または溶媒ブレンド中で形成されるが、それは、例えばジアクアビス(ボロンジフルオロジメチル−グリオキシメート)キレート(IIまたはIII)を用いた場合には、水系溶液またはエマルジョン中で形成される。
アゾ開始剤(モノマーに対して0.5〜5重量%)は、2〜5,000ppm(全モノマーに対して)のCo(II)キレート存在下において、70〜180℃の温度範囲におけるマクロモノマーの合成には使用可能であり、さらに好ましいアゾ型開始剤は、例えば、2,2′−アゾビス(2,4ジメチルペンタンニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、1,1′−アゾ(シクロヘキサンカーボニトリル)および4,4′−アゾビス(シアノペンタン酸)である。
マクロモノマー・コポリマーの形成に使用可能な典型的な溶媒は、芳香族、脂肪族、ケトン(例えば、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、エチルアミルケトン、アセトン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロパノール)、エステル(例えば、エチルアセテート)、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノブチルエーテル)等、および上記したように水、およびそれらの水混和性溶媒との混合物である。
マクロモノマーが上記のようにして形成された後、溶媒は任意で除去し、マクロモノマーを中和し、主鎖モノマーを重合触媒と共にマクロモノマーに添加する。酸に対する中和剤として、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。中和剤として使用可能な典型的なアミンとしては、アミノメチルプロパノール、アミノエチルプロパノール、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミノメチルプロパノールおよびアミノメチルプロパノール等が挙げられる。一つの好ましいアミンはアミノメチルプロパノールであり、好ましい無機塩基は水酸化アンモニウムである。
アミンに対する中和剤としては、有機酸または無機酸が使用可能であり、例えば、酢酸、ギ酸、乳酸、塩酸、硫酸などが挙げられる。
上記したように、グラフトコポリマーは水中で直接形成され、そこにおいて、マクロモノマーが最初に中和され、水中に分散または溶解される。グラフトコポリマーは、マクロモノマー水溶液または水分散液の存在下で、モノマーブレンドの残部を共重合することにより形成される。この操作は、プロセス全体において共溶媒をほとんど使用せずにすみ、溶媒の除去が省略できる、という利点を有する。もう一つの利点は、溶液重合の場合と比較して、大きな分子量のグラフトポリマーが得られるという点である。
好適な相溶性のマクロモノマーの混合物は、全部が水中でアニオン性またはカチオン性である限りにおいて、使用可能である。
ペルオキシドおよびハイドロペルオキシドなどの他の好適な触媒と同様に、上記のあらゆるアゾ型触媒が使用可能である。そのような触媒の典型は、ジ−ターシャリーブチルペルオキシド、ジ−クミルペルオキシド、ターシャリーアミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ(n−プロピル)ペルオキシジカーボネート、ペルエステル(例えば、アミルペルオキシアセテートなど)などである。重合は、通常、所望の分子量のグラフトコポリマーが形成されるまで、反応混合物の還流温度で続けられる。
水溶解性フリーラジカル開始剤が、好ましくは20〜98℃の温度範囲で使用可能であり、アンモニウムペルサルフェート等のペルオキシド、またはt−ブチルヒドロペルオキシド/アスコルビン酸等のレドックス開始剤が挙げられる。マクロモノマーによるモノマーの共重合において、任意によりコバルトキレート剤以外の連鎖移動剤が使用可能であり、例えばメルカプタン、メルカプトエタノール、t−ドデシルメルカプタン、N−ドデシルメルカプタンが挙げられる。
グラフトコポリマーの合成では、少量の二官能性α−β不飽和化合物が使用可能であり、例えばエチレングリコールジメタクリレートまたはヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。これにより、架橋された粒子が生じる。
総グラフトコポリマー水性分散液は、10〜約150(mg KOH/g樹脂固形分)、より好ましくは15〜約70、さらにより好ましくは15〜約35の酸価またはアミン価と、約O〜約250(mg KOH/g樹脂固形分)、より好ましくは40〜150のヒドロキシル価とにより特徴付けられる。
分散液の中和度は、酸基またはアミン基の合計量の10〜150%、好ましくは80〜105%である。したがって、分散液の最終pHは約4〜10であり、好ましくは、アニオン系については7〜10およびカチオン系では4〜7である。アニオン性、カチオン性または非イオン性界面活性剤が使用可能であるが、好ましくは用いない。その理由は、それらが後に耐湿性を損なうかもしれないからである。上に示したように、界面活性剤を使用しないことが、本発明の著しい利点の一つである。
上記のバインダー系を用いて、通常の塗料配合技術にしたがって他の好適な成分とブレンドすることにより水溶性塗料を製造する。
本発明のグラフトコポリマーは、水性塗料組成物の調製における膜形成性ビヒクルとして有用であり、そのような水性塗料組成物としては、自動車の用途において有用なクリアコートまたはベースコート組成物が挙げられる。最終的に得られる塗料組成物は、好ましくは最大で3.50ポンド/ガロンの低揮発性有機成分を有する。
本発明の塗料組成物の調製において、グラフトコポリマーは、バインダーの2〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の架橋剤と組み合わせる。
バインダーが、N−メチロールおよび/またはN−メチロールエーテル基を含有する硬化剤で硬化される配合において使用される場合、硬化剤は、水系グラフトコポリマー分散液に分散されて、安定な分散液全体を形成しなければならない。そのような硬化剤の例は、アルデヒド(例えばホルムアルデヒド)をアミノ基を含有する化合物(例えばメラミン、尿素およびベンゾグアナミン等)と反応させ、N−メチロール基をアルコール(例えばメタノール、n−ブタノール、イソブタノール)で全体的または部分的にエーテル化することにより得られるアミノ樹脂である。
約60〜180℃の高い焼き付け温度で5〜60分間にわたって架橋する組成物を形成するためには、バインダーの重量に対して約10〜60重量%、好ましくは10〜25重量%の水溶性水分散性アルキル化メラミンホルムアルデヒド架橋剤(アルキル化した基の炭素数が1〜4)が好ましい。
これらの架橋剤は、通常は、部分的にアルキル化されたメラミンホルムアルデヒド化合物であり、モノマー性であってもポリマー性であってもよく、ポリマー性である場合には重合度が約1〜3である。これらの樹脂をアルキル化するのに用いられる典型的なアルコールは、メタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール等である。市販されている好ましいアルキル化メラミン架橋剤としては、シメール(Cymel)(商標)373、385、1161、350または1168(Monsanto社製)またはレジミン(Resimine)(商標)714、レジミン(商標)730および731、レジミン(商標)735および745(Cyanamid社製)が挙げられる。
メラミン架橋剤を含有する本発明の塗料組成物は、バインダーの重量に対して約0.1〜1.0%の強酸触媒またはその塩を含有して、硬化温度および時間を低下させる。パラトルエンスルホン酸またはそのアンモニウム塩が好ましい触媒である。他の使用可能な触媒は、ドデシルベンゼンスルホン酸、リン酸およびそれらの酸のアミンまたはアンモニウム塩である。
ポリイソシアネートで硬化する処方にバインダーが使用される場合、塗布する前に、水分散性ポリイソシアネートを水性グラフトコポリマー分散液に添加する。
分散液全体はこの場合安定ではなく、特定の時間内で使用すべきである。水分散性ポリイソシアネートの例としては、ビウレットおよびヘキサメチレンジイソスアネート、イソホロンジイソシアネートおよびテトラメチルキシレンジイソシアネートのシクロトリマーが挙げられる。これらのイソシアネートは、イオン性基を含有して水への分散を容易にする程度まで修飾してもよい。
典型的には、硬化促進触媒はイソシアネート架橋剤または硬化剤と共に利用される。好ましい触媒は、好適にはラウリル酸ジブチルスズ、ジ−2−エチルヘキサン酸ジブチルスズ、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、バナジウムアセチルアセトネート、またはジルコニウムアセチルアセトネート等の有機金属であり、有効に硬化する量、典型的にはバインダーの約0.1〜2重量%の量である。そのような触媒は任意であり、例えば、高い温度および/または長い時間は組成物を硬化するのに十分であろう。
組成物の硬化に使用可能な典型的なイソシアネート架橋剤としては、ブロックされた、あるいはブロックされていない化合物およびポリマーの双方が挙げられる。好適なポリイソシアネートの例としては、トルエンジイオシアネート、4,4′−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等のモノマー性ポリイソシアネート、および上記したようなモノマー性ポリイソシアネートとポリエステルまたはポリエーテルポリオールとの反応生成物等のNCO−プレポリマーが挙げられる。特に有用なイソシアネートは、イソホロンジイソシアネートおよびBayerから"Desmodur"Nとして市販されているビウレット型1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等である。他の架橋剤としては、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、テトラメチルジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
三官能性イソシアネートを使用してもよく、例えばトリフェニルメタントリイソシアネート、1,3,5−ペンゼントリイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネート、トリメチロールの付加物、およびテトラメチルキシレンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートのトリマー;登録商標"Cythane 3160","Desmodur"N 3390として市販)等が挙げられる。所望により、例えば米国特許第4,965,317号(col.5)に開示されているように、イソシアネートエチルメタクリレート由来のポリイソシアネートアクリルコポリマー(TMIとして市販)等を用いることも可能である。
上記に示したように、ポリイソシアネートは所望によりブロックされていてもよい。好適なブロック剤の例は、高い温度ではブロックしない物質であり、例えば、メタノール等の低級脂肪族アルコール、メチルエチルケトンオキシム等のオキシム、およびイプシロンカプロラクタム等のラクタムが挙げられる。ブロックされたイソシアネートを用いて、安定なワンパッケージの系を形成することが可能である。遊離のイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートを用いて、ツーパッケージ系で室温硬化性の系を形成することか可能である。これらの系において、生成物とイソシアネート硬化剤とは、それらの使用の直前に混合する。
他の膜形成性ポリマー[好ましくはバインダーの重量に対して0〜55重量%(それに付随して45〜100重量%のグラフトコポリマー)をグラフトコポリマーとの結合に使用することも可能である。他の膜形成性ポリマーは直鎖または分岐鎖であってもよく、グラフトポリマーと相溶性であるアクリル樹脂(acrylics)、アクリロウレタン、ポリエステルウレタン、ポリエーテル、およびポリエーテルウレタンを包含する。
有機共溶媒も典型的には本発明の組成物において最小量(キャリアの20重量未満)で使用して、本発明の塗料組成物の配合および塗布を促進する。組成物の成分と相溶性である有機溶媒が使用される。
グラフトコポリマー、硬化剤および触媒の量は、勿論、非常に多くに要因に左右され、その中でも組成物の特定の成分および組成物の意図する用途に特に左右される。
さらに、本発明による組成物は、種々の他の任意成分を含有してもよく、例えば、顔料、真珠光沢のあるフレーク、充填剤、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤および流れ調節剤が挙げられる。
本発明の組成物から製造される仕上塗料の耐候性を改善するために、紫外線安定化剤または紫外線安定化剤との組み合わせを、バインダーの重量に対して約0.1〜5重量%の量で添加してもよい。そのような安定化剤としては、紫外線吸収剤、遮断剤、消光剤、および特定のヒンダード・アミン光安定化剤が挙げられる。さらに、酸化防止剤を、バインダーの重量に対して約0.1〜5重量%添加してもよい。
典型的な有用な紫外線安定化剤としては、ベンゾフェノン、トリアゾール、トリアジン、ベンゾエート、ヒンダード・アミンおよびそれらの混合物が挙げられる。紫外線安定化剤の具体例は米国特許第4,591,533号に開示されている。
組成物は慣用の配合添加剤も含有してもよく、例えば、例えばResiflow(登録商標)S(ポリブチルアクリレート)、BYK320および325(高分子量ポリアクリレート)等の流れ調節剤;ヒュームド・シリカ、ミクロゲル、および非水系分散ポリマー等のレオロジー調節剤;テトラシリケート、トリメチルオルトホルメート、トリエチルオルトホルメート等の水脱除剤が挙げられる。
本発明の組成物がクリアコートとして着色したカラーコート(ベースコート)上に使用されて、カラーコート/クリアコート仕上げ塗りを付与する場合、少量の顔料をクリアコートに添加して特別色またはティントのような美的効果を付与してもよい。
本発明の組成物は、着色されて、カラーコート、モノコート、プライマー、またはプライマー・サーフェーサーとして使用することができる。該組成物は、種々の金属性または非金属性基体への優れた付着性を有し、そのような基体としては予め塗装された基体、冷間圧延した鋼、および電着により慣用のプライマーで塗装された鋼が挙げられる。本発明の組成物を用いて、ポリエステル強化ガラス繊維、反応射出成形ウレタンおよび部分的結晶性ポリアミド等のプラスチック製基体を塗装するのに使用可能である。
本発明の塗料組成物がベースコートとして使用される場合、該組成物に添加できる典型的な顔料としては以下のものが挙げられる:二酸化チタン、種々の色の酸化亜鉛等の金属酸化物、カーボンブラック、タルク、チャイナクレー等の充填剤顔料、バライト、カーボネート、シリケート、およびキナクリドン、銅フタロシアニン、ペリレン、アゾ顔料、インダントロン・ブルー等の種々の有機着色顔料、カルバゾール・バイオレット、イソインドリノン、イソインドロン、チオインディゴ・レッド、ベンズイミダゾリノン等のカルバゾール、アルミニウム・フレーク等の金属フレーク顔料である。
顔料は、まず最初に、塗料組成物に用いられる上記のポリマーのいずれか、あるいは他の相溶性ポリマーまたは分散剤を用い、高速混合、サンド・グラインド、ボール・ミル、アトリッター・グラインド、または二本ロールミル等の慣用の技術によりミルベースまたは顔料分散液を形成し、塗料組成物に導入することができる。ミル・ベースは、次に、塗料組成物に使用される他の成分とブレンドされて、本発明の塗料組成物を得る。
塗料組成物は、吹き付け、静電吹き付け、浸漬、刷毛塗り、流れ塗り等の慣用の技術により塗布できる。好ましい技術は、吹き付けおよび静電吹きつけである。本発明の組成物は、特に再仕上用または高い温度での空気硬化(ambient cure)として使用してもよい。OEM塗布において、該組成物は、典型的には100〜150℃で約15〜30分にわたって焼き付けられて、厚みが約0.1〜3.0ミルの塗膜を形成する。該組成物がクリアコートとして使用される場合、それはカラーコートの上に塗布され、塗布されたものは乾燥して不粘着性状態にし、硬化し、あるいは好ましくはクリアコートを塗布した後で短時間フラッシュ乾燥する。カラーコート/クリアコート仕上げ塗りは、次に上記にようにして焼き付け、乾燥・硬化した仕上塗りを付与する。
「ウエット−オン−ウエット」塗布により透明なトップコートをベースコートの上に塗布することは慣用である。すなわち、ベースコートを硬化または完全に乾燥させることなしに、トップコートはベースコートに塗布される。塗装された基体は、次に予め決定した時間にわたって加熱されて、ベースコートおよびクリアコートを同時に硬化できるようにする。
以下の実施例は本発明を説明する。全ての「部」および「パーセント」は、特記しない限り、「重量部」および「重量パーセント」である。ここで開示される全ての分子量は、ポリスチレン標準物質を用いてゲル透過クロマトグラフィーにより決定する。
実施例1〜2
この実施例は、以下のマクロモノマーの合成におけるCo(II)キレートの使用を説明するものである。このキレートは、欧州特許第0199436号の実施例44Bに記載されているように、BF2架橋Co(II)(1,2−ジフェニル−1,2−ジオキソイミノエタン)2(H2O2)2である。混合物1(下記の表1)を窒素雰囲気下に保持された反応槽中で還流(±80℃)で加熱した。混合物2は、4時間かけて添加した。混合物2の添加に続いて、混合物3を90分間かけて添加し、その直後に混合物4を添加した。混合物5を添加して濯ぎ、続いて5分間保持した。その後、混合物6を30分間かけて添加し、続いてもう一つの濯ぎ工程を行い、60分間保持した。全工程を行う間、温度は還流に保持した。表1から明らかなように、実施例1〜4において種々の組み合わせのモノマーが用いられた。
実施例3
この実施例では、再度、カルボン酸とヒドロキシ官能性とを具える以下のマクロモノマーの合成におけるCo(II)キレートの使用を説明するものである。このキレートは、欧州特許第0199436号に記載されているような上記の実施例1〜2と同じものである。2個の注入口(一方はモノマー供給用であり、もう一方は開始剤供給用)を有するガラス性反応器を用いた。反応混合物はプロセスを通して還流温度に保持し、以下の成分を以下に説明するようにして該反応器に導入した。
部分1を窒素雰囲気下で溶解するまで還流まで加熱する。部分2を次に2時間かけて添加した。部分3を濯ぎに用いた。次に、混合物を還流で1時間にわたって保持した。部分4を1時間かけて供給した。部分5を濯ぎ用に添加し、次に反応混合物を1時間にわたって還流に保持した。反応生成物を、以下のように、AN(酸価)、MN(数平均分子量)およびMW(重量平均分子量)を含めて特徴付けした。
固形分(%) 60.6
粘度 >Z6
AN 229
MN 1100
MW= 3600
実施例4
この実施例は、酸官能性マクロモノマーの合成におけるCo(II)キレートの使用を説明するものであり、このキレートは次に水に溶解される。このキレートのエクアトリアル配位子は、欧州特許第0199436号に記載されているように、BF2架橋2,3−ジオキシイミノメタン基である。以下の成分を、以下に説明するようにガラス製反応器で反応させた。
部分1を窒素雰囲気下で還流まで加熱する。部分2を次に3時間かけて添加した。部分3を濯ぎに用い、この混合物を還流で10分間にわたって保持した。部分4を1時間にわたって添加し、部分5を濯ぎ用に用いた。次に、混合物を10分間にわたって還流に保持し、80℃に冷却した。次に部分6を添加し、10分間にわたって混合し、続いて部分7(脱イオン水)を濯ぎ用に添加した。この生成物は以下のような特徴を示した。
固形分 19.4
粘度 E
pH 8.6
MN 3200
MW 6100
比較実施例5
この実施例は、酸官能性ポリマーの合成におけるイオウ連鎖移動剤の使用を説明するものである。特に、この実施例は、イオウ連鎖移動剤を用いたn−ブチルメタクリレート/メタクリル酸(96/14)コポリマーの調製を説明する。
部分1(溶剤)を還流まで加熱する。部分2(モノマー混合物を含む)を3時間かけて還流で添加し、部分3を濯ぎに用いた。この混合物を還流で10分間にわたって保持し、部分4(さらなる開始剤)を1時間かけて添加した。部分5を濯ぎ用に用い、混合物を再度10分間にわたって還流で保持し、80℃に冷却した。次に部分6(アミンおよび脱イオン水を含む)を添加し、10分間にわたって混合し、続いて部分7の追加の脱イオン水で濯いだ。この生成物は以下のような特徴を示した。
固形分 20.7
粘度 Q
pH 8.9
MN 3400(ピーク分子量)
MW 6500
実施例6
この実旗例は、グラフトアクリルコポリマー分散液の調製を説明するものである。特に、この実施例は、30%のマクロモノマー(「マクロ」と省略する)であるn−ブチルメタクリレート/メタクリル酸(86/14の重量比)と反応させた70重量%のメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート(20/80の比率)を含有するグラフトポリマーの調製を説明する。以下の成分を下記に説明するように反応させた。
部分1 重量部
実施例5のマクロ 9
脱イオン水 10
部分2
メチルメタクリレート 4.2
n−ブチルアクリレート 16.8
バゾ(Vazo:登録商標)67開始剤 0.1
n−ブチルグリコールエーテル 0.9
実施例5のマクロ 36
脱イオン水 22
部分3
n−ブチルグリコールエーテル 1
部分1を90〜95℃に加熱する。部分2を同時に4時間かけて添加し、その後で部分3を濯ぎに用いた。この混合物を還流で10分間にわたって保持した。この生成物は安定な分散液であり、保存において沈殿を全く生じず、以下のような特徴を示した。
固形分 21.9%
MN 8800(ピーク分子量)
MW 93800
比較実施例7
実施例6と比較するために、この実施例はアクリルコポリマーの調製を説明するが、ここにおいて実施例5で用いたマクロモノマーを、ほぼ同じ分子量とモノマー組成とを有する実施例5のマクロモノマーと置き換えた。このアクリルコポリマーは、二モード分布を示し、この分布から、実施例5のマクロモノマーが、組成物全体の安定化を付与するために共重合されないことが明らかになる。したがって、この分散液は安定ではなく、沈殿を生ずる。
実施例8
この実施例は、スチレン/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(重量比で27/40/28)から得られる主鎖を95%と、メチルメタクリレート/メタクリル酸(重量比で3/2)から得られるマクロモノマーを5%とからなるグラフトアクリルコポリマーの調製を説明する。このグラフトコポリマーは水分散液中で以下の成分を用いて形成される。
部分1を95℃+/−2℃に加熱し、pH7.5〜7.8に調節した。部分2A(モノマー)および2B(アゾ溶液)を4時間かけて95℃+/−2℃で同時に添加した。部分3(脱イオン水)を濯ぎに用い、混合物を30分間にわたって還流で保持した。次に、部分4を60分間かけて添加し、反応器の注入口を部分5ですすいだ。この混合物を再度95℃+/−2℃で30分間にわたって保持し、最後に部分6(水)ですすいだ。この反応生成物は以下のように特徴づけられた。
固形分(%)= 50.5
粘度= 500cps
pH= 8.1
MN= 39000
MW= 117200
実施例9
この実施例は、スチレン/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(重量比で47/38/25)から得られる主鎖を90%と、メチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレートまたはEHMA/メタクリル酸(重量比で5.2/2.8/2)から得られるマクロモノマー(実施例2から)を10%とからなるグラフトアクリルコポリマーの調製を説明する。このグラフトコポリマーは水分散液中で以下の成分を用いて形成される。
部分1を95℃+/−2℃に加熱し、pH7.5〜7.8に調節した。部分2A(モノマー)および2B(アゾ溶液)を4時間かけて95℃+/−2℃で同時に添加した。部分3(脱イオン水)を濯ぎに用い、混合物を30分間にわたって還流で保持した。次に、部分4を60分間かけて添加し、反応器の注入口を部分5ですすいだ。この混合物を再度95℃+/−2℃で30分間にわたって保持し、最後に部分6(水)ですすいだ。この反応生成物は以下のように特徴づけられた。
固形分= 47.7
粘度= 1500cps
pH= 8.5
MN= 20500
MW= 79400
実施例10
この実施例は、スチレン/n−ブチルアクレリート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(重量比で22/40/28)から得られる主鎖を90%と、メチルメタクリレート/メタクリル酸(重量比で6/4)から得られるマクロモノマー(実施例1から)を10%とからなるグラフトアクリルコポリマーの調製を説明する。このグラフトコポリマーは水分散液中で以下の成分を用いて形成される。
部分1を95℃+/−2℃で還流まで加熱し、pH7.5〜7.8に調節した。部分2A(モノマー)および部分2B(アゾ溶液)を4時間かけて95℃+/−2℃で同時に添加した。次に、注入口を部分3(脱イオン水)で濯ぎ、混合物を30分間にわたって還流で保持した。部分4を60分間かけて添加し、部分5溶剤ですすいだ。最後に、脱イオン水(部分6)を添加した。この反応生成物は以下のように特徴づけられた。
固形分 49.9
粘度 1500cps
pH 8.2
MN 22900
MW 78400
実施例11
この実施例は、スチレン/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(重量比で22/36/22)から得られる主鎖を80%と、メチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸(重量比で10.4/5.6/4)から得られるマクロモノマー(実施例2から)を20%とからなるグラフトアクリルコポリマーの調製を説明する。このグラフトコポリマーは水分散液中で以下の成分を用いて形成される。
部分1を95℃+/−2℃に加熱し、pH7.5〜7.8に調節した。部分2A(モノマー)および成分2B(アゾ溶液)を4時間かけて95℃+/−2℃で同時に添加した。次に、注入口を部分3(脱イオン水)で濯ぎ、混合物を30分間にわたって還流で保持した。部分4を60分間かけて添加し、部分5の溶剤ですすいだ。最後に、脱イオン水(部分6)を添加した。この反応生成物は以下のように特徴づけられた。
固形分 52.1%
粘度 1800cps
pH 8.1
MN 18700
MW 52500
実施例12
この実施例は、スチレン/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシブチルアクリレート(重量比で35/30/27.5)から得られる主鎖を92.5%と、メチルメタクリレート/メタクリル酸(重量比で4.5/3)から得られるマクロモノマー(実施例1から)を7%とを含有する、もう一つのグラフトコポリマーの調製を説明する。このグラフトコポリマーは、上記マクロモノマーの水分散液中で形成された。このグラフトコポリマーは、以下の成分を用いてガラス製反応器中で調製した。
部分1のpHを7.5〜7.8に調節し、混合物を90℃で還流まで加熱した。部分2A(モノマー)および部分2B(アゾ溶液)を4時間かけて90℃で同時に添加した。部分3を濯ぎに用い、次に、反応器の内容物を還流で60分間にわたって保持し、続いてpHを8.0に調節した。脱イオン水(部分4)を添加した。この反応生成物は以下のように特徴づけられた。
固形分 52.5%
粘度 1050cps
pH 8
MN 25900
MW 112900
比較実施例13
実施例12に対する比較として、マクロモノマーを用いずに、スチレン/メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシブチルアクリレート/メタクリル酸(重量比で35/4.5/30/27.5/3)から、1工程でコポリマーを調製した。この分散液は安定ではなかった。
実施例14
主鎖のモノマーをスチレン(16.875部)、ブチルアクリレート(13.50部)およびヒドロキシプロピルアクリレート(11.25部)(重量比で37.5/30/25)に変更した以外は、実施例12と同様の操作を用いた。得られたグラフトコポリマーは以下のように特徴付けられた。
固形分 51.1%
粘度 490cps
pH 8.1
MN 12000
MW 122400
粒径 109nm(92%)および195nm(8%)(二モード)
実施例15
この実施例は、スチレン/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(重量比で25/40/27.5)から得られる主鎖を92.5%と、メチルメタクリレート/メタクリル酸(重量比で4.5/3)から得られるマクロモノマー(実施例1から)を7.5%とを含有するグラフトコポリマーの調製を説明する。この実施例では、上記実施例13で用いられたアゾ溶液は、21.5部の脱イオン水に溶解した0.2部のアンモニウムペルサルフェート(AP)に置き換えた。得られた安定なグラフトポリマーは以下のように特徴付けられた。
固形分 48.4%
粘度 77cps
pH 8
MN 7200
MW 132.600
粒径 210nm
実施例16
この実施例は、スチレン/メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/メタクリルアミド/2−ヒドロキシエチルアクリレート(重量比で27/14.5/46/4/2.5)から得られる主鎖を94%と、メチルメタクリレート/メタクリル酸(重量比で3.6/2.4)から得られるマクロモノマー(実施例1から)を6%とを含有する、本発明によるグラフトコポリマーの調製を説明する。このグラフトコポリマーは、アンモニアを用いて水に分散した後で共重合されて、ヒドロキシ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)官能価およびアミド(メタクリルアミド)官能価の双方を有する高分子量のバインダーを形成する。調製には、以下の成分を用いた。
部分1を90℃に加熱し、pHを7.0〜7.75に調整した。部分2A(モノマー)および部分2B(アゾーアミド溶液)を4時間かけて同時に添加した。部分3(水)を濯ぎに用い、この混合物を還流で60分間にわたって保持し、続いて冷却し、pHを8.0〜8.5に調節した。部分4を60分間かけて添加し、続いて水(部分5)で濯いだ。この生成物は以下のように特徴づけられた。
固形分 36.6%
粘度 非常に低い
pH 8.4
MW 高すぎて測定不能
実施例17〜19
これらの実施例は、マクロモノマーの水分散液中で形成されるグラフトコポリマーを説明するものであり、そこにおいて、該マクロモノマー分散液の一部は反応用モノマーと同時に添加される。3つの実施例(17、18および19)の各々は、主鎖モノマーを以下のように変化させた以外は同様にして調製した。
3つの実施例の各々において、グラフトコポリマーは、上記したように構成される主鎖を92.5%と、メチルメタクリレートとメタクリル酸(重量比で4.5対3)とから得られる実施例1に従ったマクロモノマーを7.5%とを含有する。
部分1をpH7〜7.75に調整し、90+/−2℃に加熱した。部分2A(アゾ−マクロ溶液)および部分2B(モノマー)を90℃で4時間かけて同時に添加した。部分3(脱イオン水)を用いて濯ぎ、次に、反応生成物を還流で30分間にわたって保持した。部分4を60分間かけて添加し、続いてメチルエチルケトン(部分5)で濯ぎ、pHを約7.5に調整し、幾分かの脱イオン水(部分6)を添加した。反応生成物は以下のように特徴づけられた。
実施例20〜23
これらの実施例は、焼き付けにより硬化される一成分水性塗料組成を説明する。以下の実施例は、メチル化したメラミンホルムアルデヒド・バインダーであるシメル(Cymel)(商標)325(Cyanamid製)を用いて、アクリル/メラミンホルムアルデヒド比が75/25で配合された。
これらのクリアコートは、典型的な商業用水性ベースコートの上に50ミクロンで吹きつけられ、120℃で30分間にわたって焼き付けた(吹きつけ粘度:600mPaS)。以下の試験結果が得られた。
実施例24〜28
これらの実施例は、本発明による二成分水性塗料組成物を説明するものであり、該組成物は風乾(低温焼き付け(low bake))硬化用に配合する。これらの実施例は、バソナット(Basonat)(商標)PLR8878X(BASFから市販されている三官能性イソシアネートであり、水分散性である)を用いて配合した。イソシアネート/ヒドロキシル当量比1/1でバソナット(Basonat)(登録商標)PLR8878X架橋剤を混合した後、1日後および14日後の粘度(cps)、硬度(Persoz)および残留NCO%(IR分析により+/−30ミクロンの膜上)を測定した。
当業者であれば、おそらくは、開示された主題について、成分の量を開示の量からわずかに変えること、無害または補足物質の添加、または同等成分の開示成分との置き換え等の多くの改変を構成することが可能であろう。そのような改変は、以下の請求の範囲規定されるよう本発明の概念の範囲内であると考えられる。
Claims (4)
- 基体を塗装するための着色ベースコートまたはクリアコートとして有用な塗料組成物であって、
(a)(i)重合したエチレン性不飽和モノマーのポリマー主鎖を、グラフトコポリマーの重量に対して2〜98%と、
(ii)その単一の末端点において前記ポリマー主鎖に結合するマクロモノマーであって、前記マクロモノマーが500〜30,000の重量平均分子量を有し、カルボン酸官能価を有するかあるいはアミン官能価を有するかのいずれかである全てのα−βエチレン性不飽和モノマーを重合したものを前記マクロモノマーの重量に対して10〜100%含有し、コバルトキレート連鎖転移剤の存在下で反応されたメタクリレートモノマー単位を含有するマクロモノマーを、グラフトコポリマーの重量に対して98〜2%と、
を含む重量平均分子量が3000〜500,000であるグラフトコポリマーを、バインダーの重量に対して5〜98%含有するバインダーと、
(b)前記バインダーの重量に対して2〜50%の架橋剤と、
(c)組成物の重量に対して40〜90重量%の80〜100%の水を含有する水系キャリアと、を含有し、
前記グラフトコポリマーが、80〜100%の水を含有する前記水系キャリア中における、前記マクロモノマーと前記主鎖を構成する前記エチレン性不飽和モノマーとの反応生成物であり、前記マクロモノマーのカルボン酸またはアミン官能基の少なくとも一部が中和されており、および前記マクロモノマーが水系キャリアに溶解あるいは分散されて、不溶性粒子を形成するグラフトコポリマーの部分を安定化することを特徴とする塗料組成物。 - 前記マクロモノマーが、カルボン酸官能価を含有する重合したエチレン性不飽和モノマーを前記マクロモノマーの重量に対して10〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 前記マクロモノマーが、ヒドロキシル官能性を含有する重合したエチレン性不飽和モノマーを前記マクロモノマーの重量に対して5〜30重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 前記主鎖が主に重合されたアクリレートまたはスチレンまたはアクリレートとスチレンの混合物であり、アルキルアクリレート、脂環族アクリレート、アリールアクリレート、スチレン、アルキルスチレン、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる重合したエチレン性不飽和モノマーを含有し、前記カルボン酸官能価を含有するエチレン性不飽和モノマーがカルボキシル基含有アルキルアクリレートおよびカルボシキル基含有アルキルメタクリレートからなる群から選ばれるモノマーを含有し、上記のアルキル基、脂環族基およびアリール基が炭素数1〜12であり、前記マクロモノマーが主にメタクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
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