JP3883855B2 - アクティブ磁気シールド装置およびアクティブ磁気シールド方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気シールドが必要とされる所定領域に対し、外界からの磁気変動を減衰し、アクティブに磁気シールドを行なうための、アクティブ磁気シールド装置とアクティブ磁気シールド方法に関し、特に、外界の磁気変動による影響を受けやすい電子ビームを用いた顕微鏡および電子ビーム露光装置を設置する環境に対して、外界の磁気変動の影響をアクティブに低減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ビームを用いた顕微鏡や電子ビーム露光装置等の電子ビーム制御は外界の磁気変動による影響を受けやすく、特にフォトマスク作製のための電子ビーム露光装置の場合、近年の半導体装置の高密度化に伴ないフォトマスクにおける絵柄の微細化が一段と進む中、ビーム位置制御に対する影響は深刻な問題であることが知られている。
最近では、厳しい位置制御が要求される電子ビーム描画装置においては、磁気変動量を0. 3mG〜1mG以下に抑制することが要求されており、装置を設置する環境に十分配慮する必要があった。
このような装置を設置する設置室としては、一般的には、その壁面をパーマロイに代表される強磁性体で構成し、その外界からの影響による磁気変動を減衰するいわゆるシールドルームを採用している。
このような方法により、外界からの影響による磁気変動を減衰する方式を、通常、パッシブ磁気シールド方式と言っている。
しかしながら、パッシブ磁気シールド方式では、近年の装置要求に対応するためにはパーマロイの層数を増やしたり厚みを増す必要があり、価格が加速度的に跳ね上がっているのが現状で、装置の設置コスト低減の足枷となっているのが現状である。
また、0. 1〜1. 0Hz近傍の低周波数領域では遮蔽性能が落ちることが確認されており、車両等の通行による磁気変動を効率よく抑えることが困難であることが知られている。
【0003】
このような中、近年シールドルームの新形態として、磁気シールドしたい空間を取り囲む形態(通常直方体形状の6面)に電磁コイルをはり、その外界からの影響による磁気変動を内部あるいは外部の磁気センサーで検出し、これを相殺するように電磁コイルに流れる電流を制御するアクティブにシールドする技術が開発されている。
このような、外界からの影響による磁気変動をアクティブに減衰する方式をアクティブ磁気シールド方式と言っている。
アクティブ磁気シールド方式の形態としては、シールド空間の1個所に磁気変動を検出するための磁気センサーを配置し、その測定値に従って電磁コイルに流す電流量を調節する通称1センサー方式と、6面全てにセンサーを配置し,X、Y、Z各軸の磁場勾配を測定し、これを相殺する方向に電磁コイルに電流を流す通称6センサー方式が知られている。
1センサー方式は、確実にその部位の磁気変動を抑えることが可能であるが、その他の部位に関しては何ら情報が得られない。
このため1センサー方式を採用する場合は、予め周囲に配置される機器による磁場磁場変動の影響、ならびに周囲を走る車両、鉄道の影響を前もってデータ取りし、シミユレーションの技法を用いてシールド内の任意点の磁気変動を抑えるように制御するのが一般的である。
したがって、周辺装置のレイアウト変更などによって環境が変化した場合は、あらためてシミユレーションをやりなおす必要があり、長期的な意味合いではアクティブと呼ぶことはできない。
これに対し、6センサー方式はシールド空間内の磁気勾配を測定することが可能であるため周囲の環境変化に対しては即応できるが、磁気勾配を単純に直線勾配として近似して制御を行うことになるので、近傍の磁気変動および5Hzを超える周波数帯域の磁気変動を抑えることが困難であるという欠点を持っている。
したがって、実際には離れたところを走る車両や鉄道の影響を抑えることはできるが、近くを通る台車やイスの動き、扉の開閉の影響を効果的に抑えることが困難である。
以上のように何れの方式を採用したとしても、未だ既存のシールドルームに取って代わるだけの性能を有したものはなく、特に長期的に、しかも近傍から来る磁気変動を広い周波数帯で効率よく抑制することは困難な状況である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のアクティブ磁気シールド方式の、1センサー方式と6センサー方式には、それぞれ欠点があり、その対応が求められていた。
本発明は、これに対応するもので、1センサー方式と6センサー方式の利点を併せ持つ磁気シールド装置を提供しようとするものである。
具体的には、磁気シールド領域に磁気変動量を測定する目的を有したセンサー群と、磁気シールド空間内部の磁気変動を測定する目的を有したセンサー群とを配置し、お互いの測定値から電磁コイルに流す適正な電流値を算出し、効果的に外来磁気変動を減衰するアクティブ磁気シールド装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のアクティブ磁気シールド装置は、磁気シールドが必要とされる所定領域に対し、外界からの磁気変動を減衰し、アクティブに磁気シールドを行なうための磁気シールド装置であって、磁気変動量を測定するための磁気センサー群と、その各磁気センサー毎に対応して設けられ、それぞれ、独立に、磁気センサー配設箇所に磁界をかけるための電磁コイル群と、各磁気センサーとこれに対応して設けられた電磁コイル毎に、これらを関連つけて制御するコントローラ群とを備え、前記各磁気センサーによる測定で得られた磁気変動量をもとに、それぞれ、独立に、各磁気センサー配設箇所に磁気変動を相殺する方向に磁界をかけて、電磁コイル群で囲まれた空間を磁気シールド空間として形成して、該磁気シールド空間内に前記所定領域を配するもので、少なくとも、前記磁気シールド空間の所定方向の前記所定領域を挟む2箇所と、その磁気シールド空間内の前記2箇所の間の位置に、それぞれ、前記所定方向に沿う磁気変動量を測定するように磁気センサーを設け、且つ、各磁気センサー位置において測定された前記所定方向に沿う磁気変動量を相殺するように、各磁気センサー位置において前記所定方向に沿い磁界をかける電磁コイルを配置していることを特徴とするものである。
そして、上記において、所定方向を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向としていることを特徴とするものである。
そしてまた、上記において、コントローラは、磁気センサーからの信号をA/D変換するA/D変換部と、A/D変換部からのデータ値をもとに所定の演算を行なう演算処理部と、演算処理部により得られたデータ値をD/A変換し、更に電流増幅する、D/A変換部と、電流アンプとを備え、各磁気センサー配設位置での磁気変動量を相殺するように、各電磁コイルに所定の電流を流すものであることを特徴とするものである。
【0006】
本発明のアクティブ磁気シールド方法は、磁気シールドが必要とされる所定領域に対し、外界からの磁気変動を減衰し、アクティブに磁気シールドを行なうためのアクティブ磁気シールド方法であって、少なくとも、前記所定領域をその内に配する空間の所定方向の相対する両端部と、その磁気シールド空間内の前記両端部の間の位置に、それぞれ、前記所定方向に沿う磁気変動量を測定するように磁気センサーを設け、且つ、各磁気センサー位置において測定された前記所定方向に沿う磁気変動量を相殺するように、各磁気センサー位置毎に前記所定方向に沿い磁界をかける電磁コイルを配置し、それぞれ、独立に、各磁気センサー位置の磁気変動量を0にするように、対応する電磁コイルに流す電流量を制御するものであることを特徴とするものである。
そして、上記において、所定方向を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向としていることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】
本発明のアクティブ磁気シールド装置は、このような構成にすることにより、1センサー方式と6センサー方式の利点を共に持った磁気シールド装置の提供を可能としている。
即ち、本発明の磁気シールド装置は、レイアウト変更などの周辺環境の変更にも対応でき、且つ、広い周波数帯域で近傍の磁気変動にも対応できるものとしている。
具体的には、磁気変動量を測定するための磁気センサー群と、その各磁気センサー毎に対応して設けられ、それぞれ、独立に、磁気センサー配設箇所に磁界をかけるための電磁コイル群と、各磁気センサーとこれに対応して設けられた電磁コイル毎に、これらを関連つけて制御するコントローラ群とを備え、前記各磁気センサーによる測定で得られた磁気変動量をもとに、それぞれ、独立に、各磁気センサー配設箇所に磁気変動を相殺する方向に磁界をかけて、電磁コイル群で囲まれた空間を磁気シールド空間として形成して、該磁気シールド空間内に前記所定領域を配するもので、少なくとも、前記磁気シールド空間の所定方向の前記所定領域を挟む2箇所と、その磁気シールド空間内の前記2箇所の間の位置に、それぞれ、前記所定方向に沿う磁気変動量を測定するように磁気センサーを設け、且つ、各磁気センサー位置において測定された前記所定方向に沿う磁気変動量を相殺するように、各磁気センサー位置において前記所定方向に沿い磁界をかける電磁コイルを配置していることにより、これを達成している。
前記所定領域の所定方向を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向とすることにより、1方向だけの場合に比べ、より精度の高い磁界の制御を可能としている。
【0008】
本発明のアクティブ磁気シールド方法は、このような構成にすることにより、1センサー方式と6センサー方式の利点を共に持った磁気シールド方法の提供を可能として、レイアウト変更などの周辺環境の変更にも対応でき、且つ、広い周波数帯域で近傍の磁気変動にも対応できるものとしている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のアクティブ磁気シールド装置の実施の形態例を、図に基づいて説明する。
図1(a)は本発明のアクティブ磁気シールド装置の実施の形態の第1の例の概略図で、図1(b)は各コントローラの構成を示した図で、図2はX軸、Y軸、Z軸の各方向に対し、磁気センサーを配した、本発明のアクティブ磁気シールド装置の実施の形態の第2の例の概略図である。
図1〜図2中、110は磁気シールド空間、121〜123磁気センサーは、121a〜123aは配線、131〜133は電磁コイル、131a〜133aは配線、141〜143はコントローラ、210は磁気シールド空間、221〜223は電磁コイル、225〜228は磁気センサーである。
尚、図1中、A1、B1、Ac、Bc、A2、B2は配線上の各位置を意味する。
【0010】
本例のアクティブ磁気シールド装置の実施の形態の第1の例を、図1に基づいて説明する。
第1の例のアクティブ磁気シールド装置は、磁気シールドが必要とされる所定領域に対し、外界からの磁気変動を減衰し、アクティブに磁気シールドを行なうための磁気シールド装置で、X軸方向の磁気シールドが必要とされる所定領域を挟む2箇所と、その2箇所の間の位置に、それぞれ、前記所定方向に沿う磁気変動量を測定するように磁気センサー121、122、123を設け、且つ、各磁気センサー位置において測定された前記所定方向に沿う磁気変動量を相殺するように、各磁気センサー位置において前記所定方向に沿い磁界をかける電磁コイル131、132、133を配置し、これらの磁気センサー、電磁コイルを関連つけて制御するコントローラ141、142、143とを備えている。
そして、それぞれ、独立に、各磁気センサー位置での磁気変動量を0にするように、対応する電磁コイルに流す電流量を制御するものである。
第1の例のアクティブ磁気シールド装置は、X軸方向のみに磁気変動量の勾配を持つ場合に特に有効な装置であり、ここでは、このような環境下で用いるものとする。
【0011】
磁気センサー121〜123としては、磁気変動量を検出する、半導体磁気センサー、光ファイバー磁気センサー、SQUID(Superconducting Quantum Innterference Device:超伝導量子干渉素子)磁力計(磁束計とも言う)が挙げられ、環境特性や目的に対応して用いる。
本例では、一次微分型のSQUID磁力計等が用いられる。
尚、数Hz〜1KHz以上レベルの磁界の変化に追随できる磁気変動量を検出する広帯域磁気センサーとしては、例えば、マグバン社製のものが知られている。
電磁コイル131〜133は、磁気シールド空間110を、配線131a、132a、133aで、それぞれ、箱型に取り巻いたものである。
【0012】
コントローラ141〜143は、各磁気センサー121〜123、各電磁コイル131〜133と接続し、これらを関連つけて制御するもので、それぞれ、独立に、各磁気センサー位置での磁気変動量を0にするように、対応する電磁コイルに流す電流量を制御する。
本例では、磁気センサー121、122、123により測定された磁気変動量にしたがい、それぞれ、磁気センサー131、132、133により、独立に、磁気変動が0になるように制御される。
図1(b)に示すように、各コントローラは、電源、演算処理部(プロセッサ)、A/D変換器、D/A変換器、電流アンプから構成されており、それぞれ、磁気センサーからの入力をA/D変換器によりA/D変換し、得られたA/D変換部からのデータ値をもとに演算処理部により所定の演算を行ない、演算処理部により得られたデータ値をD/A変換部によりD/A変換し、アナログ化して電流を得て、更に、これを電流アンプにより増幅して、所定の電流を得て、これを、対応する電磁コイルに流し、磁気変動量を相殺する。
【0013】
本例のアクティブ磁気シールド装置の磁気変動を減衰する動作の1例を、図1に基づいて説明しておく。
尚、これを以って、本発明のアクティブ磁気シールド方法の実施の形態例の説明に代える。
図1において、例えば左側(P0側)から右(P1側)に伝わる磁気変動は、距離減衰されながらもB1、B2を介して、それぞれ、コントローラ141、143にそれぞれ伝わるものとする。
先ず、コントローラ141、143は、それぞれ、各磁気センサー121、123の測定値を、独立に、それぞれ、A/D変換器1、A/D変換器3に取り込み、それぞれ、各磁気センサー位置の磁気変動を相殺する方向に、各磁気センサー位置に配設した電磁コイル131、133の電流量を制御する。
即ち、各磁気センサー121、123の位置の磁気変動が常に0になるように、リアルタイムに、それぞれ、対応する電磁コイル131、133に流れる電流量を制御するわけである。
次いで、この状態において、磁気シールド空間110の磁気シールドが必要とされる所定領域に配設した磁気センサー122によって、磁気シールドが必要とされる所定領域の磁気変動量をモニターする。
この磁気センサー122位置に配置された電磁コイル132に流れる電流値を、コントローラ142によって、電磁コイル131、133とは独立に制御することで、磁気シールド空間110内の磁気シールドが必要とされる所定領域における電磁勾配形状を任意にすることができる。
通常、この磁気センサー122位置に配置された電磁コイル132に流れる電流値を、コントローラ142によって、電磁コイル131、133とは独立に制御し、磁気センサー122位置の磁気センサーの測定値(磁気変動量の値)が0になるように独立制御する。
このようにして、実質的に、磁気センサー121、122、123間のセンサー間の磁気変動量の勾配を0にすることができる。
【0014】
仮に、磁気変動を抑制したい箇所に物理的に磁気センサー122を配置できない場合は、代替箇所に磁気センサー122と電磁コイル132とを設置し、その位置における磁気センサーの測定値(磁気変動量の値)をもとに、所望の箇所の磁気変動が0になるように、代替え場所の電磁コイルに流れる電流値を制御すれば良い。
磁気シールド空間内の磁気変動量の勾配形状をある程度予測し、シミユレーションすることが必要であるが、この場合、磁気シールド空間の所定方向の前記所定領域を挟む2箇所における、所定方向に沿う磁気変動量が0になるように制御された上でのシミユレーションであるので、従来の3軸1センサー方式のアクティプ磁気シールドにおけるそれと比較して、極めて単純な関数系に帰着できる。
この場合、少なくとも、シールド内部の磁気変動量が1次勾配ないしは2次勾配で近似できるとすると、代替箇所の磁気変動量が0になるように、この箇所の電磁コイルに流れる電流量を制御してやれば、実際に磁気変動を抑制したい箇所においても磁気変動量が0に近づくことが想到できる。
【0015】
本例の場合、特に、磁気シールド空間の所定方向の前記所定領域を挟む2箇所における、即ち、磁気センサー122、123位置の磁気変動を常に0になるように制御した上で、磁気シールド空間110内部の前記2箇所の間の位置に、それぞれ、前記所定方向に沿う磁気変動量を測定するように磁気センサー122を設け、この磁気センサー122の測定値(磁気変動量の値)をもとに、この磁気センサー122位置での磁気変動をモニター制御しているため、例え磁気シールド空間110の周辺環境の変化によりX軸方向の磁気変動量が変化したとしても何ら影響を受けること無く、真の意味でアクティブな磁気シールド装置として活用できる。
さらに、各制御系が独立しており、しかも単純であるため、制御系の演算スピードを可能な限り速くすることができるため、広範囲な周波数帯域において、性能を維持することが可能である。
【0016】
本例では、磁気シールド空間内部の磁気センサー(122に相当)および電磁コイル(132に相当)を一個所だけに配置しているが、これに限定されること無く、複数箇所に配置しても構わない。
複数箇所配置することで、さらに複雑な磁気勾配曲線も近似できるようになり、極めて自由度の高い磁気シールド装置を提供できる。
【0017】
次いで、本発明のアクティブ磁気シールド装置の実施の形態の第2の例を、図2に基づいて簡単に説明する。
第2の例は、図2に示すように、直方体の(部屋形状の)磁気シールド空間の外面(以下、シールド面とも言う)をX、Y、Z、各々の方向に直交するように配設し、各磁気センサー、各電磁コイルを配設し、それぞれの方向、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向について、図1に示す実施の形態例と同様に各磁気センサー、各電磁コイルを、それぞれ、対応するコントローラにより関連つけて制御するものである。
第2の例のアクティブ磁気シールド装置は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向と、ほぼ全ての方向に磁気変動を持つ場合に、有効に対応できる装置であり、通常、このような環境下で用いる。
本例は、各軸方向には、それぞれ、各軸と直交する電磁シールド空間110の相対するシールド面位置に、それぞれ、その軸方向の磁気変動を測定する磁気センサーを配し、且つそれらの相対するシールド面に配置された1対の磁気センサー間にもその軸方向の磁気変動を測定する磁気センサー1つを配するものである。
尚、図2では、見易くするため、便宜上、磁気センサー225、226、227と1対となる磁気センサーは図示していない。
磁気センサー225とこれと対をなす磁気センサー(図示していない)はZ軸方向の磁気変動を測定する磁気センサで、磁気センサー226とこれと対をなす磁気センサー(図示していない)はY軸方向の磁気変動を測定する磁気センサで、磁気センサー227とこれと対をなす磁気センサー(図示していない)はX軸方向の磁気変動を測定する磁気センサで、磁気センサー228は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3軸方向の磁気変動を測定する磁気センサである。
第1の例では、X軸方向の1方向のみに沿い、各磁気センサー、各電磁コイルを配設したものであるが、第2の例では、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に沿い各磁気センサー、各電磁コイルを配設しており、第2の例の場合、一般に、第1の例の場合よりも、より精度が高いアクティブ磁気シールド装置を得ることができる。
第2の例の場合も、単に配置軸が増えただけであって、その制御は、第1の例の制御方法と基本的に何ら変わることはない。
第2の例の場合も、各軸方向の各磁気センサー、各電磁コイルの制御系が独立でしかも単純であるため、制御系の演算スピードを可能な限り速くすることができるため、広範囲な周波数帯域において、性能を維持することが可能である。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、上記のように、1センサー方式と6センサー方式のアクティブシールド(アクティブ方式)の利点を共に持った磁気シールド装置の提供の提供を可能とした。
これにより、シールド領域内の任意の点の磁気変動を効率的良く抑制することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明のアクティブ磁気シールド装置の実施の形態の第1の例の概略図で、図1(b)は各コントローラの構成を示した図である。
【図2】本発明のアクティブ磁気シールド装置の実施の形態の第2の例の概略図である。
【符号の説明】
110 磁気シールド空間
121〜123 磁気センサー
121a〜123a 配線
131〜133 電磁コイル
131a〜133a 配線
141〜143 コントローラ
210 磁気シールド空間
221〜223 電磁コイル
225〜228 磁気センサー
Claims (5)
- 磁気シールドが必要とされる所定領域に対し、外界からの磁気変動を減衰し、アクティブに磁気シールドを行なうための磁気シールド装置であって、磁気変動量を測定するための磁気センサー群と、その各磁気センサー毎に対応して設けられ、それぞれ、独立に、磁気センサー配設箇所に磁界をかけるための電磁コイル群と、各磁気センサーとこれに対応して設けられた電磁コイル毎に、これらを関連つけて制御するコントローラ群とを備え、前記各磁気センサーによる測定で得られた磁気変動量をもとに、それぞれ、独立に、各磁気センサー配設箇所に磁気変動を相殺する方向に磁界をかけて、電磁コイル群で囲まれた空間を磁気シールド空間として形成して、該磁気シールド空間内に前記所定領域を配するもので、少なくとも、前記磁気シールド空間の所定方向の前記所定領域を挟む2箇所と、その磁気シールド空間内の前記2箇所の間の位置に、それぞれ、前記所定方向に沿う磁気変動量を測定するように磁気センサーを設け、且つ、各磁気センサー位置において測定された前記所定方向に沿う磁気変動量を相殺するように、各磁気センサー位置において前記所定方向に沿い磁界をかける電磁コイルを配置していることを特徴とするアクティブ磁気シールド装置。
- 請求項1において、所定方向を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向としていることを特徴とするアクティブ磁気シールド装置。
- 請求項1ないし2において、コントローラは、磁気センサーからの信号をA/D変換するA/D変換部と、A/D変換部からのデータ値をもとに所定の演算を行なう演算処理部と、演算処理部により得られたデータ値をD/A変換し、更に電流増幅する、D/A変換部と、電流アンプとを備え、各磁気センサー配設位置での磁気変動量を相殺するように、各電磁コイルに所定の電流を流すものであることを特徴とするアクティブ磁気シールド装置。
- 磁気シールドが必要とされる所定領域に対し、外界からの磁気変動を減衰し、アクティブに磁気シールドを行なうためのアクティブ磁気シールド方法であって、少なくとも、前記所定領域をその内に配する空間の所定方向の相対する両端部と、その磁気シールド空間内の前記両端部の間の位置に、それぞれ、前記所定方向に沿う磁気変動量を測定するように磁気センサーを設け、且つ、各磁気センサー位置において測定された前記所定方向に沿う磁気変動量を相殺するように、各磁気センサー位置毎に前記所定方向に沿い磁界をかける電磁コイルを配置し、それぞれ、独立に、各磁気センサー位置の磁気変動量を0にするように、対応する電磁コイルに流す電流量を制御するものであることを特徴とするアクティブ磁気シールド方法。
- 請求項4において、所定方向を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向としていることを特徴とするアクティブ磁気シールド方法。
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