JP3883342B2 - ジュール熱加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は被加熱物に電流を通電させることによって加熱する加熱装置、特に装置の被加熱物に対する通電機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
電流を通電させることにより発生するジュール熱によって被加熱物を加熱する装置は、食品分野などで用いられている。特開平6−319499号公報などにも記載されているように食品分野において被加熱物を加熱することは、食品の製造のみならず、被加熱物中に存在する菌類やカビなどの細菌を殺菌するためにも用いられ重要である。ところがジュール熱を利用した加熱装置を殺菌加熱に用いることは少なからぬ問題が存在した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図8(a)は従来の加熱装置における略円筒状体と電極の位置関係を示す略円筒状体の横断面図である。同図に示すように従来の加熱装置2は略円筒状体4内面に直径を挟んで相対する一対の電極6、8によって加熱されていた。この電極6、8間に電流が流れることによってジュール熱が発生し、被加熱物を加熱するのである。
【0004】
ところがこのような構成であると電流が導通する部分は常にほぼ決定されており、その他の部分は加熱することができないと言う問題があった。このため加熱にむらが生じたり、また局部的に高温となった部分は風味の劣化が起こってしまうこともあった。
【0005】
このような事態を避けるために被加熱物を攪拌することも行われたが、被加熱物である食品の物性はその材料等に左右され、均質な流動性を有しない場合があり、このために加熱むらが解消できないこともあった。
さらに加熱むらが生じた場合、当然局所的低温部分も存在し、十分な殺菌加熱が実現できず、最悪の場合、食中毒などを引き起こす可能性もある。
【0006】
さらに図8(b)は従来の加熱装置における電極の形状の一例を示すための略円筒状体の横断面図である。図8(a)と対応する部分には同じ番号が付されている。同図に示すように、より広い範囲で加熱が行えるように広い面状電極6、8を用いることもあった。しかしこのような電極であると、電極間距離が場所によって異なり、その距離がもっとも近くなる点線丸印の部分に集中して通電してしまうことがあった。このように電極の形状によっては、意図しない電流が流れることもあった。
【0007】
本発明は前記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、被加熱物中において電流が流れる場所をある程度操作することができ、それによって被加熱物を均一に加熱することができる加熱装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明にかかるジュール熱加熱装置は、略円筒状体の内面に電極を配置し、前記略円筒状体内に収容した被加熱物に直接通電して発生するジュール熱により加熱するジュール熱加熱装置において、前記略円筒状体の内面に同一間隔で3本以上の電極線が配置されており、前記電極線は内壁面に螺旋状に配置され、前記略円筒状体の内部に通電面が形成されるように前記電極線間に電流を導通させることによって被加熱物を均一に加熱することを特徴とする。
また本発明において、前記略円筒状体の中心軸部分近傍に通電面が形成されるように前記電極線間に電流を導通させることが好適である。
また本発明において、配置される電極線が3本又は4本であることが好適である。
また本発明において、配置される電極線が線状電極であることが好適である。
また本発明において、3本以上の電極線の中から順次選択された2本に電流を導通させることによって被加熱物を加熱することが好適である。
【0009】
また本発明において、電極が配置された略円筒状体が、収容された被加熱物を搬送するための略円筒状搬送路であることが好適である。
また本発明において、該略円筒状体内壁面に配置される電極として、断面形状が凸状の電極を用いることで、搬送中の被加熱物を搬送路中で攪拌可能であることが好適である。
また本発明において、被加熱物が流動性を有する食品であり、熱を加えることによって前記食品を殺菌することが好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明におけるジュール熱加熱装置は被加熱物中において電流が流れる場所をある程度操作することができ、それによって被加熱物を均一に加熱することができる加熱装置を提供することを目的とする。このため本発明にかかるジュール熱加熱装置は略円筒状体の内面に電極を配置し、前記略円筒状体内に収容した被加熱物に直接通電して発生するジュール熱により加熱するジュール熱加熱装置において、前記略円筒状体の内面に同一間隔で3本以上の電極線が配置されており、前記電極線は内壁面に螺旋状に配置されていることを特徴とする。
【0011】
図1は、内壁面に同一間隔で3本の電極線を配置した略円筒状体の横断面図を示すものである。同図に示すように、略円筒状体16内壁面に同一間隔で3本の電極線18、20、22が配置されている。このように構成すれば、電極18、22を同電圧とし、電極20をこれより高いか低い電圧をかければ、電極18−20間、22−20間で電流を流すことが可能である。そしてこれらの電極が略円筒状体16内壁面に螺旋状に配置されるから、電極が2本である構成より広い通電面をもつことが可能である。
【0012】
図2は電極を3本使用した際の通電面を示す。同図を見てもわかるように通電面の広さがわかる。このように螺旋状にするのは、図2に斜線によって示されるように電極間で通電する面を考えると略円筒状体内を通電面がドリルのように貫通する事によって、通電のない場所にも熱伝導によって十分な加熱が加わり、円筒状体内全体をおよそ均一に加熱する事を可能とするためである。
【0013】
比較のために図9に2本の電極を螺旋状に配置された略円筒状体の断面図を示す。
図2と図9の通電面を比較すると、図9のように電極が2つである場合、略円筒状体の中心軸を常に通過する通電面が形成される。すると、中心軸部分は、常に過熱状態にあることになり、過剰な加熱となる可能性があるが、電極が3つである図2のような構成であると電極が螺旋状に配置された通電面は略円筒状体中心軸を通らずその近傍を回るように通電面を形成する。このため中心軸部分に通電することはなくなるが、中心軸部分近傍に必ず通電面が存在するようになり、熱伝導による加熱で十分に加熱される。このため、電極が2本である場合の問題点も解消され、過剰加熱が起こる可能性が少なくなる。
【0014】
なお、電極を3本使用する前記構成を説明するのに電極18、22を同電圧とし、電極20をこれより高いか低い電圧をかけるという直流電圧のような表現を使用したが、本発明は直流のみを用いることに限定されず、交流であってもよい。
【0015】
本発明において、電極線は線状電極であることが好適である。電極が線状電極であるとは、略円筒状体の内面において少なくとも2つの電極を配置したときに、配置した2つの電極間の距離が場所により2倍以上の違いがない範囲となるような電極を言うこととする。例えば略円筒状体断面が真円となるような場合を例にとって図10を用いて説明する。なお図10において図9と対応する部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0016】
図10は略円筒状体の断面を描いた線状電極の説明図である。同図に示すように、略円筒状体10の内面に電極12と電極14が配置されている。略円筒状体10の断面半径をr、略円筒状体10の中心をOとするときに、電極12、14が略円筒状体10内面で2θの弧を張るときを考えると、この電極間距離はaで最大の2rとなり、bで最小の2rcosθとなる。よって電極間距離が2倍以上にならない距離とはθがπ/3rad以下、つまり60度以下となるように配置することである。このように電極間距離に2倍以上の違いをもたせないことで電極間距離の違いにより生じる偏った通電が起きることをある程度防止することが可能である。
【0017】
なお前記定義によれば略円筒状体内壁面に配置される電極が形成する弧の中心角2θは120度以下であるとしたが、本構成では3本以上の電極を配置するから例えば3本の電極を使用したとき、120度では互いにとなりあう電極と接触してしまうため、さらに小さい角度でならなければならないことは明白なことである。このような場合、中心角度が小さいほど、電極間の距離変化が少ないが、電極断面積が小さすぎると加熱に必要な電力の供給に耐えられなくなる可能性もあるため、これらの点を考慮して、その形態にちょうどよい中心角度となる電極線を形成することが好ましい。
【0018】
図1及び図2に記載した電極を3本以上用いる本発明の装置においては、3本の電極間で同時に通電することを考えた。これによって電極が2本である装置より広い通電面を形成することが可能となった。しかし本発明者らはさらに鋭意研究を進め、3本以上の電極線の中から順次選択された2本に交流電流を導通させることによって被加熱物を加熱することでさらに通電面の面積が広くなること、より安定した通電が可能になることを見出した。
【0019】
図3に3本の電極線の中から順次選択された2本に電流を導通させることによって被加熱物を加熱する構成をもつ略円筒状体の横断面図を示す。同図に示すように略円筒状体24内面には電極26、28、30が等間隔で配置されており、見かけ上は図1と同じように見える。しかし、図3では、電極26−28間、28−30間、30−26間と一定時間ごとに通電する電極が切り替わるように構成されている。これによって、図3中に点線で示したような通電が起こる。このように図1と比較して通電面が一つ増えることとなるため、より効率の良い加熱と被加熱物の加熱温度の均一性を高くすることができる。
【0020】
また図4には4本の電極線の中から順次選択された2本に電流を導通させることによって被加熱物を加熱する構成をもつ略円筒状体の横断面図を示す。同図に示すように略円筒状体32内面には電極34、36、38、40が等間隔で配置されている。図3同様に通電が起こる場所を点線で示すと、ほとんどくまなく通電することがわかる。このような電極は略円筒状体32内壁面に螺旋状に配置されているのであるから、通電面はほぼ略円筒状体32内の被加熱物全体に行き渡るように形成されることがわかる。
【0021】
図4の構成であると電極が2本であるときに起こる中心部分近傍に必ず通電面が存在するようになり、中心部分が過剰加熱される可能性を再び抱え込んだように見えるが、これら電極間は常に通電しているのでなく、2本の電極間で順次切り替えて通電しているので、例えば、電極34−36間、36−38間、38−40間、40−34間の順番で通電させ2巡したら一度36−40間に通電させ、再び電極34−36間、36−38間、38−40間、40−34間の順番で通電させ2巡したら34−38間で通電させるというように構成したり、電極34−38間、40−34間の通電時間を電極34−36間、36−38間、38−40間、40−34間の通電時間より短くすると言うように構成すれば中心部分の過剰加熱は起こり得ない。
【0022】
このように本発明におけるジュール熱加熱装置は、複数の電極を略円筒状体内に等間隔で配置し、順次選択された2本の電極間で通電させることによって、被加熱物中において電流が流れる場所をある程度操作することができ、それによって被加熱物を均一に加熱することができるのである。
【0023】
また3本以上の電極から順次選択された2本の電極に電流を流すことができるから、被加熱物の温度分布状態を把握して、加熱の不均衡が生じている場合、温度の低い部分を重点的に加熱し、均一な温度分布状態にすることも可能となる。
【0024】
このように本発明は、3本以上の電極を略円筒状体内壁面に配置し、その中の選択した2本に電流を流すことによって電流を通電させる部位をある程度操作することが可能となった。
【0025】
なおここまでに説明してきた本発明の言う略円筒状体とは、断面が真円である容器や筒状体に限らず、楕円など略円形となる断面を有するものも含むものである。
【0026】
本発明の略円筒状体は、被加熱物を搬送するための略円筒状搬送路として好適に用いることが可能である。電極が内壁面に螺旋状に配置された通電面は、図2に示したように、ドリル状に略円筒状体内を貫通している。これによって、被加熱物をくまなく加熱することが可能であるが、このような構成の円筒状体を搬送路として使用すると言うことは、円筒状体内を被加熱物が通過して行くと言うことである。通常、搬送路内の被加熱物は、攪拌のような混合が起こるとは考えられず、およそ、円筒状体内に収容された状態のまま出口方向に向かって進むものと考えられる。
【0027】
そして、この進行過程で、通電面はドリル状に円筒状体内を貫通しているから、被加熱物の通電場所は刻々と変化して行き、出口に到達するまでにくまなく通電され加熱することが可能となる。
【0028】
またこのような円筒状体内の被加熱物は、等速で出口方向に進んでいるものと考えられるから、被加熱物のある部位に通電される時間はほぼ等しいと考えてよく、このことから加熱むらも少なくなることが考えられるからである。
【0029】
さらに略円筒状体内壁面に配置された電極にある程度の厚さををもたせたり、凸型の電極を用いたりすることによって、略円筒状体内を通過する被加熱物に対して、攪拌効果を発揮することも確かめられた。このため、加熱の均一性がより高くなることがわかった。
【0030】
そして、凸型電極や厚さをもたせた電極を用いた際に、被加熱物が電極近傍に滞留することが懸念されたが、電極が螺旋状に配置されていることによって、滞りなく通過していることもわかった。
【0031】
このため、食品の原料タンクから製造タンクへの搬送中における殺菌や予備加熱、製造後保温の必要な製品の搬送中における保温、製造した製品を容器に封入する直前での殺菌加熱などが可能となり、生産効率を向上させることが可能である。
【0032】
なお本発明によって前記電極の形状によって、攪拌効果を確実に得たい場合には、被加熱物の粘性が5000cP(センチポイズ)以下であり、被加熱物に含まれる固形物の大きさが15mmキューブ以下の大きさであることが好適である。 粘性がこれより大きいと十分な攪拌効果は期待できず、また被加熱物に含まれる固形物に、これより大きいものが含まれていても十分な攪拌効果が期待できなくなってしまうからである。
【0033】
なお、本発明は、被加熱物に通電する部位の電流の操作、及びむらのない加熱が可能であるから食品の殺菌に用いれば大きな効果を発揮することができるものである。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
【0034】
【実施例】
図5に本発明の一実施形態を示す。同図は、食品搬送装置42の概略図であり、本発明のジュール熱加熱装置44は、原料タンク46から製品タンク48に食品が搬送される途中の搬送路として、食品搬送装置42中に組み込まれており、本実施形態においてジュール熱加熱装置44は食品を殺菌加熱する装置として用いられている。
【0035】
本実施例のジュール熱加熱装置44は食品搬送装置42が駆動されると、それに同期して駆動されるように構成されている。食品搬送装置42が駆動されると、原料タンク上方に取り付けられたレギュレータ50によって調整された量のエアーが原料タンク内に送り込まれる。送り込まれたエアーの量に応じて、原料タンク46内部の食品は一定量づつ押し出され、バタ弁52を通過して搬送路であるジュール熱加熱装置44に送り出される。
【0036】
食品がジュール熱加熱装置44内を通過する時間は、原料タンク内に送り込まれるエアーの量によって調整される。ジュール熱加熱装置44内を通過する通過時間は、電流の通電によって食品が殺菌温度まで昇温される時間に、殺菌するに十分な殺菌時間を加えたものとなるように調整されている。
この通過時間が長すぎると食品が過剰に加熱され劣化を起こすことがあり、また短すぎると十分殺菌することができないので慎重に調整する必要がある。
【0037】
ジュール熱加熱装置44出口は通常の搬送路に接続されており、ジュール熱加熱装置44を通過した食品は、そのまま通常の搬送路を通過して食品に加えられた熱を取り除く冷却二重管54を通過する。そして十分熱が取り除かれた食品は、エアー注入だけでは一定に保っておくことのできない食品の流速を、一定にするために取り付けられたロータリーポンプ56によって吸い出され、製品タンク48に搬送されるのである。
【0038】
このように、本実施形態のジュール熱加熱装置44を用いれば、通常では食品の搬送だけで費やされる時間で、殺菌加熱まで行うことができ、非常に効率がアップする。
【0039】
ここで、本実施形態の用いられたジュール熱加熱装置44をさらに詳細に説明する。
図6(a)は図5に示したジュール熱加熱装置44の断面図を、図6(b)は図6(a)に示したジュール熱加熱装置44の左側方から見た図を示したものである。図6(a)と図6(b)の同じパーツには同じ番号を付して示してある。
【0040】
同図に示すジュール熱加熱装置44は外径φ48mm、内径φ41mmの略円筒状体である透明ポリカーボネートパイプ60の内壁に、電極部内径がφ39mmとなるようなチタン製凸型電極62、64、66の3本の電極線が螺旋状に配置されている。
【0041】
透明ポリカーボネートパイプ60左端は、食品流入側であり、パッキン68、をはさんでポリカーボネートフランジ70にねじ込まれている。凸型電極62、64、66は、ポリカーボネートパイプ60の入り口よりさらに外方まで突出し、ポリカーボネートフランジ70を貫通して備えられている通電端子72、74、76に接続されている。
【0042】
そしてポリカーボネートフランジ70は、通常の搬送路である流入側SUSパイプのフランジ部分と接続され、シリコンチャッキング78により両フランジ部分を固定しロックネジ80によりしっかりと固定されている。
【0043】
また透明ポリカーボネートパイプ60右端は、食品流出側であり、凸型電極端末保持リング82が透明ポリカーボネートパイプ60右端先端に固定され電極を固定したままポリカーボネートフランジ84に取り付けられている。そして通常の搬送路である流出側SUSパイプのフランジ部分と接続され、左端と同様にシリコンチャッキング86により両フランジ部分を固定しロックネジ88によりしっかりと固定されている。
【0044】
以上のように構成されたジュール熱加熱装置44は、通電端子72、74、76を電源につなぐことによって、電力が供給され食品を加熱するのである。このときに、例えば通電端子72に供給される電力を基準として、通電端子74、76に供給される電力にそれぞれ±2π/3の位相差を与えたり、一定時間ごとに通電端子72、74、76のいずれか2つの電極に電力が供給されるように自動で切り替え可能な切り替えスイッチを電源との間に備えることによって、3つの電極の中から順次選択された2つ電極に通電させることが可能である。なお3つの電極の中から順次選択された2つ電極に通電させる方法は、ここに示したもののみに限られるものではない。
【0045】
ところで、食品の殺菌は殺菌温度までの加熱と、十分に殺菌できるだけの殺菌時間分だけ殺菌温度を保持する必要がある。前記図5に示した食品搬送装置には、ジュール熱加熱装置が一つだけ備えられていた。このような構成は、高温殺菌において有用である。なぜならば、微生物や細菌の死滅に必要な殺菌時間は、殺菌温度が上昇すると対数的に減少するからである。このため、例えば、殺菌温度を120℃とするような高温殺菌であるならば殺菌時間が数秒から数分となるため、ジュール熱加熱装置の略円筒状体内に供給し続けられる食品を加熱するために被加熱物に電流を流し続けて、目標とする殺菌温度に達した後にも殺菌時間分の加熱されることとなるが殺菌時間は非常に短くて済むため、食品が劣化してしまうような過剰加熱される前に略円筒状体を通り抜けるように設定すればよいからである。
【0046】
しかし、図5の構成では、低温での殺菌は、例えば殺菌温度が90℃であっても数分の殺菌時間が必要とされることがしばしばである。殺菌温度によっては、加熱に必要とされる時間より殺菌時間分殺菌温度を保持する時間の方が長くなることもある。そういった場合には、図7に示すように原料タンクと製品タンクの間に二つのジュール熱加熱装置をはさんで構成した食品搬送装置を用いても良い。
【0047】
図7は本発明の第二の一実施形態の概略図である。図5と対応する部分には符号100を加えて示している。
本実施例では、加熱用ジュール熱加熱装置190と殺菌温度保持用ジュール熱加熱装置192の2つが備えられている。このように構成することによって、低温における殺菌においても過剰に加熱することなく、十分な殺菌を行うことができる。
このように本発明のジュール熱加熱装置は、殺菌温度と殺菌時間の兼ね合い、及び被加熱物である食品の性質を考慮して逐次改造、改良することが可能である。
【0048】
なお図7においては、送圧ポンプ194によって、原料タンク146内の材料を搬送している。本形態では、送圧ポンプ194によってジュール熱加熱装置190及び192に送り出される材料の搬送圧がロータリーポンプ156によって、製品タンクに送り出される搬送圧より高く設定されている。よってジュール熱加熱装置内での材料は高密度の状態となり、効率的に加熱することが可能である。
【0049】
また、本発明の実施例では、食品搬送装置にジュール熱加熱装置を組み込んで殺菌加熱する装置を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、調理のための加熱、保温に用いてもよく、また食品分野以外に適用することも可能であり、特許請求の範囲に記載した装置を権利範囲とするものである。
【0050】
実験
図5に示した食品搬送装置を用いて、殺菌能力のテストを試みた。試験方法は、原料タンク内に加工済みのカレーを入れ、製品タンク内に搬送する過程で、本発明のジュール熱加熱装置によって加熱殺菌したものと、加熱殺菌しないものを同一環境下において、経時変化を観察することとした。
【0051】
まず、原料タンク内に加工済みカレーを入れた、このとき原料タンクに入れられるカレーの一部を採取し、試料1とした。
続いて、食品搬送装置を駆動させ、ジュール熱加熱装置と通常のパイプの接続部を一時的に切り離して、ジュール熱加熱装置に入る直前のカレーを採取し、これを試料2とした。
【0052】
さらにジュール熱加熱装置を通過し殺菌された後、冷却二重管を通過して冷却されたカレーをパイプ接続部を一時的に切り離して採取し、これを試料3とした。なお、本実験では加熱装置の殺菌温度を120℃で30秒間実施している。
最後に製品タンクに搬送されたカレーを採取し、これを試料4とした。
【0053】
それぞれの試料1〜4は、おのおの殺菌消毒済みのシャーレに密封され、温度30℃、湿度65%の環境を保つケースに収めて、その経時変化を観察した。
試料1と2は、24時間経過後に観察すると所々に青かびのコロニーが形成されていた。これに対し試料3と4は何の変化も認められなかった。72時間後に再び観察すると、試料1と2は、表面一面にかびが生えており、細菌はさらに増殖していることがわかった。しかし試料3と4は72時間経過後も何の変化も見られなかった。
以上のことから本発明のジュール熱加熱装置は十分に殺菌加熱に用いられることがわかった。
【0054】
また、前記実験において、すべての試料の採取終了後、食品搬送装置を止め、冷却二重管入り口の直前で、一時的にパイプを切り離し、パイプに残るジュール熱加熱装置の略円筒状体を通り抜けてきたカレーの温度をパイプの様々な部位で計測したが、すべての計測場所で、119.5℃〜120.5℃の間の温度を示した。
以上のことから本発明のジュール熱加熱装置は、均一な加熱が実現されていることが確かめられた。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるジュール熱加熱装置によれば、被加熱物をほぼ均一な温度で加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は内壁面に同一間隔で3本の電極を配置した略円筒状体の横断面図である。
【図2】図2は螺旋状に配置された3本の電極の様子を示す略円筒状体の断面図である。
【図3】図3は3本の電極線の中から順次選択された2本に電流を導通させることによって被加熱物を加熱する構成をもつ略円筒状体の横断面図である。
【図4】図4は4本の電極線の中から順次選択された2本に電流を導通させることによって被加熱物を加熱する構成をもつ略円筒状体の横断面図である。
【図5】図5は、食品搬送装置にジュール熱加熱装置を組み込んだ一実施形態を示す概略図である。
【図6】図6は食品搬送装置に組み込まれたジュール熱加熱装置の拡大断面図、及び側面図である。
【図7】図7は、食品搬送装置にジュール熱加熱装置を組み込んだ第二の一実施形態を示す概略図である。
【図8】図8は従来の加熱装置における略円筒状体と電極の位置関係、及び、電極の形状の一例を示す横断面図である。
【図9】図9は図2に示された通電面を比較するために、螺旋状に2本の電極が配置された略円筒状体の通電面を示す斜視透過図である。
【図10】図10は略円筒状体の断面を描いた線状電極の説明図である。
【符号の説明】
16 略円筒状体
18、20、22 電極
42 食品搬送装置
44 ジュール熱加熱装置
46 原料タンク
48 製品タンク
50 レギュレータ
52 バタ弁
54 冷却二重管
56 ロータリーポンプ

Claims (8)

  1. 略円筒状体の内面に電極を配置し、前記略円筒状体内に収容した被加熱物に直接通電して発生するジュール熱により加熱するジュール熱加熱装置において、
    前記略円筒状体の内面に同一間隔で3本以上の電極線が配置されており、前記電極線は内壁面に螺旋状に配置され、前記略円筒状体の内部に通電面が形成されるように前記電極線間に電流を導通させることによって被加熱物を均一に加熱することを特徴とするジュール熱加熱装置。
  2. 請求項1記載の装置において、前記略円筒状体の中心軸部分近傍に通電面が形成されるように前記電極線間に電流を導通させることを特徴とするジュール熱加熱装置。
  3. 請求項1又は2記載の装置において、配置される電極線が3本又は4本であることを特徴とするジュール熱加熱装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の装置において、配置される電極線が線状電極であることを特徴とするジュール熱加熱装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の装置において、3本以上の電極線の中から順次選択された2本に電流を導通させることによって被加熱物を加熱することを特徴とするジュール熱加熱装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の装置において、電極が配置された略円筒状体が、収容された被加熱物を搬送するための略円筒状搬送路であることを特徴とするジュール熱加熱装置。
  7. 請求項6に記載の装置において、該略円筒状体内壁面に配置される電極として、断面形状が凸状の電極を用いることで、搬送中の被加熱物を搬送路中で攪拌可能であることを特徴とするジュール熱加熱装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の装置において、被加熱物が流動性を有する食品であり、熱を加えることによって前記食品を殺菌することを特徴とするジュール熱加熱装置。
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