JP3882772B2 - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大画面で、薄型、軽量のディスプレイ装置として知られているプラズマディスプレイ装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイ装置は、視認性に優れた表示パネル（薄型表示デバイス）として注目されており、高精細化および大画面化が進められている。
【０００３】
このプラズマディスプレイ装置には、大別して、駆動的にはＡＣ型とＤＣ型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の２種類があるが、高精細化、大画面化、消費電力および製造の簡便性から、現状では、ＡＣ型で面放電型のプラズマディスプレイ装置が主流を占めるようになってきている。
【０００４】
まず、プラズマディスプレイ装置におけるプラズマディスプレイパネルの構造について図８を用いて説明する。図８に示すように、ガラス基板などの透明な前面側の基板１上には、走査電極と維持電極とで対をなすストライプ状の表示電極２が複数列形成され、そしてその電極群を覆うように誘電体層３が形成され、その誘電体層３上には保護膜４が形成されている。
【０００５】
また、前記前面側の基板１に対向配置される背面側の基板５上には、走査電極及び維持電極の表示電極２と交差するように、オーバーコート層６で覆われた複数列のストライプ状のデータ電極７が形成されている。このデータ電極７間のオーバーコート層６上には、データ電極７と平行に複数の隔壁８が配置され、この隔壁８間の側面およびオーバーコート層６の表面に蛍光体層９が設けられている。
【０００６】
これらの基板１と基板５とは、走査電極および維持電極の表示電極２とデータ電極７とがほぼ直交するように、微小な放電空間を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうちの一種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。また、放電空間は、隔壁８によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極２とデータ電極７との交点が位置する複数の放電セルが設けられ、その各放電セルには、赤色、緑色及び青色となるように蛍光体層９が一色ずつ順次配置されている。
【０００７】
図９にこのプラズマディスプレイパネルの電極配列を示しており、図９に示すように走査電極および維持電極とデータ電極とは、Ｍ行×Ｎ列のマトリックス構造であり、行方向にはＭ行の走査電極ＳＣＮ１〜ＳＣＮＭおよび維持電極ＳＵＳ１〜ＳＵＳＭが配列され、列方向にはＮ列のデータ電極Ｄ１〜ＤＮが配列されている。
【０００８】
このような電極構成のプラズマディスプレイパネルにおいては、データ電極と走査電極の間に書き込みパルスを印加することにより、データ電極と走査電極の間でアドレス放電を行い、放電セルを選択した後、走査電極と維持電極との間に、交互に反転する周期的な維持パルスを印加することにより、走査電極と維持電極との間で維持放電を行い、所定の表示を行うものである。
【０００９】
このような構造のパネルを用いてプラズマディスプレイ装置を構成する場合は、パネルをシャーシ部材の前面側に取付け、背面側にパネルを駆動させる駆動回路を配置し、そしてこれらのユニットを前面枠とバックカバーとからなる筐体に収容することにより構成している（特許文献１参照）。
【００１０】
【特許文献１】
特許第２８０７６７２号公報
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなプラズマディスプレイ装置において、バックカバーの材質をアルミニウムから廉価な鉄材に変更した場合、電源電圧の低い日米のＡＣ電源電圧範囲であるＡＣ１００Ｖ、ＡＣ１２０Ｖ用において、可聴域のノイズ音が発生するという課題が生じていた。特に、コンデンサインプット型のＡＣ−ＤＣ整流回路を使用した電源回路を有するプラズマディスプレイ装置において、顕著に発生するという課題があった。
【００１２】
本発明はこのような課題を解決し、可聴域のノイズ音のないプラズマディスプレイ装置を提供するものである。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、プラズマディスプレイ装置の電源部に使用されるノイズフィルタ回路のノイズフィルタとして、磁性材料からなるコアとこのコアに巻回した巻線とで構成し、前記コア内の磁力線方向が前記プラズマディスプレイ装置の筐体を構成するカバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したものである。
【００１４】
本発明によれば、電源部のＡＣラインの異極巻線間に発生する漏洩磁束のカバーへの漏洩量を低減することができ、これにより漏洩磁束がカバーへ漏洩することにより生じていた可聴域のノイズ音の発生を防止することができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項１記載の発明は、プラズマディスプレイパネルの背面側に配置されかつノイズフィルタを有するノイズフィルタ回路と、このノイズフィルタ回路に対向するように前記プラズマディスプレイパネルの背面側に配置されかつ磁性を有する金属材料からなるとともにプラズマディスプレイ装置の筐体を構成するカバーとを有し、前記ノイズフィルタは、磁性材料からなるコアとこのコアに巻回した巻線とからなり、前記コア内の磁力線方向が前記カバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したものであり、ＡＣラインの異極巻線間に発生する漏洩磁束の方向が前記カバーに近接した面の面内方向とほぼ同一となるため、カバーへの磁束漏洩量を低減することができ、この結果可聴域のノイズ音の発生を防止することができる。
【００１６】
ここで、本発明においては、シャーシ部材の前面にプラズマディスプレイパネルを取付け、前記シャーシ部材の背面側にノイズフィルタ回路を配置した構成としている。さらに、カバーはプラズマディスプレイ装置の筐体を構成するものであり、鉄を主成分とする金属材料により構成されたものである。また、ノイズフィルタは、閉磁路からなるトロイダルコアに第１巻線と第２巻線とを対向するように配置することにより構成し、かつ前記第１巻線および第２巻線の互いに対向する終端部を結ぶ方向をカバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したものである。
【００１７】
また、本発明の請求項５記載の発明は、プラズマディスプレイパネルを前面側に取付けたシャーシ部材と、このシャーシ部材の背面側に配置され前記プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動回路と、この駆動回路に電力を供給する電源回路と、この電源回路とＡＣ電源との間に接続されかつノイズフィルタを有するノイズフィルタ回路と、前記駆動回路、電源回路およびノイズフィルタ回路を覆うように配置されかつ磁性を有する金属材料からなるとともにプラズマディスプレイ装置の筐体を構成するカバーとを有し、前記ノイズフィルタは、閉磁路からなるトロイダルコアに第１巻線と第２巻線とを対向するように配置することにより構成し、かつ前記第１巻線および第２巻線の互いに対向する終端部を結ぶ方向を前記カバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したもので、ＡＣラインの異極巻線間、すなわち第１巻線と第２巻線との間に発生する漏洩磁束の方向が前記カバーに近接した面の面内方向と同一となるため、カバーへの磁束漏洩量を低減することができ、この結果可聴域のノイズ音の発生を防止することができる。
【００１８】
また、本発明の請求項６記載の発明は、電源回路をコンデンサインプット型のＡＣ−ＤＣ整流回路としたものである。コンデンサインプット型のＡＣ−ＤＣ整流回路は、アクティブフィルタ型のＡＣ−ＤＣ整流回路に比較し、ＡＣラインに流れるピーク電流が大きく、コモンモードのノイズフィルタの漏洩磁束が大きくなるが、本発明の構成とすることにより、カバーへの磁束漏洩量を低減することができるため、可聴域のノイズ音が発生するのを防止することができる。
【００１９】
以下、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置について、図１〜図７を用いて説明する。
【００２０】
まず、図１を用いて、プラズマディスプレイ装置の全体構成を説明する。図１において、図８に示すようなパネル１０を収容する筐体は、樹脂や金属からなる前面枠１１と、鉄などを主成分とする磁性を有する金属製のカバーとしてのバックカバー１２とから構成され、前面枠１１の開口部には光学フィルターおよびパネル１０の保護を兼ねたガラス等からなる前面ガラス１３が配置されている。また、この前面ガラス１３には電磁波の不要輻射を抑制するために、例えば銀蒸着が施されたり、メッシュ状の金属部材が配設されている。さらに、バックカバー１２には、パネル１０等で発生した熱を外部に放出するための複数の通気孔１２ａが設けられている。
【００２１】
前記パネル１０は、パネルの放熱板と構成部品の保持を兼ねたアルミニウム等からなるシャーシ部材１４の前面にシート状の熱伝導部材１５を介して接着することにより保持され、そしてシャーシ部材１４の後面側には、パネル１０を表示駆動させるための複数の回路ブロック１６が取り付けられている。前記熱伝導部材１５は、パネル１０で発生した熱をシャーシ部材１４に効率よく伝え、放熱を行うためのものである。また、回路ブロック１６はパネル１０の表示駆動とその制御を行うための電気回路を備えており、パネル１０の縁部に引き出された電極引出部に、シャーシ部材１４の四辺の縁部を越えて延びる複数のフレキシブル配線板（図示せず）によって電気的に接続されている。
【００２２】
また、シャーシ部材１４の後面には、回路ブロック１６を取り付けたり、カバー１２を固定するためのボス部１４ａがダイカスト等による一体成型により突設されている。なお、このシャーシ部材１４は、アルミニウム平板に固定ピンを固定して構成してもよい。
【００２３】
図２、図３は本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置における要部構成を示している。
【００２４】
図に示すように、プラズマディスプレイ装置は、図８に示す構成のパネル１０の背面側に放熱用のシャーシ部材１４を配置したパネル本体２１と、図３に示すように所定の放電セルを放電させるデータを供給するデータ駆動回路２２１およびパネル１０の放電セルを放電発光させる放電駆動回路２２２からなる駆動回路２２と、駆動回路２２にパネル本体２１を駆動させる信号を供給する駆動信号処理回路２３と、駆動回路２２と駆動信号処理回路２３に電力を供給するコンデンサインプット型のＡＣ−ＤＣ整流回路を有する電源回路２４と、この電源回路２４とＡＣ電源との間に接続されかつノイズフィルタを有するノイズフィルタ回路２５とから構成されている。
【００２５】
パネル本体２１と、駆動回路２２、および駆動信号処理回路２３との間はフレキシブル配線板２６で接続されている。また、図示はしていないが、各回路間は信号、電源ラインを導線にて接続している。
【００２６】
さらに、上述したようにプラズマディスプレイ装置は、パネル本体２１を保護するため、前面枠１１に前面ガラス１３を押さえ板２７で固定してなる前面側のフロントカバー２８と、鉄などを主成分とする磁性を有する金属材料からなる背面側のバックカバー１２を具備している。
【００２７】
図４〜図６に示すように、ノイズフィルタ回路２５は、金具２５１上にノイズフィルタ回路２５を構成するプリント基板２５２を固定しており、プリント基板２５２にはコモンモードのノイズフィルタ２５３、および図示はしていないがノイズ除去用のフィルムコンデンサ、サージ吸収素子、ヒューズ等が搭載されている。なお、図４はノイズフィルタを示す正面図、図５は同じく側面図、図６は上面図であり、各図において、Ａは漏洩磁束の方向を示している。
【００２８】
このコモンモードのノイズフィルタ２５３は、通常閉磁路からなるトロイダルコア２５３ａが使用され、そのトロイダルコア２５３ａに第１巻線２５３ｂと第２巻線２５３ｃとを互いに対向するように配置しており、第１巻線２５３ｂと第２巻線２５３ｃの互いに対向する終端部２５３ｄを結ぶ方向を前記バックカバー１２の面内方向とほぼ同一方向とした構成である。すなわち、ノイズフィルタ２５３を構成する磁性体であるトロイダルコア２５３ａの磁力線方向をバックカバー１２に近接した面の面内方向とほぼ同一方向としたものである。
【００２９】
図７に従来のプラズマディスプレイ装置におけるノイズフィルタ２５３の取付け状態を示している。すなわち、従来においては、ノイズフィルタ２５３の磁力線方向がバックカバー１２の面内方向に対して直交する方向にノイズフィルタ２５３が取付けられており、このためノイズフィルタ２５３からの漏洩磁束の影響をバックカバー１２が受け、漏洩磁束の強弱によりバックカバー１２に振動が発生し、これによってノイズ音が発生していた。
【００３０】
一方、本発明の構成とすることにより、コモンモードのノイズフィルタ２５３の第１巻線２５３ｂと第２巻線２５３ｃとの間に発生する漏洩磁束の方向は、主としてバックカバー１２の面内方向とほぼ同一であり、加えてノイズフィルタ２５３とバックカバー１２の空間距離を大きくとることができるので、漏洩磁束がバックカバー１２を通過する量を低減することができる。この結果、ＡＣ電源周波数に連動したＡＣ電流による漏洩磁束の強弱によりノイズフィルタ２５３とバックカバー１２との吸引力の強弱の繰り返しが発生し、これにより発生していたノイズ音を低減することができるものである。
【００３１】
特に、電源回路２４をコンデンサインプット型とした場合、ＡＣ電流のピーク値はアクティブフィルタ型より大きいので、本発明によればノイズ音をより一層低減することができるものである。
【００３２】
なお、上記説明においては、バックカバー１２が外装の筐体も兼ねている例で説明したが、金属材料からなるバックカバー１２とは別に、外装用の合成樹脂からなるケースをバックカバー１２の上から被せるように設ける場合でも、同様な作用効果が得られる。
【００３３】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかるプラズマディスプレイ装置によれば、ノイズフィルタを構成する磁性体のコア内の磁力線方向をカバーの面内方向とほぼ同一方向としたものであり、ＡＣラインの異極巻線間に発生する漏洩磁束のカバーへの漏洩量を低減することができるため、漏洩磁束がカバーへ漏洩することにより生じていた可聴域のノイズ音の発生を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置の内部の配置構造を示す分解斜視図
【図２】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置の内部構成を示す概略断面図
【図３】同プラズマディスプレイ装置において、カバーを取った状態の概略平面図
【図４】同プラズマディスプレイ装置の要部構成を示す正面図
【図５】同プラズマディスプレイ装置の要部構成を示す側面図
【図６】同プラズマディスプレイ装置の要部構成を示す上面図
【図７】従来のプラズマディスプレイ装置の要部構成を示す正面図
【図８】プラズマディスプレイ装置のパネルの概略構成を示す斜視図
【図９】同プラズマディスプレイ装置のパネルの電極配列を示す説明図
【符号の説明】
１０ パネル
１２ バックカバー
１４ シャーシ部材
２１ パネル本体
２２ 駆動回路
２３ 駆動信号処理回路
２４ 電源回路
２５ ノイズフィルタ回路
２５３ ノイズフィルタ
２５３ａ トロイダルコア
２５３ｂ 第１巻線
２５３ｃ 第２巻線
【発明の属する技術分野】
本発明は、大画面で、薄型、軽量のディスプレイ装置として知られているプラズマディスプレイ装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイ装置は、視認性に優れた表示パネル（薄型表示デバイス）として注目されており、高精細化および大画面化が進められている。
【０００３】
このプラズマディスプレイ装置には、大別して、駆動的にはＡＣ型とＤＣ型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の２種類があるが、高精細化、大画面化、消費電力および製造の簡便性から、現状では、ＡＣ型で面放電型のプラズマディスプレイ装置が主流を占めるようになってきている。
【０００４】
まず、プラズマディスプレイ装置におけるプラズマディスプレイパネルの構造について図８を用いて説明する。図８に示すように、ガラス基板などの透明な前面側の基板１上には、走査電極と維持電極とで対をなすストライプ状の表示電極２が複数列形成され、そしてその電極群を覆うように誘電体層３が形成され、その誘電体層３上には保護膜４が形成されている。
【０００５】
また、前記前面側の基板１に対向配置される背面側の基板５上には、走査電極及び維持電極の表示電極２と交差するように、オーバーコート層６で覆われた複数列のストライプ状のデータ電極７が形成されている。このデータ電極７間のオーバーコート層６上には、データ電極７と平行に複数の隔壁８が配置され、この隔壁８間の側面およびオーバーコート層６の表面に蛍光体層９が設けられている。
【０００６】
これらの基板１と基板５とは、走査電極および維持電極の表示電極２とデータ電極７とがほぼ直交するように、微小な放電空間を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうちの一種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。また、放電空間は、隔壁８によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極２とデータ電極７との交点が位置する複数の放電セルが設けられ、その各放電セルには、赤色、緑色及び青色となるように蛍光体層９が一色ずつ順次配置されている。
【０００７】
図９にこのプラズマディスプレイパネルの電極配列を示しており、図９に示すように走査電極および維持電極とデータ電極とは、Ｍ行×Ｎ列のマトリックス構造であり、行方向にはＭ行の走査電極ＳＣＮ１〜ＳＣＮＭおよび維持電極ＳＵＳ１〜ＳＵＳＭが配列され、列方向にはＮ列のデータ電極Ｄ１〜ＤＮが配列されている。
【０００８】
このような電極構成のプラズマディスプレイパネルにおいては、データ電極と走査電極の間に書き込みパルスを印加することにより、データ電極と走査電極の間でアドレス放電を行い、放電セルを選択した後、走査電極と維持電極との間に、交互に反転する周期的な維持パルスを印加することにより、走査電極と維持電極との間で維持放電を行い、所定の表示を行うものである。
【０００９】
このような構造のパネルを用いてプラズマディスプレイ装置を構成する場合は、パネルをシャーシ部材の前面側に取付け、背面側にパネルを駆動させる駆動回路を配置し、そしてこれらのユニットを前面枠とバックカバーとからなる筐体に収容することにより構成している（特許文献１参照）。
【００１０】
【特許文献１】
特許第２８０７６７２号公報
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなプラズマディスプレイ装置において、バックカバーの材質をアルミニウムから廉価な鉄材に変更した場合、電源電圧の低い日米のＡＣ電源電圧範囲であるＡＣ１００Ｖ、ＡＣ１２０Ｖ用において、可聴域のノイズ音が発生するという課題が生じていた。特に、コンデンサインプット型のＡＣ−ＤＣ整流回路を使用した電源回路を有するプラズマディスプレイ装置において、顕著に発生するという課題があった。
【００１２】
本発明はこのような課題を解決し、可聴域のノイズ音のないプラズマディスプレイ装置を提供するものである。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、プラズマディスプレイ装置の電源部に使用されるノイズフィルタ回路のノイズフィルタとして、磁性材料からなるコアとこのコアに巻回した巻線とで構成し、前記コア内の磁力線方向が前記プラズマディスプレイ装置の筐体を構成するカバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したものである。
【００１４】
本発明によれば、電源部のＡＣラインの異極巻線間に発生する漏洩磁束のカバーへの漏洩量を低減することができ、これにより漏洩磁束がカバーへ漏洩することにより生じていた可聴域のノイズ音の発生を防止することができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項１記載の発明は、プラズマディスプレイパネルの背面側に配置されかつノイズフィルタを有するノイズフィルタ回路と、このノイズフィルタ回路に対向するように前記プラズマディスプレイパネルの背面側に配置されかつ磁性を有する金属材料からなるとともにプラズマディスプレイ装置の筐体を構成するカバーとを有し、前記ノイズフィルタは、磁性材料からなるコアとこのコアに巻回した巻線とからなり、前記コア内の磁力線方向が前記カバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したものであり、ＡＣラインの異極巻線間に発生する漏洩磁束の方向が前記カバーに近接した面の面内方向とほぼ同一となるため、カバーへの磁束漏洩量を低減することができ、この結果可聴域のノイズ音の発生を防止することができる。
【００１６】
ここで、本発明においては、シャーシ部材の前面にプラズマディスプレイパネルを取付け、前記シャーシ部材の背面側にノイズフィルタ回路を配置した構成としている。さらに、カバーはプラズマディスプレイ装置の筐体を構成するものであり、鉄を主成分とする金属材料により構成されたものである。また、ノイズフィルタは、閉磁路からなるトロイダルコアに第１巻線と第２巻線とを対向するように配置することにより構成し、かつ前記第１巻線および第２巻線の互いに対向する終端部を結ぶ方向をカバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したものである。
【００１７】
また、本発明の請求項５記載の発明は、プラズマディスプレイパネルを前面側に取付けたシャーシ部材と、このシャーシ部材の背面側に配置され前記プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動回路と、この駆動回路に電力を供給する電源回路と、この電源回路とＡＣ電源との間に接続されかつノイズフィルタを有するノイズフィルタ回路と、前記駆動回路、電源回路およびノイズフィルタ回路を覆うように配置されかつ磁性を有する金属材料からなるとともにプラズマディスプレイ装置の筐体を構成するカバーとを有し、前記ノイズフィルタは、閉磁路からなるトロイダルコアに第１巻線と第２巻線とを対向するように配置することにより構成し、かつ前記第１巻線および第２巻線の互いに対向する終端部を結ぶ方向を前記カバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したもので、ＡＣラインの異極巻線間、すなわち第１巻線と第２巻線との間に発生する漏洩磁束の方向が前記カバーに近接した面の面内方向と同一となるため、カバーへの磁束漏洩量を低減することができ、この結果可聴域のノイズ音の発生を防止することができる。
【００１８】
また、本発明の請求項６記載の発明は、電源回路をコンデンサインプット型のＡＣ−ＤＣ整流回路としたものである。コンデンサインプット型のＡＣ−ＤＣ整流回路は、アクティブフィルタ型のＡＣ−ＤＣ整流回路に比較し、ＡＣラインに流れるピーク電流が大きく、コモンモードのノイズフィルタの漏洩磁束が大きくなるが、本発明の構成とすることにより、カバーへの磁束漏洩量を低減することができるため、可聴域のノイズ音が発生するのを防止することができる。
【００１９】
以下、本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置について、図１〜図７を用いて説明する。
【００２０】
まず、図１を用いて、プラズマディスプレイ装置の全体構成を説明する。図１において、図８に示すようなパネル１０を収容する筐体は、樹脂や金属からなる前面枠１１と、鉄などを主成分とする磁性を有する金属製のカバーとしてのバックカバー１２とから構成され、前面枠１１の開口部には光学フィルターおよびパネル１０の保護を兼ねたガラス等からなる前面ガラス１３が配置されている。また、この前面ガラス１３には電磁波の不要輻射を抑制するために、例えば銀蒸着が施されたり、メッシュ状の金属部材が配設されている。さらに、バックカバー１２には、パネル１０等で発生した熱を外部に放出するための複数の通気孔１２ａが設けられている。
【００２１】
前記パネル１０は、パネルの放熱板と構成部品の保持を兼ねたアルミニウム等からなるシャーシ部材１４の前面にシート状の熱伝導部材１５を介して接着することにより保持され、そしてシャーシ部材１４の後面側には、パネル１０を表示駆動させるための複数の回路ブロック１６が取り付けられている。前記熱伝導部材１５は、パネル１０で発生した熱をシャーシ部材１４に効率よく伝え、放熱を行うためのものである。また、回路ブロック１６はパネル１０の表示駆動とその制御を行うための電気回路を備えており、パネル１０の縁部に引き出された電極引出部に、シャーシ部材１４の四辺の縁部を越えて延びる複数のフレキシブル配線板（図示せず）によって電気的に接続されている。
【００２２】
また、シャーシ部材１４の後面には、回路ブロック１６を取り付けたり、カバー１２を固定するためのボス部１４ａがダイカスト等による一体成型により突設されている。なお、このシャーシ部材１４は、アルミニウム平板に固定ピンを固定して構成してもよい。
【００２３】
図２、図３は本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置における要部構成を示している。
【００２４】
図に示すように、プラズマディスプレイ装置は、図８に示す構成のパネル１０の背面側に放熱用のシャーシ部材１４を配置したパネル本体２１と、図３に示すように所定の放電セルを放電させるデータを供給するデータ駆動回路２２１およびパネル１０の放電セルを放電発光させる放電駆動回路２２２からなる駆動回路２２と、駆動回路２２にパネル本体２１を駆動させる信号を供給する駆動信号処理回路２３と、駆動回路２２と駆動信号処理回路２３に電力を供給するコンデンサインプット型のＡＣ−ＤＣ整流回路を有する電源回路２４と、この電源回路２４とＡＣ電源との間に接続されかつノイズフィルタを有するノイズフィルタ回路２５とから構成されている。
【００２５】
パネル本体２１と、駆動回路２２、および駆動信号処理回路２３との間はフレキシブル配線板２６で接続されている。また、図示はしていないが、各回路間は信号、電源ラインを導線にて接続している。
【００２６】
さらに、上述したようにプラズマディスプレイ装置は、パネル本体２１を保護するため、前面枠１１に前面ガラス１３を押さえ板２７で固定してなる前面側のフロントカバー２８と、鉄などを主成分とする磁性を有する金属材料からなる背面側のバックカバー１２を具備している。
【００２７】
図４〜図６に示すように、ノイズフィルタ回路２５は、金具２５１上にノイズフィルタ回路２５を構成するプリント基板２５２を固定しており、プリント基板２５２にはコモンモードのノイズフィルタ２５３、および図示はしていないがノイズ除去用のフィルムコンデンサ、サージ吸収素子、ヒューズ等が搭載されている。なお、図４はノイズフィルタを示す正面図、図５は同じく側面図、図６は上面図であり、各図において、Ａは漏洩磁束の方向を示している。
【００２８】
このコモンモードのノイズフィルタ２５３は、通常閉磁路からなるトロイダルコア２５３ａが使用され、そのトロイダルコア２５３ａに第１巻線２５３ｂと第２巻線２５３ｃとを互いに対向するように配置しており、第１巻線２５３ｂと第２巻線２５３ｃの互いに対向する終端部２５３ｄを結ぶ方向を前記バックカバー１２の面内方向とほぼ同一方向とした構成である。すなわち、ノイズフィルタ２５３を構成する磁性体であるトロイダルコア２５３ａの磁力線方向をバックカバー１２に近接した面の面内方向とほぼ同一方向としたものである。
【００２９】
図７に従来のプラズマディスプレイ装置におけるノイズフィルタ２５３の取付け状態を示している。すなわち、従来においては、ノイズフィルタ２５３の磁力線方向がバックカバー１２の面内方向に対して直交する方向にノイズフィルタ２５３が取付けられており、このためノイズフィルタ２５３からの漏洩磁束の影響をバックカバー１２が受け、漏洩磁束の強弱によりバックカバー１２に振動が発生し、これによってノイズ音が発生していた。
【００３０】
一方、本発明の構成とすることにより、コモンモードのノイズフィルタ２５３の第１巻線２５３ｂと第２巻線２５３ｃとの間に発生する漏洩磁束の方向は、主としてバックカバー１２の面内方向とほぼ同一であり、加えてノイズフィルタ２５３とバックカバー１２の空間距離を大きくとることができるので、漏洩磁束がバックカバー１２を通過する量を低減することができる。この結果、ＡＣ電源周波数に連動したＡＣ電流による漏洩磁束の強弱によりノイズフィルタ２５３とバックカバー１２との吸引力の強弱の繰り返しが発生し、これにより発生していたノイズ音を低減することができるものである。
【００３１】
特に、電源回路２４をコンデンサインプット型とした場合、ＡＣ電流のピーク値はアクティブフィルタ型より大きいので、本発明によればノイズ音をより一層低減することができるものである。
【００３２】
なお、上記説明においては、バックカバー１２が外装の筐体も兼ねている例で説明したが、金属材料からなるバックカバー１２とは別に、外装用の合成樹脂からなるケースをバックカバー１２の上から被せるように設ける場合でも、同様な作用効果が得られる。
【００３３】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかるプラズマディスプレイ装置によれば、ノイズフィルタを構成する磁性体のコア内の磁力線方向をカバーの面内方向とほぼ同一方向としたものであり、ＡＣラインの異極巻線間に発生する漏洩磁束のカバーへの漏洩量を低減することができるため、漏洩磁束がカバーへ漏洩することにより生じていた可聴域のノイズ音の発生を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置の内部の配置構造を示す分解斜視図
【図２】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置の内部構成を示す概略断面図
【図３】同プラズマディスプレイ装置において、カバーを取った状態の概略平面図
【図４】同プラズマディスプレイ装置の要部構成を示す正面図
【図５】同プラズマディスプレイ装置の要部構成を示す側面図
【図６】同プラズマディスプレイ装置の要部構成を示す上面図
【図７】従来のプラズマディスプレイ装置の要部構成を示す正面図
【図８】プラズマディスプレイ装置のパネルの概略構成を示す斜視図
【図９】同プラズマディスプレイ装置のパネルの電極配列を示す説明図
【符号の説明】
１０ パネル
１２ バックカバー
１４ シャーシ部材
２１ パネル本体
２２ 駆動回路
２３ 駆動信号処理回路
２４ 電源回路
２５ ノイズフィルタ回路
２５３ ノイズフィルタ
２５３ａ トロイダルコア
２５３ｂ 第１巻線
２５３ｃ 第２巻線
Claims (7)
- プラズマディスプレイパネルの背面側に配置されかつノイズフィルタを有するノイズフィルタ回路と、このノイズフィルタ回路に対向するように前記プラズマディスプレイパネルの背面側に配置されかつ磁性を有する金属材料からなるとともにプラズマディスプレイ装置の筐体を構成するカバーとを有し、前記ノイズフィルタは、磁性材料からなるコアとこのコアに巻回した巻線とからなり、前記コア内の磁力線方向が前記カバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
- シャーシ部材の前面にプラズマディスプレイパネルを取付け、前記シャーシ部材の背面側にノイズフィルタ回路を配置した請求項１に記載のプラズマディスプレイ装置。
- カバーが鉄を主成分とするものである請求項１に記載のプラズマディスプレイ装置。
- ノイズフィルタは、閉磁路からなるトロイダルコアに第１巻線と第２巻線とを対向するように配置することにより構成し、かつ前記第１巻線および第２巻線の互いに対向する終端部を結ぶ方向をカバーの面内方向とほぼ同一となるように構成した請求項１に記載のプラズマディスプレイ装置。
- プラズマディスプレイパネルを前面側に取付けたシャーシ部材と、このシャーシ部材の背面側に配置され前記プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動回路と、この駆動回路に電力を供給する電源回路と、この電源回路とＡＣ電源との間に接続されかつノイズフィルタを有するノイズフィルタ回路と、前記駆動回路、電源回路およびノイズフィルタ回路を覆うように配置されかつ磁性を有する金属材料からなるとともにプラズマディスプレイ装置の筐体を構成するカバーとを有し、前記ノイズフィルタは、閉磁路からなるトロイダルコアに第１巻線と第２巻線とを対向するように配置することにより構成し、かつ前記第１巻線および第２巻線の互いに対向する終端部を結ぶ方向を前記カバーの面内方向とほぼ同一となるように構成したことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
- 電源回路をコンデンサインプット型のＡＣ−ＤＣ整流回路としたことを特徴とする請求項５記載のプラズマディスプレイ装置。
- カバーが鉄を主成分とするものである請求項５に記載のプラズマディスプレイ装置。
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