JP3882695B2 - コイル端部スペーサ、セグメント型電機子、セグメント整列方法、ならびにセグメント開放端部の捻り成形方法 - Google Patents

コイル端部スペーサ、セグメント型電機子、セグメント整列方法、ならびにセグメント開放端部の捻り成形方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機の技術分野に属し、より詳しくはその固定子およびまたは回転子がもつセグメント型電機子コイルの技術分野に属する。セグメント型電機子コイルとしては、固定子コイルが主であるが、回転子の電機子にも適用可能である。
【0002】
なお、本発明のうち「コイル端部スペーサ」および「セグメント型電機子」は、いずれも物の発明のカテゴリーに属する。一方、本発明のうち「セグメント整列方法」および「セグメント開放端部の捻り成形方法」は、それぞれ、回転電機のセグメント型コイルおよびセグメント型電機子を製造する方法(製造方法)の発明のカテゴリーに属する。
【0003】
【従来の技術】
回転電機固定子のセグメント型電機子コイルを製造するにあたって、セグメントコイルの生産性を向上させようとする技術や、電機子鉄心のスロットから突出したコイル端部での絶縁性を確保しようとする技術は、以下に示すように沢山の文献に開示されている。
【0004】
(従来技術1)
先ず従来技術1としては、特開2001−119883号公報や特開2001−211621号公報などに、固定子のセグメントコイルを製造するにあたって、コイル端部全体を樹脂で覆い、この樹脂でコイル端部間の隙間を塞いで固定する技術が開示されている。この技術は、この樹脂の固定作用で互いに隣り合うコイルの折り返し端部同士が接触しないようにしたうえで、この樹脂の絶縁作用によってコイル端部での絶縁性を確保しようとするものである。
【0005】
しかしながら、従来技術1では、樹脂が固化する際にコイル端部で適正な隙間が形成されていればよいが、そのことを確保する技術までは開示されていない。すなわち、樹脂が固化する際に、もしも十分な隙間が形成されておらず、どうかして互いに隣り合うコイルの折り返し端部同士が接触した状態で固定されてしまうこともあり得ないわけではない。すると、セグメント導体のエナメル被覆だけによってコイル端部で十分な絶縁性が得られるかどうか、一抹の不安を残すことになる。
【0006】
また、前述の文献では、略U字形状のセグメント導体を多数並べたうえで、電機子鉄心(コア)のスロットに収まるようにこれらのセグメント導体を整列させる技術については、言及されていない。
【0007】
したがって、前述の従来技術1によっては、コイル端部での絶縁性の担保が十分ではないうえに、コアのスロットに収まるように略U字形状のセグメント導体を簡単かつ安価に整列させることはできない。
【0008】
(従来技術2)
次に従来技術2としては、特開平11−164505号公報や特開2001−186729号公報などに、セグメント導体の形状やスロット収容時のインシュレータ(絶縁シート)などを工夫した技術が開示されている。
【0009】
これらの技術は、コイル端部で互いに隣り合うコイルの折り返し端部の間に、適正な隙間を確保しようというものである。それゆえ、適正な隙間が保たれている間は、確かに空気の絶縁性の範囲でコイル端部での短絡は防止されているであろう。しかし、振動や衝撃が加わったりして隙間がなくなってしまえば、セグメント導体のエナメル被覆だけによってコイル端部で十分な絶縁性が得られるかどうか、やはり一抹の不安を残している。
【0010】
また、これらの文献では、U字状のセグメント導体を多数並べたうえで、電機子鉄心(コア)のスロットに収まるようにこれらのセグメント導体を整列させる技術については、言及されていない。
【0011】
したがって、前述の従来技術2によっても、コイル端部での絶縁性の担保が十分とはとても言えないうえに、コアのスロットにうまく収まるように略U字形状のセグメント導体を簡単かつ安価に整列させることはできない。
【0012】
(関連技術)
構成や課題などが異なっているので、本発明の従来技術にはあまり適当ではないが、その他にも関連技術を開示した文献はたくさんある。例示するならば、特開平9−56101号公報、特開平9−131012号公報(以上が前二者)、特開平11−206057号公報、特開平11−191946号公報、特開2000−166148号公報、特開2000−184649号公報などを挙げることができる。
【0013】
これらの公報のうち前二者には、本発明が前提とするセグメントコイルではなく、スロットを形成する電機子鉄心のティースに丸導線を巻き付ける巻回コイルを使用してはいるものの、注目すべき技術が開示されている。すなわち、これらの文献には、スロット内に配設される絶縁シート(インシュレータ)に延長部を設けるか、同絶縁シートに延長部を接続するかして、この延長部で互いに隣り合うコイル端部の間を仕切る技術が開示されている。
【0014】
しかしながら、これらの公報にも、略U字形状のセグメント導体を多数並べたうえで、電機子鉄心(コア)のスロットに収まるように、これらのセグメント導体を整列させる技術については、言及されていない。それゆえ、これらの技術では、コアのスロットにうまく収まるように、略U字形状のセグメント導体を簡単かつ安価に整列させることはできない。
【0015】
(通常の従来技術)
ところで、略U字形状のセグメント導体を多数並べたうえで、電機子鉄心(コア)のスロットに収まるようにこれらのセグメント導体を整列させるには、通常、図13に示すように、円環整列治具Zを使用している。
【0016】
すなわち、コアのスロットに収容されるべき一対の脚部がターン部で接続された略U字形状のセグメント導体は、先ず、一方の脚部だけが円環整列治具Zの挿置孔に挿入される。そして、セグメントコイルの一層分(すなわち一周分)にあたるセグメント導体の一方の脚部(短脚部)を、円環整列治具Zの挿置孔に所定の深さまで差し込んでしまう。しかる後、セグメント導体の短脚部を軸にして、これら一層分のセグメント導体を回動させ、他方の脚部(長脚部)を円環整列治具Zの外周面に形成された整列溝に嵌め込む。こうすると、セグメント導体は、セグメントコイルの一層分だけ円環状に整列し、コアのスロットに嵌り込ませることができるように揃う。そこで、この状態を崩さないように円環状に整列したセグメント導体を把持して、円環整列治具Zから引き抜いたうえでコアの各スロットにセグメント導体の両脚部を挿置する。
【0017】
従来は、このように円環整列治具Zを用いて一層分のセグメント導体を円環状に整列させ、そのうえでコアのスロットにセグメント導体の両脚部を挿置する手順を繰り返し、複数層からなるセグメントコイルを形成してきた。
【0018】
ちなみに、従来はなぜこのような円環整列治具Zを必要とし、いきなり固定子鉄心のスロットに略U字形状のセグメント導体を挿置することができなかったのかという疑念もあろうかと思う。それは、図14(a)〜(b)に示すように、セグメント導体同士が干渉してしまうからである。
【0019】
すなわち、同図中に「コイルA」と表記された略U字形状のセグメント導体を固定子鉄心のスロットに挿置した後に、「コイルB」と表記されたセグメント導体を隣のスロットに挿置しようとすると、ターン部のうちが干渉してしまう。より具体的にいえば、同図中のC部において、先に挿置されたコイルAのターン部が邪魔をして、後から挿置されるコイルBのターン部をその下側(コア側)に配設することができない。
【0020】
それゆえ、いきなり固定子鉄心のスロットに略U字形状のセグメント導体を順番に挿置していくことはできず、従来は前述のような整列治具を必要としていたわけである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のように通常の従来技術では、比較的精密で高価な円環整列治具Zを必要としているうえに、整列したセグメント導体をそのままの状態を保ったまま、円環整列治具Zから引き抜く引き抜き工程が必要であった。それゆえ、円環整列治具Zの分だけ組み立て設備が高価になり設備投資がかさむうえに、引き抜き工程の分だけ工数がかさんでしまうという不都合があった。
【0022】
一方、前述の従来技術1および従来技術2では、固定子コアなどのスロットに収まるように、所定数のセグメント導体を円環状に整列させる技術は、開示さえされていなかった。
【0023】
そこで本発明は、円環整列治具Zなしで所定数のセグメント導体を円環状に整列させることができ、さらに引き抜き工程を必要としないで、コアのスロットに収まるようにセグメント導体を揃えることができる手段を提供することを、解決すべき主な課題とする。
【0024】
なお、本発明は、セグメント開放端部の絶縁性が向上するセグメント開放端部の捻り成形方法を提供することを、付加的な課題とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、発明者は以下の手段を発明した。
[コイル端部スペーサ]
・解決手段1
本手段は、帯状の平板およびリング状の帯板のうちいずれかであり、表裏両面を形成している主壁部を有し、この主壁部に加えて、この主壁部の一方の縁の多数箇所から所定間隔を空けて歯列状に突出し、互いの間に凹部状のスリットを形成している突出部を有し、この主壁部の表裏両面のうち一方から所定間隔を空けて突出し、この主壁部の延在方向に対して所定角度だけ傾いて延在しており、互いの間に一方のガイド溝を形成している多数の第一仕切突条と、この主壁部の表裏両面のうち他方から所定間隔を空けて突出し、この主壁部の延在方向に対してこの第一仕切突条とは逆方向に所定角度だけ傾いて延在しており、互いの間に他方のガイド溝を形成している多数の第二仕切突条との両仕切突条のうち少なくとも一方をさらに有することを特徴とする絶縁性のコイル端部スペーサである。
・解決手段2
本手段は、前記解決手段1において、前記第一仕切突条および前記第二仕切突条の両方を有することを特徴とするコイル端部スペーサである。
・解決手段3
本手段は、前記解決手段1において、前記主壁部から突出した前記第一仕切突条および前記第二仕切突条のうち、一方の仕切突条だけを有し、当該一方の仕切突条は、帯状の絶縁シートのうち一方の縁部に所定間隔を空けて多数の切り込みを入れたうえで、斜めに切り起こした仕切突条であり、前記突出部は、この縁部のうちこれらの仕切突条の切り起こし後に残された多数の残留部分であるコイル端部スペーサである。
[セグメント型電機子]
・解決手段4は、回転電機の固定子鉄心および回転子鉄心のうち一方であり、多数のスロットが形成されているコアと、これらのスロットに収容されている脚部とこのコアから突出している端部とをもつ多数のセグメント導体が、互いに接続されてなるセグメントコイルとを有するセグメント型電機子において、前記セグメント導体それぞれの前記端部と前記コアの端面との間に介在する前記解決手段1ないし前記解決手段3のうちいずれかであるコイル端部スペーサを、さらに有することを特徴とするセグメント型電機子である。
[セグメント整列方法]
・解決手段5
本手段は、回転電機の固定子鉄心および回転子鉄心のうち一方であるコアに形成されたスロットに少なくとも一部が収容されるべき一対の脚部と、これら両脚部の一端を互いに連結する略V字形状のターン部とをもち、全体として略U字形状に形成されているセグメント導体を必要個数だけ集め、これらセグメント導体のうちそれぞれの前記両脚部を、このコアに形成されている多数の前記スロットに適正に挿置することができるように、各前記セグメント導体を円環状に整列させるセグメント導体の整列方法において、解決手段1のコイル端部スペーサを、前記突出部を上に向けて適正に支承しておく支承工程と、この支承工程以後、各前記セグメント導体の両前記脚部を下にして、各前記ターン部の中間点にあたる反転頂部が、このコイル端部スペーサの各前記スリットに嵌り込むように、各前記セグメント導体を前記コイル端部スペーサに引っかけてぶら下げる係止工程と、この係止工程の後、前記反転頂部を回転中心にして各前記セグメント導体を所定の方向に回動させ、各前記脚部が所定位置で互いに所定の方向に重なるように各前記セグメント導体を整列させる回動工程とを有することを特徴とするセグメント整列方法である。
[セグメント開放端部の捻り成形方法]
・解決手段6
本手段は、回転電機の固定子鉄心および回転子鉄心のうち一方であるコアに形成されたスロットに一部が収容された所定数のセグメント導体のうち、このコアから突出した各開放端部を所定の位置にまで曲げ捩り加工するセグメント開放端部の捻り成形方法において 、リング状の帯板である主壁部と、この主壁部の内周面および外周面のうち一方から所定間隔を空けて突出しこの主壁部の延在方向に対して所定角度だけ傾いて延在しており互いの間にガイド溝を形成している多数の仕切突条とを有するコイル端部スペーサを用い、このコイル端部スペーサのうち前記仕切突条を、各前記セグメント導体の各前記開放端部の間に挿置したうえで前記曲げ捩り加工を行うことを特徴とするセグメント開放端部の捻り成形方法である。
なお、以下の各手段は、出願時の各請求項に対応していた解決手段である。
【0026】
[コイル端部スペーサ]
(第1手段)
本発明の第1手段は、帯状の平板およびリング状の帯板のうちいずれかであり表裏両面を形成している「主壁部」を有する「コイル端部スペーサ」である。本手段のコイル端部スペーサは、この主壁部に加えて、この主壁部の一方の縁の多数箇所から所定間隔を空けて歯列状に突出し互いの間に凹部状のスリットを形成している「突出部」と、この主壁部の表裏両面のうち一方から所定間隔を空けて突出しこの主壁部の延在方向に対して所定角度だけ傾いて延在しており互いの間に一方のガイド溝を形成している多数の「第一仕切突条」と、この主壁部の表裏両面のうち他方から所定間隔を空けて突出しこの主壁部の延在方向に対してこの第一仕切突条とは逆方向に所定角度だけ傾いて延在しており互いの間に他方のガイド溝を形成している多数の「第二仕切突条」との三者のうち、少なくとも一つをさらに有することを特徴とする。また、本手段のコイル端部スペーサは、絶縁性の部材であることをも特徴とする。
【0027】
すなわち、本発明の第1手段は、必須構成要素である主壁部と、この主壁部から突出している突出部、第一仕切突条および第二仕切突条のうち少なくとも一つとを有し、絶縁性であることを特徴とするコイル端部スペーサである。
【0028】
これらの構成要素のうち、主壁部は、帯状の平板およびリング状の帯板のうちいずれかであり、表裏両面を形成している部分である。
【0029】
ここで、この主壁部は、初めから閉じたリング状であってもよいし、初めは開いた直線状であってセグメント導体と組み合わせる前に閉じたリング状につないだものであってもよい。あるいは、初めは直線状であってセグメント導体と組み合わせた後からリング状につないだものでも良い。さらに極論すると、セグメント導体と組み合わせた後にも、最終的に閉じたリング状につながれる必要性は必ずしもなく、単に一端と他端とを対向して突き合わせて当接させたり、あるいは一端と他端とを近接させるだけでも良い。
【0030】
一方、突出部は、この主壁部の一方の縁の多数箇所から所定間隔を空けて歯列状に突出し、互いの間に凹部状のスリットを形成している部分である。また、第一仕切突条は、この主壁部の表裏両面のうち一方から所定間隔を空けて突出し、この主壁部の延在方向に対して所定角度だけ傾いて延在しており、互いの間に一方のガイド溝を形成している多数の部分である。さらに、第二仕切突条は、この主壁部の表裏両面のうち他方から所定間隔を空けて突出し、この主壁部の延在方向に対してこの第一仕切突条とは逆方向に所定角度だけ傾いて延在しており、互いの間に他方のガイド溝を形成している多数の部分である。
【0031】
なお、本明細書中では、「多数」とは四つ以上を指すものとする。
【0032】
本手段のコイル端部スペーサには、必須構成要素として主壁部があり、選択的な構成要素として突出部、第一仕切突条および第二仕切突条のうち少なくとも一つがある。それゆえ、本手段のコイル端部スペーサでは、大きく分けて次のように三つの作用が得られる。
【0033】
第一に、本手段のコイル端部スペーサを適正に用いれば、所定数のセグメント導体を円環状に整列させて、固定子などの電機子コアのスロットに挿置できるように揃える作用(整列作用)が得られる。その際、前述のように通常の従来技術で用いていた円環整列治具Z(図13参照)は必要なくなり、当然の帰結として円環整列治具Zから整列したセグメント導体を引き抜く引き抜き工程も必要なくなる。
【0034】
ここで、どのようにしてセグメント導体を円環状に整列させるかというと、例えば次のような手順で整列させることができる。
【0035】
先ず、本手段のコイル端部スペーサを、突出部があれば突出部を上に向けて、水平に支承しておく。そのうえで、略U字形状のセグメント導体の両脚部を下にして、コアに形成されているスロットの数に相当する所定数のセグメント導体を、本手段のコイル端部スペーサに引っかけてぶら下げる。
【0036】
この際、本手段に多数の突出部があれば、各突出部の間に形成された凹部状のスリットに嵌り込むように、ターン部の中間点にあたる反転頂部を配置する。すると、ターン部の中間点にあたる反転頂部がコイル端部スペーサの凹部に嵌り込んだ状態で、略U字形状のセグメント導体が、所定数だけ、所定の間隔(普通は等間隔)で配設される。あるいは、本手段に第一仕切突条および第二仕切突条のうち少なくとも一方の仕切突条があれば、やはり両脚部を下にして略U字形状のセグメント導体をそのターン部で等間隔に主壁部の上縁部にかけておく。
【0037】
しかる後、略U字形状のセグメント導体のうちターン部の反転頂部を回転中心にして、各セグメント導体を所定の方向に回動させれば、各脚部が所定位置で互いに所定の方向に重なるように各セグメント導体を整列させることができる。こうすれば、突出部がある場合には、すでに等間隔に各セグメント導体が間を空けて配設されているので、コアのスロット一周分に相当する数のセグメント導体が、適正な間隔を空けて整列するに至る。
【0038】
あるいは、前述のように少なくとも一方の仕切突条がある場合には、それらの仕切突条の間に形成されたガイド溝にセグメント導体のターン部のうち少なくとも片側が嵌り込む。その結果、やはりコアのスロット一周分に相当する数のセグメント導体が、適正な間隔を空けて整列するに至る。もちろん、本手段のコイル端部スペーサに、主壁部に加え、突出部、第一仕切突条および第二仕切突条の全てが備わっている場合には、整列の位置精度や信頼性の面でも、特に良好な整列作用が得られる。
【0039】
このように、本手段のコイル端部スペーサでは、突出部、第一仕切突条および前記第二仕切突条のうち少なくとも一つが主壁部から突出し、凹部上のスリットと一方およびまたは他方のガイド溝とのうち少なくとも一つを形成している。それゆえ、略U字形状のセグメント導体がもつターン部のうち少なくとも一部が、円環整列時にはスリットかガイド溝かに嵌り込み、セグメント導体は互いに所定の間隔を保持して整列するに至る。
【0040】
なお、本手段のコイル端部スペーサは、円環状に整列したセグメント導体一式のコイル端部間に介在したまま、電機子ないし回転電機などの製品の一部として出荷される。
【0041】
第二に、本手段のコイル端部スペーサは絶縁性であり、前述のようにコイル端部に介在したまま残るので、コイル端部間での絶縁性を向上させる作用(絶縁作用)をもつ。すなわち、セグメント導体のうちコアから突出したターン部が形成しているコイル端部の内部に、前述の組み立て手順のように、本手段のコイル端部スペーサが介在したまま残されれば、コイル端部間での短絡が防止されることになる。
【0042】
ここで、主壁部は必須構成要素であるから、主壁部によってセグメント導体のターン部のうち一方の片側と他方の片側との間は、確実に絶縁されている。また、突出部があれば、互いに隣り合うセグメント導体のターン部の反転頂部は、突出部によって絶縁されるうえに、セグメント導体のターン部は所定間隔を空けて配設されており、絶縁性が向上する。あるいはまた、少なくとも一方の仕切突条がある場合には、互いに隣り合うセグメント導体のターン部のうち少なくとも仕切突条がある側は、仕切突条によって所定間隔を空けて絶縁される。この場合にも、やはりセグメント導体のターン部が所定間隔を空けて配設されるので、絶縁性が向上する。
【0043】
なお、このような絶縁性の向上作用は、ターン部側のコイル端部だけに限られるものではなく、セグメント導体の開放端部側が形成するコイル端部でも、主壁部や仕切突条によって得られる。また、このような絶縁作用は、略U字形状のセグメント導体だけに限定されるものではなく、整列作用こそ必要とされないものの、略I字形状のセグメント導体であっても、開放端部で得られる絶縁作用と同様の絶縁作用が得られる。
【0044】
したがって、本手段のコイル端部スペーサでは、コイル端部の間に絶縁性のスペーサが介在するので、コイル端部間での絶縁性が向上する。
【0045】
第三に、本手段のコイル端部スペーサでは、前述の従来技術1とは異なって、樹脂などでコイル端部の全体を封止してしまうことがなく、ある程度の通気性は得られるので、従来技術1よりも放熱特性が向上する(放熱作用)。すなわち、コイル端部の間にいくらかの流路が残されるうえに、回転子の回転により強風が吹き付けるので、電機子が固定子のものであれ回転子のものであれ、本手段を備えた回転電機のコイル端部には、少なくともある程度の冷却空気が流通する。それゆえ、本手段のコイル端部スペーサが介在するコイル端部においては、前述の従来技術1よりも良好な冷却作用が得られる。なお、コイル端部を空冷する構成では十分な冷却作用が得られないときには、コイル端部に冷却油を循環させる構成を取れば、より高い放熱性ないし冷却作用が得られる。
【0046】
したがって、本手段のコイル端部スペーサによれば、次の三つの顕著な効果が得られる。
【0047】
第一に、本手段のコイル端部スペーサによれば、略U字形状のセグメント導体を円環状に整列させる整列効果がある。
【0048】
すなわち、本手段のコイル端部スペーサを適正に用いれば、円環整列治具Z(図13参照)なしで、所定数のセグメント導体を円環状に整列させることができる。このようにセグメント導体を整列させる効果は、本手段のコイル端部スペーサに、主壁部に加え、突出部、第一仕切突条および第二仕切突条の全てが備わっている場合には、特に顕著である。さらに、本手段によれば、引き抜き工程を必要としないで、コアのスロットに収まるように略U字形状をしたセグメント導体を所定数だけ所定の間隔で円環状に揃えることができる。
【0049】
その結果、設備投資の低減と工数低減とにより、コストダウンの効果も享受することができるようになる。
【0050】
第二に、本手段のコイル端部スペーサによれば、コイル端部での各セグメント導体の間で絶縁作用が向上するという絶縁効果が得られる。
【0051】
すなわち、本手段のコイル端部スペーサが介在するコイル端部では、互いに隣り合うセグメント導体の間に絶縁性のコイル端部スペーサが介在して絶縁効果が向上する。そのうえ、突出部、第一仕切突条および第二仕切突条のうち少なくとも一つはあるので、互いに隣り合うセグメント導体の間隔が適正に保たれ、お互いの接触が防止される結果、絶縁効果がさらに向上する。
【0052】
このような絶縁効果は、本手段のコイル端部スペーサに、主壁部に加え、突出部、第一仕切突条および第二仕切突条の全てが備わっている場合には、特に顕著である。また、突出部、第一仕切突条および第二仕切突条は、コイル端部を形成するセグメント導体の寸法に合わせて主壁部から突出している場合には、最高の絶縁効果を発揮する。ただし、突出部、第一仕切突条および第二仕切突条のそれぞれの突出寸法がセグメント導体の対応する寸法に及ばない場合でも、本手段のコイル端部スペーサがもつ整列作用に併せて得られるスペーシング作用により、かなりの絶縁効果が得られる。
【0053】
その結果、本手段のコイル端部スペーサを採用した回転電機では、コイル端部での短絡が防止される分だけ、信頼性が向上するという効果がある。
【0054】
第三に、本手段のコイル端部スペーサによれば、コイル端部である程度の通気性が得られるので、従来技術1よりも優れた冷却効果が発揮される。
【0055】
その結果、従来技術1よりもコイル端部が過熱しにくくなるので、コイル端部の温度制限に関する定格出力などの出力制限が緩和され、回転電機の性能を向上させることができる。もちろん、樹脂でコイル端部を封止するよりも本手段のコイル端部スペーサを使う方が軽いので、従来技術1よりも回転電機がいくらか軽量化されるという効果もある。
【0056】
(第2手段)
本発明の第2手段は、前述の第1手段において、絶縁性の母材と、この母材の熱伝導率よりも高い熱伝導率をもつ絶縁性の増量材との混合物からなる一体成形部材であることを特徴とするコイル端部スペーサである。
【0057】
本手段のコイル端部スペーサでは、絶縁性の母材だけでコイル端部スペーサを成型する場合に比べて、増量剤がより高い熱伝導率をもつので、コイル端部スペーサの全体にわたって熱伝導率が高くなる。すなわち、絶縁性の母材に、アルミナなどの熱伝導性が高い粒子を多量に配合すれば、元の母材の熱伝導率よりもずっと高い熱伝導率が得られるようになる。その結果、本手段のコイル端部スペーサでは、温度の高い部分から温度の低い部分へと熱伝導する能力が高まり、本手段のコイル端部スペーサは、それ自体で冷却能力や放熱能力が高まる。
【0058】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、コイル端部での冷却能力や放熱能力が高まるという効果がある。その結果、コイル端部が過熱しにくくなるので、コイル端部の温度制限に関する定格出力などの出力制限がより緩和され、本手段を装備した回転電機の性能をいっそう向上させることができるという効果がある。
【0059】
(第3手段)
本発明の第3手段は、前述の第1手段において、作成の仕方ないし成形の仕方に特徴があるコイル端部スペーサである。すなわち、本手段は、前記第一仕切突条および前記第二仕切突条のうち一方は、帯状の絶縁シートのうち一方の縁部に所定間隔を空けて多数の切り込みを入れたうえで、斜めに切り起こした仕切突条であることを特徴としている。併せて、本手段は、前記突出部は、この縁部のうちこれらの仕切突条の切り起こし後に残された多数の残留部分であることを特徴としている。
【0060】
本手段では、コイル端部スペーサを作成する際に、射出成形などで成形型を用いて形成されたコイル端部スペーサとは異なり、成形型を必要とせず、帯状の絶縁シートに切り込みを入れて一部を斜めに切り起こすだけの作業で済む。それゆえ、作成が容易で既存の設備でも作成できるばかりではなく、コイル端部スペーサの作成に係わる設備投資を大幅に削減できる。
【0061】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、作成が容易で既存の設備でも作成できるという効果と、コイル端部スペーサの作成に係わる設備投資を大幅に削減できるというコストダウン効果が得られる。
【0062】
(第4手段)
本発明の第4手段は、前述の第1手段において、前記主壁部から突出した前記突出部、前記第一仕切突条および前記第二仕切突条のうち、少なくとも前記突出部を有することを特徴とするコイル端部スペーサである。もちろん、本手段のコイル端部スペーサは、もとより第一仕切突条および第二仕切突条の存在を否定しているものではなく、あくまでも少なくとも突出部を有することを特徴としているだけである。
【0063】
本手段では、多数の突出部が主壁部から突出してその間に凹部状のスリットを形成しているので、セグメント導体を本手段のコイル端部スペーサに載せた段階から、すでに周方向に適正な間隔をおいてセグメント導体が配設されている。そして、セグメント導体を回動させて円環状に整列させた後も、このような適正な間隔は保たれる。
【0064】
それゆえ、前述の第一手段における選択的構成要素のうち少なくとも突出部を選んだことにより、互いに隣り合うセグメント導体の間に適正な間隔が保たれるというスペーシング効果が得られる。これに伴い、略U字形状をしたセグメント導体のターン部の反転頂部が、コイル端部スペーサの突出部を介して間隔を空けていることは明らかである。すると、ターン部のうち、コアのスロットに脚部が収まって間隔が保たれる一対の根本部と、一対の根本部からほぼ等間隔に離れた反転頂部との両方で、互いに隣り合うセグメント導体の間の隙間が適正に保たれる。
【0065】
その結果、前述の第1手段の中で最も適正な整列効果が得られるばかりではなく、コイル端部スペーサを基準にして整列したセグメント導体のコイル端部で、最も良好な絶縁効果も得られるという効果がある。
【0066】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果のうち、整列効果および絶縁効果が最も優れているという効果がある。
【0067】
なお、略U字形状をしたセグメント導体の略V字形状をしたターン部のうち、反転頂部の両側に連続した斜行部を絶縁する仕切突条があれば、整列効果および絶縁効果が極めて高くなる。
【0068】
(第5手段)
本発明の第5手段は、前述の第1手段において、前記主壁部から突出した前記第一仕切突条および前記第二仕切突条のうち、一方の仕切突条だけを有することを特徴とするコイル端部スペーサである。
【0069】
ここで、この一方の仕切突条は、コイル端部の中にリング状に挿置されたコイル端部スペーサの主壁部の外周面および内周面のうち、いずれから突出しているものであっても構わない。すなわち、仕切突条が主壁部の外周面から遠心方向に突出している場合には、周方向に互いに隣り合うコイル端部の間が絶縁されるべきコイル層の内側から、本手段のコイル端部スペーサが当てられ、その仕切突条が当該コイル端部の間に差し込まれる。逆に、仕切突条が主壁部の内周面から求心方向に突出している場合には、周方向に互いに隣り合うコイル端部の間が絶縁されるべきコイル層の外側から、本手段のコイル端部スペーサが当てられ、その仕切突条が当該コイル端部の間に差し込まれる。
【0070】
本手段では、第一仕切突条および第二仕切突条のうち一方しかないので、略U字形状のセグメント導体のターン部が形成するコイル端部を仕切るコイル端部スペーサとして使用できるばかりではなく、曲げ捩り加工が施される開放端部にも適用することができる。もちろん、略U字形状のセグメント導体だけではなく、略I字形状のセグメント導体にも適用可能である。
【0071】
すなわち、セグメント導体の開放端部に、コイル一層に一枚ずつ本手段のコイル端部スペーサをかませ、仕切突条を各セグメント導体の各開放端部の間に挿置したうえで曲げ捩り加工を行うことができる。こうすれば、コイル端部スペーサの主壁部でコイルの各層の間が仕切られ、良好な絶縁特性が得られる。そればかりではなく、互いに隣り合う開放端部の間には、仕切突条が挟まって適正な間隔を確保するので、互いに隣り合う開放端部の間でも、やはり良好な絶縁特性が得られる。
【0072】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、曲げ捩り加工が施されるセグメントコイルの開放端部にも適用することができるという効果がある。その結果、開放端部でも良好な絶縁特性が得られる。
【0073】
なお、本手段は、もちろん略U字形状をしたセグメント導体のターン部が形成するコイル端部にも適用可能である。
【0074】
[セグメント型電機子]
(第6手段)
本発明の第6手段は、回転電機の固定子鉄心および回転子鉄心のうち一方であり、多数のスロットが形成されているコアと、これらのスロットに収容されている脚部とこのコアから突出している端部とをもつ多数のセグメント導体が、互いに接続されてなるセグメントコイルとを有するセグメント型電機子である。本手段のセグメント型電機子がもつ特徴は、前記セグメント導体それぞれの前記端部と前記コアの端面との間に介在する、前述の第1手段ないし第5手段のうちいずれかのコイル端部スペーサを、さらに有することである。
【0075】
ここで、セグメント導体の形状は、略U字形状であることが多いが、必ずしもこれに限られるものではなく、たとえば略I字形状をしていてもよい。
【0076】
本手段のセグメント型電機子では、コイル端部に前述の第1手段ないし第5手段のうちいずれかのコイル端部スペーサが介在するので、前述の第1手段ないし第5手段に特有の作用効果と同様の作用効果が発揮される。
【0077】
したがって、本手段のセグメント型電機子によれば、前述の第1手段ないし第5手段に相当して、セグメント導体の整列効果と、コイル端部での絶縁効果および冷却効果とが得られる。また、併せて、設備投資および組立工数の低減によるコストダウン効果と、冷却性の向上による回転電機の性能向上効果と、回転電機の軽量化効果とが得られる。
【0078】
[セグメント整列方法]
(第7手段)
本発明の第7手段は、セグメント導体を必要個数だけ円環状に整列させるセグメント整列方法である。本手段では、回転電機の固定子鉄心および回転子鉄心のうち一方であるコアに形成されたスロットに少なくとも一部が収容されるべき一対の脚部と、これら両脚部の一端を互いに連結する略V字形状のターン部とをもち、全体として略U字形状に形成されているセグメント導体を整列させる。すなわち、このようなセグメント導体を必要個数だけ集め、これらセグメント導体のうちそれぞれの前記両脚部を、このコアに形成されている多数の前記スロットに適正に挿置することができるように、各前記セグメント導体を円環状に整列させる。
【0079】
本手段の特徴は、次の支承工程、係止工程および回動工程の少なくとも三つの工程を順に有することである。
【0080】
第一に、支承工程は、前述の第4手段に記載されたコイル端部スペーサを、前記突出部を上に向けて適正に支承しておく工程である。
【0081】
第二に、係止工程は、この支承工程以後、各前記セグメント導体の両前記脚部を下にして、各前記ターン部の中間点にあたる反転頂部が、このコイル端部スペーサの各前記スリットに嵌り込むように、各前記セグメント導体を前記コイル端部スペーサに引っかけてぶら下げる工程である。
【0082】
第三に、回動工程は、この係止工程の後、前記反転頂部を回転中心にして各前記セグメント導体を所定の方向に回動させ、各前記脚部が所定位置で互いに所定の方向に重なるように各前記セグメント導体を整列させる工程である。
【0083】
本手段では、以下のような順でセグメント導体が円環状に整列させられるに至る。
【0084】
すなわち、先ず支承工程で、前述の第4手段のコイル端部スペーサが、その突出部を上に向けて適正に支承されるにいたる。ここで適正にというのは、その内容を例示するならば、コイル端部スペーサの主壁部が水平になる状態であることや、コイル端部スペーサの周囲に適正な作業空間が確保されていることなどを指すが、場合によって様々なバリエーションがあり得る。
【0085】
次に、係止工程では、各セグメント導体は、その両脚部を下にして、各ターン部の中間点にあたる反転頂部がコイル端部スペーサの各前記スリットに嵌り込むように、各前記セグメント導体を前記コイル端部スペーサに引っかけてぶら下げられる。この際、セグメント導体のターン部は、反転頂部を頂点とした逆V字形状をしているので、反転頂部の凹んだ部分は小さな曲率をもって曲がっており、その部分が、コイル端部スペーサの突出部の間に形成された凹部状のスリットに係止する。それゆえ、各セグメント導体のうちどの部分でコイル端部スペーサに係止されるかという位置精度は、十分に高いものになる。また、コイル端部スペーサのスリットも、突出部の幅に相当する適正な間隔を空けて形成されており、スリットの幅は、セグメント導体のターン部の反転頂部に合わせて設定されている。それゆえ、各セグメント導体のお互いに対する位置精度や、コイル端部スペーサに対する位置精度も、十分に高いものになる。
【0086】
そして、回動工程では、この係止工程の後、反転頂部を回転中心にして各セグメント導体が所定の方向に回動させられ、各脚部が所定位置で互いに所定の方向に重なるように各セグメント導体が整列させられる。この際、各セグメント導体を同時にほぼ同じ角度だけ回動させていっても良いし、逆に順々に回動させていっても良い。いずれにせよ、コイル端部スペーサに係止された全てのセグメント導体が回動し終わると、これらのセグメント導体は互いに脚部を半径方向に重ね合わせて円環状に整列し、コアのスロットに挿置されるのに適当な状態に整列し終わる。
【0087】
そこで、前述のような本手段のセグメント整列方法が完了した後、一式のセグメント導体がターン部でコイル端部スペーサに係止して整列した状態を保ったまま、コアのスロットに一式のセグメント導体が挿置される。すなわち、各セグメント導体は、その両脚部の先端を揃えてコアの各スロットに嵌るように導き入れられ、両脚部が所定の深さに至るまでコアのスロットに挿入される。この際、インシュレータ(絶縁紙など)で各脚部が巻かれており、互いに絶縁されるとともに、コアに対しても絶縁されていることが望ましい。
【0088】
こうすれば、通常の従来技術とは異なり、高価な円環整列治具を使用することなく、一式のセグメント導体を円環状に整列させてコアのスロットに収容することができるようになる。これに伴い、セグメント導体が円環状に整列した状態を保って円環整列治具から一式のセグメント導体を引き抜く引き抜き工程も不要になり、工数が低減される。一方、コイル端部スペーサはごく安価に大量生産することができるから、円環整列治具の分だけ設備投資が減るとともに、引き抜き工程の分だけ組み立て工数も低減される。
【0089】
したがって、本手段のセグメント整列方法によれば、円環整列治具を要せずにセグメント導体を円環状に整列させることができ、そのままコアのスロットにセグメント導体を挿置することができる。その結果、設備投資および組み立て工数が低減されるので、コストダウンの効果が得られる。そればかりではなく、前述の第1手段の項で説明したように、コイル端部における短絡防止効果ないし絶縁効果が得られる。
【0090】
[セグメント開放端部の捻り成形方法]
(第8手段)
本発明の第8手段は、回転電機の固定子鉄心および回転子鉄心のうち一方であるコアに形成されたスロットに一部が収容された所定数のセグメント導体のうち、このコアから突出した各開放端部を所定の位置にまで曲げ捩り加工するセグメント開放端部の捻り成形方法(製造方法)である。本手段のセグメント開放端部の捻り成形方法がもつ特徴は、前述した第5手段のコイル端部スペーサを用い、このコイル端部スペーサのうち前記仕切突条を、各前記セグメント導体の各前記開放端部の間に挿置したうえで前記曲げ捩り加工を行うことである。
【0091】
ここで、本手段の製造方法で使用される第5手段のコイル端部スペーサは、前述のように、主壁部から突出した第一仕切突条および第二仕切突条のうち、一方の仕切突条だけを有することを特徴としている。
【0092】
また、本手段のセグメント開放端部の捻り成形方法は、略U字形状のセグメント導体を使用する場合だけにではなく、略I字形状のセグメント導体を使用する場合にも適用可能である。
【0093】
本手段では、コアに形成されたスロットに一部が収容された所定数のセグメント導体のうち、このコアから突出した各開放端部(セグメント開放端部)が、コアの周方向と軸長方向とに沿って、先端部が互いに溶接されるべき所定の位置にまで曲げ捩り加工される。この曲げ捩り加工に際し、第5手段のコイル端部スペーサが用いられる。すなわち、このコイル端部スペーサのうち一方に突出している仕切突条を、各セグメント導体の各開放端部の間に挿置したうえで、前述の曲げ捩り加工が行われる。
【0094】
すると、曲げ捩り加工されるべきセグメント導体の開放端部には、コイル一層について一枚ずつ第5手段のコイル端部スペーサが挿置された状態になる。この状態では、コイル端部スペーサの仕切突条が、各セグメント導体の各開放端部の間に挿置されている。逆に言えば、各セグメント開放端部は、コイル端部スペーサの仕切突条の間に形成されたガイド溝に収まった状態にある。
【0095】
この状態から、前述の曲げ捩り加工が各セグメント開放端部の一層分に一気に施されると、各セグメント開放端部の周方向の間には、それぞれコイル端部スペーサの仕切突条が介在したまま、セグメント開放端部が塑性変形させられる。もちろん、各層をまとめていっぺんに加工することとし、各層のセグメント開放端部がそれぞれ曲げ捩り加工されても、同様にコイル端部スペーサの仕切突条は、各セグメント開放端部の間に挿置されている。
【0096】
その結果、周方向に互いに隣り合うセグメント開放端部のうち斜めになっている部分(斜行部)の間には、それぞれコイル端部スペーサの仕切突条が挟まっており、適正な間隔が確保される。それゆえ、周方向に互いに隣り合うセグメント開放端部の間で、極めて良好な絶縁特性が得られる。そればかりではなく、コイル端部スペーサの主壁部によっても、セグメント開放端部の各層の間が仕切られており、やはり極めて良好な絶縁特性が得られる。
【0097】
したがって、本手段のセグメント開放端部の捻り成形方法によれば、第5手段のコイル端部スペーサを適正に介在させるだけで、曲げ捩り加工が施された後のセグメントコイルの開放端部で絶縁性が向上するという効果がある。
【0098】
特に、曲げ捩り加工が施されたコイル端部で、全てのコイル層について本手段のセグメント開放端部の捻り成形方法が施されていれば、先端部で溶接されるコイル端部における絶縁に関する信頼性が向上する。その結果、本手段のセグメント開放端部の捻り成形方法によってコイル端部が製造された回転電機自体の信頼性も、向上するに至る。
【0099】
【発明の実施の形態】
本発明の「コイル端部スペーサ、セグメント型電機子、セグメント整列方法、ならびにセグメント開放端部の捻り成形方法」がもつ好ましい実施形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
【0100】
[実施例1]
(実施例1のコイル端部スペーサの構成)
本発明の実施例1としてのコイル端部スペーサ1は、電動自動車用誘導電動機の固定子コアに装置されるセグメント型コイルがもつ一方のコイル端部(図略)に組み込まれるべき部品である。本実施例のコイル端部スペーサ1は、図1に示すように、略帯状の細長い形状をしており、その長手方向には、繰り返し同じパターンの形状が所定ピッチで形成されている。
【0101】
本実施例のコイル端部スペーサ1は、主壁部11と、主壁部11から上方に延在して突出した多数の突出部12と、主壁部11から表裏両面にそれぞれ突出した多数の第一仕切突条13および第二仕切突条14とを有する。なお、ここでいう「多数」とは、固定子コアの内周面に形成されたスロットの数と同数であり、同スロットに収まるべきセグメント導体2の数と同数である。
【0102】
すなわち、本実施例のコイル端部スペーサ1は、主壁部11、突出部12、第一仕切突条13および第二仕切突条14からなる絶縁性の一体成形部材である。本実施例のコイル端部スペーサ1を形成する材料は、例えば6−6ナイロン(商品名)であり、本実施例のコイル端部スペーサ1が組み込まれるべき誘導電動機の使用条件下で、十分に耐えるだけの耐熱性および絶縁性を備えている。
【0103】
ここで、本実施例のコイル端部スペーサ1の長さは、所定数の略U字形状をしたセグメント導体2(図3参照)を整列させた後に、コイル端部スペーサ1をリング状に丸めて一端と他端とを当接させるようになっている。すると、これらのセグメント導体2が、固定子コア(図14参照)の内周面に形成された多数のスロット(図略)のうち所定の層に収容されるように、本実施例のコイル端部スペーサ1の長さは設定されている。
【0104】
この際、本実施例のコイル端部スペーサ1の一端は、いちばん端の突出部12のうち半分が残るように切断されており、他端も、いちばん端の突出部12のうち半分が残るように切断されている。コイル端部スペーサ1がリング状に丸められて、その一端と他端とが対向して当接させられると、一端の第一仕切突条13は他端の第一仕切突条13と連続し、同様に、一端の第二仕切突条14は他端の第二仕切突条14に連続するようになっている。その結果、コイル端部スペーサ1をリング状に丸めて一端と他端とを当接させると、あたかもリング状の部材であるかのように、周方向に規則的に所定パターンの形状を繰り返す連続性をもつに至る。
【0105】
では、前述の構成要素(主壁部11、突出部12、第一仕切突条13および第二仕切突条14)のそれぞれの構成について、図1および図2を参照しながら、以下に説明する。
【0106】
先ず、主壁部11は、同じく図1に示すように、所定の幅と所定の長さと所定の厚みとをもった帯状の平板である。主壁部11は、図2に示すように、一方の面に表面111を形成しており、他方の面に裏面112を形成している。前述のように後でコイル端部スペーサ1をリング状に丸めると、表面111は外周面になり、裏面112は内周面になる。なお、主壁部11の幅は、略U字形状のセグメント導体のターン部が形成するコイル端部の内部に収まる適正な寸法に設定されている。
【0107】
次に、突出部12は、再び図1に示すように、主壁部11の一方の縁の多数箇所から所定間隔を空けて歯列状に突出し、互いの間に凹部状のスリット120を形成している部分である。突出部12およびスリット120のピッチは、整列させるべきセグメント導体2のピッチに等しく、等間隔に並んでいる。
【0108】
突出部12の厚みは、図2に示すように、主壁部11の厚みと等しい。また、突出部12の突出高さは、スリット120の深さと等しく、略U字形状のセグメント導体2がもつターン部の反転頂部がもつ断面の高さに合わせて設定されている。それゆえ、突出部12は、互いに隣り合うセグメント導体2のターン部24の間をしっかりと絶縁しながら、ターン部24が形成するコイル端部(図略)から突出してコイル端部の寸法を増すようなことはない。
【0109】
そして、第一仕切突条13は、主壁部11の表面111から所定間隔を空けて突出し、主壁部11の延在方向に対して所定角度だけ傾いて延在しており、互いの間に一方のガイド溝130を形成している多数の部分である。ガイド溝130の幅は、セグメント導体2のターン部24のうち一方の斜行部22(図3参照)が嵌るように設定されており、ガイド溝130の傾斜角度および傾斜方向も、斜行部22に合わせて設定されている。
【0110】
すなわち、第一仕切突条13は、セグメント導体2のターン部24のうち一方の斜行部22がガイド溝130に嵌り込むように、位置、寸法および角度が設定されている。たとえば、第一仕切突条13の突出寸法は、セグメント導体2の斜行部22の半径方向の幅よりも、ほんの少し大きく設定されている。それゆえ、斜行部22が第一仕切突条13の間のガイド溝130に嵌り込むと、第一仕切突条13の側頂面は、斜行部22の側面からわずかに突出する。こうすると、この斜行部22と隣の層のコイル端部を形成する斜行部との間に隙間が確保され、高い絶縁性が得られるからである。
【0111】
また、第二仕切突条14は、主壁部11の裏面112から所定間隔を空けて突出し、主壁部11の延在方向に対して第一仕切突条13とは逆方向に所定角度だけ傾いて延在しており、互いの間に他方のガイド溝140を形成している多数の部分である。前述のガイド溝130と同様に、ガイド溝140の幅は、セグメント導体2のターン部24のうち他方の斜行部21(図3参照)が嵌るように設定されており、ガイド溝140の傾斜角度および傾斜方向も、斜行部21に合わせて設定されている。
【0112】
すなわち、第二仕切突条14は、セグメント導体2のターン部24のうち他方の斜行部21が、ガイド溝140に嵌り込むように、位置、寸法および角度が設定されている。たとえば、第二仕切突条14の突出寸法は、セグメント導体2の斜行部21の半径方向の幅よりも、ほんの少し大きく設定されている。それゆえ、斜行部21が第二仕切突条14の間のガイド溝140に嵌り込むと、第二仕切突条14の側頂面は、斜行部22の側面からわずかに突出する。こうすると、やはりこの斜行部21と隣の層のコイル端部を形成する斜行部との間に隙間が確保され、高い絶縁性が得られるからである。
【0113】
以上の多数の突出部12、第一仕切突条13および第二仕切突条14は、周方向に互いに隣り合うセグメント導体2の間隔に相当する同じピッチで配列されている。そして、等ピッチで突出している多数の突出部12、第一仕切突条13および第二仕切突条14の間には、多数のセグメント導体2を整列させるのに適正な位相差が設けられている。
【0114】
なお、本実施例のコイル端部スペーサ1を構成する各構成要素11,12,13,14の角部および外縁は、図示しない適度なアールで丸められている。それゆえ、本実施例のコイル端部スペーサ1を製造する際に、材料となる合成樹脂の成形が容易になっている。また、角部および外縁が丸められているので、本実施例のコイル端部スペーサ1にセグメント導体2を係止したり嵌め合わせたりする際にも、嵌め合いがスムースに行くようになっている。同様に、これらの構成要素11,12,13,14が互いの間に形成する隅部および内縁にも、適度なアールがつけられており、製造が容易でありながら、組立時および運用時に過度の応力集中が避けられるようになっている。
【0115】
(実施例1のコイル端部スペーサの作用)
本発明の実施例1としてのコイル端部スペーサ1は、以上のように構成されているので、以下のように主に三つの作用をもつ。
【0116】
第一に、本実施例のコイル端部スペーサ1を適正に用いれば、所定数のセグメント導体2を円環状に整列させて、固定子コアのスロット(図略)に挿置できるように揃える作用(整列作用)が得られる。
【0117】
その際、前述のように通常の従来技術で用いていた円環整列治具Z(図13参照)は必要なくなり、当然の帰結として、円環整列治具Zから整列したセグメント導体2を引き抜く引き抜き工程も、必要なくなる。
【0118】
ここで、どのようにしてセグメント導体2を円環状に整列させるかというと、本実施例では、詳しくは後述するが、次のような手順で整列させている。
【0119】
先ず、図3に示すように、本実施例のコイル端部スペーサ1を、突出部12を上に向けて、水平に支承しておく。そのうえで、図4に示すように、略U字形状のセグメント導体2の両脚部25を下にして、固定子コアに形成されているスロットの数に相当する所定数のセグメント導体2を、本実施例のコイル端部スペーサ1に引っかけてぶら下げる。
【0120】
この際、本実施例のコイル端部スペーサ1には、上方に突出した多数の突出部12がある。そこで、各突出部12の間に形成された凹部状のスリット120に嵌り込むように、セグメント導体2のターン部24の中間点にあたる反転頂部23(図3参照)を配置する。この際、前述のように本実施例のコイル端部スペーサ1は、長手方向の両端部が突出部12を半分に切断して形成されているので、両端部でスリット120が欠損しておらず、一周分にあたる全てのセグメント導体2がもれなく本実施例のコイル端部スペーサ1のスリット120に載る。すると、再び図4に示すように、ターン部24の反転頂部23がコイル端部スペーサ1のスリット120に嵌り込んだ状態で、略U字形状のセグメント導体2が、所定数だけ、所定のピッチで配設される。
【0121】
しかる後、同じく図4に示すように、本実施例のコイル端部スペーサ1のスリット120で支承されているターン部24の反転頂部23を軸に、全てのセグメント導体2を上から見て反時計方向に回動させる。そして、図5に示すように、セグメント導体2のターン部24のうち両斜行部21,22が、それぞれ本実施例のコイル端部スペーサ1のガイド溝130,140に嵌り込み、主壁部11の表裏両面111,112に当接する。
【0122】
すると、図6に示すように、多数のセグメント導体2が、それぞれ周方向に対して少し斜めに、本実施例のコイル端部スペーサ1に沿って整列する。この際、前述のように一周分にあたる全てのセグメント導体2が整列するので、後からセグメント導体2を補充するような無理な手順は発生しない。すると、各セグメント導体2の両脚部25が、所定位置で互いに厚み方向(図2参照)に重なるように、各セグメント導体2を整列させることができる。
【0123】
そこで最後に、本実施例のコイル端部スペーサ1をリング状に丸めて一端と他端とを突き合わせれば、セグメント導体2は円環状に整列するに至る。すると、各セグメント導体2の両脚部25は、所定位置で互いに半径方向に重なり、固定子コアのうち同一のスロット(図略)に収まりやすくなる。
【0124】
以上のように、セグメント導体2を整列させる過程で、本実施例のコイル端部スペーサ1には突出部12があるから、互いに隣り合うセグメント導体2の間に適正な間隔が保たれるというスペーシング効果が得られる。これに伴い、略U字形状をしたセグメント導体2のターン部24の反転頂部23が、本実施例のコイル端部スペーサ1の突出部12を介して、所定の間隔を空けていることは明らかである。
【0125】
その結果、本実施例のコイル端部スペーサ1では、セグメント導体2の整列作用が得られる。そればかりではなく、本実施例のコイル端部スペーサ1を基準にして整列したセグメント導体2のターン部24が形成するコイル端部(図略)では、極めて良好な絶縁作用も得られる。
【0126】
また、本実施例のコイル端部スペーサ1には、前述のように、第一仕切突条13および第二仕切突条14の両方がある。それゆえ、両仕切突条13,14の間にそれぞれ形成されたガイド溝130,140には、セグメント導体2のターン部24のうち両斜行部21,22がそれぞれに嵌り込む。その結果、やはり固定子コアのスロット一周分に相当する数の略U字形状をしたセグメント導体2が、適正な間隔を空けて整列するに至る。もちろん、本実施例のコイル端部スペーサ2には、前述の突出部12に加え、第一仕切突条13および第二仕切突条14備わっているから、位置精度や信頼性の面でも、特に良好なセグメント導体2の整列作用が得られる。
【0127】
第二に、本実施例のコイル端部スペーサ1は絶縁性の部材であり、前述のように固定子のコイル端部(図略)に介在したまま残るので、コイル端部間での絶縁性を向上させる作用(絶縁作用)をもつ。
【0128】
すなわち、セグメント導体2のうち固定子コアから突出したターン部24が形成しているコイル端部の内部に、前述の組み立て手順で述べたように、本実施例のコイル端部スペーサ1が介在したまま残されるので、コイル端部間での短絡が防止されることになる。
【0129】
ここで、本実施例のコイル端部スペーサ1のうち、主壁部11は、セグメント導体2のターン部24のうち一方の斜行部22と他方の斜行部22との間を、確実に絶縁する。また、多数の突出部12は、互いに隣り合うセグメント導体2のターン部24の反転頂部23の間を絶縁するうえに、互いに隣り合うセグメント導体2のターン部24の間に所定間隔を空けるので、やはり絶縁性が向上する。さらに、両仕切突条13,14は、互いに隣り合うセグメント導体2のターン部24のうち両斜行部21,22の間をそれぞれ隔てて絶縁する。
【0130】
したがって、本実施例のコイル端部スペーサ1は、前述のように絶縁性の部材であって、コイル端部を形成するセグメント導体2のターン部24の間に介在するので、コイル端部での絶縁性が向上する。
【0131】
第三に、本実施例のコイル端部スペーサ1では、前述の従来技術1とは異なって、樹脂などでコイル端部の全体を封止してしまうことがなく、ある程度の通気性ないし冷却油などの流通性は得られるので、従来技術1よりも放熱特性が向上する(放熱作用)。
【0132】
(実施例1のコイル端部スペーサの効果)
したがって、本実施例のコイル端部スペーサ1によれば、次の三つの顕著な効果が得られる。
【0133】
第一に、本実施例のコイル端部スペーサ1によれば、円環整列治具Z(図13参照)なしであっても、略U字形状のセグメント導体2を円環状に整列させる整列効果がある。
【0134】
すなわち、本実施例のコイル端部スペーサ1を適正に用いれば、円環整列治具Zなしで、所定数のセグメント導体2を円環状に整列させることができる。このようにセグメント導体2を整列させる効果は、本実施例のコイル端部スペーサ1には、主壁部11に加え、突出部12、第一仕切突条13および第二仕切突条14の全てが備わっているので、特に顕著である。さらに、本実施例のコイル端部スペーサ1を適正に用いれば、引き抜き工程を必要としないで、固定子コアのスロットに収まるように、略U字形状をしたセグメント導体2を所定数だけ所定ピッチで円環状に揃えることができる。
【0135】
その結果、設備投資の低減と工数低減とにより、併せてコストダウンの効果も享受することができるようになる。
【0136】
第二に、本実施例のコイル端部スペーサ1によれば、固定子のコイル端部での各セグメント導体2の間で、絶縁性が向上し短絡が防止されるという高い絶縁効果が得られる。
【0137】
すなわち、本手段のコイル端部スペーサ1が介在するコイル端部では、互いに隣り合うセグメント導体2の間に絶縁性のコイル端部スペーサ1が介在して絶縁効果が向上する。すなわち、主壁部11、突出部12、第一仕切突条13および第二仕切突条14があって、互いに隣り合うセグメント導体2のターン部24の間を隔てており、ターン部24の接触が防止される結果、ターン部24での短絡が防止されて極めて高い絶縁効果が得られる。
【0138】
その結果、本実施例のコイル端部スペーサ1を採用した誘導電動機では、固定子のコイル端部での短絡が防止される分だけ、誘導電動機全体としても信頼性が向上するという効果がある。
【0139】
第三に、本実施例のコイル端部スペーサ1は、後述する実施例3の初めからリング状をしたコイル端部スペーサに比べると、次のような効果がある。すなわち、コイル端部スペーサ1の製造が比較的容易であり、コイル端部スペーサ1を作るための設備投資が比較的安価であるという効果がある。
【0140】
なぜならば、本実施例のスペーサの場合には、実施例3の場合とは異なって、リング状のコイル端部スペーサを一体成形するための金型が不要であるからである。すなわち、本実施例のコイル端部スペーサ1は、例えばローラー状の比較的簡易な型で圧延成形が可能であるから、金型の設備投資費用を抑制することができる。
【0141】
(実施例1のセグメント整列方法の構成)
本発明の実施例1としてのセグメント整列方法は、通常の方法とは異なって、円環整列治具Zを使うことなく、セグメント導体2を必要個数だけ円環状に整列させる方法である。
【0142】
本実施例のセグメント整列方法では、再び図3に示すように全体として略U字形状に形成されているセグメント導体2を、整列させる。セグメント導体2は、誘導電動機の固定子コアに形成されたスロット(図略)に少なくとも一部が収容されるべき互いに平行で真っ直ぐな一対の脚部25と、両脚部25の一端を互いに連結する略V字形状のターン部24とをもち、全体として略U字形状に形成されている。すなわち、本実施例は、セグメント導体2を必要個数だけ集め、これらセグメント導体2のうちそれぞれの両脚部25を、固定子コアに形成されている多数のスロットに適正に挿置することができるように、各セグメント導体2を円環状に整列させる方法である。
【0143】
本実施例のセグメント整列方法がもつ特徴は、次の支承工程、係止工程および回動工程の三つの工程を順に有することである。
【0144】
第一に、支承工程は、同じく図3に示すように、コイル端部スペーサ1を、その突出部12を上に向けて水平にし、適正に支承しておく工程である。この工程では、続く係止工程および回動工程などの一連の工程を行うために必要な作業空間を周囲に確保したうえで、これらの工程を行うための自動装置に対して適正な位置にコイル端部スペーサ1が支承される。
【0145】
第二に、係止工程は、この支承工程以後に行われる工程であり、コイル端部スペーサが適正に支承されたままの状態で行われる。係止工程では、再び図4に示すように、各セグメント導体2の両脚部25を下にして、ターン部24の中間点にあたる反転頂部23が、コイル端部スペーサ1の各スリット120に嵌り込むように、各セグメント導体2をコイル端部スペーサ1に引っかけてぶら下げる工程である。
【0146】
第三に、回動工程は、この係止工程の後、反転頂部23を回転中心にして各セグメント導体1を所定の方向に回動させ、各脚部25が所定位置で互いに所定の方向(主壁部11の厚み方向)に重なるように、各セグメント導体1を整列させる工程である。
【0147】
すなわち、同じく図4に示すように、適正に支承されたコイル端部スペーサ1のスリット120には、ターン部24の反転頂部23が嵌っている。そこで、反転頂部23を軸にして、同図中の一対の矢印Tで示すように、全てのコイル端部スペーサ1をいっぺんに、上から見て反時計方向にいっぱいにまで回動させる。すると、再び図5に示すように、コイル端部スペーサ1のターン部24のうち両斜行部21,22は、それぞれ両ガイド溝130,140に嵌り込み、各セグメント導体2は、それぞれの両脚部25を重ね合わせて整列する。
【0148】
しかる後、セグメント導体2を整列させたままの状態で、コイル端部スペーサ1をリング状に曲げてその両端を互いに突き合わせれば、セグメント導体2は、円環状に整列するに至る。そこで、この状態を保ったまま、一周分のセグメント導体2を、ターン部24にコイル端部スペーサ1を挟んだまま、固定子コアのスロット(図略)に適正な深さにまで挿入して挿置する。この際、必要に応じて、セグメント導体2の両脚部25のうちスロットに収まる部分に、絶縁紙ないし絶縁シート(インシュレータ)を巻き付けておくと、スロット内での絶縁性も高まって良い。
【0149】
以上のようにして、固定子コアのスロットに収まるべき全てのセグメント導体2のうち、二層分がスロットに挿置される。そこで、以上の手順を各層のセグメント導体2に対して順次施していけば、セグメント型の固定子コイルを形成する全てのセグメント導体2が固定子コイルのスロットに挿置されるに至る。
【0150】
(実施例1のセグメント整列方法の作用効果)
実施例1としてのセグメント整列方法は、以上のように構成されているので、以下のような順で作用し、本方法でセグメント導体2が円環状に整列させられるに至る。
【0151】
すなわち、先ず支承工程で、再び図3に示すように、前述のコイル端部スペーサ1が、その多数の突出部12を上に向けて適正に支承されるにいたる。すると、コイル端部スペーサ1の主壁部11は長手方向に水平に支承されており、主壁部11の表裏両面111,112は、垂直に直立した状態になる。そして、コイル端部スペーサ1の周囲には、必要な自動装置が配置されており、これらの自動装置の作動に適正な作業空間が確保されている。
【0152】
次に、係止工程では、再び図4に示すように、各セグメント導体2は、その両脚部25を下にして、各ターン部24の中間点にあたる反転頂部23がコイル端部スペーサ1の各スリット120に嵌り込むように、各セグメント導体2をコイル端部スペーサ1に引っかけてぶら下げられる。
【0153】
この際、セグメント導体2のターン部24は、再び図3に示すように、反転頂部23を頂点とした逆V字形状をしているので、反転頂部23の凹んだ部分は小さな曲率をもって曲がっている。
【0154】
そこで、再び図4に示すように、セグメント導体2の反転頂部23にあたるその凹んだ部分が、コイル端部スペーサ2の突出部12の間に形成された凹部状のスリット120に嵌り込んで、コイル端部スペーサ1が各セグメント導体2を係止する。それゆえ、各セグメント導体2のうちどの部分でコイル端部スペーサ1に係止されるかという位置精度は、自然に十分に高いものになる。
【0155】
また、コイル端部スペーサ1のスリット120も、突出部12の幅に相当する適正な間隔を空けて形成されており、スリット120の幅は、セグメント導体2のターン部24の反転頂部23に合わせて設定されている。それゆえ自然の帰結として、各セグメント導体2のお互いに対する位置精度や、コイル端部スペーサ1に対する位置精度も、十分に高いものになる。
【0156】
そして、回動工程では、この係止工程の後、同じく図4に示すように、反転頂部23を回転中心にして各セグメント導体2が所定の方向に回動させられ、各脚部25が所定位置で互いに重なるように各セグメント導体2が整列させられる。この際、全てのセグメント導体2を同時にほぼ同じ角度だけ回動させていくが、別案として、一方から順々に各セグメント導体2を一つずつ回動させていっても良い。
【0157】
いずれにせよ、図5および図6に示すように、コイル端部スペーサ1に係止された全てのセグメント導体2がいっぱいに回動し終わると、これらのセグメント導体2は互いに脚部25を重ね合わせ、直線状のコイル端部スペーサ1に対して斜めに整列する。
【0158】
しかる後、コイル端部スペーサ1をリング状に曲げてその両端を互いに突き合わせれば、各セグメント導体2は、両脚部25を半径方向に重ね合わせ、固定子コアのスロットに挿置されるのに適当な状態に整列し終わる。
【0159】
そこで、前述のような本実施例のセグメント整列方法が完了した後、一式のセグメント導体2がターン部24でコイル端部スペーサ1に係止して整列した状態を保ったまま、固定子コアのスロットに一式のセグメント導体2が挿置される。すなわち、各セグメント導体2は、その両脚部25の先端を揃えて固定子コアの各スロットに嵌るように導き入れられ、両脚部25がそろって所定の深さに至るまでコアのスロットに挿入される。この際、インシュレータ(絶縁紙など)で各脚部25が巻かれており、セグメント導体2の脚部25が、互いに絶縁されているとともに、固定子コアに対しても絶縁されていることが望ましい。
【0160】
こうすれば、通常の従来技術とは異なり、高価な円環整列治具Z(図13参照)を使用することなく、一式のセグメント導体2を円環状に整列させて固定子コアのスロット(図略)に収容することができるようになる。これに伴い、セグメント導体2が円環状に整列した状態を保って円環整列治具から一式のセグメント導体を引き抜く引き抜き工程も不要になり、工数が低減される。一方、コイル端部スペーサ1は、前述のようにごく安価に大量生産することができるから、円環整列治具Zの分だけ設備投資が減るとともに、引き抜き工程の分だけ組み立て工数も低減される。
【0161】
したがって、本実施例のセグメント整列方法によれば、円環整列治具Zを使わないでセグメント導体2を円環状に整列させることができ、そのまま固定子コアのスロットにセグメント導体2を挿置することができる。その結果、設備投資および組み立て工数が低減されるので、コストダウンの効果が得られる。そればかりではなく、コイル端部スペーサ1の実施例で前述したように、コイル端部における絶縁効果が得られる。
【0162】
(実施例1のセグメント型電機子)
本発明の実施例1としてのセグメント型電機子は、すでに特徴が明瞭なので全体像は図示しないが、前述したように電動自動車(ハイブリッドカー)用の誘導電動機の固定子を形成するものである。
【0163】
本実施例のセグメント型電機子は、内周面に多数のスロットが形成されている固定子コア(図14参照)と、セグメントコイルとから構成されている。セグメントコイルは、固定子コイルのスロットに一部が収容されている脚部25と固定子コイルから突出している両端部のうち一方の端部を形成するターン部24とをもつ多数のセグメント導体2が、互いに接続されて構成されている。本実施例のセグメント型電機子がもつ特徴は、セグメント導体2のターン部24と固定子コアの端面との間に介在する前述のコイル端部スペーサ1を、さらに有することである。
【0164】
本実施例のセグメント型電機子では、セグメント導体2のターン部24が形成しているコイル端部に、前述のコイル端部スペーサ1が介在している。それゆえ、前述のコイル端部スペーサ1の実施例の項で詳述したように、本実施例のコイル端部スペーサ1に特有の作用効果と同様の作用効果が発揮される。
【0165】
すなわち、本実施例のセグメント型電機子によれば、前述のコイル端部スペーサ1の効果に相当して、セグメント導体2の整列効果と、ターン部24が形成しているコイル端部での絶縁効果および冷却効果とが得られる。併せて、前述のように、組み立て治具および組立工数の簡略化に基づく設備投資および組立工数の低減によるコストダウン効果と、冷却性の向上による誘導電動機の性能向上効果と、誘導電動機の軽量化効果とが得られる。
【0166】
(実施例1の効果)
以上詳述したように、本実施例のコイル端部スペーサ1、セグメント整列方法およびセグメント型電機子は、以下のように主に二つの顕著な効果といくつかの付帯効果とを発揮する。
【0167】
第一に、本実施例によれば、通常の従来技術で必要としていた円環整列治具Zを用いずに、略U字形状のセグメント導体2を円環状に整列させることができるという整列効果がある。
【0168】
すなわち、本実施例のコイル端部スペーサを、本実施例のセグメント整列方法に従って適正に用いれば、円環整列治具Z(図13参照)なしで、所定数のセグメント導体2を円環状に整列させることができる。このようにセグメント導体2を整列させる効果は、本実施例のコイル端部スペーサ1に、主壁部11に加え、突出部12、第一仕切突条13および第二仕切突条14の全てが備わっているので、特に顕著である。さらに、本実施例のコイル端部スペーサ1およびセグメント整列方法によれば、引き抜き工程を必要としないで、固定子コアのスロットに収まるように略U字形状をしたセグメント導体2を所定数だけ所定の間隔で円環状に揃えることができる。
【0169】
その結果、設備投資の低減と工数低減とにより、本実施例のセグメント型電機子は、コストダウンの効果も享受することができるようになる。
【0170】
第二に、本実施例によれば、完成した固定子のセグメントコイル両端部のうちターン部24が形成する方のコイル端部では、各セグメント導体2のターン部24の間で絶縁性が格段に向上しているという絶縁効果が得られる。
【0171】
すなわち、本実施例のセグメント型電機子では、本実施例のコイル端部スペーサ1が、互いに隣り合うセグメント導体2のターン部24の間に介在して、両者の間隔を適正に保っている。それゆえ、互いに隣り合うターン部24同士の接触がほぼ完全に防止されているばかりではなく、両ターン部24の間には絶縁性の高いコイル端部スペーサ1が介在しているので、放電も起きがたくなっており、絶縁効果が向上している。
【0172】
このような絶縁効果は、本実施例のコイル端部スペーサ1に、主壁部11に加え、突出部12、第一仕切突条13および第二仕切突条14の全てが備わっているので、特に顕著である。また、本実施例のコイル端部スペーサ1の突出部12、第一仕切突条13および第二仕切突条14は、コイル端部を形成するセグメント導体1のターン部24の寸法に合わせて主壁部11から突出しているので、極めて高い絶縁効果が得られる。
【0173】
その結果、本実施例のコイル端部スペーサ1を採用した本実施例のセグメント型電機子(固定子)では、ターン部24が形成しているコイル端部での短絡が防止される分だけ、信頼性が向上するという効果がある。
【0174】
(実施例1の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、熱伝導率を特別に向上させた絶縁材料を用い、放熱性を顕著に向上させたコイル端部スペーサ1を実施することができる。すなわち、本変形態様のコイル端部スペーサ1は、絶縁性の母材と、この母材の熱伝導率よりもずっと高い熱伝導率をもつ絶縁性の増量材との混合物からなる一体成形部材であることを特徴とする。母材としては、前述の実施例1と同様に例えば6−6ナイロン(商品名)を用い、増量剤としては、アルミナ粒子を用いる。アルミナ粒子の熱伝導率は、母材よりもおおよそ一桁高い。母材と増量剤との混合比率は、質量比で1:3ないし1:5程度が適当であろう。
【0175】
本変形態様のコイル端部スペーサ1では、絶縁性の母材だけでコイル端部スペーサを成型する場合に比べて、増量剤がより高い熱伝導率をもつので、コイル端部スペーサの全体にわたって熱伝導率が高くなる。すなわち、絶縁性の母材に、熱伝導性が高いアルミナ粒子を多量に配合すれば、元の母材の熱伝導率よりも数倍も高い熱伝導率が得られるようになる。その結果、本変形態様のコイル端部スペーサ1では、温度の高い部分から温度の低い部分へと熱伝導する能力が高まり、本変形態様のコイル端部スペーサ1は、それ自体でコイル端部を冷却する能力や放熱能力が高まる。
【0176】
したがって、本変形態様のコイル端部スペーサ1によれば、前述の実施例1のコイル端部スペーサ1がもつ効果に加えて、コイル端部での冷却能力や放熱能力が高まるという効果がある。その結果、コイル端部が過熱しにくくなるので、コイル端部の温度制限に関する定格出力などの出力制限がより緩和され、本変形態様のコイル端部スペーサ1を装備した誘導電動機の性能をいっそう向上させることができる。
【0177】
なお、本変形態様のコイル端部スペーサ1を用いたセグメント整列方法や、本変形態様のコイル端部スペーサ1を構成要素としたセグメント型電機子も、実施例1と同様に実施可能である。そして、セグメント整列方法では、実施例1と同様に、整列効果などの作用効果が得られる。また、セグメント型電機子でも、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0178】
(実施例1の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、様々な要求に応じて形状を最適化したコイル端部スペーサ1の実施が可能である。
【0179】
すなわち、前述の実施例1のコイル端部スペーサ1において、主壁部11、突出部12および両仕切突条13,14の各部分の厚みや外形を変えた変形態様の実施が可能である。形状を変更する目的は、各部の先端部を丸めてもっと容易にセグメント導体2を係止したり嵌め込んだりできることや、いったん整列したセグメント導体2がそのままコイル端部スペーサ1に固定されるようにすることなどである。
【0180】
たとえば、両仕切突条13,14の先端部の縁に沿って、両ガイド溝130,140の開口部を狭める張り出し部を設けれた変形態様の実施が可能である。本変形態様では、いったんセグメント導体2の両斜行部21,22が両ガイド溝130,140に嵌ってしまったら、もはや簡単には外れなくなってしまい、整列効果がより強化される。
【0181】
(実施例1の変形態様3)
本実施例の変形態様3として、コイル端部スペーサ1は、その多数のスリット120でセグメント導体2を支承しているが、セグメント導体2の反転頂部2の底面に当接するスリット120の当接面形状を適正に変更したコイル端部スペーサ1の実施が可能である。スリット120の形状をどう変えるかというと、セグメント導体2の重さがかかると、セグメント導体2に自然に所定の回動方向へのトルクが生じるような形状にしておく。
【0182】
すると、本変形態様では、係止工程でセグメント導体2をコイル端部スペーサ1に係止すると、自然にセグメント導体2は回動し、セグメント導体2の両斜行部21,22がコイル端部スペーサ1の両ガイド溝130,140に嵌り込む。すなわち、積極的に外力を加えなくても、回動工程が自然に行われるようになる。回動工程の結果、セグメント導体2の整列をより完全で確実なものにするには、たとえばセグメント導体2の両側から平板などで全てのセグメント導体2を挟持し、確実にセグメント導体2の両斜行部21,22がコイル端部スペーサ1の両ガイド溝130,140に嵌り込むようにすればよい。
【0183】
本変形態様のセグメント整列方法によれば、前述の実施例1の効果に加え、回動工程での工数が低減されるので、組み立てコストをより低減させることができるという効果がある。
【0184】
[実施例2]
(実施例2のコイル端部スペーサ)
本発明の実施例2としてのコイル端部スペーサ1は、図7および図8に示すように、切り紙細工のような作成の仕方ないし成形の仕方に特徴があるコイル端部スペーサである。
【0185】
すなわち、本実施例のコイル端部スペーサ1は、同じく図7および図8に示すように、主壁部11の表面111から突出した多数の仕切突条15は、帯状の絶縁シートのうち一方の縁部に所定間隔を空けて多数の切り込みを入れたうえで、斜めに切り起こした仕切突条15であることを特徴としている。併せて、本実施例のコイル端部スペーサ1は、突出部12が、絶縁シートの縁部のうちこれらの仕切突条15の切り起こし後に残された多数の残留部分からなることを特徴としている。
【0186】
したがって、本実施例のコイル端部スペーサ1は、帯板状に延在する主壁部11と、主壁部11から突出している多数の突出部12および仕切突条15とを有する。
【0187】
しかしながら、本実施例のコイル端部スペーサ1は、実施例1のそれとは異なり、主壁部11の裏面側(図略)には第二仕切突条14にあたる仕切突条をもっていない。また、仕切突条15の長さは、セグメント導体2の斜行部22(図3参照)がもつ長さのおおよそ三分の一程度であり、斜行部22の全長にわたって互いに隣り合う斜行部22の間に介在するわけではない。ただし、互いに隣り合う斜行部22の間には、仕切突条15の長さが足りないで仕切突条15が介在しない部分であっても、仕切突条15のスペーシング作用により、所定の隙間が保たれるようになっている。
【0188】
本実施例のコイル端部スペーサ1が実施例1のそれと最も異なっている点は、絶縁樹脂製の一体成形部材ではなく、単なる帯状の絶縁シートに、裁断工程と切り起こし工程とを施して作成されている点である。すなわち、本実施例のコイル端部スペーサ1は、押し出し成形のように何らかの金型を必要とする工程なしに、単にテープ状の絶縁シートから簡単な加工作業で製造可能であり、製造に必要とする設備投資が極めて安価である。
【0189】
すなわち、本実施例のコイル端部スペーサ1では、その作成に際して、成形型を必要とせず、帯状の絶縁シートに切り込みを入れて一部を斜めに切り起こすだけの作業で済む。それゆえ、作成が容易で既存の設備でもすぐに作成できるばかりではなく、コイル端部スペーサ1の作成に係わる設備投資を大幅に削減することができる。
【0190】
それでいながら、互いに隣り合うセグメント導体2のターン部24のうち、一方の斜行部22の全長の一部に仕切突条15を介在させて絶縁性を向上させ、斜行部22のうち他の部分の間にも所定の隙間を確保して短絡を防止している。さらに、主壁部11の裏面に当たる他方の斜行部21も、突出部12および一方の斜行部21がもつ整列作用によって整然と並ぶので、隣の斜行部21との間には適当な隙間が確保されおり、互いに隣り合う斜行部21の間での接触や短絡が防止される。
【0191】
もちろん、本実施例のコイル端部スペーサ1がもつ効果のうち、整列効果および絶縁効果は、実施例1にほぼ準ずるか幾分劣る程度である。
【0192】
したがって、本実施例のコイル端部スペーサ1によれば、前述の実施例1に準ずる効果に加えて、作成が容易で既存の設備でもすぐに作成できるという効果が得られる。その結果、コイル端部スペーサの作成に係わる設備投資を大幅に削減できるというコストダウン効果が得られる。
【0193】
設備投資に関するコストダウン効果は、本実施例のコイル端部スペーサ1を少量生産するおいて特に顕著であり、極論すると、定規と鋏とがあれば、手作業でも単品生産ができるくらいである。
【0194】
(実施例2のセグメント整列方法)
本実施例のセグメント整列方法は、実施例1のそれと同様の工程からなり、本実施例のセグメント整列方法によっても、実施例1のそれとほぼ同等の作用効果が得られる。
【0195】
(実施例2のセグメント型電機子)
本実施例のセグメント型電機子は、実施例1のそれと同様に、セグメント導体2のターン部24が形成するコイル端部の中に、前述の本実施例のコイル端部スペーサ1が挿置されていることを特徴とする。
【0196】
それゆえ、本実施例のセグメント型電機子は、実施例1のセグメント型電機子に準ずる作用効果をもつ。より詳しくは、本実施例のコイル端部スペーサ1の項で前述したように、整列効果および絶縁効果は実施例1に準ずる。
【0197】
(実施例2の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、前述の実施例2のコイル端部スペーサ1を、同一形状で二枚作成し、突出部12が合致するように裏面で背中合わせに接着して、表裏両面にそれぞれ多数の仕切突条15をもつコイル端部スペーサ1の実施が可能である。
【0198】
ここで、突出部12の幅をやや狭く作っておき、二枚を張り合わせるときに、突出部12に適度なズレをもたせて接着し、表側の仕切突条15と裏側の仕切突条15との間に適正な位相差を持たせてもよい。こうすれば、本変形態様のコイル端部スペーサ1のスリット120および表裏両方のガイド溝には、セグメント導体2のターン部24がよりうまく嵌り込むるようにすることができる。
【0199】
本変形態様では、前述の実施例1に比べて、第一仕切突条13および第二仕切突条14に相当する両側の仕切突条15の長さが半分程度になるというだけである。それゆえ、本変形態様の整列効果および絶縁効果は、実施例1に準ずるレベルにまで向上する。また、本変形態様に特有の製造に際して設備投資が僅少で済むという利点は、二枚を張り合わせる接着工程が増えるだけで、ほとんど損なわれることがない。
【0200】
(実施例2の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、外周面にではなく内周面の側に仕切突条15を突出させたコイル端部スペーサ1の実施が可能である。
【0201】
そして、本変形態様のコイル端部スペーサ1を、前述の実施例2のコイル端部スペーサ1に加えて、互いに異なる層のセグメント導体2のターン部24の間に外周側から挿置するとよい。そうすれば、セグメント導体2の両斜行部21,22の間に、本実施例および本変形態様のうちいずれかのコイル端部スペーサ1の仕切突条15が挿置されるので、片方だけではなくいずれの斜行部21,22でも絶縁性が向上するという効果がある。さらに、前述の実施例1とは異なって、スロットの異なる層に挿置されるセグメント導体2の間も、本変形態様のコイル端部スペーサ1の主壁部11で仕切られ、絶縁されるようになる。
【0202】
その結果、本変形態様のコイル端部スペーサ1によれば、実施例1よりもなおいっそう絶縁性に優れたコイル端部をもつセグメント型電機子ないし誘導電動機が得られるという効果がある。
【0203】
(実施例2の変形態様3)
本実施例の変形態様3として、実施例1の変形態様1と同様に、テープ状の絶縁シートを形成する母材の中に、熱伝導性に優れた増量材を多量に加えれば、本変形態様の熱伝導性を向上させて放熱性をさらに改善させたコイル端部スペーサ1の実施が可能になる。その結果、実施例1の変形態様1と同様の作用効果が得られる。
【0204】
もちろん、本変形態様に、前述した本実施例の変形態様1または変形態様2を組み合わせて実施することも可能である。その場合、本変形態様がもつ放熱効果に加えて、各変形態様に特有の効果が得られる。
【0205】
[実施例3]
(実施例3のコイル端部スペーサ)
本発明の実施例3としてのコイル端部スペーサ1は、図9に示すように、初めから全体がリング状に一体成型されている点が、前述の実施例1と大きく異なっている。すなわち、本実施例のコイル端部スペーサ1は、主壁部11が真っ直ぐで両端が開放された帯状の平板ではなく、リング状に閉じた帯板であることが、実施例1と最も大きく異なる特徴である。
【0206】
また、多数の第一仕切突条13および第二仕切突条14が、実施例1と同様に、主壁部11の表裏両面(外周面および内周面)からそれぞれ半径方向に突出している。ただし、両仕切突条13,14の長さは実施例1よりもやや短く、実施例1とは異なって、薄肉のごく短い中空円筒状の主壁部11は、その上縁部および下縁部に、それぞれ所定の幅で、両仕切突条13,14がない平坦な部分をもっている。
【0207】
それゆえ、両仕切突条13,14の上端部と突出部12との間では、セグメント導体2のターン部24のうち反転頂部23が、適当な曲率で曲げ捩って成形されていても、無理なく本実施例のコイル端部スペーサ1に係止するようになる。また、両仕切突条13,14の下端部からはみ出して、主壁部11の下縁部が軸長方向(図中下方)に突出してるので、両仕切突条13,14と固定子コアとの間に所定の隙間が空く。そして、この隙間部分に、セグメント導体2のうち両脚部25とターン部24の両斜行部21,22とをつなぐ曲げ部分が収まるので、セグメント導体2がスロットに挿入される際に、両仕切突条13,14の下端部に無理な曲げが生じない。逆に言うと、セグメント導体2のターン部24と脚部25とをつなぐ曲げ部分を逃がしているので、主壁部11はその下端面が固定子コアに当接するまで軸長方向に長くでき、主壁部11による絶縁作用がより強化されている。
【0208】
本実施例のコイル端部スペーサ1は、例えば6−6ナイロン(商品名)樹脂から射出成形で一体的に製造されており、主壁部11の直径および周寸法は、整列させるべきセグメント導体2が収まるスロットの層が形成する寸法に合わせて設定されている。また、突出部12および両仕切突条13,14の数は、それぞれ固定子コアのスロットの数に等しい。
【0209】
本実施例のコイル端部スペーサ1を使えば、次の項で述べるセグメント整列方法により、前述の実施例1とほぼ同様にして、円環整列治具Zなしで、一周分のセグメント導体2を円環状に整列させることができる。また、円環整列治具Zからの引き抜き工程なしに、整列した状態のセグメント導体2をいっぺんに固定子コアのスロットに挿入することができる。その結果、セグメント導体2のターン部24で形成されるコイル端部には、それぞれのセグメント導体2の間に本実施例のコイル端部スペーサ1が介在したまま、固定子のセグメント型電機子が構成されるに至る。
【0210】
したがって、本手段のコイル端部スペーサ1によれば、実施例1と同様に、整列効果および絶縁効果の顕著な効果と、これらの伴う付帯的な数々の効果とが得られる。そして、本実施例のコイル端部スペーサ1は、初めからリング状に一体成形されているから、実施例1と異なって、主壁部11の両端部を突き合わせるように主壁部11をリング状に曲げる工数がなくて済む。それゆえ、射出成型用の金型は必要になるものの、実施例1よりも、組立工数が減るので組み立てコストは低減されているから、本実施例のコイル端部スペーサ1によれば、大量生産にいっそう好適であるという効果も生じる。
【0211】
(実施例3のセグメント整列方法)
本発明の実施例3としてのセグメント整列方法は、図10(a)〜(c)に示すように、実施例1のセグメント整列方法とおおむね同様に、支承工程、係止工程および回動工程を有する。ただし、実施例1とは異なって、前述のようにコイル端部スペーサ1が初めからリング状をしているので、セグメント導体2を係止させる段階から、セグメント導体2はリング状に配置される。
【0212】
先ず、支承工程では、再び図9に示すように、実施例2のリング状をしたコイル端部スペーサ1が、図示しない支承治具によって、多数の突出部12を上方に向けて水平に支承される。
【0213】
次に、係止工程では、図10(a)に示すように、ターン部24の反転頂部23がスリット120に嵌り込むように、一本目のセグメント導体2が本実施例のコイル端部スペーサ1に引っかけられてぶら下げられる。
【0214】
そして、回動工程では、同じく図10(a)に示すように、スリット120に嵌ったままの反転頂部23(図3参照)を軸にして、一本目のセグメント導体2が一対の矢印Tの方向に回動させられる。その結果、図10(b)に示すように、このセグメント導体2の両斜行部21,22(図3参照)は、それぞれ両仕切突条13,14の間に形成されている両ガイド溝130,140(図9参照)に嵌り込むに至る。
【0215】
以上の係止工程および回動工程が終わったら、次に二本目のセグメント導体2’を、一本目のセグメント導体2が係止しているスリットの隣のスリット120に係止させ、回動させる。すなわち、再び図10(b)に示すように、二本目のセグメント導体2’に対しても、前述の回動工程および係止工程が施され、二本目のセグメント導体2’は、同図中の一対の矢印T’の向きに回動して、一本目のセグメント導体2の隣に整列する。
【0216】
こうして、一本目のセグメント導体2から始めて、最後のセグメント導体2に至るまで、順々に前述の係止工程および回動工程を施していく。すると最後には、図10(c)に示すように、リング状のコイル端部スペーサ1を基準にして、一周分のセグメント導体2が円環状に整列するに至る。この状態で、一周分のセグメント導体2は、両脚部25を互いに半径方向に重ねて整列しており、このまま一周分のセグメント導体2の脚部25を、固定子コアのスロットに挿入することができるようになっている。
【0217】
したがって、本実施例のセグメント整列方法によれば、実施例1のセグメント整列方法と同様の作用効果が得られる。
【0218】
そればかりではなく、前述のようにコイル端部スペーサ1が初めからリング状であるから、実施例1とは異なり、真っ直ぐだった主壁部11をリング状に丸めてその両端を突き合わせる工程がなくなっている。それゆえ、本実施例のセグメント整列方法によれば、実施例1よりも組み立て時の取り扱いが容易なうえに、組み立て工数が低減されているので、大量生産に当たってはコストダウンの効果もある。
【0219】
なお、前述の実施例1のコイル端部スペーサ1であっても、予め主壁部11の両端を突き合わせて全体をリング状に成形しておけば、本実施例のセグメント整列方法を適用することができる。その結果、実施例1のコイル端部スペーサ1であっても、本実施例のセグメント整列方法と同様の作用および効果を得ることができる。
【0220】
(実施例3のセグメント型電機子)
本発明の実施例としてのセグメント型電機子は、前述のように、本実施例のコイル端部スペーサ1を使い、本実施例のセグメント整列方法により整列させられたセグメント導体2が、固定子コアのスロットに挿置されて製造される。その結果、本実施例のセグメント型電機子は、前述の実施例1と同様の効果を持つうえに、大量生産に当たってはコストダウンの効果も生じる。
【0221】
(実施例3の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、同じコイル端部スペーサ1を用いており、支承工程は同様でも、係止工程および回動工程の手順を変えたセグメント整列方法の実施が可能である。
【0222】
すなわち、本変形態様のセグメント整列方法では、支承工程に続いて係止工程が行われる。
【0223】
先ず、係止工程では、図11(a)に示すように、一周分のセグメント導体2の全てがコイル端部スペーサ1に係止させられる。支承工程では、セグメント導体2を一本ずつ係止しても良いし、複数箇所でセグメント導体2をいっぺんに数本ずつ係止しても良いし、あるいは全てのセグメント導体2をいっぺんに係止しても良い。
【0224】
いずれにせよ、一周分のセグメント導体2について支承工程が完了すると、同じく図11(a)に示すように、一周分全てのセグメント導体2がコイル端部スペーサ1に係止された状態になる。
【0225】
次に、回動工程では、同じく図11(a)に示すように、全てのセグメント導体2をいっぺんに同期して回動させる。この際、コイル端部スペーサ1およびセグメント導体2の外周側からは、カメラの絞り装置に似た自動装置を使い、逆に内周側からは、回動しながら拡径していく傘のような自動装置を用いて、全てのセグメント導体2を同時に同じだけ回動させていくとよい。
【0226】
その結果、図11(b)に示すように、セグメント導体2の両斜行部21,22は、コイル端部スペーサ1の両ガイド溝130,140に嵌り込み、一周分のセグメント導体2が円環状に整列するに至る。
【0227】
本変形態様によれば、前述の実施例3のセグメント整列方法とは異なり、係止工程および回動工程を幾度も繰り返す必要がなくなり、特に回動工程がいちどで済んでしまうので、組み立て工数が低減される。その結果、前述の実施例3の効果に加えて、組み立て工数が低減された分だけ、コストダウンの効果が上がるという効果がある。
【0228】
(実施例3のその他の変形態様)
本実施例のコイル端部スペーサ1、セグメント整列方法およびセグメント型電機子(図略)においても、実施例1の変形態様1ないし変形態様3に相当する変形態様の実施が可能であり、同様の作用効果が得られる。
【0229】
[実施例4]
(実施例4のコイル端部スペーサ)
本発明の実施例4としてのコイル端部スペーサ1は、図12(a)に示すように、前述の実施例1ないし実施例3とは逆に、略U字形状をしたセグメント導体2の二つの脚部25のうち、固定子コアCの他端面から突出した開放端部26が形成するコイル端部に介在するものである。
【0230】
本実施例のコイル端部スペーサ1は、リング状の帯板である主壁部11と、主壁部11の内周面から突出した多数の仕切突条15とだけを有することを特徴とする。すなわち、本実施例のコイル端部スペーサ1は、突出部12がないばかりではなく、外周面の側には仕切突条15がないことを特徴とする。ここでは、仕切突条15が主壁部11の内周面から突出しているが、変形態様として逆に外周面から突出するようにしても良い。なお、本実施例のコイル端部スペーサ1は、前述の実施例3と同様に、主壁部11と多数の仕切突条15とがリング状に一体成形されてなる絶縁性に優れた樹脂製の一体成形部材である。
【0231】
本実施例のコイル端部スペーサ1には、前述のように、主壁部11と、主壁部11の内周面から求心方向に突出した多数の仕切突条15としかなく、曲げ捩り加工が施されるセグメント導体2の開放端部26に適用される。
【0232】
すなわち、同じく図12(a)に示すように、先ず、セグメント導体2の開放端部26に、コイル一層に一枚ずつ本実施例のコイル端部スペーサ1をかませ、互いに隣り合う各セグメント導体2の各開放端部26の間に、仕切突条15を挿置しておく。そのうえで、図12(b)に示すように、曲げ捩り工具Bを回動させつつ軸長方向に移動させ、開放端部26の曲げ捩り加工を行うことができる。こうすれば、図12(c)に示すように、本実施例のコイル端部スペーサ1の主壁部11でコイルの各層の間が仕切られ、セグメントコイルの溶接端部でも、セグメントコイルの各層の間で良好な絶縁特性が得られる。そればかりではなく、周方向に互いに隣り合う開放端部26の間には、仕切突条15が挟まって適正な間隔を確保するので、互いに隣り合う開放端部26の間でも、やはり良好な絶縁特性が得られる。
【0233】
なお、前述のように、各仕切突条15は、周方向に互いに隣り合う各脚部25の各開放端部26の間に挟持されている。
【0234】
したがって、本実施例のコイル端部スペーサ1によれば、曲げ捩り加工が施されるセグメントコイルの開放端部26にも本発明を適用することができるようになるという効果がある。その結果、整列作用こそ必要とされないが、セグメントコイルの溶接端部でも、極めて良好な絶縁特性が得られながら、従来技術1に比べて良好な冷却効果も得られる。
【0235】
(実施例4のセグメント開放端部の捻り成形方法)
本発明の実施例4としてのセグメント開放端部の捻り成形方法は、図12(a)〜(c)に示すように、前述のコイル端部スペーサ1を用いて行うコイル端部の製造方法である。
【0236】
すなわち、本実施例のセグメント開放端部の捻り成形方法は、固定子コアCに形成されたスロットに一部が収容された所定数のセグメント導体2のうち、固定子コアCから突出した各開放端部26を所定の位置にまで曲げ捩り加工する方法であることを前提とする。そして、本実施例のセグメント開放端部の捻り成形方法は、前述した本実施例のコイル端部スペーサ1を用い、コイル端部スペーサ1の仕切突条15を、各セグメント導体2のうち周方向に隣り合う各開放端部26の間に挿置したうえで、曲げ捩り加工を行うことを特徴とする。
【0237】
すなわち、先ず、前述の実施例1ないし実施例3のようにして一周分のセグメント導体2が円環状に整列させられた後、各セグメント導体2の一対の脚部25が、固定子コアCのスロットに挿置される。すると、二層分の脚部25がスロットに収まるので、その先端部に近い開放端部26は、二層分だけ固定子コアCの他端面から突出する。
【0238】
そこで、再び図12(a)に示すように、本実施例のコイル端部スペーサ1を開放端部26の間に仕切突条15が入るように挿入して、開放端部26の先端部を曲げ捩り工具Bの所定の深さの孔に挿置する。
【0239】
この状態で、曲げ捩り工具Bを所定角度にまで回動させながら固定子コアCに押しつけていくと、再び図12(b)に示すように、各開放端部26はその先端部を残して斜めに傾斜し、曲げ捩り変形していく。この際、開放端部26のうち斜行部はほぼ直線状を保つが、固定子コアCに近い一方の根本部と、曲げ捩り工具Bに近い他方の根本部とは、かなりの曲率で曲げ変形させられる。すると、開放端部26の曲げ捩り加工が進むに連れて、コイル端部スペーサ1は、開放端部26のうち直線に近い斜行部にまで自然に移動し、再び図12(c)に示すように、斜行部の間に収まるに至る。
【0240】
(実施例4の作用効果)
本実施例のセグメント開放端部の捻り成形方法では、固定子コアCのスロットに脚部25の一部が収容された所定数のセグメント導体2のうち、固定子コアCから突出した各開放端部26が、固定子コアCの周方向と軸長方向とに沿って、先端部が互いに溶接されるべき所定の位置にくるまで曲げ捩り加工される。この曲げ捩り加工に際し、前述した本実施例のコイル端部スペーサ1が用いられる。すなわち、コイル端部スペーサ1のうち求心方向に突出している仕切突条15を、各セグメント導体2の各開放端部26の間に挿置したうえで、前述の曲げ捩り加工が行われる。
【0241】
すると、再び図12(a)に示すように、曲げ捩り加工されるべきセグメント導体の開放端部26には、コイル一層について一枚ずつコイル端部スペーサ1が挿置された状態になる。この状態では、コイル端部スペーサ1の各仕切突条15が、各セグメント導体2の各開放端部26の間に挿置されている。逆に言えば、各セグメント開放端部26は、コイル端部スペーサ1の仕切突条15の間に形成されたガイド溝に収まった状態にある。
【0242】
この状態から、前述の曲げ捩り加工が各セグメント開放端部26の一層分に一気に施されると、再び図12(b)に示すように、各セグメント開放端部26の周方向の間にはそれぞれコイル端部スペーサ1の仕切突条15が介在したまま、セグメント開放端部26が塑性変形させられる。もちろん、各層をまとめていっぺんに加工することとし、各層のセグメント開放端部26がそれぞれ曲げ捩り加工されても、同様にコイル端部スペーサ1の仕切突条15は、各セグメント開放端部26の間に挿置されている。
【0243】
その結果、再び図12(c)に示すように、周方向に互いに隣り合うセグメント開放端部26のうち斜めになっている部分(斜行部)の間には、それぞれコイル端部スペーサ1の仕切突条15が挟まっており、適正な間隔が確保される。それゆえ、周方向に互いに隣り合うセグメント開放端部26の間で、極めて良好な絶縁特性が得られる。そればかりではなく、コイル端部スペーサ1の主壁部11によっても、セグメント開放端部26の各層の間が仕切られており、やはり極めて良好な絶縁特性が得られる。
【0244】
したがって、本実施例のセグメント開放端部の捻り成形方法によれば、前述した本実施例のコイル端部スペーサ1を適正に介在させるだけで、曲げ捩り加工が施された後のセグメントコイルの開放端部26で絶縁性が向上するという効果がある。
【0245】
特に、本実施例では、曲げ捩り加工が施されたコイル端部26で、全てのコイル層について本実施例のセグメント開放端部の捻り成形方法が施されているので、先端部で溶接される方のコイル端部において絶縁に関する信頼性が向上する。その結果、本実施例のセグメント開放端部の捻り成形方法によって一方のコイル端部が製造された回転電機自体の信頼性も、向上するに至る。
【0246】
(実施例4のセグメント型電機子)
本発明の実施例4としてのセグメント型電機子は、前述した本実施例のコイル端部スペーサ1を用い、本実施例のセグメント開放端部の捻り成形方法が施されて製造されたことを特徴とする。その結果、前述のように、先端部で溶接される方のコイル端部において顕著に優れた絶縁効果が得られる。
【0247】
(実施例4の変形態様1)
また、本実施例のセグメント開放端部の捻り成形方法は、略U字形状のセグメント導体を使用する場合だけにではなく、略I字形状のセグメント導体を使用する場合にも適用可能である。
【0248】
すなわち、本実施例の変形態様1として、図示はしないが略I字形状のセグメント導体を使用するセグメントコイルの両端部に対しても、本実施例と同様のセグメント開放端部の捻り成形方法を実施することができる。その結果、本実施例のセグメント開放端部の捻り成形方法と同様の作用効果が、略I字形状のセグメント導体からなるセグメントコイルの両端部でも得られる。
【0249】
(実施例4の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、本実施例のコイル端部スペーサ1に代えて、前述の実施例2で説明した切り紙細工のようなコイル端部スペーサ1を用いて開放端部26の曲げ捩り加工を行うセグメント開放端部の捻り成形方法の実施も可能である。
【0250】
本変形態様によれば、前述のように本実施例の作用効果が得られるばかりではなく、実施例2の項で説明したコストダウン効果も得られる。
【0251】
(実施例4のその他の変形態様)
本実施例に対しても、実施例1の変形態様1および変形態様2に相当する変形態様の実施が可能であり、それ相応の作用効果が得られる。
【0252】
[実施例5]
(実施例5の構成)
本発明の実施例5は、略U字形状をした多数のセグメント導体を束ねて固定子コイルが構成されているセグメント型電機子のベストモードを提示する。また、その製造方法にあたるセグメント整列方法ならびにセグメント開放端部の捻り成形方法をも提示する。
【0253】
本実施例のセグメント型電機子は、次のようにして製造される。先ず、前述の実施例1ないし実施例3およびそれらの各種変形態様のうち最適なコイル端部スペーサ1を用い、その実施例または変形態様のセグメント整列方法をもって、略U字形状のセグメント導体2を円環状に整列させる。そして、整列した一周分のセグメント導体2が固定子コアのスロットに挿置された後、前述の実施例4およびその各種変形態様のうち最適なコイル端部スペーサ1を用い、実施例4のセグメント開放端部の捻り成形方法で開放端部26を成形する。こうして成形された開放端部26の先端部に、適正に溶接を施せば、本実施例のセグメント型電機子の主要部は完成する。
【0254】
(実施例5の効果)
本実施例のセグメント型電機子(固定子)では、コイル端部スペーサ1のもつ整列作用により、いずれの従来技術よりも安価に組み立てられる。そればかりではなく、両方のコイル端部で絶縁性が高まっているので、より高い電圧を固定子コイルにかけてより大きな電流を流せるようになり、誘導電動機の出力を向上させることができるという効果がある。また、従来技術1に比べてコイル端部での冷却性ないし放熱性が高まっていることも、誘導電動機の出力向上に資するところがある。
【0255】
(実施例5の各種変形態様)
前述のように、略U字形状をしたセグメント導体2のターン部24で形成される一方のコイル端部には、実施例1ないし実施例3およびそれらの各種変形態様のうち、最適なものを選定して実施することができる。同様に、セグメント導体2の開放端部26で形成される他方のコイル端部には、実施例4とその各種変形態様のうち、やはり最適なものを選定して実施することができる。
【0256】
その結果、様々な組み合わせで本実施例の変形態様が実施されうるが、いずれもそれ相応の作用効果を発揮することができる。望ましくは、様々な組み合わせのうち、最適な組み合わせを選定することができれば、本発明の効果を最大限に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としてのコイル端部スペーサの構成を示す一部斜視図
【図2】 実施例1としてのコイル端部スペーサの構成を示す断面図
【図3】 実施例1におけるセグメント係止前の状態を示す模式図
【図4】 実施例1におけるセグメント係止直後の状態を示す斜視図
【図5】 実施例1におけるセグメント整列後の状態を示す斜視図
【図6】 実施例1におけるセグメント整列後の状態を示す正面図
【図7】 実施例2で切り取り加工後の絶縁シートの形状を示す正面図
【図8】 実施例2としてのコイル端部スペーサの構成を示す斜視図
【図9】 実施例3としてのコイル端部スペーサの構成を示す斜視図
【図10】実施例3としてのセグメント整列方法の構成を示す組図
(a)一本目のセグメント導体の整列方法を示す斜視図
(b)二本目のセグメント導体の整列方法を示す斜視図
(c)セグメント導体が一周分だけ整列した状態を示す斜視図
【図11】実施例3の変形態様1としてのセグメント整列方法を示す組図
(a)セグメント導体が整列する前の状態を示す斜視図
(b)セグメント導体が整列した後の状態を示す斜視図
【図12】実施例4のセグメント開放端部の捻り成形方法を示す組図
(a)開放端部の曲げ捩り加工前の状態を示す展開正面図
(b)開放端部の曲げ捩り加工中の状態を示す展開正面図
(c)開放端部の曲げ捩り加工後の状態を示す展開正面図
【図13】通常のセグメント整列方法を模式的に示す平面図
【図14】セグメント導体同士の干渉による不都合を示す組図
(a)互いに隣り合うセグメント導体の位置関係を示す平面図
(b)互いに隣り合うセグメント導体の位置関係を示す正面図
【符号の説明】
1:コイル端部スペーサ(略して単にスペーサとも)
11:主壁部 111:表面(外周面) 112:裏面(内周面)
12:突出部 120:凹部状のスリット
13:第一仕切突条 130:ガイド溝
14:第二仕切突条 140:ガイド溝
15:仕切突条
2:略U字形状のセグメント導体
24:一対の脚部を結ぶターン部
21:一方の斜行部
22:他方の斜行部
23:両斜行部を結ぶ頂部
25:一対の脚部 26:脚部の開放端部、セグメント開放端部
B:曲げ捩り工具 C:固定子鉄心(コア) S:スロット
T,T’:セグメント導体の回動方向 Z:円環整列治具

Claims (6)

  1. 帯状の平板およびリング状の帯板のうちいずれかであり、表裏両面を形成している主壁部を有し、
    この主壁部に加えて、
    この主壁部の一方の縁の多数箇所から所定間隔を空けて歯列状に突出し、互いの間に凹部状のスリットを形成している突出部を有し、
    この主壁部の表裏両面のうち一方から所定間隔を空けて突出し、この主壁部の延在方向に対して所定角度だけ傾いて延在しており、互いの間に一方のガイド溝を形成している多数の第一仕切突条と、
    この主壁部の表裏両面のうち他方から所定間隔を空けて突出し、この主壁部の延在方向に対してこの第一仕切突条とは逆方向に所定角度だけ傾いて延在しており、互いの間に他方のガイド溝を形成している多数の第二仕切突条と、
    の両仕切突条のうち少なくとも一方をさらに有することを特徴とする、
    絶縁性のコイル端部スペーサ。
  2. 前記第一仕切突条および前記第二仕切突条の両方を有することを特徴とする、
    請求項1記載のコイル端部スペーサ。
  3. 前記主壁部から突出した前記第一仕切突条および前記第二仕切突条のうち、一方の仕切突条だけを有し、
    当該一方の仕切突条は、帯状の絶縁シートのうち一方の縁部に所定間隔を空けて多数の切り込みを入れたうえで、斜めに切り起こした仕切突条であり、
    前記突出部は、この縁部のうちこれらの仕切突条の切り起こし後に残された多数の残留部分である、
    請求項1記載のコイル端部スペーサ。
  4. 回転電機の固定子鉄心および回転子鉄心のうち一方であり、多数のスロットが形成されているコアと、
    これらのスロットに収容されている脚部とこのコアから突出している端部とをもつ多数のセグメント導体が、互いに接続されてなるセグメントコイルと、
    を有するセグメント型電機子において、
    前記セグメント導体それぞれの前記端部と前記コアの端面との間に介在する、請求項1ないし請求項のうちいずれかに記載のコイル端部スペーサを、さらに有することを特徴とする、
    セグメント型電機子。
  5. 回転電機の固定子鉄心および回転子鉄心のうち一方であるコアに形成されたスロットに少なくとも一部が収容されるべき一対の脚部と、これら両脚部の一端を互いに連結する略V字形状のターン部とをもち、全体として略U字形状に形成されているセグメント導体を必要個数だけ集め、
    これらセグメント導体のうちそれぞれの前記両脚部を、このコアに形成されている多数の前記スロットに適正に挿置することができるように、各前記セグメント導体を円環状に整列させるセグメント導体の整列方法において、
    請求項に記載されたコイル端部スペーサを、前記突出部を上に向けて適正に支承しておく支承工程と、
    この支承工程以後、各前記セグメント導体の両前記脚部を下にして、各前記ターン部の中間点にあたる反転頂部が、このコイル端部スペーサの各前記スリットに嵌り込むように、各前記セグメント導体を前記コイル端部スペーサに引っかけてぶら下げる係止工程と、
    この係止工程の後、前記反転頂部を回転中心にして各前記セグメント導体を所定の方向に回動させ、各前記脚部が所定位置で互いに所定の方向に重なるように各前記セグメント導体を整列させる回動工程と、
    を有することを特徴とする、
    セグメント整列方法。
  6. 回転電機の固定子鉄心および回転子鉄心のうち一方であるコアに形成されたスロットに一部が収容された所定数のセグメント導体のうち、このコアから突出した各開放端部を所定の位置にまで曲げ捩り加工するセグメント開放端部の捻り成形方法において、
    リング状の帯板である主壁部と、この主壁部の内周面および外周面のうち一方から所定間隔を空けて突出しこの主壁部の延在方向に対して所定角度だけ傾いて延在しており互いの間にガイド溝を形成している多数の仕切突条とを有するコイル端部スペーサを用い、
    このコイル端部スペーサのうち前記仕切突条を、各前記セグメント導体の各前記開放端部の間に挿置したうえで前記曲げ捩り加工を行うことを特徴とする、
    セグメント開放端部の捻り成形方法。
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