JP3882612B2 - 赤外線ガス分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線ガス分析装置に関し、詳細には、被検対象である試料ガスと、基準信号を得るための校正ガスとをセル内に交互に流通させる際の、これらのガスの切換えに係る技術の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
試料ガスに含まれる特定ガス成分の濃度を検出するための計測機器である赤外線ガス分析装置では、試料ガスと校正ガスとをセル内に交互に流通させる。従来より、この流通ガスの周期的な切換えには、三方電磁弁等の流路切換弁による方法が採用されてきた。
【0003】
特開平7−174699号公報には、セルのガス入口部と、試料ガス導入管及び校正ガス導入管との間に介装された三方電磁弁を周期的に駆動することにより、セル内を流通するガスの切換えを行う方法が開示されている。すなわち、三方電磁弁の選択方向をまず校正ガス導入管側に設定して、セル内に校正ガスを流して基準信号を得た後、この選択方向を試料ガス導入管側に切り換えて、測定信号を得るのである。
【0004】
また、特開平10−221253号公報には、流路切換弁によるガスの切換えに関する記載はないが、基準信号を検出する際にセル内を真空とする方法が開示されている。セル内を真空とするために、同公報では、セルの入口部と接続された試料ガス導入管に流量制御弁を介装している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの文献にあるように、基準信号検出時と測定信号検出時とでセル内を流通するガスを切り換えるために三方電磁弁等の弁装置を使用した構成にあっては、校正ガスが、流路切換弁を介して試料ガス導入管とは別個に配設された導入管を介して供給されるので、基準信号の信頼性が充分ではない。換言すると、基準信号との相対評価により得られる検出結果において、校正ガスと試料ガスとの導入経路が異なることに起因する誤差が含まれることになるのである。
【0006】
また、減圧により校正ガスを不要とする構成にあっては、校正ガスが不要となる圧力が得られるまでの真空ポンプによる減圧過程に時間を要するので、高速測定が行えない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガス導入経路を流路切換弁のいらない構成とすることにより、試料ガスの導入及びガスの切換えを効率化し、検出精度を向上させる点にある。
【0007】
また、本発明は、校正ガスと試料ガスとの導入条件を均質にすることにより、基準信号の信頼性を高めることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に記載の発明では、被検対象である試料ガスにおける特定ガス成分の濃度を検出する赤外線ガス分析装置において、セルと、このセルに試料ガス採取源からの試料ガス又は校正ガスを選択的に導入するためのガス導入系統とを設け、このガス導入系統を、(A)試料ガス採取源と接続し、試料ガス採取源と試料ガス入口部を介して常に連通される内部空間が形成された、中空筒状のガス導入部本体、(B)一端においてセルの入口側と接続する一方、他端においてガス導入部本体と接続するとともに、その先端部がガス導入部本体の内部空間を縦断して、対向壁面の近傍にまで延伸し、先端部のガス採取口が対向壁面の近傍で、上記内部空間(以下「本体内部空間」という。)に位置するガス導入管、(C)ガス導入部本体に対し、ガス導入管内の流通方向に関してガス導入部本体の試料ガス入口部よりも下流側の校正ガス入口部で本体内部空間に通じる通路が形成され、校正ガスをこの通路を介してガス導入部本体に所定の圧力で供給する校正ガス供給手段、及び(D)本体内部空間を試料ガス入口部よりも上記流通方向に関する下流側で試料ガス採取源と連通させる通路を含んで構成し、校正ガス供給手段を、校正ガスを比較的に高い第1の圧力で供給する第1の作動状態と、校正ガスの供給を停止するか、あるいは上記校正ガス供給手段の通路における校正ガスの圧力を第1の圧力よりも低い第2の圧力とする第2の作動状態とで切り換えて運転することとした。
【0009】
請求項2に記載の発明では、試料ガス採取源として試料ガスを流通させる試料本管を更に設け、上記第1の圧力を試料本管における試料ガス圧よりも高い圧力に設定した。
請求項3に記載の発明では、さらに上記第2の圧力を試料ガス圧よりも低い圧力に設定した。
【0010】
このような構成によれば、校正ガスが第1の圧力で供給される場合には、試料ガスの本体内部空間への流入が妨げられ、この空間に校正ガスが充填される。充填された校正ガスは、ガス導入管を介してセルに導入される。一方、校正ガスの供給が停止されるか、あるいは校正ガスの圧力が第2の圧力に低下された場合には、本体内部空間に充填されていた校正ガスが試料ガスにより押し出され、この空間に充填されるガスは試料ガスに切り換わる。従って、セルに導入されるガスも試料ガスに切り換わることになる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、ガス採取口の開口方向を、本体内部空間への試料ガスの流入方向と直交させた。
請求項5に記載の発明では、ガス導入管に、ガス採取口とガス導入部本体の試料ガス入口部との間を横断する管壁部分を設けた。
請求項6に記載の発明では、ガス導入管において流路を一時的に狭める絞り部を設けた。
【0012】
請求項7に記載の発明では、ガス導入管の内径を1mmとし、上記絞り部の内径を0.4mm〜0.5mmとした。
【0014】
請求項8に記載の発明では、上記試料ガス採取源と連通させる通路の内径を0.2mm〜0.3mmとした。
請求項9に記載の発明では、ガス導入系統に吸入負圧を形成する手段を更に設け、この吸入負圧を−26kPa〜−80kPaに設定した。
【0015】
【発明の効果】
請求項1,2及び3に係る発明によれば、流路切換弁を使用せずにセル内を流通するガスを試料ガスと校正ガスとで切り換えることが可能であるので、セルへの試料ガスの導入を円滑に行わせ、ガスの切換えに要する時間を短縮することができる。
【0016】
また、試料ガスと校正ガスとが本体内部空間以後、同一の条件でセルに導入されることになるので、信頼性の高い基準信号が得られる。
請求項1に係る発明によれば、また、ガス導入部本体を中空筒状としたことで、ガス導入部本体において流路がガス導入管内と、その外側とで2重に形成されることにより、導入されるべきもの以外のガスがガス導入管に流入することを防止できる。ガス導入部本体において、校正ガス入口部をガス導入管内の流通方向に関して試料ガス入口部の下流側に位置させたことで、校正ガス導入時においてガス採取口付近の校正ガスの圧力を、試料ガス入口部を介して試料ガス採取源内に逃がすことができるので、ガス採取口付近の圧力を試料ガス導入時と校正ガス導入時とでほぼ等しくして、各ガスの導入条件を同等なものとすることができる。さらに、本体内部空間を試料ガス入口部よりも上記流通方向に関する下流側で試料ガス採取源と連通させたことで、試料ガスへの切換えに際して本体内部空間に残された校正ガスがこの通路を介して掃気されるので、ガスの切換えを効率的に行わせることができる。
請求項4に係る発明によれば、ガス採取口の開口方向が試料ガスの流れと直交するので、ガス導入管へ流入するガスがこの流れの動圧から受ける影響を緩和できる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、試料ガスが本体内部空間に流入した後、ガス導入管に直接に流入することが防止されるので、上記動圧から受ける影響を更に緩和できる。
請求項6に係る発明によれば、ガス導入管に絞り部を設けることにより、絞り部上流での圧力変化に基づく絞り部下流の圧力変化を抑制し、セル内の流量を安定させることができる。
【0018】
請求項7に係る発明によれば、上記絞り部として好適な寸法が提供される。
【0020】
請求項8に係る発明によれば、上記試料ガス採取源と連通させる通路として好適な寸法が提供される。
請求項9に係る発明によれば、本発明に係る赤外線ガス分析装置として好適な吸入負圧が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る非分散型赤外線ガス分析装置(以下「NDIR」と略す。)1の構成図である。
NDIR1は、符号2で示すガス導入部と、符号3で示す濃度検出部とに大別される。
【0022】
まず、ガス導入部2では、被検対象である試料ガス(その濃度を検出しようとする特定ガス成分、例えば、CO、CO2 、H2 O、NO又はNH3 を含む。)が、試料本管4から所定の吸入負圧で採取される。試料本管4は、NDIR1とは個別に完成された他の装置に設けられた配管(例えば、燃料電池のアノード又はカソード側のガス通路や、エンジンの排気通路を形成するもの)を流れるガスの評価のために選択されるか、あるいはNDIR1の一部を構成する部材として備えられる。
【0023】
図2は、ガス導入部2の拡大断面を示している。同図に示すように、ガス導入部2は、一端が試料本管4の内部に臨んで位置する中空筒状のガス導入部本体(以下「本体」と略す。)21、本体21の内部(「本体内部空間」に相当する。)から濃度検出部3へ延伸するガス導入管22、基準信号を検出するための校正ガスの精製器若しくはそのタンク(図示せず)から延伸して本体21と接続する校正ガス導入管23、及び本体21のうち試料本管4の内部に臨む上記端部の反対側において本体21の内部と試料本管4の内部とを連通する換気用細管24を含んで構成される。
【0024】
本体21は、試料本管4に固定して据え付けられており、上下(図では左右)両端がガス導入管22を挿入するための孔211を除いて閉塞されている。また、側壁には、内部と外部(試料本管4の内部)とを連通する複数の孔(以下「試料ガス導入孔」という。)212が円周上で等間隔に形成されている。
ガス導入管22は、本体21の上下両端のうち試料本管4とは反対側から本体21内に挿入され、試料本管4側の端部壁面の近傍にまで延伸している。ガス導入管22の先端が管の中心軸に対して傾斜しており、先端に開口するガス採取口221と、試料ガスの流れによる動圧を受け易い特定の試料ガス導入孔212(「試料ガス入口部」に相当する。)との間にガス導入管22の管壁が介在している。また、ガス導入管22には、本体21外の簡便な位置に、流路面積を相似的に縮小する絞り部25が介装されている。
【0025】
校正ガス導入管23は、本体21のうち試料ガス導入孔212が形成された部位とは反対側の側壁に接続されている。また、本体21との接続位置よりも上流側には、本体21の内部へ向かう流れを許容する一方、その逆方向の流れを遮断する逆止弁26が介装されている。
換気用細管24は、上記の通り試料ガス導入孔212とは別に本体21の内部と試料本管4の内部とを連通しており、試料本管4における試料ガスの流れに関して本体21(特に、全ての試料ガス導入孔212)よりも下流側で試料本管4と接続している。
【0026】
本実施形態では、各構成部位の寸法は、ガス導入管22の内径φ1が1mmであり、絞り部25の内径φ2が0.4〜0.5mmであり、換気用細管24の内径φ3が0.2〜0.3mmである。
なお、校正ガス導入管23と換気用細管24とは、軸対称な位置で本体21と接続している。ここでは、試料本管4における試料ガスの流れに関して上流側に校正ガス導入管23が、またその下流側に換気用細管24がそれぞれ接続している。
【0027】
一方、濃度検出部3は、公知のあらゆる非分散型赤外線ガス分析装置に倣って構成することが可能である。ここでは、赤外光源31、チョッパ32、チョッパモータ33、セル34、光学フィルタ35及び赤外線センサ36を含んで構成されている。ここで、ガス導入部2から延伸するガス導入管22は、セル34の入口部341に接続している。
【0028】
上記以外の構成要素として、セル34の出口部342から延伸する排出側配管51において、試料ガス及び校正ガスの吸入負圧を形成するための真空ポンプ52、セル34内の圧力脈動を抑制するための緩衝タンク53、及び吸入負圧を調整するための圧力調整制御弁54が設置されている。
本実施形態では、吸入負圧は、−26kPa(=−200mmHg)〜−80kPa(=−600mmHg)に設定される。
【0029】
次に、NDIR1の動作について、セル34内に校正ガスを流通させての基準信号検出時と、セル34内に試料ガスを流通させての測定信号検出時とに分けて説明する。
セル34内にガスを流通させるために、ポンプ52が作動し、圧力調整制御弁54により調整された吸入負圧が排出側配管51、セル34及びガス導入管22を介してガス採取口221に作用する。
【0030】
以下に、便宜上、測定信号検出時における動作から説明する。測定信号検出時には、校正ガス導入管23における校正ガス圧が試料本管4における試料ガス圧よりも低く設定される。これにより、逆止弁26が閉じて校正ガスの供給が停止され、ガス採取口221に作用する吸入負圧に基づいて、試料本管4から本体21へ試料ガス導入孔212を介して試料ガスが導入される。
【0031】
図3を参照すると、円周上の試料ガス導入孔212のうち試料本管4における試料ガスの流れFに関して上流側のものから導入された試料ガスは、ガス導入管22の先端を迂回してガス採取口221に到達することになる(矢印f1)。このため、試料ガスは、このような迂回経路を介する流れが試料ガス導入孔212において有する動圧の影響を受けることなく、ガス導入管22に導入される。
【0032】
ガス導入管22に導入された試料ガスは、絞り部25を通過した後にセル34に供給される。試料ガスがこの絞り部25を通過することにより、試料本管4内である程度急激な圧力変化(例えば、大気圧+数mmHgから2気圧へのおよそ2倍の変化)が生じたとしても、絞り部25の下流側における試料ガスの流量がほぼ一定に保たれる。
【0033】
濃度検出部3において、チョッパ32は、チョッパモータ3により回転される。赤外光源31から放射された連続光としての赤外線は、チョッパ4を介することにより断続光としてセル34内に照射される。この断続光としての赤外線は、セル34内を流通する試料ガスに、その特性に応じて吸収される。セル34を透過した赤外線は、光学フィルタ35において濃度検出対象である特定ガス成分(例えば、CO)に応じて定性化され、赤外線センサ36によりその強度が検出される。
【0034】
次に、基準信号検出時における動作について説明する。基準信号検出時には、校正ガスが、校正ガス導入管23を介して所定の圧力Pcで本体21に供給される。この圧力Pcが試料本管4における試料ガス圧Ptよりも高い値に設定されることにより、試料本管4から本体21への試料ガスの流入が実質的に遮断され、本体21に充填されるガスが校正ガスに切り換えられる。
【0035】
図4を参照すると、逆止弁26を通過して本体21内に流入した校正ガスは、本体21の内壁とガス導入管22の外壁との間に形成される環状通路を通ってガス採取口221に到達する(矢印f2,f3)。ここに到達した校正ガスに吸入負圧が作用して、ガス導入管22に校正ガスが導入されることになる。導入された校正ガスは、絞り部25を介してセル34に供給される。
【0036】
ここで、校正ガスは、ガス導入管22に流入するほか、試料ガス導入孔212及び換気用細管24から試料本管4内に流出するが(矢印f4)、このようにして校正ガスが試料本管4内へ流出することの影響は、無視できるほどに小さい。それは、濃度検出のためにセル34に供給すべきガス流量が毎分300〜600mL程度の少量でよいからである。
【0037】
また、本体21内に流入した校正ガスは、上記環状通路を通過した後、ガス導入管22に導入される前に一度拡散することになる(矢印f3)。これに伴い、本体21の内外差圧に相当する圧力が試料ガス導入孔212から逃がされる。このため、ガス採取口221の近傍における校正ガスの圧力が測定信号検出時とほぼ等しくされるうえ、それ以降の経路も測定信号検出時のものと共通している。従って、校正ガスは、試料ガスの導入条件と同等な条件で、換言すれば、校正ガスを試料本管4から吸い込んで導入することとした場合とほぼ同じ条件でセル34に供給される。
【0038】
濃度検出部3では、セル34を透過した赤外線の強度が前述同様に検出され、校正ガスの吸光特性に応じた基準信号が出力される。そして、出力された基準信号と、測定信号との大きさの相対評価により、試料ガスに含まれる特定ガス成分の濃度が検出される。
次に、再び測定信号を検出する場合には、校正ガスの供給が停止され、試料ガスが導入される。このとき、本体21(特に、本体21とガス導入管22との間の環状通路)内に残された校正ガスは、換気用細管24を介して排出(若しくは掃気)される。換気用細管24は、試料本管4に対して、本体の試料ガス導入孔212よりも下流側で接続しているので、排出された校正ガスが本体21に再導入されることはない。
【0039】
なお、試料ガスから校正ガスへの切換えに際して、校正ガス導入管23を介して本体21内に導入された校正ガスの一部は、換気用細管24を介して試料本管4内に流出する。しかしながら、換気用細管24の内径φ3が非常に小さな値に設定されているので、このようにして流出する校正ガスはごく僅かであり、環状通路を通ってガス採取口221へ向かう流量は充分に確保される。
【0040】
次に、ガス導入管22に絞り部25を介装したことの効果について、 図5に示す具体的な実験結果に基づいて説明する。ここで、試料ガスには、特定ガス成分としてのCOを1000ppmの濃度でN2 に含ませたものを使用し、校正ガスには、N2 を使用した。図5において、横軸は試料本管4内の圧力を、縦軸は検出されたCOの濃度を示している。
【0041】
図5に示すように、試料本管4内の圧力を2気圧以下とした条件で検出された濃度において、絞り部25を介装しない場合(B)には、基準出力値レベル(1000ppmに相当する。)に対して5%の誤差が含まれている。これに対して、絞り部25を介装した場合(A)には、この誤差が1%以下に抑えられ、試料本管4内の圧力に基づく検出への影響が抑制され、検出精度が向上していることが分かる。
【0042】
図6は、校正ガスと試料ガスとの切換えのために流路切換弁(ここでは、電磁弁)を使用した場合の検出精度を、基準信号の設定精度の観点から示したものである。実験装置としては、図7に示すように、セル101と、試料ガス導入管103及び校正ガス導入管104との間に流路切換弁102が介装された分析装置を使用した。また、校正ガス及び試料ガスとしては、図5の実験において選択されたものと同じものを使用した。
【0043】
図6において、縦軸には、校正ガスと試料ガスとの各供給源を通常通りの関係で設置した場合に検出された濃度(試料ガスライン検出値)を示し、横軸には、これらの供給源を通常とは逆の関係で設置し、本来の校正ガス導入管104から試料ガスを、本来の試料ガス導入管103から校正ガスを導入した場合に検出された濃度(校正ガスライン検出値)を示している。
【0044】
実験結果であるプロットPpは、1000ppmに相当する直線Lを基準とした1%の範囲外に位置し、試料ガスライン検出値M1は直線L上のプロットPiに対応する値Mr(=1000ppm)よりも大きく、校正ガスライン検出値M2は値Mrよりも小さい(従って、M1>M2)。セル101に同じガスを供給したにも拘わらず結果においてこのような差が生じたのは、測定信号に対する基準信号の相対的な大きさが、検出値M1が検出された時と検出値M2が検出された時とで異なるからである。そして、この相違は、校正ガスと試料ガスとの導入経路が流路切換弁102の内部等で異なることに起因する。
【0045】
これに対して、本実施形態に係るNDIR1では、これらの各ガスの導入経路は、一致しているとみなしてよい。従って、検出された基準信号は正確で信頼性が高く、検出された濃度は直線L上のプロットPiに一致する。
以上に説明したように、本実施形態によれば、セル34内に流通させるガスを校正ガスと試料ガスとで切り換えるために流路切換弁等の流れの妨げとなる要素を介在させる必要がない。本実施形態に係るNDIR1によれば、試料本管4からセル34へ試料ガスを導入するまでに要する時間が非常に短く(試料ガスへの切換えに要する時間は、0.1秒以下である。)、試料本管4における特性ガス成分の濃度変化をリアルタイムで検出することが可能である。
【0046】
また、校正ガスと試料ガスとの導入経路が(ガス採取口221以降において)共通とされ、これらのガスの導入条件が同等なものとされるので、基準信号の信頼性が高められる。
さらに、絞り部25を介装したことにより、その下流側における圧力変化が抑制されるので、試料ガス(及び校正ガス)をセル34へ安定した流量で供給でき、圧力補正を講じなくとも高い検出精度が得られる。
【0047】
さらに、換気用細管24を設けたことにより、試料ガスへの切換えに際して本体21内に残された校正ガスが効率よく排出されるので、切換えが良好に、かつ迅速に行われる。
なお、本発明に係る赤外線ガス分析装置は、単一のセルで同時に複数の特定ガス成分の濃度を検出する方法と組み合わせてもリアルタイムな精度の高い検出結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る非分散型赤外線ガス分析装置の全体的な構成
【図2】同上分析装置のガス導入部の拡大断面
【図3】測定信号検出時における動作
【図4】基準信号検出時における動作
【図5】絞り部を形成したことの効果
【図6】本発明に係る赤外線ガス分析装置と従来装置との検出精度の比較
【図7】従来装置の一例
【符号の説明】
1…非分散型赤外線ガス分析装置(NDIR)
21…本体
22…ガス導入管
23…校正ガス導入管
24…換気用細管
25…絞り部
26…逆止弁
31…赤外光源
34…セル
36…赤外線センサ
52…ポンプ
4…試料本管
Claims (9)
- 被検対象である試料ガスにおける特定ガス成分の濃度を検出する赤外線ガス分析装置であって、
セルと、
このセルに試料ガス採取源からの試料ガス又は校正ガスを選択的に導入するためのガス導入系統と、を備え、
前記ガス導入系統は、
前記試料ガス採取源と接続し、前記試料ガス採取源と試料ガス入口部を介して常に連通される内部空間が形成された、中空筒状のガス導入部本体と、
一端において前記セルの入口側と接続する一方、他端において前記ガス導入部本体と接続するとともに、その先端部が前記ガス導入部本体の内部空間を縦断して、対向壁面の近傍にまで延伸し、先端部のガス採取口が対向壁面の近傍で、この内部空間に位置するガス導入管と、
前記ガス導入部本体に対し、前記ガス導入管内の流通方向に関して前記ガス導入部本体の試料ガス入口部よりも下流側の校正ガス入口部で前記内部空間に通じる通路が形成され、校正ガスをこの通路を介して前記ガス導入部本体に所定の圧力で供給する校正ガス供給手段と、
前記ガス導入部本体の内部空間を前記試料ガス入口部よりも前記流通方向に関する下流側で前記試料ガス採取源と連通させる通路と、を含んで構成され、
前記校正ガス供給手段は、校正ガスを比較的に高い第1の圧力で供給する第1の作動状態と、校正ガスの供給を停止するか、あるいは前記校正ガス供給手段の通路における校正ガスの圧力を前記第1の圧力よりも低い第2の圧力とする第2の作動状態とで切り換えることを特徴とする赤外線ガス分析装置。 - 前記試料ガス採取源として試料ガスを流通させる試料本管を更に備え、前記第1の圧力が前記試料本管における試料ガス圧よりも高い圧力である請求項1に記載の赤外線ガス分析装置。
- 前記第2の圧力が前記試料ガス圧よりも低い圧力である請求項2に記載の赤外線ガス分析装置。
- 前記ガス採取口の開口方向が前記内部空間への試料ガスの流入方向と直交する請求項1〜3のいずれか1つに記載の赤外線ガス分析装置。
- 前記ガス導入管は、前記ガス採取口と前記ガス導入部本体の試料ガス入口部との間を横断する管壁部分を有する請求項4に記載の赤外線ガス分析装置。
- 前記ガス導入管において流路を一時的に狭める絞り部を備える請求項1〜5のいずれか1つに記載の赤外線ガス分析装置。
- 前記ガス導入管の内径が1mmであり、前記絞り部の内径が0.4mm〜0.5mmである請求項6に記載の赤外線ガス分析装置。
- 前記試料ガス採取源と連通させる通路の内径が0.2mm〜0.3mmである請求項1〜7のいずれか1つに記載の赤外線ガス分析装置。
- 前記ガス導入系統に吸入負圧を形成する手段を更に備え、この吸入負圧が−26kPa〜−80kPaに設定された請求項1〜8のいずれか1つに記載の赤外線ガス分析装置。
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