JP3882549B2 - 着色感光性組成物、それを用いたカラーフィルタおよび液晶表示パネル - Google Patents

着色感光性組成物、それを用いたカラーフィルタおよび液晶表示パネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色感光性組成物に関し、詳しくはC.I.ピグメント イエロー 150を含有する着色感光性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
着色感光性組成物(カラーレジスト)は、顔料を含有していて着色している感光性組成物(レジスト)であって、例えば着色画像を形成するための原材料として有用である。ここで、着色画像は、液晶表示パネルなどのカラーフィルターを構成する光学素子であって、光の3原色(赤、緑、青)または3補色(マゼンタ、シアン、イエロー)に着色された透明な層である。かかる着色画像は、これを透過する光をその色に着色するので、該着色画像から構成されるカラーフィルターを液晶表示パネルに用いることで、液晶表示パネルにより表示される画像をカラー化することができる。かかる着色画像は、先鋭性、均一性、着色力、表面平滑性に優れていることが望まれている。
【0003】
かかる着色感光性組成物として、従来から顔料、溶剤、(メタ)アクリル樹脂、多官能モノマーおよび光重合開始剤を含有するものが知られており、例えば特開平10−020485号公報には、顔料としてC.I.ピグメント イエロー 139などを用い得る旨が記載されている。
【0004】
しかし、顔料としてC.I.ピグメント イエロー 150を用いると、これを含有する着色感光性組成物から形成された着色画像は、時として先鋭性、均一性、着色力、表面平滑性などに劣るものとなる場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、C.I.ピグメント イエロー 150を含有し、先鋭性、均一性、着色力、表面平滑性に優れた着色画像を定常的に形成し得る着色感光性組成物を開発するべく鋭意検討した結果、C.I.ピグメント イエロー 150としてテトラヒドロフランによる抽出物が1重量%以下のものを用いた着色感光性組成物は、先鋭性、均一性、着色力、表面平滑性に優れた着色画像を定常的に形成し得ることを見出し、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、C.I.ピグメント イエロー 150、溶剤、(メタ)アクリル樹脂、多官能モノマーおよび光重合開始剤を含有する着色感光性組成物であって、C.I.ピグメント イエロー 150として、テトラヒドロフランによる抽出物が1重量%以下であるC.I.ピグメント イエロー 150を用いたことを特徴とする着色感光性組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の着色感光性組成物は、C.I.ピグメント イエロー 150として、テトラヒドロフラン(以下THFと略称する)による抽出物が1重量%以下、好ましくは0.8重量%以下であるC.I.ピグメント イエロー 150を用いた着色感光性組成物である。ここで、THFによる抽出物とは、C.I.ピグメント イエロー 150に対し20〜30重量倍のTHFを用いて抽出される抽出物である。
【0008】
本発明の着色感光性組成物は、その他の顔料を含有していてもよい。その他の顔料としては、特に限定はないが、例えばC.I.ピグメントイエロー20,C.I.ピグメントイエロー24,C.I.ピグメントイエロー42,C.I.ピグメントイエロー43, C.I.ピグメントイエロー83, C.I.ピグメントイエロー86,C.I.ピグメントイエロー93 ,C.I.ピグメントイエロー109, C.I. ピグメントイエロー110, C.I. ピグメントイエロー117, C.I. ピグメントイエロー125, C.I. ピグメントイエロー137, C.I. ピグメントイエロー138,C.I. ピグメントイエロー139, C.I. ピグメントイエロー155, C.I. ピグメントイエロー157, C.I. ピグメントイエロー185, C.I. ピグメントイエロー147, C.I. ピグメントイエロー148, C.I. ピグメントイエロー153, C.I. ピグメントイエロー,C.I.ピグメントイエロー154, C.I. ピグメントイエロー166, C.I. ピグメントイエロー168などの黄色顔料、
【0009】
C.I.ピグメントオレンジ36, C.I.ピグメントオレンジ41, C.I.ピグメントオレンジ43,C.I.ピグメントオレンジ51, C.I.ピグメントオレンジ55, C.I.ピグメントオレンジ59, C.I.ピグメントオレンジ61, C.I.ピグメントオレンジ71, C.I.ピグメントオレンジ73などのオレンジ顔料、
【0010】
C.I.ピグメントレッド9, C.I.ピグメントレッド88, C.I. ピグメントレッド97, C.I. ピグメントレッド101, C.I. ピグメントレッド101:1, C.I.ピグメントレッド122, C.I. ピグメントレッド123, C.I. ピグメントレッド144, C.I. ピグメントレッド149, , C.I. ピグメントレッド166,C.I.ピグメントレッド168, C.I. ピグメントレッド175, C.I. ピグメントレッド176, C.I. ピグメントレッド177, C.I. ピグメントレッド179, C.I. ピグメントレッド180, C.I. ピグメントレッド185, C.I. ピグメントレッド190,C.I.ピグメントレッド192,C.I.ピグメントレッド209, C.I. ピグメントレッド215,C.I.ピグメントレド216,C.I.ピグメントレッド217,C.I.ピグメントレッド220,C.I.ピグメントレッド223,C.I.ピグメントレッド224, C.I.ピグメントレッド240,C.I.ピグメントレッド242,C.I.ピグメントレッド254,C.I.ピグメントレッド257,C.I.ピグメントレッド260,C.I.ピグメントレッド264,C.I.ピグメントレッド270,C.I.ピグメントレッド271,C.I.ピグメントレッド272,C.I.ピグメントレッド48:1などの赤色顔料、
【0011】
C.I.ピグメントバイオレット15, C.I.ピグメントバイオレット19, C.I.ピグメントバイオレット23,C.I. ピグメントバイオレット29, C.I.ピグメントバイオレット30,C.I. ピグメントバイオレット37, C.I.ピグメントバイオレット40, C.I.ピグメントバイオレット50などのバイオレット顔料、
【0012】
C.I.ピグメントブルー15, C.I.ピグメントブルー15:2, C.I.ピグメントブルー15:4, C.I.ピグメントブルー15:6, C.I.ピグメントブルー16, C.I.ピグメントブルー22, C.I.ピグメントブルー27, C.I.ピグメントブルー29, C.I.ピグメントブルー60, C.I.ピグメントブルー64などの青色顔料、
【0013】
C.I.ピグメントグリーン7,C.I.ピグメントグリーン36などの緑色顔料などが挙げられる。
【0014】
これらその他の顔料を用いる場合、これらの顔料もTHFによる抽出物が1重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8重量%以下である。
【0015】
また、C.I.ピグメント イエロー 150におけるTHFによる抽出物は通常、炭素数12〜20程度の高級脂肪酸、該高級脂肪酸の塩、該高級脂肪酸と炭素数1〜20程度のアルコールとのエステルなどであることから、これらが1重量%以下であることが好ましく、0.8重量%以下であることがより好ましい。
【0016】
本発明の着色感光性組成物中の顔料含有量は、C.I.ピグメント イエロー 150とその他の顔料との合計量で、固形分の総量に対して通常5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%である。
【0017】
(メタ)アクリル樹脂としては、それを構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸ベンジル単位(a)及び(メタ)アクリル酸単位(B)を含有するものが通常、使用される。(メタ)アクリル酸ベンジル単位(a)と(メタ)アクリル酸単位(B)とのモル比(物質量比)((a):(B))は通常、50〜90:50〜10であり、好ましくは60〜85:40〜15である〔(メタ)アクリル酸ベンジル単位(a)と(メタ)アクリル酸単位(B)との合計量を100とする〕。(B)のモル比が50を越えると分散液の粘度が上昇し、分散性が悪化するとともに、画像部のアルカリ現像液耐性が悪化する傾向が認められ、10未満でも同様に分散性が悪化するとともに、非画像部のアルカリ現像液への溶解性も悪化する傾向が認められる。なお、本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを示す。例えば(メタ)アクリル酸ベンジルとは、アクリル酸ベンジルおよび/またはメタクリル酸ベンジルを示し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を示す。
【0018】
(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で5,000〜300,000が好ましい。分子量が300,000を越えると、分散液の粘度が増加し、均一塗布が困難になる傾向にあり、5000未満でも分散液の粘度が低下しすぎて均一塗布が困難になる傾向にある。かかる重量平均分子量は、ポリスチレンを基準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
【0019】
(メタ)アクリル樹脂は、例えば(メタ)アクリル酸ベンジルと(メタ)アクリル酸とを共重合させる方法によって製造することができるが、製造するに当たっては、更に他のモノマーを共重合させることも可能である。他のモノマーとしては、例えばフェニルアクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、無水マレイン酸などが挙げられる。かかるモノマーをさらに共重合させて得られる(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸ベンジル単位、(メタ)アクリル酸単位および他のモノマーから導かれる単位からなるものである。
【0020】
本発明の着色感光性組成物中の(メタ)アクリル樹脂と顔料との重量比(質量比)は、顔料を1として(メタ)アクリル樹脂を通常0.1〜16程度、好ましくは0.25〜7程度とするのがよい。
【0021】
本発明における溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、およびこれらと酢酸とのエステル類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチルなどの酢酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの脂環式エーテル類などが挙げられる。
【0022】
好ましい溶剤は、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類と酢酸とのエステル類、酢酸エステル類、酢酸エステル類、メチルエチルケトンである。
【0023】
溶剤は、着色感光性組成物における固形分濃度が、通常3〜70重量%、好ましくは5〜50重量%になるように使用される。
【0024】
また本発明における多官能モノマーとしては、例えば特開昭60−258539号公報に記載されているような公知の(メタ)アクリル酸エステル、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等が挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルが用いられる。多官能モノマーは、着色感光性組成物中の他の固形分に対し、10〜60重量%使用することが好ましい。
【0025】
光重合開始剤としては、この分野で通常用いられているものであることができ、例えばアセトフェノン系開始剤、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系開始剤、チオキサントン系開始剤、s−トリアジン系開始剤、その他の開始剤などが挙げられる。
【0026】
ここで、アセトフェノン系開始剤の具体例としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0027】
ベンゾイン系開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0028】
ベンゾフェノン系開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0029】
チオキサントン系開始剤の具体例としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0030】
s−トリアジン系開始剤の具体例としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−ジエチルアミノ−2−メチルスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0031】
その他の開始剤の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などが挙げられる。
【0032】
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の含有量は、多官能モノマーに対して通常は0.3〜100重量%であり、好ましくは0.5〜60重量%である。
【0033】
本発明の着色感光性組成物には、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤としては、例えば有機顔料を母体骨格とし、側鎖にスルフォン基、スルフォンアミド基、アミノメチル基、フタルイミドメチル基などの置換基を導入して得られる顔料誘導体が挙げられる。また高分子分散剤も挙げられる。さらにアルカノールアミン系分散剤、カルボン酸アミド系分散剤、ウレア系分散剤あるいはアミド系分散剤などの低分子分散剤を用いることもできる。これらの分散剤はそれぞれ単独で使用できるが、混合して使用してもよい。
【0034】
ここで、アルカノールアミン系分散剤としては、分子中に窒素原子を1個含むアルカノールアミン化合物も用いることができるが、分子中に2個以上窒素原子を含むアルカノールアミン化合物が好ましい。またアルカノールアミン系分散剤は、それ単独で用いてもよいし、2種以上のアルカノールアミン系分散剤を組合わせて用いてもよいし、他の分散剤と併用してもよい。分子中に2個以上の窒素原子を含むアルカノールアミンと、分子中に1個の窒素原子を含むアルカノールアミンとを併用する場合には、両者の混合物中の前者(分子中に2個以上の窒素原子を含むアルカノールアミン)の比率は5重量%以上、さらには50重量%以上であることが好ましい。またアルカノールアミン系分散剤と他の分散剤とを併用する場合には、上記アルカノールアミン系分散剤の比率は5重量%以上、好ましくは重量50%以上である。
【0035】
分散剤を含有させる場合、着色感光性組成物中における分散剤の比率は、顔料100重量部に対して0.1〜200重量部、好ましくは1〜50重量部である。
【0036】
本発明の着色感光性組成物は、例えばC.I.ピグメント イエロー 150として、THFによる抽出物が1重量%以下、好ましくは0.8重量%以下であるC.I.ピグメント イエロー 150を用い、該C.I.ピグメント イエロー 150を溶剤、(メタ)アクリル樹脂、多官能モノマーおよび光重合開始剤と混合する方法により製造することができる。好ましくはC.I.ピグメント イエロー 150、顔料、分散剤および溶剤を含有する顔料分散組成物を調製し、これに(メタ)アクリル樹脂、多官能モノマーおよび光重合開始剤を混合することにより製造される。ここで顔料分散組成物は、C.I.ピグメント イエロー 150としてTHFによる抽出物が1重量%以下、好ましくは0.8重量%以下であるC.I.ピグメント イエロー 150を用いたものである。
【0037】
顔料分散組成物は、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、スーパーミル、ディゾルバー、ホモミキサー、サンドミル、ビーズミル、ディスパーなどの各種分散機を使用して製造することができ、これらの分散機を使用して製造することによって、顔料が良好に分散された顔料分散組成物を得ることができる。好ましい製造方法としては、ニーダー、ロールミル、ディスパーなどの高粘度液用分散機で、顔料を分散剤と共に溶剤に粗分散させて粗分散液を得、その後、ビーズ等のメディアを用いて顔料を微分散させる方法が挙げられる。微分散は通常、分散機を用いて行われ、粗分散液に溶剤などを添加して粘度の低く調整したのちに行なわれてもよい。メディアを用いて分散機で微分散させる際の温度は低い方が好ましく、30℃以下に冷却した方が好ましい。
【0038】
次に、顔料分散組成物と(メタ)アクリル樹脂、多官能モノマーおよび光重合開始剤とを混合するにより、本発明の着色感光性組成物を得ることができる。かくして得られる着色感光性組成物は、C.I.ピグメント イエロー 150としてTHFによる抽出物が1重量%以下、好ましくは0.8重量%以下であるC.I.ピグメント イエロー 150を用いたものであり、該C.I.ピグメント イエロー 150を溶剤、(メタ)アクリル樹脂、多官能モノマーおよび光重合開始剤と混合した着色感光性組成物である。
【0039】
かくして得られる本発明の着色感光性組成物を用いて着色画像を形成する方法は、少なくとも
(1)本発明の着色感光性組成物を用いて、顔料が分散された感光性層(着色層)を基板上に形成する工程、および
(2)基板上に形成された顔料が分散された感光性層を露光し、現像してパターンを形成する工程
を含む。ここで、感光性層(着色層)を基板上に形成するには、例えば着色感光性組成物を基板上に塗布し、乾燥してもよいし、着色感光性組成物を仮支持体上に塗布し、乾燥して形成した層を基板上に転写してもよい(転写法)。液晶ディスプレーなどに用いるカラーフィルターを製造する場合には、上記(1)および(2)の工程を繰り返し行い、2色目以降のパターンを組み合わせて作成する。転写法により感光性層を形成するには、例えば特開平4−208940号公報、特開平5−72724号公報、特開平5−80503号公報、特開平5−173320号公報などに記載の方法を適用してもよい。
【0040】
基板としては、ガラス板や透明プラスティック板などの透明な材料が好んで用いられる。基板と着色感光性組成物との密着力を向上させるために、市販の各種シランカップリング剤などを本発明の着色感光性組成物に予め添加しておいてもよいし、または、あらかじめ基板にシランカップリング剤などを作用させた後に本発明の着色感光性組成物を用いて感光性層を設けてもよい。着色感光性組成物は、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、スリットアンドスピンコーターなどを用いて基板や仮支持体の上に塗布することができる。
【0041】
かくして顔料が分散された感光性層が形成されるが、次いで該層を露光する。露光するには、例えばフォトマスクを通して感光性層に紫外線を照射すればよい。
【0042】
次いで現像するが、現像は、例えば露光後の感光性層を現像液に浸漬することによって行なわれる。本発明の着色感光性組成物は、(メタ)アクリル樹脂を含有しているので、現像液としてアルカリ性水溶液を用いることができる。アルカリ性水溶液として好適に用いられるものは、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土塁金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩、アンモニア水、4級アンモニウム塩などの水溶液などである。かかる現像液は、界面活性剤を含有していてもよい。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。例中の含有量ないし使用量を表す部および%は、特記しない限り重量基準である。THFによる抽出物の含量は、顔料約1.2gを正確に秤量して遠心分離管に入れ、THF約30ml(約30cm3)を加えた後、30分間超音波洗浄器を用いて抽出し、上澄み液を分離し、低沸分を減圧留去したのち、減圧乾燥することにより得られた残さを秤量し、この値を用いて算出した。
【0044】
実施例1
(1)THFによる抽出物が0.5%のC.I.ピグメント イエロー 150 5.00部、分散剤(Solsperse 32000(AVECIA社製))1.50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 9.45部をディスパーを用いて500rpmで1時間予備混合した後、ジルコニアビーズ(メディア) 61部を加え、高速攪拌ミルを用いて5時間分散させた。次いで、これに(メタ)アクリル樹脂(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重量組成はベンジルメタクリレート80/メタクリル酸20、重量平均分子量は25,400))1.50部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20.95部からなる混合物をこれに加えて混合することにより、顔料分散組成物を得た。
【0045】
(2)上記と同じ(メタ)アクリル樹脂 4.42部、アクリルモノマー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、”KAYARADDPHA”))5.72部、光重合開始剤〔イルガキュアー907(CibaSpecialty Chemicals社製)〕1.37部、光重合開始剤〔「カヤキュアー DETX−S」(日本化薬(株)製)〕0.69部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 49.6部からなる混合物に、上記で得られた顔料分散組成物 38.4部を混合することにより、着色感光性組成物を調製した。このものは、優れた流動性を示し、室温で30日間放置後も優れた流動性を示した。
【0046】
実施例2
実施例1において、C.I.ピグメントイエロー 150として、THF抽出物が0.7%のものを使用する以外は実施例1と同様にして着色感光性組成物を調製した。優れた流動性を示し、室温で30日間放置後も優れた流動性を示した。
【0047】
比較例1
実施例1において、C.I.ピグメントイエロー 150として、THF抽出物が10%のものを使用する以外は実施例1と同様にして着色感光性組成物を調製した。優れた流動性を示し、室温で30日間放置後も優れた流動性を示した。
【0048】
実施例3
実施例1で得られた着色感光性組成物を、それぞれ、コーニングジャパン社製#7059ガラス基板表面上に、スピンコーターにより所望厚さに塗布した後、100℃で3分間乾燥した。次いで冷却した後、形成された着色層をフォトマスクを通して高圧水銀ランプによって150mJ/cm2の紫外線で露光した。露光はスピンコート20分経後に行った。次いで、この基板を0.05%水酸化カリウムおよび0.2%ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを含むアルカリ性水溶液に浸漬して現像して、200μm×50μmの黄色画像を形成した。現像後の基板上の非画素部には未溶解物が残存していなかった。また、得られた黄色画像は、その周縁部に凹凸が認められず、尖鋭性の優れた着色画像であった。得られた黄色画像は、顔料によって均一に黄色に着色されていて、均一性に優れていた。得られた黄色画像は表面が平滑で、表面の平滑性に優れていた。得られた黄色画像は、顔料によって十分な濃度で黄色に着色されていて着色力に優れていた。
【0049】
実施例4
実施例1でられた着色感光性組成物に代えて実施例2で得られた着色感光性組成物を用いる以外は実施例3と同様に操作して、黄色画像を形成した。基板上の非画素部には未溶解物が残存していなかった。得られた黄色画像は、尖鋭性、均一性、表面平滑性、着色力に優れていた。
【0050】
比較例2
実施例3において、比較例1で得られた着色感光性組成物を用い、スピンコートと露光との間に20分の間隔を置く以外は、実施例3に準拠して実施した。得られた黄色画像は、表面にひび割れ状のムラが認められて表面の平滑性に劣っていた。得られた黄色画像は、その周縁部が凸凹で尖鋭性に劣っていた。
【0051】
実施例5
実施例3において、実施例1で得られた着色感光性組成物を室温で8日間放置したものを用いる以外は、実施例3に準拠して実施した。得られた黄色画像は、尖鋭性、均一性、表面平滑性、着色力に優れていた。
【0052】
実施例6
実施例3において、実施例2で得られた着色感光性組成物を室温で8日間放置したものを用いる以外は、実施例3に準拠して実施した。得られた黄色画像は、尖鋭性、均一性、表面平滑性、着色力に優れていた。
【0053】
比較例3
実施例3において、比較例1で得られた着色感光性組成物を室温で8日間放置したものを用いる以外は、実施例3に準拠して実施した。得られた黄色画像は、表面にひび割れ状のムラが認められ、表面の平滑性に劣っていた。得られた黄色画像は、その周縁部が凸凹で尖鋭性に劣っていた。
【0054】
【発明の効果】
本発明による着色感光性組成物を用いて着色画像を形成することによって、尖鋭性、均一性、表面平滑性、着色力に優れた着色画像が得られるので、該着色画像から構成されるカラーフィルターは、均一性、表面平滑性、着色力に優れたカラーフィルターとなる。また、かかるカラーフィルターを用いた液晶表示パネルは、明るく鮮明なカラー画像を表示することができる。

Claims (5)

  1. C.I.ピグメント イエロー 150、溶剤、(メタ)アクリル樹脂、多官能モノマーおよび光重合開始剤を含有する着色感光性組成物であって、C.I.ピグメント イエロー 150として、テトラヒドロフランによる抽出物が1重量%以下であるC.I.ピグメント イエロー 150を用いたことを特徴とする着色感光性組成物。
  2. (メタ)アクリル樹脂が、(メタ)アクリル酸ベンジル単位(a)および(メタ)アクリル酸単位(B)からなり、(メタ)アクリル酸ベンジル単位(a)と(メタ)アクリル酸単位(B)とのモル比((a):(B))が50〜90:50〜10である(メタ)アクリル樹脂である請求項1に記載の着色感光性組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の着色感光性組成物を用いて着色画像が形成されたカラーフィルター。
  4. 請求項3に記載のカラーフィルターを用いた液晶表示パネル。
  5. C.I.ピグメント イエロー 150および溶剤を含有する顔料分散組成物であって、C.I.ピグメント イエロー 150として、テトラヒドロフランによる抽出物が1重量%以下であるC.I.ピグメント イエロー 150を用いたことを特徴とする顔料分散組成物。
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