JP3882437B2 - 土石の排出シュート装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、土石の排出シュート装置に関し、特に、岩塊、例えば、直径が70cmを超える岩塊を含む土石の排出に適したシュート装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘削工事に伴なって発生する岩塊を含む掘削土石は、例えば、海域近傍の工事現場では、海洋に投棄して、埋め立てなどに用いられる。このような海洋投棄に用いられる運搬船は、土石収納部の底部が観音開きになる底開き鋼船が一般的には用いられる。
【0003】
ところで、工事現場で発生した土石は、通常、ダンプトラックで運搬船の接岸が可能な岸壁まで運搬され、その後、運搬船の土石収納部に移し替えることになる。
【0004】
このとき、ダンプトラックから運搬船への移し替えは、従来、ダンプトラックから簡単なシュートを介して、直接運搬船の土石収納部に投入する方法と、クレーンのグラブバケットでの移し替え方法とが採用されていたが、このような方法には、以下に説明する技術的な課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、前者の移し替え方法では、ダンプトラックの荷台から直接運搬船の土石収納部に投入するので、岩塊が鋼製の船底に衝突し、大きな騒音と振動が発生し、特に、干潮時には、ダンプトラックの荷台と収納部との間の落下距離が長くなるので、より一層騒音,振動が大きくなる。
【0006】
このような騒音,振動は、近隣住民に迷惑となるだけでなく、発生した振動が、海中に伝播して、近傍の魚類が散逸し、漁業資源にも悪影響を及ぼすという問題があった。
【0007】
一方、後者の移し替え方法では、前者の方法のように騒音,振動の問題はないが、ダンプトラックで運搬した土石を一旦仮置きし、その後にクレーンのグラブバケットでの積込み作業となり、これを行うためには、広い作業ヤードが必要となり、積込み設備が増加して、効率も悪くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、積込み作業の効率低下を回避しつつ、騒音,振動の発生を大幅に低減させることができる土石の排出シュート装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、岩塊を含む土石を運搬船の上方から投入して積込む際に用いる排出シュート装置において、前記排出シュート装置は、一端側が岸壁に沿って設けられた第1橋台にヒンジ結合部を介して支持されるとともに、他端側が岸壁から前方の水中に設けられた第2橋台に上下移動自在に支持され、前記運搬船側に配置される一端側が潮位変動に合わせて上下移動可能に構成されたダンプトラックの走行可能な橋梁部と、前記橋梁部の他端側に配置され、前記橋梁部を案内する複数のガイドロッドと、前記橋梁部を前記ガイドロッドに沿って上下方向に移動させる油圧シリンダとを有する前記橋梁部の上下移動機構とを備えた積出し桟橋に配置され、前記橋梁部の先端に固設され、先端側が下方に向けて傾斜した固定シュート部と、前記固定シュート部の先端側に設けられた前記可動シュート部とを有し、前記可動シュート部は、前記運搬船に投入する前記土石を、前記運搬船の土石収納部の上方で一旦受承した後に、前記土石収納部に落下させるものであって、前記固定シュート部の側面にピン結合して揺動自在に支持され、円弧状に湾曲した受承面を有する可動シュートと、前記固定シュート部と可動シュートとの間の設けられた揺動ジャッキとを設けた。
このように構成した土石の排出シュート装置によれば、運搬船に投入する土石を、運搬船の土石収納部の上方で一旦受承した後に、土石収納部に落下させる揺動自在な可動シュート部を設け、投入した土石を可動シュート部で一旦受承させることにより、土石の落下距離および落下速度が小さくなり、その結果、岩塊が鋼製の船底に衝突する際の衝撃を大幅に低減させることができ、このような効果は、広い作業ヤードや積込み設備を増加することなく得られる。
また、本発明の構成によると、積み出し桟橋を利用して、ダンプトラックの荷台から直接運搬船の土石収納部に土石を投入する際に、岩塊が鋼製の船底に衝突する際の衝撃を大幅に低減させることができる。
また、前記可動シュート部は、前記固定シュート部の側面にピン結合して揺動自在に支持され、円弧状に湾曲した受承面を有する可動シュートと、前記固定シュート部と可動シュートとの間の設けられた揺動ジャッキとで構成しているので、揺動ジャッキにより可動シュートの位置を変更することができ、土石収納部に所定の土石を堆積した後には、可動シュートの位置を変えて、可動シュートを介在させることなく、固定シュート上を滑動させた土石を、堆積した土石上に直接投入するもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図3は、本発明にかかる土石の排出シュート装置の一実施例を示している。
【0011】
図1は、干潮時における土石Aの積込み開始前の状態を示しており、図2は、干潮時における土石Aの積込み終了時の状態を示している。また、図3は、満潮時における積込み開始前の状態を示している。
【0012】
これらの図に示した排出シュート装置10は、例えば、直径が70cmを超える岩塊を含む土石Aを運搬船12の上方から投入して積込む際に用いられるものであり、固定シュート部14と可動シュート部16とを備えている。
【0013】
運搬船12は、底開き鋼船と呼ばれるものであって、その船体18の中央部分には、長手方向に沿って延びる凹状の土石収納部20が設けられている。排出シュート装置10は、本実施例の場合には、積出し桟橋22に配置されている。
【0014】
図1〜3に示した積出し桟橋22は、ダンプトラックの走行可能な橋梁部24と、この橋梁部24の両端を支持する一対第1および第2橋台26,28を有している。
【0015】
橋梁部24の一端側は、岸壁に沿って設けられた第1橋台26にヒンジ結合部30を介して支持されていて、他端側が揺動自在になっている。また、橋梁部24の他端側は、岸壁から前方の水中に設けられた第2橋台28に、上下移動機構32を介在させて上下移動自在に支持されている。
【0016】
この実施例の上下移動機構32は、橋梁部24を案内する複数のガイトロッド34と、橋梁部24をガイドロッド34に沿って上下移動させる油圧シリンダ36とを備えている。
【0017】
排出シュート装置10の固定シュート部14は、先端側が下方に向けて傾斜した平板状の傾斜プレート14aと、この傾斜プレート14aの両面に固設された側板14bとを備え、橋梁部24の先端側からさらにその外方に延設するように、橋梁部24の端縁に固定されている。
【0018】
可動シュート部16は、可動シュート16aと、揺動ジッャキ16bとを備えている。可動シュート16aは、本実施例の場合には、円弧状に湾曲した受承面板160aと、この受承面板160aの両側に、対向するように固設された一対の扇形側板161aとを備えている。
【0019】
受承面板160aは、運搬船12の土石収納部20内に投入される土石Aを一旦その内面上に受承した後に、土石収納部20内に落下させるものであって、土石Aの衝撃に伴なう騒音,振動をより一層低減させるためには、衝撃吸収用のゴムシートなどを、その内面に貼着することが望ましい。
【0020】
そして、一対の扇形側板161aは、ピン162aを介して、固定シュート部14の側板14aに揺動自在に取り付けられている。揺動ジャッキ16bは、伸縮自在な一端側が扇形側板161aに結合され、固定側が固定シュート部14の側板14bに突設されたブラケット14cに結合されている。
【0021】
次に、以上のように構成された排出シュート装置10を用いて、土石Aを運搬船12に積込み方法について説明する。図1および図2は、干潮時に土石Aを積込む場合を例示している。
【0022】
運搬船12に積込まれる土石Aは、詳細は示していないが、トンネル工事現場などからタンプトラックに積載して、積出し桟橋22まで運ばれる。積出し桟橋22は、運搬船12側に配置される橋梁部24の一端が、上下移動機構32により上下方向に移動できるが、干潮時にはその必要がないので、橋梁部24は、図1に示すように、ほぼ水平レベルに設定されている。
【0023】
ダンプトラックは、この桟橋22の橋梁部24をバックで走行し、橋梁部24の先端側で停止する。このとき、排出シュート装置10の可動シュート部16は、図1に示すように、揺動ジャッキ16bを伸長させて、運搬船12の土石収納部20内に、可動シュート部16aのほぼ全体が侵入するようにセットされる。
【0024】
この場合、可動シュート16aの受承面板160aは、図1に示すように、傾斜レート14aの延長上を横切るように、揺動ジャッキ16bの伸長量が調整される。
【0025】
なお、揺動ジャッキ16bの伸長量の調整は、投入する土石Aの性状、運搬船12の大きさや喫水および土石収納部20の形状などに応じて適宜設定されるものであって、必ずしも図1に示した状態に固定する必要はない。
【0026】
また、運搬船12を積出し桟橋22の第2橋台28の近傍に接岸する際に、排出シュート装置10が障害となる場合には、上下移動機構32により橋梁部24の一端を上方に移動させ、さらに、これとともに揺動ジャッキ16bを収縮させて、可動シュート16aを上方に回動させればよい。
【0027】
可動シュート部16aのほぼ全体が、運搬船12の土石収納部20内に侵入するようにセットされた状態で、橋梁部24の端縁に停止されているダンプトラックの荷台を上方に移動させて、土石Aを放出すると、土石Aは、まず、固定シュート部14の傾斜プレート14a上を滑動して、その下方に移動する。
【0028】
この場合、傾斜プレート14a上にチェーンを簾状に垂らしておくと、その滑動速度を減速させることができる。傾斜プレート14aを滑動した土石Aは、その後可動シュート部16内に投入される。
【0029】
可動シュート部16は、揺動自在に支持された可動シュート16aを有し、この可動シュート16aの湾曲した受承面板160aが、傾斜プレート14aの延長線上に横切るように揺動ジャッキ16bにより調整されているので、土石Aは、一旦、この受承面板160aの内面側に受承される。
【0030】
受承面板160aの内面側に受承された土石Aは、この部分で堆積するが、この堆積が安息角を超えると、下方に落下して、運搬船12の土石収納部20に落下する。
【0031】
そして、運搬船12の土石収納部20に落下した土石Aが、その底部に堆積して、所定の厚みでその全面を覆うようになると、図2に示すように、揺動ジャッキ16bを収縮させて、可動シュート16aを上方に揺動移動させ、投入する土石Aを固定シュート14の傾斜プレート14a上を滑動させて、土石収納部20に投入する。
【0032】
土石収納部20内の所定の厚みに土石Aが堆積すると、その上部に直接土石Aを落下させても、鋼製部分に落下させる場合よりも、騒音,振動が殆ど発生しない。
【0033】
そこで、本実施例の場合には、土石Aが所定の厚みで、収納部20の全面を覆うようになると、可動シュート16aを介在させることなく、土石Aを投入し、積込み効率の向上を図るようにしている。
【0034】
そして、土石収納部20内に、所定高さに土石Aが積み上げられると、作業を一旦停止して、運搬船12を前後方向に移動させて、再び上記した操作を繰り返し、土石収納部20内を土石Aで満杯にして、積込み作業を終了する。
【0035】
図3は、満潮時に土石Aを積込む場合を例示しており、この場合には、上下移動機構32を稼動させることにより、ヒンジ結合部30を支点として、積出し桟橋22の橋梁部24の一端側を潮位に応じて上方に移動させる。
【0036】
土石Aを運搬船12に積込む際には、排出シュート装置10の稼動シュート部16と、運搬船12の土石収納部20との相対的な位置関係は、前述した干潮時の積込みと同じ状態にし、かつ、同じように制御する。
【0037】
さて、以上のように構成した土石の排出シュート装置10によれば、運搬船12に投入する土石Aを、運搬船12の土石収納部20の上方で一旦受承した後に、土石収納部20に落下させる揺動自在な可動シュート部16を設け、投入した土石Aを可動シュート部16で一旦受承させることにより、土石Aの落下距離および落下速度が小さくなる。
【0038】
従って、土石Aに含まれている岩塊が鋼製の船底に衝突する際の衝撃を大幅に低減させることができ、このような効果は、広い作業ヤードや積込み設備を増加することなく得られるので、作業能率の低下も回避することができる。
【0039】
また、本実施例の排出シュート装置10は、運搬船12側に配置される一端が、潮位変動に合わせて上下移動可能に構成され、ダンプトラックの走行可能な積出し桟橋22に配置され、桟橋22の先端に固設され、先端側が下方に向けて傾斜した固定シュート部14と、固定シュート部14の先端側に可動シュート部16を配置しているので、積み出し桟橋22を利用して、ダンプトラックの荷台から直接運搬船12の土石収納部20に土石Aを投入する際に、岩塊が鋼製の船底に衝突する際の衝撃を大幅に低減させることができる。
【0040】
さらに、本実施例の場合には、可動シュート部16は、固定シュート部14の側面にピン結合して揺動自在に支持され、円弧状に湾曲した受承面を有する可動シュート16aと、固定シュート部14と可動シュート16aとの間の設けられた揺動ジャッキ16bとで構成しているので、揺動ジャッキ16bにより可動シュート16aの位置が変更できるので、土石収納部20に所定の土石Aを堆積した後には、可動シュート16aの位置を変えて、可動シュート16aを介在させることなく、固定シュート部14上を滑動させた土石Aを、堆積した土石上に直接投入することがきる。
【0041】
このような制御を行うと、所定の土石Aを土石収納部20に堆積した後には、土石Aを、その上に長距離を落下させても、衝撃に伴なう騒音,振動が殆ど発生しないので、積込み作業の能率を向上させることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる土石の排出シュート装置によれば、積込み作業の効率低下を回避しつつ、騒音,振動の発生を大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる土石の排出シュート装置の一実施例を示す干潮時積込み開始前の側面説明図である。
【図2】図1の土石の排出シュート装置の干潮時積込み終了状態の側面説明図である。
【図3】図1の土石の排出シュート装置の満潮時積込み開始前の側面説明図である。
【符号の説明】
10 排出シュート装置
12 運搬船
14 固定シュート部
16 可動シュート部
16a 可動シュート
16b 揺動ジャッキ
18 船体
20 土石収納部
22 積出し桟橋
24 橋梁部
Claims (1)
- 岩塊を含む土石を運搬船の上方から投入して積込む際に用いる排出シュート装置において、
前記排出シュート装置は、一端側が岸壁に沿って設けられた第1橋台にヒンジ結合部を介して支持されるとともに、他端側が岸壁から前方の水中に設けられた第2橋台に上下移動自在に支持され、前記運搬船側に配置される一端側が潮位変動に合わせて上下移動可能に構成されたダンプトラックの走行可能な橋梁部と、
前記橋梁部の他端側に配置され、前記橋梁部を案内する複数のガイドロッドと、前記橋梁部を前記ガイドロッドに沿って上下方向に移動させる油圧シリンダとを有する前記橋梁部の上下移動機構とを備えた積出し桟橋に配置され、
前記橋梁部の先端に固設され、先端側が下方に向けて傾斜した固定シュート部と、前記固定シュート部の先端側に設けられた前記可動シュート部とを有し、
前記可動シュート部は、前記運搬船に投入する前記土石を、前記運搬船の土石収納部の上方で一旦受承した後に、前記土石収納部に落下させるものであって、前記固定シュート部の側面にピン結合して揺動自在に支持され、円弧状に湾曲した受承面を有する可動シュートと、前記固定シュート部と可動シュートとの間の設けられた揺動ジャッキとを備えたことを特徴とする土石の排出シュート装置。
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