JP3880820B2 - γ―アミノ酪酸生産能を有する乳酸菌を使用した食品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、グルタミン酸をグルタミン酸脱炭酸酵素(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)の作用により脱炭酸してγ−アミノ酪酸(GABA)を生成するγ−アミノ酪酸生産能を有する乳酸菌を使用してγ−アミノ酪酸を含有する食品を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
γ−アミノ酪酸は、ギャバとも呼ばれ、自然界に広く分布している非タンパク質アミノ酸の1種であり、食品の成分としても、茶、野菜類、穀類などに普通に含まれている。生体内においては、グルタミン酸が脱炭酸されて生成され、人体では特に、脳内の黒質、大脳基底核、視床下部等に高濃度に存在していることが分かっている。
【0003】
γ−アミノ酪酸の生理作用としては、血管を拡張して血圧を下げることが良く知られている。また、γ−アミノ酪酸は、脳内の血液の流れを活発にし、脳細胞への酸素供給量を増加させて、代謝機能を促進させる働きがあり、主要な抑制性の神経伝達物質として中枢神経系において重要な役割を果たしている。そして、医薬品としては、脳血管の狭窄や閉塞による頭痛、耳鳴りなどの治療に応用されている。また、γ−アミノ酪酸の人体への投与が、学習能力の増強や長期記憶の促進に貢献することも報告されている。
【0004】
したがって、γ−アミノ酪酸を食品として摂取すれば、上記の生理作用が期待されることから、適当な処理を食品に施すことにより、γ−アミノ酪酸の含有量を増加させた食品もいくつか提唱されている。例えば、米などの胚芽を水に浸漬処理した食品素材(特許第2810993号公報)や、茶葉を嫌気処理したギャバロン茶(実開昭63−103285号公報)などが知られている。
【0005】
一方、食品用の微生物を利用したγ―アミノ酪酸含有食品の製造方法として、ラクトバチルス(Lactobacillus)属の乳酸菌を用いたもの(特許第2704493号公報、特開2000−308457号公報、特開2000−210075号公報等)や麹菌を用いたもの(特開平10−165191号公報、特開平11−103825号公報等)、酵母またはクロレラを用いたもの(特開平9−238650号公報)など、多数の報告がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の方法によりγ−アミノ酪酸の含有量を増加させた食品は、処理を施す前に比べて含有量が多くなってはいるが、食品100g当たりのγ−アミノ酪酸の含有量は1000mg未満、すなわち食品中の含有割合は1%にも満たない。この程度の含有割合では、例えば、γ−アミノ酪酸を含有するそれらの食品をスープ、惣菜、漬物、菓子などの食物や飲料に添加し、加工食品の原材料とするなどして幅広く利用するためには、まだ不十分である。
【0007】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、γ−アミノ酪酸生産能を有する乳酸菌を使用してγ−アミノ酪酸を高い割合で含有する食品を製造することができる食品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、発酵・醸造食品を対象として高いγ−アミノ酪酸生成能を有する乳酸菌の検索を行ってきた結果、キムチより単離したラクトバチルス・ヒルガルディー(Lactobacillus hilgardii)に属する菌株が高いγ―アミノ酪酸生産能を有しており、その菌株を使用し、例えば10重量%のグルタミン酸ナトリウムを含む培養液でその菌株を培養させれば、約5重量%の高濃度のγ―アミノ酪酸を含む培養液が得られること、また、その培養液を濾過し濃縮するだけで15重量%以上のγ−アミノ酪酸を含有する発酵液が得られることを見い出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、請求項1に係る発明は、グルタミン酸またはその塩類を含有する発酵原料に、γ―アミノ酪酸生産能を有する乳酸菌であるラクトバチルス・ヒルガルディーK−3株 FERM P−18422(以下、単に「K−3株」という)を接種し培養して、γ−アミノ酪酸を含有する発酵物を得る食品の製造方法において、初発pH4.5〜5.5で発酵処理を行うことを特徴とする。このようにすると、乳酸菌は、その増殖が最も促進され、γ−アミノ酪酸を生産する能力が向上する。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の食品の製造方法において、発酵処理を開始してから時間が経過して発酵液のpHが中性域に達した時に、発酵物のpHを再調整して発酵処理を続けることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2記載の食品の製造方法において、5重量%〜10重量%のグルタミン酸またはその塩類を含有する発酵原料を用いて発酵処理を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法において、発酵原料に乳化剤を添加することを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の製造方法において、前記発酵物が発酵液であり、その発酵液を濾過、濃縮および乾燥させて、γ−アミノ酪酸を含有する粉末を得ることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の製造方法において、前記発酵物が発酵液であり、その発酵液を濃縮した後に食物または飲料に添加して、γ−アミノ酪酸を含有する飲食物を得ることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項5記載の製造方法において、前記粉末を食物または飲料に添加して、γ−アミノ酪酸を含有する飲食物を得ることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態について説明する。
【0017】
この発明に係る乳酸菌は、キムチから単離されたラクトバチルス・ヒルガルディーに属するK−3株であり、培地にグルタミン酸またはその塩類を添加することにより増殖が促進されてグルタミン酸脱炭酸酵素の作用によりγ―アミノ酪酸を高率で生成する能力を有する。すなわち、このキムチ由来の乳酸菌は、1L中に100gのグルタミン酸ナトリウムを含む液体培地において、30℃の温度で48時間培養したとき、γ―アミノ酪酸を45g/L以上生産することができる。
【0018】
乳酸菌をキムチから単離するのは、次のような方法による。すなわち、キムチにグルタミン酸ナトリウムを10g/kg添加して発酵熟成させたものを分離源とし、乳酸菌分離用のBCP加プレートカウントアガール培地(ニッスイ(株)製)を用いて乳酸菌を分離し、分離菌を10g/Lのグルタミン酸ナトリウムを含有したGYP液体培地で培養して、γ―アミノ酪酸の生成量の多い菌株を選抜した。
【0019】
上記したようにして単離されたK−3株の菌学的性質を表1に示す。
【表1】
【0020】
上記したキムチ由来の乳酸菌を使用し、グルタミン酸またはその塩類を含有する発酵原料に乳酸菌を接種し培養して、γ−アミノ酪酸を含有する発酵食品を製造する。乳酸菌としては、キムチから単離培養され、継代培養されたものが使用されるが、キムチに含まれている同種の乳酸菌をそのままであるいは新たに単離して用いるようにしてもよい。また、凍結乾燥菌体、凍結保存株および液体培養液のうちのいずれを使用してもよいが、使用の前日から1%以上のグルタミン酸を含む発酵液または液体培地で前培養したものを使用することが好ましい。
【0021】
この発酵食品の製造方法で用いるグルタミン酸は、化学的にはアミノ酸の一種であるL−グルタミン酸を指し、調味料としての用途を持つ食品添加物であるグルタミン酸やグルタミン酸ナトリウム、その他のグルタミン酸塩、さらに食品蛋白質を酸や酵素で加水分解して得られるグルタミン酸のいずれを用いても構わない。また、調味料、水産加工品、トマトなど、遊離グルタミン酸を含む食品をそのままで用いても構わない。ただし、より多量のγ−アミノ酪酸を含有した食品を得ようとする場合には、より多量のグルタミン酸を含有する発酵原料を用いることが必要である。
【0022】
また、発酵培地は、乳酸菌の生育のために、上記したグルタミン酸の他に、ブドウ糖、果糖、麦芽糖などの糖質や、酵母エキス、肉エキス等のビタミンやミネラルを含む食品を含有することが好ましい。さらに、乳化剤や安定剤、pH調整剤などの食品添加物を用いても構わない。
【0023】
発酵処理に使用される容器は、洗浄や加熱殺菌を行うことができて、食品の製造に使用可能である容器であれば、大きさや材質を問わないが、雑菌が混入しにくい構造をしたものが好ましい。
【0024】
発酵処理の条件は、次の通りである。すなわち、発酵温度は、好ましくは20℃〜30℃で、発酵時間は、例えば48時間〜75時間であり、5重量%以上の高濃度のグルタミン酸ナトリウムを含む発酵培地を用いて発酵させる場合は、菌の増殖が最も促進される初発pH4.5〜5.5が最も好ましい。例えば、4重量%のグルタミン酸ナトリウムを含むGYP液体培地でK−3株を培養させた場合、72時間後のγ―アミノ酪酸の生成量は、初発pH6.3および初発pH5.0のいずれにおいても約2重量%であったのに対し、10重量%のグルタミン酸ナトリウムを含むGYP液体培地でK−3株を培養させた場合には、72時間後のγ―アミノ酪酸の生成量は、初発pH6.3では約3重量%であるのに対し、初発pH5.0では約5重量%に達した。また、発酵液のpHは、K−3株の増殖に伴って上昇し、発酵処理を開始してから24時間〜48時間経過した時点ではpH7〜8の中性域に達する。このため、発酵処理を開始してから24時間前後経過した時点で、発酵液を再びpH5程度に調整して発酵処理を続けるようにする。このようにすることにより、乳酸菌の増殖をさらに促進させ、γ−アミノ酪酸生成の速度や効率を上昇させることができる。
【0025】
乳酸菌を培養して得られたγ−アミノ酪酸を含有する発酵液は、そのまま各種の飲料や食物に添加するなどして用いてもよく、また、濾過、濃縮、乾燥などの処理工程によってγ−アミノ酪酸の含有量をさらに高めてから利用するようにしてもよい。このようにして、クロマトグラフィーなどの精製工程を経なくても、廃棄物や副産物が少なく比較的安価に実施することができる方法により、γ−アミノ酪酸濃度が高く、加工食品などの原材料などとして広い用途を持つ液体または粉末状のγ−アミノ酪酸高含有食品を得ることができる。また、濾過、濃縮、乾燥などの処理工程を経ることにより、多量のγ−アミノ酪酸を含有した各種の飲料や食物、例えばγ−アミノ酪酸濃度が15重量%以上である飲食物が得られる。
【0026】
上記した濾過工程は、濾紙、濾布などを用いた通常の食品加工用の濾過設備を使用して行うことができ、珪藻土やセルロース、活性炭などの濾過助剤を用いるようにしてもよい。濃縮工程は、真空濃縮機、減圧濃縮機、蒸留釜、凍結濃縮機などの設備を用いて行う以外にも、火にかけた鍋で発酵液中の水分を蒸発させるだけでもよい。また、乾燥工程は、噴霧乾燥や凍結乾燥など、効率的かつ衛生的な方法により行うことが好ましい。さらに、γ−アミノ酪酸の含有量をより高めた食品を得るために、上記した工程以外にも、液体クロマトグラフィーなどの方法を用いるようにすることもできる。また、上記した発酵液を濃縮あるいは乾燥させることにより、γ−アミノ酪酸を含有した液状または粉末状食品が得られ、それらの食品を配合あるいは二次加工することにより、γ−アミノ酪酸を含有した飲料や食物が得られる。
【0027】
また、γ−アミノ酪酸高含有食品は、上述した成分のほかに、賦形剤、甘味料、増粘剤、タンパク質、ペプチド、脂質、多糖類、糖質、塩類などの通常、食品に用いられている成分を含んでいてもよい。
【0028】
なお、得られた発酵液や発酵食品中のγ−アミノ酪酸の含有量の測定は、高速液体クロマトグラフィー、アミノ酸測定機等の分析機器や、酵素を用いた分析試薬などを用いて行うようにすればよい。
【0029】
【実施例】
以下、この発明を適用したより具体的な実施例について説明する。
【0030】
〔保存株からの復元〕
凍結または凍結乾燥の状態で長期保存しているK−3株を使用する場合は、K−3株を滅菌水に添加して懸濁液とした後、白金耳を用いて懸濁液を、表2に成分組成を示すGYP寒天培地に接種し、30℃の温度で24時間、培養する。寒天培地上に乳白色のコロニーが確認されると、そのK−3株をそのまま以後の培養に使用することができる。K−3株は、寒天培地上において4℃〜10℃の温度で4週間、それを保存することができる。
【0031】
【表2】
【0032】
〔前培養〕
GYP寒天培地上のK−3株を、白金耳を用いて5mL〜100mLのGYP液体培地(表1に示した成分組成のGYP寒天培地から標準寒天を抜いたもの)に接種し、30℃の温度で24時間、静置させて培養する。培養液の濁度(波長660nmにおける吸光度)が1.0以上に達していれば、その培養液を以後の発酵に使用することができる。
【0033】
〔γ―アミノ酪酸の測定方法〕
試料を0.2Nクエン酸ナトリウム緩衝液(pH2.2)で100倍〜10,000倍に希釈した後、固形物を遠心分離または濾過により除去して、測定試料とした。γ―アミノ酪酸およびグルタミン酸の各含有量は、アミノ酸含有量の測定のための常法に従って高速液体クロマトグラフにより以下の条件で測定した。
使用機器:(株)島津製作所製の高速液体クロマトグラフLC−9A
分析用カラム:強酸性陽イオン交換樹脂カラムShin−pack Isc−07Na型
移動層緩衝液:(株)島津製作所製のアミノ酸移動層キットNa型
移動層流量:0.3ml/分
反応層1:0.04%次亜塩素酸ナトリウム溶液(pH10のホウ酸―炭酸緩衝液500mlに対して次亜塩素酸0.2ml)
反応層2:(株)島津製作所製のアミノ酸分析キットOPA試薬
反応層流量:0.2ml/分
検出:蛍光検出 Ex348nm、Em450nm
【0034】
[実施例1]
100gのグルタミン酸ナトリウムを含むGYP液体培地(表3に成分組成を示す)1LにK−3株の前培養液1mLを添加し、30℃の温度で培養した。培養液中のγ―アミノ酪酸の含有量は、48時間後に48g/L、72時間後に51g/Lであった。また、グルタミン酸の含有量は、48時間後に8g/L、72時間後に2g/Lであった。なお、100gのグルタミン酸ナトリウム(一水和物)がγ−アミノ酪酸に100%変換したときのγ―アミノ酪酸量は、約55gであるため、γ―アミノ酪酸への変換率は、相対的に、48時間後に87%、72時間後に93%であると表すことができる。
【0035】
【表3】
【0036】
[比較例]
ワイン由来のラクトバチルス・ヒルガルディーJCM1155株を使用し、それを実施例1と同様の条件により培養した。この結果、得られた培養液中のγ―アミノ酪酸の含有量は、48時間後および72時間後共に0.05g/L以下であった。
【0037】
[実施例2]
90℃の温度で10分間加熱殺菌された発酵原料1(表4に成分組成を示す)50LにK−3株の前培養液50mLを接種し、30℃の温度で3日間培養した。発酵終了後の発酵液中のγ―アミノ酪酸の含有量は、32g/Lであった。この発酵液を90℃の温度で10分間加熱殺菌し、それに活性炭を加えて脱色処理し、珪藻土を含む濾過助剤を加えて濾過し、真空濃縮機を用いて濃縮した後、噴霧乾燥機を用いて粉末化させた。得られた粉末状食品中のγ―アミノ酪酸の含有量は、16重量%であった。
【0038】
【表4】
【0039】
[実施例3]
90℃の温度で10分間加熱殺菌された発酵調味液原料(表5に成分組成を示す)50LにK−3株の前培養液50mLを接種し、30℃の温度で3日間培養した。発酵終了後の発酵液中のγ―アミノ酪酸の含有量は、26g/Lであった。この発酵液を90℃の温度で10分間加熱殺菌した後、真空濃縮機を用いて濃縮した。得られた発酵調味液中のγ―アミノ酪酸の含有量は、16重量%であった。
【0040】
【表5】
【0041】
さらに、得られた発酵調味液を、塩漬け白菜を含むキムチ原料10kgに100mL加え、冷蔵庫で1週間熟成させた。得られたキムチ中のγ―アミノ酪酸の含有量は、100g当たり152mgであった。この量は、添加したγ―アミノ酪酸の95%に相当する。
【0042】
[実施例4]
90℃の温度で10分間加熱殺菌された発酵原料2(表6に成分組成を示す)1,000LにK−3株の前培養液1Lを接種し、30℃の温度で3日間培養した。発酵終了後の発酵液中のγ―アミノ酪酸の含有量は、26g/Lであった。この発酵液を90℃の温度で10分間加熱殺菌し、それに活性炭を加えて脱色処理し、珪藻土を含む濾過助剤を加えて濾過し、真空濃縮機を用いて濃縮した後、デキストリンを加え噴霧乾燥機を用いて粉末化させた。得られた粉末状食品中のγ―アミノ酪酸の含有量は、30重量%であった。
【0043】
【表6】
【0044】
[実施例5]
90℃の温度で10分間加熱殺菌された発酵原料3(表7に成分組成を示す)100LにK−3株の前培養液100mLを接種し、30℃の温度で24時間培養した後、pHを5.0に再調整し、さらに2日間培養を続けた。発酵終了後の発酵液中のγ―アミノ酪酸の含有量は、54g/Lであった。この発酵液を90℃の温度で10分間加熱殺菌し、珪藻土を含む濾過助剤を加えて濾過し、真空濃縮機を用いて濃縮した後、凍結乾燥機を用いて粉末化させた。得られた粉末状食品中のγ―アミノ酪酸の含有量は、70重量%であった。
【0045】
【表7】
【0046】
【発明の効果】
請求項1に係る発明の製造方法によると、グルタミン酸またはその塩類を高濃度に含有する発酵原料を発酵処理して、γ−アミノ酪酸を高い割合で含有する食品を製造することができる。
【0047】
請求項2に係る発明の製造方法では、乳酸菌の増殖をさらに促進させ、γ−アミノ酪酸生成の速度や効率を上昇させることができる。
【0048】
請求項3に係る発明の製造方法では、グルタミン酸またはその塩類からγ−アミノ酪酸への変換効率がより高くなり、γ−アミノ酪酸を高い割合で含有する食品を製造することができる。
【0049】
請求項4に係る発明の製造方法では、乳酸菌の増殖をより促進させて、グルタミン酸またはその塩類からγ−アミノ酪酸への変換効率がより高くなり、γ−アミノ酪酸を高い割合で含有する食品を製造することができる。
【0050】
請求項5に係る発明の製造方法では、γ−アミノ酪酸を高い割合で含有する粉末状の食品が得られる。
【0051】
請求項6に係る発明の製造方法では、発酵液の濃縮液が添加されて、γ−アミノ酪酸を高い割合で含有する飲食物が得られる。
【0052】
請求項7に係る発明の製造方法では、γ−アミノ酪酸を高い割合で含有する粉末が添加されて、γ−アミノ酪酸を高い割合で含有する飲食物が得られる。
Claims (7)
- グルタミン酸またはその塩類を含有する発酵原料に、γ―アミノ酪酸生産能を有する乳酸菌であるラクトバチルス・ヒルガルディーK−3株 FERM P−18422を接種し培養して、γ−アミノ酪酸を含有する発酵物を得る食品の製造方法において、
初発pH4.5〜5.5で発酵処理を行うことを特徴とする、γ―アミノ酪酸生産能を有する乳酸菌を使用した食品の製造方法。 - 発酵処理を開始してから時間が経過して発酵液のpHが中性域に達した時に、発酵物のpHを再調整して発酵処理を続ける、請求項1記載の食品の製造方法。
- 5重量%〜10重量%のグルタミン酸またはその塩類を含有する発酵原料を用いて発酵処理を行う、請求項1または請求項2記載の食品の製造方法。
- 発酵原料に乳化剤を添加する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の食品の製造方法。
- 前記発酵物が発酵液であり、その発酵液を濾過、濃縮および乾燥させて、γ−アミノ酪酸を含有する粉末を得る、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の食品の製造方法。
- 前記発酵物が発酵液であり、その発酵液を濃縮した後に食物または飲料に添加して、γ−アミノ酪酸を含有する飲食物を得る、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の食品の製造方法。
- 前記粉末を食物または飲料に添加して、γ−アミノ酪酸を含有する飲食物を得る、請求項5記載の食品の製造方法。
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