JP3880770B2 - 圧延用ハイス系スリーブロールの製造方法およびスリーブロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼の圧延に用いられる圧延用ハイス系ワークロール、例えば型鋼圧延用ハイス系スリーブロールの製造方法およびスリーブロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年ハイス系スリーブロールの製造方法として、鋳掛け素材を切断して製造するものや、HIP処理により粉末から鋳造するもの、エレクトロスラグ再溶解法によるインゴットから製造するものなど、種々の方法が試みられて来ているが、いずれも大変高価であり、その後の製造過程においても多くの工程を経てからでないと製造できなかった。
一方、前記ハイス系スリーブロールを、前記の各種の方法に比べ、比較的安価に、かつ簡素な製造方法として、遠心鋳造法により製造する技術が、特開平5−306426号公報に開示されている。前記公報に開示されている内容は、外層の合金成分を適正化し、炭化物組成を限定することにより、遠心力作用下でも重心偏析の生じない耐摩耗性と耐クラック性の均一な外層材とすると共に、内層材に、強靱性に富む黒鉛鋼を使用し、外層と黒鉛鋼とを冶金学的に、完全に溶着一体化したハイス系スリーブロールを提供するものである。
【0003】
しかしながら、この技術においては、未だに、下記の遠心鋳造法特有の課題が存在する。つまり、遠心鋳造時の凝固過程において、金型に接する外表面部の冷却速度が、内表面部の冷却速度より速いため、最終凝固帯が内面近くの円周方向に存在する。この最終凝固帯の組織は、鋳造では公知であるポーラスな粗い組織帯となる。これらを製品に残存させると強靱性を損なうばかりでなく、製造後の軸材への組立工程である焼きばめ時に、該スリーブに割損のおそれがあることから内面の粗いポーラスな組織帯及び外面の偏析帯を機械加工により、取り除くことが必要であり、その分、歩留りが低くなると共に工程も多く要し、その結果、スリーブロールの製作コストが高価なものとなる。
【0004】
また、ハイス系ロールを遠心鋳造により製造後、ポーラスな粗い組織帯を鍛造により削減する技術として、特開平8−158018号公報に開示されている。しかしながら、前記公報に開示されている内容は、遠心鋳造による一体形ロールを鍛造するものであり、本発明が対象とするスリーブロールを製造するには、鍛造後、該鍛造材へ、例えば孔あけ、厚肉の内外面の切削加工等多くの工程を必要とし、それにより工程面および製作コストの面から実用的な技術としては、多くの課題を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、圧延用スリーブロールにおいて、従来方法の有する耐摩耗性、強靱性の機能を損なうことなく、前記従来の技術が有する課題を解決するものであって、遠心鋳造法により単層または複数層の素材を鍛造し、製品形状に近づけることにより極力製造工程を短縮し、さらに、内外面加工の省略による歩留りを大幅に改善し、製作コストを抑えたハイス系鍛造スリーブロールを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明は次の手段を要旨とするものである。
(1)遠心鋳造法による圧延用ハイス系スリーブの製造方法において、該スリーブ材の化学成分が、質量%で、C:1.0〜3.5%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%、Cr:3.0〜10.0%、V:4.5〜10.0%、Mo:2.0〜15.0%、W:2.0〜15.0%、残部Feおよび不可避的不純物からなるハイス系溶湯で、円筒状中空素材を鋳造する第1工程と、該円筒状中空素材を軸直角方向に切断する第2工程と、該切断後の円筒状中空素材に、据え込み熱間鍛造を行う第3工程からなり、第3工程での熱間鍛造での鍛錬比を1.5〜5.0とすることを特徴とする圧延用ハイス系スリーブの製造方法。
【0007】
(2)第3工程において、据え込み熱間鍛造と共に鍛錬比を1.1〜3.0の拡管熱間鍛造を行うことを特徴とする(1)記載の圧延用ハイス系スリーブの製造方法。
(3)スリーブ材の化学成分が、質量%で、さらに、Ni:0.2〜5.0%、Co:0.5〜10.0%、Nb:0.5〜10.0%の1種または2種以上を添加したことを特徴とする(1)または(2)記載の圧延用ハイス系スリーブの製造方法。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1により製造された圧延用ハイス系スリーブに軸材を焼き嵌めにより組み立てたスリーブロールにある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の圧延用ハイス系鍛造スリーブ材の各化学成分の限定理由について説明する。
C:1.0〜3.5%
Cはロールの性能に直接影響する硬さを得るための、重要な元素であり、C量が1.0%未満であると、耐摩耗性および耐肌荒れ性を向上させるために有効な硬い炭化物の晶出が少なく、さらに基地に固溶するC量が不足し、焼入れによっても十分な基地硬さが得られないと同時に、合金添加物の効果を発揮できない。
一方、3.5%を超えると硬いが脆い炭化物が粗大化し、かつその晶出量も過大となり、強度が損なわれ、使用中に割損や表層剥離等が生じ使用に耐えられないことよりこれを上限とした。
【0009】
Si:0.2〜2.0%
Siは脱酸作用を目的として添加する。しかし、0.2%未満であるとその効果が不十分であり、2.0%を超えると靱性を低下させる。また、鋳造時の流動性を確保するため、その範囲を0.2〜2.0%とする。
Mn:0.2〜2.0%
Mnは脱酸、脱硫作用を目的として添加する。しかし、0.2%未満であるとその効果が不十分であり、2.0%を超えると靱性を低下させるため、その範囲を0.2〜2.0%とする。
【0010】
Cr:3.0〜10.0%
CrはCと結合して主にM7 C3 系の硬い炭化物を結晶粒界に晶出生成し、耐摩耗性を向上させる。M7 C3 炭化物は、遠心鋳造時にも比較的偏析し難いが、網目状に大きく凝集して晶出する。添加量が少ないと炭化物が少なくその効果が十分確保できず、一方、多過ぎると炭化物の晶出量が過大となり、前記の通り強度が損なわれる。この晶出する炭化物は、後工程の鍛造により破壊され、微細化されることにより悪影響を軽減することができるが、組織中の炭化物量としては変化せず、過度な晶出は、やはり悪影響を及ぼすため適正な範囲として3.0%以上10.0%以下とした。
【0011】
V:4.5〜10.0%
Vは優先的にCと結合して極めて硬く粒状のMC型炭化物、すなわち、VC炭化物を形成し耐摩耗性を向上させるために極めて有利な元素である。しかし、4.5%未満ではVC炭化物の量が不十分で耐摩耗性が確保できず、10%を超えると、VC炭化物は、比重が小さく遠心鋳造時に内面側に重量偏析しやすくなるため偏析の抑制と強度を損なわない範囲として4.5〜10.0%とした。
Mo:2.0〜15.0%、W:2.0〜15.0%
Mo、Wは前記Crと同様にマトリックス中に固溶されて基地を強化すると共に、Cと結合して炭化物を形成する。基地強化のためには、最低2.0%以上の含有が必要であるが、しかし、15.0%を超えると粗大炭化物が形成され靱性が低下する。また、遠心鋳造法で15.0%を超えた場合、層状偏析が発生する。 従って、Mo,Wのいずれもその範囲を2.0〜15.0%とする。
【0012】
本発明材の基本成分は、上記の通りであるが、適用を対象とするロールのサイズ、要求されるロールの使用特性等により、その他の化学成分として、上記した本発明の化学成分に加えて、以下の成分を適宜添加することもできる。
Ni:0.2〜5.0%
Niは0.2%以上を添加すると焼入性を向上させる効果を有する。直径の大きいスリーブロールなど大きい硬化深度が要求される場合には、その要求に応じて添加する。しかし、多量に添加すると残留オーステナイトが過剰となり、かえって高い硬度が得られなくなるため5.0%以下の範囲で用いる。
【0013】
Co:0.5〜10.0%
Coはその殆んどがマトリックス中に固溶され基地を強化する。そのため、高温での硬度および強度を向上させる作用を有している。0.5%未満ではその効果は不十分であり、10.0%を超えてはその効果が飽和するため、経済性の観点からも10.0%以下が望ましい。Co添加の選択有無については、例えば、使用特性上の高温硬度や摩擦係数低減等を考慮し、その添加の要否を適宜判断するとよい。
【0014】
Nb:0.5〜10.0%
NbはVと同様にCと結合して高硬度のMC炭化物を形成する。また、遠心鋳造法で製造する場合には、VC炭化物の偏析を軽減させる効果を持っている。しかし、0.5%未満ではその効果は不十分であり、10.0%を超えて含有させた場合、MC炭化物が粗大化しすぎて靱性の低下に繋がる。Nb添加の選択有無については、例えば、遠心鋳造する際のVの添加量に応じた内面偏析の軽減等を考慮し、その添加の要否を適宜判断するとよい。
【0015】
次に、本発明の製造方法の特徴について以下説明する。
本発明においては、まず遠心鋳造法により円筒状中空素材を製造する。これにより、該中空素材を比較的安価にスリーブ形状とすることができる。
次に、これを焼鈍熱処理し、所定のスリーブ形状に切断してから鍛造する。鍛造方法は、前記切断後のスリーブを寝かせ、高さ方向(スリーブ幅方向)に圧下した据え込み鍛造を行う。ここで所定の強度になるように鍛錬比を選定する。この据え込み鍛造により、晶出した炭化物および外面周方向に存在する重量偏析を破壊し、微細化することで強度を向上し、遠心鋳造後の最終凝固帯である内面周方向に存在するポーラスな組織体も割損することなく充分な鍛造効果を得、所定の高強度、均一な組織を得る。
【0016】
ここで、炭化物および偏析を十分に破壊し、ポーラスな組織体に鍛錬効果を付与することで材料強度を向上させるためには鍛錬比(断面積比)を1.5以上にする必要がある。また、該材料は鍛錬比5を超えると、その鍛錬効果による強度向上率が減少し、鍛錬比を上げることは大きくコストに影響することから、鍛錬比を5までとする。
前記の通り、据え込み鍛造の実施により内面のポーラスな組織体が改善され、所定の強度が得られるが、例えば、製造を対象とするスリーブロールの形状が大きい場合、圧延応力が大きくスリーブロール等の場合には、スリーブロールの製作後、軸材との焼きばめ時の焼きばめ応力を非常に大きくする必要があり、スリーブロールの割損の恐れがある。従って、この場合、さらに内周面部のみを軽鍛造し、内周面部の強度をさらにアップする下記の方法を追加するとよい。
【0017】
これは、通常の拡管鍛造を一定温度内で内面に強い応力を掛け、鍛造することで外層に殆ど塑性変化がないまま、内周面部を充分に塑性変形せしめ、さらに強度の増加および内周面部組織の緻密化を図ることで、より大きな焼きばめ応力に耐え得るロールの製造が可能である。内周面部のみを鍛造する場合、その組織の緻密化、高強度化には鍛錬比1.1以上で効果があり、スリーブロール肉厚全体に鍛造効果を及ばせるには鍛錬比3で十分である。それ以上の鍛錬は、スリーブロールのコストを上げるばかりでなく、鍛造時にスリーブ内面両端部の割れを誘発するため好ましくない。
【0018】
前記の拡管鍛造に使用する支持軸(芯金)については、通常使用されている直径が約200〜500mm程度の丸棒にかえて、図1に示すように、表面に凹凸を付けた丸棒の軸に変更し、内周面部の接触面積を減らし大きな応力を掛けることで内周面部を積極的に鍛錬する。この場合、凸のR寸法としては、前記通常に使用されている丸棒Rの20%〜70%が好ましい。20%未満であると1回の鍛造面積が小さくなり、鍛造必要回数が増えることで生産性が低下する。その上、塑性変形した表面の肉が重なり合うことで鍛造欠陥となる可能性があるので好ましくない。70%を超えると、前記効果である接触面積を減らし大きな応力を掛けることで低減するため適切な範囲として、この範囲とした。
【0019】
また、この凹凸をもった丸棒は、鍛造材との接触面積を減らし、十分な軸強度を持ちながら丸棒による冷却効果を減らすことでリング端部冷却に起因する鍛造割れを防止するばかりでなく、マニュピュレータによるスリーブ回転をスムーズにする効果を持つ。また、丸棒に部分的に凹凸をもって凹凸部と丸棒表面を使い分けることで、ジグを換えることなく、表層鍛造と仕上げのならし鍛造が可能である。以下、本発明の実施例を従来材および比較例と共に説明する。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
本発明材のスリーブロールの作用、効果を確認するため、以下の試験材を遠心鋳造法により作成し、所定の熱処理の後、軸直角方向に切断し、各種の試験を実施した。この時の試験材の鍛造方法、鍛錬比および化学成分を表1に示す。表1でのNo.A〜Eの5個は、本発明の試験材であり、遠心鋳造、所定の熱処理の後、据込鋳造による鍛錬比を種々変化させたものである。また、No.F〜Iの4個も、本発明の試験材で、据込鍛造の後、さらに拡管鍛造による鍛錬比を種々変化させたものである。さらに、No.J〜Mの4個は、従来材の試験材で、化学成分は、前記本発明のものとほぼ同じものであるが遠心鋳造後に本発明の試験材と同じ所定の熱処理を施しただけで、本発明の主要部の構成である据込鍛造を施していないものである。No.N〜Qの4個は、比較材の試験材で、化学成分が本発明とは異なる試験材を本発明と同様に据込鍛造および拡管鍛造を施したものである。
【0021】
【表1】
【0022】
次に、前記試験材の製造方法について説明する。
高周波誘導炉にて溶解した前記表1からなる各々の化学成分の溶湯を、遠心鋳造試験機内で高速回転している円筒金型内に注入し、外径174mm、肉厚35mm、長さ300mmのスリーブ素材を製造した。その後該素材を軸直角方向に複数箇所で切断し、長さ60mmのスリーブ状の試験材を製作した。その後、前記試験材に炉内焼鈍を施した後、300tプレスを使って鍛錬比を種々変えた据込鍛造を実施した。さらに、1000℃の焼入れ、550℃の焼戻し処理を行い、前記各々の試験材から図2に示す要領でミクロ組織試験片3、回転摩耗試験片2および引張試験片4を各々採取した。
【0023】
以下に、前記の試験材での試験結果について説明する。
図3はスリーブ表面より10mm深さ位置のミクロ組織を本発明材(代表材としてNo.E)と従来材(代表材としてNo.K)で比較して示したものである。すなわち、図3(a)は本発明材であるNo.E材のミクロ組織を示す顕微鏡写真であり、図3(b)は従来材であるNo.K材のミクロ組織を示す顕微鏡写真を示す。この図3から従来材のKのものでは、遠心鋳造のみで、その後の据込鍛造を施していないため、そのミクロ組織は、粗大炭化物が晶出し、全体的な均一化が図られていなく、これに対して、本発明のNo.Eのものは、遠心鋳造後に施した据込鍛造の作用、効果により炭化物が破壊され、微細炭化物に変化していることが明らかである。また、強靱性を評価する前記表1に示す引張強度についても、従来材のKのものでは、790N/mm2 と低く、一方、本発明のNo.Eのものは、1108N/mm2 と高くこの点からも遠心鋳造後に施した据込鍛造の作用、効果が明らかである。
【0024】
次に、前記本発明材No.A〜Iの9個、従来材No.J〜Mの4個、比較材No.N〜Qの4個の全ての試験材を用いて、図4に示す回転摩耗試験機を用いて、耐摩耗性についての比較試験を実施した。前記比較試験は、
相手材:SUS304
試験温度:常温
線荷重:60N/mm
すべり率:10%
回転数:5×104 回
の同一条件で試験を行い、試験前後の摩耗減量を測定した。図5は摩耗減量の測定結果を示す。
【0025】
従来材No.J〜Mの4個は、表1に示すように、本発明材とその化学成分は、ほぼ同じものであるが、遠心鋳造後の据込鍛造、または遠心鋳造後の据込鍛造および拡管鍛造を全く施していないものであり、そのため、その組織は前記ミクロ組織試験の結果(従来材の代表K)の通り何れも粗大炭化物が晶出し、全体的な均一化が図られていないものと推定でき、その結果として図5の摩耗減量が高いものとなっている。これに対し、本発明材No.A〜Iの9個は、何れも遠心鋳造後の据込鍛造、または遠心鋳造後の据込鍛造および拡管鍛造を全て施したものであり、鍛造効果により摩耗減量が大幅に低下している。比較材N〜Qの4個は、本発明材と化学成分が異なるため、同一の鍛造を行っても、その摩耗減量を大幅に改善することは出来なかった。これは、化学成分による高硬度炭化物の分散の仕方に違いがあり、本発明材の場合に比べ量が少なく、ネット状炭化物の破壊による炭化物の微細化、均一化効果が少なくないものと思われる。
【0026】
また、表1に示すように、各材質毎に所定の熱処理を施し、図2に示すJIS4号試験片4を採取し、常温での引張試験を行った。表1に示すように、本発明材A〜Iは、鍛造することにより飛躍的にその引張強度が上昇している。これは、前記本発明材No.A〜Iとほぼ化学成分の同一な材質である従来材No.J〜M(鍛造なし)との対比により明らかである。また、比較材No.N〜Qの4個は、本発明材No.Gと同じ鍛錬比で鍛造を施したものであるが、どれも80%程度の強度しかない。これは、本発明の化学成分系の限定、かつ鍛造実施による組合せの効果が顕著であることが明確である。以上の試験結果、本発明の作用、効果が明確に確認できたので、以下の実際の圧延用のロールを製作した。
【0027】
(実施例2)
ハイス系の溶湯を用いて遠心鋳造法により、外径1010mm、内径450mm、長さが2100mmである円筒状中空素材を鋳造した後、両端部および途中を切断して、長さが500mmの中空素材を4本製作し、その後、鍛錬比1.5(高さ比)の鍛造据え込み成形を施した。さらに拡管鍛造にて内面を変形させた(鍛錬比1.1/径)。これを硬化熱処理し、外面を片側30mm(従来は、約60mm程度実施)および内面を片側40mm(従来は、約120mm程度実施)の仕上げ機械加工を施し、その後、ロール軸に焼き嵌めて実際のH形鋼の圧延作業に供した。その結果、軽鍛造ではあるが、炭化物組織が微細化され、引張強度が上昇し、前記従来の重切削にしないと、生じていた内面の最終凝固帯に現れるポーラスな欠陥は、UST試験の結果皆無であった。また、前記焼き嵌め時でも該ロールの割損は全く生じなかった。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の組成からなる材料を鍛造成形した圧延用ハイス系鍛造スリーブロールを使用することにより、硬質のMC炭化物の微細均一化により耐摩耗性の大幅な向上が可能となり、圧延ロールの長寿命化が図られる。また、ロール性能の向上による圧延製品の品質改善にも大幅に寄与する効果がある。このように、耐摩耗性、強靱性を兼備した高性能ロールを安価に供給することが出来る優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】拡管鍛造に用いる芯棒の形状を示す図、
【図2】試験材採取位置を示す図、
【図3】本発明材と比較材のミクロ組織を示す顕微鏡写真(100倍)、
【図4】回転摩耗試験機を示す図、
【図5】回転摩耗試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 スリーブ
2 回転摩耗試験片
3 ミクロ組織試験片
4 引張り試験片
5 相手材(SUS304)
6 回転摩耗試験機
Claims (4)
- 遠心鋳造法による圧延用ハイス系スリーブの製造方法において、該スリーブ材の化学成分が、質量%で、
C:1.0〜3.5%、
Si:0.2〜2.0%、
Mn:0.2〜2.0%、
Cr:3.0〜10.0%、
V:4.5〜10.0%、
Mo:2.0〜15.0%、
W:2.0〜15.0%、
残部Feおよび不可避的不純物からなるハイス系溶湯で、円筒状中空素材を鋳造する第1工程と、該円筒状中空素材を軸直角方向に切断する第2工程と、該切断後の円筒状中空素材に、据え込み熱間鍛造を行う第3工程からなり、第3工程での熱間鍛造での鍛錬比を1.5〜5.0とすることを特徴とする圧延用ハイス系スリーブの製造方法。 - 第3工程において、据え込み熱間鍛造と共に鍛錬比を1.1〜3.0の拡管熱間鍛造を行うことを特徴とする請求項1記載の圧延用ハイス系スリーブの製造方法。
- スリーブ材の化学成分が、質量%で、さらに、
Ni:0.2〜5.0%、
Co:0.5〜10.0%、
Nb:0.5〜10.0%
の1種または2種以上を添加したことを特徴とする請求項1または2記載の圧延用ハイス系スリーブの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項により製造された圧延用ハイス系スリーブに軸材を焼き嵌めにより組み立てたスリーブロール。
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