JP3880443B2 - ポリマーエマルジョン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマーエマルジョン組成物に関する。更に詳しくは、ネイルエナメル、マスカラ、ファンデーション等の化粧品、リンス、シャンプー等の入浴用品、筆記具、水系インク、各種ペイント、インキ等の記録用材料、農薬、医薬材料、香料、表面処理剤等の保持媒体等に好適に使用しうるポリマーエマルジョン組成物、及び該ポリマーエマルジョン組成物を含有する、インクジェット記録用水系インク等の水系インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリマーエマルジョンの保存安定性を向上させる方法として、ポリマー中に導入されるイオン性基の量を制御するイオン的安定化方法、エマルジョン粒子表面に立体的安定化因子を作用させる立体的安定化方法、及びポリマー中に導入されるノニオン性基の量を制御したり、ノニオン性基を有するポリマーを配合する方法が知られている。
【0003】
しかし、その反面、ポリマーエマルジョンを乾燥させた後に形成される皮膜の耐水性を高めるためには、できる限りイオン性基又はノニオン性基の量を低減させることが望ましい。
【0004】
ポリマーのイオン性基を中和するために、中和剤として低分子量の塩基又は酸を用いた場合には、その塩基又は酸がイオン的安定化因子としてのみ作用する。したがって、エマルジョン粒子表面に立体的安定化因子を作用させるためには、立体的安定化因子を与える親水性の官能基をあらかじめエマルジョン粒子の表面に導入しなければならないが、かかる手法を用いた場合には、乾燥後に形成される皮膜の耐水性が劣るという欠点がある。
【0005】
したがって、ポリマーエマルジョンの保存安定性に優れるとともに、乾燥後の皮膜の耐水性にも優れたポリマーエマルジョンを得ることが困難である。
【0006】
また、ポリマーエマルジョンを含有するインクジェット記録用水系インクにおいては、有機顔料や油溶性染料等の着色剤を含有させたエマルジョン粒子を含むポリマーエマルジョンを使用することが提案されている(特開昭59-30873号公報及び特開平03-221137 号公報)。
【0007】
しかしながら、このインクジェット記録用水系インクにおいては、耐水性を高め、吐出性等の性能を満足させるには、エマルジョン粒子を構成しているポリマーの組成を調整するだけでは十分ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、保存安定性及び耐水性に優れたポリマーエマルジョン組成物を提供することを課題とする。
【0009】
更に、本発明は、このポリマーエマルジョンを用いて、耐水性及び耐擦過性に優れた水系インク、特に吐出安定性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
(1) アニオン性基を有する水不溶性ポリマーAのエマルジョン粒子及び1分子中に1個のカチオン性基を有し、重量平均分子量が200〜6000の水溶性ポリマーBを含有してなるポリマーエマルジョン組成物、
(2) アニオン性基を有する水不溶性ポリマーAのエマルジョン粒子及び1分子中に2個のカチオン性基を有し、重量平均分子量が500〜6000の水溶性ポリマーBを含有してなるポリマーエマルジョン組成物、並びに
(3)水不溶性の着色剤Cを含有する水不溶性ポリマーAのエマルジョン粒子が用いられた前記ポリマーエマルジョン組成物を含有してなる水系インク
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリマーエマルジョン組成物は、ポリマーAのエマルジョン粒子とポリマーBとが併用されていることにより、保存安定性に優れ、乾燥後の皮膜の耐水性を飛躍的に向上させることができる。
【0012】
このような格別顕著に優れた効果が奏されるのは、ポリマーAとポリマーBとが併用されているので、分散状態では、ポリマーAのエマルジョン粒子の表面にポリマーBが存在することにより、十分な保存安定性が確保され、また乾燥後には、ポリマーAとポリマーBとが分離していることにより、ポリマーAが効果的に皮膜化していることによるものと考えられる。
【0013】
本発明においては、ポリマーBは、ポリマーAの中和剤、つまり塩基又は酸として用いられる。ポリマーBは、イオン的安定化因子として作用するが、更に立体的安定化因子としても作用するので、ポリマーエマルジョン組成物の保存安定性が高められる。
【0014】
また、ポリマーBを用いることにより、ポリマーAのエマルジョン粒子の表面に立体的安定化因子として作用する親水性の官能基を導入する量を低減させることができるため、本発明のポリマーエマルジョン組成物は、乾燥後に形成された皮膜の耐水性を飛躍的に高めることができる。
【0015】
したがって、本発明のポリマーエマルジョン組成物は、例えば、ネイルエナメル、マスカラ、ファンデーション等の化粧品、リンス、シャンプー等の入浴用品等の耐水性が要求される用途にも好適に使用することができる。
【0016】
また、本発明のポリマーエマルジョン組成物は、オイル、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料等の機能性化合物を含有させることにより、他の種々の用途に使用することもできる。かかる用途としては、例えば、筆記具、水系インク、各種ペイント、インキ等の記録用材料、農薬、医薬材料、香料、表面処理剤等の保持媒体等が挙げられる。
【0017】
ポリマーBで中和させた後のポリマーAの25℃での水に対する溶解度は、水系インクの低粘度化の観点から、15重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が更に好ましい。
【0018】
ポリマーAが有するイオン性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、3級アミン基、4級アンモニウム基等のカチオン性基が挙げられる。これらの中では、カルボキシル基は、乾燥後に脱イオン化しやすいので好ましい。
【0019】
ポリマーAとしては、例えば、ビニルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン等のポリマーエマルジョンに適したポリマーが挙げられる。
【0020】
ビニルポリマーとしては、ノニオン性モノマーと、カチオン性モノマー又はアニオン性モノマーとを共重合させて得られたノニオン性基及びイオン性基を有するポリマーが挙げられる。
【0021】
ポリエステルとしては、多価アルコールと酸性基を有するモノマーとを縮重合させる際に、酸性基を有するモノマーを過剰量で配合することによって得られた、末端に酸性基を有するポリエステルが挙げられる。
【0022】
また、ポリウレタンとしては、スルホン酸基を有するモノマーと疎水性モノマーとを共重合させることによって得られた、イオン性基を有するポリウレタンが挙げられる。
【0023】
これらの中では、ポリマーエマルジョン組成物に要求される物性に応じて選択されるモノマーの種類が豊富であることから、ビニルポリマーが好ましく、アクリル系ポリマーがより好ましい。
【0024】
また、本発明のポリマーエマルジョン組成物を水系インクに使用する場合には、着色剤をポリマーAのエマルジョン粒子中に含有させるため、着色剤とポリマーAとの親和性が良好であることが好ましい。したがって、ポリマーAとしては、疎水性セグメントを有するブロックコポリマー及びグラフトコポリマーが好ましい。
【0025】
このような性質を有するポリマーAの例としては、特開平4-227668号公報に記載のST又はTST ブロックポリマー(Sは疎水性アクリルポリマー、 Tは親水性アクリルポリマーを意味する);特開平10-87768号公報に記載の親水性側鎖を有するグラフトポリマー;(a) 塩生成基含有モノマーと、(b) マクロマーと、(c) 前記(a) 塩生成基含有モノマー及び前記(b) マクロマーと共重合可能なモノマーを含むモノマー混合物を共重合させてなるビニルポリマー(以下、「ビニルポリマーC」という)等が挙げられる。これらのポリマーの中では、ビニルポリマーCは、要求される物性に応じて選択されるモノマーの種類が豊富であるので、好ましい。
【0026】
ビニルポリマーCにおいて、モノマー混合物は、(a) 塩生成基含有モノマー〔以下、(a) 成分という〕、(b) マクロマー〔以下、(b) 成分という〕及び(c)(a)成分及び(b) 成分と共重合可能なモノマー〔以下、(c) 成分という〕を含有する。
【0027】
(a) 成分としては、例えば、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が 挙げられる。その例として、特開平9-286939号公報5頁7欄24行〜8欄29行に記載されているもの等が挙げられる。
【0028】
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-(N',N'- ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
【0029】
なお、本明細書にいう「(メタ)アクリ」とは、「アクリ」又は「メタクリ」を意味する。
【0030】
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸モノマーが好ましい。
【0031】
(b) 成分としては、例えば、数平均分子量500 〜100000、好ましくは1000〜 1000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。その中では、式(I):
X(Y)p Si(R1 )3-q (Z)q (I)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、R1 はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、pは0又は1、qは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーンマクロマー及び/又は片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。これらの中では、シリコーンマクロマーは、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から、好適に使用しうるものである。
【0032】
(b) 成分の数平均分子量は、溶媒として1mmol/L のドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
【0033】
式(I) で表されるシリコーンマクロマーにおいて、Xとしては、CH2 =CH−基、CH2 =C(CH3 )−基等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。Yとしては、−COO−基、−COOCa H2a−基(aは1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられ、−COOC3 H6 −が好ましい。R1 としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基、メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられ、これらの中ではメチル基が好ましい。Zは、好ましくは数平均分子量500 〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の残基である。pは0又は1であるが、好ましくは1である。qは1〜3の整数であるが、好ましくは1である。
【0034】
シリコーンマクロマーの中では、式(II):
CH2=CR2-COOC3H6-[Si(R3)2-O]b -Si(R3)3 (II)
(式中、R2 は水素原子又はメチル基、R3 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、bは5〜60の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが好ましく、式(II-1):
CH2=C(CH3)-COOC3H6-[Si(CH3)2-O]c -CH 3 (II-1)
(式中、cは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーがより好ましい。その例として、FM-0711(チッソ(株)製、商品名) 等が挙げられる。
【0035】
スチレン系マクロマーは、ビニルポリマーに顔料を十分に含有させる観点から、好適に使用することができる。
【0036】
スチレン系マクロマーとしては、例えば、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体又はスチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。この中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。
【0037】
スチレンと他のモノマーとの共重合体におけるスチレン含量は、顔料が十分にビニルポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは70〜99重量%である。前記他のモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0038】
(c) 成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、それぞれ、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを意味する。
【0040】
(c) 成分は、印字濃度及び耐マーカー性向上の観点から、スチレン系モノマーを含んでいることが好ましい。スチレン系モノマーとしては、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく、これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。(c) 成分におけるスチレン系モノマーの含有量は、印字濃度及び耐マーカー性の向上の観点から、好ましくは10〜100 重量%、より好ましくは40〜100 重量%である。
【0041】
また、モノマー混合物は、(d) 水酸基含有モノマー〔以下、(d) 成分という〕及び(e) 式(III):
CH2 =C(R4 )COO(R5 O)r R6 (III)
(式中、R4 は水素原子又は低級アルキル基、R5 はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R6 はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、rは1〜60の数を示す)
で表されるモノマー〔以下、(e) 成分という〕からなる群より選ばれた1種以上を含有していてもよい。
【0042】
(d) 成分は、本発明の水系インクの吐出安定性を高め、印字濃度を高めるという優れた効果を発現するものである。
【0043】
(d) 成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(アルキレンオキサイド付加モル数:n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(アルキレンオキサイド付加モル数:n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。それらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0044】
(e) 成分は、本発明の水系インクの吐出安定性を高め、連続印字してもヨレの発生を抑制するという優れた効果を発現するものである。
【0045】
(e) 成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(1〜30:式(III) 中のrの値を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中では、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。
【0046】
なお、本明細書における「(イソ)プロポキシ」は、n−プロポキシ又はイソプロポキシを意味する。
【0047】
ビニルポリマーにおける(a) 成分の含量は、得られる分散体の保存安定性の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%である。
【0048】
ビニルポリマーにおける(b) 成分の含量は、インクジェットプリンターのヒーター面の焦げ付きを抑制する観点及び保存安定性の観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
【0049】
ビニルポリマーにおける(c) 成分の含量は、インクジェットプリンターのヒーター面の焦げ付きを抑制する観点及び保存安定性の観点から、好ましくは5〜93重量%、より好ましくは10〜80重量%である。なお、スチレン系モノマーを含む(c) 成分を用いる場合、ビニルポリマーにおける(c) 成分の含量は、好ましくは5〜93重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
【0050】
ビニルポリマーにおける(d) 成分の含量は、吐出安定性及び印字濃度の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。また、(a) 成分と(d) 成分との合計含量は、水中での安定性及び耐水性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
【0051】
ビニルポリマーにおける(e) 成分の含量は、吐出安定性及び印字濃度の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
【0052】
また、ビニルポリマーにおける(a) 成分と(e) 成分との合計含量は、水中での保存安定性及び吐出安定性の観点から、6〜75重量%が好ましい。
【0053】
また、ビニルポリマーにおける(a) 成分と(d) 成分と(e) 成分との合計含量は、水中での保存安定性及び吐出安定性の観点から、6〜60重量%、好ましくは7〜50重量%が望ましい。
【0054】
ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
【0055】
ポリマーAの重量平均分子量は、実施例に示す測定法によって求められ、2000〜200000が好ましく、本発明のポリマーエマルジョン組成物をインクジェット記録用水系インクの耐水性、吐出性安定性を向上させるという観点から、より好ましくは3000〜100000であり、更に好ましくは5000〜90000 である。
【0056】
ポリマーAが有するイオン性基の量は、良好な保存安定性を得る観点から、好ましくは0.3 〜2mol/mg、より好ましくは0.5 〜1.7mol/mg である。
【0057】
ポリマーAのエマルジョン粒子とは、ポリマーAのポリマー粒子の水分散体であり、ポリマー粒子中に水不溶性の着色剤Cを含有してもよい。
【0058】
ポリマーBが有するイオン性基がポリマーAのイオン性基とイオン性が異なるとは、イオン性基の正負が異なることをいう。
【0059】
ポリマーBは、後述する非イオン性親水性モノマーの重合体にイオン性基を有するものが好ましく、イオン性基を1分子中に1個又は2個有することがより好ましい。ポリマーBの好適な例としては、末端に官能基を有するアルキレンオキサイド重合体;末端にイオン性基を有する親水性アクリル系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、末端にイオン性基を有するアルキレンオキサイド重合体は、分散体の粘度が低く抑えられるので、好ましい。
【0060】
末端に官能基を有するアルキレンオキサイド重合体の具体例としては、両末端カルボキシル基ポリエチレングリコール〔例えば、川研ファインケミカル(株)製、商品名:PEO 酸、分子量:400, 1000, 4000, 6000 〕、片末端アミノ基ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体〔例えば、Huntsman社製、商品名:XTJ-506 、分子量:1000〕、両末端アミノ基ポリエチレングリコール(例えば、川研ファインケミカル(株)製、商品名:PEO アミン、分子量:400, 1000, 4000 〕等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0061】
末端にイオン性基を有する親水性アクリル系ポリマーは、メルカプトコハク酸、2−メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸等のカルボキシル基を有する重合連鎖移動剤や、2−アミノメルカプトエタノール等のアミノ基を有する重合連鎖移動剤を用いて、通常のラジカル重合法で非イオン性親水性モノマーを重合させることによって得ることができる。更に、非イオン性親水性モノマーとイオン性モノマーとを共重合してもよい。
【0062】
非イオン性親水性モノマーとしては、例えば、ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。イオン性モノマーとしては、例えば、前記(a) 成分が挙げられる。
【0063】
ポリマーBがイオン性基を1分子中に1個有する場合には、ポリマーBの重量平均分子量は、200 〜6000であることが、ポリマーエマルジョン組成物の粘度を低く維持し、優れた耐水性を付与する観点から好ましい。
【0064】
また、ポリマーBがイオン性基を1分子中に2個有する場合には、その分子量が低いとき、ポリマーBがポリマーエマルジョン組成物の安定化成分としてではなく、粒子間のイオン性架橋剤として働くことから、その重量平均分子量は、500 〜6000であることが好ましい。
【0065】
更に、本発明のポリマーエマルジョン組成物をインクジェット記録用水系インクに用いる場合には、ポリマーBとしていずれのイオン性を有する末端官能基アルキレンオキサイド重合体を用いた場合であっても、粘度を低く維持する観点から、ポリマーBの重量平均分子量は、500 〜1500であることが好ましい。
【0066】
ポリマーBの量は、ポリマーAのイオン性基の全て又は一部を中和することができる量であればよい。しかし、ポリマーエマルジョン組成物の粘度が高くなる等の弊害がある場合には、中和塩基として、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物や、アンモニア、アミン等の窒素含有化合物等の低分子量の塩基、リン酸、スルホン酸等の無機酸、グルコン酸、酢酸等の有機酸等の低分子量の酸をポリマーAのイオン性基の5〜90モル%の範囲、好ましくは20〜50モル%の範囲で、ポリマーBと併用することが望ましい。
【0067】
ポリマーBの量は、中和剤として用いる観点及び保湿剤として機能させる観点から、ポリマーA100 重量部に対して、好ましくは1〜200 重量部であり、より好ましくは3〜80重量部である。
【0068】
ポリマーAのエマルジョン粒子には、水不溶性の着色剤C(以下、単に「着色剤C」という)及び/又は水不溶性の非着色性化合物D(以下、単に「非着色剤D」という)を含有させてもよい。
【0069】
着色剤Cとしては、顔料、疎水性染料等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0070】
顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等の有機顔料が挙げられる。好適な有機顔料としては、ピグメント・ブラック7 ;ピグメント・イエロー74、93、97、110 、128 、138 、180 ;ピグメント・レッド122 、202 、264 ;ピグメント・バイオレット19;ピグメント・ブルー15:1、15:2、15:3、15:4、16;ピグメント・グリーン7 、36等が挙げられる。さらに体質顔料を併用することもできる。体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0071】
疎水性染料は、ポリマー粒子中に含有させることができる染料であれば特に制限なく用いることができる。その例として、油性染料、分散染料、蛍光染料等が挙げられる。
【0072】
油性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、C.I.ソルベント・オレンジ等が挙げられる。好適な油性染料としては、C.I.ソルベント・ブラック3、7 ;C.I.ソルベント・イエロー29;C.I.ソルベント・レッド8、51;C.I.ソルベント・ブルー70等が挙げられる。
【0073】
分散染料としては、例えば、C.I.ディスパーズ・イエロー、C.I.ディスパーズ・オレンジ、C.I.ディスパーズ・レッド、C.I.ディスパーズ・バイオレット、C.I.ディスパーズ・ブルー、C.I.ディスパーズ・グリーン等が挙げられる。好ましい例としては、C.I.ディスパーズ・イエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100 、119 、122 、124 、126 、160 、184:1 、186 、198 、199 、204 、224 、237 ;C.I.ディスパーズ・オレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118 、119 、163 ;C.I.ディスパーズ・レッド54、60、72、73、86、88、91、93、111 、126 、127 、134 、135 、143 、145 、152 、153 、154 、159 、164 、167:1 、177 、181 、204 、206 、207 、221 、239 、240 、258 、277 、278 、283 、311 、323 、343 、348 、356 、362 ;C.I.ディスパーズ・バイオレット33;C.I.ディスパーズ・ブルー56、60、73、87、113 、128 、143 、148 、154 、158 、165 、165:1 、165:2 、176 、183 、185 、197 、198 、201 、214 、224 、225 、257 、266 、267 、287 、354 、358 、365 、368 ;C.I.ディスパーズ・グリーン6:1 、9等が挙げられる。
【0074】
蛍光染料としては、例えば、ペリレン系染料、ローダミン系染料、ベンゾピラン系染料等が挙げられる。好適な蛍光染料としては、ルモゲン(Lumogen) F-Red 300、F-Orange 240〔以上、いずれもBASF社製、商品名〕等が挙げられる。
【0075】
疎水性染料は、ポリマーAのエマルジョン粒子中に安定して含有させる観点から、例えば、25℃において、トルエンに2g/L 以上、好ましくは20〜500g/L溶解するものが好ましい。
【0076】
非着色剤Dとしては、オイル、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料等の機能性化合物が挙げられる。非着色剤Dの代表例としては、紫外線吸収剤として機能するフェニルサリシレートが挙げられる。
【0077】
非着色剤Dは、粒子内に安定に内包化させる観点から、例えば、25℃において、トルエンに2g/L 以上、好ましくは20〜500g/L溶解しうるものが望ましい。
【0078】
なお、本明細書にいう「非着色剤」とは、着色を目的としない剤を意味し、非着色剤が有する色で着色したり、非着色剤とポリマーAとの相互作用によって着色することを意味しない。
【0079】
着色剤C又は非着色剤Dの量は、それぞれ、ポリマーA100 重量部に対して、好ましくは20〜400 重量部、より好ましくは50〜300 重量部である。
【0080】
着色剤Cの量は、ポリマーエマルジョン組成物を水系インクに使用する場合には、印字濃度及びポリマーAのエマルジョン粒子への含有させやすさの観点から、ポリマーA100 重量部に対して、好ましくは20〜400 重量部、より好ましくは30〜300 重量部である。
【0081】
着色剤Cを含有するポリマーAのエマルジョン粒子が用いられたポリマーエマルジョン組成物を用いて水系インクを得る場合には、水系インクにおけるエマルジョン組成物の含有量は、通常、印字濃度及び吐出安定性の観点から、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%である。
【0082】
ポリマーAのエマルジョン粒子及びポリマーBを含有するポリマーエマルジョン組成物は、例えば、ポリマーAを有機溶媒に溶解させ、得られた溶液にポリマーBを加えてポリマーAを中和し、次いで水を加え、機械的に攪拌することによって水中油型エマルジョンとした後、有機溶媒を留去して水系にする方法等によって調製することができる。
【0083】
着色剤C及び/又は非着色剤Dを含有するポリマーAのエマルジョン粒子は、例えば、
▲1▼ ポリマーAを疎水性染料及び/又は非着色剤Dととも親水性有機溶媒に溶解させ、ポリマーBを加えて中和し、次いで水を加えた後、親水性有機溶媒を留去して水系に転相する方法、
▲2▼ ポリマーAを有機溶媒に溶解させ、ポリマーB及び着色剤C及び/又は非着色剤Dを加え、次いで水を加えて3本ロールミルやマイクロフルイダイザー等で混練して分散させ、その後、有機溶媒を留去して水系にする方法、
▲3▼ ポリマーAを疎水性染料及び/又は非着色剤Dとともに疎水性有機溶媒に溶解させ、ポリマーBを加えて中和し、次いで水を加えた後、機械的に水中油型エマルジョンとした後、疎水性有機溶媒を留去して水系にする方法
等によって調製することができる。
【0084】
ポリマーAのエマルジョン粒子の平均粒径は、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは 0.5μm 以下、より好ましくは0.01〜 0.2μm である。なお、かかるポリマーAのエマルジョン粒子の平均粒径は、実施例に示す光散乱法によって測定したときの値である。
【0085】
ポリマーエマルジョン組成物のpHは、保存安定性の観点から、好ましくは4〜10、より好ましくは5〜9.5 である。かかるpHは、例えば、ポリマーAのイオン性基の中和塩基又は中和酸をポリマーエマルジョン組成物に添加することによって容易に調整することができる。
【0086】
本発明の水系インクは、水不溶性の着色剤Cを含有する水不溶性ポリマーAのエマルジョン粒子が用いられたポリマーエマルジョン組成物を含有するものである。
【0087】
水系インクにおけるポリマーエマルジョン組成物の含有量は、インク粘度を装置特性に合わせて制御する必要性から、好ましくは3 〜25重量%、より好ましくは4 〜15重量%である。
【0088】
水系インクには、必要により、インク用添加剤が含有されていてもよい。インク用添加剤の具体例としては、湿潤剤、活性剤、防黴剤、防腐剤、キレート剤等が挙げられる。
【0089】
湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール;該多価アルコールの、メチル、エチル、ブチル、プロピル等のアルキルエーテル化合物;2‐ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、尿素、トリメチルグリシン等の含窒素化合物等が挙げられる。水系インクにおける湿潤剤の含有量は、乾燥後の皮膜に適度な柔軟性を与える観点及び水系インクの場合にはプリンターを長期間使用しなかった後に使用した際のインク吐出性を良好にする観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
【0090】
活性剤としては、アニオン系活性剤、ノニオン系活性剤、カチオン系活性剤及び両性系活性剤が挙げられる。これらの活性剤の中では、アニオン系活性剤が好ましい。また、アニオン系活性剤の中では、少量でプリンター部材との濡れ性を改善させる観点から、アセチレン誘導体又は2級アルコールのエチレンオキシド付加物及びエチレンオキシド鎖を有するアニオン系活性剤が好ましい。水系インクにおける活性剤の含有量は、必要な濡れ性を付与することができるのであれば、特に限定されないが、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1 〜3重量%である。
【0091】
防黴剤及び防腐剤としては、例えば、イソプロパノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、6−アセトキシ−2,4−ジメチル−m−ジオキサン等が挙げられる。水系インクにおける防黴剤及び防腐剤の含有量は、十分な防黴性及び防腐性を発現させる観点から、好ましくは0.001 〜2重量%である。
【0092】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラアセティックアシッドとそのナトリウム塩、ジアンモニウム塩、テトラアンモニウム塩等が挙げられる。これらのキレート剤の中では、十分なキレート性能を発現させる観点から、エチレンジアミンテトラアセティックアシッドのナトリウム塩が好ましい。水系インクにおけるキレート剤の含有量は、性能の十分な発現の観点から、好ましくは0.005 〜1 重量%である。
【0093】
本発明の水系インクの残部は、水である。水としては、例えば、イオン交換水、精製水、純水、市水等を用いることができる。水系インクにおける水の含有量は、ポリマーエマルジョン組成物及びインク用添加剤が所望量含有されるように調整するこが好ましい。
【0094】
本発明の水系インクは、ポリマーエマルジョン組成物を含有するものであり、例えば、ポリマーエマルジョン組成物と、必要により、インク用添加剤及び水とを所望を割合で混合することによって容易に得ることができる。
【0095】
かくして得られる水系インクは、インクジェット記録用水系インクとして好適に使用しうるものである。
【0096】
【実施例】
以下、各成分の使用量において「部」とあるのは、いずれも「重量部」を意味する。但し、実施例4,6は参考例である。
【0097】
製造例1〜3〔ポリマーA溶液の製造〕
反応容器内に、メチルエチルケトン5部、表1に示す「初期仕込みモノマー」の欄に記載のモノマー及び重合連鎖移動剤を仕込み、窒素ガス置換を十分に行なった。
【0098】
一方、滴下ロート内を十分に窒素置換を行なった後、この滴下ロート内に、表1に示す「滴下モノマー」の欄に記載のモノマー及び重合連鎖移動剤とメチルエチルケトン10部及び2,2'- アゾビス(2,4- ジメチルバレロニトリル)1部を仕込んだ。
【0099】
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後、2,2'- アゾビス(2,4- ジメチルバレロニトリル)0.2 部をメチルエチルケトン2部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させた。この溶液を室温まで冷却した後、メチルエチルケトンを加えて、50重量%のポリマーA溶液を得た。
【0100】
得られたポリマーA溶液の一部を、標準物質としてポリスチレン、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
製造例4〜5〔末端にイオン性基を有する親水性アクリル系ポリマーであるポリマーB溶液の製造〕
反応容器内に、メチルエチルケトン5部、表2に示す「初期仕込モノマー」の欄に記載のモノマー及び重合連鎖移動剤を仕込み、窒素ガス置換を十分に行った。
【0103】
一方、滴下漏斗内を十分に窒素置換を行なった後、この滴下漏斗内に表2に示す「滴下モノマー」の欄に記載のモノマーとメチルエチルケトン10部及び2,2'- アゾビス(2,4- ジメチルバレロニトリル)1部を仕込んだ。更に、別の滴下ロート内を十分に窒素置換を行なった後、この滴下漏斗内に表2の「重合連鎖移動剤」の欄に記載の重合連鎖移動剤を仕込んだ。
【0104】
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート内の混合液を3時間かけて徐々に滴下し、同時に重合連鎖移動剤を仕込んだ滴下ロート内の重合連鎖移動剤を3.5 時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後、2,2'- アゾビス(2,4- ジメチルバレロニトリル)0.2 部をメチルエチルケトン2部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させた。室温まで冷却した後メチルエチルケトンを加えて、50重量%のポリマーB溶液を得た。
【0105】
得られたポリマーB溶液の一部を、標準物質としてポリスチレン、溶媒としてクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。その結果を表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
実施例1及び2
表3に示すポリマーA溶液10部に、表3に示す有機溶媒を加えて溶解させ、その中に表3に示すポリマーB及びイオン交換水100 部を加えてポリマーAを中和し、高圧分散機〔マイクロフルイダイザー:マイクロフルイデクス社製、品番:EH-110〕を用いて乳化を行った後、減圧して有機溶媒及び一部の水を除去し、固形分濃度が20重量%のポリマーエマルジョン組成物を得た。
【0108】
実施例3及び4
表3に示すポリマーA溶液10部に、表3に示す有機溶媒、又は有機溶媒と着色剤Cを加えて溶解させ、その中に表3に示すポリマーB及びイオン交換水25部を加えてポリマーAを中和し、3本ロールミルを用いて混練を行った後、イオン交換水100 部を加えて攪拌し、減圧して有機溶媒及び一部の水を除去し、固形分濃度が20重量%の顔料含有ポリマーエマルジョン組成物を得た。
【0109】
実施例5及び6
表3に示す着色剤C、又は着色剤C及び非着色剤Dを加えて溶解させたこと、及びポリマーBを加えた量がポリマーBの固形分量(部)であること以外は、実施例1及び2と同様にして固形分濃度が20重量%の染料含有ポリマーエマルジョン組成物を得た。
【0110】
比較例1
実施例2で用いたポリマーBを表3に示す中和剤に変更した以外は、実施例2と同様にして、顔料含有ポリマーエマルジョン組成物を得た。
【0111】
実施例1〜6及び比較例1で得られたポリマーエマルジョン組成物について下記方法により物性を評価した。その結果を表3に示す。
【0112】
(1) 保存安定性
ポリマーエマルジョン組成物を60℃の雰囲気中に3カ月保存した後の分散状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0113】
〔評価基準〕
○:分散状態が良好
×:分散状態が不良で、沈殿が発生
【0114】
(2) 皮膜の耐水性
ポリマーエマルジョン組成物を25℃で24時間乾燥させた皮膜を25℃の水に25時間浸漬し、皮膜の状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0115】
〔評価基準〕
○:全く溶解しない
△:少しだけ溶解する
×:大部分溶解する
【0116】
また、ポリマーエマルジョン組成物に含まれているエマルジョン粒子の平均粒径を大塚電子(株)製ELS-8000を用い、キュムラント解析で求めた。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100 回であり、分散溶媒である水の屈折率(1.333) を入力した。標準物質としては、セラディン(Seradyn) 社製のUniform Microparticles(粒径204nm)を使用した。その結果を表3に併記する。
【0117】
なお、表1〜3に記載の名称は、以下のことを意味する。
AS-6: 東亜合成(株)製、スチレンマクロマー、数平均分子量:6000
AW-6: 東亜合成(株)製、イソブチルメタクリレートマクロマー、数平均分子量:6000
FM-0711:チッソ(株)製、シリコーンマクロマー、数平均分子量:1000
M-90G:新中村化学(株)製、ポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキシドの付加モル数:9モル)
M-40G:新中村化学(株)製、ポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキシドの付加モル数:4モル)
【0118】
P.Y.74: ピグメント・イエロー74、東洋インキ製造(株)製、商品名ファーストイエロー7410 (顔料)
P.Bk.7: ピグメント・ブラック7 、キャボット社製、商品名:Monarch880 (顔料)
S.Bk.3: C.I.ソルベント・ブラック3 、オリエント化学(株)製、商品名:オイルブラック860 (油性染料)
SAP:フェニルサリシレート
PEO 酸:川研ファインケミカル(株)製、両末端カルボキシル基ポリエチレングリコール、重量平均分子量:1000
XTJ-506 :Huntsman Chemical 社製、片末端アミノ基ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合体、重量平均分子量:1000
MEK:メチルエチルケトン
【0119】
【表3】
【0120】
表3に示された結果から、各実施例で得られたポリマーエマルジョン組成物は、優れた保存安定性を有し、乾燥後には優れた耐水性を発現するものであることがわかる。
【0121】
実施例7〜10及び比較例2
実施例3〜6及び比較例1で得られた染料又は顔料含有ポリマーエマルジョン組成物を用いてインクジェット記録用水系インクを調製した。
【0122】
具体的には、実施例3〜6及び比較例1で得られた染料又は顔料含有ポリマーエマルジョン組成物40部、グリセリン5部、トリメチルグリシン10部、ポリエチレングリコールラウリル硫酸エステル〔花王(株)製、商品名:エマール20〕1部及びイオン交換水をインク全量が100 部となるように混合し、得られた混合液を平均孔径が0.5 μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5 cm、富士写真フイルム(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、それぞれ実施例3〜6及び比較例1に対応する実施例7〜10及び比較例2のインクジェット記録用水系インクを得た。
【0123】
実施例7〜10及び比較例2のインクジェット記録用水系インクについて、下記方法により物性を評価した。その結果を表4に示す。
【0124】
(1) 吐出安定性
キャノン(株)製のバブルジェットプリンター(型番:BJC-430)を用い、Xerox 4024用紙に100 枚テキスト印字(1500 文字)及び10枚ベタ印字し、印字後の印字品質を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0125】
〔評価基準〕
◎:ヨレ及びかすれなし
○:殆どヨレ又はかすれなし
△:少しヨレ又はかすれあり
×:ヨレ又はかすれあり
【0126】
(2) 耐水性
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた試料の特定箇所の印字濃度を測定した後、静水中に垂直に該コピー用紙を10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。
【0127】
25℃で24時間自然乾燥させた後、浸漬前と同じ箇所の印字濃度を測定し、浸漬前の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を式:
〔残存率〕=〔浸漬後の印字濃度〕/〔浸漬前の印字濃度〕×100
により求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0128】
〔評価基準〕
◎:残存率95%以上
○:残存率90%以上95%未満
△:残存率70%以上90%未満
×:残存率70%未満
【0129】
(3) 耐擦過性
前記プリンターを用い、Xerox 4024用紙にベタ印字し、25℃で24時間乾燥させた後、指で強く印字面を擦った。その印字のとれ具合を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0130】
〔評価基準〕
○:ほとんど印字がとれず、周りが汚れない
△:少し印字が擦りとられ、周りが少し汚れ、指も少し汚れる
×:かなり印字が擦りとられ、周りがかなりひどく汚れ、指も相当汚れる。
【0131】
【表4】
【0132】
表4に示された結果から、各実施例で得られた水系インクは、いずれも、吐出安定性が良好で、その印字物は優れた耐水性と耐擦過性等の堅牢性を有するものであることがわかる。
【0133】
【発明の効果】
本発明のポリマーエマルジョン組成物は、保存安定性及び耐水性に優れたものである。
【0134】
また、本発明の水系インクは、このポリマーエマルジョン組成物が用いられているので、耐水性及び耐擦過性に優れたものであり、更にインクジェット記録用インクでは、吐出安定性に優れたものである。
Claims (6)
- アニオン性基を有する水不溶性ポリマーAのエマルジョン粒子及び1分子中に1個のカチオン性基を有し、重量平均分子量が200〜6000の水溶性ポリマーBを含有してなるポリマーエマルジョン組成物。
- 水溶性ポリマーBが、末端に官能基を有するアルキレンオキサイド重合体である請求項1記載のポリマーエマルジョン組成物。
- アニオン性基を有する水不溶性ポリマーAのエマルジョン粒子及び1分子中に2個のカチオン性基を有し、重量平均分子量が500〜6000の水溶性ポリマーBを含有してなるポリマーエマルジョン組成物。
- 水不溶性ポリマーAのエマルジョン粒子が、水不溶性の着色剤C及び/又は水不溶性の非着色性化合物Dを含有するものである請求項1〜3いずれか記載のポリマーエマルジョン組成物。
- 水不溶性の着色剤Cが、有機顔料、無機顔料、油性染料、分散染料及び蛍光染料からなる群より選ばれた1種以上の着色剤である請求項4記載のポリマーエマルジョン組成物。
- 請求項4又は5記載の水不溶性の着色剤Cを含有する水不溶性ポリマーAのエマルジョン粒子が用いられたポリマーエマルジョン組成物を含有してなる水系インク。
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