JP3880137B2 - 樽詰め飲料注出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、樽詰め飲料の注出に用いる注出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲料樽として、ビール樽に代表されるように、ガス導入および飲料送出のための口金を備えたものがある。
この種の飲料樽からの飲料の注出に用いられる注出装置は、ガス供給部と飲料送出部とを有し前記飲料樽の口金に着脱可能に装着されるディスペンスヘッドと、飲料注出コックと、前記ディスペンスヘッドのガス供給部にガスボンベからの供給ガスを導くガス供給管と、前記ディスペンスヘッドの飲料送出部からの送出飲料を前記注出コックに導く飲料送出管とからなっている。
【0003】
この注出装置は、前記ディスペンスヘッドを介して飲料樽内にガスを供給し、そのガス圧により前記樽内から押し出される飲料を前記ディスペンスヘッドを介して前記飲料送出管により注出コックに導いて注出するものであり、ビールなどのように適温に冷やして飲用される飲料の注出装置は、飲料を冷却するための手段を備えている。
【0004】
この飲料冷却手段を備えた注出装置には、大別して、専用の電気冷蔵庫に飲料樽を収容して樽内の飲料を樽ごと冷却する方式のものと、前記飲料送出管の途中に飲料冷却器を設けて、この冷却器において注出コックに導かれる飲料を冷却する方式のものとがあり、さらに後者の方式の注出装置には、電動冷凍機を備えた飲料冷却器を用いるものと、氷を冷媒として注出飲料を冷却する飲料冷却器を用いるものとがある。
【0005】
これらの注出装置を比較すると、飲料樽を冷蔵庫に入れて樽内の飲料を樽ごとを冷却するものと、注出コックに導かれる飲料を電動冷凍機を備えた飲料冷却器により冷却するものは、いずれも、注出装置が大掛かりで価格が高く、また電源を必要とするために屋外のような電源のない所では使用できない。
【0006】
一方、注出コックに導かれる飲料を氷を用いる飲料冷却器により冷却するものは、注出装置がコンパクトで価格も安価であり、また電源が不要あるため、屋内、屋外を問わず、任意の場所で使用することができる。なお、この方式の注出装置としては、例えば特開平7−330090号公報に記載されているようなものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、氷を用いる飲料冷却器によって飲料を冷却する注出装置は、氷の消費が激しいという問題をもっている。
これは、飲料樽が外気温によって暖められ、その樽内から外気温に応じた温度の飲料が送出されて前記冷却器に送られるからであり、特に夏期における屋外パーティなどでの飲料注出では、飲料樽がかなり高温になって高い温度の飲料が冷却器に送られるため、飲料冷却器内の氷が、飲料との熱交換により急速に消費される。
【0008】
そのため、氷を用いる飲料冷却器によって飲料を冷却する注出装置は、前記冷却器内の氷の消費が激しく、その消費状況によっては前記冷却器内に氷を補給する必要がある。
【0009】
この発明は、注出する飲料を氷を用いて冷却するものでありながら、氷の消費を軽減して、経済的に注出飲料を冷却することができる樽詰め飲料注出装置を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の樽詰め飲料注出装置は、ガス導入および飲料送出のための口金を備えた飲料樽内にガスを供給し、そのガス圧により前記樽内から押し出される飲料を冷却して注出するための装置であって、
前記飲料樽をその周囲から冷却する樽冷却手段と、前記飲料樽の上方に配置される飲料注出ユニットとからなり、
前記樽冷却手段は、内外一対の筒状壁の間の空間に飲料樽冷却水を収容する環状タンクからなっており、この環状タンクの内側の空間に前記飲料樽が収容されるとともに、
前記飲料注出ユニットは、注出飲料を氷により冷却する飲料冷却器と、この飲料冷却器を前記環状タンクの内側の空間に収容する前記飲料樽の上方に支持する脚部と、前記飲料冷却器の外面に設けられた飲料注出コックと、ガス供給部と飲料送出部とを有し前記飲料冷却器の下方の空間に設けられて前記飲料樽の口金に着脱可能に装着されるディスペンスヘッドと、前記ディスペンスヘッドのガス供給部にガスボンベからの供給ガスを導くガス供給管と、前記ディスペンスヘッドの飲料送出部からの送出飲料を前記飲料冷却器を介して前記飲料注出コックに導く飲料送出管とからなっており、
前記環状タンクに、前記飲料冷却器を支持する脚部の下端を支持する脚受け部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
すなわち、この発明の注出装置は、前記樽冷却手段である環状タンクの内側の空間に飲料樽を収容し、この環状タンクの内外一対の筒状壁の間の空間に収容された飲料樽冷却水により前記飲料樽を周囲から冷却するとともに、この飲料樽からディスペンスヘッドを介して送出され飲料送出管により飲料注出コックに導かれる飲料を、前記飲料冷却器において氷により冷却し、その飲料を前記注出コックから注出するものである。
【0012】
この注出装置によれば、飲料樽が前記環状タンク内の冷却水により冷却され、この飲料樽からある程度冷却された飲料が送出されて前記飲料冷却器に送られるため、飲料との熱交換による前記冷却器内の氷の消費を軽減し、経済的に注出飲料を冷却することができる。
しかも、この注出装置によれば、前記環状タンクに脚受け部を設けて、前記飲料冷却器を支持する脚部を前記環状タンクに支持させるようにしているため、注出飲料を氷により冷却する飲料冷却器の重量を前記環状タンクで受けることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明の樽詰め飲料注出装置は、上記のように、樽冷却手段である環状タンクの内側の空間に飲料樽を収容し、この環状タンクの内外一対の筒状壁の間の空間に収容された飲料樽冷却水により飲料樽を冷却することにより、この飲料樽からある程度冷却された飲料を送出させて、飲料注出コックに導かれる飲料を冷却する前記飲料冷却器での氷の消費を軽減し、さらに、前記環状タンクに、前記飲料冷却器を支持する脚部の下端を支持する脚受け部を設けることにより、注出飲料を氷により冷却する飲料冷却器の重量を前記環状タンクで受けることができるようにしたものである。
【0015】
この冷却装置においては、前記飲料冷却器に、その内部の融氷水(氷が融けた冷水)を前記環状タンクに流入させる配水管を接続し、その融氷水を飲料樽冷却水として利用して飲料樽を冷却するのが好ましく、このようにすることにより、前記飲料冷却器の内部の氷だけでなく、その融氷水も有効に利用して飲料を冷却することができる。
また、前記ディスペンスヘッドは、前記飲料注出ユニットの飲料冷却器の下面から垂下するロッドに昇降可能に支持されてスプリング力により下方に押圧されるヘッド支持部材に、前記環状タンクの内側の空間に収容する飲料樽の口金の位置に対応させて支持させるのが好ましく、このようにディスペンスヘッドを設ければ、前記飲料注出ユニットを飲料樽の上方に配置したときに前記ディスペンスヘッドが自動的に飲料樽の口金に押し付けられるため、前記口金へのディスペンスヘッドの装着を容易に行なうことができる。
【0017】
また、前記脚部は、前記飲料冷却器の下方の空間を囲む筒状の脚部とし、その周面に、脚部内に手を差し込むための開口を設けるのが望ましく、このようにすれば、前記飲料冷却器の下方の空間に設けられた前記ディスペンスヘッドなどを前記脚部により外部から見えないように覆い隠して外観を良くすることができるとともに、飲料樽の口金に前記ディスペンスヘッドを装着する際に飲料樽をずれ動かないように手で押える作業などを、前記開口から手を差し込んで行なうことができる。
【0018】
【実施例】
以下、この発明を樽詰めビールの注出装置に適用した実施例を図面を参照して説明する。図1および図2はこの発明の一実施例による樽詰めビール注出装置を示しており、図1は注出装置の使用状態の断面図、図2は注出装置を構成する樽冷却手段とビール注出ユニットの斜視図である。
【0019】
まず、ビール樽1について説明すると、このビール樽1はステンレス鋼製のものであり、図1に示すように、樽上面の中心部にガス導入およびビール送出のための口金2を備えており、この口金2には、一般にフィッテイングと呼ばれる注出バルブ3が設けられている。
【0020】
前記注出バルブ3は、その内部構造は図示しないが、前記口金2に後述するディスペンスヘッド30を装着することによって開放されるバルブを備えたガス導入路とビール送出路とを有しており、前記ガス導入路は、注出バルブ3にビール樽1 の上面近く位置させて設けられた開口4を介して樽内に連通し、前記ビール送出路は、注出バルブ3からビール樽1 の底面近くに垂下されたダウンチューブ5を介して樽内に連通している。
【0021】
なお、この実施例の注出装置において使用するビール樽1は10リットル樽であり、この10リットル樽の高さは約300mm、直径は約250〜260mmである。
【0022】
次に、注出装置について説明すると、この注出装置は、前記ビール樽1内に炭酸ガスを供給し、そのガス圧により樽内から押し出される生ビール6を冷却して注出するものであり、図1および図2に示すように、前記ビール樽1をその周囲から冷却する樽冷却手段10と、前記ビール樽1の上方に配置されるビール注出ユニット20とからなっている。
【0023】
前記樽冷却手段10は、間隔を存して対向する内外一対の筒状壁12,13の下端縁に、これらの筒状壁12,13の間の間隙に対応する環状底板14の内外周縁を溶接して構成された金属製の環状タンク11からなっており、この環状タンク11の内側の空間、つまり内側の筒状壁12で囲まれた空間は、前記ビール樽収容空間とされている。
【0024】
この環状タンク11は、その内部、つまり両筒状壁12,13の間の空間にビール樽冷却水Bを収容し、その冷却水Bにより前記ビール樽1を周囲から冷却するものであり、この環状タンク11の外側筒状壁13の下端部には、前記冷水Bを排出するための排水栓15(図2参照)が設けられている。
【0025】
この環状タンク11の高さは、前記ビール樽1の高さとほぼ同程度(図ではビール樽1よりも若干低い高さ)とされ、前記ビール樽収容空間の径、つまり内側筒状壁12の径は、この内側筒状壁12がビール樽1の外周面(図1に示したような周面に補強用の凸条を有するビール樽の場合は前記凸条の頂面)にほぼ密に接するような径とされている。
【0026】
また、この環状タンク11内の上端部には、後述する脚部26の下端を支持する脚受け部16が、タンク周方向に間隔をおいて複数箇所(図2では3箇所)に設けられている。この脚受け部16は、タンク上端部における両筒状壁12,13の間隔を保持するスペーサを兼ねており、各脚受け部16は、その両側縁部を内側筒状壁12および外側筒状壁13の壁面に溶接して取付けられている。
【0027】
一方、前記ビール注出ユニット20は、内部に注出ビールを冷却するための氷Aを収容するビール冷却器21と、このビール冷却器21を前記環状タンク11の内側の空間に収容するビール樽1の上方に支持する脚部26と、前記ビール冷却器21の外面に設けられたビール注出コック29と、前記ビール冷却器21の下方の空間に設けられて前記ビール樽1の口金2に着脱可能に装着されるディスペンスヘッド30とを備えている。
【0028】
前記ビール冷却器21は、円筒体22内に円形底板23の周縁部を溶接して構成された金属製の円筒状容器からなっており、その内底部に、ビール冷却用熱交換器24が設けられている。なお、このビール冷却器21は、その上端の開放部を覆う着脱可能な蓋25を備えている。
【0029】
上記ビール冷却用熱交換器24は、その内部構造は図示しないが、例えば高い伝熱性を有する円板状部材の内部にビール流路を蛇行状または渦巻き状に設けたものであり、前記ビール流路を流れるビールを、熱交換器24上に積み上げてビール冷却器21内に収容される氷Aとの熱交換により冷却する。
【0030】
また、上記脚部26は、前記ビール冷却器21の下方の空間を囲む筒状の脚部である。この筒状脚部26は、ビール冷却器21を構成する円筒体22を下方に延長させて形成されており、その周面の一部には、脚部26内に手を差し込むための開口27が設けられている。
【0031】
さらに、この筒状脚部26は、その下端部の外周面が上記環状タンク11の外側筒状壁13の内周面にほぼ密に嵌合するように設計されており、ビール注出ユニット20は、前記筒状脚部26その下端部を環状タンク11の外側筒状壁13に嵌合させることによってビール注出ユニット20の中心が環状タンク11の中心に一致するように位置決めされ、前記筒状脚部26を介して環状タンク11の複数の脚受け部16に支持される。
【0032】
上記ディスペンスヘッド30は、従来のビール注出装置に用いられているものと同じものであり、その内部構造は図示しないが、ガス供給部31とビール送出部32とを有している。
【0033】
このディスペンスヘッド30は、その先端の口金装着部を上記ビール樽1の口金2にバヨネット係合により係合させて前記口金2に装着されるものであり、その装着は、前記口金装着部を前記口金2内に挿入し、ディスペンスヘッド30に設けられているセットレバー33の操作によりディスペンスヘッド30を周方向に回動させることによって行なわれる。
【0034】
このディスペンスヘッド30を前記口金2に装着すると、口金2の上述したガス導入路とビール送出路のバルブが開放され、ディスペンスヘッド30のガス供給部31とビール送出部32がそれぞれ口金2のガス導入路とビール送出路とに連通する。
【0035】
前記ディスペンスヘッド30は、ビール冷却器21の下面から垂下する複数本のロッド34に昇降可能に支持されてコイルスプリング35のスプリング力により下方に押圧されるヘッド支持部材36に、上記環状タンク11の内側の樽収容部に収容するビール樽1の口金2の位置に対応させて、周方向に回動可能に支持されており、そのセットレバー33は、その操作を上記筒状脚部26の外側で行なえるようにするために、筒状脚部26にその周方向沿わせて設けた長孔部28から脚部26外に突出させてある。
【0036】
また、このビール注出ユニット20は、前記ディスペンスヘッド30のガス供給部31に炭酸ガスボンベ41からの供給ガスを導くガス供給管37と、ディスペンスヘッド30のビール送出部32からの送出ビールを前記ビール冷却器21を介してビール注出コック29に導く第1および第2のビール送出管38a,38bとを備えている。
【0037】
前記ガス供給管37の一端は前記ディスペンスヘッド30のガス供給部31に接続されており、他端は前記筒状脚部26に設けた孔部を通してこの筒状脚部26の外側に導出されてガスボンベ装着用レギュレータ40に接続されている。
【0038】
前記レギュレータ40は、前記ビール冷却器21の外面に取付けられており、炭酸ガスボンベ41は、その口部をレギュレータ40にねじ込み装着して、このレギュレータ40に吊り下げ支持される。なお、このビール注出装置において使用する炭酸ガスボンベ41は軽量の小型ボンベであり、前記レギュレータ40に吊り下げるだけで十分支持することができる。
【0039】
一方、前記ビール送出管38a,38bのうち、第1のビール送出管38aの一端は前記ディスペンスヘッド30のビール送出部32にロータリージョイント(図示せず)を介して接続され、他端は前記ビール冷却器21内に設けられたビール冷却用熱交換器24のビール流路の流入口に接続されている。また、第2のビール送出管38bの一端は前記ビール冷却用熱交換器24のビール流路の流出口に接続され、他端はビール注出コック29に接続されている。
【0040】
さらに、このビール注出ユニット20は、前記ビール冷却器21内に溜まる融氷水(氷Aが融けた冷水)を上記環状タンク11に流入させるための配水管39を備えている。
【0041】
この配水管39は、上記筒状脚部26の下端からビール冷却器21の底面までの高さよりも若干大きい長さの可撓性ホースであり、その基端はビール冷却器21の底板23の一部に設けた排水口に接続され、先端は自由端とされている。
【0042】
なお、前記ビール冷却器21内のビール冷却用熱交換器24は、図1に示すように、ビール冷却器21の容器内径よりも若干小径に形成されているとともに、その底面の複数箇所に突設した脚部24aにより、ビール冷却器21の底板23から浮かせた状態で設けられており、したがって、前記熱交換器24上に積み上げてビール冷却器21内に収容された氷Aが解けた融氷水は、前記熱交換器24の周囲からビール冷却器21の底板23上に流れ込んで前記排水口から配水管39に流入する。
【0043】
上記樽詰めビール注出装置は、屋内、屋外を問わず、任意の場所で使用できるものであり、樽冷却手段10である環状タンク11とビール注出ユニット20とを分離した状態でビール樽1とともにパーティ開催場などに運ばれ、現地で組立てて使用される。
【0044】
前記ビール注出装置の組立ては、次の手順で行なう。
まず、注出装置の設置箇所(床上、テーブル上、地上など)に、ビール樽1と環状タンク11とを、環状タンク11の内側の空間にビール樽1を収容した状態で置く。
【0045】
次に、ビール注出ユニット20を前記環状タンク11の上に載せ、この注出ユニット20の筒状脚部26の下端部を環状タンク11の外側筒状壁13に嵌合させることにより、この注出ユニット20をその中心が環状タンク11の中心に一致するように位置決めし、その状態で注出ユニット20を下げ降ろして、前記筒状脚部26の下端を環状タンク11の複数の脚受け部16に支持させる。
【0046】
このように、ビール注出ユニット20をその中心が環状タンク11の中心に一致するように位置決めすると、この注出ユニット20のビール冷却器21の下方の空間に上述したヘッド支持部材36に支持させて設けられているディスペンスヘッド30が、環状タンク11の内側の空間にその内側筒状壁12に樽外周面がほぼ密に接する状態で収容されたビール樽1の口金2の位置に対応する状態になる。
【0047】
また、その状態で注出ユニット20を下げ降ろすと、前記ディスペンスヘッド30の先端の口金装着部がビール樽1の口金2に入り込み、注出ユニット20の下げ降ろしにともなって圧縮されるコイルスプリング35のスプリング力により、ディスペンスヘッド30が前記口金2に押し付けられる。
【0048】
このようにして環状タンク11の上にビール注出ユニット20を設置した後は、筒状脚部26の外側に突出しているセットレバー33の操作してディスペンスヘッド30を周方向に回動させ、その先端の口金装着部を口金2にバヨネット係合により係合させて、口金2にディスペンスヘッド30を装着する。
【0049】
この場合、ビール樽1は、環状タンク11の内側の空間にほぼ密に嵌合する状態で収容されて床上または地上に置かれているだけであるが、前記筒状脚部26に設けられている開口27から脚部26内に手を差し込んでビール樽1をずれ動かないように押さえながらセットレバー33の操作すれば、ディスペンスヘッド30を確実に口金2に装着することができる。
【0050】
また、前記ビール冷却器21内の融氷水を上記環状タンク11に流入させるための配水管39は、前記筒状脚部26の開口27から手を差し込んで環状タンク11内に挿入する。
【0051】
次に、前記ビール注出ユニット20の外面(ビール冷却器21の外面)に取付けられているレギュレータ40に、炭酸ガスボンベ41を、その口部を前記レギュレータ40にねじ込み装着して取付ける。
【0052】
その後は、前記レギュレータ40のバルブを開いて炭酸ガスボンベ41から炭酸ガスをガス供給管37およびディスペンスヘッド30を介してビール樽1内に供給し、また、ビール注出ユニット20のビール冷却器21内に充分な量の氷Aを入れてビール注出準備を完了する。
【0053】
このように炭酸ガスボンベ41から炭酸ガスをビール樽1内に供給すると、そのガス圧によってビール樽1内から押し出される生ビール6が、ディスペンスヘッド30および第1のビール送出菅38aを通ってビール冷却器21内のビール冷却用熱交換器24に流入し、その内部のビール流路を流れる過程でビール冷却器21内に収容された氷Aとの熱交換により冷却される。
【0054】
したがって、ビール注出コック29を開けば、ビール冷却器21において冷やされたビールが第2のビール送出管38bを通ってビール注出コック29から注出される。
【0055】
また、前記ビール冷却器21の氷Aはビールとの熱交換により徐々に融けてゆくが、その融氷水は配水管39を通って環状タンク11内に流入し、ビール樽1を冷却する冷却水Bとして環状タンク11内に蓄えられ、この冷却水(融氷水)Bによりビール樽1が周囲から冷却される。
【0056】
すなわち、上記注出装置は、樽冷却手段である環状タンク11の内側の空間にビール樽1を収容し、この環状タンク11に、ビール注出ユニット20のビール冷却器21からその内部の融氷水を流入させることにより、その融氷水をビール樽冷却水Bとして利用して、前記ビール樽1を周囲から冷却するとともに、このビール樽1からディスペンスヘッド30を介して送出されビール送出管38a,38bによりビール注出コック29に導かれるビールを、前記ビール冷却器21において氷Aにより冷却し、そのビールを前記注出コック29から注出するものである。
【0057】
この注出装置によれば、ビール樽1が前記環状タンク11内の冷却水Bにより冷却され、このビール樽1からある程度冷却されたビールが送出されてビール冷却器21に送られるため、ビールとの熱交換による前記冷却器21内の氷Aの消費が軽減される。
【0058】
ただし、ビールの注出初期、つまり環状タンク11内がビール冷却器21からの融氷水の流入がほとんどない空の状態にあるときは、ビール樽1の冷却は行なわれない。
【0059】
そのため、パーティ開催場などに運ばれてきたビール樽1があらかじめ冷却されていない場合は、ビールの注出初期にビール樽1からビール冷却器21に送られるビールの温度が高く、したがって注出初期はビール冷却器21内の氷Aの消費が多い。
【0060】
しかし、ビールの注出開始後は、時間の経過およびビール注出の繰り返しにともなってビール冷却器21内の氷Aが徐々に融け、その融氷水が環状タンク11に流入して環状タンク11内に冷却水(融氷水)Bが徐々に蓄えられて、その冷却水Bによりビール樽1が周囲から冷却されるため、ビール樽1からある程度冷やされたビールがビール冷却器21に送られるようになり、それにともなってビール冷却器21内の氷Aの消費が少なくなってゆくため、ビールの注出開始時から注出終了時までの氷Aの総消費量は、上記環状タンク11を使用しない場合に比べてはるかに少ない。
【0061】
なお、パーティ開催場などへのビール樽1の運送に保冷車を使用すれば、ビールの注出準備を行なう時間中の外気温によるビール樽1のある程度の昇温があったとしても、ビール注出初期にビール樽1からビール冷却器21に送られるビールの温度は低く、したがって、ビール注出初期のビール冷却器21内の氷Aの消費を少なくすることができる。
【0062】
そして、この場合も、ビール冷却器21内の氷Aが融けてゆくのにともなって環状タンク11内に冷却水(融氷水)Bが蓄えられ、その冷却水Bによりビール樽1が周囲から冷却されて、外気温によるビール樽1の昇温が抑制されるため、常にビール樽1から低温のビールをビール冷却器21に送られ、ビールの注出開始時から注出終了時までの氷Aの消費が軽減される。
【0063】
そして、上記注出装置では、ビール冷却器21内の融氷水を環状タンク11に流入させ、その融氷水をビール樽冷却水Bとして利用してビール樽1を冷却するようにしているため、前記ビール冷却器21に収容した氷Aだけでなく、その融氷水も有効に利用して、経済的にビールを冷却することができる。
【0064】
また、上記冷却装置においては、ビール注出ユニット20にレギュレータ40を取付けて、このレギュレータ40に炭酸ガスボンベ41を取付けるようにしているため、ガスボンベを別置きする場合のようにガスボンベやガス供給管が通行の邪魔になるようなことはない。
【0065】
なお、上記実施例では、前記レギュレータ40をビール注出ユニット20に設けているが、このレギュレータ40は樽冷却手段である環状タンク11の外面に設けてもよい。
【0066】
さらに、上記注出装置では、ビール注出ユニット20に設けるディスペンスヘッド30を、ビール冷却器21の下面から垂下するロッド34に昇降可能に支持されてスプリング力により下方に押圧されるヘッド支持部材36に、環状タンク11の内側の空間に収容するビール樽1の口金2の位置に対応させて支持させているため、ビール注出ユニット20をビール樽1の上方に配置したときに前記ディスペンスヘッド30が自動的にビール樽1の口金2に押し付けられるから、前記口金2へのディスペンスヘッド30の装着を容易に行なうことができる。
【0067】
また、上記注出装置では、前記ビール冷却器21を支持する脚部26を、環状タンク11に前記脚部26の下端を支持する脚受け部16を設けて、この環状タンク11に支持させるようにしているため、氷Aを収容するビール冷却器21の重量を前記環状タンク11で受けることができる。
【0068】
しかも、前記脚部26を、前記ビール冷却器21の下方の空間を囲む筒状の脚部とし、その周面に、脚部26内に手を差し込むための開口27を設けているため、ビール冷却器21の下方の空間に設けられた前記ディスペンスヘッド30などを脚部26により外部から見えないように覆い隠して外観を良くすることができるとともに、ビール樽1の口金2にディスペンスヘッド30を装着する際にビール樽1をずれ動かないように手で押える作業などを、前記開口27から手を差し込んで行なうことができる。
【0069】
なお、上記実施例の注出装置では、ビール樽冷却手段10である環状タンク11を、ビール樽1の周囲だけを囲む構造のものとしているが、この環状タンク11は、図3に示す他の実施例のように、ビール樽1の周囲と底部を囲む構造のものとしてもよく、このような構造の環状タンク11を用いれば、ビール樽1を周囲からだけでなく底側からも冷却することができる。この図3に示す他の実施例の注出装置は、環状タンク11の構造が異なるだけで、他の構成は上述した実施例のものと同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0070】
また、上記実施例では、ビール注出ユニット20のビール冷却器21内に設けるビール冷却用熱交換器24を、内部にビール流路を蛇行状または渦巻き状に設けた構造のものとしたが、ビール冷却用熱交換器は、ビール冷却器21内にビール導管を蛇行状または渦巻き状あるいはコイル状に配管して構成してもよい。
【0071】
さらに、上記実施例では、環状タンク11の上端を開放させたままにしているが、この環状タンク11にその上端の開放部を覆う蓋を備えさせてもよく、その場合は前記蓋にビール注出ユニット20の脚部26の下端を支持させてもよく、また、前記ビール注出ユニット20の脚部26は、ビール樽1の上部に支持させるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施例の注出装置は樽詰めビールの注出に用いるものであるが、この発明は、ワインなどの酒類やその他の樽詰め飲料を注出する注出装置に広く適用できることはもちろんである。
【0073】
【発明の効果】
この発明の樽詰め飲料注出装置は、樽冷却手段である環状タンクの内側の空間に飲料樽を収容し、この環状タンクの内外一対の筒状壁の間の空間に収容された飲料樽冷却水により前記飲料樽を冷却することにより、この飲料樽からある程度冷却された飲料を送出させて、飲料注出コックに導かれる飲料を冷却する前記飲料冷却器での氷の消費を軽減したものであるから、注出する飲料を氷を用いて冷却するものでありながら、前記飲料冷却器内に収容した氷の消費を軽減して、経済的に注出飲料を冷却することができる。
そして、この注出装置では、前記環状タンクに脚受け部を設けて、前記飲料冷却器を支持する脚部を前記環状タンクに支持させるようにしているため、注出飲料を氷により冷却する飲料冷却器の重量を前記環状タンクで受けることができる。
この発明の冷却装置においては、前記飲料冷却器に、その内部の融氷水(氷が融けた冷水)を前記環状タンクに流入させる配水管を接続し、その融氷水を飲料樽冷却水として利用して飲料樽を冷却するのが好ましく、このようにすることにより、前記飲料冷却器の内部の氷だけでなく、その融氷水も有効に利用して飲料を冷却することができる。
また、この発明の注出装置において、前記飲料注出ユニットに備えさせるディスペンスヘッドを、前記飲料注出ユニットの飲料冷却器の下面から垂下するロッドに昇降可能に支持されてスプリング力により下方に押圧されるヘッド支持部材に、前記環状タンクの内側の空間に収容する飲料樽の口金の位置の位置に対応させて支持させれば、前記飲料注出ユニットを飲料樽の上方に配置したときに前記ディスペンスヘッドが自動的に飲料樽の口金に押し付けられるため、前記口金へのディスペンスヘッドの装着を容易に行なうことができる。
【0075】
また、前記脚部を、前記飲料冷却器の下方の空間を囲む筒状の脚部とし、その周面に、脚部内に手を差し込むための開口を設ければ、前記飲料冷却器の下方の空間に設けられた前記ディスペンスヘッドなどを前記脚部により外部から見えないように覆い隠して外観を良くすることができるとともに、飲料樽の口金に前記ディスペンスヘッドを装着する際に飲料樽をずれ動かないように手で押える作業などを、前記開口から手を差し込んで行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例を示す樽詰めビール注出装置の断面図。
【図2】 前記注出装置を構成する樽冷却手段とビール注出ユニットの斜視図。
【図3】 この発明の他の実施例を示す樽詰めビール注出装置の断面図。
【符号の説明】
1…ビール樽
2…口金
10…ビール樽冷却手段
11…環状タンク
12,13…筒状壁
16…脚受け部
B…冷却水(融氷水)
20…ビール注出ユニット
21…ビール冷却器
26…環状脚部
27…開口
29…注出コック
30…ディスペンスヘッド
31…ガス供給部
32…ビール送出部
34…ロッド
35…スプリング
36…ヘッド支持部材
37…ガス供給管
38a,38b…ビール送出管
40…レギュレータ
41…ガスボンベ
Claims (4)
- ガス導入および飲料送出のための口金を備えた飲料樽内にガスを供給し、そのガス圧により前記樽内から押し出される飲料を冷却して注出するための装置であって、
前記飲料樽をその周囲から冷却する樽冷却手段と、前記飲料樽の上方に配置される飲料注出ユニットとからなり、
前記樽冷却手段は、内外一対の筒状壁の間の空間に飲料樽冷却水を収容する環状タンクからなっており、この環状タンクの内側の空間に前記飲料樽が収容されるとともに、
前記飲料注出ユニットは、注出飲料を氷により冷却する飲料冷却器と、この飲料冷却器を前記環状タンクの内側の空間に収容する前記飲料樽の上方に支持する脚部と、前記飲料冷却器の外面に設けられた飲料注出コックと、ガス供給部と飲料送出部とを有し前記飲料冷却器の下方の空間に設けられて前記飲料樽の口金に着脱可能に装着されるディスペンスヘッドと、前記ディスペンスヘッドのガス供給部にガスボンベからの供給ガスを導くガス供給管と、前記ディスペンスヘッドの飲料送出部からの送出飲料を前記飲料冷却器を介して前記飲料注出コックに導く飲料送出管とからなっており、
前記環状タンクに、前記飲料冷却器を支持する脚部の下端を支持する脚受け部が設けられていることを特徴とする樽詰め飲料注出装置。 - 前記飲料冷却器に、その内部の融氷水を前記環状タンクに流入させる配水管が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の樽詰め飲料注出装置。
- 前記ディスペンスヘッドは、前記飲料冷却器の下面から垂下するロッドに昇降可能に支持されてスプリング力により下方に押圧されるヘッド支持部材に、前記環状タンクの内側の空間に収容する前記飲料樽の口金の位置に対応させて支持されていることを特徴とする請求項1に記載の樽詰め飲料注出装置。
- 前記脚部は、前記飲料冷却器の下方の空間を囲む筒状をなしており、その周面に、脚部内に手を差し込むための開口が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樽詰め飲料注出装置。
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