JP3880082B2 - インクジェット記録方法及びインクセット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、黒色を含む複数の色のインクを用い、これらの原色インクを組合わせて被記録材にカラー画像を記録する方法に関し、とりわけインクジェット記録方式による画像記録において、充分な画像濃度を有し、鮮明で高品質な画像の得られるインクジェット方式による記録方法、及びインクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、高電圧印加による静電吸引方式、圧電素子を用いてインク(着色インク)に機械的振動または変位を与える方式、インクを加熱した際にインクが発泡する圧力を利用する方式等、種々のインク吐出方式によりインクの小滴を発生させ、これを飛翔させて紙等の被記録材に付着させ、インクドットを形成させて記録を行うものであり、騒音の発生が少なく、高速印字、多色印字の行える記録方法である。
【0003】
上記の様なインクジェット記録方式を用いて記録された記録画像は、例えば、被記録材として紙や所謂インクジェット記録用紙等を用いて記録がされた場合には表面画像観察用として、或いは、被記録材として透光性を有する被記録材を用いて記録がされた場合には、スライドやOHP(オーバーヘッドプロジェクター)等の光学機器によりスクリーン等へ投影して観察する際に用いられるものとして、更に、カラー印刷のポジ版を作製する際の色分解版として、又、液晶等のカラーディスプレイに用いるCMF(カラーモザイクフィルター)として使用する等、種々の用途に適用される。
【0004】
一方、インクジェット記録法によりカラー画像を形成する場合には、減法混色法による記録方法が代表的な方法として挙げられる。減法混色法によりカラー画像が形成される場合には、一般にシアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の三原色が使用されている。
【0005】
この三原色を同一画素に混合して(即ち、異色のインク滴を、同一画素に重ねて付着させて記録して)表現することのできる色は、基本的には次の四色であり、C、M及びYの三原色によって表される基本的な色は、C、M、Y、R、G、B及びBkの七色となる。尚、これらの七色で構成される多色画像はフォールスカラー画像と称されている。
(1)C+M→B(ブルー)
(2)C+Y→G(グリーン)
(3)M+Y→R(レッド)
(4)C+M+Y→Bk(ブラック)
即ち、この様な記録法によって記録を行う場合には、基本的には、C、M及びYの三原色用の色の異なる3種類のインクを用意しておけばよい。
【0006】
しかしながら、C、M及びYの3原色インクによってBkを表す場合には、C、M及びYの3原色のインク滴を全て重ねてBkが印字され、しかも各色のインクについて同程度の容量のインク滴が用いられる為、被記録材上の一箇所に多量のインク滴が重なって付着する。そして、それにより形成されたBkドットが、Bk以外の色に記録される部分のドットと比較して必要以上に拡大する為、その部分に線の太りを生じ不自然な画像となったり、その部分のインク量が多い為に被記録材によるインク吸収不良を起こすという問題がある。更に、記録が行われる場合には、一般にBkによって記録される頻度が高い為、この問題は重要である。
【0007】
この為、一般的には、Bkを表す場合には、C、M及びYの3原色インクに加えてBkインクが追加され4色のインクが使用されている。ところが、C、M、Y及びBkの4色のインクを用いて記録を行う場合には、上記した様に、B、G、及びRの印字部においては、色の異なる2種類のインク滴が重ね打ちされる。この際、特に被記録材がサイズ剤を含む上質紙である場合には、増量したインク滴を吸収するのにある程度の時間を要する為、吸収する間に被記録材の断面方向に限らず、紙の繊維間のあらゆる方向の空隙にインク滴が入り込むことが生じる。この結果、不均一なドットを形成し、不規則な線太り、所謂フェザリングを生じ、記録画像のエッジのシャープさに欠け、不鮮明な画像となってしまうという問題がある。
更に、色の異なる2種類のインク滴を隣接させて打ち込んだ場合にも、その境界部においてインクが未定着のまま部分的に混じり合い、その結果、異色間の境界滲みが生じ、不鮮明な画像となるという問題がある。
【0008】
以上の様な問題を解決する1つの方法としては、各色インクの表面張力を低下させ、被記録材の濡れ性を向上させることにより、インク滴の被記録材への浸透速度を大きくすることが考えられる。
しかしながら、表面張力を低下させたインクでは、被記録材上で必要以上にドットが拡大して線太りを生じたり、又、浸透速度が速くなることで色材の被記録材内部への沈み込みが著しくなって、色濃度の低下が起こり得るという問題がある。
【0009】
特にBkインクは、先に述べた様に画像の場合にもよく使われるが、文字を記録する場合には更に使用頻度が高く、文字にした際の色濃度を他色よりも高くて、しかも不自然な線太りのないシャープなエッジを形成させた方が、見た目の印象がより好ましい画像となる。そこで、多色インクのうちのBkのみをある程度高い表面張力のインクで記録し、被記録材への浸透速度下げると、確かに高い色濃度を有する鮮明な黒色画像が得られるが、この場合には、Bkインクと他色インクが重ねられた際のフェザリングの問題や、Bk画像と隣接する他色画像との境界滲みの問題が解消されなくなってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、黒色(Bk)を含む3色以上のインクによってカラー画像を記録するインクジェット記録方法において、特に汎用性の高いサイズ度の高い記録紙を用いた場合にも、高色濃度でシャープなエッジを有する黒色画像を形成し得るインクジェット記録方法及びその様なインクセットを提供することにある。
又、黒色インクと異色インクの2つのインクを同時に重ねて印字した場合にも、画像に不規則な線太りがなく、且つ色の異なる2つのインクを用いて隣接して印字を行った場合にも画像の境界滲みを発生することのない、鮮明なカラー画像を形成し得るインクジェット記録方法及びその様なインクセットを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明により達成することが出来る。即ち、本発明は、黒色を含む少なくとも3色以上のインクの組み合わせを用い、これらのインクをインクジェット方式によって被記録材に付与してカラー画像を記録するインクジェット記録方法において、黒色インクが少なくともカチオン性水溶性樹脂と顔料とを含み、且つ黒色以外の色のカラーインクが少なくともアニオン性高分子物質で分散された顔料とアニオン性界面活性剤とを含み、且つ該黒色のインクの普通紙に対する浸透速度が、該カラーインクのそれよりも遅いことを特徴とするインクジェット記録方法である。
又、本発明の一実施態様は、黒色を含む少なくとも3色以上のインクの組み合わせからなるインクセットにおいて、黒色インク中に少なくともカチオン性水溶性樹脂と顔料とが含まれ、且つ黒色以外の色のカラーインク中に少なくともアニオン性高分子物質で分散された顔料とアニオン性界面活性剤とが含有されており、該黒色インクの普通紙に対する浸透速度が、該カラーインクのそれよりも遅いことを特徴とするインクセットである
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録方法によれば、黒色を含む少なくとも3色以上のインクを用いてカラー画像を形成する場合に、黒色インク中に少なくともカチオン性水溶性樹脂と顔料が含まれ、且つ黒色以外のカラーインク中に少なくともアニオン性高分子物質で分散された顔料とアニオン性界面活性剤とが含まれている為、黒色インクと黒色以外の色のカラーインクをほぼ同時に重ね打ちしたり、或いは何れかのインクが被記録材上で乾燥状態になる前に、その色と異なるインクを隣接させて打ち込んだ場合にも混色を抑制することが出来るので、不定形な線太りによるフェザリングや、隣接する異色間の境界滲みを軽減することが可能となる。
【0013】
更に、黒色インクの表面張力を40dyne/cm以上とすると、サイズ度の高い普通紙等の被記録材において、インクの被記録材内部への浸透速度が抑えられる為、インクが沈み込むことなく、高い色濃度とシャープなエッジを有する黒色画像が得られる。
又、一方、本発明で使用される黒色インク以外のカラーインクについても、表面張力を40dyne/cm以下とすれば、被記録材内部への浸透が早く、重ね打ちした際のフェザリングや隣接させて印字した場合における境界滲みを回避することが出来る。
【0014】
次に、本発明の好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明に用いる黒色インクに含有されるべき必須成分は、(1)カチオン性水溶性樹脂と顔料である。又、本発明に用いる黒色以外の色のカラーインクに含有されるべき必須成分としては(2)アニオン性高分子物質で分散された顔料とアニオン性界面活性剤とを必須成分とする。以下、その夫々について説明する。
【0015】
(1)カチオン性水溶性樹脂と顔料を少なくとも含有する黒色インク
本発明に用いることの出来る態様の黒色インクは、カチオン性の化合物と顔料とを必須成分とするインクである。該黒色インクに用いられるカチオン性化合物としては、以下に示す様なカチオン性の水溶性樹脂を用いる。これらの樹脂は、顔料分散剤として含有されてもよいし、或いは分散剤とは別に添加されてもよい。後者の場合には、顔料分散剤として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を使用することが出来る。
【0016】
カチオン性の水溶性樹脂としては、例えば、カチオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体を用いるのが好ましい。本発明に用いられるカチオン性モノマーとしては、下記の如きモノマーの4級化された化合物が挙げられる。
N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート[CH2=C(CH3)-COO-C2H4N(CH3)2]、
N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート[CH2=CH-COO-C2H4N(CH3)2]、
N,N-ジメチルアクリルアミド[CH2=CH-CON(CH3)2]、
N,N-ジメチルメタクリルアミド[CH2=C(CH3)-CON(CH3)2]、
N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド[CH2=CH-CONH-C3H6N(CH3)2] 、
N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド[CH2=C(CH3)-CONH-C3H6N(CH3)2]
尚、これらの化合物を4級化するには、塩化メチル、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、エピクロルヒドリン等を用いて、常法で行えばよい。
【0017】
又、本発明における水溶性樹脂に用いられる疎水性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン類、アクリロニトリル及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル類がある。ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、3−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−エトキシブチルアクリレート、3−エトキシブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ハーフエステル化に用いられるアルコール成分としては、メタノール、エタノール、プロパノール、任意に用いられるモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
【0018】
上記の様な、カチオン性モノマーと疎水性モノマーとを共重合させる場合には、共重合体中のカチオン性モノマーと疎水性モノマーとの重量比率を、10:90〜40:60の範囲とするのが好ましい。これらの樹脂は、水に可溶、或いは酸性に調整された水溶液に可溶である。尚、この様な水溶性樹脂は、インク中にインク全体の0.1〜5重量%の範囲で含有させることが好ましい。
【0019】
この際に用いられるpH調整剤としては、水溶液中で酸性を示すものならどの様なものでもよいが、例えば、塩酸、酢酸及びカルボキシル基を有する化合物、炭酸、硫酸及びスルホン基を有する化合物、硝酸、りん酸化合物、亜硫酸、亜硝酸等が挙げられる。しかし、水溶液中で酸性を示すものならば、これらに限定されるものではない。
【0020】
本発明で使用する黒色インク中に含有される顔料について説明する。顔料の量は、インク全体の1〜20重量%、好ましくは2〜12重量%の範囲で用いることが好ましい。又、本発明において、黒色インク用の顔料は、上記性能を満足するものならばどの様なものでも使用可能である。例えば、黒色顔料のカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックであって、一次粒子径が15〜40mμ、BET法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9である等の特性を有するものが好ましく用いられる。この様な特性を有する市販品のカーボンブラックとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、#2200B(以上、三菱化成製)、Raven 1255(以上、コロンビア製)、Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L(以上、キャボット製)、Color Black FWl、Color Black FW18、Color Black S170、Color Black S150、Printex 35、Printex U(以上、デグッサ製)等があり、何れも好ましく使用することが出来る。又、上記のものの他、本発明の為に新たに製造された顔料も、勿論、使用することが可能である。
【0021】
以上の如き、黒色インクを構成する顔料及び水溶性樹脂(分散剤)は、水性液媒体中に分散又は溶解される。この際に好適に用いられる水性液媒体は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒であり、水としては種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
【0022】
又、水と混合して使用される水溶性有機溶剤としては、具体的には例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも特にジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
【0023】
更に、吐出の安定性を得る為にはインク中に、エタノール、或いはイソプロピルアルコールを1%以上添加することが効果的である。これらの溶剤を添加することによってインクの薄膜抵抗体上での発泡をより安定に行うことが出来るからと考えられている。
【0024】
本発明に用いられる黒色インク中に含有させる上記の様な水溶性有機溶剤の含有量としては、一般的には、インク全体の3〜50重量%の範囲とするのが好ましく、更には3〜40重量%の範囲とするのが好ましい。
又、本発明に用いられる黒色インクは、上記の成分の他に、所望の物性値を持つインクとする為に必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を適宜に添加することが出来、更に、市販の水溶性染料等を適宜に添加することも出来る。
【0025】
例えば、界面活性剤としては、インクに対して保存安定性等の悪影響を及ぼさないものであれば限られるものではなく、例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性剤があり、これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用出来る。その使用量は分散剤により異なるが、インク全量に対して0.01〜5重量%とするのが望ましい。この際、インクの表面張力が、40dyne/cm以上、更に好ましくは、40〜60dyne/cmになる様に界面活性剤の添加量を決定するとよい。40dyne/cm以下であると、インクの被記録材内部への浸透速度が早くなる為、フェザリングや色濃度の低下が起こってしまう。又、60dyne/cm以上であると浸透速度が遅い為、定着性が悪くなってしまう。
【0026】
上記した様な成分からなる黒色インクの作製方法としては、先ず、顔料の分散剤である水溶性樹脂と、水が少なくとも含有されている水性媒体とからなる混合液中に顔料を添加し、撹拌した後、後述の分散手段を用いて顔料の分散を十分に行い、更に必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、この顔料分散液にサイズ剤、及び、上記で挙げた様な適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌して黒色インクとする。
又、樹脂を溶解させる為に必要であれば、前述した様に酸を添加することが必要となる。
【0027】
更に、上記の製造方法において、顔料を含む水性媒体を攪拌して分散処理する前に、プレミキシングを30分間以上行うと効果的である。この様なプレミキシング操作によって、顔料表面の濡れ性が改善され、顔料表面への分散剤の吸着を促進させることが出来る為、好ましい。
【0028】
又、本発明において顔料の分散処理の際に使用する分散機としては、一般に使用される分散機ならば如何なるものでもよく、例えば、ボールミル、ロールミル及びサンドミル等が挙げられる。その中でも、高速型のサンドミルが特に好ましく使用される。この様なものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
【0029】
尚、本発明において、所望の粒度分布を有するカーボンブラック等の顔料を得る方法としては、上記の様な分散機を使用して分散する場合に、粉砕メディアのサイズを小さくする、粉砕メディアの充填率を大きくする、処理時間を長くする、吐出速度を遅くする、粉砕後にフィルターや遠心分離機等で分級する、或いはこれらの手法を組合せた手法等が挙げられる。
【0035】
次に、カラーインクに含有させる水溶性有機溶剤について説明する。
具体的な水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の1価のアルコール類;グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルホキサイド等が用いられる。
【0036】
上記の様な水溶性有機溶剤のインク中の含有量については、特に制限はないが、インクの全体の1〜60重量%とするのが好ましく、より好ましくは5〜30重量%の範囲である。
又、更に本発明の効果を一層高める為に、以上説明した成分の他に、インク中にアニオン性の界面活性剤及びアニオン性の高分子物質を添加する。或いは、両性界面活性剤をその等電点以下のpHに調整して使用してもよい。又、この際、インクの表面張力が、40dyne/cm以上、更に好ましくは、40〜60dyne/cmになる様に界面活性剤の添加量を決定するとよい。40dyne/cm以下であると、インクの被記録材内部への浸透速度が早くなる為、フェザリングや色濃度の低下が起こってしまう。又、60dyne/cm以上であると浸透速度が遅い為、定着性が悪くなってしまう。
【0037】
アニオン性界面活性剤の例としては、カルボン酸塩型、硫酸エステル型、スルホン酸塩型及び燐酸エステル型等、一般的なものを問題なく使用することが出来る。
又、アニオン性高分子の例としては、アルカリ可溶型の樹脂、具体的には、ポリアクリル酸ソーダ或いは高分子の一部にアクリル酸を共重合したもの等を挙げることが出来るが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0038】
(2)アニオン性高分子物質で分散された顔料とアニオン性界面活性剤を含有するカラーインク
本発明に用いるカラーインクは、アニオン性の化合物と顔料とを必須成分とするインクである。
先ず、該カラーインクに含有される顔料について説明する。顔料の量は、インク全体の1〜20重量%、好ましくは2〜12重量%の範囲で用いることが好ましい。又、本発明において、カラーインク用の顔料は上記性能を満足するものならどの様なものでも使用可能であるが、以下に各色毎に好ましく使用し得る顔料について説明する。
【0039】
イエローインクに使用される顔料としては、具体的に例えば、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 83等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、本発明に為に新たに製造されたものでも使用可能である。
【0040】
マゼンタインクに使用される顔料としては、具体的に例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、本発明に為に新たに製造されたものでも使用可能である。
【0041】
シアンインクに使用される顔料としては、具体的に例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 6等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、本発明に為に新たに製造されたものでも使用可能である。
【0042】
本発明に使用されるカラーインク中に含有される上記の様な顔料の分散剤としては、水溶性樹脂であるアニオン性高分子物質を使用るが、重量平均分子量が、1,000〜30,000の範囲が好ましい。更に好ましくは、3,000〜15,000の範囲である。具体的には例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等;アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド及びその誘導体から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、或いはランダム、グラフト共重合体、又、これらの塩等が挙げられる。或いは、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂も使用出来る。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶で、アルカリ可溶型樹脂である。尚、前記水溶性樹脂はインク全体の0.1〜5重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0043】
更に、本発明で使用される上記の態様のカラーインクは、前記水溶性樹脂の溶解性を向上させ、一層の長期保存性に優れたインクとすることが出来るので、インク全体が中性又はアルカリ性に調整されていることが好ましい。但し、この場合、インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐食の原因となる場合があるので、好ましくはpH7〜10の範囲とすることが望ましい。
又、この際に使用されるpH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸及び鉱酸等が挙げられる。
【0044】
上記の如き顔料及び水溶性樹脂は、水性液媒体中に分散又は溶解される。カラーインクにおいて好適に用いられる水性液媒体は、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒であり、水としては種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用することが好ましい。又、その他併用し得る任意の溶剤成分としては、「(1)カチオン性水溶性樹脂と顔料とを含む黒色インク」のところで記述した、水と混合して使用される水溶性有機溶剤が好ましく使用される。又、その含有量についても、「(1)カチオン性水溶性樹脂と顔料とを含む黒色インク」のところで記述した含有量と同様である。
【0045】
上記の構成のカラーインクは、上記の成分の他に、アニオン性界面活性剤を含み、更に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとする為に、その他の界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を添加することが出来、更に、市販の水溶性染料等を適宜に添加することも出来る。
又、インクの作製方法は、「(1)カチオン性水溶性樹脂と顔料とを含む黒色インク」のところで説明した通りである。
【0046】
上記の構成のカラーインクを作製する場合に、水溶性樹脂としてアルカリ可溶型樹脂を使用する場合には、樹脂を溶解させる為に塩基を添加し、共存させておくことが必要である。この際に添加させる塩基類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機アミン、或いは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が好ましく挙げられる。
【0047】
以上の様にして調合される本発明方法に使用されるカラーインクは、特にサイズ度の高い被記録材との親和性に優れ、高速記録性、記録画像の光学濃度、色調、耐水性、耐摩擦性或いは耐光性に特に優れている。又、保存安定性、信号応答性、液滴形成の安定性、吐出安定性或いは連続記録性等に優れた実用的なインクである。
【0048】
本発明は、以上の様な優れた特性を有する所望の物性値に調合した各色インクを調製し、種々のインクジェット記録方式にこれを適用することにより、高濃度で高品位の画像が形成される。即ち、本発明方法では、上記で述べた物性を有する黒色を含む3色以上のインクを使用し、インクジェット方式により画像を形成することによって、所期の目的を達成する。ここで、本発明のインクジェット記録方法に適用されるインクジェット方式としては、従来公知の方式を何れも使用することが出来る。即ち、ピエゾ振動子の機械的振動を利用して液滴を発生させるタイプの記録ヘッドを有する記録装置以外の種々のインクジェット記録装置も好ましく用いられる。例えば、記録ヘッド内のインクに熱エネルギーの形で記録信号を与え、液滴を発生させて記録を行う装置等にも好適に用いられる。
尚、本発明に用いる黒色インク又はカラーのインクは、サインペン、万年筆等の筆記具用のインクに使用されてもよい。但し、筆記具用のインクとして使用する場合には、粘度、表面張力等をはじめ、種々の特性を筆記具用に調整する必要がある。
【0049】
以下、上記した記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーにより液滴を発生させて記録を行う本発明に適用される記録装置について説明する。その装置の主要部であるヘッド構成例を、図1、図2及び図3に示す。
【0050】
ヘッド13は、インクを通す溝14を有するガラス、セラミック又はプラスチック板等と、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるものではない。)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性の良い基板20より成っている。
【0051】
インク21は吐出オリフィス(微細孔)22まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成している。
今、アルミニウム電極17−1及び17−2に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出しインク小滴24となり、吐出オリフィス22より被記録材25に向って飛翔する。
【0052】
図3には図1に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドはマルチ溝26を有するガラス板27と、図1で説明したものと同様の発熱ヘッド28を密着して作製されている。
尚、図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での断面図である。
【0053】
図4に、上記ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。
図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0054】
上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面の水分、塵挨等の除去が行われる。
65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載してその移動を行う為のキャリッジである。
キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0055】
51は被記録材を挿入する為の給紙部、52は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラーである。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。
【0056】
上記構成において記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出する様に移動する。
【0057】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。
上述の記録ヘッド65のホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッド65が記録の為に記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0058】
【実施例】
次に、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
先ず、本発明の実施例又は比較例で使用した黒色インクB−1及びB−2、及びイエロー、マゼンタ及びシアンの3色のカラーインクからなるインクセットC−〜C−5を、夫々下記の方法で作った。尚、部とあるのは、特に断りのない限り重量部を表わす。
【0059】
<黒色インク−1(B−1)の作成>
スチレン50部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート40部、エチルアクリレート10部をトルエンとイソプロピルアルコールの混合溶媒中で常法によって溶液重合した。重合終了後、クロルメチル化を行い、数平均分子量9,600、重量平均分子量15,600の重合体1を得た。
(顔料分散液の調製)
・上記で合成した重合体1 2.5部
・イオン交換水 76.5部
・ジエチレングリコール 5部
【0060】
上記成分を混合し、ウォーターバスで60℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液にカーボンブラック(MCF88、三菱化成製)15部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記条件で分散処理を行った。
・分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製)
・粉砕メディア ジルコニウムビーズ 1mm径
・粉砕メディアの充填率 50%(体積)
・粉砕時間 3時間
更に、遠心分離処理(12,000RPM、20分間)を行い、粗大粒子を除去して分散液とした。
【0061】
(インクの作製)
上記で得られた分散液を用い、下記の成分を加えて混合撹拌して黒色インクB−1を作製した。得られたインクの表面張力は、45dyne/cmであった。
・上記分散液 30部
・グリセリン 2部
・ジエチレングリコール 15部
・N−メチルピロリドン 5部
・イソプロピルアルコール 3部
・イオン交換水 45部
【0062】
<黒色インク−2(B−2)の作製>
黒色インクB−1成分にカチオン性化合物として、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド(BTBAC、三洋化成製)を1.0部添加した以外はB−1と同様の成分、及び同様の方法で黒色インクB−2を作製した。
【0067】
<カラーインクセット(C−3)の作製>
(イエローインク)
先ず、アニオン系高分子P−1(スチレン−アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、酸価280、重量平均分子量11,000、固形分20重量%の水溶液、中和剤:ジエタノールアミン)を分散剤として用いて、アニオン性の分散剤と顔料とが含有されている以下の組成のイエロー色分散体Y−1を作製した。
[分散体Y−1の組成]
・P−1水溶液(固形分20重量%) 30部
・ピグメントイエロー 86 24部
・トリエチレングリコール 10部
・ジエチレングリコール 10部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 1.0部
・イソプロピルアルコール 0.5部
・水 135部
【0068】
これらの材料を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、1mm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ、3時間分散処理を行った。分散後の液の粘度は9cps、pHは10.0であった。
この分散液を遠心分離機にかけ、粗大粒子を除去し、平均粒径100mμの分散体Y−1を得た。
上記で得られたイエロー分散体Y−1の50部を水50部で希釈した液100部を充分に撹拌して、イエローインクを得た。このインクの表面張力は、43dyne/cmであった。
【0069】
(シアンインク)
イエローインクの場合と同様にアニオン系高分子P−1を分散剤として用い、以下のシアン色分散体CN−2を作製した。
Figure 0003880082
【0070】
以下、イエロー色分散体Y−1を製造した場合と同様にして分散処理を行い、平均粒径120mμのシアン色分散体CN−2を得た。
得られたシアン色分散体CN−2の50部を水50部で希釈した液100部を充分に撹拌してシアンインクを得た。このインクの表面張力は、44dyne/cmであった。
【0071】
(マゼンタインク)
アニオン系高分子P−1をイエローインクの場合と同様に分散剤として用い、以下の成分からなるマゼンダ色分散体M−3を作製した。
[分散体M−3の作製]
・P−1水溶液(固形分20重量%) 20部
・ピグメントレッド 122(大日本インキ化学製) 24部
・グリセリン 15部
・イソプロピルアルコール 3部
・水 135部
【0072】
イエローインクを作製した場合と同様にして分散処理を行い、平均粒径115mμの分散体M−3を得た。
得られた分散体M−3の50部を水50部で希釈した液100部を充分に撹拌してマゼンタインクを得た。このインクの表面張力は、44dyne/cmであった。
【0073】
<カラーインクセット(C−4)の作製>
カラーインクセットC−3を構成する夫々のインク成分にアニオン性化合物として、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム(ビューライトESS、三洋化成製)を夫々1.0部添加した以外はインクセットC−3と同様の成分、同様の方法で、アニオン性化合物が分散剤とは別に更に含有されたインクセットC−4を作製した。夫々のインクの表面張力は、34dyne/cmであった。
【0074】
<カラーインクセットC−5の作製(比較例で使用)>
下記の成分を夫々混合、撹拌して、イエロー、マゼンタ、シアンの3色からなる比較用のインクセットC−5を作製した。尚、インク中の水の量は、総量が100部となる様に、調整した。
(イエローインク)
・C.I.ベーシックイエロー 19 2.5部
・チオジグリコール 10部
・イソプロピルアルコール 3部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1部
・水 残部
【0075】
(マゼンタインク)
染料をC.I.ベーシックレッド 12;2.5部に変えた以外はイエローインクと同じ組成。
(シアンインク)
染料をC.I.ベーシックブルー 3;3.0部に変えた以外はイエローインクと同じ組成。
【0076】
実施例1、2及び比較例1〜比較例4
上記で得られた黒色インクB−1及びB−2と、カラーインクセットC−〜C−5とを下記表1に示した組み合わせで用い、市販のコピー用紙、ボンド紙にインクジェット記録方式によって記録を行い、得られた画像について、夫々評価を行った。
【0077】
Figure 0003880082
【0078】
インクジェット記録装置としては、撥水剤サイトップ(商品名、旭硝子社製)でノズル表面(フェイス面)を処理した、記録信号に応じた熱エネルギーを付与することによりインクを吐出させる、オンデマンド型マルチ記録ヘッドを有する記録装置を用いた。ここで用いた記録ヘッドは360dpiの記録密度を有し、駆動条件としては駆動周波数5kHzとした。液滴の1ドットあたりの吐出量は、カラーインク(イエロー、マゼンタ、シアン)は40pl、黒色インクは80plとして印字をした。又、印字テストの際の環境条件は、25℃/55%RHに統一して行った。
【0079】
[評価方法]
得られた記録画像についての評価は、以下の方法で及び基準で行った。結果を夫々表2に示した。
1.ブラックインクとカラーインク間の境界滲み
ブラックインクとイエロー、マゼンタ、シアンの何れかの色のベタ部を隣接して印字し、色の境界部で生じるブリーディングの程度を目視により観察した。評価基準としては、ブリーディングが実用上問題ないレベルにあるものを○とし、それ以下のレベルのものを×とした。
【0080】
2.ブラックインクの画像濃度
−A ブラックインク単独印字の際の画像濃度
ブラックインクを用いて、ベタ画像を印字し、12時間放置後の画像について反射濃度を反射濃度計マクベスRD915(マクベス社製)にて測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:反射濃度が、1.30以上
○:反射濃度が、1.25〜1.29
△:反射濃度が、1.15〜1.24
×:反射濃度が、1.14以
【0081】
3.黒色インクの印字品位
−A 黒色インクの単印字品位
黒色インクを用いて、英数文字を印字し、目視にて評価した。フェザリングが目立たないものを○として、それ以下のレベルのものを×とした
【0082】
Figure 0003880082
【0083】
【発明の効果】
以上、説明した様に本発明によれば、黒色インクと黒色以外の色のカラーインクをほぼ同時に重ね打ちしたり、或いは何れかのインクが被記録材上で乾燥状態になる前に、その色と異なるインクを隣接させて打ち込んだ場合の混色を抑制することができるので、不定形な線太りによるフェザリングや、隣接する異色間の境界滲みを軽減することが可能となり、鮮明なカラー画像を形成し得るインクジェット記録方法及びインクセットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの縦断面図である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッドの横断面図である。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:インク溝
15:発熱ヘッド
16:保護膜
17:アルミニウム電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク小滴
25:被記録材
26:マルチ溝
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト

Claims (7)

  1. 黒色を含む少なくとも3色以上のインクの組み合わせを用い、これらのインクをインクジェット方式によって被記録材に付与してカラー画像を記録するインクジェット記録方法において、黒色インクが少なくともカチオン性水溶性樹脂と顔料とを含み、且つ黒色以外の色のカラーインクが少なくともアニオン性高分子物質で分散された顔料とアニオン性界面活性剤とを含み、且つ該黒色のインクの普通紙に対する浸透速度が、該カラーインクのそれよりも遅いことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. カラー画像の黒色部分の画像を形成する際に、被記録材の黒色部分の画像形成領域に、先ず黒色以外のカラーインクを付与した後、黒色インクを付与して画像を形成する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 同一の被記録材に対するインクの付与後の乾燥時間が、黒色以外のカラーインクの印字後の乾燥時間よりも黒色インクの付与後の乾燥時間の方が長い請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  4. インクジェット方式が、熱エネルギーを利用したインクジェット方式である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  5. 黒色を含む少なくとも3色以上のインクの組み合わせからなるインクセットにおいて、黒色インク中に少なくともカチオン性水溶性樹脂と顔料とが含まれ、且つ黒色以外の色のカラーインク中に少なくともアニオン性高分子物質で分散された顔料とアニオン性界面活性剤とが含有されており、該黒色インクの普通紙に対する浸透速度が、該カラーインクのそれよりも遅いことを特徴とするインクセット。
  6. カラーインクがイエロー、マゼンタ、シアン、レッド、ブルー及びグリーンの各色インク群から選ばれる請求項に記載のインクセット。
  7. カラーインクがイエロー、マゼンタ及びシアンの3色のインクである請求項に記載のインクセット。
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