JP3879456B2 - 農薬成分含有球形粒子の製造方法および該粒子を用いた被覆農薬粒子等の製造方法 - Google Patents

農薬成分含有球形粒子の製造方法および該粒子を用いた被覆農薬粒子等の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は農薬成分含有球形粒子の製造方法、該製造方法で得られた球形粒子を被覆材で被覆する被覆農薬粒子の製造方法および該被覆農薬粒子を用いた農薬粒剤を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種粉体物質は、操作性または取扱い性の改善、機能の付加、安全性の確保等様々な目的で球形化を行い粒状化される。該粒状化法には種々のものがあり、たとえば、「農薬製剤ガイド」(日本農薬学会 農薬製剤・施用法研究会編、社団法人日本植物防疫協会発行)等の書籍には、該粒状化方法として、転動造粒法、押出造粒法、圧縮造粒法、混合造粒法、破砕造粒法、流動層造粒法、噴霧造粒法等が示されており、混合物の成形方法としては、圧縮成形法、振動成形法、押出成形法、流し込み成形法等が示されている。これらの中でも、押出造粒法は、粉体原料に水等のバインダーを加えて混合・混練することにより可塑性を与え、各種の押出造粒機を用いて原料混合物をスクリーン面に押し付けて圧密成形する方法である。この方法で成形された押出成形物は形状がそろっており、後工程の整粒機と篩い分け機を併用することにより、平均粒子径が0.5〜30mmと粒度分布幅が狭く、希望粒度範囲の粒状物を収率よく得ることができる。また、粒子形状について、円柱形、球形、不定形等の造粒が可能であるが、かかる形状の粒子は粒状物の流動性や粒子数等、散布や農薬としての効果に影響する物理的性状が不安定である。このため、整粒機による整粒を行うが、前記整粒工程は、造粒製品の最終歩留に大きく影響を与えるものであり、方法として解砕整粒法と球形整粒法が挙げられる。後者の球形整粒法は、球形顆粒を得る場合に用いられるものであるが、粒長/粒径の比が3〜4程度にそろい、粒子の品質上特に重要な方法である。
【0003】
成形物を球形化する目的は種々あるが、主な利点としては(1)表面が平滑かつ球形であるため、被覆材による表面の均一な被覆が容易、(2)充填比容の再現性が良好であるため重量保証が容易、(3)耐摩耗性に優れ、摩耗による微粉発生や破壊が少ない、(4)飛散、付着性が少ない、(5)流動性大で混合効率が良好で、他の粉粒体への均一配合が容易、(6)外観が美しいといった点が挙げられる。押出成形/球形化においては、造粒助剤として水を用いる方法が一般的であるが、該水の添加量によっては、押出成形時にソーメン状の成形物が接着したり、球形化時に成形物同士が結合し、ドーナツ状や希望粒度範囲を超える大粒になったり、粉化して球形化できず、さらには安定に球状粒子を得ることができない場合がある。
【0004】
農薬の放出を制御した製剤として、特開平6−9303号公報等には、農薬成分を含む粒状担体の表面に、オレフィン系重合体等で被覆した被覆製剤が開示され、特開2000−86404公報には、内核と被覆層とから構成される粒子からなる農薬粒剤であって、該内核が(a)農薬有効成分、(b)微粉末固体担体、(c)粘結剤および(d)分子量が50〜700で、常温で固体の水溶性物質を含有してなり、かつ該水溶性物質が内核中に分散されてなることを特徴とする農薬粒剤等が開示されている。しかしながら、所望の放出挙動を付与するのに必要な条件の解明が十分なされているとは言い難い。
【0005】
農薬成分含有球形粒子(以下、芯材ということがある)を被覆材で被覆して農薬成分の放出を制御した粒子(以下、被覆農薬粒子という)は、芯材の形状が不均一であると、被膜厚も不均一になり、かかる粒子では、施用後一定期間農薬成分の放出が抑えられ、その後に放出が始まるといった放出制御の精度の高い時限放出型の徐放機能を発現させることが困難になる。このような放出抑制期間中の放出漏れをなくすには、芯材はより丸く、球状であることが望ましい。さらに、球状の被覆農薬粒子と、未被覆の農薬粒子の均一混合をする場合、未被覆粒子も球状であることが理想である。
前記「農薬製剤ガイド」によれば、これら球状の粒子を得るため、整粒機による整粒を行うが、湿式造粒時の球形整粒法は、通常予備乾燥をした後に整粒機に通され、条件によっては球状にすることができると記載されている。しかしながら、予備乾燥によって前工程の造粒物表面が乾燥し、単に整粒機を通すだけでは球形化できないことがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記の被覆農薬粒子を製造するために必要となる、真球性が高く、表面が滑らかな、被覆を施しやすい形態の粒子(芯材)を効率的に製造する技術を開発すべく鋭意研究を行った。その結果、農薬成分、水膨潤性物質、微粉末担体からなる原料および水を混合、混練し、ついで押出成形、球形化する方法において、押出後の造粒物が凝集しない水分含有率で混合および混合物の押出成形を行い、成形物中の農薬成分の分解が実質的に起こらない温度で押出成形物の球形化(造粒という)を行うことにより、得られる造粒物の品質を劣化させず安定的に球状粒子を製造する方法を見いだした。さらに、該球形粒子を被覆材で被覆した被覆農薬粒子を作物の栽培に用いると、農薬の散布・施用における作業を著しく軽減できることを見いだし、これらの知見に基づき本発明を完成させた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の(1)〜(9)から構成される。
【0008】
(1)農薬成分、水膨潤性物質、微粉末担体からなる原料および水を混合して混合物を得る混合工程、該混合物を押出成形してソ−メン状の成形物を得る押出工程および該ソ−メン状の成形物を整粒機により球形化して造粒物を得る球形化工程の3工程からなる、平均粒子径が0.5〜30mmの造粒物を製造する方法において、押出工程で得られるソ−メン状の成形物が凝集しない水分含有率で、混合および混合物の押出成形を行い、かつ、得られるソ−メン状の成形物を整粒機で整粒機内壁面の温度(球形化温度)30〜90℃の範囲で球形化を行って造粒物を得ることを特徴とする農薬成分含有球形粒子の製造方法。
【0009】
(2)押出工程および球形化工程において、該押出工程におけるソ−メン状の成形物の水分含有率と、該球形化工程において球形化した造粒物の水分含有率との差が0.5〜10重量%であることを特徴とする特徴とする上記(1)記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
【0010】
(3)球形化工程における整粒機内壁面の温度(球形化温度)が48〜67℃の範囲であることを特徴とする前記(1)もしくは(2)のいずれか1項記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
【0011】
(4)球形化工程における整粒機内の加温が、整粒機の内壁面を外部から加温することよって行われる前記(1)〜(3)いずれか記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
【0012】
(5)球形化工程の整粒機が、機内のガスを交換することができる構造の整粒機である前記(4)記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
【0013】
(6)水膨潤性物質がモンモリロナイト鉱物を含有するものである前記(1)記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
【0014】
(7)球形化された造粒物が、平均円形度係数0.80〜0.99を有する造粒物である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
【0015】
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の方法で製造した農薬成分含有球形粒子を、被覆材で被覆することを特徴とする被覆農薬粒子の製造方法。
【0016】
(9)前記(8)記載の方法で製造した被覆農薬粒子を用いて、農薬粒剤を製造する方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法について説明する。
【0018】
本発明の農薬成分含有球形粒子の製造方法に用いられる原料は、主として農薬成分、水膨潤性物質および微粉末担体からなる。
【0019】
1)農薬成分
農薬としては、病害防除剤、害虫防除剤、有害動物防除剤、雑草防除剤、植物生長調節剤を挙げることができ、これらであればその種類に制限なく使用することができる。病害防除剤とは、農作物等を病原微生物の有害作用から保護するために用いられる薬剤であり、主として殺菌剤が挙げられる。害虫防除剤とは、農作物等の害虫を防除する薬剤であり、主として殺虫剤が挙げられる。有害動物防除剤とは、農作物等を加害する植物寄生性ダニ、植物寄生性線虫、野鼠、鳥のほか、ゴキブリ、蚊、蝿、百足、蟻、蜘蛛、ダニ等の人間等に対する有害・不快作用から保護する薬剤やその他の有害動物を防除するために用いる薬剤である。雑草防除剤とは農作物や樹木等に有害となる草木植物の防除に用いられる薬剤であり、除草剤とも呼ばれる。植物生長調節剤とは、植物の生理機能の増進あるいは抑制を目的に用いられる薬剤である。
【0020】
本発明において使用する農薬成分は、常温で固体の粉状であることが望ましい。常温で液体であっても粉に含有させて粉状にすれば好ましく使用することができる。また、本発明においては、農薬成分が水溶性であっても、水難溶性であっても、水不溶性のものであっても用いることができ特に限定されるものではない。本発明に利用できる農薬成分として、その具体例を下記に挙げるが、これらはあくまでも例示であり限定されるものではない。また、農薬成分は1種であっても、2種以上の複合成分からなるものであっても良い。
【0021】
具体的には、(E)−N1−〔(6−クロロ−3−ピリジル)メチル〕−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン(一般名:アセタミプリド)、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(一般名:イミダクロプリド)、O,O−ジエチル−S−2−(エチルチオ)エチルホスホロジチオエート(一般名:エチルチオメトン)、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ〔b〕フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマート(一般名:カルボスルファン)、(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N´−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン(一般名:ニテンピラム)、(±)−5−アミノ−(2,6−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トルイル)−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール−3−カルボニトリル(一般名:フィプロニル)、ブチル=2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イル=N,N´−ジメチル− N,N´−チオジカルバマート(一般名:フラチオカルブ)、エチル=N−〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ〕−N−イソプロピル−β−アラニナート(一般名:ベンフラカルブ)、
【0022】
1−ナフチル−N−メチルカーバメート(一般名:NAC)、(1RS,3SR)−2,2−ジクロロ−N−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−1−エチル−3−メチルシクロプロパンカルボキサミド(一般名:カルプロパミド)、(RS)−2−シアノ−N−[(R)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−3,3−ジメチルブチラミド(一般名:ジクロシメット)、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾチアゾール(一般名:トリシクラゾール)、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン(一般名:ピロキロン)、(RS)−5−クロロ−N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチルイソベンゾフラン−4−イル)−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキサミド(一般名:フラメトピル)、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(一般名:プロベナゾール)、
【0023】
2−クロロ−4−エチルアミノ−6−イソプロピルアミノ−s−トリアジン(一般名:アトラジン)、1−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル尿素(一般名:イマゾスルフロン)、S−ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート(一般名:エスプロカルブ)、エチル=(RS)−2−[4−(6−クロロキノキサリン−2−イルオキシ)フェノキシ]プロピオナート(一般名:キザロホップブチル)、ブチル=(R)−2−[4−(4−シアノ−2−フルオノフェノキシ)フェノキシ]プロピオナート(一般名:シハロホップブチル)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(一般名:ジメタメトリン)、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン(一般名:シメトリン)、
【0024】
1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素(一般名:ダイムロン)、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2´,6´−ジメチルアセトアニリド(一般名:テニルクロール)、α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド(一般名:ナプロアニリド)、メチル=3−クロロ−5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(一般名:ハロスルフロンメチル)、エチル=5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(一般名:ピラゾスルフロンエチル)、S−(4−クロロベンジル)−N,N−ジエチルチオカーバメート(一般名:ベンチオカーブ)、メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−ο−トルアート(一般名:ベンスルフロンメチル)、2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(一般名:メフェナセット)等を挙げることができる。
【0025】
更に、本発明における農薬としては、植物が接触した後に植物によって合成され、植物体内に蓄積する低分子の抗菌性物質であるファイトアレキシンを誘導する物質を挙げることができる。
【0026】
2)水膨潤性物質
本発明において、水膨潤性物質とは水を吸収することによって膨潤する物質をいい、モンモリロナイト鉱物、澱粉、高吸水性樹脂等が用いられる。
【0027】
モンモリロナイト鉱物としては特に限定されないが、例えば、酸性白土、およびベントナイト等が挙げられ、膨潤力の有するという点から、ベントナイト、中でもナトリウムイオンに富み、多量の水を吸収して高い膨潤性を示すナトリウムベントナイトが挙げられる。
【0028】
澱粉としては特に限定されないが、例えば、コーンスターチ、バレイショ澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、無機酸や脂肪酸エステル澱粉およびアルキルやヒドロアルキルエーテル澱粉等の加工澱粉や澱粉誘導体が挙げられる。
【0029】
高吸水性樹脂としては特に限定されないが、例えば、澱粉系、セルロース系、その他の多糖類系、たんぱく質などの天然高分子類、ポリビニルアルコール系、アクリル系、その他の付加重合体、ポリエーテル系、縮合系ポリマーなどの合成高分子類を原料ポリマーとするものが挙げられる。例えば、澱粉系としては、澱粉−アクリルニトリルグラフト重合体加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体、澱粉−スチレンスルホン酸グラフト重合体、澱粉−ビニルスルホン酸グラフト重合体、澱粉−アクリルアミドグラフト重合体などが挙げられる。
【0030】
セルロース系としては、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース−スチレンスルホン酸グラフト重合体、カルボキシメチルセルロースの架橋体などが挙げられる。
【0031】
その他の多糖類系としては、ヒアルロン酸、アガロースなどが挙げられる。たんぱく質としては、コラーゲンなどが挙げられる。ポリビニルアルコール系としては、ポリビニルアルコール架橋重合体、ポリビニルアルコール吸水ゲル凍結・解凍エラストマーなどが挙げられる。アクリル系としては、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリルニトリル系重合体ケン化物、ヒドロキシエチルメタクリレートポリマーなどが挙げられる。その他の付加重合体としては、無水マレイン酸系(共)重合体、ビニルピロリドン系(共)重合体などが挙げられる。
【0032】
ポリエーテル系としては、ポリエチレングリコール・ジアクリレート架橋重合体などが挙げられる。縮合系ポリマーとしては、エステル系ポリマー、アミド系ポリマーなどが挙げられる。中でも澱粉系、アクリル系、その他の付加重合体、ポリビニルアルコール系が好ましく用いられ、その中でも特に架橋ポリアクリル酸ソーダ、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体、ポリビニルアルコール架橋重合体が好ましく用いられる。
【0033】
これらの中で、モンモリロナイト鉱物は安価であり、かつ結合剤としての作用を有することから、水膨潤性物質として最も有効である。かかる水膨潤性物質は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0034】
水膨潤物質の配合量は水膨潤性物質の種類により一概に限定することはできないが、芯材成分の1〜90重量%であることが好ましく、5〜85重量%であることがより好ましく、10〜80重量%であることが特に好ましい。1重量%未満では絶対量が小さ過ぎるため、混合物の均一性に対する信頼度が低くなる場合がある。また、農薬成分や混合物に十分な潤滑性を与える結合剤、滑剤等を配合する観点から、90重量%以下が好ましい。本明細書において、「芯材成分」とは、本発明における芯材を構成する成分のうちの結合剤としての水以外の成分をいう。
【0035】
3)微粉末担体
本発明において、微粉末担体としては一般に造粒に用いられる公知の物質であればよく、例えば、水不溶性微粉末、穀物粉、セルロース誘導体が用いられる。これらの物質は、増量剤としての目的だけでなく、崩壊剤、安定化剤、粒子強度増強剤等としても使用される。
【0036】
水不溶性微粉末としては、タルク、クレー、カオリン、ゼオライト、ケイソウ土、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等が挙げられる。穀物粉としては麦類、とうもろこし、米、芋類、豆類等から得られる穀物粉や澱粉またはそれらの混合物等が挙げられる。セルロース誘導体としては微結晶セルロース、繊維状セルロース等が挙げられる。これらの中で、タルク、クレー、カオリン、炭酸カルシウムは安価であり、微粉末担体として有効である。かかる微粉末担体は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0037】
微粉末担体の配合量は、造粒物の用途により一概に限定することはできないが、例えば、芯材成分の80重量%以下が好ましく、5〜70重量%がより好ましい。
【0038】
4)結合剤
本発明においては、結合剤として水を用いる。さらに、一般に造粒に用いられる公知の結合剤を水と併用しても良く、水に易溶であればより好ましい。水と併用し得る結合剤としては、例えば、例えば、アクリル系高分子、ビニル系高分子、ポリオキシアルキレンなどの合成高分子、セルロース誘導体、加工澱粉、リグニンスルホン酸塩類などの半合成高分子、天然高分子、界面活性剤類、流動パラフィン等が挙げられる。アクリル系高分子としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等が挙げられ、ビニル系高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0039】
ポリオキシアルキレンとしてはポリオキシエチレンやポリオキシプロピレン等が挙げられる。セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、加工澱粉としては、α化澱粉、変性澱粉、カルボキシメチルデンプン、可溶性澱粉等が挙げられる。リグニンスルホン酸塩類としては、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0040】
天然高分子としては、アラビアガム、ザンサンガム、トラガントガム、グアーガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムなどの多糖類や、カゼイン、カゼイン石灰、ゼラチン、コラーゲンなどの蛋白質類等が挙げられる。水以外の結合剤の分子量は特に限定されるものではないが、通常300〜300000、好ましくは1000〜50000である。
【0041】
これらの結合剤は水溶液として系に加えられるのが一般的であるが、粉状で加えてもよい。また、場合により水のみを結合剤として用い、他の結合剤を併用しなくともよい。水溶液として用いる場合は20℃における4%水溶液の粘度が3〜30mPa・sのものが好ましい。これらの結合剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
【0042】
造粒される粉体原料の物性および混合物の物性に応じて、結合剤の配合量を任意に設定することができるが、例えば、水を結合剤とする場合、芯材成分100重量部に対して5〜30重量部が好ましく、10〜25重量部が更に好ましい。粉体原料に十分な可塑性を与える観点から5重量部以上が好ましく、球形化し得る成形物を得る観点から30重量部以下が好ましい。また、水以外の結合剤を併用する場合、その結合剤の配合量も任意に設定することができる。配合量は、用いる結合剤の種類によって異なるが、例えば、芯材成分100重量部に対して0.3〜30重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。水以外の結合剤は、造粒性の改善、物理的安定性の改善等の為に用いられる。かかる効果を発現させる観点から0.3重量部以上が好ましく、混合物の粘性を抑える観点から30重量部以下が好ましい。例えば、水膨潤性物質としてベントナイトを用いた場合、造粒物成分100重量部に対して10〜30重量部が好ましく、15〜25重量部がより好ましい。ベントナイトは、モンモリロナイト鉱物の含有量等によって異なるが、水分を有しており、保存中の雰囲気によって変動する。この特性を考慮すると15重量部以上が好ましく、混合物の粘性や整粒機での結露を抑える観点から25重量部以下が好ましい。
【0043】
5)各種の添加剤
また、本発明においては、原料粉および結合剤以外の成分として、吸収性微粉末、粉砕助剤、分解防止剤、着色剤、消泡剤、希釈剤、可溶化剤、崩壊剤、潤滑剤、薬害軽減剤等の一般に農薬造粒に用いられる公知の各種の添加剤や、公知の界面活性剤、品質維持剤(例えばソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ポリリジン、酢酸、塩化ナトリウム)等を適宜配合することができる。かかる添加剤の配合量は特に限定されない。
【0044】
上記の各成分を用いて、本発明の製造方法により造粒物を製造する。以下、本発明の製造方法について、工程毎に説明する。
【0045】
6)混合工程
混合工程は、原料粉、および結合剤としての水を混合して混合物を得る工程である。
【0046】
本工程において各成分を混合する順序としては特に限定されるものではなく、例えば、用いる全ての成分を一度に混合機内に供給して混合する態様や、各成分を2以上の群に分けて予め混合した後に、各群を混合機内に供給して混合する態様等がある。また、造粒物成分を予め混合した後、結合剤を滴下、噴射、もしくは噴霧によって添加して混合・混練する態様はトータルの混合時間を短縮できる点から好ましい。
【0047】
本工程で使用できる混合機としては特に限定されるものではないが、例えばリボンミキサー、ナウターミキサー、シュギミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー、ニーダー等が挙げられる。具体的例としては、リボンミキサー、パグミキサー、コンティニュアースニーダー、バッチ式ニーダー(商品名、不二パウダル(株)製)、リボンブレンダー(商品名、(株)西村機械製作所製)、ナウタミキサー(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、V型ブレンダ(商品名、(株)ダルトン製)、ハイスピードミキサー(商品名、深江工業(株)製)、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山(株)製)、レーディゲミキサー(商品名、(株)マツボー製)、リボン型混合機R型、V型混合機V型(商品名、(株)徳寿工作所製)、プローシェアーミキサー(商品名、太平洋機工(株)製)、ドラムミキサー(商品名、杉山重工(株)製)等が挙げられる。なかでも混合能力と粘り効果が大きな混合機が好ましい。
【0048】
本工程においては、水分があまり蒸発せず、農薬成分が分解しない温度で混合を行うことが好ましい。具体的な混合開始温度としては、用いる農薬成分により一概には言えないが、例えば10〜80℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。温度保持操作の容易性の観点から、開始温度は10℃以上が好ましく、水分の蒸発や有効成分の分解・失活を抑える観点から80℃以下が好ましい。混合物は上記の温度で管理され、次の押出工程へ供給されるのが好ましい。温度は混合機の雰囲気温度や品温であり、混合機に設置した温度計や混合前後の品温を測定することにより把握することができる。
混合物の状態は、手で触れた感じが粉状のパサパサ状態から粘性の高い粘々状態の粉状固形物が好ましい。手で握ると固まり、この固まりが割れる状態であり、さらに強く握った指の間から押し出てくる状態がより好ましい。
【0049】
6)押出工程
押出工程は、混合工程で得られた混合物(混練物)を押出成形してソ−メン状の成形物を得る工程である。球形化工程で形状と粒径を整えるための重要な工程である。本発明においてソ−メン状の用語は、湿潤状態の、ソ−メン状、うどん状、ラ−メン状、紐状、棒状等々の形状の総称として使用するもので、単にソ−メン状だけに限定されるものではない。
【0050】
本工程で使用できる装置としては特に限定されるものではなく、例えばバスケット式造粒機、スクリュー式造粒機、ペレタイザーなどの押出し造粒機、ローラーコンパクターなどの圧縮造粒機、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサーなどの攪拌造粒機、ドラムグラニュレーターなどの転動造粒機、流動層造粒機等を挙げることができる。具体的には、ニューマルメライザー、スイングプロセッサ、バスケット・リューザー、スパルタン・リューザー、ディスク・ペレッター、ファインディスクペレッター、ペレッターダブル、ツインドーム・グラン(商品名、不二パウダル(株)製)、グラニュマスター、フロージェットグラニュレーター(商品名、(株)大川原製作所製)、バスケット式造粒機(商品名、(株)菊水製作所製)、グラニュライザ、ギャペレタイザ、エクストルード・オーミックス、アグロマスタ(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、FG形円筒形造粒機、FS−G形ハイスピードミキサー(商品名、深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター、シュギ連続造粒システム(商品名、(株)パウレック製)等が挙げられる。なかでも、押出時にせん断力が大きな装置が好ましい。
これら装置は単独で用いるほか、複数の装置を用いて連続押出ししたり、押出成形物を複数回通したりして、押出せん断力を上げても構わない。
【0051】
また、例えば押出機の押出スクリーン径を変えること等により、直径200〜5000μmの円柱状の押出成形物を得ることができる。
【0052】
本工程においては、混合物の押出成形を行う。スクリーンの負荷と目詰まりを考慮した温度で、押出成形することは重要である。即ち、押出成形時の押出成形物温度を80℃以下に維持することであり、混合工程での温度と同じ温度で押出成形することが好ましい。
押出成形時、装置に結露が発生することがあるので、必要に応じて押出機内外に送風することができる。また、ソーメン状の成形物に対して送風してもよい。風の温度は風量等にもよるが、球形化を阻害しない範囲で行う必要がある。さらに、形状と粒度を整える目的で、ソーメン状の成形物を一定長に切る装置を使用し、球形化工程へ導いても構わない。
【0053】
7)球形化工程
球形化工程は、押出工程で得られるソ−メン状の成形物を球形化して造粒物を得る工程である。成形物を球形化することにより、飛散防止、発塵抑制、美観向上、流動性向上といった利点があり、製品の付加価値を高めることができる。
【0054】
本工程で使用できる装置としては特に限定されるものではないが、具体的な例として、マルメライザー、ターボ・コミニューター(商品名、不二パウダル(株)製)、FS−G形ハイスピードミキサー(商品名、深江工業(株)製)、CFグラニュレーター(商品名、フロイント産業(株)製)、TMミキサー(商品名、三井鉱山(株)製)等が挙げられる。これら装置に乾いた粉体を添加できる構造のものであってもよい。
【0055】
本工程においては、成形物中の水分が実質的に析出しない温度で成形物の球形化を行う。即ち、整粒機内の水分を露点以下に維持することである。それには整粒機内への押出成形物の供給量にもよるが、造粒物の温度が下がらないように維持しつつ、農薬成分が分解せず、急激に水分が蒸発しない温度まで加温したり、機内の空気を置換したりしながら球形化することが好ましい。そのときの目安としては、換気回数(換気風量(m3/h)/整粒機容積(m3))が1回/h以上である。
【0056】
8)操作条件
上記のように、本発明においては、押出工程および球形化工程における操作温度を一定範囲内で制御することが重要であり、混合工程における操作温度を一定範囲内で制御することがより好ましい。
モンモリロナイト鉱物を水膨潤性物質として多量に使用し、バインダーとして水を使用する場合、混合工程では、操作温度に応じ、良好な可塑性を与える水分量が決まるが、一定温度で混合された混合物が外気等により冷却または加熱された場合、混合物の水分変動により、物性が変化して押出操作が不安定となり、良好なソ−メン状の成形物が得られないことがある。さらに詳述すると、装置の機械的発熱等により、混合物の温度が上昇した場合は、水分のバランスが崩れ、軟化してこの場合も良好なソ−メン状の押出成形物を得ることができない場合がある。球形化工程についても同様であり、操作温度が変化すると、造粒物が硬化又は軟化して所望の製品を得ることができない場合がある。
【0057】
したがって、安定的に造粒物の製造を行うためには、球形化工程を考慮し、混合物又は押出成形物中の水分の蒸発量を実質的に無視できる温度で操作する必要があり、さらには硬化又は軟化による物性変化が実質的に起こらない温度で操作を行うことが好ましい。かかる温度条件としては、前(混合)工程で設定した操作温度(混合物の品温または混合終了時の雰囲気温度)より10℃以上、下がらない温度で次の工程の操作を行うことが好ましい。
【0058】
球形化工程の整粒機では、スクリーンと押出成形物との摩擦により、得られる粗造粒物の温度が上昇する。該粗造粒物を整粒するための整粒機の温度が、該粗造粒物よりも温度が低い場合、該粗造粒物表面より発生する水蒸気が整粒機表面で凝縮され水滴が発生する。該整粒機内の水分が多い状態になると、造粒物と結合して造粒物同士が凝集し大粒になったり、軟化して整粒機による球形化が不十分となる。一方、該整粒機に粗造粒物を入れたまま放置していると、水分が蒸発し、造粒物が硬化して整粒機による球形化が不十分となり、形状が悪くなる。
【0059】
また、球形化工程では、水分を含んだ押出工程で得たソ−メン状の成形物が水分を含みつつ、一部の水を出しながら、粗造粒物化され、該粗造粒物の表面が湿潤・軟化し、角や尖りが丸まった粒子を得ることができる。しかしながら、製造条件、雰囲気等を一定条件下にしないと球形化工程の整粒機内壁面等に粗造粒物が付着したり、該整粒機に供給した押出成形物が凝集して、目的とする造粒物を得ることができない。
【0060】
本発明では、押出工程の成形物の水分含有率と球形化工程の球形化した造粒物の水分含有率の差が0.5〜10重量%であればよい。好ましくは1〜5重量%であり、下限値未満だと例えばマルメライザー(商品名、不二パウダル(株)製)に代表される整粒機の運転は、造粒物表面から水分が発生し、球形化途上で造粒物同士が結合して団子状になりやすく、困難である。上限値を超えると、運転時間が長くなることによる製造能力低下やそれに伴うコストアップのほか、造粒物表面の乾燥が進み、球形化不十分による形状悪化や粉化が起こり易くなり、球形粒子の品質が悪くなる。なお、ここでいう水分含有率とは、該成形物および該造粒物中に含まれる水分値を百分率で表したものであり、市販の赤外線水分計等で計測することができる。また、熱に弱い農薬成分の場合、測定前後で農薬成分の濃度を測定し、測定水分値を補正してもよい。
【0061】
球形化工程では、例えば前記マルメライザー(商品名)を使用する場合、一回あたりの供給量にもよるが、造粒物が容器内で回転運動するため、水分が粒子表面から発生する。そのまま運転を続けると、粒子同士が接着して団粒化して製造能力が低下するばかりか、粒度が大きくなり収率が低下する。
本発明では、押出し後の成形物が凝集しない水分量で混合および混合物の押出成形を行い、そして成形物中の農薬成分の分解が実質的にしない温度で成形物の球形化を行うことにより整粒機内で発生する水分を除去する。整粒機内壁面の温度(球形化温度)30〜90℃の範囲であり、好ましくは48〜67℃の範囲である。下限値未満であると、混合開始温度、造粒成形品温度を下回り、造粒成形物が球形化過程で凝集しやすくなる。上限値を超えると造粒成形物の表面の乾燥固化速度が大きく、形状が悪化する。
【0062】
整粒機内で発生する水分を除去するには、機内の温度を上げて露点を上げるか、機内のガスを交換することにより達成できる。例えば、整粒機をジャケット等により外部から加温することにより機内壁面での結露を防ぐことができる。ジャケット部の温度は95℃以下、具体的には30〜90℃が好ましく、40〜80℃がさらに好ましい。該温度があまり高温すぎると、農薬成分によっては分解する恐れがあり、また、造粒物表面が硬くなるのが早すぎて球形化が不十分となり、形状が悪くなる。また該温度が低すぎると、結露しやすいほかに、それを抑えるために整粒機内に仕込む押出成形物量を減らさざるを得ず、製造能力が低くなる。ジャケット部の蒸気等に代表される熱源としては、特に限定されないが、温度調節がしやすい30〜90℃の温水が好ましい。
【0063】
また、空気などの気体を整粒機の上方または下方から送り込むことにより、機内の湿度を下げ、壁面や造粒物表面での結露を防ぐことができる。このときの気体の温度は95℃以下、具体的には30〜90℃が好ましく、40〜80℃がさらに好ましい。該温度があまり高温すぎると、農薬成分によっては分解する恐れがあり、また、造粒物表面が硬くなるのが早すぎて球形化が不十分となり、形状が悪くなる。また該温度が低すぎ、特に仕込み時の造粒物の温度以下になると、結露しやすいほかに、それを抑えるために整粒機内に仕込む押出成形物量を減らさざるを得ず、製造能力が低くなる。さらに、球形化工程において粒子の流動性を安定化させる方法としては、整粒機内にエアガン等で圧縮気体を吹き付ける方法や壁面近傍にエアーナイフ等による圧縮気体を通し、壁面への直接付着を防ぐ方法、また、整粒機内で球形化過程にある粒子群の流れを調節できるよう板等を入れて粒子同士の凝集を防ぐ方法や乾燥粉体を投入してこれに吸水させながら粒子同士の凝集を防ぐ方法が挙げられ、これら方法を併用すると効果的である。
【0064】
本発明の製造方法は、上記のように、製造時の水分をコントロールするため、製造工程の温度を特定の範囲とする構成を有する。従来技術では、被覆による放出制御型の農薬粒子に関して、その芯となる芯材の製造工程、特に温度条件について何らの開示や示唆も存在しない。これは、そもそも放出制御型農薬として被覆法を適用する場合、そのときに必要となる真球度の高い芯材を量産化する場合の課題について何ら認識していないことによる必然的な結果と言える。
【0065】
また、前記各工程を経て得られる造粒物を、さらに9)乾燥工程および/又は10)分級工程に付しても良い。かかる工程を経ることにより、乾燥した、粒度のそろった造粒物を得ることができる。また、このように製品形態を調製することは、分級対策、発塵対策、美観向上といった利点があり、製品の付加価値を高めるものである。
【0066】
9)乾燥工程
乾燥工程は、得られた造粒物に含まれる水分値を、造粒物の安定性等に影響のない程度まで低減させる工程である。
【0067】
造粒物の乾燥には、例えば乾燥機を用いることができる。本工程で用いることのできる乾燥機としては特に限定されるものではなく、例えば流動層乾燥機や静置乾燥機等を挙げることができる。具体的には、コンダクションフロー(商品名、(株)大川原製作所製)、ジャイロ乾燥機、振動流動乾燥装置VDF型(商品名、(株)徳寿工作所製)、パドルドライヤー、連続流動層乾燥装置(商品名、(株)奈良機械製作所製)、振動流動乾燥機(商品名、日本乾燥機(株)製)、バイブロ/フロードライヤー、フロードライヤー、ミゼットドライヤー、箱型通気/平行流式ドライヤー(商品名、不二パウダル(株)製)、グラット流動層乾燥機(商品名、(株)パウレック製)、サーモプロセッサM型、トーラスディスク(商品名、ホソカワミクロン(株)製)等が挙げられる。
【0068】
乾燥の際の温度条件としては特に限定されないが、乾燥効率および乾燥時間の観点から風の温度は40℃以上が好ましい。また、熱に弱い農薬成分を含有する粒子を乾燥する場合には、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。なお、品温は農薬成分の分解温度以下もしくは昇華圧が実質的に急に大きくなる温度以下が好ましい。
【0069】
また、本工程において乾燥させられる造粒物の乾燥の程度としては特に限定されないが、造粒物の水分含有率として10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。造粒物の固結や造粒物中の農薬成分の分解・失活を抑える観点から、水分含有率は10重量%以下が好ましい。
【0070】
10)分級工程
分級工程は、前記で得られた造粒物を分級する工程である。造粒物を分級することにより、発生した微粉、粗粉がカットされ、もって粒径をさらに均一にすることができる。そのため、製品中での分級、使用時の発塵といった問題が抑えられる。また、粒度分布を管理することにより被覆による放出制御型製剤の放出精度が上がり、特に厳密な放出精度を要求される時限放出型の徐放機能を有する被覆農薬粒剤を容易に製造することができる。この工程で用いられる装置としては、特に限定されないが、例えば、振動篩等の公知の分級装置が挙げられる。具体的には、振動ふるい機R型(商品名、(株)興和工業所製)、ローテックス・スクリーナー(商品名、(株)セイシン企業製)、DALTON振動ふるい、DALTON超音波式振動ふるい(商品名、(株)ダルトン製)、ジャイロシフターGS型、円型振動ふるい機TM型、ユーランスクリーンKU型(商品名、(株)徳寿工作所製)、ロータリーシフター(商品名、(株)西村機械製作所製)等が挙げられる。
【0071】
11)芯材の形状
分級工程によって得られた押出成形物(芯材)の形状は以下に示す計算式によって円形度係数として求めることができる。
円形度係数=(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)2
円形度係数とは、粒子の円形度合いを知るための尺度であり、粒子が完全な真円の場合1となり、粒子形状が真円から崩れるに従って円形度係数が小さくなる。該円形度係数は、PIAS−IV(株式会社ピアス製)等の市販の測定機器を用いることにより測定することができる。
【0072】
本発明では、任意に選んだ芯材100粒を用いて、先に示した計算式により求めた円形度係数の平均が0.80〜0.99のものであり、好ましくは0.85以上であり、より好ましくは0.9以上である。平均円形度係数が0.80以上の芯材はコーティングによる農薬成分の放出制御に適しており、特に、平均円形度係数が0.9以上の芯材はコーティングによる農薬成分の時限放出型の徐放機能を付与するのに適している。
また、本発明の効果を大きく損なわない限りにおいて、下限値未満のものが若干量存在していても差し支えない。
【0073】
12)被覆
本発明における芯材の被覆方法としては、流動層被覆法、噴流層被覆法、転動被覆法等が挙げられ、これらのいずれでもよいが、噴流層を用いて流動中の粒状物に対し、被膜材料を溶剤に溶解させた被覆液を芯材表面にスプレーコーティングする噴流層被覆法が好ましい。
【0074】
一例を挙げるならば、樹脂を主成分とする被覆材料を有機溶媒で溶解・懸濁させた被覆材料懸濁液(以下、被覆液という)を流動状態の農薬含有球形粒子(芯材)に噴霧する一方、高速熱風流により該芯材表面の溶媒を除去、乾燥して、該芯材の表面に被覆材料を被覆する方法を挙げることができる。該製造方法に使用し得る被覆装置の一例について添付図面を参照しながら説明するが、本発明の製造方法は、図1に示される噴流層を用いて行うのが最も好ましい。該被覆方法においては、本発明にかかわる被覆材料を均一に分散させるために特に被覆液の撹拌を強力に行う必要がある。この噴流層は、転動または流動状態にある芯材3に対し、被覆液を配管5経由で輸送され、スプレーノズル2により噴霧し、芯材3の表面に吹き付けて、該表面を被覆すると同時並行的に、高温気体を噴流塔1に下部から流入させ、該高速熱風流によって、該表面に付着している混合溶解液中の溶媒を瞬時に蒸発乾燥させるものである
なお、蒸発した溶媒を含むガスはコンデンサー等で冷却され、溶媒を凝縮、回収する。回収溶媒はフィルターを通すなどして異物を除去後繰り返し使用することができる。
【0075】
芯材を被覆する被覆材料は、特に限定されるものではないが、樹脂を含有するものや硫黄などの無機物質を含有するものである。その中でも農薬の全放出期間の長さ、放出パターンにおける選択範囲の広さおよび被膜強度などの物性の点から、被覆材料は樹脂を含有するものが好ましい。樹脂を含有する被覆材料において、樹脂の含有割合は被覆液に対し、10〜100重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、15〜100重量%の範囲である。また、無機物質を含有する被覆液において、無機物質の含有割合は被覆液に対し、20〜100重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、50〜90重量%の範囲である。
【0076】
この被覆工程により形成される被覆層(被膜)の厚みは、150μm以下であるのが好ましく、100μm以下であるのがさらに好ましい。被覆層の厚みが150μmを超えると明らかにコスト高であり、実用的ではない。また、被覆厚みが大きくなると粒度分布がコーティング前の芯材の粒度分布よりも大粒の方へシフトし、シャープなものは得られにくい。本発明においては、粒径分布の狭い芯材が得られるので、被覆層の厚みが均一になるという特徴がある。
【0077】
被覆液に使用する樹脂は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂としては具体的に、オレフィン系重合体、塩化ビニリデン系重合体、ジエン系重合体、ワックス類、ポリエステル、石油樹脂、天然樹脂、油脂およびその変性物、ウレタン樹脂を挙げることができる。
【0078】
オレフィン系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−一酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、ポリブテン、ブテン−エチレン共重合体、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等を挙げることができ、塩化ビニリデン系重合体としては、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体などを挙げることができる。ジエン系重合体としては、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、EPDM重合体、スチレン−イソプレン共重合体などが挙げられる。
【0079】
ワックス類としては、密ロウ、木ロウ、パラフィン等が例示でき、ポリエステルとしてはポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルやポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルが例示でき、天然樹脂としては、天然ゴム、ロジン等が例示でき、油脂およびその変性物としては、硬化物、固形脂肪酸および金属塩等を挙げることができる。
【0080】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ケトンホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ウレタン樹脂、および乾性油などを挙げることができる。これらの熱硬化性樹脂は数多くのモノマーの組み合わせが有るが、本発明においては、モノマーの種類や組み合わせはなんら制限がない。また、モノマー同士の重合物の他に、2量体あるいはポリマー化したもの、またはその混合物の重合物であっても良い。また、種類の異なる複数の樹脂を配合したものであっても良い。
【0081】
フェノール樹脂としては、フェノール、o−クレゾール、2,4−キシレノールなどのフェノール類から選ばれた1種以上と、ホルムアルデヒドに代表されるアルデヒド類から選ばれた1種以上との縮合反応によって得られたものを使用することができる。フラン樹脂の代表的なものとしてフェノール・フルフラール樹脂、フルフラール・アセトン樹脂、およびフルフリルアルコール樹脂などを挙げることができる。キシレン・ホルムアルデヒド樹脂は、o−キシレンおよびエチルベンゼンなどのキシレン類から選ばれた1種以上と、ホルムアルデヒドに代表されるアルデヒド類から選ばれた1種以上との縮合反応によって得られたものを使用することができる。ケトンホルムアルデヒド樹脂としては、アセトン・ホルムアルデヒド樹脂、シクロヘキサノン・ホルムアルデヒド樹脂、アセトフェノン・ホルムアルデヒド樹脂、および高級脂肪族ケトンホルムアルデヒド樹脂などを挙げることができる。アミノ樹脂としては、尿素、メラミン、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、グアナミン類、およびアニリンなどのアミノ基含有モノマーから選ばれた1種以上と、ホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られたものを挙げることができる。アルキド樹脂は非転化型、転化型のどちらでもよく、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、およびトリメチロールプロパンなどの多価アルコールから選ばれた1種以上と、無水フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、またテルペン油、ロジン、不飽和脂肪酸とマレイン酸の付加物などの多塩基酸から選ばれた1種以上とを縮合させて得られたものを挙げることができる。
【0082】
また、アルキド樹脂を変性させる際に使用する脂肪油または脂肪酸としては、アマニ油、大豆油、ヒマシ油、ヤシ油、およびそれらの脂肪酸、またはグリセリンとエステル交換したモノグリセリドを挙げることができる。このほかロジン、エステルロジン、コーパル、フェノールレジン等の樹脂変成物も使用することができる。不飽和ポリエステルとしては、無水マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸などの有機酸から選ばれた1種以上と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールなどのポリオールから選ばれた1種以上とを縮合反応させて得られたものを挙げることができる。
【0083】
更に、該不飽和ポリエステルの硬化促進を目的として、スチレン、ビニルトルエン、ジアリルフタレート、メタクリル酸メチルおよびトリアリルリン酸などのビニルモノマーから選ばれた1種以上とを縮合時に加えて得られたものも使用することができる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ノボラック型、ビスフェノールF型、およびジフェノール酸型のエポキシ樹脂を挙げることができる。さらに、ポリエステル樹脂をウレタン化したものなど、複合化した樹脂を使用することも可能である。ウレタン樹脂としては、トリレンジイソシアナート、メタフェニレンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナートおよびナフタリン−1,5−ジイソシアナートなどのジイソシアナートから選ばれた1種以上と、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオール、アクリロニトリル−プロピレンオキシド重合物、グリセリン、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオールおよびポリアクリラートポリオールなどのポリオールから選ばれた1種以上とをポリ付加重合させることによって得られたものを挙げることができる。
【0084】
本発明で使用する被覆材料は、樹脂の他に補助成分を含有するものであっても良い。該補助成分としては0.1〜100μmの微粉体が好ましい。具体的にはタルク、クレー、カオリン、ベントナイト、雲母等の鉱物質微粉、澱粉等の糖重合体粉、イオウ、アセチルアセトン鉄、ジブチルジチオカルバメートニッケル等の金属錯体、ステアリン酸鉄等の金属塩、先述の高吸水性樹脂等が挙げられる。該補助成分の被覆液への添加により、被覆農薬粒子の農薬活性成分放出後の被膜の分解性向上など、機能を付加することができる。
なお、本発明被覆農薬粒子の被覆材料に、オレフィン系重合体のような疎水性の強い樹脂を用いた場合には、被膜自体の撥水性が強くなり、例えば湛水条件下にある水田や湖沼等に施用すると、施用された被覆農薬粒子が浮上し、薬効発現に悪影響を及ぼすことがある。これを回避するため被覆工程後またはその次工程(例えば熱処理)後に、本発明品の特性を著しく損なわない範囲で、被膜表面に親水処理を施すことが好ましい。親水化の方法は特に限定されないが、例えば、被覆農薬粒子の最表層にポリビニルアルコール等の親水性物質、界面活性剤やホワイトカーボン、タルク、SiO2ダスト等の鉱物質微粉体を被覆するのが最も簡易である。また、これら物質に農薬活性物質、肥料、品質維持剤等を単独もしくは二種以上添加して被覆しても良い。
被覆直後の農薬粒子は溶媒や未反応の原料物質等により品質が不安定になる可能性があり、本発明品の特性を著しく損なわない範囲で、被覆工程に引き続き熱処理等によりそれら物質を除去してもよい。熱処理法は特に限定されないが、通熱風、赤外線照射、マイクロウェーブ等の手法が挙げられ、これらの中でも通熱風を行うのが最も簡易である。流動、転動、静置等の条件下にある被覆農薬粒子群を、通風による熱処理を行うに際し、熱処理条件は被膜の厚さ、樹脂溶液濃度、処理する被覆農薬粒子群の量等により温度や風量、処理時間等は一様ではないが、本発明品の特性を著しく損なわない範囲で決定すればよい。
【0085】
13)放出制御
本発明の芯材を用いた被覆農薬粒子は、農薬成分の放出をプログラム化した被覆農薬粒子であり、施用直後から該農薬成分の放出を開始するリニア型徐放機能や施用後一定期間は放出しない時限放出型の徐放機能を有する被覆農薬粒子であり、放出速度や放出期間を任意にコントロールでき、放出抑制期間における農薬成分の漏れを大幅に抑えることができるのが特徴である。このような被覆農薬粒子を用いれば、一年間で一度の施用で済ますことができたり、播種前から移植前後までの間に施用しても植物体に影響を与えることがないため、省力化した防除法を実現することができる。本発明で云うところの時限放出型の徐放機能とは、施用後一定期間農薬成分の放出が抑制される放出抑制期間と一定期間経過後速やかな放出を開始する放出期間とからなる放出パターンを意味し、具体的には施用後から被覆農薬粒剤中の農薬成分が10重量%放出するまでの期間を放出抑制期間とし、10重量%をこえて90重量%放出日までの期間を放出期間とした場合、放出抑制期間/放出期間の比率が0.2以上である放出パターンを意味し、リニア型徐放機能とは、放出抑制期間が無い、もしくは放出抑制期間/放出期間の比率が0.2未満であり、放出期間が10日以上である放出パターンを意味する。
【0086】
14)農薬粒剤の製法
上記のよって得られた農薬成分含有球形粒子(芯材)を被覆液で被覆することによって様々な農薬放出特性を有する放出制御型の被覆農薬粒子が得られる。農薬粒剤として製品化、商品化する場面では、該放出制御型の被覆農薬粒子単独でもよく、組成の異なる球形粒子を被覆した放出制御型の被覆粒子を混合して製造したものでもよい。また、これら放出制御型の被覆農薬粒子と該被覆農薬粒子の原料である未被覆の球形粒子を混合して製造してもよい。
上記のとおり、本発明の製法は、少なくとも一種以上の被覆農薬粒子群を使用することで自由に農薬成分の放出特性を設計できる方法である。
均一な混合状態を得るには粒径や粒度差が小さく、各粒子の形状および比重が近いほどよい。農薬粒剤の施用方法や施用量等を考慮すると、粒径範囲を篩の目開きで0.1〜5.0mmとするのがよく、好ましくは0.2〜4.0mm、更には0.3〜3.5mmとするのがより好ましい。粒径0.1mm未満の粒子は粉塵になりやすく、作業者の健康面で不利である。また、粒径5mmを越える粒子は、分級しやすいこともあって施用むらの原因になりやすい。
混合する前の農薬成分含有球形粒子(芯材)や放出制御型の被覆農薬粒子の混合に際して、これら粒子群の平均粒径で最も大きい方をx1、最も小さい方をx2、(x1≧x2、3種以上のときはx1が最大値、x2が最小値とする)とするとき、均一に混合するためには、x2を0.2x1以上とすることが好ましく、より好ましくは0.3x1以上、さらには0.5x1以上とすることが好ましい。なお、本発明における農薬成分含有粒子一粒の粒径とは最大径を意味する。
混合方法としては特に限定されないが、対流、拡散、せん断等の混合機構を有する混合機や手動で混合する方法等が挙げられる。混合機としては、混合容器が回転する容器回転型、混合容器は固定して内部で混合翼が回転または気流の吹き込みによって混合する容器固定型、混合機が縮分の繰り返しによる縮分型、これらを組み合わせた複合型が挙げられ、これらのいずれも用いることができる。
【0087】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0088】
実施例1
原料としての農薬成分1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(70重量%含有)、水膨潤性物質としてベントナイト(商品名「穂高」、(株)ホージュン製)、増量剤としてタルク(商品名「S−2タルク」、(株)福岡タルク工業所製)およびクレ−(商品名「5号クレー」、竹原化学工業(株)製)をレーディゲミキサー(商品名、(株)マツボー製M20型)で混合した。ミキサー回転数100r/minで5分間運転して、これらの成分の予備混合を行った。各成分の含有量は、農薬成分が0.38kg(5.4重量%)、ベントナイトが3.5kg(50.0重量%)、タルクが1.7kg(24.6重量%)、クレーが1.4kg(20.0重量%)であった。次いで、この混合固形物成分に、バインダーとして水を添加し、さらにチョッパー(回転数3000r/min)を併用しながら3分間(ミキサー負荷5A)混合して混合物を得た。水の添加量は、混合固形物物成分100重量部に対して18重量部であった。
【0089】
得られた混合物を押出成形機(不二パウダル(株)製、ツインドームグラン(商品名、TDG−110))に供給して押出成形を行い、成形物を得た。この時、スクリュー回転数30r/min、スクリーン径0.7mmとした。成形物の中の水分含有率は19.0重量%であった。また、得られた成形物の温度は48℃であった。
【0090】
得られた押出成形物を2kgずつ球形化装置(不二パウダル(株)製、マルメライザー(商品名、QJ−400))に供給し、回転数657r/min、プレートピッチ2mmで2〜3分間球形化を行い、球形化物を得た。得られた球形化物の中の水分含有率は15.9重量%であり、温度は45℃であった。
【0091】
得られた球形化物を30kgずつ流動乾燥機(不二パウダル(株)製、ミゼットドライヤー(商品名、MDD−1000N))に供給し、熱風温度100℃、風量11m3/hで19〜22分間乾燥を行い、乾燥球形化物を得た。さらに振動篩いで0.85mm〜1.4mmに分級し、芯材を得た。
【0092】
異なる操作温度条件(実施例2〜9、比較例1〜2)における押出成形および球形化の操作性について、以下の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。なお、実施例1〜3は球形化装置のジャケット部を75℃の温水を循環供給させることにより加熱し、実施例4〜6は球形化装置上部より50℃の温風を風量3m3/minで供給し(熱風発生機SHD−9F、(株)スイデン製)、実施例7〜9は球形化装置のジャケット部を70℃の温水を循環させながら球形化装置上部より50℃の温風を風量3m3/minで供給した。比較例1は実施例1と同様に造粒後、球形化装置(整粒機)のジャケットに冷水を通して冷却し、球形化処理を行った。比較例2は0.2MPa・Gの蒸気でジャケットを加温し、球形化装置(整粒機)上部より80℃の温風を風量3m3/minで供給した。各工程における温度を表1、水分を表2に示す。混合温度は混合機内の温度、成形物温度は押出成形直後の成形物温度、球形化温度は球形化装置(整粒機)内壁面の温度である。
なお、各工程での水分含有率は、測定サンプル約10gを供試し、赤外線水分計(FD−6201、株式会社ケット科学研究所製)を用いて110℃、20分の条件下で行った。
【0093】
【表1】
Figure 0003879456
評価基準
○:押出成形操作あるいは球形化操作が良好であったもの。または、球形化操作において球形化物のほとんどが球状であり、円柱状のまま角のみが丸くなったものが少量存在していたもの。
×:押出成形操作あるいは球形化操作自体が困難であったもの。または、球形化操作において球形化物のすべてが球状ではなく、円柱状のまま角のみが丸くなったものが多数存在していたもの。
【0094】
【表2】
Figure 0003879456
【0095】
実施例1〜9の結果から、押出し後の造粒物が凝集しない水分量で混合および押出成形を行った場合、成形物中の農薬成分の分解が実質的にしない温度で成形物の球形化を行うと、球形化の操作性は良好であることが分かった。
【0096】
比較例1は押出成形物を球形化装置に投入直後から団子状になり、比較例2は球形化過程で押出成形物表面の乾燥したため、形状が悪く一部は粉化した。
【0097】
実施例1〜9の粒子を100粒ずつ用い、円形度係数を測定した。円形度係数は、PIAS−IV(株式会社ピアス製)を用いて測定したが、以下の算式によって算出できる。
円形度係数=(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)2
その結果、平均円形度係数は0.9以上であった。
【0098】
(被覆)
1.被覆
図1に示される噴流層被覆装置(塔径250mm、高さ3000mm)を使用し、実施例1で得られた芯材の表面に、低密度ポリエチレン(MFR=6.6〜7.4g/10min)26重量%、タルク(平均粒径5μm)73重量%、ステアリン酸鉄1重量%からなる被覆材料で、被覆率が16重量%になるよう被覆し、被覆農薬粒子を得た(実施例10)。製造条件は、下記の通りである。同様に、実施例2で得られた芯材の表面に、低密度ポリエチレン(MFR=0.4g/10min)30重量%、タルク(平均粒径5μm)70重量%からなる被覆材料で、被覆率が18重量%になるよう被覆し、被覆農薬粒子を得た(実施例11)。
なお、被覆率は、農薬粒子の重量(a)と被膜の重量(b)との和を100重量%とした被覆農薬粒剤に対する被膜の重量(b)の比率であり、計算式[b×100/(a+b)]により求めた値である。
【0099】
被覆は被覆材料をテトラクロロエチレンに溶解・懸濁して5.0重量%の均一な被覆液を用いた。
一流体ノズル:開口0.4mmハロコーン型
芯材 :4kg
熱風温度 :120±2℃
熱風風量 :4m3/min
スプレー流速:0.2kg/min
被覆工程は流動中の芯材が70℃に達した時点から開始し、所定時間スプレーした後、10分の乾燥を実施した。なお、溶剤はコンデンサーで回収し、異物を取り除いた後再度使用したものである。
【0100】
2.放出機能確認試験
実施例10、11で得られた被覆農薬粒子の放出機能確認試験を実施した。放出確認試験は、被覆農薬粒子の被膜に亀裂が入り、被膜が破壊されることにより、内部の芯材から農薬成分が外部に放出されるまでの時間(放出開始時間)を測定したものである。
試験方法と試験結果を以下に示す。
キャップ付試験管(12mm×72mm)に前記被覆農薬粒子1粒と水1.5mlを入れキャップをした。これを100管(粒)用意し水温20℃の水槽に浸し、その直後から毎日、被覆農薬粒子の被膜崩壊の有無を観察して崩壊した数を計測した。得られたデータを、縦軸に累積放出率(供試被覆農薬粒子の累積崩壊数)、横軸に経過日数をとったグラフにプロットして、試験開始から10重量%放出(被膜崩壊)に至るまでの日数d1(放出抑制期間)と、それ以降90重要%放出に至るまでの日数d2(放出期間)を読み取った。その結果、実施例10のd1が24日、d2が25日、実施例11のd1が41日、d2が60日となった。
ちなみに、実施例1の未被覆農薬粒子(芯材)を同様に放出機能確認試験を実施したところ、1日で放出完了した。これは、従来の押出造粒法による製剤と同等の性能であるとすると水稲苗箱(移植時)施用での薬効は40〜60日程度と予測される。
【0101】
これとは別に、前記被覆農薬粒子1gを一定量の水に投入し、水温20℃一定の条件下水中に浸漬し、一定期間経過後に被覆農薬粒子を取り除いた後、残った水中の農薬成分を測定した。水溶液中の農薬成分の濃度は、高速液体クロマトグラフィ(ウォーターズ社製486チューナブルUV/VIS検出器)を用いて測定した。その結果、被覆農薬粒子の被膜が崩壊していない場合、即ち放出率が0%の場合は農薬成分が検出されず、農薬成分が被膜を通過して放出されていないことが確認された。
以上の試験によって被覆された球形粒子は時限放出型の徐放機能を有することが確認された。
【0102】
上記実施例1の未被覆農薬粒子(芯材)、実施例10、実施例11の被覆農薬粒子を用いて、例えば、これらを等量ずつ混合して農薬粒剤を製造したものを使用すると、施用直後は実施例1の未被覆農薬粒子(芯材)が薬効を示し、20日過ぎに実施例10、40日過ぎに実施例11の被覆農薬粒子が放出を開始し、全体として農薬成分の放出に100日、薬効としてそれ以上の日数持続することがわかる。
【0103】
【発明の効果】
本発明の球形粒子の製造方法によって、あらゆるパターンの放出制御型の被覆農薬粒子を製造するために必要となる、真球性が高く、表面が滑らかな、被覆を施しやすい形態の芯材を効率的に製造することができる。特に、農薬成分、水膨潤性物質、微粉末担体からなる原料および水とを混合・混練し、押出成形/球形化する方法で、製造条件、特に整粒機を特定の操作条件にて用いることにより、造粒物の品質を劣化させず安定的に球状粒子を製造する方法である。
さらに、該芯材を被覆液で被覆することにより、農薬の放出が制御された種々の放出制御型の被覆農薬粒子が製造可能である。
また、該放出制御型の被覆農薬粒子を単独で、もしくは異種の放出制御型の被覆農薬粒子との混合、未被覆農薬粒子(芯材)との混合により、従来の徐放型農薬粒剤の効果の持続期間60〜70日をそれ以上に延ばすことが可能となり、農業従事者の要求に適合した農薬粒剤を容易に製造することができる。
本発明製造方法によって得られた農薬粒剤を作物の栽培に用いることにより、農薬の散布・施用における作業を著しく軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴流層被覆装置の断面図
【符号の説明】
1:噴流塔
2:スプレーノズル
3:芯材
4:熱風供給管
5:被覆材料導入管
6:ガイド管
7:抜き出し口

Claims (9)

  1. 農薬成分、水膨潤性物質、微粉末担体からなる原料および水を混合して混合物を得る混合工程、該混合物を押出成形してソ−メン状の成形物を得る押出工程および該ソ−メン状の成形物を整粒機により球形化して造粒物を得る球形化工程の3工程からなる、平均粒子径が0.5〜30mmの造粒物を製造する方法において、押出工程で得られるソ−メン状の成形物が凝集しない水分含有率で、混合および混合物の押出成形を行い、かつ、得られるソ−メン状の成形物を整粒機で整粒機内壁面の温度(球形化温度)30〜90℃の範囲で球形化を行って造粒物を得ることを特徴とする農薬成分含有球形粒子の製造方法。
  2. 押出工程および球形化工程において、該押出工程におけるソ−メン状の成形物の水分含有率と、該球形化工程において球形化した造粒物の水分含有率との差が0.5〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
  3. 球形化工程における整粒機内壁面の温度(球形化温度)が48〜67℃の範囲であることを特徴とする請求項1もしくは2のいずれか1項記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
  4. 球形化工程における整粒機の加温が、整粒機の内壁面を外部から加温することよって行われる請求項1〜3のいずれか1項記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
  5. 球形化工程の整粒機が、機内のガスを交換することができる構造の整粒機である請求項4記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
  6. 水膨潤性物質がモンモリロナイト鉱物を含有するものである請求項1記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
  7. 球形化された造粒物が、平均円形度係数0.80〜0.99を有する造粒物である請求項1〜6のいずれか1項記載の農薬成分含有球形粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の方法で製造した農薬成分含有球形粒子を、被覆材で被覆することを特徴とする被覆農薬粒子の製造方法。
  9. 請求項8記載の方法で製造した被覆農薬粒子を用いて、農薬粒剤を製造する方法。
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