JP3879441B2 - クランクケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のクランクケースに関し、特に、クランクケースにシリンダヘッドを取り付けるためのヘッドボルトの締め付け時のシリンダボアの変形を抑えるようにしたクランクケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等に搭載される多気筒内燃機関のクランクケースはその長手方向に直列に複数の燃焼室を所定間隔を介し配設し、各燃焼室を形成する各シリンダボアをその外側のクランクケース外壁に対し上下端の上下連結壁を介し一体的に結合した構成を採る。
この内、上連結壁はウォータジャケットの冷却水を循環させるための冷却水貫通口を複数形成され、しかも、その近傍にはボルトボスやオイル通路が相互に干渉することが無いように形成されている。
【0003】
このようなクランクケースの上部にはシリンダヘッドが重ねられ、両者はシリンダヘッドを貫通したヘッドボルトが上連結壁のボルトボスのボルト穴に螺着されることで一体的に締め付け結合される。この場合、各シリンダボアの周りには同数のボルト穴が形成されたボルトボスが同様のパターンで配設され、同数のヘッドボルトで同等の締め付け力でシリンダヘッドと締め付け結合される。
ところが、クランクケースにシリンダヘッドを取り付けるためのヘッドボルトが締め付けられた場合、両者間のガスケットの厚さの影響、締め付け力の大小のばらつき、あるいは上連結壁とシリンダヘッドとの当たり具合や接合面の傾きやボルト穴の配置及び形状等により、クランクケースの締め付け部近傍が傾き変位する。
【0004】
そこで、特開平8−61139号公報のセミオープンデッキ構造のシリンダブロックでは、各シリンダライナの廻りに同一パターンでボルトボスを設けるが、この場合、シリンダブロック外壁側にボルトボスを設け、シリンダブロック外壁側の各ボルトボスとの対向位置とシリンダボア側とを上部及び中間部の各リブを用いそれぞれ連結している。これにより、シリンダブロックにシリンダヘッドを取り付けるためのヘッドボルトが締め付けられた場合において、各ボルトボスの変位が両連結用のリブを介して各シリンダライナ側に分散され、全体剛性の強化されたシリンダヘッド外壁及びシリンダライナの変位量を抑えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、クランクケース外壁の形状がクランクケースの長手方向において異なリ剛性がばらついている場合、例えば、クランクケース外壁にオイルクーラの取付け用のリブが形成されているような場合、クランクケースの長手方向に長い横リブのみが形成されている中間部の外壁やその内側のシリンダボアに対し、縦リブが形成されるクランクケースの長手方向の両端に位置する外壁やその内側のシリンダボアの剛性が相対的に大きくなる。
このため、同一の締め付け力でヘッドボルトを締め付けた場合でも、クランクケースの長手方向における中間部のシリンダボアやその回りのクランクケース外壁が比較的大きく変形する。
【0006】
このように、各気筒のシリンダボア及び外壁の変形量がクランクケースの長手方向においてばらつき、気筒間のボア変形量差、気筒間のクランクケース外壁の変形量差が大きくなり、応力がばらつくことより、エンジン駆動時にオイル消費量の増加、ピストン打音の増加、偏磨耗の増加による耐久性の低下が生じ、これらの改善が望まれている。
なお、特開平8−61139号公報のセミオープンデッキ構造のシリンダブロックでは、各気筒間の外壁部の剛性が相違した場合については全く言及せず、その解決策は開示されない。
【0007】
本発明は、以上のような課題に基づき、クランクケース外壁のクランクケースの長手方向において剛性が変化しているとしても各気筒間のクランクケース外壁の剛性を調整し、変形量差を均一化してオイル消費量の低減等を図れるクランクケースを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、クランクケース長手方向に沿って所定間隔を保って配列された各シリンダボアと、同各シリンダボアをウォータジャケットを介して覆うクランクケース外壁とを備え、同クランクケース外壁にオイルクーラ室を形成する縦横のリブからなるクーラリブを設けたクランクケースにおいて、上記クーラリブを有する側の上記クランクケース外壁と上記シリンダボアとの間の上記ウォータジャケットを横切り両者を連結する連結部材を設け、同連結部材は両端のシリンダボアを排除し中間部のシリンダボアとクランクケース長手方向に延びる上記横リブのみが形成されたクランクケース外壁とを連結し、且つ、上記連結部材の断面形状が縦向きの小判型を成すように形成されていることを特徴とする。
このように、ウォータジャケットを横切るよう配備された連結部材がリブを有する側のクランクケース外壁とシリンダボアを連結するので、クランクケース外壁とシリンダボアの各リブ連結部の近傍部位の剛性を共に強化できる。特に、比較的剛性の低い中間部のシリンダボアと横リブのみが形成されたクランクケース外壁とが連結部材で相互に連結され、中間部のシリンダボアの剛性が強化されるので、クランクケース長手方向に配列された各シリンダボア間のボア変形量が均一化し、応力も均一化してくることよりボア変形によるオイル消費量の低減、ピストン打音低減、偏磨耗による耐久性の低下を防止できる。しかも、連結部材の断面が縦向きの小判型を成すので、ウォータジャケットを上下方向に流動する冷却水の流動抵抗を低減させることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載のクランクケースにおいて、上記リブの無い側の上記クランクケース外壁と上記シリンダボアとの間にウォータジャケットを横切り両者を連結する対向側連結部材を設け、同対向側連結部材は上記連結部材よりも小さく形成されたことを特徴とする。
このように、上記リブの無い側の上記クランクケース外壁と上記シリンダボアとの間をリブ側の連結部材より小さい対向側連結部材で連結したので、流路抵抗増を抑えた上で、上記リブの無い側のクランクケース外壁及びシリンダボアの剛性を強化し、ヘッドボルトの締め付け時のボア変形が低減すると共に気筒間の変形差が均一化し、応力も均一化して耐久性の低下を防止できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の一実施形態としてのクランクケース1が示される。このクランクケース1は直列6気筒エンジン(図示せず)の主要部を成し、その上部にシリンダヘッド2、ヘッドカバー3を順に重ね一体結合し、下部に図示しないオイルパンが一体結合される。
クランクケース1はその長手方向Xに沿って配列されたそれぞれ縦向き円筒状の6つのシリンダボア4と、これらシリンダボア4を覆うクランクケース外壁5とを備える。クランクケース外壁5はクランクケース1の長手方向Xに沿って直列配備された6つのシリンダボア4を所定間隔を保って覆う略矩形箱状のクランクケース外壁上部(以後単にクランクケース外壁5と記す)と上部よりスカート状に下方に延出する下部5bとを有する。
【0012】
6つのシリンダボア4の上下端とクランクケース外壁5の上下端とは上下連結壁7、8で互いに一体結合され、これにより、クランクケース外壁5と各シリンダボア4の間で上下連結壁7,8間にウォータジャケット9が形成される。
クランクケース外壁下部5bの内側にはクランクケース1の長手方向X(図2では紙面垂直方向)に沿って所定間隔で複数のベアリングケース部11が形成される。各ベアリングケース部11はクランクケース外壁下部5bの内壁面に隔壁12を介し一体結合されている。各ベアリングケース部11には図示しない下部ベアリングケース部が締め付け結合され、これにより図示しないコンロッドを枢支可能に形成されている。
【0013】
クランクケース外壁5はクランクケース1の長手方向Xに向ってその一側にオイルクーラ13を装着している。図1乃至図4及び図9に示すように、オイルクーラ13はクランクケース外壁5より外方向に突き出す正面視で矩形のクーラリブ14と同クーラリブ14の先端に重合され、クーラリブ14内の収容室15を覆う蓋部材16とを備える。なお、収容室15にはクーラ本体131が装着され、蓋部材16の外側のフィルタ取付け部161には図示しないフィルタカートリッジが装着される。この場合、図示しないポンプよりの圧油がフィルタカートリッジ通過後にクーラ本体131に流入され、収容室15の冷却水で冷却された上でメインギャラリmに送出されている。なお、符号gは鋳造用の砂抜き穴を示す。この穴gはシーリングキャップでふさがれている。
【0014】
クランクケース外壁5の矩形のクーラリブ14はクランクケースの長手方向Xに延びる上下の横リブ14vと上下の横リブの前後端を結ぶ前後の縦リブ14hとで形成される。この内、前後の縦リブ14hはクランクケース外壁5であって、第1、第6シリンダボア4との対向位置に突出し形成される。上下の横リブ14vはクランクケース外壁5であって、第1乃至第6シリンダボア4との対向部全域に連続して形成される。
このため、クランクケース外壁5の一側、即ち、クーラリブ14を有する側のクランクケース外壁5(図1で手前側)は全体としてリブ14により剛性強化されるが、シリンダボア4の長手方向である上下方向Zにおける曲げ剛性は縦リブ14hを有した第1、第6シリンダボア4と対向する部位のみが強化され、第2乃至第5シリンダボア4と対向する部位の上下方向Zにおける曲げ剛性は比較的小さいものとなっている。
【0015】
6つのシリンダボア4の上端とクランクケース外壁の上端とを一体結合する上連結壁7はシリンダヘッド2の下面f0と重合する上重合面f1を形成され、クランクケース1にシリンダヘッド2を取り付けるためのヘッドボルト17の締め付け時にこれら下面f0と上重合面f1とを圧接させるように形成される。
上重合面f1にはヘッドボルト17が螺着するボルト穴18と、上下に延びるオイル通路の一部を成すオイル穴19と、クランクケース1のウォータジャケット9とシリンダヘッド側の図示しないウォータジャケット9を連通させる冷却水口21とが互いに干渉しない状態で分散配設される。
【0016】
ここで、直列配備される6つのシリンダボア4に対しボルト穴18は同様のパターンで分散して設けられる。図5(b)に示すように、ここで一つのシリンダボア4には、その周囲に合計6つのボルト穴18が配設され、その内、隣り合う左右のシリンダボア4との間に2つずつ、計4つのボルト穴が相互に共用された状態で配設される。なお、上記一つのシリンダボア4に対し6つのボルト穴が配設されるが、これら6つのボルト穴18はシリンダボア4の中心点O1に対して点対称状態で配備され、これによりヘッドボルトの締め付け時に締め付け力がシリンダボア4の上面にほぼ均一に加わるように配慮されている。
各ボルト穴18を中央に形成されたボルトボスvは、図2に示すように、クランクケース外壁5及び上連結壁7の重合部に肉厚ボス状に形成される。このため、ボルトボスvはクランクケース外壁5及び上連結壁7との連結剛性を十分に確保すると共にボルト穴18にヘッドボルト17が螺着された際に、締め付け力を容易に周囲に分散できるよう構成される。
【0017】
ここで、図3、図5(a)に示すように、上記一つのシリンダボア4は隣り合う前後のシリンダボア4との間にボア間連結ボス22を配備し、相互のシリンダボア4間隔の変位を防止している。更に、第2乃至第5シリンダボア4は、リブ14を有する側のクランクケース外壁5との間を主連結部材23で連結される。この主連結部材は、図2に示すように、シリンダボア4の上下方向Zでの中間位置であって、ウォータジャケット9を横切るように配備される。
ボア間連結ボス22及び主連結部材23はウォータジャケット9を上下方向に流動する冷却水の流動抵抗を低減させるよう、過度に大きく形成することを抑え、しかも、ここではその断面が縦向きの小判型を成すように形成されている。
【0018】
このように上記一つのシリンダボア4は上下連結壁7、8によりクランクケース外壁5に上下2箇所で連結され、しかも、ウォータジャケット9で覆われたシリンダボア4の上下方向Zでの中間位置であって隣り合う前後のシリンダボア4とボア間連結ボス22で連結される。更に、第2乃至第5シリンダボア4は、クーラリブ14を有する側のクランクケース外壁5と主連結部材23で連結され、第1、第6シリンダボア4(前後の縦リブ14hとの対向位置のシリンダボア)は主連結部材23での連結を排除される。
このように構成されたクランクケース1の上重合面f1に図示しないガスケットを介装した上で、シリンダヘッド2の下面f0が重ねられる。次いで、シリンダヘッド2の図示しないボルト穴に嵌挿されたヘッドボルト17が対向するクランクケース1のボルト穴18に螺着され、所定の締め付けトルクで締め付け処理される。このようなクランクケース1にシリンダヘッド2を取り付けるためのヘッドボルト17の締め付け処理が全てなされたとする。
【0019】
ここで、ヘッドボルト17の締め付け処理の完了時におけるクランクケース1が受ける横方向の変位を、図6を用い、第一実施例の場合(a)と従来例(b)とに分けて比較表示した。なお、符号cはシリンダボア中心線を示す。
ここで、図6(a)の第一実施例のクランクケース1ではシリンダボア4が上下連結壁7、8によりクランクケース外壁5に上下2箇所で連結され、シリンダボア4の上下方向Zでの中間位置が隣り合う前後のシリンダボア4とボア間連結ボス22で連結され、しかも、第2乃至第5シリンダボア4がクーラリブ14を有する側のクランクケース外壁5とウォータジャケット9を横切る状態の主連結部材23で連結されている。
【0020】
ここで明らかなように、図6(c)の締め付け前の状態より、クランクケース1とシリンダヘッド2が締め付けられた場合には、図6(a)の状態に変位する。即ち、締め付けにより、図示しないガスケットのグロメット厚さ分の影響でボルトボスvが傾くが、この変位はクランクケース外壁5の上端部、上連結壁7、シリンダボア4の上端部へと分散して伝達され、しかも、この場合、比較的剛性の低い第2乃至第5シリンダボア4及び横リブ14vが形成されたクランクケース外壁5とが主連結部材23で相互に連結され、剛性が強化されているので、各気筒のボア変形量が低減する。特に、前後の縦リブ14h(図4参照)で剛性強化された第1、第6シリンダボア4と異なり、第2乃至第5シリンダボア4はその剛性が比較的低いにもかかわらず、ここでは主連結部材23で剛性強化された結果、第1乃至第6シリンダボア4間のボア変形量が均一化し、応力も均一化してくる。このため、エンジン駆動時において、オイル消費量の低減、ピストン打音低減、偏磨耗による耐久性の低下を防止できる。
【0021】
これに対し、図6(b)の従来例のクランクケース1’は図1の第一実施形態と比較して主連結部材23を装備しない。この場合、ボルトボスvが傾くと、剛性強化された図示しない第1、第6シリンダボア4と異なり、比較的剛性の低い図6(b)に示す第2乃至第5シリンダボア4が大きく変位(符号J)し、多気筒間でのボア変形量が大きくばらつき、応力もばらつき、エンジン駆動時におけるボア変形によるオイル消費量の増加、ピストン打音増、偏磨耗による耐久性の低下を招く。
【0022】
上述のところにおいて、クランクケース1は各シリンダボア4がヘッドボルト17の締め付けを可能としたボルト穴18を6個有し、第2乃至第5シリンダボア4は主連結部材23を1つ有していたが、これに代えて、図7(a)、(b)に示すようにクランクケース1aを構成しても良い。クランクケース1aはクランクケース1と比較して、ボルト穴18aを8個有し、第2乃至第5シリンダボア4がそれぞれ2つの主連結部材23a,23bを有している点のみが相違し、その他の構成は同様であるので、重複説明を略す。
【0023】
図7(b)に示すように、クランクケース1aのシリンダボア4aの上端とクランクケース外壁5の上端とを連結する上連結壁7aの上重合面f1には図示しないヘッドボルトが螺着するボルト穴18aと、クランクケース側のウォータジャケット9aとシリンダヘッド2(図1参照)側の図示しないウォータジャケットを連通させる冷却水口21aとが互いに干渉しない状態で分散配設される。ここでのシリンダボア4aには、その周囲に合計8つのボルト穴18aが配設され、その内、隣り合う左右のシリンダボア4aとの間に2つずつ、計4つのボルト穴18aが相互に共用された状態で配設される。更に、図7(a)に示すように、シリンダボア4aは隣り合う前後(図7(a)では左右)のシリンダボア4aとの間にボア間連結ボス22aを配備し、相互のシリンダボア4a間隔の変位を防止している。更に、第2乃至第5シリンダボア4aは、クーラリブ14aを有する側のクランクケース外壁5との間を2つの主連結部材23a,23bで連結している。2つの主連結部材23a,23bは、図2で説明したと同様に、シリンダボア4aの上下方向Zでの中間位置であって、ウォータジャケット9aを横切る状態で形成される。
【0024】
このような構成の第二実施形態のクランクケース1aが図示しないシリンダヘッドに締め付け処理された場合、第2乃至第5シリンダボア4aがクーラリブ14aを有する側のクランクケース外壁5とウォータジャケット9aを横切る状態の2つの主連結部材23a、23bで連結されているので、第一実施形態の場合よりより確実に各気筒のボア変形が低減する。しかも、第2乃至第5シリンダボア4はその剛性が本来比較的低いにもかかわらず、ここでは主連結部材23a,23bで強化されたため、第1乃至第6シリンダボア4間のボア変形量が均一化し、応力も均一化することより、エンジン駆動時において、オイル消費量の低減、ピストン打音低減、偏磨耗による耐久性の低下を防止できる。
【0025】
上述のところに於いて、第2乃至第5シリンダボア4aは、クーラリブ14aを有する側のクランクケース外壁5との間を主連結部材23aで連結していたが、これに加え、図8(a)に示すように、クーラリブ14aの無い側のクランクケース外壁5とシリンダボア4との間をクーラリブ14a側の主連結部材23aより小さい対向側連結部材24で連結した構成を採っても良い。この場合、上下幅がdHだけ相違している小さい方の対向側連結部材24でクランクケース外壁5とシリンダボア4aとの間を連結したので、ウォータジャケット9aの冷却水の流路抵抗増を確実に防止した上で、クーラリブ14aの無い側のクランクケース外壁5及びシリンダボア4aの剛性を強化できる。特に、図示しないヘッドボルトの締め付け時のシリンダボア4a全周の変形が低減すると共に気筒間の変形差が均一化し、応力も均一化して耐久性の低下を防止できる。
【0026】
ここで、図8(b)に示すように、クーラリブ14aのある側の連結部材23aに対してクーラリブ14aの無い側の連結部材23aの位置を上下(高さdhのずれを示した)にずらしても良い。この上下位置調整により、図示しないヘッドボルトの締め付け時のシリンダボア4a全周の変形をより確実に低減し、気筒間の変形差をより確実に均一化し、応力も均一化するこどで耐久性の低下を抑制できる。
上述のところにおいて、連結部材23は、図2に示したように、ボルトボスvの直下近傍に配備されていたが、これに代えて、クランクケース1にシリンダヘッド2を取り付ける複数のヘッドボルト17の内で互いに隣り合う一対のヘッドボルトの中間位置の直下近傍に連結部材23が位置するように設けられてもよい。この場合、ヘッドボルト17の締め付け変位を効率よく分散でき、よりボア変形を防止可能である。
【0027】
上述のところに於いて、クランクケース1の長手方向Xにおける剛性のばらつきは、オイルクーラで生じているものとして説明したが、これ以外のエンジン補機の取付け部がクランクケース1の外壁に形成され、その長手方向Xにおける剛性のばらつきが生じた場合においても本発明を適用でき、同様の作用効果が得られる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、ウォータジャケットを横切るよう配備された連結部材がリブを有する側のクランクケース外壁とシリンダボアを連結するので、クランクケース外壁とシリンダボアの各リブ連結部の近傍部位の剛性を強化できる。特に、比較的剛性の低い中間部のシリンダボアと横リブのみが形成されたクランクケース外壁とが連結部材で相互に連結され、中間部のシリンダボアの剛性が強化されるので、クランクケース長手方向に配列された各シリンダボア間のボア変形量が均一化し、応力も均一化してくることよりボア変形によるオイル消費量の低減、ピストン打音低減、偏磨耗による耐久性の低下を防止できる。しかも、連結部材の断面が縦向きの小判型を成すので、ウォータジャケットを上下方向に流動する冷却水の流動抵抗を低減させることができる。
【0030】
請求項2の発明は、特に、上記リブの無い側の上記クランクケース外壁と上記シリンダボアとの間をリブ側の連結部材より小さい対向側連結部材で連結したので、流路抵抗増を防止した上で、上記リブの無い側のクランクケース外壁及びシリンダボアの剛性を強化し、ヘッドボルトの締め付け時のボア変形が低減すると共に気筒間の変形差が均一化し、応力も均一化して耐久性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのクランクケースの側面図である。
【図2】図1のクランクケースの要部縦断面図である。
【図3】図1のクランクケースの平面断面図である。
【図4】図1のクランクケースの要部切欠斜視図である。
【図5】図1のクランクケースの切欠状態での平面視であり、(a)は図2のA−A線断面図、(b)は図2のB視平面図である。
【図6】図1のクランクケースのヘッドボルト締め付け時の変位を比較説明する図であり、(a)は図1のクランクケースの変位を、(b)は従来例の変位を、(c)はヘッドボルト締め付け前の状態を示す。
【図7】本発明の他の実施形態例としてのクランクケースの切欠図であり、(a)は図2のA−A線断面位置相当の平断面図、(b)は図2のB視相当の平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態例としてのクランクケースのヘッドボルト締め付け時の変位を説明する図であり、(a)は第1変形例を、(b)は第2変形例を示す。
【図9】図1のクランクケースに装着されるオイルクーラの要部分解斜視図である。
【符号の説明】
1,1a クランクケース
4,4a シリンダボア
5 クランクケース外壁
9,9a ウォータジャケット
14 クーラリブ
14h 縦リブ
14v 横リブ
15 オイルクーラ室
23、23a 主連結部材
24 対向側連結部材
X クランクケースの長手方向
Claims (2)
- クランクケース長手方向に沿って所定間隔を保って配列された各シリンダボアと、同各シリンダボアをウォータジャケットを介して覆うクランクケース外壁とを備え、同クランクケース外壁にオイルクーラ室を形成する縦横のリブからなるクーラリブを設けたクランクケースにおいて、上記クーラリブを有する側の上記クランクケース外壁と上記シリンダボアとの間の上記ウォータジャケットを横切り両者を連結する連結部材を設け、同連結部材は両端のシリンダボアを排除し中間部のシリンダボアとクランクケース長手方向に延びる上記横リブのみが形成されたクランクケース外壁とを連結し、且つ、上記連結部材の断面形状が縦向きの小判型を成すように形成されていることを特徴とするクランクケース。
- 請求項1記載のクランクケースにおいて、
上記クーラリブの無い側の上記クランクケース外壁と上記シリンダボアとの間にウォータジャケットを横切り両者を連結する対向側連結部材を設け、同対向側連結部材は上記連結部材よりも小さく形成されたことを特徴とするクランクケース。
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