JP3878863B2 - 光通信用スリーブ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、光通信等で光ファイバの接続やレセプタクル等に用いる光通信用スリーブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ同士を接続する光コネクタの構造は、図8に示すように光ファイバ40を挿通したフェルール41同士をスリーブ10の両端から挿入して突き合わせるようになっており、上記フェルール41、スリーブ10の材質として、アルミナやジルコニア等のセラミックスまたは金属、プラスチックス等が用いられている。
【0003】
また、従来の一般的な割スリーブは図9に示すように円筒体で長手方向にスリット11が設けられ、その内周面14はフェルール41の外径よりわずかに小さく精密研磨されている(特開平2−231545号公報参照)。この割スリーブ10にフェルール41を挿入すると、割スリーブ10が弾性変形して若干広がることにより、割スリーブ10の内周面14でフェルール41を強固に把持することが出来るようになっている。また、スリット11の入っていないスリーブ10もある。
【0004】
現在インターネット等の普及速度は全世界的に著しく、これらフェルール、スリーブを可能な限り安価に提供していくことがサプライヤーの使命となっており、かつ今後の光化が普及する為の重要な要素である。
【0005】
このスリーブ10をセラミックスで形成する場合は、セラミック原料を押出成形等によって円筒状に成形し、焼成した後、内周面及び外周面、全長を研削することにより製造していた。割スリ−ブの場合はスリット加工を行う工程がさらに追加される。
【0006】
ここで、スリーブの端面12は、一般的には図10に示されるように内周面14と端面12との境界部及び外周面13と端面12との境界部共に面取り15が施されている。これは、図8においてスリーブ10にフェルール41を挿入する際面取り部がないとスムーズに挿入出来ず、スリーブ10およびフェルール41に傷もしくはかけ等の破損が生じてしまう可能性がある為である。
【0007】
次に、従来のスリーブ10の両端面の加工方法について図を用いて説明する。
【0008】
図11は平面研削盤加工を示す概念図であるが、定盤3に整列したスリット加工前のスリーブ10の外周面をストッパー4で押さえ、このストッパー4を定盤3に固定した後、スリーブ10の端面12にダイヤモンド砥石1を接触させて、ダイヤモンド砥石1を矢印方向へ移動させることで、スリーブ10の片側端面を加工していた。さらに、このスリーブ10の加工した端面を下に、加工していない方の端面を上にして定盤3に整列し、上記の作業を繰り返してスリーブ10の両端面を加工していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
まず、第1の課題を説明する。図10に示す従来のスリーブ10では、両端面を別々に研削加工する為加工工数が増加し、製造原価の高いスリーブとなってしまうという問題があった。
【0010】
片側端面12の内周面14と端面12との境界部の面取り、及び外周面13と端面12との境界部の面取り、さらに反対側端面12の内周面14と端面12との境界部の面取り、及び外周面13と端面12との境界部の面取りというように、計4回もの面取り加工が必要である。
【0011】
さらに、面取りされた内周面14と面取り15との境界部16はエッジとなってしまい、フェルール41の挿入性が悪くなってしまう。特にフェルール41の材質がプラスチックや金属である場合は、セラミックより剛性が劣る為フェルールの面取り17の近辺が削られてしまい、その削られた破片等がフェルール41の端面18近辺に付着し、接続損失が増大するという問題がある。
【0012】
また、この問題を回避する為面取りされた内周面と面取り部との境界部16にブラシ加工等により曲面をつける事もあるが、この加工によりさらに工数が増加し、さらに製造原価が高いスリーブとなってしまうという問題があった。
【0013】
次に第2の課題を説明する。従来のスリーブ10では端面12と内周面14の直角度Cの寸法精度に規定が無く、直角度Cの平均が9.8μm、直角度Cのばらつきについては20μmと大きくばらつくという問題があった。
【0014】
これは、図11のように平面研削盤加工を施した従来のスリーブ10は、ダイヤモンド砥石1がスリーブ10の端面12を研削し移動することにより、スリーブ10がダイヤモンド砥石1の移動する進行方向へ傾き、スリーブ10の端面12が内周面14の長手方向に対して斜めに加工されるため、その傾きが割スリーブ10の端面12と内周面14の直角度の悪さに影響を与えているからである。
【0015】
これにより、図12に示すように光ファイバ40を挿通したフェルール41をスリーブ10の片端から挿入した後、フェルール41をスリーブ10から抜くときに、ホルダー2に接したスリーブ10のA点を支点として、B方向に大きく傾きが生じることにより、フェルール41をスリーブ10から抜くときに生じる抜去力にばらつきが生じ、スリーブ10の内周面14の真円度、外周面13と内周面14との同芯度等の各部単体の寸法精度をいくら良くしても、安定した特性を得ることが困難であるという問題があった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記に鑑みて本発明は、円筒体の光通信用スリーブにおいて、内周面と端面との境界部及び外周面と端面との境界部を曲面状とし、上記外周面と端面との境界部の曲面の曲率半径が、上記内周面と端面との境界部の曲面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
上記外周面と端面との境界部の曲面の曲率半径が、外周方向へ向かうに従い大きくなることを特徴とする。
【0018】
上記外周面と端面との境界部の曲面の曲率半径が0.05mm以上0.30mm以下であり、内周面と端面との境界部の曲面の曲率半径が0.02mm以上0.25mm以下であることを特徴とする
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図を用いて説明する。
【0025】
図1(a)は、本発明の実施形態によるスリーブ10を示す断面図である。スリーブ10はアルミナやジルコニア等のセラミックス、リン青銅、又はプラスチックス等の材料からなり、円筒体でできている。
【0026】
ここでスリーブ10は、内周面14の真円度を1μm以下、内周面14の長手方向の真直度を1μm以下、外周面13と内周面14との同芯度を10μm以下で、かつ内周面14の表面粗さをRmax0.5μm以下としてある。
【0027】
内周面14の真円度を1μm以下としたのは、内周面14の真円度が1μmを越えるとスリーブ10の内周面14のフェルールを把持する部分が一定にならず、逆に内周面14の真円度が限りなく0に近づくほど内周面14の全体でフェルールを把持する事になり、接続損失を低減することが出来るためである。
【0028】
又、内周面14の長手方向の真直度を1μm以下としたのは、内周面14の真直度が1μmを越えるとスリーブ10にフェルールを挿入したときに、フェルール端面の中心位置にある光ファイバの中心ずれが生じ、逆に内周面14の長手方向の真直度を限りなく0に近づけるほどフェルールが一直線上でスリーブ10の内周面14で固定される事になり、接続損失を低減することが出来るためである。
【0029】
次に、外周面13と内周面14との同心度を10μmとしたのは、外周面13と内周面14との同心度が10μmを越えるとスリーブ10の肉厚が不均一となり、フェルールの外周面を均一に把持出来なくなり、逆に外周面13と内周面14との同心度を限りなく0に近づけるほどスリーブ10の内周面14は周方向に均一にフェルールを把持する事になり、接続損失を低減することが出来るためである。
【0030】
最後に、内周面14の表面粗さをRmax0.5μm以下としたのは、内周面14の表面粗さがRmax0.5μmを越えると面の凹凸によってスリーブ10の内周面14のフェルールを把持する部分が一定にならず、逆に内周面14の表面粗さが限りなく0に近づくほど内周面14の全体でフェルールを把持する事になり、接続損失を低減することが出来るためである。
【0031】
図1(b)は、図1(a)のA部を拡大した断面図である。ここで、内周面14と端面12との境界部及び外周面13と端面12との境界部はそれぞれ曲面状となっており、さらに、外周面13と端面12との境界部の曲面の曲率半径R2が、内周面14と端面12との境界部の曲面の曲率半径R1よりも大きくなっている。かつ、曲率半径R2が、外周方向へ向かうに従い大きくなっている。
【0032】
ここで、レセプタクル等に使用されるスリット加工されていない図1(a)のスリーブ10は、金具等に圧入される。その際スリーブ10の外周側の曲率半径R2が重要となる。スリーブ10を金具に圧入する際、金具とはじめに接触するスリーブの外周側の曲率半径R2は小さいほうが、スリーブ10は金具にスムーズに挿入される。圧入が進むに従いスリーブ10の曲率半径R2がしだいに大きくなる事により金具外壁に突発的ストレスがかからずスムーズに挿入される。
【0033】
ここで曲率半径R2が均一形状の場合は、圧入時金具外壁に瞬間的ストレスがかかったり、又、金具に圧入する際にスリーブ10が若干斜めに圧入される場合は金具外壁に傷がついてしまい金具とスリーブ10の密着性が悪くなり、スリーブ10が金具から簡単に引き抜かれてしまう危険性が発生する。
【0034】
なお、図1(C)は、長手方向にスリット11が設けられた割スリーブを示す断面図である。その内周面14は挿入するフェルールの外径よりも僅かに小さな内径となるような円形に精密研磨されている。
【0035】
なお、上記曲率半径R1、R2は詳細を後述するブラシ研磨加工により同時に形成される。
【0036】
ここで、本発明のスリ−ブ10の曲率半径R2は0.05mm以上0.30mm以下の範囲が好ましい。また、曲率半径R1は0.02mm以上0.25mm以下の範囲が好ましい。
【0037】
前述の通り、レセプタクル等に使用されるスリ−ブは金具等に圧入される為、曲率半径R2が大きいほうが有利である。一般にブラシ研磨加工を行う場合は、ブラシ毛がスリ−ブ10の内周面に入りずらいため、曲率半径R2のほうが曲率半径R1より大きくなる。また、ブラシ毛はスリーブ10の外周方向に向かう程スリーブ端面を多く研磨する為、曲率半径R2はスリーブ10の外周方向に向かう程大きくなり、スリーブ10を金具に圧入する際挿入性が良好となる。
【0038】
ここで、曲率半径R2の下限値を0.05mmとしたのは、スリ−ブ10が金具等に圧入される場合スム−ズに圧入出来る為の最低値の為である。0.05mm未満の場合はスムーズに圧入されず、過度な圧入力が必要であったり、無理に圧入される為スリーブが金具に斜め入り込む危険がある。
【0039】
曲率半径R2の上限値を0.30mmとしたのは一般にスリ−ブ10の厚みは0.5mmから0.6mm程度であり、曲率半径R2はスリーブ10の厚みを0.6mmとした場合その半分までが理想である。0.30mmを越えると曲率半径R1の曲面まで曲率半径R2の曲面がかかってしまい、端面が変形してしまう為である。
【0040】
ただし、特殊な場合としてスリーブ10の厚みが0.6mm以上の場合がある為、その場合は曲率半径R2は0.30mm以上でもかまわない。
【0041】
曲率半径R1は、曲率半径R2を0.10mmから0.30mmまでに設定すると、必然的に0.02mmから0.25mm程度になる。ただし、特殊な場合としてスリーブ10の厚みが0.6mm以上の場合がある為、その場合は曲率半径R1は0.25mm以上でもかまわない。
【0042】
これは図1(c)に示される様に、長手方向にスリット11が設けられ、その内周面14は挿入するフェルールの外径よりも僅かに小さな内径となるような円形に精密研磨されている割スリ−ブの場合においても同様に適用出来る。
【0043】
本発明のスリーブ10は、図8に示すように両側から光ファイバ40を挿通したフェルール41を挿入して当接させることにより、光ファイバ40同士を結合する光コネクタとすることが出来る。
【0044】
ここで重要なのはいかに簡略的に、低コストでスリーブを製造するかであり、本発明のスリーブ10の製造方法について、以下詳細に説明する。ここでは一例として、スリーブの材質としてジルコニア製のセラミックスを使用した場合について説明する。
【0045】
まず図2に示すように、成形工程においてジルコニアを主成分とし、イットリア、アルミナ、チタニア、カルシア等を含有する原料を押出成形、プレス成形、もしくは射出成形により長い円筒体に成形する。次にこの成形体を焼成する。場合によっては破壊強度を増大させるためにHIP法(熱間静水加圧)を用いることもある。次にこの焼成体の全長をある程度短くする。これは最終全長寸法に追い込む加工工程を短くするため、ここで簡略的に全長を整えておく。
【0046】
次にこの焼成品の内径を研磨する。焼成された円筒体の内径寸法を最終内径寸法に追い込む為の工程であり、ダイヤモンド砥粒を用いたホーニングおよびピン研磨等で研磨加工を行う。ホーニングとピン研磨双方を行い、内径精度を向上させる場合もある。
【0047】
次に外周研削を行う。この工程により円筒体の外径を整え、製品最終寸法まで追い込むことになる。次に全長加工を行う。この工程により円筒体の全長を整え、製品最終寸法まで追い込むことになる。次に、割スリ−ブの場合はスリット加工を行う。
【0048】
最後に両端面の曲面加工を行う。図3にその概略図を示す。スリーブ10を下治具19にセットし、加工する端面の方向をそろえる。上治具21に取り付けられているブラシ毛20にダイヤモンドペ−ストを塗布し、下治具19にセットされたスリーブ10に上治具21を回転させながら押しつけ研磨する。下治具19を上治具21と逆方向に回転させる事によりスリーブ全体が均一に研磨される。ブラシ毛20に付着したダイヤモンドペーストが柔らかいブラシ毛20を通じてスリーブ10端面のエッジ部を研磨する。この工程を行うことにより、上述したように端面を曲面状に加工することができ、レセプタクル等に使用されるスリ−ブは金具等に圧入しやすくなる。
【0049】
以上の方法によれば、従来のように合計6回の面取り加工、ブラシ研磨加工を行う必要がなく、両端面に曲面加工を2回するだけで所望のスリーブを提供することが可能である。従って加工工数が軽減され、原価の安いスリーブを提供することができ、上述した第1の課題を解決できる。
【0050】
次に、本発明の他の実施形態を図を用いて説明する。
【0051】
図4は、本発明のスリーブ10を示す断面図である。スリーブ10はアルミナやジルコニア等のセラミックス、リン青銅、又はプラスチックス等の材料からなり、円筒体で長手方向に図示しないスリットが設けられ、その内周面14は挿入するフェルールの外径よりも僅かに小さな内径となるような円形に精密研磨されている。
【0052】
本発明のスリーブ10は、図8に示すように両側から光ファイバ40を挿通したフェルール41を挿入して当接させることにより、光ファイバ40同士を結合する光コネクタとすることが出来る。
【0053】
各部分の寸法精度は、端面12と内周面14の直角度を9μm以下、内周面14の表面粗さをRmax0.5μm以下、内周面14の長手方向の真直度を1μm以下としてある。
【0054】
ここで、端面12と内周面14の直角度を9μm以下としたのは、図6に示す通り、直角度が9μmを越えると、スリーブ10の片側に光ファイバ40を挿通したフェルール41を挿入した後、フェルール41をスリーブ10から抜いたときに発生する抜去力において、そのばらつきが急激に大きくなることにより特性が安定せず、逆に端面12と内周面14の直角度が9μmから限りなく0に近づくほど、フェルール41を抜いたときに発生する抜去力のばらつきが低減し、特性を安定させることが出来るためである。
【0055】
又、内周面14の表面粗さをRmax0.5μm以下としたのは、内周面14の表面粗さがRmax0.5μmを越えると、面の凹凸によってスリーブ10の内周面14のフェルール41を把持する部分が一定にならず、逆に内周面14の表面粗さが限りなく0に近づくほど内周面14の全体でフェルール41把持することになり、フェルール41を抜いたときに発生する抜去力のばらつきが低減し、特性を安定させることが出来るためである。
【0056】
最後に、内周面12の長手方向の真直度を1μm以下としたのは、真直度が1μmを越えると割スリーブ10の内周面14のフェルール41を把持する部分が一定にならず、逆に内周面14の長手方向の真直度が限りなく0に近づくほど内周面14の全体でフェルール41を把持することになり、フェルール41を抜いたときに発生する抜去力のばらつきが低減し、特性を安定させることが出来るためである。
【0057】
従って、割スリーブ10の寸法精度で、端面12と内周面14の直角度を9μm以下、内周面14の表面粗さをRmax0.5μm以下、内周面12の長手方向の真直度を1μm以下としたことにより、特性として重要な抜去力において優れた効果を奏することが出来、上述した第2の課題を解決できる。
【0058】
ここで、本発明の割スリーブ10の製造方法について説明する。
【0059】
ジルコニアを主成分とし、イットリア、アルミナ、チタニア、カルシア等を含有する原料を押出成形、プレス成形、もしくは射出成形により予め円筒状に形成しておき、焼成工程で焼き固める。次に外周面13をセンタレス加工機を用いてダイヤモンド砥石で研削し、両端面12を両頭研削盤を用いてダイヤモンド砥石で研削し、内周面14をダイヤモンド砥石を用いたホーニングおよびダイヤモンド砥粒を用いたピン研磨等で所定の内径寸法になるように研磨加工を行う。最後にスリット11を平面研削盤を用いてダイヤモンド砥石で研削する。
【0060】
上記両端面14の研削加工については両頭研削盤で両端面の加工を行うことを特徴とし、これによって初めて上述した寸法精度を得ることが出来る。以下、その詳細を図を用いて説明する。
【0061】
本発明の両頭研削盤加工は、図5の概念図で示す通り、一定の間隔を保ち同軸上で回転しているダイヤモンド砥石7と8の間を、この軸と平行に配置されたキャリア6とストッパー5によって強固に保持されたスリット加工前のスリーブ10を、矢印の方向へ通過させ、スリーブ10の両端面を加工することによって、端面12と内周面14の直角度が9μm以下となり、抜去力のばらつきを顕著に小さいスリーブ10を容易に製造することが出来るのである。
【0062】
本発明の加工方法は、一例であり、セラミックス以外では、平板を精密プレス加工で曲げて成形するりん青銅割スリーブ、又は精密射出成形で成形するプラスチックス製割スリーブにおいても、上記寸法精度が得られるのであればいかなる方法でも、同等の効果を奏することができる。
【0063】
なお、以上の実施形態では、図1に示す第1の実施形態と図4に示す第2の実施形態を別々に説明したが、両者の特徴を併せ持つスリーブ10とすることが最も好ましい。
【0064】
【実施例】
ここで、以下に示す方法で実験を行った。
【0065】
実験1
本発明実施例として、図1(c)に示すような、曲率半径R1を0.1mmとしたジルコニア製割スリーブを用意し、比較例として図10に示すような、端面に面取り加工をほどこし、内周面と面取り部との境界部16にブラシ加工等により曲面をつけたジルコニア製割スリーブを用意した。
【0066】
2種類の割スリーブは共に内径はφ2.493mm、外径はφ3.2mm、長さは11.4mmであり、各100個作成し、双方の加工時間を測定した。
【0067】
その結果を表1に示す。この様に従来例のジルコニア製割スリーブを100個作製した際の面取り加工時間かつブラシ研磨加工時間の合計を100とした場合、本発明によるジルコニア製スリーブを100個加工したブラシ研磨加工時間の合計は32であり、68%も加工時間を短縮する事が出来た。
【0068】
【表1】
Figure 0003878863
【0069】
実験2
次にフェルールの挿入性を比較する為、図1(c)に示すような曲率半径R1を0.1mmとしたジルコニア製割スリーブを用意し、比較例として図10に示すような端面に面取り加工をほどこし、内周面と面取り部との境界部16にブラシ加工等により曲面をつけたジルコニア製割スリーブ、さらに、端面に面取り加工をほどこし、内周面と面取り部との境界部16にブラシ加工等をほどこしておらず、エッジとなっているジルコニア製割スリーブの3種類の割スリーブを用意した。3種類の割スリーブは共に内径はφ2.493mm、外径はφ3.2mm、長さは11.4mmに統一した。
【0070】
この3種類の割スリーブを各10個ずつ用意し、プラスチックフェルールを500回ずつ抜き差しを行い、抜き差し前の接続損失値と500回抜き差し後の接続損失の差、つまり変動値を測定した。その結果を表2に示す。
【0071】
この様に、図10に示すような端面に面取り加工をほどこし、内周面と面取り部との境界部16にブラシ加工等をほどこしておらず、エッジとなっているジルコニア製割スリーブは変動値が極端に大きく実際のフィールドでは使用が困難である事が確認された。
【0072】
また、この割スリーブにて抜き差し試験を500回行ったあとのプラスチックフェルールの端面および面取り部を400倍の金属顕微鏡で観察したところ、プラスチックフェルールが削れたコンタミが付着していた。これは、このスリーブが内周面と面取り部との境界部16にブラシ加工等をほどこしておらず、エッジとなっている為このエッジ部でプラスチックフェルールの面取り部が削り取られたものである。
【0073】
これに対し、図1(c)に示すような曲率半径R1を0.1mmとしたジルコニア製割スリーブと、図6に示すような端面に面取り加工をほどこし、内周面と面取り部との境界部16にブラシ加工等により曲面をつけたジルコニア製割スリーブは、500回の抜き差し試験後の接続損失変動値はほぼ等しい結果となった。
【0074】
従って、割スリーブの端面に面取り加工をほどこさず、ブラシ研磨加工により曲面をつけるだけで充分フェルールとの接続性は満足出来ることが立証出来た。
【0075】
【表2】
Figure 0003878863
【0076】
実験3
さらにスリット加工が施されていないスリ−ブの金具への挿入性を比較する為図1(a)に示すような曲率半径R2を0.15mmとしたジルコニア製スリーブを用意し、比較例として図10に示すような端面に面取り加工をほどこしたジルコニア製スリーブを用意した。
【0077】
双方のスリーブ寸法は共に内径はφ2.500mm、外径はφ3.5mm、長さは6.4mmに統一した。
【0078】
この2種類のスリーブを各10個ずつ用意し、内径φ3.497mmの金具に圧入し圧入力を比較した。さらに圧入後スリーブを引き抜き、金具の内周面とスリーブの外周面、端面にキズがついていないか確認した。これは金具へスリーブを圧入する際、外周面と端面との境界部の曲面形状が適していない場合は金具の内周面とスリーブの外周面、端面に圧入ストレスがかかりキズとなる為である。その結果を表3に示す。双方ともほぼ同じ圧入力をとなったが、若干本発明のほうが圧入力、標準偏差とも良好な結果となった。キズについても双方問題はなかった。
【0079】
従って、スリーブの端面に面取り加工をほどこさず、ブラシ研磨加工により曲面をつけるだけで充分金具への挿入性は満足出来ることが立証出来た。
【0080】
【表3】
Figure 0003878863
【0081】
実験4
最後に、スリーブの外周側の曲率半径R2の適正値の確認を行う為、図1(a)に示すような曲率半径R2をそれぞれ0.02mm、0.05mm、0.15mm、0.30mm、0.40mmとしたジルコニア製スリーブを各10個ずつ用意し、内径φ3.697mmの金具に圧入し、圧入後スリーブを引き抜き、その力を比較した。
【0082】
これらスリーブの寸法は内径はφ2.500mm、外径はφ3.7mm、長さは6.4mmに統一した。
【0083】
さらにスリーブを引き抜いたあと、金具の内周面とスリーブの外周面、端面にキズがついていないか確認した。これは金具へスリーブを圧入する際、外周面と端面との境界部の曲面形状が適していない場合は金具の内周面とスリーブの外周面、端面に圧入ストレスがかかりキズとなる為である。その結果を表4に示す。
【0084】
曲率半径R2が0.02mm、0.40mmの場合、引き抜き力が10kg以下と極端に弱いサンプルがあった。これらサンプルの金具の内周面とスリーブの外周面にはキズがついており、R2の形状が不適切な為金具にスリーブを圧入する際斜めに圧入され、金具とスリーブの密着性が悪くなり引き抜き力が弱くなってしまった。
【0085】
これに対し、曲率半径R2が0.05mm、0.15mm、0.30mmの場合は引き抜き力、外観共全く問題がなく、R2の大きさは0.05mmから0.30mmの範囲が適正である事は確認出来た。
【0086】
【表4】
Figure 0003878863
【0087】
実験5
次に、以下に示す方法で実験を行った。
【0088】
本発明実施例として、端面を図5に示す両頭研削盤で加工した後、最終仕上げ加工した図4に示すジルコニア製割スリーブと、比較例として、端面を図11に示す平面研削盤で加工した後、最終仕上げ加工したジルコニア製割スリーブとを用意した。
【0089】
2種類の割スリーブは共に内径はφ2.493mm、外径はφ3.2mm、長さは11.4mm、各100個作成し、その端面12と内周面14の直角度を測定した。
【0090】
その結果を図7に示す。図7(a)は端面を平面研削盤で加工した比較例の割スリーブの直角度分布状態を示すグラフであり、図7(b)は端面を両頭研削盤で加工した本発明実施例の割スリーブの直角度の分布状態を示すグラフである。
【0091】
この様に、比較例の割スリーブは、図7(a)で示す通り、直角度の平均値が大きくしかもバラツキが大きいのに対し、本発明実施例の割スリーブは図7(b)で示す通り、端面と内孔の直角度の平均値が小さいことと共にそのバラツキも小さいことが確認できる。
【0092】
従って、円筒体の長手方向にスリットを設けた光通信用割スリーブの両端面を、一定の間隔を保ち回転する砥石を両端に有する両頭研削盤で加工することにより、端面と内孔の直角度を9μm以下及び抜去力のばらつきを共に小さくすることができ、特性として重要な抜去力に優れた効果が得られた。
【0093】
【発明の効果】
このように本発明によれば、円筒体の光通信用スリーブにおいて、内周面と端面との境界部及び外周面と端面との境界部を曲面としたことによって、作製工数を低減出来、かつフェルールや金具との接続性が良好なスリーブを容易に得られる。
【0094】
また、本発明によれば、円筒体の長手方向にスリットを設けた光通信用割スリーブにおいて、端面と内周面の直角度を9μm以下としたことによって、抜去力のばらつきを小さくし、特性として重要な抜去力に優れた効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の光通信用スリーブを示す縦断面図、(b)は(a)のA部を拡大した断面図、(c)は本発明の光通信用割スリーブの横断面図である。
【図2】本発明の光通信用スリーブの製造工程を示す図である。
【図3】本発明の光通信用スリーブの製造工程におけるブラシ研磨加工工程を示す概略図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の光通信用スリーブの加工工程を示す図である。
【図6】光通信用スリーブにおける端面と内周面との直角度と、抜去力との関係を示すグラフである。
【図7】(a)(b)は光通信用スリーブにおける端面と内周面との直角度の分布を示すグラフである。
【図8】光コネクタを示す断面図である。
【図9】従来の光通信用割スリーブを示す斜視図である。
【図10】従来の光通信用スリーブを示す断面図である。
【図11】従来の光通信用スリーブの加工方法を示す図である。
【図12】従来の光通信用スリーブを示す図である。
【符号の説明】
10:スリーブ
11:スリット
12:端面
13:外周面
14:内周面
15:面取り
16:境界部
17:面取り部
18:端面
19:ブラシ下治具
20:ブラシ毛
21:ブラシ上治具
40:光ファイバ
41:フェルール

Claims (3)

  1. 円筒体の光通信用スリーブにおいて、内周面と端面との境界部及び外周面と端面との境界部を曲面状とし、上記外周面と端面との境界部の曲面の曲率半径が、上記内周面と端面との境界部の曲面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする光通信用スリーブ。
  2. 上記外周面と端面との境界部の曲面の曲率半径が、外周方向へ向かうに従い大きくなることを特徴とする請求項1に記載の光通信用スリーブ。
  3. 上記外周面と端面との境界部の曲面の曲率半径が0.05mm以上0.30mm以下であり、内周面と端面との境界部の曲面の曲率半径が0.02mm以上0.25mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光通信用スリーブ。
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