JP3878691B2 - 液体酸素系漂白性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体酸素系漂白性組成物に関し、更に詳しくは長期間における保存安定性に非常に優れ、全般的なシミ汚れに対し良好な漂白力を示し、長期使用における色柄物の色あせを抑制することを特徴とする液体酸素系漂白性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸素系漂白剤は手軽に安全にしかも色柄物を含む幅広い衣料に使用できるという点で広く受け入れられ衣料用漂白剤の中心である。酸素系漂白剤には、形態では液体タイプと粉末タイプの物が商品化されている。
液体酸素系漂白剤は、その使い勝手がよく、衣料用漂白剤の中核になってきており、その使用形態は、全体使用と呼ばれる洗濯機に標準使用量を投入する方法と被洗物にたいして直接塗布する使用方法がある。特に液体タイプの場合には直接塗布の時により高い漂白効果を発現しそれが商品特徴になっている。また、洗濯機に標準使用量を投入する方法も一般化しており、ユーザーの約80%がこの使用方法を実施している。
【0003】
しかしながら一方において漂白力の点では塩素系漂白剤に劣っており、酸素系漂白剤の漂白力の向上については多くの研究がなされてきている。その1つの手法に有機過酸前駆体を利用する考え方がある。この有機過酸前駆体は、洗浄液中で過酸化水素と反応により漂白力の高い有機過酸を生成する。ここで用いられる水中で過酸化水素を発生する化合物としては、粉末タイプの漂白剤、もしくは、漂白性能を有するヘビー洗剤では、過炭酸ナトリウムや過ほう酸ナトリウムなどが利用され、液体漂白剤では過酸化水素が用いられる。また、有機過酸前駆体には、例えばテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、グルコースペンタアセテート(PAG)、フェノール誘導体アルキルエステルをあげることが出来る。
【0004】
これら有機過酸前駆体は、構造中にエステル結合や、アミド結合、イミド結合などを有することから、一般的に、水、過酸化水素に対して不安定で、加水分解反応、加過酸化水素分解反応によって分解し有機過酸前駆体としての活性を失う。そのため、有機過酸前駆体を液体漂白剤組成物中に配合するためには、加水分解、加過酸化水素分解を抑制することが必要になる。
この解決手段として、ミセル反応場の利用を考えることが出来る。ミセル反応場では、エステル結合を有する化合物が取り込まれると、その加水分解速度に変化が生じることが報告されている(大垣和一郎 化学と工業,p47(1988))。この界面活性剤による分解反応の速度のコントロールを利用することによって、溶液中での有機過酸前駆体の分解を抑制することができ、実際にこの現象を応用した技術が、特開平6ー207196号公報に開示されている。しかし、溶液中での有機過酸前駆体の分解を抑制する系は、逆に洗浄液中での有機過酸の生成反応速度をも抑制し、有機過酸の発生効率を低減させ満足な漂白力を得られにくいという問題が生じる。有機過酸前駆体の効果を発揮するためには洗浄系において有機過酸前駆体と過酸化水素との反応を抑制することなく、製剤時には有機過酸の安定性を維持することが必要である。
【0005】
一方、液体酸素系漂白剤の重要な課題に過酸化水素の安定化をあげることができる。
これら液体酸素系漂白剤の漂白成分には、過酸化水素が用いられている。過酸化水素は経時により分解し、酸素ガスを発生する。この過酸化水素の分解は、漂白力の低下の要因となり、発生したガスは貯蔵容器の内圧上昇を招き、ボトルの変形(膨らみ)を招く恐れもある。そのため過酸化水素を配合した液体漂白剤の貯蔵安定性を改良する研究は従来よりなされている。例えば、特公昭40−7774号公報には酸性ピロリン酸ソーダ、中性ピロリン酸ソーダ及びピロリン酸カリを併用した貯蔵安定な弱酸性液体漂白剤が、特開昭9−52784号公報にはアルキリデンジホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸及びニトリロトリメチレンホスホン酸から選ばれた有機酸と可溶性錫塩とアンモニウム塩を配合したpHが0.5〜7の安定な液体漂白剤が、特開昭52−103386号公報にはポリ−α−ヒドロキシアクリル酸からなる過酸化水素安定化剤が、特開昭55−108500号公報には有機酸、リン酸、ホウ酸から選ばれる酸と窒素化合物を配合したpHが1.8〜5.5の安定な液体漂白剤が、特開昭55−76161号公報には縮合リン酸塩を安定化剤として使用したアルカリ性の過酸化水素漂白剤系でポリ−α−ヒドロキシアクリル酸塩を配合すると相乗安定化効果を発揮することが、特開昭57−154457号公報にはアクリル酸とアクリル酸エステル及び/又はポリエリレングリコールメタクリレートの共重合体からなる過酸化水素系漂白剤の安定化助剤が、特開昭62−185797号公報にはポリ−α−ヒドロキシアクリル酸塩と有機ホスホン酸塩を併用した過酸化水素系漂白安定化剤が開示されている。さらに、高温貯蔵安定の改良された酸性過酸化水素系漂白剤組成物として特開平3−91597号公報には特定の界面活性剤系で特定分子量を有するポリアクリル酸又はその塩を配合した例が、特開平3−188198号公報には特定の界面活性剤系で特定分子量を有するポリアクリル酸ポリマー及び/又はマレイン酸系ポリマーと特定のリン化合物を配合した例が、特開平4−23897号公報にはノニオン界面活性剤、カルボン酸系ポリマーおよび特定の有機ホスホン酸化合物を組み合わせた例が、特開平4−28797号公報には特定の界面活性剤系で特定分子量を有するポリカルボン酸又はその塩と特定の水溶性無機塩を配合した例が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
過酸化水素を配合した液体漂白剤の課題は、液体酸素系漂白剤の主流な使用方法である全体漂白のような希薄な系における効率的な漂白効果の向上は重要課題である。同時に、過酸化水素の安定性を確保し、長期的に安定な漂白効果を発現すると同時に、保存時におけるボトルの膨らみを抑制することも重要課題となる。これら2つの重要課題を解決することが本発明の課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、過酸化水素に、硼素化合物およびホスホン酸系キレート剤を配合することで、過酸化水素が希薄な条件における漂白力を向上し、かつ過酸化水素の安定化にも良好な効果を与え、長期間にわたって過酸化水素が安定であることを見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の液体酸素系漂白性組成物は以下の(a)〜(c)成分を含有し、かつ、pHが3.0〜5.0の範囲にあることを特徴とする。また、本発明の液体酸素系漂白性組成物は下記の(d)成分を含有することもできる。
(a)過酸化水素 0.01〜30重量%
(b)硼素化合物 0.01〜30重量%
(c)化2の一般式(1)の有機ホスホン酸又はその塩 0.01〜10重量%
【0008】
【化2】
(A:水素又は炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基又は水酸基
B:水素又は炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基又は水酸基
M:水素又はアルカリ金属原子)
【0009】
(d)(d−1)直鎖または分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する界面活性剤
(d−2)炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する界面活性剤
のいずれか、または混合物を0.1〜60重量%。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、漂白基剤である過酸化水素(a)は組成物中に0.01〜30重量%、好ましくは2〜20重量%配合される。
【0011】
本発明の(b)成分として用いられる硼素化合物の例としては、ほう酸、ほう酸ナトリウム、ほう酸カリウム、ほう酸アンモニウム、4ほう酸ナトリウム、4ほう酸カリウム、4ほう酸アンモニウム等、分子中に硼素を含有する化合物で、特に4ほう酸ナトリウムが好適である。本発明の(b)成分の硼素化合物は、組成中に0.01〜30重量%、好ましくは2〜20重量%配合される。(b)成分の硼素化合物の配合量が0.01重量%未満となると漂白効果が低下し、一方、30重量%を超えると低温時の液の安定性が低下して分離等を生じる。
【0012】
本発明の(c)成分として用いられる有機ホスホン酸又はその塩は、下記化3の一般式(1)のような構造を有している。
【化3】
(A:水素又は炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基又は水酸基
B:水素又は炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基又は水酸基
M:水素又はアルカリ金属原子)
【0013】
好ましい有機ホスホン酸の例としては、1−ヒドロキシエチリデンー1,1−ジホスホン酸、エタンー1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタンー1ーヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、又はそれらの塩をあげることができる。
有機ホスホン酸は、組成物中に0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で配合される。(c)成分の有機ホスホン酸の配合量が0.01重量%未満であると過酸化水素の安定性が低下し、一方、10重量%を超えると酸性値緩衝能が高くなり、洗液pHの原因となり、漂白効果を低下させる。
【0014】
本発明の(d)成分として用いられる界面活性剤は、直鎖または分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する界面活性剤、または、炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する界面活性剤であり、その例としてアニオン界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪酸α−スルホメチルエステル等を;ノニオン界面活性剤としては、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、脂肪酸モノグリセライド、アミンオキサイド等を;両性界面活性剤としてカルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等をあげることができ、これらのいずれか、または2種以上の混合物を0〜60重量%配合される。
【0015】
本発明の組成物は上記(a)〜(d)成分に水を加えてバランスをとるが、その他にエタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、ポリエチレングリコール等のハイドロトロープ剤、各種界面活性剤、増粘剤、キレート剤、香料、色素、蛍光染料、酵素等一般に衣料用洗浄剤、漂白剤に配合される成分であれば必要に応じて配合することができる。
【0016】
本発明の組成物の原液のpHは酸性物質として塩酸、硫酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、ホスホン酸誘導体、リン酸等の有機酸を用いて、アルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等を用いて3.0〜5.0に調整される。組成物のpHが高すぎると貯蔵安定性が著しく低下する。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば漂白の対象になるシミ汚れ全般に対して良好な漂白力を示す。特に通常洗浄濃度で使用した場合に高い漂白効果を発現し、しかも貯蔵時にも長期的に優れた安定性を有する酸性タイプの液体酸素系漂白性組成物が得られる。
この組成物は、漂白剤組成物あるいは漂白洗浄剤組成物などとして用いることができる。
【0018】
【実施例】
実施例1〜7、比較例1〜3
以下表1の実施例1〜7、表2の比較例1〜3に示した組成の漂白性組成物を調製し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。尚、各例中の%はことわりがないかぎりいずれも重量%である。
【0019】
各項目の評価は以下の方法で行った。
(1)漂白率
下記のように調製した紅茶汚染布5枚を、表1および表2に示す組成の標準使用濃度(1000ppm)漂白性組成物と、標準使用濃度(667ppm)の市販洗剤溶液(酵素トップ:ライオン株式会社)(液温20℃)中で、ターゴトメータを用い、10分間撹拌した後、水道水ですすぎ、乾燥し、布表面の反射率測定を行い、次式の数1によって漂白率を算出した。
【0020】
【数1】
なお、反射度は日本電色社製、Z−Σ80測色色差計を用いて測定した。
【0021】
紅茶汚染布
日東紅茶(黄色パッケージ)80gを3リットルのイオン交換水にて約15分間煮沸後、糊抜きしたサラシ木綿でこし、この液に平織り木綿布(#100)を浸し、約15分間煮沸する。そのまま火よりおろし、2時間程度放置後、自然乾燥させ、洗液に色の付かなくなるまで水洗し、脱水、プレス後、8×8cmの試験片とし、実験に供した。
【0022】
(2)ボトルの膨らみ試験(ボトル外観)
表1および表2に示した漂白剤組成物をポリエチレン製ボトル(550ml容)に520g充填し専用のキャップを締めトルク20Kgで密栓した。40℃の恒温層に1カ月保存し、ボトルの変形を目視で判定した。
○ ボトル外観に変化が認められない
△ ボトル底部の凹部が膨らみ、平面に立てるとぐらつく。
× ボトルに亀裂が生じ内容液の漏洩が認められる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
本発明の特徴的な構成としては以下のものを挙げることができる。
(2)(d)成分として、
(d−1)直鎖または分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する界面活性剤
(d−2)炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する界面活性剤
のいずれか、または混合物を0.1〜60重量%含有する請求項1記載の液体酸素系漂白性組成物。
Claims (2)
- 更に、下記(d)成分を含有する請求項1記載の液体酸素系漂白性組成物。
(d)(d−1)直鎖または分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する界面活性剤
(d−2)炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する界面活性剤
のいずれか、または混合物を0.1〜60重量%
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- 1996-06-29 JP JP18820596A patent/JP3878691B2/ja not_active Expired - Lifetime
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