JP4498475B2 - 液体漂白剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体漂白剤組成物に関するものであり、さらに詳しくは過酸化水素と反応して有機過酸を生成する漂白活性化剤を配合した貯蔵安定性及び匂い安定性に優れた液体漂白剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
漂白剤は塩素系漂白剤と酸素系漂白剤に分けられるが、塩素系漂白剤は使用できる繊維に制限があり、色、柄物には使用できず、また独特の臭いを有していることから、これらの欠点のない酸素系漂白剤が最近著しく普及している。この酸素系漂白剤のうち、過炭酸ナトリウム、過ほう酸ナトリウムが粉末漂白剤として使用されており、また過酸化水素は液体漂白剤として使用されている。
【0003】
しかしながらこれら酸素系漂白剤は塩素系漂白剤に比べて漂白力が弱く、各種漂白活性化剤(有機過酸前駆体ということもある)が併用される。これら漂白活性化剤としては例えばグルコースペンタアセテート(GPAC)などに代表されるo−アセチル化物、テトラアセチルエチレンジアミンに代表されるN−アシル化物、無水マレイン酸等に代表される酸無水物などが挙げられる。さらに、本発明者らは特開昭63−233969号公報、特開昭63−31566号公報、特開昭64−68347号公報、特開平1−190654号公報等に開示されているように、過酸化水素と反応して、第4級アンモニウム基を有する有機過酸を生成する化合物が漂白活性化剤として極めて優れていることを見出した。さらに、陰イオン基を有する漂白活性化剤の例が特公昭63−12520号公報に開示されている。
【0004】
これら漂白活性化剤は、洗浄条件というマイルドな条件で過酸化水素と反応して有機過酸を生成する化合物であり、このため過酸化水素に対して一般的に不安定である。この理由から通常これら漂白活性化剤は液体漂白剤として使用することは困難であり、乾燥状態を保つために固体状過酸塩とこれら漂白活性化剤の乾燥粒子との混合物からなる組成物として使用されるのが一般的である。
【0005】
漂白活性化剤を配合した液体状の漂白剤組成物として特開昭62−230897号公報には過酸化水素を含む酸性水溶液中に固体状の漂白活性化剤を分散させてなる貯蔵安定性に優れ、低温で活性を示す組成物が開示されている。しかし、この組成物は漂白活性化剤が分散していることから貯蔵中に沈澱分離し、使用にあたっては趣向を著しく損なうものであった。さらにこの組成物は、漂白活性化剤が水溶液中に保存されることにより、徐々に分解し、使用時に満足な漂白力が得られないという問題があった。さらにこの組成物は漂白活性化剤が分散して存在しており実際の漂白時に漂白活性化剤が溶け残り、それが被漂白物に付着するとその部分の染料が脱色するという問題があった。
【0006】
そこで本発明者らは貯蔵安定性、染料の脱色防止性に優れた漂白剤組成物を鋭意検討した結果、特開平6−49897号公報に開示した過酸化水素、両性界面活性剤、漂白活性化剤からなる漂白剤組成物を提供した。しかしながらこの組成物では漂白活性化剤の貯蔵安定性は優れているものの染料の脱色防止性がまだ不十分であり、しかも、過酸化水素の安定性が著しく低下し、製品形態において容器の膨れ等を引き起こすという問題があった。
【0007】
また、本発明者らは特開平7−216390号公報及び特開平7−228893号公報にカチオン界面活性剤と漂白活性化剤を組み合わせた貯蔵安定性に優れた液体漂白剤組成物を開示している。しかしながらこれらの組成物でもまだ過酸化水素の安定性は不十分であり、しかも貯蔵中に匂いの劣化を引き起こすという問題があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、漂白活性化剤及び過酸化水素の両者の貯蔵安定性に極めて優れ、しかも貯蔵中に匂いの劣化がない液体漂白剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のカチオン界面活性剤と漂白活性化剤を組み合わせることにより上記目的を達成し得ることを見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、過酸化水素、漂白活性化剤、カチオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤を含有する液体漂白剤組成物であって、カチオン界面活性剤が、ジ低級アルキル(炭素数1〜3)モノ長鎖アルキル(炭素数6〜20)3級アミンあるいはモノ低級アルキル(炭素数1〜3)ジ長鎖アルキル(炭素数6〜20)3級アミンから選ばれるトリアルキル3級アミンを、溶媒としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いて、アジピン酸、安息香酸、オクタン酸、グルタル酸、コハク酸、サリチル酸、デカン酸、ノナン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、マロン酸、マレイン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、モノクロロ酢酸、クエン酸から選ばれる有機酸により中和後アルキレンオキサイドにより4級化して得られたものであることを特徴とする衣料用液体漂白剤組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
本発明に使用される漂白活性化剤は特にアニオン基を分子内に持つ化合物が好ましく、特に一般式(I)で示される化合物が好ましい。
【0012】
【化3】
【0013】
〔式中、R1は炭素数5〜21の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y- は-SO3 - あるいは-COO- を示し、M+ は無機あるいは有機の陽イオンを示し、n は0又は1を示す。〕
一般式(I)において、R1は上記の意味を示すが、好ましくは炭素数5〜15、更に好ましくは8〜14のアルキル基である。またM+で示される陽イオンとしては、H+、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルキル置換アンモニウムイオン等の陽イオンが挙げられる。
一般式(I)で表される漂白活性化剤の中でさらに好ましい化合物としては、例えば次に示すものが挙げられる。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
これらの中では、Y- が-SO3 - である化合物が特に好ましい。
【0017】
本発明に使用されるカチオン界面活性剤は、トリアルキル3級アミン、好ましくはジ低級アルキル(炭素数1〜3)モノ長鎖アルキル(炭素数6〜20)3級アミンあるいはモノ低級アルキル(炭素数1〜3)ジ長鎖アルキル(炭素数6〜20)3級アミンを有機酸で中和し、次いでアルキレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイドで4級化したものを用いる。
【0018】
ここで使用する有機酸は総炭素数が10以下、好ましくは8以下、より好ましくは3〜8であり、しかも有機酸単体の蒸気圧が760mmHg になる温度が 200℃以上、好ましくは 220℃以上のものである。このような有機酸としては具体的には、アジピン酸、安息香酸、オクタン酸、グルタル酸、コハク酸、サリチル酸、デカン酸、ノナン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、フタル酸、テレフタール酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、マロン酸、マレイン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、モノクロロ酢酸、クエン酸などを挙げることができる。これらの中でも特に、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、デカン酸、オクタン酸、フタル酸、テレフタル酸が好ましい。
【0019】
有機酸として、有機酸単体の蒸気圧が 760mmHgになる温度が 200℃に満たないものを用いて製造したカチオン界面活性剤を含有する場合、液体漂白剤組成物の貯蔵中に匂いの劣化を引き起こし商品としての価値を著しく低下させる。また、有機酸として、総炭素数が10を越えるものを用いて製造したカチオン界面活性剤を含有する場合、漂白活性化剤の貯蔵安定性が低下する。また、漂白活性化剤の貯蔵安定性の面から、トリアルキル3級アミンとしては総炭素数が12〜37、好ましくは14〜33、より好ましくは14〜25のものを使用することが好ましい。
【0020】
トリアルキル3級アミンと有機酸との中和反応は、トリアルキル3級アミンと有機酸を直接混合して行うか、あるいは有機酸を予め溶媒、好ましくは水に溶解させてトリアルキル3級アミンと混合してもよい。また、中和物に流動性がない場合には溶媒を添加して中和反応を行ってもよい。溶媒としては水、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンあるいはアセトニトリルなどを挙げることができる。また、本発明では非イオン界面活性剤を溶媒として使用することもできる。用いられる非イオン界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、高級脂肪酸アルカノールアミド類又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキルグリコシド類などが挙げられる。これらの内、特にポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
【0021】
4級化反応は公知の方法で行うことができ、上記中和物とアルキレンオキサイドとを加熱混合して4級化する。中和物とアルキレンオキサイドのモル比は、アルキレンオキサイド/中和物中のアミンの有機酸塩=0.5〜5.0 が好ましく、0.9〜2.0 が更に好ましい。また、この4級化反応においても中和反応と同様に溶媒を使用してもよい。溶媒としては中和反応で用いたものを使用してもよく、また異なっていてもよい。特に本発明の4級化反応においても上記非イオン界面活性剤を溶媒として使用するのが好ましい。
【0022】
このようにして製造されるカチオン界面活性剤としては、下記一般式(II)で表される4級アンモニウム塩が好ましい。
【0023】
【化6】
【0024】
〔式中、R2〜R4はこれらの内少なくとも1つが炭素数6〜20、好ましくは8〜14のアルキル基又はアルケニル基を示し、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基を示す。また、R5はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜10の1〜3価の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を示すか、あるいは炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシル基で置換されていてもよいアリール基又はアリーレン基を示す。また、R5-(X-)m の総炭素数は10以下であり、さらにX- は-OSO3 - 、-COO- 又は-SO3 - から選ばれた基を示し、m は1〜3の数を示す。〕
この一般式(II)で表される4級アンモニウム塩の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0025】
【化7】
【0026】
(式中、R, R' は同一又は異なって、炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
本発明に使用される非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、高級脂肪酸アルカノールアミド類又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキルグリコシド類などが挙げられる。これらの内特に一般式(III) で表される非イオン界面活性剤が好ましい。
【0027】
R6O(R7O)a-H (III)
〔式中、R6はアミド基、エステル基又はエーテル基を有していても良い直鎖又は分岐鎖の総炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基、あるいはアルキル基で置換されていてもよい総炭素数8〜22のアリール基を示し、R7は分岐していてもよい炭素数2〜5のアルキレン基を示し、a 個のR7は同一でも異なっていてもよい。a はアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す3〜50の数である。〕
一般式(III) で表される非イオン界面活性剤のより具体的な例としては以下の化合物が挙げられる。
【0028】
C12H25O(C2H4O)10-H C12H25O(C2H4O)8-H
C12H25O(C2H4O)30-H C12H25O(C2H4O)4-H
C18H37O(C2H4O)15-H C18H37O(C2H4O)7-H
C11H23COOC2H4O(C2H4O)15-H C11H23CONHC2H4O(C2H4O)15-H
C11H23COOC2H4O(C2H4O)7-H C11H23CONHC2H4O(C2H4O)7-H
本発明の液体漂白剤組成物は過酸化水素、漂白活性化剤、上記のようなカチオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤を必須構成成分として含有するが、過酸化水素の含有量は 0.3〜30重量%が好ましく、0.5〜20重量%が更に好ましく、0.5〜10重量%が特に好ましい。漂白活性化剤の含有量は0.01〜20重量%が好ましく、 0.1〜10重量%が更に好ましく、 0.1〜5重量%が特に好ましい。カチオン界面活性剤の含有量は 0.1〜30重量%が好ましく、 0.1〜20重量%が更に好ましく、 0.1〜10重量%が特に好ましい。非イオン界面活性剤の含有量は0.05〜50重量%が好ましく、0.1 〜30重量%が更に好ましく、 0.5〜20重量%が特に好ましい。また、漂白活性化剤とカチオン界面活性剤との配合割合は、重量比で漂白活性化剤/カチオン界面活性剤=1/50〜5/1が好ましく、1/20〜2/1が更に好ましく、1/10〜2/1が特に好ましい。
【0029】
過酸化水素の含有量は、 0.3重量%以上であると充分な漂白性能が得られ、過酸化水素そのものの保存安定性の面から30重量%以下が好ましい。また、漂白活性化剤の含有量は、0.01重量%以上であると充分な漂白性能が得られ、色柄物を脱色しないようにするためには20重量%以下が好ましい。更にカチオン界面活性剤の含有量は、貯蔵安定性を向上させるために 0.1〜30重量%の範囲が好ましい。また、非イオン界面活性剤の含有量は、貯蔵安定性を向上させるために0.05重量%以上が好ましく、組成物の粘度上昇を抑え、取扱い易くするために50重量%以下が好ましい。
本発明においてかかる量的な関係が満足される場合には、一層良好に本発明の目的が達成される。
【0030】
さらに本発明の液体漂白剤組成物は、所望により金属封鎖剤を配合することができる。金属封鎖剤としては
(1) フィチン酸等のリン酸系化合物又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩
(2) エタン−1,1 −ジホスホン酸、エタン−1,1,2 −トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1 −ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2 −トリホスホン酸、エタン−1,2 −ジカルボキシ−1,2 −ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩
(3) 2−ホスホノブタン−1,2 −ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4 −トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩
(4) アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩
(5) ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩
(6) ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸などの有機酸又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩
(7) ゼオライトAに代表されるアルミノケイ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩
(8) アミノポリ(メチレンホスホン酸)もしくはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩、又はポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)もしくはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩
等が挙げられる。
これらの中で上記(2) 、(5) 、(6) 及び(7) からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、上記(2) からなる群より選ばれる少なくとも一種がさらに好ましい。
このような金属封鎖剤の量は、本発明の液体漂白剤組成物に対し、0.0005〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%が望ましい。
【0031】
本発明の液体漂白剤組成物は、上記成分の他に通常添加される公知の成分を添加することができる。例えば、ビルダーとして、硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩などの水溶性無機ビルダー等を用いることができる。また、過酸化物あるいは過酸化水素付加体の安定剤として公知の硫酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、塩化マグネシウム、ケイフッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどのマグネシウム塩及び珪酸ソーダのような珪酸塩類を用いることができる。さらに必要に応じてカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールのような再汚染防止剤などを添加することができる。
【0032】
本発明の液体漂白剤組成物は、基本的には上記成分を、水中に溶解又は分散させたものであるが、低温での液の安定化及び凍結安定性を改善したり、高温での液分離を防止する目的でハイドロトロープ剤を配合しても差し支えない。このようなハイドロトロープ剤としては、一般的には、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩などに代表される短鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリンなどに代表されるアルコール及び多価アルコール等が挙げられる。ハイドロトロープ剤は本発明の液体漂白剤組成物中0〜30重量%程度配合することができる。
【0033】
また、本発明の液体漂白剤組成物には、さらに種々の化合物を含有させることができる。例えば、過酸化水素の安定化剤として知られているリン酸、バルビツール酸、尿酸、アセトアニリド、オキシキノリンやフェナセチンなどに代表されるアミノポリカルボン酸類、及び、DL−α−トコフェロール、没食子酸誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6 −ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などを添加することができる。これらの安定化剤の添加量は過酸化水素の濃度にもよるが、本発明の組成物中に通常0〜5重量%程度、好ましくは0.01〜3重量%含有させるのがよい。
【0034】
さらに、本発明の液体漂白剤組成物は、変褪色防止剤として公知の物質を含むことができる。このような物質としては、フェニルアラニン、ヒスチジン、リジン、チロシン、メチオニン等のアミノ酸及びアミノ酸塩類、及びヒドロキシイミノジ酢酸等のアミノ又はイミド化合物、さらにはアクリロニトリルと第四級アンモニウム基を有するアクリロニトリルと共重合可能なモノマーの一種又は二種以上とのコポリマー等である。なお、アミノ酸には光学異性体が存在するが、本発明の効果においては光学異性体は関与しない。従って、化学的に合成したアミノ酸を使用することも可能である。
また、本発明の液体漂白剤組成物には、白物繊維に対する漂白効果を増すために蛍光増白剤として、チノパール(Tinopal) CBS〔チバ・ガイギー(Ciba-Geigy)社製〕、チノパールSWN〔チバ・ガイギー社製〕やカラー・インデックス蛍光増白剤28,40,61,71などのような蛍光増白剤を0〜5重量%添加しても良い。
【0035】
更に、本発明の液体漂白剤組成物には、組成物の粘度を高め使い勝手を向上させる目的で増粘剤を0〜20重量%添加することが可能である。増粘剤としては、一般的には、ポリアクリル酸塩、アクリル酸マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースといった合成高分子、キサンタンガム、グアーガム、ケルザンといった天然高分子、モンモリロナイト、ビーガムといった水膨潤性粘土鉱物などが用いられる。
【0036】
また、本発明の液体漂白剤組成物には、さらに、染料や顔料のような着色剤、香料、シリコーン類、殺菌剤、紫外線吸収剤、無機電解質(例えばNaCl、Na2SO4、CaCl2 )等の種々の微量添加物を適量(各々0〜約2重量%程度)配合することができる。なお、染料としては、酸性溶液で耐過酸化水素性を有する酸性染料が特に好ましい。
また、本発明組成物において、漂白性能を向上させるため、従来公知の酵素(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等)を必要に応じ、配合することができる。
【0037】
本発明の液体漂白剤組成物のpHは6以下、好ましくは 3.5以下とすることが望ましい。pHを調整するためには、硫酸、リン酸のような無機酸や、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のような有機酸を使用したり、前述の金属封鎖剤やアニオン界面活性剤を酸の形で添加したり、必要に応じて水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような苛性アルカリを用いて調整するのが良い。
また、本発明の液体漂白剤組成物は、従来公知の衣料用洗剤と混合して使用することもできる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、漂白活性化剤及び過酸化水素の両者の貯蔵安定性に極めて優れ、しかも貯蔵中に匂いの劣化がない液体漂白剤組成物を提供することができた。
【0039】
【実施例】
以下、合成例及び実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
合成例1
温度計、滴下ロート、メカニカルスターラー、冷却管を取り付けた1リットルガラス製4つ口フラスコに 213gのジメチルラウリルアミン及び 213gのポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=8モル付加)を仕込み、攪拌下50℃に加熱溶解した 172gのp−トルエンスルホン酸(蒸気圧が760mmHgになる温度300℃以上) を約30分かけて滴下した。30分間熟成後この中和混合物を1リットルオートクレーブに仕込み、窒素置換した後、70℃で徐々にエチレンオキサイドを66g仕込んだ。70℃で2時間熟成した後、下記式で表される化合物(c-1) を得た。
有効分63.3%、収率98%
【0041】
【化8】
【0042】
合成例2
温度計、滴下ロート、メカニカルスターラー、冷却管を取り付けた1リットルガラス製4つ口フラスコに 311gのジデシルメチルアミン及び 311gのポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=8モル付加)を仕込み、攪拌下60℃で59gのコハク酸(蒸気圧が 760mmHgになる温度 235℃) を59gのイオン交換水に溶解した水溶液を約30分かけて滴下した。30分間熟成後、この中和混合物を1リットルオートクレーブに仕込み、窒素置換した後、70℃で徐々にエチレンオキサイドを66g仕込んだ。70℃で2時間熟成した後、下記式で表される化合物(c-2) を得た。
有効分49.8%、収率97%
【0043】
【化9】
【0044】
合成例3
合成例1においてジメチルラウリルアミンの代わりにジメチルテトラデシルアミンを、p−トルエンスルホン酸の代わりにオクタン酸(蒸気圧が 760mmHgになる温度 240℃) を用い、モル比、温度等の条件を合成例1と同一にして、下記式で表される化合物(c-3) を合成した。
有効分58%、収率96.7%
【0045】
【化10】
【0046】
比較合成例1
合成例2においてコハク酸の代わりに酢酸(蒸気圧が 760mmHgになる温度 118℃) を用い、モル比、温度条件を合成例2と同一にして、下記式で表される化合物(c'-1)を合成した。
有効分55%、収率98.1%。
【0047】
【化11】
【0048】
比較合成例2
合成例3においてオクタン酸の代わりにラウリン酸(蒸気圧が 760mmHgになる温度 299℃) を用い、モル比、温度条件を合成例3と同一にして、下記式で表される化合物(c'-2)を合成した。
有効分57%、収率96.9%。
【0049】
【化12】
【0050】
実施例1〜6及び比較例1〜6
過酸化水素、漂白活性化剤として下記に示す化合物(b-1) 〜(b-3) 、カチオン界面活性剤として上記合成例で得られた化合物(c-1) 〜(c-3) 、非イオン界面活性剤として下記に示す化合物(d-1) 〜(d-2) 、金属封鎖剤として下記に示す化合物(e-1) を、それぞれ表1及び表2に示す配合組成(但し、カチオン界面活性剤の量は有効分で表示した)で液体漂白剤組成物を調製し、それぞれの貯蔵安定性、漂白性能及び匂い安定性を下記方法で評価した。
また、比較として上記比較合成例で得られた化合物(c'-1)及び(c'-2)を使用して調製した液体漂白剤組成物についても同様に評価した。
結果を表1及び表2に示す。
なお、表1及び表2に示す配合組成は、0.5 N硫酸水溶液によりpH2.5 に調整した。
【0051】
【化13】
【0052】
(1) 貯蔵安定性の評価法
<有効漂白活性化剤残存率>
表1及び表2に示す条件下で液体漂白剤組成物を貯蔵した後、試料組成物中の有機過酸を生成する漂白活性化剤の量を測定し、次式により有効漂白活性化剤残存率を算出した。
【0053】
【数1】
【0054】
<過酸化水素残存率>
表1及び表2に示す条件下で液体漂白剤組成物を貯蔵した後、試料組成物中の過酸化水素濃度をヨウ化カリウムを使用し、チオ硫酸ナトリウムで滴定する公知の方法(ヨードメトリー法)により測定し、過酸化水素残存率を次式により求めた。
【0055】
【数2】
【0056】
(2) 漂白性能の測定法
0.133%市販洗剤液(pH=10.2) の入った2リットル水溶液に表1及び表2に示す液体漂白剤組成物を40ml添加し、下記のように調製した紅茶汚染布* を5枚ずつ15分間浸漬させた。その後水道水ですすぎ、乾燥させ次式によって漂白率を算出した。
尚、漂白剤組成物は貯蔵前のものと、表1及び表2に示す条件下で貯蔵後のもののそれぞれについて漂白性能を測定した。
* 紅茶汚染布の漂白率
【0057】
【数3】
【0058】
反射率は日本電色工業(株)製NDR-101DPで 460nmフィルターを使用して測定した。
*紅茶汚染布の調製法
日東紅茶(黄色パッケージ)80gを3リットルのイオン交換水にて約15分間煮沸後、糊抜きしたさらし木綿でこし、この液に木綿金布#2003を浸し、約15分間煮沸した。そのまま火よりおろし、約2時間程度放置して自然乾燥させ、洗液に色がつかなくなるまで水洗し、脱水、プレス後、10cm×10cmの試験片とし、実験に供した。
【0059】
(3) 匂い安定性の評価法
漂白剤組成物の貯蔵前のものと、表1及び表2に示す条件下で貯蔵後のもののそれぞれについて、匂いを評価し、下記の基準で判定した。
◎…全く変化していない
○…多少変化しているが全く気にならない
△…匂いの変化が気になる
×…著しく異臭がする
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
Claims (5)
- 過酸化水素、漂白活性化剤、カチオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤を含有する液体漂白剤組成物であって、カチオン界面活性剤が、ジ低級アルキル(炭素数1〜3)モノ長鎖アルキル(炭素数6〜20)3級アミンあるいはモノ低級アルキル(炭素数1〜3)ジ長鎖アルキル(炭素数6〜20)3級アミンから選ばれるトリアルキル3級アミンを、溶媒としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いて、アジピン酸、安息香酸、オクタン酸、グルタル酸、コハク酸、サリチル酸、デカン酸、ノナン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、マロン酸、マレイン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、モノクロロ酢酸、クエン酸から選ばれる有機酸により中和後アルキレンオキサイドにより4級化して得られたものであることを特徴とする衣料用液体漂白剤組成物。
- 有機酸がp−トルエンスルホン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、デカン酸、オクタン酸、フタル酸、テレフタル酸から選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2記載の液体漂白剤組成物。
- 金属封鎖剤を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体漂白剤組成物。
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