JP3877906B2 - 無撚、無糊織物用繊維パッケージ - Google Patents
無撚、無糊織物用繊維パッケージ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3877906B2 JP3877906B2 JP17262799A JP17262799A JP3877906B2 JP 3877906 B2 JP3877906 B2 JP 3877906B2 JP 17262799 A JP17262799 A JP 17262799A JP 17262799 A JP17262799 A JP 17262799A JP 3877906 B2 JP3877906 B2 JP 3877906B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- package
- fiber
- moisture content
- inner layer
- twisted
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Artificial Filaments (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、経糸として直接紡糸延伸法で得られた無撚、無糊糸を用い、高速で製織する際にも高速解舒性に優れ、品位の高い織物を得ることができる緯糸用に好適な無撚、無糊織物用繊維パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
織物を製造するにあたり、コストダウンを図るために経糸の無撚、無糊化が求められている。また、製織工程での織機の回転数を上げることによる高速化も求められている。
しかしながら、衣料用の織物を得るために、直接紡糸延伸法で得られた糸条を無撚、無糊で経糸とし、緯糸として直接紡糸延伸法で得られた糸条を用いて高速で製織すると、パッケージの解除不良が発生しやすく、織機の停台率が多くなるという問題点がある。また、得られた織物はイラツキや緯糸に起因する部分白筋が発生し、品位に劣るものとなるという欠点があった。
【0003】
特公昭57−25658号公報、特公昭60−25531号公報、特公昭62−23094号公報には、イラツキを解消するために、経糸の交絡数と経糸の単糸径と単糸数と経糸密度をある特定範囲に規定した織物が開示されている。しかしながら、これらのものは、ウオータージェットルームの回転数が360rpmと遅かったり、経糸は2工程法で得られたものであり、直接紡糸延伸法で得られた糸条に関するものではなかった。また、緯糸に関しても考慮されておらず、緯糸に起因する部分白筋を解消することもできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、直接紡糸延伸法で得られた糸条を実質的に無撚、無糊で経糸とし、高速で製織するに際し、緯糸として用いられる繊維パッケージであって、高速解舒性に優れ、イラツキや部分白筋の発生のない織物を得ることができる無撚、無糊織物用繊維パッケージを提供することを技術的な課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、直接紡糸延伸法で得られたナイロン6繊維が巻き取られたパッケージであって、ナイロン6繊維の熱水収縮率が8〜14%、パッケージ内層繊維の水分率が2.5〜3.0%、かつ、パッケージ内層繊維とパッケージ外層繊維との水分率の差が1.5%未満であることを特徴とする無撚、無糊織物用繊維パッケージを要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を詳細に説明する。
まず、イラツキの原因としては、特公昭57−25658号公報等に示される通り、織物中の経糸の単糸の配列が問題となり、段配列の段数や配列の偏りによってイラツキが発生する。本発明においてはこれを解消するために、緯糸の熱水収縮率を8〜14%とする。これにより、ウオータージェットルームで織り込んだ緯糸は適度に水収縮して、経糸の単糸の段配列の段数を均一化し、配列の偏りをなくすことができる。
【0007】
緯糸の熱水収縮率が8%未満では収縮が小さすぎ、経糸単糸の段配列を均一化することができず、一方、14%を超えると、収縮しすぎて、やはり段配列を均一化することができず、イラツキを抑えることができない。
【0008】
また、緯糸の部分白筋は、パッケージ外層部と内層部の繊維の水分率差によって発生する。パッケージを巻き取った直後は、パッケージ内層部と外層部の水分率はほとんど同じであり水分率差はないが、ポリアミド繊維は吸湿性が高く、パッケージを放置するとパッケージ表面の繊維は徐々に吸湿し、水分率が通常4%前後になる。そして、一般的に、緯糸に用いるパッケージは、巻き取り後すぐに製織工程に供給されず、数日間放置された後使用される。
【0009】
紡糸から巻き取りまでの間に非水系油剤のみを付与した場合は、パッケージ内層の繊維の水分率は1.5〜2.0%である。このパッケージを製織する際には外層部の繊維は空気中の水分を吸湿し、水分率が高くなっており、織物にしたときにパッケージ外層部の水分率の高い繊維が部分白筋となって現れる。また、内層と外層部の繊維の水分率差が大きくなると、徐々にパッケージの巻き姿が崩れてきて高速での解舒性も悪化する。
【0010】
そこで、本発明においては、パッケージ内層繊維の水分率を2.5%以上、かつ、パッケージ内層繊維とパッケージ外層繊維との水分率の差を1.5%未満とすることが必要である。
【0011】
パッケージ内層繊維の水分率が2.5%未満であると、徐々にパッケージ外層繊維との水分率差が大きくなり、そして、パッケージ内層繊維とパッケージ外層繊維との水分率の差が1.5%を超えると、織物に部分白筋が現れ、パッケージの巻き姿も悪化し、高速での解舒性が悪くなる。
【0012】
なお、本発明の繊維パッケージにおいて、外層繊維とは、パッケージの外表面の端部を含む表層から1cm以内の位置に巻き取られた繊維をいい、内層繊維とは、パッケージの外表面の端部を含む表層から3cm以上の位置に巻き取られた繊維をいう。
【0013】
次に、本発明の無撚、無糊織物用繊維パッケージの製造方法について説明する。
本発明の繊維パッケージは、直接紡糸延伸法により製造するものであり、紡糸速度1000〜4000m/分で紡糸し、引き続きローラ間で1.1〜3.5倍に延伸し、巻き取るものである。
そして、上記のような熱水収縮率のものにするためには、ローラ温度50〜160℃の加熱ローラに巻き付けて熱処理を行う。
さらに、パッケージ内層繊維の水分率を上記のような値とするためには、紡糸し、冷却固化させた後、通常、非水系油剤を付与するが、延伸後巻き取るまでの間で水系エマルジョン油剤を付与することが有効である。
【0014】
そこで、パッケージ内層繊維の水分率の上限は3.0%とすることが好ましい。パッケージ内層繊維の水分率を3.0%を超えるものにするには、非水系油剤を付与する際に水分を多く付与する必要があるが、水分の付与が多くなると水分の飛散による機台周りの環境が悪化したり、パッケージに水滴が付着して汚れの原因となる。
【0015】
なお、本発明のパッケージに巻き取られるナイロン6繊維としては、特に限定されるものではなく、その効果を損なわない範囲であれば、顔料や着色剤、艶消剤、安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤等の添加剤を含有していてもよい。さらに、繊維断面は丸型のみでなく、四角等の多角形、中空繊維等でもよい。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、各種値の測定、評価は次のように行った。
(1)熱水収縮率
パッケージより任意に繊維を取り出し、JIS L1013 7.15( 1.1 )A法に準じて測定した。
(2)水分率
巻き取ったパッケージを1日間放置した後、パッケージの内層と外層の繊維を取り出し、それぞれの繊維をJIS L1013 7.1.1に準じて測定し、その差を算出した。
(3)織物品位
経糸として、紡糸速度1200m/分、延伸倍率2.95倍で直接紡糸延伸法で得られた70d/17fの糸条で、油剤として紡糸未延伸時に非水油剤を付与し、延伸終了後パッケージに巻き取るまでに水系エマルジョン油剤を付与したものを用いた。そして、得られた繊維パッケージを用い、ウオータージェットルームにより、回転数700rpmで、経糸密度110本/2.54cm、緯糸密度110本/2.54cmで製織を行い、織物を得た。得られた織物の品位について、イラツキと部分白筋の有無を目視にて3段階(○、△、×)で評価した。
【0017】
実施例1
緯糸として、相対粘度(96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で測定した。)2.6のナイロン6を用い、温度260℃、紡糸速度1200m/分で溶融紡糸し、紡糸した糸条を冷却した後、非水系油剤を付与した。引き続いて、第1ローラと第2ローラ間で倍率2.95倍で延伸し、第2ローラ(130℃)に巻き付けて熱処理した後、パッケージに巻き取るまでに水系エマルジョン油剤を付与して、直接紡糸延伸法により、70d/24fのナイロン6繊維パッケージを得た。
【0018】
実施例2
紡糸速度3700m/分、延伸倍率1.15倍、第2ローラの温度110℃とした以外は実施例1と同様に行った。
【0019】
比較例1
延伸することなく、紡糸速度が4300m/分で紡糸し、高配向未延伸糸を巻き取った以外は実施例1と同様に行った。
【0020】
比較例2
延伸終了後、パッケージに巻き取るまでに水系エマルジョン油剤を付与しなかった以外は実施例2と同様に行った。
【0021】
パッケージに巻き取られた繊維の熱水収縮率、パッケージ内層繊維と外層繊維の水分率、この繊維を緯糸に用いて製織して得られた織物の品位についての評価結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1から明らかなように、実施例1、2の繊維パッケージを用いると、イラツキや部分白筋のない高品位の織物を得ることができ、高速での製織性に優れていた。
一方、比較例1では、繊維の熱水収縮率が低かったため、得られた織物はイラツキが生じたものとなった。また、比較例2では、パッケージの内層水分率が低かったため、得られた織物には部分白筋が発生し、またパッケージの巻き姿も悪く、高速での解舒性も悪かった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の無撚、無糊織物用繊維パッケージを緯糸に用いれば、経糸として直接紡糸延伸法で得られた無撚、無糊糸を用い、高速で製織する際にも高速解舒性に優れ、イラツキや部分白筋等のない品位の高い織物を得ることができる。
Claims (1)
- 直接紡糸延伸法で得られたナイロン6繊維が巻き取られたパッケージであって、ナイロン6繊維の熱水収縮率が8〜14%、パッケージ内層繊維の水分率が2.5〜3.0%、かつ、パッケージ内層繊維とパッケージ外層繊維との水分率の差が1.5%未満であることを特徴とする無撚、無糊織物用繊維パッケージ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17262799A JP3877906B2 (ja) | 1999-06-18 | 1999-06-18 | 無撚、無糊織物用繊維パッケージ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17262799A JP3877906B2 (ja) | 1999-06-18 | 1999-06-18 | 無撚、無糊織物用繊維パッケージ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001003226A JP2001003226A (ja) | 2001-01-09 |
JP3877906B2 true JP3877906B2 (ja) | 2007-02-07 |
Family
ID=15945393
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17262799A Expired - Fee Related JP3877906B2 (ja) | 1999-06-18 | 1999-06-18 | 無撚、無糊織物用繊維パッケージ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3877906B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4815685B2 (ja) * | 2001-03-22 | 2011-11-16 | 東洋紡績株式会社 | 高密度織物用ポリアミドマルチフィラメントパッケージ |
-
1999
- 1999-06-18 JP JP17262799A patent/JP3877906B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001003226A (ja) | 2001-01-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
DE69819362T2 (de) | Polyesterfaser mit ausgezeichneter verarbeitbarkeit und verfahren zur herstellung derselben | |
JP4353698B2 (ja) | 後加工に優れた複合繊維及びその製造方法 | |
US20080085398A1 (en) | Crimped Filament-Containing Woven Or Knitted Fabric With Decreasing Air Space Upon Wetting With Water, Process For Producing The Same And Textile Products Therefrom | |
JP4992577B2 (ja) | ポリアミドマルチフィラメントおよびそれを用いた織物 | |
JP5141415B2 (ja) | ポリエステル捲縮マルチフィラメントおよびその製造方法 | |
JP6271856B2 (ja) | 布帛の製造方法および繊維製品の製造方法 | |
JP5254730B2 (ja) | オーガンジー用薄地織物 | |
US6709689B2 (en) | Drawn yarn package and production method therefor | |
JP3669928B2 (ja) | 織りビーム及びサイジング方法 | |
JP3877906B2 (ja) | 無撚、無糊織物用繊維パッケージ | |
JP5327411B1 (ja) | 繊維、その製造方法および撥水性布帛 | |
JP4749838B2 (ja) | 交絡糸およびその製造方法 | |
JP3595204B2 (ja) | ポリエステル繊維の製造方法 | |
CN106676894B (zh) | 吸湿排汗及抗静电坯布织造工艺 | |
JP2859532B2 (ja) | ナイロン6繊維の直接紡糸延伸法 | |
JP2015183343A (ja) | 海島型多成分複合繊維 | |
JP4596503B2 (ja) | ポリエステルマルチフィラメントの紡糸直接延伸方法 | |
JP4280482B2 (ja) | カバン地 | |
JP2018003193A (ja) | オパール加工布帛用糸とその製造方法、およびオパール加工用布帛とオパール加工布帛の製造方法 | |
JP2865221B2 (ja) | 撥水性起毛調布帛の製造方法 | |
JPH11323729A (ja) | 細繊度高強力ポリアミド繊維及びその製造方法 | |
JP6465710B2 (ja) | 濃染性加工糸、濃染性加工糸からなる織編物、及び濃染性加工糸の製造方法 | |
JP2004100072A (ja) | 撥水性繊維構造物の製造方法 | |
JP3520937B2 (ja) | ポリエステルマルチフィラメント複合糸条の製造方法 | |
JP2006176901A (ja) | 染色されたチーズパッケージ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050530 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050607 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050804 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060711 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060904 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061010 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061101 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101110 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111110 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |