JP3877777B2 - 流れ媒体の質量を測定する装置 - Google Patents

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Description

背景技術
本発明は、請求項1の上位概念に記載された形式の、流れ媒体の質量を測定する装置から出発する。ドイツ連邦共和国特許出願公開第4407209号明細書に基づき既に公知の装置は、温度依存性の測定エレメントを有しており、この測定エレメントは、測定通路内に収納されている。この測定通路は、装置内で流入部から流出部に延びており、この流出部に続いて、S字形状を有する変向通路が設けられている。この変向通路は、第1の部分と第2の部分とから構成されている。第1の部分は直角のコーナ部を有しており、縁部面で第2の部分に移行している。流れ媒体は測定通路の流出部から先ず変向通路の第1の部分内に流入する。この第1の部分は、測定通路よりも大きな流過横断面を有しているので、第1の部分への段部の形の突然の流れ移行部が形成されている。次いで、第1の部分の媒体はコーナ部によって変向させられて第1の部分の縁部面に沿って、横方向に続いて設けられた、変向通路の第2の部分内に達し、流出開口からこの第2の部分を出る。これにより、この媒体は、装置を取り囲むように傍らを流過する媒体と再び混合することができる。
内燃機関において、個々のシリンダの吸気弁を開閉することにより、流れの著しい変動もしくは脈動が発生する。その強さは、個々のピストンの吸入周波数もしくは内燃機関の回転数に関連する。流れの脈動は、吸気弁から吸気導管を介して、測定通路内の測定エレメントにまで、さらにその先に伝達される。この脈動の作用により、測定エレメントの熱慣性と無指向性とにより、このような測定エレメントが提供する測定結果は、測定通路の中心部に形成された流れ速度と、その流れ速度から算出し得る、内燃機関の吸込空気質量とから著しくずれるおそれがある。測定通路と変向通路とはその寸法において互いに調和されて、吸込導管内の流れに脈動が生じた場合に、流れ変動に基づき生じた測定エレメントのエラー表示が最小限に抑えられるようになっている。それでもなお、脈動周波数が高く、脈動振幅が大きい場合には、変向通路内の流れ音響学的な過程に基づき、吸込空気質量のエラー表示が生じるおそれがある。このようなエラー表示は特に、流れの脈動時に測定エレメントの下流側で、測定通路の出口と、変向通路の第1の部分のコーナ部との間の段部に圧力波が発生することにより生じる。この圧力波は、変向通路の縁部面でコーナ部に反射させられるので、フィードバック効果により測定エレメントの測定信号が妨害される。
発明の利点
これに対して、請求項1の特徴を有する流れ媒体の質量を測定する装置は、変動または脈動する流れとはほとんど無関係に、不変に正確な測定結果が得られるという利点を有している。このような構成は、変向通路の第1の部分の縁部面と測定通路の流出部との間の距離を変えることなしに実現可能なので、測定通路と変向通路とから成る通路全体の調和に影響を与えることがないため、有利である。これにより装置のコンパクトな構造を維持することができる。
請求項2以下に記載された手段により、請求項1に記載の装置の有利な構成が得られる。
変向通路内に存在する流れを、吸気導管内の外側の流れに接続するための流れ接続部が変向通路に開口の形で設けられていると特に有利である。この開口によって、変向通路内に場合によっては未だに存在する、圧力波の残留妨害因子を完全に排除することができるので、測定結果のさらなる改善がもたらされる。さらに、測定通路内に発生する乱流により生じるおそれのある、装置の測定信号ノイズが著しく減じられる。
図面
次に本発明の実施例を、簡単に示した図面につき以下に詳しく説明する。第1図は、本発明に基づき構成された装置を部分的に断面した側面図である。第2図は、第1図のII−II線に沿って断面した図である。第3図は、本発明により構成された装置の第2実施例を示す断面図である。
実施例の説明
第1図は、符号1で示した装置の側面を部分的に断面して示した図である。この装置は、流れ媒体の質量、特に内燃機関の吸込空気質量を測定するために使用される。この装置1は有利には細長い、半径方向で見て長手方向軸線10の方向に長めに延びる直方体の形状を有しており、壁5から切り欠かれた、吸気導管7の開口6内に例えば差込可能に導入されている。この装置1は、壁5でシールリング3によってシールされており、例えば、詳細には図示していないねじ結合によって、この壁に固定的に結合さ+れている。ハッチングで示した壁5は、例えば円筒形に形成された吸気導管7の一部である。この吸気導管を通って、内燃機関が、詳細には図示していないエアフィルタを介して、環境周囲から空気を吸い込むことができる。吸気導管7の壁5は、流過横断面を形成する。この流過横断面は、円筒形の吸気導管7の場合、ほぼ円形の横断面を有している。この横断面の中心には、軸線方向に、壁5に対して平行に中心軸線11が延びている。この中心軸線は装置1の長手方向軸線10に対して直角に方向付けられている。装置1は、以下では測定部17と呼ぶ部分で、流れ媒体内に突入している。測定部17は、例えば、吸気導管7の中心を超えたところまで延びており、図平面内に位置する、吸気導管の中心軸線11を通る1平面によって対称的に分けられている。これにより、測定部17内に収納された温度依存性の測定エレメント20の傍らを、壁5の縁部の不都合な影響をできる限り受けることなしに流れ媒体が流れることができる。第1図〜第3図に示した実施例においては、媒体が右側から左側に向かって流れる。その流れ方向は矢印29で示している。
装置1は、測定部17と、支持部18と、保持部19とから一体的に構成されており、例えばプラスチック射出成形技術でプラスチックから製造されている。測定エレメント20は例えばプレート状に形成されていて、従来技術、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3638138号明細書から判るように、1つまたは複数の、温度依存性の測定抵抗28を有している。この抵抗は抵抗層、いわゆる熱膜抵抗(Heissfilmwiderstaende)の形で、支持体22として使用されるプレート状のセラミックス基板に被着されている。しかしながら、第1図および第3図に示され、かつ例えばドイツ連邦共和国特許出願公開4338891号明細書から判るように、いわゆるマイクロメカニカルな構成部分の形の測定エレメント20を形成することもできる。この場合測定エレメント20の支持体22は、エッチング加工によって生じたダイヤフラム状のセンサ領域を有しており、このセンサ領域は、極めて小さな厚さと、やはりエッチング加工によって生じた複数の抵抗層とを有している。これらの抵抗層は、少なくとも1つの温度依存性の測定抵抗28と、例えば1つの線条抵抗(Heizwiderstand)とを形成している。つまり、測定エレメント20は、少なくとも1つのプレート状の、例えばセラミックスから成る支持体22と、少なくとも1つの温度依存性の測定抵抗28とから形成されている。この支持体22は、例えば金属から成る収容部22の切欠き34内に、この収容部に同一平面上に整合するように収納されていて、例えば接着により保持されている。収容部23は、流れ29に向けられた前縁部を有している。この前縁部は斜め面取りされて形成されていると有利である。測定エレメント20の個々の抵抗層28は、装置1内部で延びる接続線路24によって、第1図に破線で示した電子評価回路25に電気的に接続されている。この電子評価回路は、例えばブリッジ状の抵抗測定回路を有している。この電子評価回路25は、例えば装置1の支持部18または保持部19内に収納されている。電子評価回路25が例えば支持部18内に収納されると、例えば吸気導管7内を流れる媒体の冷却体によってこの電子評価回路を冷却することができる。保持部19に設けられた差込接続部26によって、電子評価回路25によって供給された電気的な信号は、評価のための別の電子制御装置に供給することもできる。温度依存性の測定エレメントの機能および構造は、当業者にとっては従来技術から明らかなことなので、それについての詳細な説明は割愛する。
第1図のII−II線に沿って断面した図である第2図に示したように、装置1の測定部17は直方体状の形状と測定通路30とを有している。この測定通路30は、測定通路30内の中心に延びる測定通路軸線12に沿って、例えば方形の横断面を有する流入部35から、例えばやはり方形の横断面を有する流出部36に延びている。装置1は、吸気導管7内で有利にはその中心軸線11に対して平行に延びる測定通路軸線12を有するように組み込まれている。しかしながら第2図において破線で示した測定通路軸線12′のように、装置1を旋回させた組付位置で組み込んで、測定通路軸線12′が吸気導管の中心軸線11と僅かな角度を成すようにすることも可能である。第1図に示したように、測定通路30は、S字形状を有する変向通路31に移行する。測定通路30は、吸気導管の中心軸線11から隔たった側の上面37と、中心軸線11に近い側の下面38と、第2図に示された2つの側面39,40とによって仕切られている。第1図に示した実施例においては、測定通路30の測定通路軸線12が例えば吸気導管の中心軸線11に対して偏心的に配置されている。しかし、本発明による装置1の第2の実施例として第3図に示したように、測定通路30の測定通路軸線12を吸気導管7の中心軸線11に対して同軸的に、またはこの中心軸線11の領域内に配置することも可能である。プレート状の測定エレメント20のための収容部23は、一方の側で支持部18の上面37に保持されているので、測定エレメント20を備えた収容部23の、測定通路軸線12に対してほぼ平行に延びる両側面21は媒体の流れによって取り囲まれる。
第2図に示したように、測定通路30の側面39,40は、装置の測定通路軸線12と長手方向軸線10とによって形成された1平面に対して斜めに延びており、この平面と鋭角を成しているので、測定通路30は流れ方向29で見て軸線方向に狭められている。これにより、測定通路30は最小横断面で流出部36において、変向通路31の第1の部分32内に開口する。測定エレメント20は収容部23内で、測定通路30の最も狭い個所の上流側、つまり測定通路30の流出部36の上流側に配置されている。流れ方向29に測定通路30が狭められていることにより、測定エレメント20の領域において、できる限り妨害を受けない、一様な平行流を形成することができる。測定通路30の流入部35の領域における流れの剥離を回避するために、測定通路30の流入領域は、第1図に示した丸く面取りされた縁曲げ面42を有している。
本発明によれば、変向通路31の、流出部36に対向する壁に対して流出部36が流れ方向29で投影される部分に配置された、変向通路31の第1の部分32の縁部面45が、流れ29に向かって直角ではなく、傾斜して形成されている。この場合、測定通路軸線12と縁部面45とが成す傾斜角αは約45°であると有利である。しかしながら、約30°〜60°の範囲内の傾斜角αで縁部面45を形成することも可能である。第1図に示したように、縁部面45の下流側には、第1の部分32に続いて、この第1の部分に対して横方向にもしくは装置の長手方向軸線10の方向に対して横方向に、変向通路31の第2の部分33が設けられている。傾斜した縁部面45は、測定通路30の流出部36から第1の部分32内に流入する媒体を縁部面45に沿って第2の部分33内に変向させて導入するために設けられている。この縁部面45は第1図においてはほぼ断面線II−II線にまで、もしくは吸気導管の中心軸線11にまで延びている。縁部面45は装置の長手方向軸線10の方向に幅brを有している。この幅は装置の長手方向軸線10の方向における測定通路30の幅bよりも僅かに小さい。しかしながら、縁部面45の幅brを測定通路30の幅bに相当するように形成することも可能である。しかし縁部面45の幅brは、測定通路30の幅bの少なくとも2/3であることが望ましい。第2図に示したように、縁部面45はこの幅brに対して直角に深さtrを有している。この深さtrは、流入部35における測定通路30の幅bに対して直角な測定通路30の深さtにほぼ相当すると有利である。しかしながら、縁部面45の深さtrを、測定通路30の流入部35の深さtよりも僅かに小さく形成することもできる。この縁部面45に続いて、変向通路の第1の部分32の壁が、ほぼ装置の長手方向軸線10の方向に延びている。
第1の部分32と第2の部分33とから構成された変向通路31は、方形横断面を有していると有利である。この方形横断面は、測定通路30の流入部35の横断面にほぼ相当する。この場合、測定通路30と変向通路31との間の流出部36で、流過横断面が段部43で突然拡大される。測定通路30内を流れる媒体は、流出部36の下流側で先ず第1の部分32内に達し、縁部面45で変向させられ、この縁部面から第2の部分33内にさらに流入する。第1図および第3図に矢印46で示したように、媒体はその後、流出開口47を介して第2の部分33を去り、流れ方向29に対してほぼ横方向に再び吸気導管7内に流入する。流出開口47は変向通路31のように例えば方形横断面を有しており、測定通路軸線12に対して平行に方向付けられた、測定部17の下側の外面50に設けられている。第1図および第3図に示したように、方形の流出開口47の右側には、下側の外面50に対して横方向に、流れ29と相対する、測定部17の縁曲げ面42が続いて設けられている。この縁曲げ面42は測定通路30の流入部35の上流側で、丸く面取りされた形で、下側の外面50から測定通路30の下面38に、流入部35にまで延びている。
変向通路31に設けられた縁部面45が傾斜して形成されていることにより、例えば渦流の形または圧力波の形で発生するおそれがある、測定通路30の流出部36から出た流れの妨害因子が縁部面45に反射させられる。この場合、渦流もしくは圧力波の発生場所に応じて、装置の長手方向軸線10の方向に延びる、段部43もしくは流出部36の幅にわたって、縁部面45に対する異なる距離が生ぜしめられるので、この幅に沿って発生する個々の渦流もしくは圧力波は時間的にずらされて縁部面45に反射させられる。その結果、これらの渦流もしくは圧力波はさらにその方向を変向させられ、これらの渦流もしくは圧力波の、測定エレメント20に対する妨害作用は全体的に弱められる。縁部面45における妨害因子の、時間および場所に関連したこのような反射により、測定エレメント20から発せられた電気的な信号への影響を排除することができる。これにより、流れが脈動すると、発生する測定エレメント20のエラー表示を著しく減じることができるか、またはそればかりか回避することもできる。
第3図に示した本発明による第2の実施例においては、第1図および第2図に示したものと同じまたは同様に作用する全ての部分は同一の符号を有している。この第3図においては、縁部面45の下流側に、変向通路31の開口55が示されている。この開口は例えば孔の形で、変向通路31内の流れを吸気導管7内の外側の流れに接続する。この開口55は、例えば円形の孔として形成されている。この孔は、測定部17の側壁27のうちの一方から、変向通路31の第1の部分32から第2の部分33への交差領域つまり重なり領域内に延びている。しかしながら、第3図に破線で示したように、この開口55を、測定部17の下側の外面50を起点にして第2の部分33に向かって延びるように設けることもできる。この開口55は比較的小さな横断面を有しており、数ミリメートル、例えば2mmの開放横断面を有している。勿論、複数の開口55が設けられていてもよい。この少なくとも1つの開口55によって、測定通路30の流出部36の下流側に出た圧力波のための、変向通路31により形成された共振室が影響を受けて、圧力補償によって、縁部面45に反射させられた圧力波が弱められる。この少なくとも1つの開口55の横断面の大きさにより、共振室の固有周波数は、流出部36の下流側に出た圧力波の周波数に調和されて、測定エレメント20から出された測定結果がさらに改善される。
さらに、少なくとも1つの開口55によって、変向通路31内の流れを吸気導管7内の流れに対して圧力補償することにより、変向通路31内にまだ事情によっては弱められて存在する圧力波を吸気導管7内に逃がすことができる。しかもこの場合、測定エレメント20から出された測定結果に不都合な影響を与えることはない。

Claims (8)

  1. 流れ媒体、特に内燃機関の吸込空気の質量を測定する装置であって、長手方向軸線(10)と、流れ媒体の流れによって取り囲まれた、温度依存性の測定エレメントが設けられており、該測定エレメントが、装置内で延びる測定通路に配置されており、該測定通路が流入部から流出部に延びており、該流出部に続いて変向通路の、長手方向軸線(10)の方向に延びる第1の部分が設けられており、該第1の部分内に流出部からの媒体が流れ、この媒体が第1の部分の縁部面から変向通路の、長手方向軸線(10)の方向に対して横方向に延びる第2の部分内に変向させられるようになっている形式のものにおいて、
    変向通路(31)の第1の部分(32)の縁部面(45)が、第1の部分(32)の、流出部(36)に対向する壁に対して流出部(36)が流れ方向(29)で投影される部分に設けられており、測定通路(30)内の流れ方向(29)に向かって傾斜するように形成されており、流れ方向(29)で変向通路(31)の第1の部分(32)に続いて、流出開口(47)を備えた第2の部分(33)が設けられており、媒体が、第1の部分の縁部面から変向通路の第2の部分に変向させられるようになっており、第1の部分(32)または第2の部分(33)に、少なくとも1つの開口(55)が設けられており、該開口が、装置(1)を取り囲んで流れる媒体への接続部を形成しており、少なくとも1つの開口(55)が、装置(1)の、測定通路(30)を有する測定部(17)の、流れ方向(29)に対して平行に延びる側壁(27)および/または流れ方向(29)に対して平行に延びる下側の外面(50)に形成されていることを特徴とする、流れ媒体の質量を測定する装置。
  2. 縁部面(45)が、長手方向軸線(10)に対して直角な方向にかつ流れ方向(29)に対して直角な方向に深さtrと、該深さに対して直角に長手方向軸線(10)の方向に延びる幅brとを有しており、該幅brが測定通路(30)の流入部(35)の幅bにほぼ相当する、請求項1記載の装置。
  3. 縁部面(45)と測定通路(30)内の流れ方向(29)とが成す角度αが30〜60°の範囲内にある、請求項1または2記載の装置。
  4. 前記傾斜角度αが約45°である、請求項3記載の装置。
  5. 縁部面(45)が、長手方向軸線(10)の方向に幅brを有しており、縁部面(45)の幅brが測定通路(30)の幅bの少なくとも3分の2である、請求項1記載の装置。
  6. 縁部面(45)が、長手方向軸線(10)に対して直角な方向にかつ流れ方向(29)に対して直角な方向に深さtrを有していて、該深さtrに対して直角に長手方向軸線(10)の方向に延びる幅brを有しており、縁部面(45)の深さtrが流入部(35)の測定通路(30)の深さtにほぼ相当する、請求項1記載の装置。
  7. 測定通路(30)が方形横断面を有しており、該方形横断面が流入部(35)から流出部(36)に向かって縮小されている、請求項1記載の装置。
  8. 変向通路(31)が方形横断面を有しており、変向通路の第1の部分(32)が、流過横断面が測定通路(30)の流出部(36)の下流側で突然拡大されるように形成されている、請求項1記載の装置。
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