JP3876880B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの制御装置に関し、特に、排気通路に排気微粒子を捕集するフィルタ部材を備えたエンジンの制御装置に関する。
従来、エンジン、例えばディーゼルエンジンにおいては、排気ガス中に含まれるカーボン等の排気微粒子(パティキュレート)を大気に放出しないよう排気通路に配設したフィルタ部材(パティキュレートフィルタ)により捕集(トラップ)することが行われている。
フィルタ部材に捕集された排気微粒子量が捕集可能な飽和容量にまで達すると、捕集された排気微粒子を燃焼させて、フィルタ機能を再生することが行われている。特許文献1には、フィルタ部材が再生時期になった時に再生を促すための警告ランプを点灯して、この警告ランプの点灯中に乗員が再生開始スイッチをマニュアル操作すると、所定時間燃料噴射量を増量することによってアイドル回転数つまり排気ガス温度を上昇させて、フィルタ部材に捕集されている排気微粒子を燃焼除去することが開示されている。
特開平4−86319号公報
前述のように、車両の停車中に、エンジンを運転しつつフィルタ部材の再生を行う場合、車両盗難の危険性が高いものとなる。すなわち、フィルタ部材の再生には、小型エンジンを搭載した乗用車では例えば10〜20分程度要し、また比較的大型のエンジンを搭載したトラック等の商用車では例えば30〜40分程度要し、いずれにしもて再生完了までにはかなりの長時間を要することになる。このように、フィルタ部材の再生にはかなりの長時間を要することから、再生中に、乗員が車両から離れてしまう事態が生じやすいものとなり、再生中にエンジンが運転されていることと合わせて、車両盗難の危険性が高いものとなる。
本発明は、以上のような課題に勘案してなされたもので、その目的は、停車状態でエンジンを運転しつつ行われるフィルタ部材の再生中に、車両が盗難されてしまう事態を防止できるようにしたエンジンの制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあってはその第1の解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中の排気微粒子を捕集するフィルタ部材と、
前記フィルタ部材に捕集された排気微粒子の捕集量に関連するパラメータを検出する捕集量検出手段と、
乗員によりマニュアル操作され、前記フィルタ部材の再生を開始させる指令を行う手動再生スイッチと、
車両が停車していることを検出する停車検出手段と、
前記捕集量検出手段により検出された排気微粒子の捕集量が所定値以上で、かつ前記停車検出手段により車両の停車が検出されたとき、乗員に手動再生を促す指示を行う手動再生指示手段と、
前記該手動再生指示手段による手動再生を促す指示中に、前記手動再生スイッチが手動再生開始状態に操作されたとき、前記フィルタ部材に流入される排気ガスの温度を上昇させるべくエンジンの制御態様を変更することにより、該フィルタ部材に捕集された排気微粒子を燃焼除去して該フィルタ部材を再生させるための手動再生手段と、
車両のドアがロックされているときに、車両の状態変化に応じて盗難防止の警報を行う盗難防止警報手段と、
乗員によりマニュアル操作され、前記盗難防止警報手段のオン、オフを行うための警報スイッチと、
前記警報スイッチがオフされて前記盗難防止警報手段の警報が行われないときは、前記手動再生手段による再生を行うことを禁止する手動再生禁止手段と、
を備えたものとしてある。
前記目的を達成するため、本発明にあってはその第2の解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項2に記載のように、
エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中の排気微粒子を捕集するフィルタ部材と、
前記フィルタ部材に捕集された排気微粒子の捕集量に関連するパラメータを検出する捕集量検出手段と、
前記捕集量検出手段により検出された排気微粒子の捕集量が第1所定値以上のときで、かつ車両の走行中であること含む所定の自動再生条件が満足されたときに、前記フィルタ部材に流入される排気ガスの温度を上昇させるべくエンジンの制御態様を変更することにより、該フィルタ部材に捕集された排気微粒子を燃焼除去して該フィルタ部材を再生させるための自動再生手段と、
乗員によりマニュアル操作され、前記フィルタ部材の再生を開始させる指令を行う手動再生スイッチと、
車両が停車していることを検出する停車検出手段と、
前記捕集量検出手段により検出された排気微粒子の捕集量が前記第1所定値よりも大きな値に設定された第2所定値以上で、かつ前記停車検出手段により車両の停車が検出されたとき、乗員に手動再生を促す指示を行う手動再生指示手段と、
前記該手動再生指示手段による手動再生を促す指示中に、前記手動再生スイッチが手動再生開始状態に操作されたとき、前記フィルタ部材に流入される排気ガスの温度を上昇させるべくエンジンの制御態様を変更することにより、該フィルタ部材に捕集された排気微粒子を燃焼除去して該フィルタ部材を再生させるための手動再生手段と、
車両のドアがロックされているときに、車両の状態変化に応じて盗難防止の警報を行う盗難防止警報手段と、
乗員によりマニュアル操作され、前記盗難防止警報手段のオン、オフを行うための警報スイッチと、
前記警報スイッチがオフされて前記盗難防止警報手段の警報が行われないときは、前記手動再生手段による再生を行うことを禁止する手動再生禁止手段と、
を備えたものとしてある。
上記第1の解決手法および第2の解決手法によれば、盗難防止警報手段が警報を発することのできないオフ状態のときは、停車状態でかつエンジンを運転しつつ行われる手動再生手段によるフィルタ部材の再生が禁止されるので、換言すれば、盗難防止警報手段が警報を発することのできるオン状態であることを前提として手動再生手段によるフィルタ部材の再生が実行されるので、車両盗難防止の上で好ましいものとなる。
特に、第2の解決手法によれば、自動再生手段によって車両の走行中にもフィルタ部材の再生が行われることと合わせて、手動再生手段による再生開始判定しきい値となる第2所定値を自動再生手段による再生開始判定しきい値となる第1所定値よりも大きい値に設定して、自動再生手段による再生が行われやすくなるように設定してあるので、停車状態でエンジンを運転しつつ行われる手動再生手段によるフィルタ部材の再生を行う頻度を大幅に低減して、車両盗難防止の上でより一層好ましいものとなる。
上記第1の解決手法または第2の解決手法の少なくとも一方を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項3以下に記載のとおりである。すなわち、
前記盗難防止警報装置は、
車体振動または車室内音の少なくとも一方が所定の警報しきい値以上となったときに警報を行うように設定され、
前記手動再生手段による再生が実行されているときは、該手動再生手段による再生が実行されていない場合に比して前記警報しきい値を大きい値に変更して、警報が行われにくいように設定されている、
ようにすることができる(請求項3対応)。
この場合、盗難防止警報手段が車両振動あるいは車室内音の変化に応じて警報を発する形式であるときに、手動再生手段によるフィルタ部材の再生中はエンジンの運転に伴う振動あるいは音がかなり大きくなって誤警報を生じやすくなるが、手動再生手段による再生中は警報しきい値を大きくして警報が行われにくくされるので、誤警報防止の上で好ましいものとなる。
運転席ドアの開閉を検出する開閉状態検出手段と、
前記手動再生手段によって再生が実行されているときに、前記開閉検出手段によって運転席ドアが開状態であることが検出されたとき、乗員に対してドアロックを行うことを促すドアロック指示手段と、
をさらに備えている、ようにすることができる(請求項4対応)。
この場合、手動再生手段による再生中に、ドアロックしないまま乗員が車両から離れてしまう事態を極力防止して、車両盗難を防止する上で好ましいものとなる。
前記警報スイッチがオフされて前記盗難防止警報手段の警報が行われないときは、前記手動再生手段による再生を行うことが不可能であることを乗員に報知する手動再生不可状態報知手段をさらに備えている、ようにすることができる(請求項5対応)。
この場合、手動再生スイッチを操作したにも関わらずフィルタ部材の再生が開始されないことに対して、乗員が違和感を感じないようにする上で好ましいものとなる。
請求項1および請求項2に記載された本発明によれば、手動再生手段によるフィルタ部材の再生中に、車両が盗難されてしまうのを防止する上で好ましいものとなる。
特に請求項2に記載された発明によれば、手動再生手段によるフィルタ部材の再生を行う頻度を低減させて、車両盗難防止の上でより一層好ましいものとなる。
図1において、1は4気筒ディーゼルエンジンであり、ディーゼルエンジン1(の各気筒)には、吸気通路2、排気通路3が接続されている。吸気通路2には、その上流側から下流側に向かって順次、エアクリーナ4、エアフローセンサ5、VGTターボ過給機(バリアブルジオメトリーターボ)6のブロア6a、インタークーラ7、吸気絞り弁8、吸気温度センサ9、吸気圧力センサ10が配設されている。排気通路3には、その上流側から下流側に向かって順次、VGTターボ過給機(バリアブルジオメトリーターボ)6のタービン6b、タービン6bに流入する排気ガス流速を制御する可動ベーン6c、酸化触媒11、フィルタ部材(パティキュレートフィルタ)12が配設されている。
上記フィルタ部材12の上下流には、排気圧力センサ13、14が配設されており、各排気圧力センサ13と14との差圧に基づいてフィルタ部材12に堆積した(捕集された)排気微粒子量を検出するよう構成されている。また、フィルタ部材12には温度センサ15が設けられている。
インタークーラ7下流側の吸気通路2とターボ過給機6上流側の排気通路3とが排気ガス還流通路16によって接続されている。この排気ガス還流通路16のには、負圧アクチュエータ式の排気ガス還流弁17と、排気ガスをエンジンの冷却水によって冷却するためのクーラ18とが配設されている。
19は燃料噴射ポンプであり、燃料タンク(図示省略)からの燃料を蓄圧手段としてのコモンレール20に供給する。コモンレール20は、各気筒の燃焼室1aに配設された燃料噴射弁21(図1では1つのみ図示)に接続されるとともに、そのコモンレール20には、燃料噴射圧センサ22と、コモンレール19内に蓄圧された燃料の圧力が許容圧力以上になった時開弁して燃料タンク側に燃料をリリーフするための安全弁23が設けられている。
図1中、50は、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントロールユニットである。コントロールユニット50は、図2に示すように、エンジン制御用となるコントロールユニット50Aと、盗難防止警報装置用となるコントロールユニット50Bとから構成されている。図2では、各コントロールユニット50A、50Bの入出力関係のうち本発明に関係する部分のみが示される。コントロールユニット50Aへは、前述した各圧力センサ13、14からの信号が入力される他、センサ、スイッチ等31〜38からの信号が入力される。31は、車速を検出する車速センサである。32は、ドアがロックされていることを検出するドアロックスイッチである。33は、ドア特に運転席ドアの開閉状態を検出するスイッチである。34は、エンジン回転数を検出する回転数センサである。35は、マニュアル操作によって手動再生(の開始)を指令する手動再生スイッチである。36は、キーレスエントリ用の携帯キーであり、無線によって車両と情報をやりとりして、乗員が携帯キーを持って車両から所定距離(例えば3m)離間したときに、この乗員の離間を検出して自動的にドアロックが行われるようになっている。37は、シート(のシートクッション)に装備された着座センサであり、車室内の乗員有無の検出用として用いられる。38は、自動変速機のレンジ位置を検出するものであり、特に停車を検出するために、走行レンジ位置以外のレンジ位置としてのP(パーキング)レンジあるいはN(ニュートラル)レンジを検出するものとなっている。
コントロールユニット50Aからの制御信号は、前述の燃料噴射弁21に出力される他、各種アクチュエータ類41〜44に出力される。41は、乗員に対して手動再生を実行させるマニュアル操作を促すものであり、実施形態では、車室内ランプの点灯によって手動再生を促す指示を行うものされている。42は、手動再生を行うことが不可能であることを乗員に報知するものであり、例えばナビゲーションシステムの表示画面を利用した表示が行われる。43は、ドアロックを促す警報を行うための警報機(ブザーあるいはランプ)である。44は、手動再生中であることを乗員に報知するための報知手段であり、ランプや表示画面等によって構成される。
コントロールユニット50Bには、各種センサあるいはスイッチ類51〜55からの信号が入力される。51は、車体振動の大きさを検出するもので、例えばG(加速度)センサが用いられる。52は、車室内音の大きさを検出するもので、例えばマイクによって構成される。53は、バッテリ電圧を検出するものであり、特に車両盗難の際に行われることの多いバッテリ電源の一時的なカットが行われたか否かを知るためのものとなる。54は、タイヤの空気圧を検出するセンサであり、特に車両盗難のために車両の持ち上げ(車両を別途用意した盗難用トラックに移載するときの持ち上げ)に起因してタイヤへの荷重が大幅に低減することによる空気圧変化を知るためのものとなる。このようなコントロールユニット50Bからは、盗難検出時に、ブザー(ホーン)等からなる警報器56を作動させる信号が出力される。以上に加えて、コントロールユニット50Bには、コントロールユニット50Aを介して、ドアロック検出スイッチ32,着座センサ37等からの信号も入力されるようになっている。
次に、エンジン1の制御状態を変更することによりフィルタ部材12の再生を行う手法についてについて説明するが、再生は、後述するように、燃料噴射弁21からの燃料噴射制御によって達成される。ただし、フィルタ部材12の再生(を行う機会)は、次の2つの態様でもって行われるようになっている。第1の再生は、車両走行中(非アイドル時)に所定の再生条件が成立したときに、フィルタ部材12の再生を自動的に行う強制再生(自動再生で、請求項2における自動再生手段に相当)である。第2の再生は、車両停車時(アイドル時)に手動再生スイッチ35がON操作されたときに、フィルタ部材12の再生を行う手動再生である(請求項1、請求項2における手動再生手段に相当)。
上記自動再生は、車両走行中であることを前提として、捕集した排気微粒子量が第1所定値A1よりも大きく、かつ所定の再生開始条件が成立したとき(例えば、車速が所定車速としての例えば30km/h以上のとき)とされる。車速以外の所定の再生開始条件として、例えば、エンジン回転数が低回転および高回転を除く所定回転領域であることや、この条件に代えてあるいは加えて、エンジン負荷が低負荷および高負荷を除く所定負荷領域であることとして設定することもできる。要は、所定の再生開始条件は、車両走行中であって、再生に必要な温度にまで排気ガス温度を上昇できるような噴射燃料の増量を行うことができる運転状態であることが必要最小限とされ、これに加えて、再生のための噴射燃料の増量を行っても特に悪影響のない運転状態を再生開始条件として付加することもできる。
上述した自動再生(強制再生)のときは、図3(a)に示すように、圧縮行程上死点近傍で噴射される主噴射(a1)後の膨張行程において、所定量の後噴射(b1)が追加される。後噴射による酸化触媒11での後燃焼とのによってフィルタ部材12に流入される排気ガス温度を上昇することができ、フィルタ部材12に捕集された排気微粒子を燃焼除去でき、フィルタ部材12を再生することができる。
前述した手動再生は、図3(b)中(a3)で示すように、圧縮行程上死点近傍で噴射される主噴射の噴射量を通常時の噴射量(a2)よりも所定量増量、例えば、アイドル回転数を通常のアイドル回転数(例えば、750rpm)から手動再生用の第1目標回転数(例えば、1750rpm)まで上昇させるために必要な量増量するとともに、図3(b)に示すように、主噴射(a3)の後の膨張行程において所定量の後噴射(b2)を追加実行する。これによって、主噴射の増量による排気ガス流量の増加と、後噴射の酸化触媒11での後燃焼とによってフィルタ部材12に流入される排気ガス温度を効果的に上昇させることができ、フィルタ部材12に捕集された排気微粒子を燃焼除去でき、フィルタ部材12を再生することができる。
次に、コントロールユニット50Aによるフィルタ部材12の再生を行う制御について、図4、図5のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、図4のQ1において、各種センサ、スイッチ等からの信号が読み込まれた後、Q2において、フィルタ部材12に捕集されている排気微粒子の捕集量Xが検出される。この捕集量の検出は、例えば両圧力センサ13と14との検出圧力の差をみることによって行われる。
Q3においては、捕集量Xが第1所定値A1よりも大きいか否かが判別される。この第1所定値A1は、走行中にフィルタ部12の再生を行うべき状態であるか否かを判定するためのしきい値である。このQ3の判別でNOのときは、Q1に戻る。Q3の判別でYESのときは、Q4において、捕集量Xが、第2所定値A2よりも大きいか否かが判別される。この第2所定値A2は、上記第1所定値A1よりも大きい値に設定されていて、停車中にフィルタ部材12の再生を行うべき状態であるか否かを判定するためのしきい値となる。
前記Q4の判別でNOのときは、捕集量Xが、走行中にフィルタ部材12の再生を行うべき量にまでなっているときである。このときは、Q5において、再生開始条件を満足するか否かの確認のために、車速が所定値(例えば30km/h)よりも大きいか否かが判別される。このQ5の判別でNOのときは、走行中であっても、フィルタ部材12の再生のために必要な排気ガスの温度上昇が十分に得られる可能性が低いときあるいはエンジン(車両)の運転にすくなからず悪影響を与える可能性があるときであるとして、Q1へ戻る。
上記Q5の判別でYESのときは、Q6において、フィルタ部材12の自動再生が実行される。すなわち、Q6においては、図3(a)に示す態様で燃料噴射弁21からの燃料噴射が実行される。これにより、排気ガス温度が上昇されて、フィルタ部材12に捕集されていた排気微粒子が燃焼除去される。
Q6の後は、Q7において、捕集量Xが、第3所定値A3よりも小さいか否かが判別される。この第3所定値A3は、フィルタ部材12の自動再生を終了するか否かを判定するためのしきい値となるもので、前記第1所定値A1および第2所定値A2よりも小さい値に設定されている(0に設定することもできる)。このQ7の判別でNOのときは、Q5に戻る。また、Q7の判別でYESのときは、Q8において、自動再生が終了される。
前記Q4の判別でYESのときは、捕集量Xが手動再生を実行すべき量にまで大きくなっている状態である。このときは、図5のQ11に移行して、車両が停車中であるか否かが判別される。この停車中であることの判別は、実施形態では、車速が0であることと、自動変速機のレンジ位置がPレンジ位置であるという両方の条件を満足したときであるとしている。停車中であることの判定は、この他に、パーキングブレーキレバーが作動されているという条件を付加する等、適宜設定できる。また、変速機が手動変速機のときは、例えば、車速が0でシフト位置がニュートラルでかつパーキングブレーキレバーが作動されているときに停車中であると判定するように設定することができる。
Q11の判別でYESのときは、Q12において、手動再生フラグが1にセットされているか否かが判別される。この手動再生フラグは、1のときは手動再生を実行中であることを意味する。当初は、このQ12の判別でNOとなって、Q13において、乗員に対して手動再生の指令を行うことを促すべく、例えば再生指示ランプ41が点灯される。再生指示を促す手法としては、この他に、例えば既存の室内等を点灯あるいは点滅させたり、専用のランプを用いるたり、例えばナビゲーションシステム等の表示画面に文字表示させたり、さらには音声ガイドによって行う等、適宜の手法を採択することができる。
上記Q13の後は、Q14において、手動再生スイッチ35がオン操作されたか否かが判別される。すなわち、乗員によって手動再生の開始を実行する指令の操作があったか否かが判別される。このQ14の判別でYESのときは、Q15において、盗難防止警報装置TBK(図2参照で、各種機器類52〜56で構成されている)におけるオン/オフを切換えるためのマニュアル操作される警報スイッチ55が、オン状態であるか否かが判別される。このQ15の判別は、盗難防止警報装置TBKが、盗難警報を発することのできる作動可能状態であるか否かをみているものである。
上記Q15の判別でYESのときは、盗難防止警報装置TBKが作動可能状態であるので、Q16において、手動再生を行われていることを示す手動再生フラグを1にセットした後、Q17において、手動再生が実行されると共に、手動再生中であることを乗員に報知するための報知が行われる(報知手段44の作動)。手動再生は、燃料噴射弁21からの燃料噴射を図3(b)に示すような態様でもって行って、排気ガス温度を上昇させて、フィルタ部材12に捕集されている排気微粒子を燃焼除去するものである。なお、手動再生中であることの乗員への報知は、例えば、車室内にある既存のランプを点灯あるいは点滅させたり、専用のランプを利用したり、表示画面に文字表示したり、音声ガイドにより行う等、適宜の手法を採択することができる。
上記Q17の後は、Q18において、捕集量Xが、第4所定値A4よりも小さいか否かが判別される。この第4所定値A4は、手動再生を終了するか否かを判定するためのしきい値であって、前述した手動再生開始用の判定しきい値としての第2所定値A2よりも小さい値に設定されている。このような第4所定値A4は、実施形態では、手動再生によってフィルタ部材12を十分に再生させるために、自動再生の終了判定用となる前記第3所定値A3よりも小さい値に設定してある。勿論、第4所定値A4を第3所定値A3と同じ大きさに設定することもできる。
Q16を経てQ18に移行されたときは、手動再生が開始された初期時なので、捕集量Xがまだ大きく、上記Q18の判別でNOとなる。このときは、Q11に戻る。Q18を経て、Q11からQ12へ移行したときは、手動再生フラグが1にセットされているので、Q12からQ20へと移行される。このQ20では、ドア開閉検出手段33からの信号に基づいて、運転席用ドアが閉状態かから開状態へと変化したか否かが判別される。このQ20の判別は、乗員特に運転者が車両から離間する可能性の高い状態であることの検出となる。このQ20の判別でYESのときは、Q21において、運転者に携帯される携帯キー36からの無線信号を受信したか否かが判別される。このQ21の判別でYESのときは、携帯キー36を運転者が携帯していて、その後すみやかにドアが自動ロックされるときで盗難の可能性が低くなる状態であるとして、そのまま前記Q17に移行する。Q21の判別でNOのときは、ドアをロックしないまま乗員が車両から離れていく状態である可能性が高いときなのせ、このときは、Q22においてドアロック警報(警報手段43の作動で、例えばブザーによる報知や音声報知)が行われた後、Q17に移行する。
Q17での手動再生が行われ続けると、やがてQ18の判別でYESとなる。このときは、Q19に移行して、手動再生が終了され(燃料噴射が通常の態様に復帰)、手動再生フラグが0にリセットされ、手動再生中であることの報知が終了される。
前記Q11の判別でNOのときは、手動再生の実行条件が満足されないときである(手動再生がまだ行われていない状態と手動再生中の状態との両方の状態がある)。このときは、Q24に移行して、手動再生フラグが1にセットされているか否かが判別される。このQ24の判別でNOのときは、手動再生がまだ開始されていないときなので、そのままリターンされる。Q24の判別でYESのときは、手動再生中なので、Q25において、手動再生が終了され(燃料噴射が通常の態様に復帰)、手動再生フラグが0にリセットされ、手動再生中であることの報知が終了される。
前記Q15の判別でNOのときは、盗難防止警報TBKが作動可能状態ではなくて、手動再生を行うと乗員が車両から離間したときの盗難の可能性が高くなる状態のときである。このときは、Q23において、手動再生を行うことはできない旨の報知が乗員に対してなされる。この報知は、報知手段42を作動させることにより行われて、既存のランプ類を点灯あるいは点滅させたり、専用のランプを点灯あるいは点滅させたり、表示画面に文字表示したり、音声報知する等、適宜の手法によって行うことができる。
図6は、盗難防止警報装置TBK(におけるコントロールユニット50B)の制御例を示すフローチャートである。ただし、この図6のフローチャートは、警報スイッチ55がオン操作されいて作動可能状態であることを前提に行われる。まず、Q31において、各種センサあるいはスイッチ51〜54からの信号が入力されると共に、コントロールユニット50Aを介したドアロック検出スイッチ32、着座センサ37からの信号も入力される。
この後、Q32において、ドアロック検出スイッチ32の信号に基づいて、ドアロック状態であるか否かが判別される。このQ32の判別でYESのときは、Q33において、車内に乗員が存在しないか否かが判別される。この判別は、着座センサ37からの信号に基づいて行われる。Q33の判別でYESのとき、つまし車内に乗員が存在しないときは、Q34において、コントロールユニット50Aからの信号に基づいて、手動再生フラグが1にセットされているか否か(現在手動再生実行中であるか否か)が判別される。このQ34の判別でYESのときは、手動再生実行に起因してエンジン回転数が大きく上昇されていて、車体振動や車室内音が通常の停車状態よりもかなり大きくなる状態であり、このときは、警報発生の判定しきい値(振動用と音用との2種類についてのしきい値)が、もっとも大きい第2の値に設定される。
上記Q34の判別でNOのときは、Q36において、エンジン回転数が0であるか否かが判別される。このQ36の判別でYESのときは、エンジン停止中であって、振動、音がともにもっとも小さい状態のときであり、このときは警報しきい値(振動用、音用の2種類のしきい値)が、通常値(もっとも小さい値)に設定される。上記Q36の判別でNOのときは、エンジンが通常のアイドル回転数でもって運転されているときであり、このときは、警報しきい値(振動用、音用の2種類のしきい値)が、中間の大きさとなる第1の値に設定される。
前記Q35、Q37あるいはQ38の後は、それぞれQ39に移行して、振動センサ51で検出された振動が、振動用の警報しきい値よりも大きいか否かが判別される。このQ39の判別でYESのときは、Q43において、警報が発生される(警報手段56の作動で、ブザー、ホーン等による警報実行)。上記Q39の判別でNOのときは、Q40において、マイク52で検出される音が、音用の警報しきい値よりも大きいか否かが判別される。このQ40の判別でYESのときは、Q43において警報が行われる。
前記Q40の判別でNOのときは、Q41において、バッテリの電圧変化が所定値以上であるか否かが判別される。このQ41の判別は、車両を盗もうとする者が、一旦バッテリ電源をカットして、その後バッテリ電源を通常の接続状態に復帰させるような作業を行うことが多いことを勘案してなされたもので、大きなバッテリ変化の検出となる(例えば12Vバッテリの場合に例えば8V以上の大きな電圧変化の検出)。このQ41の判別でYESのときは、Q43において警報が発生される。なお、盗難防止警報TBKは、例えば充電式のバックアップ電源を内蔵していて、バッテリ電源を一旦カットされても、図6の制御が実行できるように設定されている(スイッチ32、センサ37等の警報制御に必要なセンサ類からの信号は、コントロールユニット50A経由ではなく、直接コントロールユニット50Bに入力させることもできる)。
前記Q41の判別でNOのときは、Q42において、タイヤの空気圧が大きく減少したか否かが判別される。このQ42の判別は、車両をトラックに積載して盗もうとする場合に対応するためのもので、トラック移載のために車両が持ち上げられてタイヤの空気圧が大きく減少する(車両重量がタイヤに加わらなくなる状態)ことを考慮したものである。このQ42の判別でYESのときは、Q43において、警報が発生される。Q42の判別でNOのときは、盗難発生時ではないときであるとして、Q31へリターンされる。
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。エンジンとしては、ディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジン(特に排気微粒子がおおくなる直噴ガソリンエンジン)等、排気微粒子を排出適宜の形式のエンジンに適用することができる。自動再生開始判定用しきい値となる第1所定値A1と手動再生開始判定用しきい値となる第2所定値A2も同じ値に設定することもでき、第1所定値A1を第2所定値A2よりも大きい値に設定することもできるが、第1所定値A1よりも第2所定値A2を大きい値に設定する方が、極力走行中での自動再生を行う機会(頻度)を増大させて、盗難の可能性が出てくる手動再生を行う機会(頻度)を減少させる上で好ましいものとなる。
図4のQ4から図5のQ11へ移行する間に、走行中であるか否かを判別するステップを別途設けて、走行中であると判別されたときはQ5に移行する一方、走行中でないと判定されたときにQ11へ移行するように設定してもよい(捕集量Xが第2所定値A2よりも大きいときでも、走行中であれば自動再生を行なわせる機会を確実に確保するため−手動再生を煩わしさのために避ける乗員が存在することをも考慮した対応)。
本発明の実施形態に係る全体構成図。 コントロールユニットに対する入出力関係を示す図。 排気ガス温度上昇のための燃料噴射態様を示す図。 再生の制御例を示すフローチャート。 再生の制御例を示すフローチャート。 警報の制御例を示すフローチャート。
符号の説明
1:ディーゼルエンジン
3:排気通路
11:酸化触媒
12:フィルタ部材(パティキュレートフィルタ)
13、14:排気圧力センサ(排気微粒子量検出手段)
21:燃料噴射弁
31:車速センサ(停車状態検出手段)
32:ドアロック状態検出手段
33:ドア開閉検出手段
35:手動再生スイッチ(マニュアル操作)
41:手動再生指示ランプ(手動再生を促す報知用)
42:手動再生不可状態報知手段
43:ドアロック警報手段
44:手動再生中であることの報知手段
50:コントロールユニット(50A+50B)
51:振動センサ
52:マイク(音検出)
55:警報スイッチ(盗難防止警報装置のオン/オフ用)
56:警報手段

Claims (5)

  1. エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中の排気微粒子を捕集するフィルタ部材と、
    前記フィルタ部材に捕集された排気微粒子の捕集量に関連するパラメータを検出する捕集量検出手段と、
    乗員によりマニュアル操作され、前記フィルタ部材の再生を開始させる指令を行う手動再生スイッチと、
    車両が停車していることを検出する停車検出手段と、
    前記捕集量検出手段により検出された排気微粒子の捕集量が所定値以上で、かつ前記停車検出手段により車両の停車が検出されたとき、乗員に手動再生を促す指示を行う手動再生指示手段と、
    前記該手動再生指示手段による手動再生を促す指示中に、前記手動再生スイッチが手動再生開始状態に操作されたとき、前記フィルタ部材に流入される排気ガスの温度を上昇させるべくエンジンの制御態様を変更することにより、該フィルタ部材に捕集された排気微粒子を燃焼除去して該フィルタ部材を再生させるための手動再生手段と、
    車両のドアがロックされているときに、車両の状態変化に応じて盗難防止の警報を行う盗難防止警報手段と、
    乗員によりマニュアル操作され、前記盗難防止警報手段のオン、オフを行うための警報スイッチと、
    前記警報スイッチがオフされて前記盗難防止警報手段の警報が行われないときは、前記手動再生手段による再生を行うことを禁止する手動再生禁止手段と、
    を備えていることを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. エンジンの排気通路に配設され、排気ガス中の排気微粒子を捕集するフィルタ部材と、
    前記フィルタ部材に捕集された排気微粒子の捕集量に関連するパラメータを検出する捕集量検出手段と、
    前記捕集量検出手段により検出された排気微粒子の捕集量が第1所定値以上のときで、かつ車両の走行中であること含む所定の自動再生条件が満足されたときに、前記フィルタ部材に流入される排気ガスの温度を上昇させるべくエンジンの制御態様を変更することにより、該フィルタ部材に捕集された排気微粒子を燃焼除去して該フィルタ部材を再生させるための自動再生手段と、
    乗員によりマニュアル操作され、前記フィルタ部材の再生を開始させる指令を行う手動再生スイッチと、
    車両が停車していることを検出する停車検出手段と、
    前記捕集量検出手段により検出された排気微粒子の捕集量が前記第1所定値よりも大きな値に設定された第2所定値以上で、かつ前記停車検出手段により車両の停車が検出されたとき、乗員に手動再生を促す指示を行う手動再生指示手段と、
    前記該手動再生指示手段による手動再生を促す指示中に、前記手動再生スイッチが手動再生開始状態に操作されたとき、前記フィルタ部材に流入される排気ガスの温度を上昇させるべくエンジンの制御態様を変更することにより、該フィルタ部材に捕集された排気微粒子を燃焼除去して該フィルタ部材を再生させるための手動再生手段と、
    車両のドアがロックされているときに、車両の状態変化に応じて盗難防止の警報を行う盗難防止警報手段と、
    乗員によりマニュアル操作され、前記盗難防止警報手段のオン、オフを行うための警報スイッチと、
    前記警報スイッチがオフされて前記盗難防止警報手段の警報が行われないときは、前記手動再生手段による再生を行うことを禁止する手動再生禁止手段と、
    を備えていることを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記盗難防止警報装置は、
    車体振動または車室内音の少なくとも一方が所定の警報しきい値以上となったときに警報を行うように設定され、
    前記手動再生手段による再生が実行されているときは、該手動再生手段による再生が実行されていない場合に比して前記警報しきい値を大きい値に変更して、警報が行われにくいように設定されている、
    ことを特徴とするエンジンの制御装置。
  4. 請求項1または請求項2において、
    運転席ドアの開閉を検出する開閉状態検出手段と、
    前記手動再生手段によって再生が実行されているときに、前記開閉検出手段によって運転席ドアが開状態であることが検出されたとき、乗員に対してドアロックを行うことを促すドアロック指示手段と、
    をさらに備えていることを特徴とするエンジンの制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記警報スイッチがオフされて前記盗難防止警報手段の警報が行われないときは、前記手動再生手段による再生を行うことが不可能であることを乗員に報知する手動再生不可状態報知手段をさらに備えている、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
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