JP3876118B2 - キャニスタおよびこれを備えたコンクリート製貯蔵容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、放射性物質を封入した金属密閉容器、いわゆるキャニスタ、およびこれを備えたコンクリート製貯蔵容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉の使用済燃料に代表される高放射性物質は、解体処理されるとともに、プルトニウム等の再度燃料として使用可能な有用物質を回収するため、再処理される。そして、これらの使用済燃料は、再処理を行うまでの間、密閉された状態で貯蔵されている。このような高放射性物質の貯蔵方法としては、貯蔵プール等による湿式法、あるいは、キャスク等による乾式法が知られている。
【0003】
乾式法は、水に代わり空気によって自然冷却を行う貯蔵方法であり、湿式法に比較して運転コストが低いことから注目を集め、開発が進められている。また、乾式法に用いるキャスクには種々の構造のものがあるが、コンクリート構造物によって使用済燃料を遮蔽するコンクリートキャスクは、低コストであることから特に注目されている。コンクリートは、中性子遮蔽材として優れているとともに、構造体として必要な強度が得られる等の利点も備えている。
【0004】
このようなコンクリートキャスクは、上部および底部が閉塞された筒状のコンクリート容器を備え、使用済燃料が封入された筒状の金属密閉容器、いわゆるキャニスタ、をコンクリート容器内に収納配置することにより、使用済燃料からの放射性物質を遮蔽している。
【0005】
一般に、コンクリートキャスクにより使用済燃料を保管する場合、まず、上端の開口したキャニスタ内に使用済燃料を収納した後、キャニスタ上端を一次および二次蓋により密閉する。続いて、このキャニスタをコンクリートキャスクの上方まで搬送した後、コンクリートキャスクの上端開口を通してキャスク収納部内に挿入する。最後に、キャスクの上端開口を蓋体で閉じて遮蔽することにより収納作業が終了する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような使用済燃料の密閉、搬送、収納作業は、十分な注意を払って慎重に行なわれるが、不慮の事故、例えば、キャニスタの搬送中に地震等が発生し、キャニスタが床上に落下したり、あるいは、転倒してしまう場合も想定しなければならない。
【0007】
例えば、キャニスタが5m程度の高さから床面上、あるいは、コンクリートキャスクの収納部内に落下した場合を想定すると、キャニスタには大きな衝撃が作用し、キャニスタの周壁部が座屈して破損し、あるいは、一次蓋および二次蓋の溶接部が損傷してしまう恐れがある。この場合、キャニスタに収納されている使用済燃料から放射性物質が漏洩し、健全性を担保不能となってしまう。従って、不慮の事故が生じた場合でも、放射線の漏洩を防止し、高放射性物質を安全かつ確実に保管できるキャニスタおよびコンクリートキャスクが必要となる。
【0008】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、落下、転倒等が起こった場合でも放射線の漏洩を防止し、健全性を担保できるキャニスタ、およびコンクリート製貯蔵容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、この発明に係るキャニスタは、次の手段を提案する。
【0010】
(1)放射性物質が封入されたほぼ筒状の金属製の密閉容器と、上記密閉容器の底部に設けられ、落下時における上記密閉容器の衝撃を吸収する緩衝部とを備え、同緩衝部は、落下時に座屈して衝撃を吸収可能な円筒状の緩衝脚を有し、同緩衝脚の下端はナイフエッジ状に尖って形成されていることを特徴としている。
【0011】
上記のように構成されたこの発明に係るキャニスタによれば、搬送、収納作業中に地震等が発生し床上あるいはコンクリート製貯蔵容器内に落下した場合でも、緩衝部が潰れることにより、あるいは、緩衝部がめり込むことにより衝撃を低減し、容器本体および使用済燃料集合体の破壊や損傷を防止することができる。従って、不慮の事故等によってキャニスタが落下した場合でも、使用済燃料からの放射性物質の漏洩を防止し、健全性を維持することが可能となる。
【0012】
(2)上記密閉容器の上部外周に取り付けられ、密閉容器が転倒した際の衝撃を吸収する転倒緩衝部を備え、同転倒緩衝部は環状に形成され、同転倒緩衝部の外周縁は、ナイフエッジ状に尖って形成されていることを特徴とする(1)に記載のキャニスタ。
(3)放射性物質が封入されたほぼ筒状の金属製の密閉容器と、上記密閉容器の上部外周に取り付けられ、密閉容器が転倒した際の衝撃を吸収する転倒緩衝部とを備え、同転倒緩衝部は環状に形成され、同転倒緩衝部の外周縁は、ナイフエッジ状に尖って形成されていることを特徴としている。
【0013】
上記構成のキャニスタによれば、転倒時、キャニスタに伝わる衝撃を転倒緩衝部によって吸収し、容器本体および使用済燃料集合体の破壊や損傷を防止することができる。
【0014】
一方、この発明に係るコンクリート製貯蔵容器は、(4)上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のキャニスタを収納したコンクリート製貯蔵容器において、底壁により下端が閉塞されているとともに、上記キャニスタを収納した収納部を内部に有し、コンクリートにより形成されたほぼ筒状のコンクリート容器と、上記コンクリート容器の上端開口を閉塞した蓋と、上記収納部の底面上に設けられ、上記キャニスタに対する衝撃を吸収する容器側緩衝部とを備え、同容器側緩衝部は、上記底面上に設けられ放射状に延びた複数のリブを有していることを特徴としている。
【0015】
このような構成のコンクリート製貯蔵容器によれば、不慮の事故等によってキャニスタがコンクリート容器の収納部内に落下した場合でも、上述したキャニスタの緩衝部に加え、容器側緩衝部によって落下の衝撃を吸収することができる。これにより、使用済燃料からの放射性物質の漏洩を防止し、健全性を維持することが可能となる。
【0016】
この発明に係る他のコンクリート製貯蔵容器は、(5)上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のキャニスタを収納したコンクリート製貯蔵容器において、上記キャニスタを収納した収納部を内部に有し、コンクリートにより形成されたほぼ筒状のコンクリート容器と、上記コンクリート容器の上端開口を閉塞した蓋と、上記コンクリート容器の底面と設置面との間に設けられているとともに螺旋状に巻回されたワイヤーロープを有し、上記コンクリート容器に作用する振動および衝撃を減衰する減衰部と、を備えたことを特徴としている。
(6)上記減衰部は、それぞれ上記ワイヤーロープを有した複数の減衰器を備え、各減衰器は、上記ワイヤーロープの巻回中心軸が上記コンクリート容器の中心軸に対してほぼ放射方向に延びた状態で配置されていることを特徴とする上記(5)に記載のコンクリート製貯蔵容器。
【0017】
更に、この発明に係る他のコンクリート製貯蔵容器は、(7)上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のキャニスタを収納したコンクリート製貯蔵容器において、上記キャニスタを収納した収納部を内部に有し、コンクリートにより形成されたほぼ筒状のコンクリート容器と、上記コンクリート容器の上端開口を閉塞した蓋と、上記コンクリート容器の底面と設置面との間に設けられた重ね板ばねを有し、上記コンクリート容器に作用する振動および衝撃を減衰する減衰部と、を備えたことを特徴としている。
(8)上記減衰部は、それぞれ上記重ね板ばねを有した複数の減衰器を備え、これらの減衰器は、上記コンクリート容器の中心軸に対してほぼ放射状に配置されていることを特徴とする上記(7)に記載のコンクリート製貯蔵容器。
【0018】
上記のように構成されたコンクリート製貯蔵容器によれば、コンクリート容器の底に設けられた減衰器によってコンクリート容器に作用する振動、衝撃を吸収することにより、コンクリート容器における損傷、クラックの発生を防止し、放射性物質を長期間に亘って安全かつ安定して保管可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明の第1の実施の形態に係るコンクリートキャスクについて詳細に説明する。
【0020】
図1ないし図3に示すように、コンクリート製貯蔵容器としてのコンクリートキャスク10は、コンクリートにより形成され遮蔽構造体として機能するコンクリート容器12を備え、このコンクリート容器内には、キャニスタ14が収納されている。キャニスタ14は、金属によって形成されているとともに両端が閉塞した円筒形状の密閉容器15を有し、この密閉容器内には、バスケット16により支持された状態で、使用済燃料集合体18が複数体封入されている。これらの使用済燃料集合体18は、例えば、原子炉の使用済燃料であり、崩壊熱に伴う発熱と放射線の発生を伴う放射性物質を含んでいる。そして、密閉容器15は、封入された内部の放射性物質が外部に漏洩しないよう、溶接密閉構造を有している。
【0021】
コンクリートキャスク10のコンクリート容器12は、図1および図2に示すように、底部の閉塞された円筒形状を有し、例えば、高さ約6m、直径約4m程度に形成され、また、コンクリートの壁厚は、約0.9m程度に形成されている。コンクリート容器12の上端開口は、外面が炭素鋼板によって覆われたコンクリート製の蓋20により閉塞されている。この蓋20は、複数のボルト21によりコンクリート容器12の上端にボルト止めされている。なお、コンクリート容器12のコンクリート壁内には、図示しない配筋が施されている。
【0022】
コンクリート容器12内には、コンクリート容器の内周面および蓋20により、円柱形状の収納部22が規定されている。そして、この収納部22内にキャニスタ14が収納されている。キャニスタ14は、収納部22の底面に形成された複数のリブ31上に載置されている。図4に示すように、複数のリブ31は放射状に延びているとともに、それぞれ例えば幅10〜20mm、高さ50mm程度に形成さている。そして、これらのリブ31は容器側緩衝部として機能する。すなわち、収納部22内にキャニスタ14を収納する際、不慮の事故によりキャニスタが落下してコンクリート容器の底壁上に衝突した場合、リブ31が変形して衝突エネルギを吸収することにより、キャニスタ14の損傷を低減する。なお、各リブ31は、緩衝効果を一層高めるため中空に形成されていてもよい。
【0023】
また、図1ないし図3に示すように、キャニスタ14は、コンクリート容器12と同軸的に、かつ、その外周面がコンクリート容器12の内周面との間に所定の隙間、例えば、10cm程度の隙間を持った状態で、収納部22内に収納されている。
【0024】
そして、コンクリート容器12内には、キャニスタ14の外周面と容器本体12の内周面との間の上記隙間により、冷却空気が流れる冷却空気流路24が形成されている。この冷却空気流路24は、キャニスタ14の外周面の全周に亘って、かつ、外周面の軸方向全長に亘って形成されている。
【0025】
コンクリート容器12の底部には複数、例えば4つの吸気口26が形成され、また、コンクリート容器12の上端部には、4つの排気口28が形成され、それぞれ冷却空気流路24に連通している。4つの吸気口26は、コンクリート容器12の円周方向に沿って互いに等間隔離間して設けられ、コンクリート容器12の底部外周面に開口している。また、排気口28は、コンクリート容器12の円周方向に沿って互いに等間隔離間して設けられ、コンクリート容器12の上端部外周面に開口している。
【0026】
これらの吸気口26、排気口28、および冷却空気流路24は、空気の自然循環冷却によりコンクリートキャスク10を除熱する除熱部を構成している。すなわち、吸気口26からコンクリート容器12内に導入された冷却空気としての外気は、冷却空気流路24を通ってキャニスタ14の周囲を流れ、その間、キャニスタ14およびコンクリート容器12を除熱し冷却する。そして、キャニスタ14からの熱によって加熱され昇温した冷却空気は、排気口28からコンクリート容器12の外部に排出される。
【0027】
一方、コンクリート容器12の内周面には、炭素鋼等の金属からなる円筒状のライナ30が設けられている。金属からなるライナ30は、コンクリートに比較して伝熱性が高く、使用済燃料集合体18から発生した熱の伝熱を促進するとともに、使用済燃料集合体18からの放射線、主としてγ線、を遮蔽する機能を有している。
【0028】
次に、キャニスタ14の構成について詳細に説明する。
図2および図4に示すように、キャニスタ14の密閉容器15は、下端が閉塞された筒状の容器本体40と、容器本体の上端開口に溶接されこの上端開口を閉塞した一次蓋(図示しない)および二次蓋41と、を備えている。容器本体40は、例えば、SUS304、SUS316等の耐食性を有した金属により形成され、その壁厚は約16mmに設定されている。
【0029】
また、容器本体40の底面には、緩衝部として機能する円筒状の緩衝脚42が取り付けられている。この緩衝脚62は、例えばステンレスにより形成され、容器本体40とほぼ同一の外径を有し、容器本体と同軸的に設けられている。そして、緩衝脚62の壁厚は、容器本体40よりも薄く、例えば、5mmに形成されているとともに、高さ100mmに形成されている。そして、キャニスタ14は、その緩衝脚62がコンクリート容器12側のリブ31上に載置された状態で収納部22内に収納されている。
【0030】
上記のように構成されたキャニスタ14によれば、容器本体40の底に設けられた緩衝脚42を備えていることから、落下等により大きな衝撃を受けた場合でも容器本体40や一次および二次蓋41の損傷を防止し、使用済燃料集合体18を安全に密閉保持することができる。
【0031】
すなわち、例えば、キャニスタ14の搬送、収納作業中に地震等が発生し、キャニスタ14が床上あるいはコンクリート容器12内に落下した場合、キャニスタの緩衝脚42が床あるいはコンクリート容器の底壁内面に衝突する。その際、緩衝脚42は、衝撃により座屈して潰れることにより衝撃を吸収する。そのため、キャニスタ14の容器本体40、一次、二次蓋41、および容器本体内に収納された使用済燃料集合体18に伝わる衝撃を低減し、容器本体および使用済燃料集合体の破壊や損傷、並びに、一次、二次蓋の溶接部の損傷を防止することができる。従って、不慮の事故等によってキャニスタ14が落下した場合でも、使用済燃料からの放射性物質の漏洩を防止し、健全性を維持することができる。
【0032】
また、上記構成のコンクリートキャスク10によれば、収納部22の底上に緩衝部としてのリブ31が設けられていることから、キャニスタ14の搬送、収納作業中に、キャニスタが収納部22に落下した場合、リブ31が変形して衝突エネルギを吸収する。従って、上述したキャニスタ14の緩衝脚42の緩衝作用と合わせて、一層確実にキャニスタ14の損傷、破壊を防止することができる。
【0033】
これにより、第1の実施の形態によれば、落下等の不慮の事故が起こった場合でも放射線の漏洩を防止し、高放射性物質を安全かつ確実に保管可能なキャニスタ、およびコンクリートキャスクを得ることができる。
【0034】
次に、この発明の他の実施の形態に係るキャニスタ、およびコンクリートキャスクについて説明する。なお、以下に説明する他の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0035】
図6に示すように、この発明の第2の実施の形態に係るキャニスタ14によれば、容器本体40の底面に取り付けられた円筒状の緩衝脚42は、容器本体の壁厚とほぼ等しい壁厚に形成されているとともに、その下端42aは、ナイフエッジ状に尖って形成されている。
【0036】
このような構成のキャニスタ14によれば、緩衝脚42はその下端42aが尖っていることから、キャニスタが床上あるいはコンクリート容器12内に落下した場合、緩衝脚42の下端42aは床あるいはコンクリート容器の収納部底面にめり込む。そして、緩衝脚42は、この下端42aがめり込むことにより、落下の衝撃を吸収する。そのため、第1の実施の形態と同様に、キャニスタ14は、不慮の事故等によって落下した場合でも、使用済燃料からの放射性物質の漏洩を防止し、健全性を維持することができる。
【0037】
なお、上述したようにキャニスタ14が床上に落下した場合を想定すると、落下後、キャニスタは横に転倒するものと考えられる。そして、この転倒時に更なる衝撃がキャニスタに作用する恐れがある。
【0038】
そこで、図7に示す第3の実施の形態によれば、キャニスタ14は、容器本体40の底面に設けられた緩衝脚42に加え、容器本体の上部外周に設けられた環状の転倒緩衝体44を備えている。そして、転倒緩衝体44の外周縁44aは、ナイフエッジ状に尖って形成されている。
【0039】
このような構成のキャニスタ14が転倒した場合、転倒緩衝体44が床面に衝突し、その外周縁が床にめり込む。そして、転倒緩衝体44は、この外周縁44aがめり込むことにより、転倒の衝撃を吸収する。そのため、キャニスタ14は、不慮の事故等によって落下、転倒した場合でも、容器本体40、使用済燃料集合体18の破壊や損傷、並びに、一次、二次蓋の溶接部の損傷を生じることがなく、使用済燃料からの放射性物質の漏洩を防止し、健全性を維持することができる。
【0040】
図8ないし図10に示すように、この発明の第4の実施の形態に係るコンクリートキャスク10は、コンクリート容器12に作用する衝撃、振動を減衰する複数、例えば、6つの減衰器50を備えている。各減衰器50は、互いに平行に対向して設けられた上下一対の固定バー52と、螺旋状に巻回された状態で固定バーに取り付けられたワイヤーロープ54と、で構成されている。そして、これらの減衰器50は、コンクリート容器12の底面とコンクリート容器設置面55との間に設けられ、一方の固定バー52がコンクリート容器12の底面に固定され、他方の固定バーが設置面55に当接している。
【0041】
また、6つの減衰器50は、それぞれワイヤーロープ54の巻回中心軸がコンクリート容器12の中心軸に対してほぼ放射方向に延びた状態で配置されているとともに、コンクリート容器の円周方向に沿って互いに等間隔離間して配置されている。
【0042】
このような減衰器50を設けることにより、地震等に起因してコンクリート容器12に作用する振動および衝撃を減衰および吸収することができる。特に、ワイヤーロープ54を用いた減衰器50によれば、3次元方向について振動および衝撃を減衰、吸収することが可能となる。従って、振動、外部衝撃等によるコンクリート容器12、および内部に収納されたキャニスタ14の損傷、クラックの発生等を防止し、コンクリートキャスク10の放射線遮蔽性能を安定して維持することができる。
【0043】
なお、減衰器50は上述したワイヤーロープを用いたものに限らず、図11に示す第5の実施の形態のように、複数枚の板ばねを重ねてなる重ね板ばね56を用いた構成としてもよい。そして、これらの減衰器50は、上記実施の形態と同様に、コンクリート容器12の底面と設置面55との間に設けられ、コンクリート容器12の中心軸に対してほぼ放射状に配置されているとともに、コンクリート容器の円周方向に沿って互いに等間隔離間して配置されている。
【0044】
上記のように構成された第5の実施の形態においても、コンクリート容器12、および内部に収納されたキャニスタ14に作用する振動、衝撃を減衰器50によって減衰、吸収することができ、コンクリート容器およびキャニスタの損傷、クラックの発生等を防止し、放射性物質を長期間に亘って安全にかつ安定して貯蔵可能なコンクリートキャスク10を得ることができる。
【0045】
なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、キャニスタの緩衝脚は円筒形に限らず、他の形状としてもよい。また、減衰器50の設置数は6つに限らず、必要に応じて増減可能である。更に、コンクリート製貯蔵容器の容器本体12を構成するコンクリート壁の壁厚、ライナの板厚、および各構成要素の材質、形状等は必要に応じて種々変形可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、キャニスタの容器本体に緩衝部を設けることにより、落下、転倒等が起こった場合でも放射線の漏洩を防止し、健全性を担保可能なキャニスタを提供することができる。また、コンクリート容器の底に減衰器を設け振動、衝撃を吸収することにより、放射性物質を長期間に亘って安全かつ安定して保管可能なコンクリート製貯蔵容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るコンクリートキャスクを一部破断して示す斜視図。
【図2】上記コンクリートキャスクの縦断面図。
【図3】図2の線A−Aに沿った断面図。
【図4】図2の線B−Bに沿った断面図。
【図5】上記コンクリートキャスクに収納されたキャニスタを一部破断して示す斜視図。
【図6】この発明の第2の実施の形態に係るキャニスタの下端部を一部破断して示す側面図。
【図7】この発明の第3の実施の形態に係るキャニスタを示す斜視図およびこのキャニスタの上端部を一部破断して示す側面図。
【図8】この発明の第4の実施の形態に係るコンクリートキャスクの縦断面図。
【図9】上記第5の実施の形態に係るコンクリートキャスクの減衰器を示す斜視図。
【図10】上記第5の実施の形態に係るコンクリートキャスクの平面図。
【図11】この発明の第6の実施の形態に係るコンクリートキャスクの縦断面図。
【符号の説明】
10…コンクリートキャクス
12…コンクリート容器
14…キャニスタ
15…密閉容器
18…使用済燃料集合体
20…蓋
22…収納部
24…冷却空気流路
26…吸気口
28…排気口
40…容器本体
42…緩衝脚
50…減衰器
54…ワイヤーロープ
Claims (8)
- 放射性物質が封入されたほぼ筒状の金属製の密閉容器と、上記密閉容器の底部に設けられ、落下時における上記密閉容器の衝撃を吸収する緩衝部とを備え、同緩衝部は、落下時に座屈して衝撃を吸収可能な円筒状の緩衝脚を有し、同緩衝脚の下端はナイフエッジ状に尖って形成されていることを特徴とするキャニスタ。
- 上記密閉容器の上部外周に取り付けられ、密閉容器が転倒した際の衝撃を吸収する転倒緩衝部を備え、同転倒緩衝部は環状に形成され、同転倒緩衝部の外周縁は、ナイフエッジ状に尖って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャニスタ。
- 放射性物質が封入されたほぼ筒状の金属製の密閉容器と、上記密閉容器の上部外周に取り付けられ、密閉容器が転倒した際の衝撃を吸収する転倒緩衝部とを備え、同転倒緩衝部は環状に形成され、同転倒緩衝部の外周縁は、ナイフエッジ状に尖って形成されていることを特徴とするキャニスタ。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のキャニスタを収納したコンクリート製貯蔵容器において、底壁により下端が閉塞されているとともに、上記キャニスタを収納した収納部を内部に有し、コンクリートにより形成されたほぼ筒状のコンクリート容器と、上記コンクリート容器の上端開口を閉塞した蓋と、上記収納部の底面上に設けられ、上記キャニスタに対する衝撃を吸収する容器側緩衝部とを備え、同容器側緩衝部は、上記底面上に設けられ放射状に延びた複数のリブを有していることを特徴とするコンクリート製貯蔵容器。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のキャニスタを収納したコンクリート製貯蔵容器において、上記キャニスタを収納した収納部を内部に有し、コンクリートにより形成されたほぼ筒状のコンクリート容器と、上記コンクリート容器の上端開口を閉塞した蓋と、上記コンクリート容器の底面と設置面との間に設けられているとともに螺旋状に巻回されたワイヤーロープを有し、上記コンクリート容器に作用する振動および衝撃を減衰する減衰部と、を備えたことを特徴とするコンクリート製貯蔵容器。
- 上記減衰部は、それぞれ上記ワイヤーロープを有した複数の減衰器を備え、各減衰器は、上記ワイヤーロープの巻回中心軸が上記コンクリート容器の中心軸に対してほぼ放射方向に延びた状態で配置されていることを特徴とする請求項5に記載のコンクリート製貯蔵容器。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のキャニスタを収納したコンクリート製貯蔵容器において、上記キャニスタを収納した収納部を内部に有し、コンクリートにより形成されたほぼ筒状のコンクリート容器と、上記コンクリート容器の上端開口を閉塞した蓋と、上記コンクリート容器の底面と設置面との間に設けられた重ね板ばねを有し、上記コンクリート容器に作用する振動および衝撃を減衰する減衰部と、を備えたことを特徴とするコンクリート製貯蔵容器。
- 上記減衰部は、それぞれ上記重ね板ばねを有した複数の減衰器を備え、これらの減衰器は、上記コンクリート容器の中心軸に対してほぼ放射状に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のコンクリート製貯蔵容器。
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