JP2692215B2 - 使用済燃料用キャスクへの燃料集合体の収納方法 - Google Patents

使用済燃料用キャスクへの燃料集合体の収納方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、使用済燃料集合体を輸送または貯蔵ないし
輸送かつ貯蔵するための使用済燃料用キャスクの燃料集
合体の収納方法に関する。
〔従来の技術〕
一般に、この種の使用済燃料用キャスクは、中空状の
キャスク本体の内部にバスケットが設けられ、このバス
ケット内に格子状の空間が形成されたものであり、ある
一定の燃焼条件で原子炉で燃焼した使用済燃料集合体を
貯蔵プール内で一定期間(例えば365日)以上貯蔵さ
れ、冷却された使用済燃料集合体が上記格子状の空間内
に収納されるようになっている。
〔発明が解決しようとする課題〕 ところで、上記従来の使用済燃料用キャスクにあって
は、その内部に収納する使用済燃料集合体の冷却期間に
関しては、上記一定期間(例えば365日)に基づいて、
放射線遮蔽性及び熱除去性が算定されており、上記使用
済燃料用キャスクに収納可能な使用済燃料集合体の体数
は、BWR(沸騰水型)で最大17体程度、PWR(加圧水型)
で最大12体程度に設定されている。従って、例えば、冷
却期間が2〜5年と比較的長く、放射線遮蔽及び熱除去
の条件が上記冷却期間1年のものより緩和されている使
用済燃料集合体を輸送する場合であっても、冷却期間1
年に基づいて設計されたキャスクを用いなければならな
いため、効率的ではないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、冷却期間の異なる使用済燃料集合体
に対して柔軟に対応できて、効率的な輸送、あるいは貯
蔵を行うことができる使用済燃料用キャスクへの燃料集
合体の収納方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明は、バスケットの
内部に形成される格子状の空間が、ある一定の冷却期間
を経過した使用済燃料集合体を収納した場合に線量当量
率の基準値を越えない最大の収納数となるように、上記
仕切部材によって区画された使用済燃料用キャスクを用
いて、上記空間に、上記冷却期間よりも短い冷却期間の
使用済燃料集合体を収納するとともに、当該使用済燃料
集合体を収納しない空間に当該使用済燃料集合体と略同
重量の遮蔽体を収納し、これら使用済燃料集合体と遮蔽
体との組み合わせにより、上記基準値を越えない範囲で
使用済燃料集合体の収納体数を最大化するものである。
なお、遮蔽体は、外側の空間に収納した方がより効果的
である。
〔作用〕
本発明の使用済燃料用キャスクへの燃料集合体の収納
方法にあっては、バスケット内の格子状の空間が、ある
一定の冷却期間を経過した使用済燃料集合体を収納した
場合に線量当量率の基準値を越えない最大の収納数とな
るように、上記仕切部材によって区画された使用済燃料
用キャスクを用い、この空間に収納する上記冷却期間よ
り短い冷却期間の使用済燃料集合体を上記基準値を越え
ない範囲内で収納させる場合に、当該使用済燃料集合体
が収納されていない空間に遮蔽体を収納して、放射線遮
蔽性を高めることにより、当該使用済燃料集合体の収納
体数を最大化する。
〔実施例〕
以下、第1図から第7図に基づいて本発明の実施例を
説明する。
第1図及び第2図は本発明の方法を実施する使用済燃
料用キャスクの一例を示す横断面図及び縦断面図であ
る。
上記使用済燃料用キャスクは、球状黒鉛鋳鉄製の有底
円筒状のキャスク本体1の内部にバスケット2が収容さ
れ、キャスク本体1の上部に一次蓋3及び二次蓋4がボ
ルト止めされ、この二次蓋4の内面に中性子遮蔽板5が
配置されると共に、上記キャスク本体1の胴部に、その
周回りに二列状に中性子遮蔽材6が下方から充填される
一方、キャスク本体1の下部に底板7が配置されたもの
である。なお、第2図中符号8,9は、キャスク本体1の
上下部にそれぞれ取付けられ、吊り下げ時に使用する上
部,下部トラニオンである。また、符号10は、バスケッ
ト2からキャスク本体1に伝達される使用済燃料集合体
20の崩壊熱を放散する放熱フィンである。
また、上記バスケット2は、第1図に示すように、円
筒状の外筒21の内部に、52個の格子状の空間Sが、ステ
ンレス鋼またはボロン入りステンレス鋼製の仕切板22,2
3によって形成されている。
上記格子状の空間S内には、BWR型使用済燃料集合体2
0あるいは第4図から第7図に示すようにこの使用済燃
料集合体20と略同重量の遮蔽体24が収納されるようにな
っている。この遮蔽体24は、4角筒状、あるいは中空直
方体状のもので、ステンレス鋼、または鉄で形成されて
いる。
次に、上記のように構成された使用済燃料用キャスク
に使用済燃料集合体を収納する場合について放射線遮蔽
の点から検討した結果について説明する。
まず、燃焼度38000MWD/tUで燃焼し、冷却期間が5年
を経過した使用済燃料集合体20を第3図に示すように52
個の格子状の空間Sに全て収納した場合について考え
る。この場合、キャスク側面において、表面の線量当量
率は0.14ミリシーベルト毎時、表面から1mの線量当量率
は60マイクロシーベルト毎時であり、十分に輸送法令基
準(表面で2ミリシーベルト毎時以下表面から1mで100
マイクロシーベルト毎時以下)を満たしている。これら
の値は何れもガンマ線と中性子線の寄与を合算したもの
である。
次いで、冷却期間が4年を経過した使用済燃料集合体
20を第3図のように収納した場合について検討すると表
面の線量当量率は輸送法令基準を満足しているが表面か
ら1mでの輸送法令基準を満足することができない。そこ
で、第4図に示すように、使用済燃料集合体20を44体、
格子状の空間Sに収納し、残りの8個の外周空間Sに遮
蔽体24を収納した場合について検討したところ、キャス
ク側面において表面から1mで60マイクロシーベルト毎時
となり、輸送法令基準を満たしている。同様に冷却期間
を3年、2年及び1年にした場合について検討したとこ
ろ、それぞれ第5図、第6図及び第7図に示すような使
用済燃料集合体と遮蔽体の組合せ配置によって輸送法令
基準を満たすことがわかった。これらの検討結果をまと
めて表1に示す。
なお、第4図、第5図、第6図及び第7図において遮
蔽体24を収納しない場合には輸送法令基準を満たすこと
ができない。
なお、表1の線量当量率は、該キャスクの側面につい
ての値であるが、側面方向の線量当量率は蓋方向及び底
方向に比べて大きく、キャスク側面における線量当量率
が支配的である。
従って、第3図〜第7図のようにバスケット内の配置
を対称性をもたせた場合における冷却期間に対する最大
収納量をまとめると、表2のようになる。なお、バスケ
ット内の配置の対称性に拘わらなければ、輸送法令基準
を満足する範囲で収納体数を増加させることができる。
また、表2には、キャスク内に収納された使用済燃料
集合体20から放出される崩壊熱も示したが、何れの場合
も該キャスクにおいて十分な除熱性が得られることがわ
かった。また、該キャスクの臨界安全性はバスケットの
板材に中性子吸収材を用いることによって確保されてい
るが、その場合の評価条件は初期濃縮度のウラン燃料集
合体を該バスケットに52体収納した場合による。従っ
て、冷却期間が5年未満の場合には表2のように収納体
数が少なくなるので、さらに十分な臨界安全性が得られ
る。
このように、放射線遮蔽については、冷却期間が減少
するに従って、キャスクに収納する使用済燃料集合体20
の数を減らし、その分遮蔽体24を収納することにより、
十分に対応できる。また、使用済燃料集合体20が放出す
る崩壊熱については、バスケットの仕切板22,23によっ
て円滑にキャスク本体1に伝達し、さらにキャスク本体
1の表面に形成された放熱フィン10より放熱することが
できる。さらに臨界安全性については、中性子吸収材を
用いたバスケットにより、十分な裕度をもって確保する
ことができる。
なお、これらの放射線遮蔽性、熱除去性、臨界安全性
は実施例として示した球状黒鉛鋳鉄製キャスクないしは
BWR型使用済燃料集合体に限らず、他の使用済燃料用キ
ャスクないしは使用済燃料集合体においても同様の効果
を得ることができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明は、バスケット内の格子
状の空間が、ある一定の冷却期間を経過した使用済燃料
集合体を収納した場合に線量当量率の基準値を越えない
最大の収納数となるように、上記仕切部材によって区画
された使用済燃料用キャスクを用い、この空間に収納す
る上記冷却期間より短い冷却期間の使用済燃料集合体を
上記基準値を越えない範囲内で収納させる場合に、冷却
期間の長短に応じて収納する使用済燃料集合体の体数を
増減させるとともに、あいた格子状の空間に遮蔽体を収
納して放射線遮蔽性を高め、これにより、使用済燃料集
合体および遮蔽体の収納体数の組み合わせを変えて使用
済燃料集合体の収納体数を最大化できるので、冷却期間
の異なる使用済燃料集合体に対して柔軟に対応でき、そ
のために効率的な輸送、あるいは貯蔵を実施できる。
【図面の簡単な説明】
第1図と第2図は本発明の方法を実施する使用済燃料用
キャスクの一例を示すもので、第1図は横断面図、第2
図は縦断面図、第3図は第1図に示すキャスクに52体の
使用済燃料集合体を収納した場合の説明図、第4図は第
1図に示すキャスクに44体の使用済燃料集合体を収納し
た場合の説明図、第5図は第1図に示すキャスクに36体
の使用済燃料集合体を収納した場合の説明図、第6図は
第1図に示すキャスクに32体の使用済燃料集合体を収納
した場合の説明図、第7図は第1図に示すキャスクに24
体の使用済燃料集合体を収納した場合の説明図である。 1…キャスク本体、2…バスケット、S…格子状の空
間、20…使用済燃料集合体、22,23…仕切板、24…遮蔽
体。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空状のキャスク本体の内部にバスケット
    が設けられ、かつ該バスケットの内部に、仕切部材が使
    用済燃料集合体収納用の格子状の空間を形成するように
    配置され、該空間は、収納可能な使用済燃料集合体の体
    数が、ある一定の冷却期間を経過した使用済燃料集合体
    を収納した場合に線量当量率の基準値を越えない最大の
    収納数となるように、上記仕切部材によって区画されて
    なる使用済燃料用キャスクを用いた燃料集合体の収納方
    法であって、 上記空間に、上記冷却期間よりも短い冷却期間の使用済
    燃料集合体を収納するとともに、当該使用済燃料集合体
    を収納しない空間に当該使用済燃料集合体と略同重量の
    遮蔽体を収納して、上記基準値を越えない範囲で使用済
    燃料集合体の収納体数を最大化することを特徴とする使
    用済燃料用キャスクへの燃料集合体の収納方法。
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