JP3876113B2 - 油圧制御装置 - Google Patents
油圧制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3876113B2 JP3876113B2 JP2000143845A JP2000143845A JP3876113B2 JP 3876113 B2 JP3876113 B2 JP 3876113B2 JP 2000143845 A JP2000143845 A JP 2000143845A JP 2000143845 A JP2000143845 A JP 2000143845A JP 3876113 B2 JP3876113 B2 JP 3876113B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydraulic
- torque
- hydraulic pump
- pressure
- pump
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Operation Control Of Excavators (AREA)
- Fluid-Pressure Circuits (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベルなどに備えられる油圧制御装置に係り、特に目標エンジン回転数に基づいて油圧ポンプの入力トルクに相応するベーストルクを求める演算をおこなうベーストルク演算手段を備えた油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4〜7は従来技術の説明図で、図4は従来の油圧制御装置の構成を示す油圧回路図、図5は図4に示す従来の油圧制御装置に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック図、図6は図4に示す従来の油圧制御装置におけるポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性を示す図、図7は図6のF部拡大説明図である。
【0003】
図4に示す従来の油圧制御装置は、例えば油圧ショベルに備えられるものであり、図4に示すように、エンジン1と、このエンジン1によって駆動され、互いに構造が同一な可変容量型の第1油圧ポンプ2、及び第2油圧ポンプ3と、これらの油圧ポンプ2,3の吐出量をそれぞれ制御するレギュレータ4,5と、油圧ポンプ2,3から吐出される圧油によって駆動する走行左モータ6、及び走行右モータ7と、油圧ポンプ2,3のそれぞれから該当する走行左モータ6、走行右モータ7に供給される圧油の流れを制御する走行左用方向制御弁8、走行右用方向制御弁9と、これらの走行左用方向制御弁8、走行右用方向制御弁9を切換える操作をおこなう走行左用操作装置10、走行右用操作装置11とを備えている。
【0004】
また、エンジン1の目標回転数を指示する目標エンジン回転数指示手段、すなわち、エンジンコントロールダイヤル(以下「エンコンダイヤル」という)13と、エンジン1の回転数を制御するエンジン回転数制御機構14と、例えばパイロットポンプから成る油圧源16と、この油圧源16とレギュレータ4,5のそれぞれとを連絡する油路中に介設される電磁比例減圧弁15と、コントローラ25とを備えている。
【0005】
このコントローラ25は、図5に示すように、エンコンダイヤル13から入力される目標エンジン回転数に基づいて油圧ポンプ2,3の入力トルクに相応するベーストルクを求める演算をおこなうベーストルク演算手段20を備えている。目標エンジン回転数が小さい所定の領域L1ではベーストルクの値は小さく、また、目標エンジン回転数が大きい所定の領域L2ではベーストルクの値が大きくなるように設定されている。
【0006】
また、コントローラ25には、同図5に示すように、ベーストルク演算手段20から出力されるベーストルク、すなわち指令トルクの値が大きくなるに従って小さな値となる制御電流を求める演算をおこなう制御電流演算手段24を備えている。この制御電流演算手段24で求められた電流値の制御電流が駆動信号として前述した電磁比例減圧弁15の制御部に出力されるようになっている。
【0007】
このように構成される従来技術では、図4に示すように、コントローラ25がエンコンダイヤル13からの目標エンジン回転数を入力し、ベーストルク演算手段20で入力した目標エンジン回転数に対応するベーストルクが指令トルクとして制御電流演算手段24に入力され、ここで該当する指令トルクに相応する電流値が演算される。その電流値の制御電流が駆動信号として、電磁比例減圧弁15の制御部に出力される。制御電流演算手段24では、指令トルクが小さいほど電流値を増加させることになる。電磁比例減圧弁15は、前述した制御電流に応じて適宜切換えられ、油圧源16の一次圧を減圧し、パイロット圧Ptをレギュレータ4,5に供給する。レギュレータ4,5は、電磁比例減圧弁15を介して供給されたパイロット圧Ptと、油圧ポンプ2,3の吐出圧とにより油圧ポンプ2,3の傾転角θを制御する。例えば油圧ポンプ2,3の吐出圧及びパイロット圧Ptが高くなるほど油圧ポンプ2,3の傾転角θが小さくなるように制御される。
【0008】
また、図4に戻り、電磁比例減圧弁15は、コントローラ25から出力される制御電流の電流値が大きくなるほど弁開度が大きくなり、レギュレータ4,5へのパイロット圧Ptを高くする。レギュレータ4,5はパイロット圧Ptが高くなるほど油圧ポンプ2,3の傾転角θを小さくするように動作する。したがって、エンジン1の目標エンジン回転数が低いほどパイロット圧Ptは高くなり、レギュレータ4,5は傾転角θを小さくするように動作し、逆に目標エンジン回転数が高いほどパイロット圧Ptが低くなり、傾転角θは増加する傾向となる。
【0009】
一方、レギュレータ4,5には、油圧ポンプ2,3の吐出圧も作用しており、これらのポンプ吐出圧と前述したパイロット圧Ptとの相乗作用で油圧ポンプ2,3の傾転角θが制御される。
【0010】
上述した従来技術におけるポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性を図6に基づいて説明する。
【0011】
図6の横軸は、油圧ポンプ2,3の吐出圧の平均値であるポンプ平均圧力を示し、縦軸は油圧ポンプ2,3の傾転角θを示している。この図6は一般にP−Q曲線と呼ばれるものに相当している。一点鎖線で示す曲線イ,ロはエンジン回転数に応じた等馬力曲線、すなわちエンジン1が出し得る馬力を示す曲線で、曲線イは高回転数、例えば最高回転数の場合の等馬力曲線、曲線ロが低回転数の場合の等馬力曲線である。ポンプ入力トルクは、油圧ポンプ2,3の吐出圧と、当該油圧ポンプ2,3の吐出流量の積で決定されるが、上述した等馬力曲線に相応するエンジン出力馬力を超えないように、これらの油圧ポンプ2,3の傾転角θが制御される。すなわち、同図6に示すように、エンジン回転数が最高回転数の場合には、実線ト−ハ−ホで示す線上で傾転角θが制御される。なお、実線の直線部トは最大傾転角に相当するが、これはメカニカルに設定されるものであり、これ以上傾転角θを大きくすることができないという領域である。
【0012】
折れ線ハ−ホは、曲線イにほぼ接するように決定される。これはエンジン出力馬力を有効に活用するためである。一方、エンジン回転数が低下してくるに伴い、等馬力曲線は同図6の左側にシフト(平行移動)して行き、これに応じて実線ハ−ホも左方向にシフトして行く。このとき低回転数側では、傾きのなだらかな直線ヘで等馬力曲線ロに接するように設定される。仮に、傾きの急な直線ニで接するように設定すると、油圧ポンプ2,3の吐出圧が大きくなると等馬力曲線を超えてエンストするおそれが生じる。このため、なだらかな直線ヘで等馬力曲線ロにほぼ接するように設定される。
【0013】
上述したエンコンダイヤル13の操作に伴って例えば目標エンジン回転数が低くなり、図4に示すパイロット圧ptが増加すると、図6に示すようにポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性線(P−Q線)は左方向にシフトし、最大傾転角から傾転角θが減少して行く折れ点が、折れ点Aから折れ点Bにシフトすることになる。これにより、油圧ポンプ2,3の入力トルクはエンジン1の出力馬力を超えることがなく、エンストが防止される。
【0014】
なお、この種の公知技術としては、例えば特開平4−5487号公報に示されるものがある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述した図4〜6に示す従来技術においては、目標エンジン回転数が低い状態で直進走行が指示されると、一般的には図6の直線ニ上で傾転角θが制御されることになる。このとき、図4に示す走行左モータ6、走行右モータ7のそれぞれに、該当する油圧ポンプ2,3から圧油が供給される。これらの2個の油圧ポンプ2,3は、基本的には同じ構造であり、同等の性能を持つように作られているが、現実にはそれぞれの性能は互いに製作誤差等に伴ってわずかながらも差が存在する。図6のF部を拡大した図7において、例えば30は第1油圧ポンプ2のポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性線、31は第2油圧ポンプ3のポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性線を示している。この図7から分かるように、レギュレータ4,5にはそれぞれ同じパイロット圧Pt、及び同じポンプ吐出圧が作用しているにもかかわらず、その傾転角θに若干の差が生じる。これにより、走行左モータ6、走行右モータ7のそれぞれに供給される圧油の流量に差が生じる。つまり、図7の傾転角θの差32に相当する流量差が生じる。したがって、上述した図4〜7に示す従来技術では、直進走行が指示されているにもかかわらず蛇行してしまい、走行直進を介して実施される作業の作業性が低下するという問題がある。特に、エンジン1の回転数が比較的低い図6の直線ニの部分は、直線ヘの部分に比べてその傾きが大きいことから、油圧ポンプ2,3の傾転角θに差が生じやすい。
【0016】
本発明は、上記した従来技術における実状に鑑みてなされたもので、その目的は、直進走行が指示されたときの第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプのそれぞれの傾転角を互いに等しくすることができる油圧制御装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願の請求項1に係る発明は、エンジンと、このエンジンによって駆動され、互いに構造が同一な可変容量型の第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプと、これらの第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプの吐出量をそれぞれ制御するレギュレータと、上記第1油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動する走行左モータ、及び上記第2油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動する走行右モータと、目標エンジン回転数を指示する目標エンジン回転数指示手段とを備えるとともに、上記目標エンジン回転数に基づいて上記第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプの入力トルクに相応するベーストルクを演算するベーストルク演算手段を有するコントローラを備えた油圧制御装置において、直進走行が指示されたことを検出する走行検出手段と、上記第1油圧ポンプ、上記第2油圧ポンプの吐出圧をそれぞれ検出する吐出圧検出手段とを備え、上記コントローラが、上記吐出圧検出手段で検出される吐出圧が、所定の低い領域にあるときに、該当する吐出圧に相応する目標エンジン回転数に対応する上記ベーストルクよりも大きな値の補正トルクを演算する補正トルク演算手段と、上記ベーストルク演算手段から出力されるベーストルクと、上記補正トルク演算手段から出力される補正トルクのうちの最大値を選択可能な最大値選択手段とを含み、当該コントローラは、上記走行検出手段により直進走行が指示されたことが検出されるとともに、上記吐出圧検出手段により上記吐出圧が上記所定の低い領域にあることが検出されたときに、上記最大値選択手段で上記補正トルク演算手段で演算された補正トルクを選択し、この補正トルクに応じて上記レギュレータのそれぞれを駆動させる駆動信号を出力する構成にしてある。
【0018】
このように構成した請求項1に係る発明にあっては、第1油圧ポンプからの圧油を走行左モータに供給し、第2油圧ポンプからの圧油を走行右モータに供給して直進走行を実施しようとするとき、走行検出手段によりこの直進走行が指示されたことが検出される。また、このような直進走行の場合には一般に第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプそれぞれの吐出圧が所定の低い領域内にあることが経験的に知られている。したがって、このとき吐出圧検出手段によって第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプの吐出圧が上述のような所定の低い領域内にあることが検出される。
【0019】
コントローラでは、上述のように走行検出手段により直進走行が指示されたことが検出され、併せて吐出圧検出手段で第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプの吐出圧が所定の低い領域にあることが検出されたことにより、内蔵する最大値選択手段において、補正トルク演算手段で算出された補正トルクを選択する処理をおこなう。
【0020】
このときの補正トルクは、ベーストルク演算手段で求められる目標エンジン回転数に対応するベーストルクよりも大きなトルクである。すなわち、ポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性線を従来よりもエンジン高回転方向にシフトさせることができる。これにより、第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプそれぞれの傾転角を最大傾転角とすることができる。
【0021】
この最大傾転角は、第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプのそれぞれに固有のものであり、前述したようにメカニカルに設定されるものである。今、第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプは互いに同一構造であることから、これらの油圧ポンプの最大傾転角は互いに等しい。すなわち、このように直進走行が指示されたときの第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプの傾転角を互いに等しく保つことができる。
【0022】
上述の構成において、上記コントローラが、上記走行検出手段で直進走行が指示されたことが検出されたときに、上記補正トルク演算手段と上記最大値選択手段とを導通させるスイッチ手段を含む構成にしてもよい。
【0023】
また上述の構成において、油圧源と上記レギュレータのそれぞれとの間に介在され、上記コントローラから出力される上記駆動信号により切換えられる電磁比例減圧弁を備えた構成にしてもよい。
【0024】
また上述の構成において、上記走行検出手段が、走行用操作装置が操作されたことを検出する走行操作検出器から成る構成にしてもよい。
【0025】
なお、当該油圧制御装置を、走行体を具備する構造を有する油圧ショベルに備えてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の油圧制御装置の実施形態を図に基づいて説明する。図1〜3は本発明の一実施形態の説明図で、図1は、この一実施形態の全体構成を示す油圧回路図、図2は図1に示す一実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック図、図3は図1に示す一実施形態で得られるポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性を示す図である。
【0027】
これらの図において、前述した図4〜7に示すものと同等のものは同じ符号で示してある。すなわち、本実施形態にあっても、エンジン1と、互いに構造が同一な可変容量型の第1油圧ポンプ2、第2油圧ポンプ3と、レギュレータ4,5と、図示しない走行体を駆動する走行左モータ6及び走行右モータ7と、走行左用方向制御弁8及び走行右用方向制御弁9と、走行左用操作装置10及び走行右用操作装置11とを備えている。
【0028】
また、目標エンジン回転数指示手段を構成するエンコンダイヤル13と、エンジン回転数制御機構14と、例えばパイロットポンプより成る油圧源16と、電磁比例減圧弁15と、コントローラ12とを備えている。
【0029】
コントローラ12は、図2に示すように、エンコンダイヤル13から入力される目標エンジン回転数に基づいて油圧ポンプ2,3の入力トルクに相応するベーストルクを求める演算をおこなうベーストルク演算手段20と、指令トルクの値が大きくなるに従って小さな値となる制御電流を求める制御電流演算手段24を備えており、この制御電流演算手段24で求められた電流値の制御電流が前述した電磁比例減圧弁15の制御部に出力されるようになっている。以上の構成については、前述した図4〜7に示すものと同等である。
【0030】
また、図3に示すイはエンジン回転数が高回転数、例えば最高回転数の場合の等馬力曲線、ロは低回転数の場合の等馬力曲線、実線ト−ハ−ホはエンジン回転数が最高回転数の場合のポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性線、実線ト−ニ−ヘはエンジン回転数が低回転数の場合のポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性線、A,Bはそれぞれ最高回転数、低回転数の場合の最大傾転角から傾転角θが低下して行く折れ点である。これらについても前述した図4〜7に示すものと同じである。
【0031】
特に本実施形態では、直進走行が指示されたことを検出する走行検出手段、例えば図1に示す走行左用操作装置10、走行右用操作装置11が操作されたことを検出する走行操作検出器17と、油圧ポンプ2,3の吐出圧をそれぞれ検出する吐出圧検出手段、例えば圧力センサ18,19を備えている。
【0032】
また、コントローラ12は、圧力センサ18,19から出力される圧力信号PS1,PS2を入力して、その平均圧力を演算するポンプ平均圧力演算手段25と、このポンプ平均圧力演算手段25によって演算されたポンプ平均圧力に応じた補正トルクを演算する補正トルク演算手段21とを備えている。この補正トルク演算手段21はポンプ平均圧力が所定の低い領域L11にあるときには比較的大きな値の補正トルクとなるように演算し、ポンプ平均圧力が所定の高い領域L22にあるときには小さな値の補正トルクとなるように演算する。ポンプ平均圧力の所定の低い領域L11は、油圧ポンプ2,3の吐出圧が所定の低い領域L11にあることを意味し、このように油圧ポンプ2,3の吐出圧が所定の低い領域L11にあることは、これらの油圧ポンプ2,3を駆動する目標エンジン回転数が所定の低い領域L1にあることを意味する。すなわち、ベーストルク演算手段20における目標エンジン回転数の所定の低い領域L1と、補正トルク演算手段21におけるポンプ平均圧力の所定の低い領域L11とがほぼ一致するように設定してある。また、補正トルク演算手段21における補正トルクの値は、ポンプ平均圧力が所定の低い領域L11にあるときは、ベーストルク演算手段20の目標エンジン回転数が所定の低い領域L1にある場合のベーストルクの値よりも大きくなるようにあらかじめ設定してある。なお、ポンプ平均圧力が所定の高い領域L22にあるときは、ベーストルク演算手段20の目標エンジン回転数が所定の高い領域L2にある場合のベーストルクの値よりも小さくなるように補正トルクの値をあらかじめ設定してある。
【0033】
コントローラ12は、さらに走行操作検出器17から走行操作がなされた旨の信号(走行ON)が出力されたときに閉成し、走行操作がなされていない旨の信号(走行OFF)が出力されたときに開放するスイッチ手段23と、このスイッチ手段23を介して出力される補正トルク演算手段21で演算された補正トルクと、ベーストルク演算手段20で演算されたベーストルクのうちの最大値を選択可能な最大値選択手段を備えている。
【0034】
走行操作検出器17から走行OFFの信号が出力されているときは、スイッチ手段23は開放されており、したがって常に、ベーストルク演算手段20で演算されたベーストルクが最大値として最大値選択手段22で選択される。走行操作検出器17から走行ONの信号が出力されているときは、スイッチ手段23は閉成され、したがってベーストルク演算手段20で演算されたベーストルクか、補正トルク演算手段21で演算された補正トルクのどちらかのトルクが最大値として最大値選択手段22で選択される。この場合、圧力センサ18,19で検出される油圧ポンプ2,3の吐出圧の平均値、すなわちポンプ平均圧力が、所定の低い領域L11にあるときには、ベーストルク演算手段20で演算されるベーストルクに比べて補正トルク演算手段21で演算される補正トルクの方が大きく、したがってこの補正トルクが最大値として最大値選択手段22で選択される。また、例えば走行体とともにブーム、アーム等が複合操作される状況になって油圧ポンプ2,3の吐出圧が高くなり、そのポンプ平均圧力が所定の高い領域L22に至ったときには、補正トルクに比べてベーストルクの方が大きくなり、したがってこのベーストルクが最大値として最大値選択手段22で選択される。
【0035】
最大値選択手段22で選択されたベーストルク、あるいは補正トルクは指令トルクとして制御電流演算手段24に出力される。制御電流演算手段24では、最大値選択手段22から出力された指令トルクに応じた電流値を演算し、その電流値の制御電流を電磁比例減圧弁15の制御部に出力する。この場合、前述したように制御電流演算手段24では、指令トルクが小さいほど電流値を増加させる。これにより電磁比例減圧弁15の弁開度が大きくなり、レギュレータ4,5が油圧ポンプ2,3の傾転角θを小さくするように作動する。逆に指令トルクが大きいほど、電流値を減少させる。これにより電磁比例減圧弁15の弁開度が小さくなり、レギュレータ4,5が油圧ポンプ2,3の傾転角θを大きくするように作動する。
【0036】
このように構成した本実施形態における動作は以下のとおりである。
【0037】
今仮に、エンコンダイヤル13で比較的低い目標エンジン回転数、つまり図2のベーストルク演算手段20の低い領域l1内の目標エンジン回転数が指示され、走行左用操作装置10、走行右用操作装置11の双方が操作され、直進走行が実施されようとしているものとする。
【0038】
コントローラ13では、エンコンダイヤル13で指示された目標エンジン回転数に応じた駆動信号をエンジン回転数制御機構14に出力する。これによりエンジン回転数制御機構14が作動してエンジン1の回転数が目標エンジン回転数に相応する回転数となり、この回転数に応じて油圧ポンプ2,3が駆動する。油圧ポンプ2,3から吐出される圧油の圧力は、圧力センサ18,19で検出され、それぞれ圧力信号PS1,PS2としてコントローラ12に入力される。
【0039】
コントローラ12では、エンコンダイヤル13で指示された目標エンジン回転数に相応するベーストルクがベーストルク演算手段20で演算される。今の場合は目標エンジン回転数が比較的低く、したがって所定の低い領域L1に属し、これに応じて小さな値のベーストルクが演算される。
【0040】
また、圧力センサ18,19から出力された圧力信号PS1,PS2がポンプ平均圧力演算手段25に入力され、このポンプ平均圧力演算手段25で油圧ポンプ2,3の吐出圧の平均値がポンプ平均圧力として求められる。このポンプ平均圧力に応じて補正トルクが補正トルク演算手段20で演算される。今の場合は、エンジン回転数が比較的低いことに伴って油圧ポンプ2,3の吐出圧が比較的低く、したがって所定の低い領域L1に属し、これに応じて大きな値、すなわち該当するベーストルクよりも大きな値の補正トルクが演算される。
【0041】
この間、走行左用操作装置10、走行右用操作装置11が操作されたことが走行操作検出器17で検出され、これによりコントローラ12のスイッチ手段23が閉成する。
【0042】
したがって、ベーストルク演算手段20から出力されるベーストルクと、スイッチ手段23を介して補正トルク演算手段21から出力される補正トルクとが最大値選択手段22に入力した際、最大値として補正トルクが選択される。このトルク値の比較的大きな補正トルクが指令トルクとして制御電流演算手段24に与えられる。
【0043】
今の場合、トルク値の大きい指令トルクであることから比較的小さな電流値が演算され、その小さな演算値の制御電流が図1に示す電磁比例減圧弁15の制御部に出力される。これにより電磁比例減圧弁15は弁開度が比較的小さくなるように切換えられる。したがって、油圧源16から電磁比例減圧弁15を介して小さなパイロット圧Ptがレギュレータ4,5に供給される。
【0044】
これに応じて油圧ポンプ2,3の傾転角θが、該当する目標エンジン回転数に対応するベーストルクに基づく傾転角θよりも大きくなる。このときのポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性線は、図3の実線ト−チ−リで示すものとなる。したがつて、該当する目標エンジン回転数に対応するベーストルクに基づく傾転角θが同図3の実線ト−ニ−ヘ上のCO点であったとすると、同一のポンプ平均圧力で今の場合、すなわちベーストルクよりも大きな補正トルクに基づく場合、その傾転角θを最大傾転角上のC1点まで移行させることができる。
【0045】
上述の理由により本実施形態における油圧ポンプ2,3の傾転角θは、共にメカニカルに設定される最大傾転角で等しくなる。これに応じて油圧ポンプ2,3から同じ流量の圧油が走行左用方向制御弁8、走行右用方向制御弁9を介して、走行左モータ6、走行右モータ7のそれぞれに供給される。これにより所望の直進走行を実現させることができる。したがって、蛇行を生じることがなく、直進走行を介して実施される作業の作業性を向上させることができる。
【0046】
なお、上述した実施形態にあって、例えば走行とブーム、あるいはアームなどの複合操作が意図され、高い目標エンジン回転数がエンコンダイヤル13から指示され、油圧ポンプ2,3の吐出圧、すなわちポンプ平均圧力が高くなり、補正トルク演算手段21の所定の高い領域L22に至った場合には、補正トルク演算手段21で演算される補正トルクに比べて、ベーストルク演算手段20で演算されるベーストルクの方が大きくなり、最大値選択手段22でベーストルクが選択される。このベーストルクが指令トルクとして制御電流演算手段24に入力され、対応する電流値が求められる。その電流値の制御電流が電磁比例減圧弁15の制御部に与えられ、油圧ポンプ2,3の傾転角θが大きくなるように制御される。このときの等馬力曲線は例えば図3のイで示され、ポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性線は、同図3の実線ト−ハ−ホで示されるものとなる。
【0047】
また、走行左用操作装置10、走行右用操作装置11が操作されない状態で、例えばブーム、アーム等を駆動させるときには、走行操作検出器17から出力される信号はOFFであり、このときは前述したように図2に示すスイッチング手段23は開放される。したがって目標エンジン回転数が低いかどうかにかかわらず常に、ベーストルク演算手段20から出力されるベーストルクが最大値選択手段22で選択される。このベーストルクが指令トルクとして制御電流演算手段24に入力され、対応する電流値が求められる。その電流値の制御電流が駆動信号として電磁比例減圧弁15の制御部に与えられ、油圧ポンプ2,3の傾転角θは、前述した図4〜7に示す従来のものと同様に制御される。
【0048】
なお、上記では油圧ショベルに適用させた例を挙げたが、本発明は、このように油圧ショベルに適用させることには限られず、走行体を有するクレーンなどの作業機械に適用させてもよい。
【0049】
【発明の効果】
本願の各請求項に係る発明によれば、直進走行が指示されたときの第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプのそれぞれの傾転角を、メカニカルに設定される最大傾転角として互いに等しくすることができ、これにより従来生じていた蛇行を防止でき、この直進走行を介して実施される作業の作業性を従来に比べて向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油圧制御装置の一実施形態の全体構成を示す油圧回路図である。
【図2】図1に示す一実施形態に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す一実施形態で得られるポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性を示す図である。
【図4】従来の油圧制御装置の構成を示す油圧回路図である。
【図5】図4に示す従来の油圧制御装置に備えられるコントローラの要部構成を示すブロック図である。
【図6】図4に示す従来の油圧制御装置におけるポンプ平均圧力・ポンプ傾転角特性を示す図である。
【図7】図6のF部拡大説明図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 第1油圧ポンプ
3 第2油圧ポンプ
4 レギュレータ
5 レギュレータ
6 走行左モータ
7 走行右モータ
8 走行左用方向制御弁
9 走行右用方向制御弁
10 走行左用操作装置
11 走行右用操作装置
12 コントローラ
13 エンコンダイヤル(目標エンジン回転数指示手段)
14 エンジン回転数制御機構
15 電磁比例減圧弁
16 油圧源
17 走行操作検出器(走行検出手段)
18 圧力センサ(吐出圧検出手段)
19 圧力センサ(吐出圧検出手段)
20 ベーストルク演算手段
21 補正トルク演算手段
22 最大値選択手段
23 スイッチ手段
24 制御電流演算手段
25 ポンプ平均圧力演算手段
Claims (5)
- エンジンと、このエンジンによって駆動され、互いに構造が同一な可変容量型の第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプと、これらの第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプの吐出量をそれぞれ制御するレギュレータと、上記第1油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動する走行左モータ、及び上記第2油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動する走行右モータと、目標エンジン回転数を指示する目標エンジン回転数指示手段とを備えるとともに、
上記目標エンジン回転数に基づいて上記第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプの入力トルクに相応するベーストルクを演算するベーストルク演算手段を有するコントローラを備えた油圧制御装置において、
直進走行が指示されたことを検出する走行検出手段と、
上記第1油圧ポンプ、上記第2油圧ポンプの吐出圧をそれぞれ検出する吐出圧検出手段とを備え、
上記コントローラが、
上記吐出圧検出手段で検出される吐出圧が、所定の低い領域にあるときに、該当する吐出圧に相応する目標エンジン回転数に対応する上記ベーストルクよりも大きな値の補正トルクを演算する補正トルク演算手段と、
上記ベーストルク演算手段から出力されるベーストルクと、上記補正トルク演算手段から出力される補正トルクのうちの最大値を選択可能な最大値選択手段とを含み、
当該コントローラは、上記走行検出手段により直進走行が指示されたことが検出されるとともに、上記吐出圧検出手段により上記吐出圧が上記所定の低い領域にあることが検出されたときに、上記最大値選択手段で上記補正トルク演算手段で演算された補正トルクを選択し、この補正トルクに応じて上記レギュレータのそれぞれを駆動させる駆動信号を出力することを特徴とする油圧制御装置。 - 上記コントローラが、上記走行検出手段で直進走行が指示されたことが検出されたときに、上記補正トルク演算手段と上記最大値選択手段とを導通させるスイッチ手段を含むことを特徴とする請求項1記載の油圧制御装置。
- 油圧源と上記レギュレータのそれぞれとの間に介在され、上記コントローラから出力される上記駆動信号により切換えられる電磁比例減圧弁を備えたことを特徴とする請求項1記載の油圧制御装置。
- 上記走行検出手段が、走行用操作装置が操作されたことを検出する走行操作検出器から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油圧制御装置。
- 油圧ショベルに備えられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油圧制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000143845A JP3876113B2 (ja) | 2000-05-16 | 2000-05-16 | 油圧制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000143845A JP3876113B2 (ja) | 2000-05-16 | 2000-05-16 | 油圧制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001323904A JP2001323904A (ja) | 2001-11-22 |
JP3876113B2 true JP3876113B2 (ja) | 2007-01-31 |
Family
ID=18650600
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000143845A Expired - Lifetime JP3876113B2 (ja) | 2000-05-16 | 2000-05-16 | 油圧制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3876113B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4758877B2 (ja) | 2006-12-07 | 2011-08-31 | 日立建機株式会社 | 建設機械用3ポンプシステムのトルク制御装置 |
WO2015111779A1 (ko) * | 2014-01-27 | 2015-07-30 | 볼보 컨스트럭션 이큅먼트 에이비 | 건설기계용 주행 제어장치 및 그 제어방법 |
-
2000
- 2000-05-16 JP JP2000143845A patent/JP3876113B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001323904A (ja) | 2001-11-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4675320B2 (ja) | 作業機械の油圧駆動装置 | |
JP3179786B2 (ja) | 油圧ポンプ制御装置 | |
JP6474908B2 (ja) | 作業機械の油圧システム | |
EP2354331B1 (en) | Hydraulic drive device for hydraulic excavator | |
JP2019052703A (ja) | 建設機械の油圧駆動システム | |
JP3850594B2 (ja) | 油圧作業機の油圧制御装置 | |
JP7392819B2 (ja) | 作業機械の旋回駆動装置 | |
US7607245B2 (en) | Construction machine | |
JP3876113B2 (ja) | 油圧制御装置 | |
JP3491940B2 (ja) | 可変容量型油圧ポンプの制御装置 | |
JPH09203087A (ja) | 建設機械 | |
JP2695335B2 (ja) | 土工機における油圧アクチュエータ制御装置 | |
JPH11303759A (ja) | 油圧ポンプの制御装置 | |
JP2011117316A (ja) | 建設機械の制御装置 | |
JP3784149B2 (ja) | 油圧ポンプのカットオフ装置 | |
JPH08311934A (ja) | 建設機械の旋回油圧回路 | |
JP2003028101A (ja) | 建設機械の油圧制御装置 | |
JP2740172B2 (ja) | 油圧駆動装置 | |
KR102698835B1 (ko) | 작업 기계 | |
CN112189070A (zh) | 油压挖掘机驱动系统 | |
EP4124694B1 (en) | Working control device in working vehicle | |
JP2651075B2 (ja) | 土工機における油圧アクチュエータ制御装置 | |
JP3137318B2 (ja) | 油圧駆動機械の制御装置 | |
JPH07139509A (ja) | 油圧作業機の油圧駆動装置 | |
JPH11140914A (ja) | 旋回式建設機械の油圧ポンプ制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050721 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061018 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061024 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061030 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3876113 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101102 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111102 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121102 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131102 Year of fee payment: 7 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |