JP3875313B2 - 可撓可能な管継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば流体輸送管等の接続部に設けられる管継手に係わり、特にダストシールを有する可撓可能な管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中に埋設される流体輸送管は、軟弱地盤の不等沈下や地震等による地盤のずれによる損壊を防止するために、通常、流体輸送管同士の接続部に可撓性(伸縮性も有する)管継手が用いられる。
【0003】
図9は、この種の管継手としての一例を略示するもので、管軸方向の端部にフランジaを有する左右1対のスピゴット管(小径管)bと、それらの対向部の外周面に、パッキンおよび押輪(図示略)を介して装着されたスリーブ(大径管)Cとからなっている。
【0004】
地盤の沈下等により、左右のスピゴット管bに接続した水道管が上下方向に変位すると、図10に示すように、左右のスピゴット管bがスリーブCとともに、上下に撓むことにより、流体輸送管に作用する曲げ荷重が吸収される。
【0005】
しかしながら、このように撓むと、一方のスピゴット管bの下部外周面とスリーブCの内周面との間に、比較的大きな隙間dが形成され、この隙間dに管内の泥状物や砂利等の異物が入り込みやすくなる。
【0006】
このようになると、再度上記と反対方向に撓もうとした際、異物の抵抗により撓みにくくなり、可撓可能な管継手としての機能が損われる。
【0007】
この問題に対処するための方法として、スリーブCにおけるスピゴット管bの外周面と対応する位置にスポンジ、中空台形ゴムや山形ゴム等のダストシールを固定したり、スピゴット管bの対向端同士にベローズを取付けることも考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したスポンジのダストシールでは、復元力が小さいため、非シール部が生じたり、管継手の許容曲げ角が減少する。また中空台形ゴムや山形ゴム等ダストシールでも、非シール部が生じたり、許容曲げ角が減少するとともに、内径方向への突出量が若干大となって流体の流通抵抗が増大する。
【0009】
さらに、ベローズを装着すると、シール性は良好となるが、内径方向への突出量が大となるので、流通抵抗が増大する。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、スピゴット管の開口端部に、スリーブの変位に追従して弾性変形し、スリーブの内面に常に圧接するようにしたダストシールを設けることにより、異物の進入防止効果の高い可撓可能な管継手を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明は、小径管と、その開口端部外周面に所要の隙間を形成して外嵌された大径管とよりなり、かつ前記小径管と前記大径管との間の隙間にシール部材が密封されてなる可撓可能な管継手において、
基端部と、該基端部から先端に向かって漸次テーパ状に拡径する漏斗状に形成された拡径部とを備え、径方向に弾性変形可能であるダストシールであって、
前記拡径部は、円周方向の一部分に形成された、先端側が拡開するV字状の切欠部を有し、該切欠部を除いた前記拡径部の先端の円弧長が前記大径管の内周長より大寸に形成されており、前記基端部を前記小径管における前記大径管内に位置する開口端の内周面に固着するとともに、前記拡径部を大径管の内周面に圧接し縮径して設けられていることを特徴としている。
【0014】
上記切欠部が、小径管と大径管の円周における上部域に大きく形成されているのが好ましい。
【0015】
上記切欠部が、ダストシールにおける拡径部の先端に、弾性リングを設けてなるのが好ましい。
【0016】
本発明によると、小径管および大径管がいずれの方向に変位し、それらの外周面と内周面との間の下方部に大きな隙間が形成されても、ダストシールにおける基端部から先端に向かって漸次テーパ状に拡径する漏斗状に形成された拡径部が、円周方向の一部分に形成された、先端側が拡開するV字状の切欠部を有し、切欠部を除いた拡径部の先端の円弧長が前記大径管の内周長より大寸に形成されているため、大径管の変位に追従し弾性変形して縮径し、拡径部の先端の円弧長と大径管の内周長との差分が重合して、大径管の内面全周に亘って圧接し、隙間は完全に閉塞され、異物の進入が防止される。また、ダストシールは、その円周方向の一部分に切欠部を有しているので、それが縮径されても外周面にしわ等の生じる恐れがない。更に、切欠部は、先端側が拡開するV字状に形成されているため、ダストシールが縮径方向に容易に変形することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の可撓可能な管継手を示すもので、1は、外方の端部にフランジ1aを有する左右1対のスピゴット管(小径管)で、互いの対向端面を所定寸法離間させて対向している。
【0018】
両スピゴット管1のほぼ中間部外周面には、スリーブ(大径管)2が所要寸法離間して外嵌されている。スリーブ2における両開口端部と各スピゴット管1の外周面との間には、ゴム性のパッキン3が挿入されている。
【0019】
4は押輪で、スリーブ2の両端部の複数の取付片2aに、押さえボルト5を係合させて締結することにより、パッキン3を押圧し、スピゴット管1とスリーブ2間の隙間を密封している。
【0020】
両スピゴット管1は、管軸方向に所定寸法移動可能であり、またスリーブ2に対して撓むことができる。
【0021】
各スピゴット管1の対向端部内周面には、突出端部が漸次テーパ状に拡径する漏斗状のダストシール6の基端部が固着されている。
【0022】
ダストシール6は、弾性を有するゴム又は合成樹脂により形成され、その拡径部6aの円周方向の一部には、図2及び図3に示すように、管軸方向を向くV字状の切欠部7が形成されている。また、ダストシール6は、切欠部7を除いた拡径部6aの先端6bの円弧長がスリーブ2の内周長より大寸に形成されている。
【0023】
切欠部7の基部には、円周方向を向く逃げ溝8が形成されている。この逃げ溝8及び上記切欠部7は、拡径部6aが縮径方向に撓んだ際に、拡径部6aにしわ等が生じるのを防止するためのものである。
【0024】
ダストシール6の拡径部6aの先端は、スリーブ2の内面に弾性的に圧接しており、この状態での切欠部7は図3のようにV字状に開いている。なお、ダストシール6をスピゴット管1に取付ける際は、切欠部7を最上方に位置させるのがよく、このようにすると、下部に堆積し易い異物が切欠部7より進入するのを防止しうる。
【0025】
図4に示すように、スピゴット管1が上下方向に変位し、スリーブ2との間に大きな隙間が形成されると、ダストシール6の拡径部6aがその変位に追従し弾性変形して縮径し、拡径部6aの先端6bの円弧長とスリーブ2の内周長との差分が重合して、スリーブ2の内面全周に亘って圧接して、隙間は完全に閉塞され、異物の進入が防止される。
【0026】
図5及び図6は、ダストシール6の変形例を示すもので、拡径部6aの円周方向の一部を切除するとともに、その部分を重ね合せ、この状態で縮径するようにしたものである。
【0027】
このようにすると、上記切欠部7を設けたものに比して、ダストシール6に形成される隙間が少なくなり、異物の進入はより少なくなる。
【0028】
図7はダストシール6のさらなる変形例を示すもので、上記図1〜図3に示すダストシール6の拡径部6aの先端に、ばね鋼やピアノ線等よりなるC字形の弾性リング9を埋設したものである。
【0029】
このようにすると、スリーブ2への圧接力が増大するので、細かな異物の進入防止効果が高まる。
【0030】
図8は本発明の他の実施例を示す。
【0031】
一方の流体管10の端部に形成された大径の受口部10a内に、他方の流体管11の端部の挿口部11aを所要の隙間を設けて嵌合し、受口部10aの内面と挿口部11aとの間にパッキン12を挿入して、離脱防止用の係止爪13を備える押輪14により互いに連結されている。
【0032】
各流体管10、11はそれらの継手部において撓むことができる。従って、上述の実施例と同様、ダストシール6を挿口部11aの端部に設けることにより、両流体管10、11の上下方向の変位により生じた隙間は、ダストシール6の拡径部6aによって完全に閉塞され、異物の進入するのが防止される。
【0033】
本発明は、上記実施例に限定されるものではない。
【0034】
例えば、実施例のダストシール6は、いずれも拡径部6aの円周方向の一部のみを切欠いているが、スピゴット管1の下方部を除いた部分を、大きく切欠いたり、管径に応じて複数に切込みを入れたり、また重合させるようにしてもよい。
【0035】
ダストシール6の各径部6aを半円又は円弧形として異物等の堆積し易いスピゴット管1の下方部に取付けることもある。
【0036】
本発明は上記管継手の外、1個のスピゴット管とフランジ付スリーブとからなる可撓可能な管継手等にも適用しうる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0038】
(a)小径管(スピゴット管)および大径管(スリーブ)の変位により、隙間が形成されても、ダストシールにおける基端部から先端に向かって漸次テーパ状に拡径する漏斗状に形成された拡径部が、円周方向の一部分に形成された、先端側が拡開するV字状の切欠部を有し、切欠部を除いた拡径部の先端の円弧長が大径管の内周長より大寸に形成されているため、大径管の変位に追従し弾性変形して縮径し、大径管の内面全周に亘って圧接して、隙間は完全に閉塞され、異物が進入するのを防止することができる。また、ダストシールは、円周方向の一部に切欠部を有しているので、それが縮径してもしわ等が生じることがなく、またそのしわによりシール性が損われることもないとともに、切欠部に形成される隙間を小さくしうるので、異物の進入防止効果が高まる。更に、切欠部は、先端側が拡開するV字状に形成されているため、ダストシールが縮径方向に容易に変形することができる。
【0042】
(b)請求項2の発明によると、一般に重量物である異物は管の底面付近を流れるため、この構造でこの異物の侵入を十分に防止できるとともに、ダストシールのコスト低減を図れる。
【0043】
(c)請求項3の発明によると、ダストシールの大径管への圧接力が増大するので、細かな異物の進入防止が図れる。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す中央縦断側面図である。
【図2】 図1のII−II線に沿う縦断面図である。
【図3】 ダストシールの拡径した状態の斜視図である。
【図4】 ズピゴット管及びスリーブが変位した状態を示す中央縦断側面図である。
【図5】 ダストシールの変形例を示し、拡径時の斜視図である。
【図6】 同じく縮径時の斜視図である。
【図7】 ダストシールのさらなる変形例を示す縦断面図である。
【図8】 本発明の他の実施例を示す中央縦断側面図である。
【図9】 従来例を示す概略構成図である。
【図10】 同じく上下方向に変位した状態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 スピゴット管(小径管)
1a フランジ
2 スリーブ(大径管)
2a 取付片
3 パッキン
4 押輪
5 押さえボルト
6 ダストシール
6a 拡径部
6b 先端
7 切欠部
8 逃げ溝
9 弾性リング
10、11 流体管
10a 受口部
11a 挿口部
13 係止爪
14 押輪

Claims (3)

  1. 小径管と、その開口端部外周面に所要の隙間を形成して外嵌された大径管とよりなり、かつ前記小径管と前記大径管との間の隙間にシール部材が密封されてなる可撓可能な管継手において、
    基端部と、該基端部から先端に向かって漸次テーパ状に拡径する漏斗状に形成された拡径部とを備え、径方向に弾性変形可能であるダストシールであって、
    前記拡径部は、円周方向の一部分に形成された、先端側が拡開するV字状の切欠部を有し、該切欠部を除いた前記拡径部の先端の円弧長が前記大径管の内周長より大寸に形成されており、前記基端部を前記小径管における前記大径管内に位置する開口端の内周面に固着するとともに、前記拡径部を大径管の内周面に圧接し縮径して設けられていることを特徴とする可撓可能な管継手。
  2. 前記切欠部が、前記小径管と前記大径管の円周における上部域に大きく形成されている請求項1に記載の可撓可能な管継手。
  3. 前記ダストシールにおける拡径部の先端に、弾性リングを設けてなる請求項1または2に記載の可撓可能な管継手。
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