JP3874822B2 - リザーバ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に充填された液体を必要に応じて外部に供給するリザーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内部に充填された液体を必要に応じて外部に供給するリザーバとして、実開平5−89252号公報に開示されたものがあり、これは、図7に示すように、概略円筒状の注入部50を有するとともに該注入部50から内部に液体が充填されるリザーバ本体51と、概略有底円筒状をなすとともに注入部50に係合して該注入部50を閉塞するキャップ52と、該キャップ52による注入部50の閉塞時にこれらキャップ52と注入部50との間に外周部53が押圧挾持されるとともに、該外周部53に、締め代を保持するための環状の締め代保持用リブ54および径方向の移動規制のための環状の移動規制用リブ55が設けられてなる弾性変形可能なシール部材56とを有するものである。
そして、締め代保持用リブ54および移動規制用リブ55は、共に、径方向に沿って切断した断面形状が該方向における幅の二等分線に対して線対称形状の山型をなしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のリザーバにおいては、以下の問題があった。
締め代保持用リブ53は、径方向に沿って切断した断面形状が該方向における幅の二等分線に対して線対称の山型をなしており半径方向における内外両方向の剛性が等しいため、キャップ52および注入部50の係合時にこれらの押圧方向に沿ってそのままつぶれることによって締め代を保持し、これらの間のシール性を確保することになる。よって、締め代のわりには、係合状態にあるキャップ52あるいは注入部50へ及ぼす押圧力が大きく、これらの変形を促進して逆にシール性を低下させてしまう。
また、移動規制用リブ55も径方向に沿って切断した断面形状が該方向における幅の二等分線に対して線対称形状の山型をなしており、半径方向における内外両方向の剛性が等しいため、図7に示すように、注入部50の内周面側に当接すると該注入部50から受ける力での変形が大きくなく、よって、シール部材56は中間部57がキャップ52側に持ち上げられ該中間部57に撓みが生じてしまうという問題があった。このため、中間部57に呼吸用のスリットが形成されている場合、該スリットが常時開口する等、呼吸性能を阻害させてしまうことになる。
【0004】
したがって、本発明の目的は、締め代保持用リブの押圧力によるキャップあるいは注入部の変形の発生を抑制でき、または、移動規制用リブによるシール部材の中間部の撓みの発生を防止することができるリザーバを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のリザーバは、概略円筒状の注入部を有するとともに該注入部から内部に液体が充填されるリザーバ本体と、概略有底円筒状をなすとともに前記注入部に係合して該注入部を閉塞するキャップと、該キャップによる前記注入部の閉塞時にこれらキャップと注入部との間に外周部が押圧挾持され、かつ、該外周部に前記注入部の内周面側に当接して径方向の移動を規制する環状の移動規制用リブが設けられるとともに、該移動規制用リブの径方向外側に環状の締め代保持用リブが設けられ、前記外周部の内周側に中間部が設けられてなる弾性変形可能なシール部材と、を有するリザーバにおいて、前記注入部の内周面には、所定角度で面取りされたテーパ部が設けられ、前記移動規制用リブは、半径方向内側方向の剛性が小さくされるとともに、その先端側が前記テーパ部に当接され、前記締め代保持用リブは半径方向内側方向の剛性が小さくされ、前記シール部材の外周部の、前記移動規制用リブおよび前記締め代保持用リブに対し反対側の前記キャップへの当接面は略平面状に形成され、この略平面状部分の前記締め代保持用リブより半径方向内側位置に環状の凹部が形成され、該環状の凹部より半径方向内側に前記移動規制用リブが形成され、前記移動規制用リブは、内径側が突出方向の全高さにおいて略同一径に形成された略ストレート形状に、外径側が根元側で大径とされ突出先端側に向けて徐々に小径となる略テーパ形状となり、この略テーパ形状となった外径側が前記注入部の内周に形成されたテーパ部に当接し、前記締め代保持用リブは、内径側が突出方向の全高さにおいて略同一径に形成された略ストレート形状に、外径側が根元側で大径とされ突出先端側に向けて徐々に小径となる略テーパ形状に形成されたことを特徴としている。
【0006】
これにより、締め代保持用リブは、半径方向内側方向の剛性が小さくされてなるため、キャップおよび注入部の係合時にこれらの押圧方向に対してそのままつぶれることなく、半径方向内側方向側に撓みつつ締め代を保持し、これらの間のシール性を確保する。
また、シール部材の外周部の締め代保持用リブに対し反対側に、該締め代保持用リブより半径方向内側位置に環状の凹部が形成されてなるため、締め代保持用リブは半径方向内側方向側にさらに容易に撓むことになる。
また、移動規制用リブは、半径方向内側方向の剛性が小さくされてなるため、注入部の内周面側に当接すると該注入部から受ける力で半径方向内側方向に容易に変形し、よって、シール部材は中間部がキャップ側に持ち上げられることがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のリザーバの一の実施の形態について図1〜図6を参照して以下に説明する。なお、本実施の形態のリザーバは車両のマスタシリンダに取着されて用いられるものである。
【0012】
図中符号1は合成樹脂製のリザーバ本体を示しており、該リザーバ本体1の内部にはブレーキ液が充填されるようになっている。該リザーバ本体1の上部には外部からブレーキ液を注入するための概略円筒状の注入部2が設けられている。そして、該注入部2の上端部には径方向外方へ向けて突出する環状のフランジ部3が形成されており、該フランジ部3の外周面には隣り合うもの同士がほぼ120゜の間隔をなす位置にバイオネット溝4が形成されている。各バイオネット溝4は、そのキャップ(後述する)締付方向先端側の溝端部(図2および図3参照)5に向かうにしたがって下方に位置するよう傾斜しており、溝端部5近傍の所定位置には係合凹部6が形成されている。また、注入部2の開口部7側の内周面には所定角度で面取りされたテーパ部8が設けられている。
【0013】
また、図中符号9は、上記リザーバ本体1の注入部2に係合して該注入部2の開口部7を閉塞するキャップを示しており、該キャップ9は、円筒部10と天蓋部11とを有する概略有底円筒状をなしている。前記円筒部10の、天蓋部11から所定量離間した内周部には、隣り合うもの同士がほぼ120゜の間隔をなす位置に、径方向内方に突出するバイオネット突起(突起)12が形成されている(図4参照)。そして、この各バイオネット突起12を各バイオネット溝4が形成されていない部分に対応させて該キャップ9を注入部2に嵌合し、該キャップ9を、各バイオネット突起12が各バイオネット溝4に入り込む方向に回動させることにより、各バイオネット突起12に形成された係合凸部13がバイオネット溝4の係合凹部6に係合して、キャップ9が注入部2に係合するようになっている。また、キャップ9の天蓋部11には、円筒部10の延在方向に沿って所定量延出する複数の円弧状の突壁14が同心円上に配置されて設けられている。
【0014】
そして、係合時にキャップ9と注入部2との間に隙間が形成されないようにするため、これらの間にはシール部材15が介装されている。このシール部材15は、キャップ9による注入部2の閉塞時に該キャップ9の天蓋部11の内面側と注入部2の上端面とで押圧挾持される環状の外周部16と、この外周部16の内周側に上端部において連結される円筒状の連結部17と、この連結部17の下端部に連結する中間部18と有する弾性変形可能な材料からなる一体成形品である。そして、キャップ9のバイオネット突起12と天蓋部11との間に外周部16を挿入させることにより、キャップ9のリザーバ本体1への非係合状態においては、該キャップ9から脱落することがないよう保持されるようになっている。また、キャップ9とリザーバ本体1とが係合状態にあるとき、連結部17の内周面側には、キャップ9の上記突壁14が若干のクリアランスをもった状態で対向するようになっており、この突壁14により、キャップ9のリザーバ本体1への係合時におけるシール部材15のキャップ9に対する径方向内方への移動が規制されるようになっている。加えて、中間部18の中央には、表裏に貫通する切れ目状のスリット21が形成されている。さらに、外周部16の連結部17側の所定位置には、キャップ9を注入部2に係合させる際に、注入部2のテーパ部8に当接して該シール部材15の径方向外方への移動を規制する環状の移動規制用リブ19が、外周部16と同心をなして注入部2側に設けられている。
【0015】
本実施の形態において、移動規制用リブ19は、図5に示すように、径方向に沿って切断した断面形状が該方向における幅の二等分線に対して非線対称形状をなしている。すなわち、内径側が、突出方向の全高さにおいて略同一径に形成された略ストレート形状に、外径側が、根元側が大径で突出先端側に向け徐々に小径となる略テーパ形状とされている。これにより、移動規制用リブ19は、半径方向内側方向の剛性が小さく、言い換えれば半径方向内側方向に変形容易となっている。よって、シール部材15が、キャップ9および注入部2の係合時にこれらで挾持押圧されると、移動規制用リブ19は、注入部2の内周面側のテーパ部8に当接し該テーパ部8から受ける力で半径方向内側方向に先端側が倒れるよう容易に大きく変形する。
【0016】
シール部材15の外周部16の移動規制用リブ19より所定量径方向外側には、環状の締め代保持用リブ20が、移動規制用リブ19と同心をなして注入部2側に形成されている。ここで、この締め代保持用リブ20が外周部16の注入部2側に設けられることにより、シール部材15は、その外周部16の天蓋部11側が略平面状に形成されている。なお、締め代保持用リブ20は、移動規制用リブ19に近接して設けられている。また、締め代保持用リブ20は、移動規制用リブ19よりもその突起の高さおよび断面の容積が小さくなっている。
【0017】
本実施の形態において、締め代保持用リブ20も、径方向に沿って切断した断面形状が該方向における幅の二等分線に対して非線対称形状をなしている。すなわち、内径側が、突出方向の全高さにおいて略同一径に形成された略ストレート形状に、外径側が、根元側が大径で突出先端側に向け徐々に小径となる略テーパ形状とされ、さらに突出先端側が円弧状に面取りされた形状をなしている。これにより、締め代保持用リブ20は、半径方向内側方向の剛性が小さく、言い換えれば半径方向内側方向に変形容易となっている。よって、締め代保持用リブ20は、キャップ9および注入部2の係合時にこれらで挾持押圧されると、半径方向内側方向側に注入部2の平面状の上端面との接点が移動し、いわゆるリップシールの様な状態で保持される。
【0018】
また、本実施の形態において、シール部材15の外周部16の締め代保持用リブ20に対し反対側には、該締め代保持用リブ20の半径方向内側位置に近接して、断面円弧状の環状の凹部22が、外周部16と同心をなして形成されている。なお、この凹部22より半径方向内側位置に上記移動規制用リブ19が形成されている。
【0019】
以上のような構成のリザーバによれば、締め代保持用リブ20は、半径方向内側方向の剛性が小さくされているため、キャップ9および注入部2の係合時にこれらで挾持押圧されてもこれら押圧方向に対してそのままつぶれることはなく、半径方向内側方向側に注入部2の上端面との接点が移動し先端側が倒れるよう撓みつつ締め代を保持し、これらの間のシール性を確保することになる。
このように、締め代保持用リブ20が、半径方向内側方向側に撓むことにより、係合状態にあるキャップ9あるいは注入部2へ該締め代保持用リブ20が及ぼす押圧力を小さくでき、例えば図6に示す注入部2のフランジ部3に生じる変形θ等を抑制することができるため、高いシール性を確保することができる。
加えて、仮に変形θ等が生じても、締め代保持用リブ20は、フランジ部3との接点が半径方向外側方向側に移動して変形θに良好に追従することになり、高いシール性能を維持できる。
【0020】
また、シール部材15の外周部の締め代保持用リブ20に対し反対側に、該締め代保持用リブ20より若干半径方向内側位置に環状の凹部22が形成されているため、締め代保持用リブ20は半径方向内側方向側にさらに容易に撓むことになる。したがって、係合状態にあるキャップ9あるいは注入部2へ及ぼす押圧力をさらに小さくでき、これらの変形を抑制してさらに高いシール性を確保することができる。なお、凹部22は、シール部材15の外周部16の締め代保持用リブ20に対し反対側に、締め代保持用リブ20の変形に効果を発揮する位置に設ければよいが、上記した該締め代保持用リブ20より若干半径方向内側位置に設けるのが効果的である。
【0021】
さらに、移動規制用リブ19は、半径方向内側方向の剛性が小さくされてなるため、注入部2の内周面側のテーパ部8に当接すると該テーパ部8から受ける力で半径方向内側方向に先端側が倒れるよう大きく変形し、よって、シール部材15は中間部18がキャップ9側に持ち上げられることなく平面状を維持することができる。したがって、このようにしてシール部材15の中間部18の撓みの発生を防止することができ該中間部18をストレスがない状態に維持できるため、中間部18に形成されたスリット21の開弁性能すなわち呼吸性能の安定性を確保することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のリザーバによれば、締め代保持用リブは、半径方向内側方向の剛性が小さくされてなるため、キャップおよび注入部の係合時にこれらの押圧方向に対してそのままつぶれることなく、半径方向内側方向側に撓みつつ締め代を保持し、これらの間のシール性を確保する。
このように、半径方向内側方向側に撓むことにより、係合状態にあるキャップあるいは注入部へ及ぼす押圧力を小さくでき、これらの変形を抑制して高いシール性を確保することができる。
また、シール部材の外周部の締め代保持用リブに対し反対側に、該締め代保持用リブより半径方向内側位置に環状の凹部が形成されてなるため、締め代保持用リブは半径方向内側方向側にさらに容易に撓むことになる。
したがって、係合状態にあるキャップあるいは注入部へ及ぼす押圧力をさらに小さくでき、これらの変形を抑制してさらに高いシール性を確保することができる。
また、移動規制用リブは、半径方向内側方向の剛性が小さくされてなるため、注入部の内周面側に当接すると該注入部から受ける力で半径方向内側方向に容易に変形し、よって、シール部材は中間部がキャップ側に持ち上げられることがない。従って、シール部材の中間部の撓みの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリザーバの一の実施の形態のキャップ、シール部材およびリザーバ本体の一部を示す側断面図である。
【図2】本発明のリザーバの一の実施の形態のリザーバ本体を示す平面図である。
【図3】本発明のリザーバの一の実施の形態のリザーバの注入部を図2におけるX方向から見た側面図である。
【図4】本発明のリザーバの一の実施の形態のキャップを示す側断面図である。
【図5】本発明のリザーバの一の実施の形態のシール部材を示す側断面図である。
【図6】本発明のリザーバの一の実施の形態のキャップ、シール部材およびリザーバ本体の一部を示す側断面図であって、リザーバ本体のフランジ部に生じた変形を示すものである。
【図7】従来のリザーバの、キャップ、シール部材およびリザーバ本体の一部の係合状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 リザーバ本体
2 注入部
9 キャップ
15 シール部材
19 移動規制用リブ
20 締め代保持用リブ
22 凹部

Claims (1)

  1. 概略円筒状の注入部を有するとともに該注入部から内部に液体が充填されるリザーバ本体と、
    概略有底円筒状をなすとともに前記注入部に係合して該注入部を閉塞するキャップと、
    該キャップによる前記注入部の閉塞時にこれらキャップと注入部との間に外周部が押圧挾持され、かつ、該外周部に前記注入部の内周面側に当接して径方向の移動を規制する環状の移動規制用リブが設けられるとともに、該移動規制用リブの径方向外側に環状の締め代保持用リブが設けられ、前記外周部の内周側に中間部が設けられてなる弾性変形可能なシール部材と、
    を有するリザーバにおいて、
    前記注入部の内周面には、所定角度で面取りされたテーパ部が設けられ、
    前記移動規制用リブは、半径方向内側方向の剛性が小さくされるとともに、その先端側が前記テーパ部に当接され、
    前記締め代保持用リブは半径方向内側方向の剛性が小さくされ、
    前記シール部材の外周部の、前記移動規制用リブおよび前記締め代保持用リブに対し反対側の前記キャップへの当接面は略平面状に形成され、この略平面状部分の前記締め代保持用リブより半径方向内側位置に環状の凹部が形成され、該環状の凹部より半径方向内側に前記移動規制用リブが形成され、
    前記移動規制用リブは、内径側が突出方向の全高さにおいて略同一径に形成された略ストレート形状に、外径側が根元側で大径とされ突出先端側に向けて徐々に小径となる略テーパ形状となり、この略テーパ形状となった外径側が前記注入部の内周に形成されたテーパ部に当接し、
    前記締め代保持用リブは、内径側が突出方向の全高さにおいて略同一径に形成された略ストレート形状に、外径側が根元側で大径とされ突出先端側に向けて徐々に小径となる略テーパ形状に形成されたことを特徴とするリザーバ。
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