JP3874530B2 - 転炉操業方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、転炉操業方法に関し、特に、転炉吹錬終点制御において、吹錬終了時点における溶鋼温度の測定と溶鋼のサンプリングを省略することにより、サブランスプローブの削減と転炉時間の短縮を達成するための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、転炉においては、吹錬開始時点での操業情報を用いて転炉の終点溶鋼温度と終点溶鋼炭素濃度の制御を行うスタティック制御と、それらの情報にサブランスを用いて測定した中間測定結果情報を加えて転炉の終点溶鋼温度と終点溶鋼炭素濃度の制御を行うダイナミック制御が一般に用いられている。そのため、サブランスを有する転炉においては、スタティック制御とダイナミック制御の両方の制御が行われているのが一般的である。
【0003】
まず、従来の転炉のスタティック制御においては、転炉吹錬開始時点での操業情報と、転炉終点での溶鋼温度測定値及び終点溶鋼炭素濃度、との関係を表す制御モデル式を構築し、それらを連立して、終点溶鋼温度及び終点炭素濃度を目標値に一致させるべく酸素使用量及び冷却材投入量を決定して吹錬制御を行っていた。
また、従来のサブランスを用いた転炉のダイナミック制御においては、次のような方法を用いていた。すなわち、中間測定時溶鋼温度(サブランスにより吹錬中に測定)、中間測定時炭素濃度推定値(サブランスにより測定した溶鋼の凝固温度より推定)、中間測定後酸素使用量、中間測定後冷却材投入量、その他の操業情報と、転炉終点での溶鋼温度測定値及び終点溶鋼成分値(主に炭素濃度)、との関係を表す制御モデル式を構築し、これらを連立して、終点溶鋼温度及び終点溶鋼成分を目標値に一致させるべく中間測定後酸素使用量及び中間測定後酸素使用量及び中間測定後冷却材投入量を決定して吹錬制御を行っていた。
【0004】
これらスタティック制御、ダイナミック制御とも吹錬モデルを用いた転炉吹錬制御方法である。転炉の吹錬制御モデルにおいては、転炉炉体の溶損状況などの数値で表わしきれない要因が多数存在することや、様々な要因の影響を完全にモデル化することが不可能であることにより、制御精度向上の目的で、直近の吹錬実績データを利用した吹錬制御が行われている。
例えば、一例として特許公報第2703254号に示されている方法は、吹錬制御式を
y=f(x1,x2,・・・xn)+△a0
の形として、△a0を学習項(学習パラメータ)とし、吹錬終了毎にその学習項(学習パラメータ)を更新する方法の内の一方法である。この方法では、学習項△a0を吹錬実績データによりチャージ毎に更新する学習手順として指数平滑法を用いると共に、誤差が数チャージ連続して同方向に続く場合は、前記学習項△a0更新の割合を大きくして段階的に学習する工程を用い、誤差の絶対値がある定められた範囲にある場合は、前記学習項更新量の絶対値を零でない一定値とする方法である。
また、特開平6−264129号に示されている方法は、吹錬モデル式毎にニューラルネットワークを構成し、定期的に吹錬実績データを用いてネットワークの重み(複数の学習パラメータ)を更新する手法である。
これらの手法は、各吹錬制御式毎に一つ又は複数の学習パラメータを設け、吹錬毎に、あるいは定期的にその学習パラメータを更新する方法に含まれる。
それ以外にも、吹錬制御を実施しようとする吹錬チャージの条件に最も近い条件を持つ過去の吹錬チャージを1チャージ又は複数チャージ選び、それら過去のデータをベースにし、条件(要因)が変化している分だけ、制御アクションを補正する方法があるが、この方法は、ベースに選んだ吹錬実績のみを用いて、“今から吹錬しようとしているチャージに用いる学習パラメータ”を決定することと等価であり、実質的には学習パラメータを用いた前述の方法とほぼ同じと解釈できる。
これら前述した方法は、全て直近の吹錬実績データを利用した吹錬制御であるが、各吹錬モデルが転炉吹錬終点での温度及び成分を目標としているため、吹錬実績データ利用のためには転炉終点での溶鋼温度とサンプリング及びその分析が不可欠であった。
このため、次のいずれかの方法により、終点測定又は終点測定に相当する温度測定やサンプリングが行われていた。すなわち、
(1)吹錬終了後に炉前側に転炉を傾動し(倒炉)、炉前より人手又は機械により溶鋼の測温及びサンプリングを行う、
(2)吹錬終了後一定時間転炉内に溶鋼を鎮静させた後、サブランスにより溶鋼の測温サンプリングを行う、
(3)吹錬終点と同時、又は終点直前(吹錬終了の約1〜2秒前)、又は終点直後にサブランスにて溶鋼の測温サンプリングを行う、
(4)吹錬終了後、測温サンプリングを省略し、ただちに転炉を傾転させて出鋼作業を行い、出鋼中に出鋼口側から、転炉炉内又は取鍋内の溶鋼をサンプリングする、
などの方法である。
【0005】
前述の転炉終点における測定サンプリングには、終点制御学習パラメータの更新等の吹錬実績データの吹錬制御への利用以外に、再吹錬要否判断の意味合いもある。例えば吹錬終点での溶鋼温度が基準値より低い場合は再吹錬を行う、あるいは、吹錬終点での溶鋼凝固温度より推定した溶鋼炭素濃度が基準値より高い場合には再吹錬を行う等の方法である。上記測定方法の内(1)〜(3)の方法を用いた場合は、終点測定結果を用いた再吹錬要否判断も可能である。しかしながら、転炉終点制御方法のレベル向上、二次精錬設備におけるアルミ−酸素昇熱機能の付与等により、転炉吹錬の必要性が非常に少ない転炉もある。このような転炉については、明確に意識されていないかもしれないが、再吹錬可否のためでなく、今後の吹錬制御に反映させるためのデータを得ること(実質的には転炉終点制御モデルの学習パラメータの更新)を第1の目的として転炉終点での測温サンプリングが行われていると考えてよい。
【0006】
このように、従来方法によると、サブランスによる中間測定以外に終点測定(又は出鋼中測定)が必要となり、測定に要する消耗型プローブ費用が必要となり、これがコスト高の要因となっていた。また、上記(4)の測温サンプリング以外の方法を用いる場合は、測定による時間ロスを生じていた。時間ロスは、製鋼能力低下を招くのみならず、熱ロスを生ぜしめ、熱ロスと時間ロスは、長い高温溶鋼滞留時間による耐火物損耗と歩留減、副原料コストアップ等原価アップを招いていた。
終点測定を省略する方法としては、例えば、特開昭62−56512号には、サブランスによる中間測定を2回行い、2回目の測定を終点測定にかえる方法が提案されているが、吹錬中に測温サンプリングを2回行う必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の転炉操業方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、前述の従来法によると、転炉終点測定や出鋼中のプローブによる測定が必要であり、測定のための消耗型プローブに多大の費用が必要となっていた。また、サブランス終点測定を行う場合や炉前測定を行う場合は、それに加え、測定による時間ロスを生ずることになっていた。
【0008】
本発明による転炉操業方法は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、転炉吹錬終点制御において、吹錬終了時点における溶鋼温度の測定と溶鋼のサンプリングを省略することにより、サブランスプローブの削減と転炉時間の短縮を達成するようにした転炉操業方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による転炉終点操業方法は、転炉制御モデルを用いて転炉吹錬制御を行う転炉操業方法において、
(1)溶鋼温度を制御する第1モデル式として、
(a)転炉操業条件を含む複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼温度測定値”との関係を表す式を構築して採用するか、又は
(b)転炉操業条件を表す複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼温度測定値を用いて計算する逆算推定転炉終点溶鋼温度”との関係を表す式を構築して採用するとともに、
(2)一つ又は複数の溶鋼成分を制御する第2モデル式として、
(a)転炉操業条件を含む複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼成分値”との関係を表す式を構築して採用するか、又は
(b)転炉操業条件を表す複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼成分値を用いて計算する逆算推定転炉終点溶鋼成分値”との関係を表す式を構築して採用し、
前記第1、第2モデル式を連立して吹錬制御を行い、吹錬終了直前から出鋼終了までにおける全ての溶鋼温度の測定と溶鋼のサンプリングを省略し、転炉から出鋼された溶鋼を転炉の次工程である二次精錬設備に搬送し、二次精錬設備において、処理を行う前に溶鋼温度の測定と溶鋼のサンプリングを行い、該溶鋼温度値及び該溶鋼サンプルから得られた溶鋼成分分析値を次回以降の転炉吹錬制御に利用することを特徴とする転炉操業方法である。この方法を用いることにより、転炉終点又は出鋼中の測温サンプリングを省略して、なおかつ、転炉の制御精度の低下を防止することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による転炉操業方法の好適な実施の形態について説明する。
まず、スタティック制御においては、転炉の次工程である二次精錬処理前温度及び二次精錬処理前成分(C又はP(りん濃度))を目標値とするように、中間測定後に投入する冷却材投入量と酸素使用量を計算する。
また、ダイナミック制御においては、サブランスを用いて、転炉吹錬の数分前、本実施形態では約2分前にサブランスにて、中間測定として、溶鋼の温度と炭素濃度(C)を測定し、中間測定値を用いて、転炉の次工程である二次精錬処理前温度及び二次精錬処理前成分(C又はP(りん濃度))を目標値とするように、中間測定後に投入する冷却材投入量と酸素使用量を計算し、転炉吹錬を終了する。
【0011】
但し、これら、スタティック制御及びダイナミック制御においては、二次精錬処理前温度を目標とする替わりに、処理前温度から転炉の終点温度を逆算推定し、その推定終点温度を目標とする方法を用いても良い。また、二次精錬処理前成分についても同様に、処理前成分を目標とする替わりに、処理前成分から転炉の終点成分を逆算推定し、その推定終点成分を目標とする方法を用いても良い。そして、吹錬終了直前から出鋼終了までの全ての溶鋼の測温サンプリングを省略し、その出鋼された溶鋼を二次精錬設備に運び、二次精錬設備の処理前の測温サンプリングを行い、二次精錬前溶鋼温度値と溶鋼サンプル分析値を次回以降の転炉吹錬制御に利用する。
【0012】
実施例
以下、本発明による転炉操業方法の一実施例について説明する。
本発明法は、スタティック制御及びサブランスを用いたダイナミック制御のどちらも適用することができ、本実施例では両方の制御に本発明方法を用いているが、スタティック制御においては、制御する目的とする変数を溶鋼温度及び溶鋼炭素濃度とし、
ダイナミック制御においては、転炉吹錬終了予定の約2分前にサブランスを下降させて、溶鋼温度(転炉中間測定溶鋼温度)を測定しサンプリングを行う。このサンプルの凝固温度を測定し、この凝固温度から炭素濃度を推定し(転炉中間測定溶鋼炭素濃度)、これらの値を用いて、ダイナミック制御を行うこととした。
【0013】
前述のダイナミック制御モデルにおいては、制御する目的とする変数を、溶鋼温度、溶鋼炭素濃度及び溶鋼りん濃度とした。このダイナミック制御の基本的考え方は、本出願人が先に提案した特開平4−187709号に開示されている周知の“溶鋼温度と溶鋼炭素濃度を同時に制御する方法と、溶鋼温度と溶鋼りん濃度を同時に制御する方法を使い分ける”方式、すなわち、転炉での精錬工程で精錬終了の目標値として溶鋼の温度と少なくとも炭素(C)含有量、燐(P)含有量を制御する終点制御方法において、
精錬中に測定した溶鋼の温度と炭素(C)含有量または炭素については推定値を用いて次式の終点温度予測式(1)と測定後必要な酸素量予測式(2)とから少なくとも測定後の酸素量と冷却材量を求め投入して転炉を終点制御する方法と、
前記測定した溶鋼の温度と炭素(C)含有量または炭素については推定値を用いて次式の終点温度予測式(1)と終点燐(P)予測式(3)とから少なくとも測定後の酸素量と冷却材量を求め投入して転炉を終点制御する方法とを使い分ける転炉終点制御方法。
TE=F1(△O2,△SORE,TS,CS)+学習項 ・・・(1)
△O2=F2(△SORE,CE,TS,CS)+学習項 ・・・(2)
PE=F3(△O2,△SORE,FS,CS)+学習項 ・・・(3)
但し、
TE:溶鋼の終点温度
TS:溶鋼の中間温度
△O2:中間測定後の酸素量
△SORE:中間測定後の冷却材量
CE:溶鋼の終点炭素含有量
CS:中間測定時の溶鋼の炭素含有量
をいう。
を採用した。但し、特開平4−187709号において開示されている方法は、転炉終点において実際に測定する溶鋼温度(転炉終点溶鋼温度)と溶鋼成分分析値(転炉終点溶鋼炭素濃度及び転炉終点溶鋼りん濃度)を制御するものであるが、本発明では、これらのかわりに、二次精錬での測定値又は二次精錬での測定値から逆算推定した転炉終点値を制御するものである。
【0014】
本発明においては、制御目標とする溶鋼温度、溶鋼炭素濃度、及び溶鋼りん濃度については、それぞれ、RH処理前溶鋼温度、逆算推定転炉終点溶鋼炭素濃度、及びRH処理前溶鋼りん濃度を採用した。なお、RHは、RH脱ガス設備のことであり、二次精錬設備の名称である。
【0015】
具体的な制御モデル式は次の通りとした。
(1)スタティックRH処理前溶鋼温度モデル式
TRH=e1F(CE)+e2HMR+e3CMR+e4HMSi
+a6TIME1+a7TIME2+a8TIME3+a9G(TIME4)+a10TIME5+a11LDL+e0+△e0
(2)スタティック逆算推定転炉溶鋼炭素濃度モデル式
O2/PiG=f1F(CE)+f2SORE/PiG+f3HMR+f4CMR+f 0+△f0
(3)ダイナミックRH処理前溶鋼温度モデル式
TRH=a1TS+a2△O2/WCH+a3△SORE/WCH+a4HMR+a5/CS
+a6TIME1+a7TIME2+a8TIME3+a9G(TIME4)+a10TIME5+a11LDL+a0+△a0
(4)ダイナミック逆算推定転炉終点溶鋼炭素濃度モデル式
△O2/WCH=F(CE)−F(CS)+b1△SORE/WCH+b2 換算 CaO/WCH
+b3SORE/WCH+b4CaCO3/WCH+b5CaF2/WCH+b0+△b0
(5)ダイナミックRH処理前溶鋼りん濃度モデル式
PRH=d1HMSi+d2HMP+d3O2/PiG+d4△O2/WCH+d5SORE/WCH
+d6△SORE/WCH+d7HMR+d8CaF2+d9換算CaO/PiG+d10CS
+d11CMR+d12TS+d0+△d0
ここで、
TRH:RH処理前溶鋼温度(℃)
TS :転炉中間測定溶鋼温度(℃)
CE :逆算推定転炉終点炭素濃度(10−2%)
CS :転炉中間測定溶鋼炭素濃度(10−2%)
PRH:RH処理前溶鋼りん濃度(10−3%)
△O2:転炉中間測定後酸素使用量(Nm3)
△SORE:転炉中間測定後冷却材投入量(kg)
O2 :転炉中間測定前酸素使用量(Nm3)
SORE:転炉中間測定前冷却材投入量(kg)
WCH:転炉主原料計(トン)
PiG:銑鉄計(トン)
HMR:転炉溶銑率(%)
CMR:転炉冷銑率(%)
HMSi:溶銑珪素濃度(10−2%)
HMP:溶銑りん濃度(10−3%)
換算CaO:副原料中CaO量(kg)
CaF2 :蛍石使用量(kg)
CaCO3 :石灰石使用量(kg)
TIME1 :転炉出鋼準備時間。転炉終点から転炉出鋼開始までの時間(分)
TIME2 :転炉出鋼所要時間。転炉出鋼開始から出鋼終了までの時間(分)
TIME3 :転炉出鋼終了からRH処理前までの時間(分)
TIME4 :使用する取鍋について、前回取鍋注入終了から出鋼開始までの時間(分)
TIME5 :取鍋加熱時間(分)
LDL:取鍋回数(回)
G:R(実数)→R(実数)への非線型関数
F:R(実数)→R(実数)への非線型関数
a0,a1,a2・・・:あらかじめ決められた定数
b0,b1,b2・・・:あらかじめ決められた定数
d0,d1,d2・・・:あらかじめ決められた定数
e0,e1,e2・・・:あらかじめ決められた定数
f0,f1,f2・・・:あらかじめ決められた定数
△a0,△b0,△d0,△e0,△f0:各モデル式の学習項(学習パラメータ)
なお、関数F(・)は、基本的な酸素と炭素濃度の関係を示すものであるが、特開平4−187709号の第3頁にて開示されている関数
F(C)=−0.928C+12.93 if C≦5
F(C)=0.73×1n(C)−0.13C+23.7/C+3.1 if 5<C<25
F(C)=−0.11C+5.7 if 25≦C
を用いた。ここで、1nは自然対数である。
また、関数G(・)としては、
G(T)=g1(EXP(−g2T)−1)
を用いた。ここで、EXPは指数関数である。
また、逆算推定転炉終点炭素濃度CEは
CE=h1CRH+h2KATAN/WCH+h0
により定義した。ここで、
CRH :RH処理前溶鋼炭素濃度分析値(10-2%)
KATAN:転炉出鋼中加炭量(kg)
h0,h1,h2:あらかじめ決められた定数
である。
【0016】
モデルの構築にあたっては、理論計算と185トン転炉の操業データを用いた重回帰分析及び残差分析等を組み合わせて、モデルの係数を決定した。スタティック及びダイナミック制御のRH処理前溶鋼温度モデル式については、転炉終点からRH処理前までの温度低下と各種要因の関係式を導出し、それを従来の周知の終点温度モデル式に加えることにより、モデル式を作成した。スタティック制御及びダイナミック制御の逆算推定転炉終点炭素濃度式については、データを用いて重回帰により作成した。RH処理前溶鋼りん濃度モデル式については、終点りん分析値を介さず、直接RH処理前溶鋼りん濃度分析値を従属変数として重回帰を行い係数を決定した。
スタティック制御において、前述の(1)及び(2)のモデル式を用いて、制御に用いるO2(転炉酸素使用量(Nm3)及びSORE(転炉冷却材投入量(kg))を計算するにあたっては、TRH及びCEに目標値を代入し、TIME1〜TIME5にはこれらの予測値を代入し、その他の変数には計画値を代入し、モデル式(1),(2)を連立してO2及びSOREを求めることとした。
また、ダイナミック制御において、前述の(3),(4),(5)のモデル式を用いて、制御に用いる△O2(転炉中間測定後酸素使用量(Nm3))及び△SORE(転炉中間測定後冷却材投入量(kg))を計算するにあたっては、TRH,CE及びPRHには目標値を代入し、CSには中間測定時の凝固温度から推定した炭素濃度を代入し、TIME1〜TIME5にはこれらの予測値を代入し、その他の変数には実績値を代入して計算することにした。
【0017】
また、RH処理前測温が完了した時点で、スタティック及びダイナミックのRH処理前溶鋼温度モデル式の学習を行い(実績値を用いて学習項△e0及び△a0の調整を行うこと)、RH処理前溶鋼サンプルの分析値が判明した時点で、逆算推定転炉終点溶鋼炭素濃度モデル式、及びRH処理前溶鋼りん濃度モデル式の学習を行う(実績値を用いて学習項△f0,△b0及び△d0の調整を行う)こととした。これらの学習を行うにあたっては、全て実績値を用いて学習を行い、CSについてはサンプルの分析値を用いた。学習方法は、周知の特許公報第2703254号に開示されている方法を用いた。すなわち、指数平滑法をベースとして誤差が同方向に連続する場合は、学習係数を大きくして素早く状況変化に追従させる方法を用いた。すなわち、次の数1及び数2に示される通りである。
【0018】
【数1】
【0019】
【数2】
【0020】
前述の実施例において、スタティック及びダイナミックの温度制御モデルについては、RH処理前温度を直接制御する方式としたが、処理前温度より終点温度を逆算推定し、この逆算推定した終点温度を制御する方式としても制御精度は全く変わらない。ここで、RH処理前温度を直接入力することとしたのは、入力する目標値を逆算推定値とするよりも、実際に測定が行われるRH処理前溶鋼温度とする方がオペレータにとって理解しやすいだろう、という判断によるものである。
【0021】
また、この実施例において、スタティック及びダイナミックの炭素濃度制御モデルについては、逆算推定の終点溶鋼炭素濃度を制御する方式とした。これも、RH処理前炭素濃度を直接に制御する方式としても制御精度は全く変わらない。ここで、逆算推定溶鋼炭素濃度を精度することとしたのは、転炉出鋼中加炭による炭素濃度調整のため、二次精錬処理前炭素濃度よりも転炉終点炭素濃度の方がスラグ中FeO濃度(品質と大きな関係がある)と強い関係があることがわかっており、逆算推定値の終点炭素濃度をオペレータが認識することが重要であると考えたためでもあり、また、炭素濃度制御モデルは終点の炭素濃度についてかなり非線型性の強いモデル式となっているために逆算推定炭素濃度を目標とする方がモデル式が理解し易いと考えたためである。
【0022】
また、この実施例において、りん濃度制御モデルについては、逆算推定でなく、RH処理前りん濃度を直接制御する方式とした。これもRH処理前りん濃度より逆算した転炉終点りん濃度を制御する方式としても制御精度は全く変わらないが、ここで、RH処理前りん濃度を直接制御することとしたのは、転炉出鋼中におけるりんに関するアクションがないため、より成品に近いRH処理前りん濃度を直接制御する方がオペレータに理解されやすいと考えたためである。すなわち、前述の転炉操業方法をまとめると、次の通りである。すなわち、転炉制御モデルを用いて転炉吹錬制御を行う転炉操業方法において、
(1)溶鋼温度を制御するモデル式として、
(a)転炉操業条件を含む複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼温度測定値”との関係を表す式を構築して、これを採用するか、又は
(b)転炉操業条件を表す複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼温度測定値を用いて計算する逆算推定転炉終点溶鋼温度”との関係を表す式を構築して、これを採用するとともに、
(2)一つ又は複数の溶鋼成分を制御するモデル式として、
(a)転炉操業条件を含む複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼成分値”との関係を表す式を構築して、これを採用するか、又は
(b)転炉操業条件を表す複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼成分値を用いて計算する逆算推定転炉終点溶鋼成分値”との関係を表す式を構築して、これを採用し、
これらのモデル式を連立して吹錬制御を行い、吹錬終了直前(吹錬終了の5秒前)から出鋼終了までにおける全ての溶鋼温度の測定と溶鋼のサンプリングを省略し、転炉から出鋼された溶鋼を転炉の次工程である二次精錬設備に搬送し、二次精錬設備においてその処理を行う前に溶鋼温度の測定と溶鋼のサンプリングを行い、該溶鋼温度値及び該溶鋼サンプルから得られた溶鋼成分分析値を次回以降の転炉吹錬制御に利用する方法である。
【0023】
【発明の効果】
本発明による転炉操業方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、吹錬終了時点における溶鋼温度の測定と溶鋼のサンプリングを省略することにより、サブランスプローブの削減と転炉時間の短縮を達成することができる。
Claims (1)
- 転炉制御モデルを用いて転炉吹錬制御を行う転炉操業方法において、
(1)溶鋼温度を制御するモデル式として、
(a)転炉操業条件を含む複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼温度測定値”との関係を表す式を構築して採用するか、又は
(b)転炉操業条件を表す複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼温度測定値を用いて計算する逆算推定転炉終点溶鋼温度”との関係を表す式を構築して採用するとともに、
(2)一つ又は複数の溶鋼成分を制御するモデル式として、
(a)転炉操業条件を含む複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼成分値”との関係を表す式を構築して採用するか、又は
(b)転炉操業条件を表す複数の変数と“二次精錬設備における二次精錬処理前溶鋼成分値を用いて計算する逆算推定転炉終点溶鋼成分値”との関係を表す式を構築して採用し、
前記各モデル式を連立して吹錬制御を行い、吹錬終了直前から出鋼終了までにおける全ての溶鋼温度の測定と溶鋼のサンプリングを省略し、転炉から出鋼された溶鋼を転炉の次工程である二次精錬設備に搬送し、二次精錬設備において、処理を行う前に溶鋼温度の測定と溶鋼のサンプリングを行い、該溶鋼温度値及び該溶鋼サンプルから得られた溶鋼成分分析値を次回以降の転炉吹錬制御に利用することを特徴とする転炉操業方法。
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