JPH09316514A - クロム含有鋼の転炉工程における溶鋼中炭素およびクロム含有率の推定方法および装置ならびに出鋼方法 - Google Patents

クロム含有鋼の転炉工程における溶鋼中炭素およびクロム含有率の推定方法および装置ならびに出鋼方法

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JPH09316514A
JPH09316514A JP13034796A JP13034796A JPH09316514A JP H09316514 A JPH09316514 A JP H09316514A JP 13034796 A JP13034796 A JP 13034796A JP 13034796 A JP13034796 A JP 13034796A JP H09316514 A JPH09316514 A JP H09316514A
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molten steel
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steel
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Nobuaki Wakatsuki
延明 若槻
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素吹精終了後の溶鋼中の炭素およびクロム
含有率を精度よく推定し、成分分析値の判明を待たずに
クロムを含む溶鋼を迅速に出鋼する。 【解決手段】 溶銑成分分析手段23、溶銑重量検出手
段24、合金重量検出手段25および溶銑温度検出手段
26は、含クロム溶銑の成分分析値、溶銑重量、合金重
量および溶銑温度をそれぞれ測定して演算手段29に送
る。酸素吹精終了後に、液相線温度検出手段27および
溶鋼温度検出手段28は溶鋼の液相線温度および浴温度
を測定して演算手段29に送る。演算手段29は、前記
各手段の出力に応答し、メモリ30に記憶されている推
定式に基づいて酸素吹精後における溶鋼中の炭素および
クロム含有率の推定値を演算して求め、表示手段31に
送る。表示手段31は、演算手段29の出力に応答して
前記推定値を画像表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロム含有鋼の転
炉工程における溶鋼中炭素およびクロム含有率の推定値
を演算によって求める方法および装置に関し、さらに前
記推定値に基づいて出鋼を行う出鋼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、クロム含有鋼、たとえばステ
ンレス鋼は電気炉工程において原料を溶解して含クロム
溶銑を溶製し、転炉工程において脱炭処理および成分調
整などの粗精錬を行い、真空脱ガス工程において脱炭処
理、脱ガス処理および最終成分調整などの仕上精錬を行
うことによって溶製されている。
【0003】図18は、従来技術のステンレス鋼の転炉
工程における操業フローを示すタイムチャートである。
時刻t1では、電気炉において溶製された含クロム溶銑
が転炉に注入される。時刻t2では含クロム溶銑の注入
が終了し、合金装入および酸素吹精が開始される。前記
合金装入は、成分調整のために行われる処理であり、前
記酸素吹精は、溶銑中の炭素と酸素とを反応させて脱炭
処理を行うために行われる処理である。時刻t3では、
酸素吹精が終了し、測温サンプリングが開始される。測
温サンプリングは、酸素吹精後の溶鋼の温度を測定する
とともに、分析サンプルを採取するための処理である。
【0004】時刻t4では、測温サンプリングが終了
し、採取サンプルの成分分析値の定量分析が開始され
る。時刻t5では、成分分析値の定量分析が終了し、目
標値と対比される。時刻t4から時刻t5までは、いわ
ゆる分析待ち時間であり、その値はたとえば4.5分で
ある。前記成分分析値および溶鋼温度の測定値が目標値
から外れているときには、時刻t5から再吹精や合金装
入などの調整が開始される。時刻t6では、前記調整が
終了し、出鋼が開始される。なお前記成分分析値および
溶鋼成分の測定値が目標値を満たしているときには、時
刻t5から出鋼が開始される。出鋼は、溶鋼を取鍋内に
注入することによって行われる。時刻t7では、出鋼が
終了し、溶鋼が次工程の真空脱ガス装置に搬送される。
時刻t1から時刻t7までの全操業時間は、たとえば4
5分である。
【0005】前記出鋼に際して、酸素吹精中に生成した
転炉スラグは、溶鋼とともに全量取鍋に排出されるか、
または溶鋼のみを取鍋に出鋼して溶鋼とスラグとを分離
した後、スラグ鍋に排出される。前者は、次工程におい
て転炉スラグ中の酸化クロムを還元してクロムを回収す
る鋼種(以後、回収鋼種と略称する)に対して行われる
処理であり、後者は次工程においてスラグからクロムを
回収しない鋼種(以後、非回収鋼種と略称する)に対し
て行われる処理である。なお、回収鋼種の出鋼可否判定
に用いられる成分分析値は、炭素含有率であり、非回収
鋼種のそれは炭素およびクロム含有率である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
ステンレス鋼の転炉工程における操業は、測温サンプリ
ングによって溶鋼の成分分析値を確認した後、溶鋼温度
および成分分析値が目標範囲内であれば出鋼を行い、そ
うでなければ調整を行った後、出鋼を行っている。この
ため、成分分析値が判明するまでの分析待ち時間が不可
避的に発生する。前述のように、分析待ち時間の転炉操
業時間に対する割合は、たとえば1割を占めているの
で、分析待ち時間の存在によって転炉操業の能率および
生産性は大幅な低下を余儀なくされている。また、分析
待ち時間中、溶鋼温度が低下するので、それを補償する
ために酸素吹精後の溶鋼温度(以後、終点温度と略称す
ることがある)を高くする必要がある。さらにまた、前
記終点温度の上昇は、酸素吹精時間の増加を招くので、
クロムの酸化量を増大させ、結果としてクロム酸化物を
還元するための還元剤の使用量を増大させる。
【0007】本発明者は、前記分析待ち時間を短縮する
ために転炉操業に関して詳細な研究を重ねた結果、酸
素吹精後の溶鋼中の炭素含有率は、溶鋼の液相線温度と
酸素吹精前の溶銑成分とに基づいて精度よく推定するこ
とができること、酸素吹精後の溶鋼中のクロム含有率
は、酸素吹精による溶湯中の炭素、珪素、クロム、マン
ガンの酸化反応熱と溶湯の温度上昇に伴う顕熱増加量と
の熱収支に基づいて精度よく推定することができるこ
と、前記炭素およびクロム含有率の推定値を前記成分
分析値の代わりに用いることによって、成分分析値の判
明を待たずに溶鋼を迅速に出鋼することができること、
などを見い出した。
【0008】本発明は、前記知見に基づいて成されたも
のであり、本発明の第1の目的は、酸素吹精後の溶鋼中
の炭素およびクロム含有率を精度よく推定することので
きる方法および装置を提供することであり、本発明の第
2の目的は前記推定値に基づいて成分分析値の判明を待
たずに溶鋼を迅速に出鋼することができる出鋼方法を提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、クロムを含む
溶銑を転炉に注入した後、合金を装入して酸素吹精を行
い、クロムを含む溶鋼を溶製する転炉工程における溶鋼
中炭素含有率の推定方法において、転炉に注入される溶
銑の重量、前記溶銑の成分分析値および転炉に装入され
る合金の重量を測定によって求め、前記求めた値に基づ
いて酸素吹精前の溶銑の成分推定値を演算によって求
め、酸素吹精終了後にクロムを含む溶鋼の液相線温度を
測定によって求め、前記求めた酸素吹精前の溶銑の成分
推定値および溶鋼の液相線温度に基づいて、酸素吹精後
の溶鋼中炭素含有率の推定値を演算によって求めること
を特徴とするクロム含有鋼の転炉工程における溶鋼中炭
素含有率の推定方法である。本発明に従えば、酸素吹精
後の溶鋼中の炭素含有率は、測定によって求めた酸素吹
精後の溶鋼の液相線温度と、演算によって求めた酸素吹
精前の溶銑の成分推定値とに基づいて推定される。従来
から知られているように、溶鋼の液相線温度は、溶鋼成
分の成分分析値と関係があり、その関係は定量的な推定
式として表されている。このため、酸素吹精後の溶鋼中
の炭素含有率は、溶鋼の液相線温度と、溶鋼の炭素を除
く成分分析値とを明らかにすることによって推定式から
求めることができる。しかしながら本発明では、溶鋼の
液相線温度は測定して求められているけれども、酸素吹
精後の成分分析値の定量分析は行われていない。このた
め、酸素吹精後の溶鋼の炭素を除く成分分析値は未知数
であり、酸素吹精後の溶鋼中の炭素含有率を推定するに
は、前記未知数を求めなければならない。通常、酸素吹
精後の成分は酸素吹精前の成分と相関関係がある。した
がって、前記溶鋼の炭素を除く成分分析値は、それと対
応する酸素吹精前の溶銑の成分推定値と相関関係があ
り、その関係を回帰分析によって定量的に表すことがで
きる。また酸素吹精前の溶銑の成分推定値は、前記測定
して求めた溶銑重量、溶銑の成分分析値および合金重量
に基づいて演算によって求めることができる。これによ
って、前記未知数は溶銑の成分推定値に基づいて演算に
よって求めることができるので、酸素吹精後の溶鋼の炭
素含有率は前記推定式に基づいて精度よく推定される。
【0010】また本発明は、クロムを含む溶銑を転炉に
注入した後、合金を装入して酸素吹精を行い、クロムを
含む溶鋼を溶製する転炉工程における溶鋼中クロム含有
率の推定方法において、転炉に注入される溶銑の重量、
前記溶銑の温度、前記溶銑の成分分析値および転炉に装
入される合金の重量を測定によって求め、前記求めた値
に基づいて酸素吹精前の溶銑の成分推定値を演算によっ
て求め、酸素吹精終了後にクロムを含む溶鋼の温度およ
び液相線温度を測定によって求め、前記溶銑重量と合金
重量との和に対する前記合金重量の割合を演算して合金
装入率を求め、前記求めた溶鋼の液相線温度、溶鋼温
度、溶銑温度、合金装入率および酸素吹精前の溶銑の成
分推定値に基づいて、酸素吹精後の溶鋼中クロム含有率
の推定値を演算によって求めることを特徴とするクロム
含有鋼の転炉工程における溶鋼中クロム含有率の推定方
法である。本発明に従えば、酸素吹精後の溶鋼中のクロ
ム含有率は、測定値である溶鋼の液相線温度、溶鋼温度
および溶銑温度と、演算値である合金装入率および酸素
吹精前の溶銑の成分推定値に基づいて推定される。転炉
における溶湯の温度推移は、合金装入によって前記溶銑
温度よりもいったん低下した後、酸素吹精による酸化反
応熱によって前記溶鋼温度まで上昇する。前記酸素吹精
による酸化反応熱は、溶湯中の炭素、珪素、クロム、マ
ンガンの酸化反応によってもたらされるので、その値は
前記各元素の酸化ロス量に比例する。また、前記酸化反
応熱は溶湯の増加熱量とバランスするので、その値は前
記溶鋼温度、溶銑温度および合金装入による抜熱量から
求めることができる。さらに、前記各元素の酸化ロス量
は、酸素吹精前後の溶湯中各元素の成分推定値から求め
ることができ、酸素吹精前の溶銑の成分推定値は前述の
ように演算によって求められる。このため、酸素吹精後
の溶鋼中のクロム含有率は酸素吹精後の溶鋼中の炭素、
珪素およびマンガン含有率を明らかにすることによって
演算によって求めることができる。前記酸素吹精後の溶
鋼中の炭素、珪素およびマンガン含有率は未知数である
けれども、酸素吹精後の溶鋼中の炭素含有率は前記推定
方法によって求めることができ、酸素吹精後の溶鋼中の
珪素およびマンガン含有率は、それに対応する酸素吹精
前の溶銑の成分推定値との相関関係に基づいて求めるこ
とができる。これによって、前記未知数は全て演算によ
って求めることができるので、酸素吹精後の溶鋼中のク
ロム含有率は熱収支に基づいて精度よく推定される。
【0011】また本発明は、クロムを含む溶銑を転炉に
注入した後、合金を装入して酸素吹精を行い、クロムを
含む溶鋼を溶製する転炉工程における溶鋼中炭素および
クロム含有率の推定装置において、転炉に注入される含
クロム溶銑の成分分析値を定量分析する手段と、前記溶
銑の温度を検出する手段と、前記溶銑の重量を検出する
溶銑重量検出手段と、転炉に装入される合金の重量を検
出する合金重量検出手段と、酸素吹精後の溶鋼の液相線
温度を検出する手段と、酸素吹精後の溶鋼の温度を検出
する手段と、前記溶銑成分分析手段、溶銑温度検出手
段、溶銑重量検出手段、合金重量検出手段、液相線温度
検出手段および溶鋼温度検出手段の出力に基づいて、酸
素吹精後の溶鋼中の炭素およびクロム含有率の推定値を
演算してそれぞれ求める演算手段と、演算手段の出力を
表示する表示手段とを含むことを特徴とするクロム含有
鋼の転炉工程における溶鋼中炭素およびクロム含有率の
推定装置である。本発明に従えば、溶銑成分分析手段は
転炉に注入される含クロム溶銑の成分分析値を定量分析
し、溶銑温度検出手段は前記溶銑の温度を検出する。溶
銑重量検出手段は前記溶銑の重量を検出し、合金重量検
出手段は転炉に装入される合金の重量を検出する。液相
線温度検出手段は酸素吹精後の溶鋼の液相線温度を検出
し、溶鋼温度検出手段は酸素吹精後の溶鋼の温度を検出
する。演算手段は、前記各手段の出力に基づいて、酸素
吹精後の溶鋼中の炭素およびクロム含有率の推定値を演
算してそれぞれ求め、表示手段は演算手段の出力を表示
する。これによって、溶鋼中の炭素およびクロム含有率
の推定装置は、成分推定を行うための手段を全て備えて
推定を行うことができるので、酸素吹精後の溶鋼中の炭
素およびクロム含有率を精度よく、かつ迅速確実に推定
することができる。
【0012】また本発明は、クロムを含有する溶銑を転
炉に注入した後、合金を装入して酸素吹精を行い、溶製
された含クロム溶鋼を取鍋に出鋼するクロム含有鋼の転
炉工程における出鋼方法において、前記酸素吹精中に生
成したスラグから次工程においてクロムを回収する場合
には、酸素吹精終了後の溶鋼中の炭素含有率の推定値を
演算して求め、前記求めた推定値が予め定める範囲内に
あるとき、溶鋼をスラグとともに取鍋に出鋼することを
特徴とするクロム含有鋼の転炉工程における出鋼方法で
ある。本発明に従えば、次工程においてスラグからクロ
ムが回収されるので、転炉工程においてはクロム含有率
の推定値による出鋼可否判定を行う必要がない。また溶
鋼中の炭素含有率の推定値によって出鋼可否判定が行わ
れるので、炭素含有率の定量分析を行う必要がない。こ
のように、炭素含有率の推定値によって出鋼可否判定が
行われ、成分分析値の定量分析が行われないので、分析
待ち時間を省略することができ、その結果、転炉操業所
要時間を大幅に短縮することができる。また、クロム含
有率による出鋼可否判定が行われないので、成分はずれ
の頻度が減少し、その結果、成分調整回数が減少して成
分調整時間が大幅に短縮される。このため転炉工程にお
ける含クロム溶鋼の出鋼を迅速に行うことができる。
【0013】また本発明は、クロムを含有する溶銑を転
炉に注入した後、合金を装入して酸素吹精を行い、溶製
された含クロム溶鋼を取鍋に出鋼するクロム含有鋼の転
炉工程における出鋼方法において、前記酸素吹精中に生
成したスラグから次工程においてクロムを回収しない場
合には、酸素吹精終了後の溶鋼中の炭素およびクロム含
有率の推定値を演算してそれぞれ求め、前記求めた炭素
含有率の推定値が第1の予め定める範囲内にあり、かつ
前記求めたクロム含有率の推定値が第2の予め定める範
囲内にあるとき、溶鋼のみを取鍋に出鋼することを特徴
とするクロム含有鋼の転炉工程における出鋼方法であ
る。本発明に従えば、次工程においてスラグからクロム
の回収が行われないので、転炉工程においては溶鋼中の
炭素およびクロム含有率の推定値が演算によって求めら
れ、それらがともに各目標値を満たすときに出鋼が行わ
れる。このように炭素およびクロム含有率の推定値に基
づいて出鋼可否判定が行われ、酸素吹精終了後の成分分
析値の定量分析が行われないので、分析待ち時間を省略
することができる。このため、転炉工程における操業所
要時間を大幅に短縮することができ、その結果、含クロ
ム溶鋼の出鋼を迅速に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態であ
るクロム含有鋼の転炉工程における溶鋼中炭素およびク
ロム含有率の推定装置(以後、推定装置と略称する)の
電気的構成を示すブロック図であり、図2は本発明を好
適に適用することのできる転炉設備の構成を簡略化して
示す断面図であり、図3は図2に示す転炉設備における
溶鋼の液相線温度の測定時の状況を示す断面図である。
【0015】転炉設備1は溶融金属、たとえば含クロム
溶銑を精錬して含クロム鋼であるステンレス鋼を溶製す
るための設備であり、転炉本体3と、酸素ランス4と、
ダクト5と、測温サンプリング装置6とを含んで構成さ
れる。転炉本体3は、溶湯を貯留する容器であり、その
頂部には円形に開口した炉口部8が形成されており、そ
の底部にはアルゴンガスなどの不活性ガスを吹込む羽口
9が形成されている。また転炉本体3の側壁部には、溶
鋼を出鋼するための出鋼口10が形成されており、転炉
本体3を傾動させるための傾動装置(図示せず)が設け
られている。酸素ランス4は、溶湯に酸素を吹付け、い
わゆる酸素吹精を行うための鋼管製水冷管であり、炉口
部8の上方に昇降変位自在に設けられている。ダクト5
は、転炉本体3からの廃ガスを回収するための管路であ
り、炉口部8の上方に設けられている。またダクト5の
炉口部8を臨む位置には、原料投入口11が形成されて
いる。転炉本体3内に注入された含クロム溶銑は、羽口
9からアルゴンガスを吹込まれて撹拌され、原料投入口
11から合金を装入されて成分調整され、酸素ランス4
から酸素ガスを吹付けられて脱炭精錬される。転炉本体
3からの廃ガスは、ダクト5を介して回収され、廃ガス
処理設備(図示せず)に導かれて処理される。
【0016】測温サンプリング装置6は、転炉本体3内
の溶湯の温度測定とサンプル採取とを行う装置であり、
台車13と、サブランス14と、サブランス14の先端
に設けられる測温サンプリングプローブ15とサブラン
ス昇降装置16とを含んで構成される。溶湯の測温サン
プリングは、図3に示すように酸素ランス4を引上げて
転炉本体3を矢符17方向に傾動し、台車13を転炉本
体3に近接させ、サブランス14をサブランス昇降装置
16によって斜め下方に昇降変位させ、測温サンプリン
グプローブ15を溶湯中に浸漬した後、引上げることに
よって行われる。溶鋼の出鋼は、転炉本体3を矢符18
方向に傾動し、出鋼口10から溶鋼を取鍋19内に注入
することによって行われる。
【0017】図1を参照して、前記推定装置21は溶銑
成分分析手段23と、溶銑重量検出手段24と、合金重
量検出手段25と、溶銑温度検出手段26と、液相線温
度検出手段27と溶鋼温度検出手段28と演算手段29
と表示手段31とを含んで構成される。
【0018】溶銑成分分析手段23は、たとえば発光分
光分析装置であり、電気炉で溶製した含クロム溶銑の成
分分析値を定量分析する。溶銑重量検出手段24は、た
とえば秤量機であり、転炉本体3に注入される溶銑の重
量を測定する。合金重量検出手段25は、たとえばコン
ベア秤量機であり、前記原料投入口11から転炉本体3
に装入される合金の重量を測定する。溶銑温度検出手段
26は、たとえば消耗形熱電対であり、前記含クロム溶
銑の温度を測定する。
【0019】液相線温度検出手段27は、たとえばCD
プローブ(Carbon DeterminationProbe)であり、前記
測温サンプリングプローブ15に設けられて酸素吹精後
の溶鋼の液相線温度を測定する。溶鋼温度検出手段28
は、たとえば消耗形熱電対であり、前記測温サンプリン
グプローブ15に設けられて酸素吹精後の溶鋼の終点温
度を測定する。なお前記測温サンプリングプローブ15
の構成については後述する。演算手段29は、たとえば
プロセスコンピュータであり、そのメモリ30には後述
するように酸素吹精終了後の溶鋼中炭素およびクロム含
有率の推定値を演算によって求め、それに基づいて出鋼
可否判定を行うための推定式がそれぞれ記憶されてい
る。演算手段29は、これらの推定式に基づいて前記溶
鋼中炭素およびクロム含有率を演算する。表示手段31
は、たとえば陰極線管であり、前記演算結果を画面上に
表示する。
【0020】含クロム溶銑を転炉本体3に注入する前
に、溶銑成分分析手段23は含クロム溶銑の成分分析値
を定量分析し、溶銑重量検出手段24は溶銑重量を測定
し、溶銑温度検出手段26は溶銑温度を測定して各測定
結果を演算手段29にそれぞれ送る。含クロム溶銑を転
炉本体3に注入した後に、合金重量検出手段25は転炉
本体3に装入される合金重量を測定して測定結果を演算
手段29に送る。
【0021】酸素吹精終了後に、液相線温度検出手段2
7および溶鋼温度検出手段28は溶鋼の液相線温度およ
び終点温度を測定して測定結果を演算手段29にそれぞ
れ送る。演算手段29は、前記各手段の出力に応答し、
メモリ30に記憶されている推定式に基づいて酸素吹精
後における溶鋼中の炭素およびクロム含有率の推定値を
演算して求め、表示手段31に送る。表示手段31は、
演算手段29の出力に応答し、前記推定値を画像表示す
る。
【0022】図4は図3に示す測温サンプリングプロー
ブの構成を簡略化して示す部分断面図であり、図5は図
4に示す液相線温度検出手段の出力を示すグラフであ
る。測温サンプリングプローブ15は、溶鋼の液相線温
度および終点温度ならびに溶鋼サンプルの採取を行うた
めのプローブであり、液相線温度検出手段であるCDプ
ローブ27と、溶鋼温度検出手段である消耗形熱電対2
8とを含んで構成される。
【0023】前記CDプローブ27は、プローブ本体3
3と温度センサ34とを含んで構成される。プローブ本
体33は円形断面を有する紙製の棒状中実体であり、そ
の一端部側の外周面には半径方向に延びる溶鋼流入孔3
5が形成されており、その一端部側の内部には軸線方向
に延びる溶鋼収容凹所36が形成されている。前記溶鋼
流入孔35は、前記溶鋼収容凹所36に連通している。
温度センサ34は、たとえば耐久性の優れた耐久保護管
式浸漬熱電対であり、その軸線はプローブ本体33の軸
線と同一である。なお、温度センサ34の感温部34a
は前記溶鋼収容凹所36内のプローブ本体33の一端部
寄りに配設されている。前記消耗形熱電対28は、プロ
ーブ本体33の一端部側の先端に突出して設けられてい
る。
【0024】溶鋼の液相線温度および終点温度は、次の
ようにして測定される。測温サンプリングプローブ15
を溶鋼中に浸漬し、所定時間、たとえば5秒間保持して
溶鋼中から引上げれば、消耗形熱電対28によって溶鋼
の終点温度が測定され、測定値がデジタル表示される。
一方CDプローブ27においては、溶鋼流入孔35から
溶鋼が流入し、溶鋼収容凹所36は溶鋼によって満たさ
れる。前述のように、溶鋼収容凹所36内には耐久性の
優れた温度センサ34が設けられているので、溶鋼収容
凹所内の溶鋼の温度を連続的に検出することができ、検
出温度の経時変化を図5に示すように表示することがで
きる。
【0025】図5を参照して、時刻t11ではCDプロ
ーブ27が溶鋼中に浸漬され、前記溶鋼収容凹所36内
に溶鋼が流入し、温度センサ34の検出温度が上昇す
る。時刻t12では、CDプローブ27は溶鋼から引上
げられる。このため、検出温度がピークに達し、その
後、温度低下が始まる。時刻t13では、溶鋼収容凹所
36内の溶鋼が凝固を開始し、それに伴い凝固潜熱が放
出される。このため、検出温度の温度低下の時間変化率
が非常に小さくなり、検出温度はほぼ一定温度TSとな
る。時刻t14では、前記溶鋼の凝固が終了し、それに
伴い検出温度の温度低下の時間変化率が再度大きくな
る。時刻t15では、検出温度が常温に達し、前記溶鋼
収容凹所36内の凝固片がサンプルとして採取される。
本発明では、前記検出温度がほぼ一定に保持される温度
Sを液相線温度TSと定める。
【0026】このように、前記推定装置21は成分推定
を行うための手段を全て備えて推定を行うことができる
ので、酸素吹精後の溶鋼中の炭素およびクロム含有率を
精度よく、かつ迅速確実に推定することができる。
【0027】前記酸素吹精後の溶鋼中炭素含有率の推定
式は、次のようにして導出される。従来から、溶鋼の液
相線温度TSと溶鋼の成分分析値との間には、明瞭な関
係の存在することが知られており、その関係は下記
(1)式のように表される。
【0028】 TS=a1−a2×〔C〕−a3×〔Si〕−a4×〔Mn〕− a5×〔Ni〕−a6×〔Cr〕−a7×〔Cu〕−a8×〔Mo〕 …(1) ここで、a1〜a8は定数であり、〔C〕、〔Si〕、
〔Mn〕、〔Ni〕、〔Cr〕、〔Cu〕、〔Mo〕
は、酸素吹精後の溶鋼中炭素、珪素、マンガン、ニッケ
ル、クロム、銅、モリブデンの含有率(重量%)をそれ
ぞれ表している。なお以後、酸素吹精後における溶鋼中
の各成分を終点成分と略称することがある。(1)式に
おいて、液相線温度Tsは前記CDプローブ27によっ
て測定して求めることができる。しかしながら本実施の
形態では、終点成分の定量分析が行われないので、
(1)式の各終点成分の含有率は未知数である。したが
って、(1)式から終点炭素含有率〔C〕を推定するに
は、炭素以外の終点成分含有率の推定を行わなければな
らない。
【0029】炭素以外の終点成分含有率の推定は、次の
ようにして行われる。終点珪素含有率〔Si〕は0%と
する。これは、珪素が酸素吹精初期に優先的に酸化さ
れ、酸化物としてスラグ中に移行し、酸素吹精終了後に
は鋼中にほとんど残存していないことによるものであ
る。前記〔Mn〕、〔Ni〕、〔Cr〕、〔Cu〕、
〔Mo〕は、酸素吹精前の溶銑の成分分析値または成分
推定値と強い相関があるので、下記(2)から(6)式
のようにそれぞれ表される。
【0030】 〔Mn〕=b1×〔Mn〕0−c1 …(2) 〔Ni〕=b2×〔Ni〕0−c2 …(3) 〔Cr〕=b3×〔Cr〕0−c3 …(4) 〔Cu〕=b4×〔Cu〕0−c4 …(5) 〔Mo〕=b5×〔Mo〕0−c5 …(6) ここで、b1〜b5は定数であり、その値は回帰分析によ
って定められる。また〔Mn〕0、〔Ni〕0、〔Cr〕
0、〔Cu〕0、〔Mo〕0 は、酸素吹精前の溶銑中マン
ガン、ニッケル、クロム、銅、モリブデン含有率(重量
%)の推定値をそれぞれ表している。前記〔Mn〕0
〔Ni〕0、〔Cr〕0、〔Cu〕0、〔Mo〕0 は、前
記溶銑成分分析手段23で定量分析した溶銑の成分分析
値と、溶銑重量検出手段24で測定した溶銑重量Gと、
合金重量検出手段25で測定した合金重量Aとに基づい
て演算によって求めることができる。このように、未知
数である前記〔Mn〕、〔Ni〕、〔Cr〕、〔C
u〕、〔Mo〕を演算値である〔Mn〕0、〔Ni〕0
〔Cr〕0、〔Cu〕0、〔Mo〕0の関数として表すこ
とができるので、前記(1)式に前記(2)〜(6)式
を代入して、終点炭素含有率〔C〕の推定式を下記
(7)式のように表すことができる。
【0031】 〔C〕=d1−d2×TS−d3×〔Mn〕0−d4×〔Ni〕0 −d5×〔Cr〕0−d6×〔Cu〕0−d7×〔Mo〕0 …(7) ここで、d1〜d7は定数であり、重回帰分析によって定
めることができる。鋼中にモリブデンおよび銅をほとん
ど含まないステンレス鋼における終点炭素含有率〔C〕
の推定式を下記(8)式に一例として示す。
【0032】 〔C〕=11.708−0.007839TS−0.032〔Mn〕0 −0.1154〔Ni〕0−0.0129〔Cr〕0 …(8) 前記酸素吹精後の溶鋼中クロム含有率の推定式は、次の
ようにして導出される。転炉工程における溶湯の温度推
移は、注入された溶銑の温度を出発温度として合金装入
によって低下し、酸素吹精による溶湯中の炭素、珪素、
クロム、マンガンの酸化熱によって上昇し、ピーク温度
である終点温度に到達した後、出鋼によって低下する。
このため、転炉工程における溶湯の増加熱量ΔQは、熱
収支に基づいて下記(9)式および(10)式のように
表される。
【0033】 ΔQ=QTE−QTEF+QSP …(9) ΔQ=QC+QSi+QCr+QMn …(10) ここで、QTEは終点温度TEにおける溶鋼の顕熱であ
り、QTEFは溶銑温度TEFにおける溶銑の顕熱であり、
SPは合金装入による抜熱量であり、QCは溶湯中炭素
の酸化熱であり、QSiは溶湯中珪素の酸化熱であり、Q
Crは溶湯中クロムの酸化熱であり、QMnは溶湯中マンガ
ンの酸化熱である。また、前記各元素の酸化熱は酸素吹
精中における各元素の酸化ロス量に比例するので、下記
(11)〜(14)式が求められる。
【0034】 QC =q1×(〔C〕0−〔C〕) …(11) QSi=q2×(〔Si〕0−〔Si〕) …(12) QCr=q3×(〔Cr〕0−〔Cr〕) …(13) QMn=q4×(〔Mn〕0−〔Mn〕) …(14) ここで、q1〜q4は定数であり、回帰分析によって定め
ることができる。また、〔C〕0、〔Si〕0は酸素吹精
前の溶銑中の炭素、珪素含有率の推定値であり、前記
〔Mn〕0、〔Cr〕0などと同様に演算によって求める
ことができる。さらに、合金装入率Fを下記(15)式
のように定義すると、前記QSPは合金装入率Fの関数と
して表される。
【0035】 F=A/(G+A)×100 …(15) ここで、Gは転炉本体3に注入される溶銑の重量であ
り、Aは溶銑中へ装入される合金の重量である。前記
(9)〜(15)式において、TE、TEF、A、Gは前
述のように測定値であるので、QTE、QTEF、Fは演
算によって求めることができる。また、〔C〕0、〔S
i〕0、〔Cr〕0、〔Mn〕0は、前述のように演算に
よって求めることができ、QSPはFの関数として演算に
よって求めることができる。さらに、〔Si〕は前述の
ように0%であり、〔C〕は前記(7)式によって求め
ることができ、〔Mn〕は前記(2)式によって求める
ことができる。これによって、前記(9)〜(15)式
における未知数は〔Cr〕のみになるので、酸素吹精後
の溶鋼中クロム含有率〔Cr〕の推定式を下記(16)
式のように表すことができる。
【0036】 〔Cr〕=(k1×TS)+(k2×TEF)+(k3×TE)+(k4×F) +(k5×〔C〕0)+(k6×〔Si〕0)+(k7×〔Mn〕0) +(k8×〔Ni〕0)+(k9×〔Cr〕0)+(k10×〔Cu〕0) +(k11×〔Mo〕0)+k12 …(16) ここで、k1〜k12は定数であり、重回帰分析によって
定めることができる。鋼中にモリブデンおよび銅をほと
んど含まないステンレス鋼における終点クロム含有率
〔Cr〕の推定式を下記(17)式に一例として示す。
【0037】 〔Cr〕=0.03572TS−0.00225TEF+0.00026TE+0.087F +0.019〔C〕0−0.67〔Si〕0−0.68〔Mn〕0+0.344〔Ni〕0 +0.153〔Cr〕0−52.5 …(17) なお、終点クロム含有率〔Cr〕は、前記(4)式によ
っても求めることができる。しかしながら、前記(4)
式の〔Cr〕の推定精度は多数の要因に基づいて求めら
れる前記(16)式の〔Cr〕に比べて低いので、出鋼
可否判定を行うための〔Cr〕の推定式としては用いら
れない。
【0038】図6は、溶鋼の終点炭素含有率の推定方法
を説明するためのフローチャートである。ステップm1
では、含クロム溶銑の成分分析値の定量分析が行われ
る。含クロム溶銑は、電気炉において溶製された後、サ
ンプルを採取され、前記溶銑成分分析手段23によって
成分分析値の定量分析が行われる。ステップm2では含
クロム溶銑の重量が測定される。重量測定は、前記溶銑
重量検出手段24によって行われる。ステップm3で
は、含クロム溶銑中に装入される合金の重量が測定され
る。合金重量の測定は、転炉設備1に設けられている合
金重量検出手段25によって合金の種類毎に行われる。
ステップm4では、酸素吹精前の含クロム溶銑の成分推
定値が演算によって求められる。この演算は前記含クロ
ム溶銑の成分分析値、溶銑重量および合金重量の測定値
に基づいて成分元素毎に行われる。ステップm5では、
酸素吹精後の溶鋼の液相線温度TSの測定が行われる。
この測定は、前記CDプローブ27を用いて前述のよう
な方法で行われる。ステップm6では、溶鋼の終点炭素
含有率の推定が行われる。この推定は、前記求めた溶鋼
の液相線温度TSおよび酸素吹精前の含クロム溶銑の成
分推定値を前記(7)式に代入して演算することによっ
て行われる。
【0039】図7はステンレス鋼SUS430の実績終
点炭素含有率と推定終点炭素含有率との関係を示すグラ
フであり、図8は、ステンレス鋼SUS304の実績終
点炭素含有率と推定終点炭素含有率との関係を示すグラ
フである。図7および図8の横軸は、ステンレス鋼SU
S430およびSUS304の終点炭素含有率の定量分
析値を示しており、縦軸は前記終点炭素含有率を図6に
示す推定方法によって求めた推定値を示している。図7
および図8中の□印は、前記実績値と推定値との対応関
係を表す記号であり、図7および図8中に示す直線L1
およびL2は、前記実績値と推定値とが一致しているこ
とを示す直線である。したがって、前記□印が前記直線
L1およびL2に接近するほど、前記推定値と実績値と
の差が小さくなる。
【0040】図7および図8から、□印は直線L1およ
びL2に近接して存在しているので、前記推定値の推定
精度が良好であることが判る。また、前記□印の直線L
1およびL2からの乖離の程度を示す標準偏差は、図7
のSUS430においては0.014%であり、図8の
SUS304においては0.018%である。なお、こ
の標準偏差の水準は、実操業において十分適用可能な水
準である。このように、本実施の形態によれば溶鋼中の
終点炭素含有率を演算によって精度よく推定することが
できる。このため、炭素含有率の定量分析作業を省略す
ることができ、分析作業の負荷を軽減することができ
る。
【0041】図9は、溶鋼の終点クロム含有率の推定方
法を説明するためのフローチャートである。ステップn
1では、含クロム溶銑の温度TEFが測定される。前記溶
銑温度TEFの測定は、電気炉において分析用サンプルの
採取と同時に溶銑温度検出手段26によって行われる。
ステップn2では、含クロム溶銑の成分分析値の定量分
析が行われ、ステップn3では含クロム溶銑の重量Gが
測定され、ステップn4では合金重量Aが測定され、ス
テップn5では酸素吹精前の含クロム溶銑の成分推定値
が演算によって求められる。前記ステップn2〜ステッ
プn5は、前記ステップm1〜ステップm4と全く同様
の方法によって行われる。
【0042】ステップn6では、酸素吹精後の溶鋼の終
点温度TEおよびその液相線温度TSの測定が行われる。
前記測定は、前記測温サンプリングプローブ15を用い
て同時に行われる。ステップn7では、合金装入率Fの
演算が行われる。この演算は、前記(15)式に前記求
めた溶銑重量Gおよび合金重量Aを代入することによっ
て行われる。ステップn8では、溶鋼の終点クロム含有
率の推定が行われる。この推定は、前記求めた溶鋼の液
相線温度TS、終点温度TE、溶銑温度TEF、合金装入率
Fおよび酸素吹精前の含クロム溶銑の成分推定値を前記
(16)式に代入して演算することによって行われる。
【0043】図10はステンレス鋼SUS430の実績
クロム酸化量と推定クロム酸化量との関係を示すグラフ
であり、図11はステンレス鋼SUS304の実績クロ
ム酸化量と推定クロム酸化量との関係を示すグラフであ
る。前記クロム酸化量は、酸素吹精中に酸素と反応して
クロム酸化物を生成し、溶鋼中から失われるクロム含有
率を意味しており、その値は酸素吹精前後のクロム含有
率の差を演算することによって求められる。また、実績
クロム酸化量は酸素吹精後の終点クロム含有率として分
析サンプルの定量分析値を用いたものであり、推定クロ
ム酸化量は終点クロム含有率として図9に示す前記推定
方法によって求めた推定値を用いたものである。図10
および図11の横軸は、ステンレス鋼SUS430およ
びSUS304の前記クロム酸化量の実績値を表してお
り、縦軸は前記クロム酸化量の推定値を表している。図
10および図11中の□印は、前記実績値と推定値との
対応関係を表す記号であり、図10および図11中に示
す直線L3およびL4は前記実績値と推定値とが一致し
ていることを示す直線である。したがって、前記□印が
前記直線L3およびL4に接近するほど、前記推定値と
実績値との差が小さくなり、推定値の推定精度が良好で
あることを表している。
【0044】図10および図11から、□印は直線L3
およびL4に近接して存在しているので、前記クロム酸
化量の推定値の推定精度が良好であることが判る。また
これによって、溶鋼中の終点クロム含有率の推定精度が
良好であることが判る。さらにまた、前記□印の直線L
3およびL4からの乖離の程度を表す標準偏差は、図1
0のSUS430においては0.2%であり、図11の
SUS304においては0.24%である。なお、この
標準偏差の水準は、実操業において十分適用可能な水準
である。このように、本実施の形態によれば含クロム溶
鋼中の終点クロム含有率を演算によって精度よく推定す
ることができる。このため前記終点炭素含有率の場合と
同様にクロム含有率の定量分析作業を省略することがで
き、分析作業の負荷を軽減することができる。
【0045】図12は本発明のステンレス鋼の転炉工程
における操業フローを示すタイムチャートであり、図1
3は本発明のステンレス鋼の転炉工程における出鋼方法
を説明するためのフローチャートである。図12および
図13を参照して、前記推定方法によって溶鋼中の終点
炭素およびクロム含有率を推定し、前記推定値に基づい
てステンレス鋼の出鋼を行う方法を説明する。
【0046】ステップs1では、転炉工程における製造
指令が発令される。製造指令としては、ステンレス鋼の
鋼種および回収鋼種であるか非回収鋼種であるかの区分
などがプロセスコンピュータから発令される。なお回収
鋼種は、前述のように転炉工程の次工程である真空脱ガ
ス工程において転炉スラグ中の酸化クロムを還元してク
ロムを回収する鋼種であり、非回収鋼種は次工程におい
てスラグからクロムを回収しない鋼種である。このた
め、回収鋼種の出鋼可否判定は溶鋼中の終点炭素含有率
に基づいて行われ、非回収鋼種の出鋼可否判定は溶鋼中
の終点炭素およびクロム含有率に基づいて行われる。ス
テップs2では、転炉工程において溶製される溶鋼の成
分目標範囲が予め定める値に設定される。ステップs3
では、電気炉において溶製された含クロム溶銑が前記転
炉本体3に注入される。前記溶銑の注入は、時刻t21
から開始されて時刻t22に終了する。なお前記溶銑の
成分分析値および重量は、前述のように電気炉工程にお
いて測定されている。
【0047】ステップs4では、合金の装入が行われ
る。合金の装入は、成分調整のために行われる処理であ
り、装入量は合金成分の含有率が前記目標範囲を満たす
ように設定される。装入される合金は、たとえばフェロ
クロム、フェロニッケル、フェロシリコンなどである。
ステップs5では、酸素吹精が行われる。酸素吹精は、
酸素ランス4から酸素を溶銑に吹付け、溶銑中の炭素と
酸素とを反応させて脱炭処理を行うための処理である。
合金装入および酸素吹精は、時刻t22から開始され、
酸素吹精は所定時間継続された後、時刻t23に終了す
る。
【0048】ステップs6では、溶鋼の終点温度および
液相線温度の測定が行われる。前記測定は、測温サンプ
リングプローブ15を溶鋼に5秒間浸漬することによっ
て行われ、時刻t23から開始されて時刻t24に終了
する。
【0049】ステップs7では、溶鋼が回収鋼種である
か否かが判断される。この判断は、前記製造指令に基づ
いて行われ、この判断が肯定であればステップs8に進
む。ステップs8では、対象鋼種が回収鋼種であるの
で、酸素吹精後の溶鋼の終点炭素含有率〔C〕(以後、
終点〔C〕と略称することがある)が推定される。この
推定は、前記図6に示す推定方法によって行われる。ス
テップs9では、前記推定した終点〔C〕が目標範囲内
であるか否かが判断される。この判断が肯定であれば、
出鋼可能であるので、ステップs14に進む。前記判断
が否定であれば、ステップs10に進む。ステップs1
0では成分調整が行われる。成分調整方法としては、前
記終点〔C〕が目標範囲を超えているときには、再吹精
が行われ、前記終点〔C〕が目標範囲未満のときには、
加炭材の装入が行われる。前記成分調整終了後、ステッ
プs14に進む。このように、出鋼可否判定が終点
〔C〕に基づいて行われ、酸素吹精後の溶鋼の終点クロ
ム含有率〔Cr〕(以後、終点〔Cr〕と略称すること
がある)に基づいて行われないので、成分はずれの頻度
が減少し、成分調整回数が減少して成分調整時間が大幅
に短縮される。このため、転炉操業時間を大幅に短縮す
ることができ、転炉工程の能率および生産性が大幅に向
上する。
【0050】前記ステップs7における判断が否定のと
きには、ステップs11に進む。ステップs11では、
対象鋼種が非回収鋼種であるので、酸素吹精後の溶鋼の
終点炭素含有率〔C〕および終点クロム含有率〔Cr〕
が推定される。この推定は、前記図6および図9に示す
推定方法によって行われる。ステップs12では、前記
終点〔C〕および終点〔Cr〕が目標範囲内であるか否
かが判断される。前記成分の目標範囲としてはステップ
s2において、終点〔C〕の目標範囲が第1の予め定め
る範囲に設定されており、終点〔Cr〕の目標範囲が第
2の予め定める範囲にそれぞれ設定されている。前記判
断が肯定であれば、出鋼可能であるので、ステップs1
4に進む。前記判断が否定であれば、ステップs13に
進む。
【0051】ステップs13では、成分調整が行われ
る。成分調整方法としては、前記終点〔C〕および終点
〔Cr〕がともに目標範囲を超えているときには、再吹
精または鉄源の装入による成分の希釈が行われ、前記終
点〔C〕および終点〔Cr〕がともに目標範囲未満のと
きには、加炭材およびクロム源が装入され、前記終点
〔C〕および終点〔Cr〕のいずれか一方が目標範囲を
外れているときには、前記成分調整方法の中から適正な
調整方法が選ばれる。前記成分推定は、時刻t24から
開始されて時刻t25に終了する。また前記成分調整
は、時刻t25から開始されて時刻t26に終了する。
なお、溶鋼温度の調整を行う必要がある場合には、前記
成分調整と合わせて再吹精または冷却材の装入が行われ
る。前記成分調整終了後、ステップs14に進む。ステ
ップs14では、溶鋼の出鋼が行われる。
【0052】溶鋼の出鋼に際して、溶鋼が回収鋼種であ
る場合には、溶鋼は転炉スラグとともに取鍋内に出鋼さ
れ、次工程である真空脱ガス工程において転炉スラグか
らクロム分が溶鋼中に回収される。これに対して、溶鋼
が非回収鋼種である場合には、溶鋼のみが取鍋内に出鋼
され、転炉本体内に残留した転炉スラグは出鋼完了後、
スラグ鍋に排出される。前記出鋼は時刻t26に開始さ
れて、時刻t27に終了する。出鋼完了後、溶鋼は真空
脱ガス設備に搬送される。このように、本発明法では、
溶鋼の終点〔C〕および〔Cr〕の推定値が演算によっ
て求められ、前記推定値に基づいて出鋼可否判定が行わ
れる。このため、終点〔C〕および〔Cr〕の定量分析
を省略することが可能となり、その結果、以下に示す種
々の効果が得られる。
【0053】図14は本発明法と従来法とについて酸素
吹精終了から出鋼までの操業フローを対比して示すタイ
ムチャートであり、図14(1)は従来法のタイムチャ
ートであり、図14(2)は本発明法のタイムチャート
である。従来法では、酸素吹精終了後に測温サンプリン
グが開始され、4.5分後に終了する。測温サンプリン
グ終了後、分析サンプルが分析装置、たとえば発光分光
分析装置に送付され、成分分析値の定量分析が行われ
る。前記分析サンプル送付から4.5分後に定量分析値
が判明し、それが目標値を満たしていればそれから2分
後に出鋼が開始される。これに対して本発明法では、酸
素吹精終了後に溶鋼の終点温度および液相線温度の測定
が開始され、測定値に基づいて前述のように終点〔C〕
および〔Cr〕の推定が行われる。前記測温開始から
4.5分後に推定終点〔C〕および〔Cr〕が判明し、
その推定値が目標値を満たしていればそれから2分後に
出鋼が開始される。
【0054】このように、本発明法は従来法に比べて、
成分分析値の判明を待たなくてもよいので、分析待ち時
間に相当する4.5分間の操業時間の短縮を図ることが
できる。このため、転炉工程において溶鋼を迅速に出鋼
することが可能となり、転炉操業の能率および生産性を
大幅に向上することができる。
【0055】図15は転炉工程における溶鋼の終点温度
と真空脱ガス工程における真空脱ガス前の溶鋼温度との
関係を示すグラフであり、図16は溶鋼の終点炭素含有
率とクロム酸化量との関係を示すグラフであり、図17
は本発明法と従来法との耐火物損耗速度を対比して示す
グラフである。図15および図16中の○印は本発明法
を表す記号であり、×印は従来法を表す記号である。図
15から、本発明法は従来法に比べて溶鋼の終点温度を
約15℃低減しても真空脱ガス前の溶鋼温度を同一にす
ることができること、すなわち、真空脱ガス前の溶鋼温
度を所定温度、たとえば約1,710℃にするとき、従
来法では溶鋼の終点温度を約1,810℃にする必要が
あるのに対して、本発明法では溶鋼の終点温度を約1,
795℃にすればよいことが判る。これは、本発明法で
は溶鋼の終点温度測定後の温度低下量を前記分析待ち時
間に相当する操業時間の短縮分だけ小さくすることがで
きるからである。
【0056】このように、本発明法では溶鋼の終点温度
を低減することができるので、それに応じて酸素吹精時
間を短縮することができる。このため、転炉操業の操業
時間をさらに短縮することができる。また、前記溶鋼の
終点温度の低減および酸素吹精時間の短縮によって、本
発明法は従来法に比べて図16に示すようにクロム酸化
量を低減することができる。その結果、次工程において
スラグからクロムの回収が行われない場合には、クロム
の添加歩留りを向上させることができ、かつクロム酸化
物を還元するための還元剤の使用量を低減することがで
きる。さらに、本発明法は前記溶鋼の終点温度の低減に
よって耐火物に対する熱負荷を軽減することができるの
で、図17に示すように従来法に比べて転炉本体3の耐
火物損耗速度を低減することができる。このため、耐火
物の寿命を延長させることができ、耐火物の原単位を低
減することができる。
【0057】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、酸素吹精
後の溶鋼の炭素およびクロム含有率を精度よく推定する
ことができるので、炭素およびクロム含有率を定量分析
するための分析作業を省略することができ、分析作業の
負荷を軽減することができる。
【0058】また本発明によれば、溶鋼中の炭素および
クロム含有率の推定装置は成分推定を行うための手段を
全て備えて推定を行うことができるので、溶鋼中の炭素
およびクロム含有率を精度よく、かつ迅速確実に推定す
ることができる。
【0059】また本発明によれば、酸素吹精終了後の成
分分析値の分析待ち時間を省略することができるので、
転炉工程における操業所要時間を大幅に短縮することが
でき、その結果、含クロム溶鋼の出鋼を迅速に行うこと
ができる。このため、転炉の能率および生産性が大幅に
向上する。また分析待ち時間中の溶鋼温度低下分だけ溶
鋼の終点温度を低下させることができるので、転炉の熱
負荷が低減し、転炉の操業所要時間の短縮と相俟って転
炉の耐火物の損耗速度を低減させることができる。この
ため、転炉の耐火物の寿命を延長させることができ、耐
火物の原単位を低減することができる。
【0060】また本発明によれば、分析待ち時間の省略
によって転炉工程における酸素吹精後の含クロム溶鋼の
温度を低下させることができるので、酸素吹精時間を短
縮することができ、その結果、クロムの酸化量を低減す
ることができる。このため、次工程においてスラグから
クロムの回収が行われない場合には、クロムの酸化ロス
を低減することができ、クロムの添加歩留りを向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるクロム含有鋼の転
炉工程における溶鋼中炭素およびクロム含有率の推定装
置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を好適に適用することのできる転炉設備
の構成を簡略化して示す断面図である。
【図3】図2に示す転炉設備における溶鋼の液相線温度
の測定時の状況示す断面図である。
【図4】図3に示す測温サンプリングプローブの構成を
簡略化して示す部分断面図である。
【図5】図4に示す液相線温度検出手段の出力を示すグ
ラフである。
【図6】溶鋼の終点炭素含有率の推定方法を説明するた
めのフローチャートである。
【図7】ステンレス鋼SUS430の実績終点炭素含有
率と推定終点炭素含有率との関係を示すグラフである。
【図8】ステンレス鋼SUS304の実績終点炭素含有
率と推定終点炭素含有率との関係を示すグラフである。
【図9】溶鋼の終点クロム含有率の推定方法を説明する
ためのフローチャートである。
【図10】ステンレス鋼SUS430の実績クロム酸化
量と推定クロム酸化量との関係を示すグラフである。
【図11】ステンレス鋼SUS304の実績クロム酸化
量と推定クロム酸化量との関係を示すグラフである。
【図12】本発明のステンレス鋼の転炉工程における操
業フローを示すタイムチャートである。
【図13】本発明のステンレス鋼の転炉工程における出
鋼方法を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明法と従来法とについて酸素吹精終了か
ら出鋼までの操業フローを対比して示すタイムチャート
である。
【図15】転炉工程における溶鋼の終点温度と真空脱ガ
ス工程における真空脱ガス前の溶鋼温度との関係を示す
グラフである。
【図16】溶鋼の終点炭素含有率とクロム酸化量との関
係を示すグラフである。
【図17】本発明法と従来法との耐火物損耗速度を対比
して示すグラフである。
【図18】従来技術のステンレス鋼の転炉工程における
操業フローを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 転炉設備 3 転炉本体 4 酸素ランス 6 測温サンプリング装置 10 出鋼口 11 原料投入口 14 サブランス 15 測温サンプリングプローブ 21 推定装置 23 溶銑成分分析手段 24 溶銑重量検出手段 25 合金重量検出手段 26 溶銑温度検出手段 27 液相線温度検出手段 28 溶鋼温度検出手段 29 演算手段 30 メモリ 31 表示手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロムを含む溶銑を転炉に注入した後、
    合金を装入して酸素吹精を行い、クロムを含む溶鋼を溶
    製する転炉工程における溶鋼中炭素含有率の推定方法に
    おいて、 転炉に注入される溶銑の重量、前記溶銑の成分分析値お
    よび転炉に装入される合金の重量を測定によって求め、
    前記求めた値に基づいて酸素吹精前の溶銑の成分推定値
    を演算によって求め、酸素吹精終了後にクロムを含む溶
    鋼の液相線温度を測定によって求め、前記求めた酸素吹
    精前の溶銑の成分推定値および溶鋼の液相線温度に基づ
    いて、酸素吹精後の溶鋼中炭素含有率の推定値を演算に
    よって求めることを特徴とするクロム含有鋼の転炉工程
    における溶鋼中炭素含有率の推定方法。
  2. 【請求項2】 クロムを含む溶銑を転炉に注入した後、
    合金を装入して酸素吹精を行い、クロムを含む溶鋼を溶
    製する転炉工程における溶鋼中クロム含有率の推定方法
    において、 転炉に注入される溶銑の重量、前記溶銑の温度、前記溶
    銑の成分分析値および転炉に装入される合金の重量を測
    定によって求め、前記求めた値に基づいて酸素吹精前の
    溶銑の成分推定値を演算によって求め、酸素吹精終了後
    にクロムを含む溶鋼の温度および液相線温度を測定によ
    って求め、前記溶銑重量と合金重量との和に対する前記
    合金重量の割合を演算して合金装入率を求め、前記求め
    た溶鋼の液相線温度、溶鋼温度、溶銑温度、合金装入率
    および酸素吹精前の溶銑の成分推定値に基づいて、酸素
    吹精後の溶鋼中クロム含有率の推定値を演算によって求
    めることを特徴とするクロム含有鋼の転炉工程における
    溶鋼中クロム含有率の推定方法。
  3. 【請求項3】 クロムを含む溶銑を転炉に注入した後、
    合金を装入して酸素吹精を行い、クロムを含む溶鋼を溶
    製する転炉工程における溶鋼中炭素およびクロム含有率
    の推定装置において、 転炉に注入される含クロム溶銑の成分分析値を定量分析
    する手段と、 前記溶銑の温度を検出する手段と、 前記溶銑の重量を検出する溶銑重量検出手段と、 転炉に装入される合金の重量を検出する合金重量検出手
    段と、 酸素吹精後の溶鋼の液相線温度を検出する手段と、 酸素吹精後の溶鋼の温度を検出する手段と、 前記溶銑成分分析手段、溶銑温度検出手段、溶銑重量検
    出手段、合金重量検出手段、液相線温度検出手段および
    溶鋼温度検出手段の出力に基づいて、酸素吹精後の溶鋼
    中の炭素およびクロム含有率の推定値を演算してそれぞ
    れ求める演算手段と、 演算手段の出力を表示する表示手段とを含むことを特徴
    とするクロム含有鋼の転炉工程における溶鋼中炭素およ
    びクロム含有率の推定装置。
  4. 【請求項4】 クロムを含有する溶銑を転炉に注入した
    後、合金を装入して酸素吹精を行い、溶製された含クロ
    ム溶鋼を取鍋に出鋼するクロム含有鋼の転炉工程におけ
    る出鋼方法において、 前記酸素吹精中に生成したスラグから次工程においてク
    ロムを回収する場合には、酸素吹精終了後の溶鋼中の炭
    素含有率の推定値を演算して求め、前記求めた推定値が
    予め定める範囲内にあるとき、溶鋼をスラグとともに取
    鍋に出鋼することを特徴とするクロム含有鋼の転炉工程
    における出鋼方法。
  5. 【請求項5】 クロムを含有する溶銑を転炉に注入した
    後、合金を装入して酸素吹精を行い、溶製された含クロ
    ム溶鋼を取鍋に出鋼するクロム含有鋼の転炉工程におけ
    る出鋼方法において、 前記酸素吹精中に生成したスラグから次工程においてク
    ロムを回収しない場合には、酸素吹精終了後の溶鋼中の
    炭素およびクロム含有率の推定値を演算してそれぞれ求
    め、前記求めた炭素含有率の推定値が第1の予め定める
    範囲内にあり、かつ前記求めたクロム含有率の推定値が
    第2の予め定める範囲内にあるとき、溶鋼のみを取鍋に
    出鋼することを特徴とするクロム含有鋼の転炉工程にお
    ける出鋼方法。
JP13034796A 1996-05-24 1996-05-24 クロム含有鋼の転炉工程における溶鋼中炭素およびクロム含有率の推定方法および装置ならびに出鋼方法 Withdrawn JPH09316514A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019199632A (ja) * 2018-05-15 2019-11-21 大同特殊鋼株式会社 精錬方法
CN113984445A (zh) * 2021-10-25 2022-01-28 马鞍山钢铁股份有限公司 一种铁水测温取样装置及其使用方法
CN114438397A (zh) * 2022-02-08 2022-05-06 新疆八一钢铁股份有限公司 一种高铬耐腐蚀抽油杆的生产工艺

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