JP6516906B1 - 吹錬計算方法、吹錬計算プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】吹錬工程に対して投入すべき酸素などの投入量を精度よく算出することができる、吹錬計算技術を提供する。【解決手段】本発明に係る吹錬計算方法は、吹錬工程内の溶鋼に含まれる成分量と溶鋼温度とを実測する第1時点と第2時点それぞれまでの第1期間および第2期間において必要な酸素量、昇熱材量、および冷却材量を算出する。前記第2期間において必要な酸素量、昇熱材量、および冷却材量は、前記第1時点における実測成分量および実測溶鋼温度などに加えて実測不明熱量と実測不明酸素量を用いて計算する。【選択図】図4

Description

本発明は、吹錬工程におけるパラメータを計算する技術に関する。
製鋼工程においては、転炉またはAOD内の溶銑または溶鋼に対して酸素を吹き付ける吹錬工程が存在し、吹錬工程の次工程には、溶鋼を凝固させてスラブなどの鋼片を製造する連続鋳造工程がある。この連続鋳造工程を安定的に操業するためには、吹錬工程において連続鋳造が可能な溶鋼温度に昇熱する必要があり、鋼種や鋳造時間による吹き止め目時の目標溶鋼温度が設定される。吹錬工程では、溶鋼に酸素を吹付けて各成分の酸化反応による昇熱を行う。この時、昇熱量が不足すると目標の溶鋼温度に到達しないため、コークス等の昇熱材を炉内に投入して昇熱を補う。また、溶銑から持ち込まれた炭素だけで昇熱量が過大になる場合は、溶鋼に鉄鉱石等を投入して冷却する。このように、炭素成分については、溶銑から持ち込まれる炭素量や昇熱に用いられるコークス量が多いため、吹付ける酸素量の設定に大きな影響を与える。よって、吹き止め時の目標溶鋼温度と目標炭素濃度に的中させるために、吹錬工程における酸素量、昇熱材量、冷却材量などの投入量をあらかじめ計算しておく必要がある。吹錬工程では、これらの計算された昇熱材量、冷却材量を投入後、吹錬工程の途中段階で、サブランスを用いて溶鋼温度と溶鋼成分を測定し、実績値を確認する。溶鋼温度と炭素濃度の測定で、それぞれの目標値から大きくずれた場合、追加のアクション、具体的には昇熱材の追加投入による昇熱あるいは冷却材追加による冷却を行う。また、測定した実績炭素濃度と昇熱材の追加投入量に対応して、サブランス測定時点からの酸素量の加減を再設定する。これらの吹錬計算では、熱量の収支と酸素量の収支と酸化反応による質量減の収支が工程を通じて釣り合っていることに基づき、各投入量を計算することができる。ただし実際の吹錬工程においては、熱量と酸素量の収支が合致せず、不明熱量と不明酸素量が存在する。よって、吹錬計算の課題として、この不明熱と不明酸素を如何に精度よく推定するかが重要である。従来の操業では、オペレータが自らの経験に基づき不明熱と不明酸素を決定し、吹錬計算を行っていた。
下記特許文献1は、『静的吹錬制御モデル式に含まれる不明熱量及び不明酸素量を高精度で推定し、静的吹錬制御の精度向上を図る。』ことを目的として、『転炉製鋼における操業情報t1〜tnを入力とし、理論発熱量と理論吸熱量との差である不明熱量、及び理論発生酸素量と理論消費酸素量との差である不明酸素量をそれぞれ出力とするニューラルネットワークを構築し、該ニューラルネットワークを用いて不明熱量及び不明酸素量を推定する。その際、実際に操業した際の操業情報と、不明熱量及び不明酸素量とを用いてニューラルネットワークの学習を行い、該ニューラルネットワークを構成するユニット間の重み係数を修正する。』という技術を開示している(要約参照)。
特開平6−200312号公報
特許文献1のような従来の吹錬手法は、吹錬工程を開始する時点において不明熱量と不明酸素量を推定し、その推定結果に基づき吹錬工程における各パラメータを算出する。しかし不明熱量と不明酸素量は吹錬工程を実施するごとに異なるので、吹錬工程を開始する前の時点において推定した不明熱量および不明酸素量は、実測値に基づき計算した不明熱量および不明酸素量と比較すると、必ずしも精度の高いものではない場合がある。したがって吹錬計算において求めた各投入量も、必ずしも精度の高いものではない場合がある。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、吹錬時に目標とする溶鋼の成分量と溶鋼温度を得るために吹錬工程に対して投入すべき酸素などの投入量を精度よく算出することができる、吹錬計算技術を提供することを目的とする。
本発明に係る吹錬計算方法は、吹錬工程内の溶鋼に含まれる成分量と溶鋼温度とを実測する第1時点と第2時点それぞれまでの第1期間および第2期間において必要な酸素量、昇熱材量、および冷却材量を算出する。前記第1時点から前記第2時点までの前記第2期間において必要な酸素量、昇熱材量、および冷却材量は、前記第1時点における実測成分量および実測溶鋼温度などに加えて実測不明熱量と実測不明酸素量を用いて計算する。
本発明に係る吹錬計算方法によれば、実測不明熱量と実測不明酸素量を用いて吹錬計算を改めて実施することにより、吹錬時に目標とする溶鋼の成分量と溶鋼温度を得るために適切な酸素などの投入量を精度よく算出することができる。
実施形態1に係る吹錬計算装置100の構成図である。 転炉を用いる場合における吹錬工程の模式図である。 吹錬工程における熱バランスと酸素バランスについて説明する概念図である。 実施形態1に係る吹錬計算方法を説明するための計算例を示す図である。 歩留り推定部113の動作を説明するフローチャートである。 吹錬計算装置100が提示する画面例である。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る吹錬計算装置100の構成図である。吹錬計算装置100は、溶鋼の吹錬工程に対して投入すべき酸素量などの吹錬パラメータを計算する装置である。吹錬計算装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、記憶装置120を備える。
CPU110は、投入量計算部111、不明量推定部112、歩留り推定部113、残留量推定部114を実行する。これら機能部の詳細については後述する。これら機能部はその機能を実装した回路デバイスなどのハードウェアを用いて構成することもできるし、その機能を実装したソフトウェアをCPU110が実行することにより構成することもできる。以下の説明においては、これら機能部はソフトウェアとして構成されているものとする。記載の便宜上、これら機能部を動作主体として説明する場合があるが、実際にこれら機能部を実行するのはCPU110である。
投入量計算部111は、吹錬工程において必要な酸素量、昇熱材量、および冷却材量を算出する。算出手順については後述する。不明量推定部112は、これから実施する吹錬工程における不明熱量と不明酸素量を、学習結果データ121に基づき推定する。歩留り推定部113は、吹錬工程に対して投入された昇熱材のうち、実際に転炉に対して投入された昇熱材の量を推定する(詳細は実施形態2)。残留量推定部114は、転炉内の溶鋼中に残っている特定の元素成分の量を推定する(詳細は実施形態3)。
学習結果データ121は、過去に実施した吹錬工程におけるパラメータを機械学習によって学習した結果を記録したデータである。パラメータの具体例については後述する。最も単純には、過去に実施した吹錬工程におけるパラメータそのものを学習結果データ121として記録することができる。機械学習器は、吹錬計算装置100自身が備えてもよいし、吹錬計算装置100外の機械学習器を利用した上でその学習結果を学習結果データ121として吹錬計算装置100が利用してもよい。
図2は、転炉を用いる場合における吹錬工程の模式図である。転炉に対してスクラップおよび溶銑を装入し、さらに吹錬開始後に合金鉄(FeCrなど)、昇熱材、冷却材などを投入する。これらが溶融した溶鉄に対して、酸素または酸素と窒素あるいはアルゴンを含む混合ガスを吹き付けることにより炭素を酸化させて脱炭する製鋼工程を、一般に吹錬工程と呼ぶ。また、吹錬工程を通じて、投入された副原料や生成された酸化物で形成されるスラグを利用して、溶鉄中のその他の不純物成分を低減する精錬が同時に行われることが一般的である。
図3は、吹錬工程における熱バランスと酸素バランスについて説明する概念図である。吹錬工程において、溶融鉄(高炉と転炉を用いる鉄鋼プロセスであれば溶銑)、スクラップ、合金鉄(クロムなどを含む合金)、副原料(焼石灰等)を投入するとともに、酸素を供給して、目標時点における各元素成分の目標量と、目標時点における目標温度を実現することを図る。
溶融鉄を収容した炉に対してスクラップや合金鉄を投入すると、溶融鉄の温度が低下する。溶融鉄の温度を目標温度に到達させるため、コークスなどの昇熱材を投入する。吹錬工程に対する入熱量は、溶融鉄、スクラップ、合金鉄などに含まれる炭素、珪素、クロムなどの各成分の酸化反応熱と、コークスなどの昇熱材に含まれる炭素などの酸化反応熱である。ここで、各酸化反応熱は生成された酸化物の顕熱を除いた値であり、炭素の酸化反応熱には、溶融鉄中からCOガスが生成する際の一次燃焼熱と、炉内空間でCOがさらにCOまで燃焼する2次燃焼による生成熱(2次燃焼熱)の一部とを含むが、2次燃焼熱の残部は排ガスの顕熱などとして系外に放散されるので、2次燃焼熱に所定の着熱効率を乗算したものが入熱分となる。ここで、COガスの2次燃焼が生じる割合(2次燃焼率)や着熱効率は、例えば過去の操業実績から得た標準値を用いてもよいし、過去の操業実績に基づいて操業条件に応じて定めてもよい。一方、吹錬工程の出熱量は、溶融鉄やスクラップなどの各原料の顕熱増加分と融解熱である。これらの熱はバランスしているのが原則であるが、実際には例えば炉側壁からの放射熱などの不明熱成分が存在する。また、実際の二次燃焼率や着熱効率が推定値から変動した場合や、クロムなどの酸化量の評価に誤差が生じた場合にも、これらによる熱バランスの変動分は不明熱に含まれることになる。したがって実際の熱バランスは、図3に示すような関係となる。
製鋼工程において、溶融鉄に対して酸素を吹き付けることにより炭素などの成分が燃焼し、これにより鋼を精錬することができる。吹錬計算においては、目標時点における目標成分量を達成するために必要な酸素量を計算する。吹き付ける酸素に加えてマンガン鉱石などの酸化物の還元により酸素が生じるので、これらの和が吹錬工程の入酸素量となる。炭素の他、シリコン、クロムなどの各成分の酸化反応において消費される酸素量と2次燃焼において消費される酸素量が、吹錬工程の出酸素量となる。溶鉄中の各成分の酸化に消費される酸素量は各成分濃度の変化を測定することで算出できるが、鉄の酸化や2次燃焼に消費される酸素量は正確に評価することが難しく、吹錬条件の違いによっても変動し得ると考えられる。したがって、不明熱量と同様に不明酸素量が存在するので、実際の酸素量バランスは図3に示すような関係となる。
熱バランスと酸素バランスの他に、質量バランスも存在する。吹錬工程に対して投入される材料等の質量は、(溶銑の質量)+(スクラップの質量)+(合金鉄の質量)+(昇熱材の質量)+(冷却材の質量)である。吹錬工程完了後の溶鋼の質量は、これら元素成分のうち酸化反応によって質量が減少するものについてその減少分を減算した値となる。
以上説明した熱バランス、酸素バランスおよび質量バランスは、それぞれの計算式を記述した3つの等式によって記述される。吹錬工程に対して投入すべき昇熱材量、酸素量および冷材量(以下、昇熱材量/酸素量/冷材量と略記する)の3つを変数として、これら3つの等式からなる連立不等式を解くことにより、これら3つの変数を求めることができる。これを一般に吹錬計算などと呼ぶ。ただし各等式のなかに不明熱と不明酸素が含まれているので、連立不等式を解くためにはこれらの値を埋めなければならない。
図4は、本実施形態1に係る吹錬計算方法を説明するための計算例を示す図である。吹錬計算においては一般に、まず、吹錬全体を通じて目標とする組成および温度の溶鉄が得られるように、投入する合金鉄量、副原料量および昇熱材量/酸素量/冷材量を求めるが、これらのうち合金鉄および副原料の大部分は吹錬の序盤において投入することが一般的である。次に、吹錬工程のなかのある時点における目標溶鋼温度と目標成分量をセットし、これらの目標値が実現されるように、上記の合金鉄や副原料の投入量を前提として、その時点までに投入する昇熱材量/酸素量/冷材量を求める。従来の吹錬工程においては、例えば酸素を吹き付けるある酸素量の時点で、サブランス(SL)と呼ばれる装置を用いて各元素成分量および溶鋼温度を実測し、その結果に基づき、その後に吹き付ける酸素量等を調整している。しかし吹錬計算は吹錬工程を開始する時点において1回のみ実施し、サブランス測定後の昇熱材量/酸素量/冷材量の調整は、サブランス測定時から必要な脱炭量および昇温量が得られるように、適当に仮定した脱炭酸素効率や昇熱係数を用いるような簡易計算によって実施していた。そうすると、吹錬工程を開始する時点において推定した不明熱と不明酸素に基づき、投入すべき昇熱材量/酸素量/冷材量を求め、その結果を用いて吹錬を実施することになるので、サブランスで測定した時点での溶鋼の炭素含有量や温度にはかなりのばらつきがあり、上記のようにサブランス測定後の調整を行っても、最終的に得られる溶鋼成分や溶鋼温度の的中精度は必ずしも高くなかった。本実施形態1においては、上記課題に鑑みて吹錬計算を2回実施することとした。
具体的には、吹錬工程を開始する前に、1回目のサブランス時点(SL1)における目標温度(SL1目標温度)と目標成分(SL1目標濃度、ここでは残存炭素濃度を成分値の目標とする)をセットするとともに、2回目のサブランス時点(SL2)における目標温度(SL2目標温度)と目標成分(SL2目標濃度)をセットする。吹錬開始前に1回目の吹錬計算を実施して、吹錬全体を通じて目標とする組成および温度の溶鉄が得られるように、投入する合金鉄量、副原料量および昇熱材量/酸素量/冷材量の一次計算値を求めるとともに、(a)吹錬開始からSL1までの第1期間において投入すべき昇熱材量/酸素量/冷材量を求める。また、(b)SL1からSL2までの第2期間において投入すべき昇熱材量/酸素量/冷材量、あるいは第1期間と第2期間を合わせた期間において投入すべき昇熱材量/酸素量/冷材量を予備的に求めてもよい。吹錬計算は投入量計算部111が実施する。この際、それぞれの吹錬計算において用いる各期間における不明熱と不明酸素は、不明量推定部112が推定する。なお、上記(a)で求めた昇熱材量/酸素量/冷材量は、SL1投入時点における溶鋼の温度および炭素濃度(含クロム溶鋼の吹錬では炭素濃度およびクロム濃度)を目標値に的中させるもので、この的中精度が良ければSL2の的中精度を高めることができる。この結果、次工程における安定した連続鋳造を可能にする。
SL1時点において、溶鋼温度を実測する(実測温度)とともに、炉内の溶鋼に残存している各成分濃度を実測する(実測濃度)。成分濃度の測定は、SL1によって溶鉄から採取した分析用試料をスパーク放電発光分析や蛍光X線分析などの迅速分析が可能な機器分析装置によって行う。また、炭素濃度は溶鉄試料の凝固温度を測定することによって、より短時間で実測することができる。さらに例えば後述する実施形態3で説明する手法により、炉内の物質収支から炭素重量を計算してもよい。不明量推定部112は、実測温度および実測濃度に基づいて、吹錬開始からSL1までの第1期間における不明熱と不明酸素の実績値(実測不明熱および実測不明酸素)を算出する。また、SL2時点においても、同様に実測した溶鋼の温度と各成分濃度に基づいて、SL1からSL2までの第2期間における不明熱と不明酸素の実績値を算出する。このようにして算出された第1期間における不明熱と不明酸素の実績値および第2期間における不明熱と不明酸素の実績値は、後続チャージの吹錬計算において利用可能とするように、後述する他の吹錬パラメータとともに学習結果データ121の一部を追加あるいは更新するように記憶装置120に記録することが望ましい。
不明量推定部112は、吹錬工程開始時点において、既知の吹錬パラメータから学習結果データ121を用いて、第1期間の不明熱と不明酸素とを推定する。この際、後述するように、機械学習によって各吹錬パラメータから当該チャージの吹錬工程に近い過去の吹錬工程を検索した結果に基づいて不明熱と不明酸素と推定することが望ましい。また、予め学習結果データ121に基づいて実施した機械学習または重回帰分析などによって第1期間の不明熱と不明酸素とを吹錬パラメータの関数式として求めておき、既知の吹錬パラメータから算出することもできる。これらの場合、上記の既知の吹錬パラメータには、例えば、吹錬工程の開始前に装入したスクラップ量、吹錬工程の開始前に装入した合金鉄量、吹錬工程の開始前に装入した溶融鉄量、第1時点(SL1)における第1目標成分量、第2時点(SL2)における第2目標成分量、第1時点における第1目標溶鋼温度、および第2時点における第2目標溶鋼温度などが含まれ、これらに加えて吹錬工程の開始前に装入した溶融鉄の温度および各成分濃度や第一期間において投入する予定のフェロクロムなどの合金鉄量などを含めてもよい。
不明量推定部112は、更に、算出された第1期間における不明熱と不明酸素との実績値およびSL1で実測した溶鋼温度と各溶鋼成分濃度とを含む他の既知の吹錬パラメータから学習結果データ121を用いて、当該チャージの吹錬の第2期間における不明熱と不明酸素とを推定する。この際も同様に、機械学習によって各吹錬パラメータから当該チャージの吹錬工程に近い過去の吹錬工程を検索した結果に基づいて不明熱と不明酸素と推定することが望ましい。また、予め学習結果データ121に基づいて実施した機械学習または重回帰分析などによって第2期間の不明熱と不明酸素とを吹錬パラメータの関数式として求めておき、既知の吹錬パラメータから算出することもできる。これらの場合、上記の既知の吹錬パラメータには、例えば、吹錬工程の開始前に装入したスクラップ量、吹錬工程の開始前に装入した合金鉄量、吹錬工程の開始前に装入した溶融鉄量、第1時点までの吹錬工程の途中で投入した合金鉄量、第1時点における第1実測成分量および第1実測溶鋼温度、第2時点における第2目標成分量および第2目標溶鋼温度、ならびに第1期間における不明熱と不明酸素の実績値などが含まれる。ここで、第2目標成分量および第2目標溶鋼温度は、先にセットしたものを用いてもよいし改めてセットしてもよい。
投入量計算部111は、吹錬開始時において決定済みの各吹錬パラメータに加え、不明量推定部112が推定した第1期間における不明熱と不明酸素との推定値を用いて、吹錬開始からSL1までの第1期間において投入すべき昇熱材量/酸素量/冷材量を求める1回目の吹錬計算を実施する。また、投入量計算部111は、SL1時点において上記した溶鋼温度および各溶鋼成分濃度などの各実測した値に加え、不明量推定部112が推定した第2期間における不明熱と不明酸素との推定値を取得し、これらの実測値および第2期間における不明熱と不明酸素との推定値を用いて、SL1からSL2までの第2期間において投入すべき昇熱材量/酸素量/冷材量を求める2回目の吹錬計算を実施する。これにより、第2時点において目標とする溶鋼中の炭素量と溶鋼温度を得るために第2期間において投入すべき昇熱材量/酸素量/冷材量の精度を、従来よりも高めることができる。その結果、第2時点において得られる溶鋼中の炭素量と溶鋼温度の目標値からの誤差を小さくすることが可能となる。
含クロム溶鉄の吹錬を対象とする場合には、上記のそれぞれの吹錬計算を実施する際に、不明熱と不明酸素との推定値とは別に、それぞれの期間におけるクロム酸化量を推定し、クロム酸化に消費される酸素量とクロム酸化による反応熱を推定して吹錬計算に用いる必要がある。このそれぞれの期間におけるクロム酸化量の推定は、不明熱や不明酸素の推定と同様に、不明量推定部112が、それぞれの期間における鋼の成分濃度変化から求めたクロム酸化量の実績値を含む学習結果データ121を用いて、機械学習によって各吹錬計算時点において既知の吹錬パラメータから当該チャージの吹錬工程に近い過去の吹錬工程を検索した結果に基づいて推定することができる。この際、それぞれの期間におけるクロム酸化量の実績値は、各吹錬時に不明量推定部112が算出し、学習結果データ121に蓄積するようにしてもよい。また、予めそれぞれの期間におけるクロム酸化量の実績値を含む学習結果データ121に基づいて実施した機械学習または重回帰分析などによってそれぞれの期間におけるクロム酸化量を吹錬パラメータの関数式として求めておき、既知の吹錬パラメータから算出することもできる。さらに、後述するように、排ガス分析の情報も用いた物質収支の計算からクロム酸化量を吹錬中に逐次計算することもできるので、吹錬中にクロム酸化量の推移傾向を確認することで、各期間におけるクロム酸化量の推定値が適正な範囲であるか判断する材料とすることもできる。
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係る吹錬計算装置100は、吹錬工程開始前において、SL1とSL2のそれぞれにおける目標溶鋼温度および目標成分量にしたがって吹錬計算を実施するとともに、SL1時点における実測溶鋼温度と実測成分量にしたがって第2期間における吹錬計算を実施する。これにより、SL2において目標とする溶鋼中の炭素量と溶鋼温度を得るためにSL1〜SL2において投入すべき昇熱材量、酸素量および冷材量の精度を、従来よりも高めることができる。
その理由を以下に述べる。SL1において、何らかの影響で目標溶鋼温度および目標炭素重量に対して実績溶鋼温度および実績炭素量がそれぞれの目標範囲から外れた場合、SL1の目標溶鋼温度と目標成分を前提として計算された第2期間の昇熱材/、酸素量/冷却材を設定して吹錬することはできない。そこで、SL1時点における実績溶鋼温度、実績溶鋼成分を用いて吹錬計算を実施する。ここで、SL1の実績溶鋼温度および実績炭素量に誤差が生じた原因は、吹錬開始からSL1までの第1期間における不明熱と不明酸素の推定値に誤差があったことによると考えられる。前述のように、これらの不明量の一部は、炉体放散熱、2次燃焼率や着熱効率の推定値の誤差、鉄やクロムの酸化量の推定値の誤差などに基づくと考えられるので、第1期間における不明量とSL1〜SL2の第2期間における不明量は互いに関連があると考えられる。そこで、両者の関係を機械学習などによって評価し、第1期間における不明熱と不明酸素の実績値も用いて第2期間における不明熱、不明酸素を推定することで、不明熱、不明酸素の実績値を前提として第2期間の吹錬計算に用いる不明熱、不明酸素を設定することができるため、SL2において目標とする溶鋼中の炭素量と溶鋼温度を得るためにSL1〜SL2において投入する昇熱材/酸素量/冷材量をより精度良く求めることができる。
<実施の形態2>
実施形態1で説明した吹錬実績の計算の結果、第1期間および第2期間における不明熱や不明酸素の実績値がマイナス値になる場合がある。本発明者等の知見によれば、この現象は投入する昇熱材量が多いときに発生する。本発明者等はこの現象の原因として、吹錬工程に対して投入する昇熱材の一部が、実際には炉内に投入されず炉外にこぼれ落ちている、あるいは溶鋼に入る前に吹付けている酸素とコークスが直接反応しているにも関わらず、吹錬計算において全ての昇熱材が溶鋼に溶解してから反応するものと仮定していることに起因していると考えた。本発明の実施形態2では、この考え方に基づき不明酸素を補正する手順について説明する。吹錬計算装置100の構成は実施形態1と同様である。
図5は、歩留り推定部113の動作を説明するフローチャートである。以下図5の各ステップについて説明する。
(図5:ステップS501)
歩留り推定部113は、吹錬工程に対して投入した昇熱材のうち、実際に炉内に入って反応した割合(以下では歩留りと呼ぶ)を、初期化する。ここでは全ての昇熱材が実際に炉内に対して投入された場合の歩留りを1.0とし、これを初期値とする。また、昇熱材としてコークスを用いる場合、コークス全体に占める固定炭素量の比率を予め分析して、歩留りの初期値としてもよい。
(図5:ステップS502)
歩留り推定部113は、SL1およびSL2の時点における溶鉄の各元素成分量(濃度)の実測値を用いて、SL1およびSL2の時点における各元素成分量(質量)を計算する。また、歩留り推定部113は、吹錬工程の開始前に装入したスクラップ、合金鉄量および溶融鉄量などの各原料の装入量と各成分濃度、ならびに吹錬工程の途中で投入した合金鉄および昇熱材などの各添加材の投入量と各成分濃度に基づいて、物質収支の計算からSL1およびSL2の時点において炉内に装入あるいは投入された各成分の総量を計算する。ここで、各成分の総量を計算する際、昇熱材の投入量についてのみ、歩留りの値を乗じる。
(図5:ステップS503)
歩留り推定部113は、ステップS502の結果を用いて、第1期間における不明酸素(SL1不明酸素)を計算するとともに、第2期間における不明酸素(SL2不明酸素)を計算する。具体的には、ステップS502において算出した各期間における各元素成分の総インプット量と各期間の最終時点における各元素成分量の実績値から計算される各期間における各元素成分の減少量に対応する酸素の消費量を求め、酸素バランス式にしたがって、不明酸素を求めることができる。
(図5:ステップS504)
歩留り推定部113は、SL1不明酸素とSL2不明酸素がともに正値であるか否か確認する。ともに正値であれば本フローチャートを終了する。いずれかが負値であれば、現在の歩留りの値から所定量(例えば0.01)減算した上で、ステップS502に戻って同じ処理を繰り返す。これにより、実際に炉に対して投入された昇熱材量を間接的に推定することができる。
(図5:ステップS504:補足その1)
本ステップにおいては、不明酸素が正値であれば正常であるとみなすことにしたが、これに代えて、不明酸素がある正値範囲内(例えばこれまでの吹錬工程の実績から判明している範囲内)に収まっているか否かに基づき、不明酸素の計算結果が正常であるか否かを判定してもよい。
(図5:ステップS504:補足その2)
本ステップにおいて、不明酸素が所定範囲内に収まっているか否かに基づき昇熱材の歩留りを判定するのは、酸素収支が比較的正確に把握できて、算出される不明酸素の割合が比較的少ないからである。すなわち、SL1時点においては実測値に基づき各成分量をある程度正確に算出することができ、2次燃焼や鉄の酸化に消費される酸素の割合も比較的少ないので、不明酸素も比較的少量であり、正確に算出できるからである。本実施形態2はこのことを利用して、算出した不明酸素がマイナスであれば、吹錬工程に対して投入した昇熱材のうちいくらかが炉に対して投入されなかったと仮定することとしたものである。
<実施の形態3:残留炭素重量>
以上の実施形態においては、吹錬工程開始時点とSL1時点においてそれぞれ吹錬計算を実施することを説明した。実際の吹錬工程においては、SL1時点における実測値に応じて、オペレータがSL2のタイミングを再セットする場合がある。本発明の実施形態3では、この作業をアシストする機能について説明する。吹錬計算装置100の構成は実施形態1と同様である。
吹錬工程の排ガスについては、排ガス流量、排ガス内のCO濃度および排ガス内のCO濃度を、炉近傍に設置したセンサにより実測することができる。この実測値は、任意のタイミングで取得することができる。残留量推定部114は、取得した実測値を用いて、炉内に残留している炭素重量を以下の手順により求めることができる。
(炭素残留量の算出手順1)
残留量推定部114は、排ガス流量、排ガス内のCO濃度および排ガス内のCO濃度を取得する。残留量推定部114は、排ガス流量に対してCO濃度を乗算することによりCO流量を算出し、排ガス流量に対してCO濃度を乗算することによりCO流量を算出する。
(炭素残留量の算出手順2)
排ガス中の炭素重量は、排ガス内のCOに含まれる炭素重量と、排ガス内のCOに含まれる炭素重量との和である。排ガス内のCOに含まれる炭素重量は、(CO流量/1molの気体体積(22.4L)×炭素原子量(12))により求めることができる。排ガス内のCOに含まれる炭素重量は、(CO流量/22.4×12)により求めることができる。残留量推定部114は、以上の計算式により排ガス内の炭素重量を求める。
(炭素残留量の算出手順3)
排ガス内の炭素重量は、酸化した炭素の量とみなすことができる。残留量推定部114はこれを用いて、炉内に残留している炭素重量を計算することができる。計算した残留炭素重量(およびその経時変化)を、例えばオペレータが用いる操作画面上に表示することにより、オペレータの作業をアシストできる。
<実施の形態3:残留クロム重量>
例えばステンレス鋼などを精錬する場合、材料としてクロム合金(FeCr:フェロクロム)などを投入する場合がある。炉内に残留しているクロム重量の推移は、オペレータが吹錬計算に用いたクロム酸化量の推定値が実績値と概ね一致するか判断する際の参考情報として用いることができる。残留量推定部114は、以下の手順により炉内の残留クロム重量を求める。
(クロム残留量の算出手順1)
クロム濃度が3質量%以上の含クロム溶鉄の吹錬では、吹き込んだ酸素量のうち、炭素の酸化に用いられたもの以外は全てクロムの酸化に用いられると仮定することができ、クロムの酸化に用いられた酸素量は以下の計算式により求めることができる:(クロム酸化に用いられた酸素量)=(吹き込んだ酸素量)−(排ガス内のCOとCOの酸化に用いられた酸素量)−(空気から巻き込んだ酸素量)
(クロム残留量の算出手順1−1)
吹き込んだ酸素量は、制御値にしたがって取得することができる。
(クロム残留量の算出手順1−2)
排ガス内のCOとCOの酸化に用いられた酸素量は、排ガス内の炭素重量を算出するのと同様の手順により求めることができる。すなわち、排ガス内のCO流量とCO流量を取得し、酸素原子量と組成式に基づき計算することができる。
(クロム残留量の算出手順1−3)
残留量推定部114は、排ガス流量、排ガス内のCO濃度、排ガス内のCO濃度、排ガス内のO濃度および排ガス内のH濃度を取得する。排ガス内のその他の成分がNのみであると仮定すると、上記各濃度を100%から減算することにより、排ガス内のN濃度を求めることができる。排ガス内のNは巻き込んだ空気と酸素に混合したNからのものであるので、後者のN量を除いたN量から空気の組成比にしたがって、空気から巻き込んだ酸素量を求めることができる。
(クロム残留量の算出手順2)
クロムの酸化反応は以下の式で表される:Cr+0.75×O=0.5×Cr。したがって残留量推定部114は、求めたクロム酸化に用いられた酸素量(モル数)に対して0.75を乗算することにより、酸化したクロム量(モル数)を求めることができる。残留量推定部114はこれを用いて、炉内に残留しているクロム重量を計算することができる。計算した残留クロム重量(およびその経時変化)を、例えばオペレータが用いる操作画面上に表示することにより、オペレータの作業をアシストできる。
図6は、吹錬計算装置100が提示する画面例である。SL1時点以後においては、SL1時点における実測成分濃度を起点として、同様に炭素残留濃度とクロム残留濃度の推移を計算して表示することができる。炭素重量%とクロム重量%それぞれについて、計算結果と目標値を画面表示することにより、オペレータの作業をアシストすることができる。オペレータは例えば、SL1〜SL2の期間における炭素残留量とクロム残留量の計算結果の推移を見て、SL2のタイミングを再セットしたり、吹錬計算におけるクロム酸化量の推定値が適正だったか判断することができる。吹錬計算装置100は、例えば再セットしたSL2に基づき、2回目の吹錬計算を再実施してもよい。これにより、SL2のタイミングを工程途中で変更した場合であっても、吹錬計算を精度よく実施できる。
<実施の形態4>
以上の実施形態において、不明量推定部112は学習結果データ121を用いて、吹錬工程開始時点において、第1期間と第2期間それぞれの不明熱と不明酸素を推定することを説明した。本発明の実施形態4では、その具体例について説明する。
吹錬計算装置100は、吹錬工程を実施するごとに、以下の実績値を学習結果データ121として記録する:(a)吹錬工程の開始前に投入したスクラップ量、(b)吹錬工程の開始前に投入した合金鉄量、(c)吹錬工程の開始前に投入した溶融鉄量、(d)吹錬工程の途中で投入したスクラップ量、(e)吹錬工程の途中で投入した合金鉄量、(f)SL1時点における実測成分濃度と実測溶鋼温度、(g)SL2時点における実測成分濃度と実測溶鋼温度、(h)第1期間における不明熱と不明酸素、(i)第2期間における不明熱と不明酸素、(j)SL1時点における目標成分濃度、(k)SL1時点における目標溶鋼温度、(l)SL2時点における目標成分濃度、(m)SL2時点における目標溶鋼温度。含クロム溶鉄の吹錬を対象とする場合には、前述のように、これらに加えて第1期間におけるクロム酸化量と第2期間におけるクロム酸化量との実績値を計算して学習結果データ121として記録し、機械学習によるこれらの推定に用いることが望ましい。
不明量推定部112は吹錬計算に際して、上記(a)〜(m)を要素として有する特徴量ベクトルを取得し、学習結果データ121が記述している過去の吹錬工程における上記(a)〜(m)からなるベクトルとの間で、ベクトル間距離を求める。不明量推定部112は、過去の吹錬工程のうち、求めたベクトル間距離が小さいものが、今回の吹錬工程に近いと仮定し、その不明熱と不明酸素を今回の吹錬工程における不明熱と不明酸素の推定値として用いる。
不明量推定部112は、今回の吹錬工程に近い過去の吹錬工程を検索する際に、検索対象を絞り込んでもよい。例えば、(i)SL1時点における実測成分量とSL1時点における目標成分量との間の差分、(ii)SL2時点における実測成分量とSL2時点における目標成分量との間の差分、(iii)SL1時点における実測溶鋼温度とSL1時点における目標溶鋼温度との間の差分、(iv)SL2時点における実測溶鋼温度とSL2時点における目標溶鋼温度との間の差分、のうち少なくともいずれかが所定範囲内に収まっている過去の吹錬工程を検索対象としてもよい。
ベクトル間距離がある程度小さい過去の吹錬工程が複数存在する場合もある。この場合は(a)〜(m)それぞれに重みをつけ、ベクトル間距離をスコア化することにより、過去の吹錬工程をランク付けし、最もランクの高い過去の吹錬工程を選択するようにしてもよい。また、例えば不明量推定部112は、ランク順に整列した過去の吹錬工程を主な吹錬パラメータとともにオペレータに対して提示し、オペレータがそのなかから適当なチャージを複数個選択して平均化するなどしてもよい。例えば、(j)〜(m)を他のパラメータよりも重視し、これらの差分が小さい順にランク付けすることが考えられる。他のパラメータはより小さい重みを付与してもよい。これらのパラメータの重み付けは、予め過去の学習結果データから不明熱と不明酸素の推定値が実績値に近くなるように機械学習などによって決定したものを用いればよい。
不明量推定部112は、ベクトル間距離を用いる上記手法に代えて、これから実施する吹錬工程に最も近い過去の吹錬工程における不明熱と不明酸素を、機械学習器により検索してもよい。この場合は、例えば1回目の吹錬計算において、(a)〜(e)と(j)〜(m)を機械学習器に対して入力し、機械学習器はこれに最も近い過去の吹錬工程における不明熱と不明酸素を検索するように、あらかじめ機械学習器を構成しておけばよい。
また、SL1からSL2までの第2期間における不明熱と不明酸素を機械学習器により検索する際には、(a)〜(m)の吹錬パラメータを機械学習器に対して入力し、機械学習器はこれに最も近い過去の吹錬工程における不明熱と不明酸素を検索するように、あらかじめ機械学習器を構成しておけばよい。
機械学習を用いて学習することが有用なその他のパラメータとして以下が挙げられる。(n)炉の使用回数:炉を使用するごとに炉の内壁の耐火物が損耗するので、不明熱と不明酸素が次第に変化する。したがって、炉の使用回数と不明熱・不明酸素の対応関係を学習するのは有用である。(o)炉から溶鋼を出鋼した前回時刻から次に溶銑または素溶鋼を装入するまでの経過時間:この経過時間により炉の内壁の耐火物温度が異なるので、不明熱と不明酸素にも影響を与える。したがってこの経過時間と不明熱・不明酸素の対応関係を学習するのは有用である。(p)炉から溶鋼を出鋼した前回時刻から次に吹錬を開始するまでの経過時間:(o)と同様の理由である。
<本発明の変形例について>
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換える事が可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について他の構成の追加・削除・置換をすることができる。
以上の実施形態において、転炉を用いる吹錬工程について説明したが、その他の製鋼工程(例えばAODを用いるもの)においても、本発明に係る吹錬計算方法を用いることができる。この場合は、以上の説明における溶銑成分をその製鋼工程において用いるものに置き換えればよい。
100:吹錬計算装置
110:CPU
111:投入量計算部
112:不明量推定部
113:歩留り推定部
114:残留量推定部
120:記憶装置
121:学習結果データ

Claims (9)

  1. 吹錬工程において必要な酸素量、昇熱材量、および冷却材量を算出する吹錬計算方法であって、
    前記吹錬工程の開始時点から第1時点までの第1期間において必要な前記酸素量、前記昇熱材量、および前記冷却材量を算出する、第1計算ステップ、
    前記第1時点における溶鋼に含まれる元素成分量を実測することにより得られる第1実測成分量を取得するステップ、
    前記第1時点における溶鋼温度を実測することにより得られる第1実測溶鋼温度を取得するステップ、
    前記第1時点における不明熱を実測温度および実測濃度に基づき計算することにより得られる前記第1期間における実測不明熱を取得するステップ、
    前記第1時点における不明酸素を実測温度および実測濃度に基づき計算することにより得られる前記第1期間における実測不明酸素を取得するステップ、
    前記第1時点から前記吹錬工程の第2時点までの第2期間において必要な前記酸素量、前記昇熱材量、および前記冷却材量を算出する、第2計算ステップ、
    を有し、
    前記吹錬計算方法はさらに、前記第1期間と前記第2期間それぞれにおける不明熱と不明酸素を予測する予測ステップを有し、
    前記第1計算ステップにおいては、前記予測ステップにおいて予測した不明熱と不明酸素、前記吹錬工程の開始前に投入したスクラップ量、前記吹錬工程の開始前に投入した合金鉄量、前記吹錬工程の開始前に投入した溶融鉄量、前記第1時点における第1目標成分量、前記第2時点における第2目標成分量、前記第1時点における第1目標溶鋼温度、および前記第2時点における第2目標溶鋼温度を用いて、前記第1期間において必要な前記酸素量、前記昇熱材量、および前記冷却材量を算出し、
    前記第2計算ステップにおいては、前記予測ステップにおいて予測した不明熱と不明酸素、前記吹錬工程の開始前に投入したスクラップ量、前記吹錬工程の開始前に投入した合金鉄量、前記吹錬工程の開始前に投入した溶融鉄量、前記吹錬工程の途中で投入した合金鉄量、前記第1実測成分量、前記第1実測溶鋼温度、前記実測不明熱、前記実測不明酸素、前記第2目標成分量、および前記第2目標溶鋼温度を用いて、前記第2期間において必要な前記酸素量、前記昇熱材量、および前記冷却材量を算出する
    ことを特徴とする吹錬計算方法。
  2. 記予測ステップにおいては、過去の吹錬工程における吹錬パラメータ、過去の吹錬工程における実測不明熱、および過去の吹錬工程における実測不明酸素の関係を機械学習によって学習した結果を用いて、前記第1期間と前記第2期間それぞれにおける不明熱と不明酸素を予測する
    ことを特徴とする請求項1記載の吹錬計算方法。
  3. 吹錬工程において必要な酸素量、昇熱材量、および冷却材量を算出する吹錬計算方法であって、
    前記吹錬工程の開始時点から第1時点までの第1期間において必要な前記酸素量、前記昇熱材量、および前記冷却材量を算出する、第1計算ステップ、
    前記第1時点における溶鋼に含まれる元素成分量を実測することにより得られる実測成分量を取得するステップ、
    前記第1時点における溶鋼温度を実測することにより得られる実測溶鋼温度を取得するステップ、
    前記第1時点における不明熱を実測温度および実測濃度に基づき計算することにより得られる前記第1期間における実測不明熱を取得するステップ、
    前記第1時点における不明酸素を実測温度および実測濃度に基づき計算することにより得られる前記第1期間における実測不明酸素を取得するステップ、
    前記第1時点から前記吹錬工程の第2時点までの第2期間において必要な前記酸素量、前記昇熱材量、および前記冷却材量を算出する、第2計算ステップ、
    前記第1期間と前記第2期間それぞれにおける不明熱と不明酸素を予測する予測ステップ、
    を有し、
    前記第1計算ステップにおいては、前記予測ステップにおいて予測した不明熱と不明酸素を用いて、前記第1期間において必要な前記酸素量、前記昇熱材量、および前記冷却材量を算出し、
    前記第2計算ステップにおいては、前記予測ステップにおいて予測した不明熱と不明酸素、前記実測不明熱および前記実測不明酸素を用いて、前記第2期間において必要な前記酸素量、前記昇熱材量、および前記冷却材量を算出し、
    前記予測ステップにおいては、過去の吹錬工程における吹錬パラメータ、過去の吹錬工程における実測不明熱、および過去の吹錬工程における実測不明酸素の関係を機械学習によって学習した結果を用いて、前記第1期間と前記第2期間それぞれにおける不明熱と不明酸素を予測する
    ことを特徴とする吹錬計算方法。
  4. 前記第1計算ステップにおいては、前記第1期間における第1不明酸素と前記第2期間における第2不明酸素を計算し、
    前記吹錬計算方法はさらに、前記昇熱材量のうち実際に炉に対して投入された割合を算出する昇熱材歩留り計算ステップを有し、
    前記昇熱材歩留り計算ステップにおいては、前記昇熱材量を初期値から所定量ずつ減少させながら、前記第1不明酸素と前記第2不明酸素がともに所定の正値範囲内に収まるまで、前記第1計算ステップと前記第2計算ステップを繰り返すことにより、前記割合を算出する
    ことを特徴とする請求項1または3記載の吹錬計算方法。
  5. 前記吹錬計算方法はさらに、
    前記吹錬工程における排ガス流量、前記排ガス内のCO濃度、および前記排ガス内のCO濃度を取得するステップ、
    前記排ガス流量、前記CO濃度、および前記CO濃度を用いて、前記排ガス内におけるCO流量と前記排ガス内におけるCO流量を計算するステップ、
    前記CO流量と前記CO流量を用いて、前記吹錬工程の後に残っている炭素重量を計算するステップ、
    前記炭素重量を出力するステップ、
    前記第2時点を再セットする指示を受け取ってその指示にしたがって前記第2時点を再セットするステップ、
    を有し、
    前記第2時点を再セットした後に前記第2計算ステップを実施する
    ことを特徴とする請求項1または3記載の吹錬計算方法。
  6. 前記吹錬計算方法はさらに、
    前記吹錬工程に対して導入された吸込み酸素量を計算するステップ、
    前記吹錬工程における排ガス内のCOとCOに含まれる排ガス酸素量を、前記排ガス内のCO流量、前記排ガス内のCO 流量、酸素原子量、およびCOとCO の組成式に基づき計算するステップ、
    前記排ガスの流量、前記排ガス内のCO濃度、前記排ガス内のCO 濃度、前記排ガス内のO 濃度、前記排ガス内のH 濃度、前記排ガス内のN 濃度、および空気の組成比に基づき、前記吹錬工程に対して巻き込まれた空気内に含まれる巻込酸素量を計算するステップ、
    前記吸込み酸素量、前記排ガス酸素量、および前記巻込酸素量を用いて、前記吹錬工程のなかでクロムを酸化するために用いられたCr酸素量を計算するステップ、
    前記Cr酸素量を用いて、前記吹錬工程の後に残っているクロム重量を計算するステップ、
    前記クロム重量を出力するステップ、
    を有することを特徴とする請求項1または3記載の吹錬計算方法。
  7. 前記予測ステップは
    前記第2時点における溶鋼に含まれる元素成分量を実測することにより得られる第2実測成分量を取得するステップ、
    過去に実施した完了済吹錬工程のなかで前記吹錬工程と類似する類似吹錬工程を検索する類似吹錬工程検索ステップ、
    前記類似吹錬工程における不明熱と不明酸素を予測結果として出力するステップ、
    を有し、
    前記類似吹錬工程検索ステップにおいては、前記第1実測成分量と前記第1目標成分量との間の差分、前記第1実測溶鋼温度と前記第1目標溶鋼温度との間の差分、前記第2実測成分量と前記第2目標成分量との間の差分、前記第2時点における第2実測溶鋼温度と前記第2目標溶鋼温度との間の差分のうち少なくともいずれかが所定範囲内に含まれる前記完了済吹錬工程を検索対象とし、
    前記類似吹錬工程検索ステップにおいては、前記吹錬工程の開始前に投入したスクラップ量、前記吹錬工程の開始前に投入した合金鉄量、前記吹錬工程の開始前に投入した溶融鉄量、前記吹錬工程の途中で投入した合金鉄量、前記実測不明熱、前記実測不明酸素のうち少なくともいずれかと、前記完了済吹錬工程における対応する吹錬パラメータとを比較し、両者の間の差分が所定範囲内に収まる前記完了済吹錬工程を、前記類似吹錬工程として検索する
    ことを特徴とする請求項記載の吹錬計算方法。
  8. 前記類似吹錬工程検索ステップにおいては、前記第1目標成分量、前記第1目標溶鋼温度、前記第2目標成分量、および前記第2目標溶鋼温度と、前記完了済吹錬工程における対応する吹錬パラメータとを比較し、両者の間の差分が小さい順に、検索結果として出力する
    ことを特徴とする請求項記載の吹錬計算方法。
  9. 請求項1からのいずれか1項記載の吹錬計算方法をコンピュータに実行させることを特徴とする吹錬計算プログラム。
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