JP2007238982A - 転炉吹錬終点制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】転炉内に酸素を供給して溶銑吹錬を行なうに当たり、従来とは全く異なる手法を用いて吹錬途中から吹錬終点までの送酸量を定め、それにより転炉吹錬終点の溶鋼中成分濃度を目標値に精度良く的中させることのできる転炉吹錬終点制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】転炉吹錬中の排ガスを分析し、その分析した情報から吹錬途中の溶鋼中成分濃度、溶鋼温度を推定し、該推定した溶鋼中成分濃度、溶鋼温度に基づき、溶銑条件と吹錬条件とから当該吹錬の特徴を表すベクトルを定め、過去の吹錬実績データベースから当該吹錬のベクトルと類似したベクトルを有する吹錬を選定し、該選定した複数の類似吹錬に基づいて送酸量を推定する近似モデルを作成し、該近似モデルによって求められる送酸量を吹錬終了までの送酸量として決定する。
【選択図】図1
【解決手段】転炉吹錬中の排ガスを分析し、その分析した情報から吹錬途中の溶鋼中成分濃度、溶鋼温度を推定し、該推定した溶鋼中成分濃度、溶鋼温度に基づき、溶銑条件と吹錬条件とから当該吹錬の特徴を表すベクトルを定め、過去の吹錬実績データベースから当該吹錬のベクトルと類似したベクトルを有する吹錬を選定し、該選定した複数の類似吹錬に基づいて送酸量を推定する近似モデルを作成し、該近似モデルによって求められる送酸量を吹錬終了までの送酸量として決定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、転炉吹錬吹き止め (「終点」という) 時の溶鋼温度及び溶鋼中各成分を目標値に精度良く的中させることのできる転炉吹錬終点制御方法に関するものである。
これまでの転炉脱炭炉における吹錬制御を目的としたスタティック計算では、目標に対して必要な酸素量をスタティックな物質収支計算により算出する手法や、ダイナミック計算では途中サブランスによる溶鋼温度、炭素濃度の測定結果から吹き止めまでに必要な酸素量、冷却材量の計算を行う手法が提案されている。
例えば、特許文献1には、スタティック制御モデル式またはダイナミック制御モデル式として下記の(1)式を用い、補正項Δaを吹錬終了毎に更新したり、指数平滑法を用いたりして補正する方法が提案されている。但し、(1)式において、yは吹錬終点までに必要な酸素量、x1 、x2、…xn は吹錬条件であり、Δaは補正項である。
y=f(x1,x2,・・・・、xn)+Δa ・・・・(1)
また、特許文献2には、吹錬途中のサブランス投入までの操業情報と、測定した溶鋼温度及び溶鋼中炭素濃度と、吹錬終点時の目標炭素濃度及び目標溶鋼温度とを入力とし、サブランス投入から吹錬終点までの必要酸素量及び必要冷却材量を出力とするニューラルネットワークを構成し、吹錬実績データを用いて定期的にニューラルネットワークの重みを更新させて、前記必要酸素量及び必要冷却材量を出力する方法が提案されている。
また、特許文献2には、吹錬途中のサブランス投入までの操業情報と、測定した溶鋼温度及び溶鋼中炭素濃度と、吹錬終点時の目標炭素濃度及び目標溶鋼温度とを入力とし、サブランス投入から吹錬終点までの必要酸素量及び必要冷却材量を出力とするニューラルネットワークを構成し、吹錬実績データを用いて定期的にニューラルネットワークの重みを更新させて、前記必要酸素量及び必要冷却材量を出力する方法が提案されている。
さらに、特許文献3には、転炉吹錬のダイナミック制御を行うにあたり、鋼精錬用の上底吹き転炉において、排ガス煙道中に排ガス分析検出部を設置すると共に、メインランス内に点火温度検出部を設置し、これらの検出結果及び送酸量より脱炭量を推定して火点での反応熱量を求め、併せて排ガス中のCO及びCO2 濃度より二次燃焼による反応熱量を求め、実測した排ガス温度及び火点温度より溶鋼・スラグへの着熱分配率を決定して溶鋼・スラグ温度を推定し、この推定値に対応して送酸量、ランス高さ、底吹きガス流量を操作することで溶鋼・スラグ温度を制御する方法が提案されている。
しかしながら、前述の特許文献1または特許文献2に記載の方法でも、操業変動や経時変化を十分には反映できず、以下のような問題があった。
即ち、特許文献1では、基本的に直前に実施した吹錬の実績に基づく補正が中心であり、過去の吹錬の影響は指数平滑回路のみによって反映されており、吹錬条件全体の類似性が反映されていないことである。また、特許文献2では、ニューラルネットワークによる学習であるため、学習に用いた操業の吹錬条件は或る程度反映されるが、学習に用いられていない操業の吹錬条件は全く反映されず、操業条件の汎化性に欠けることである。また、ニューラルネットワークの学習には多大な計算を要する上に頻繁に再学習をしないと状況の変化に追従できないという問題もある。
さらに、特許文献1または特許文献2に記載の方法は、脱炭吹錬に関する技術であり、脱燐吹錬には以下の理由で適用できないという問題もある。
即ち、(1)複雑な反応プロセスで、目標に対して必要な酸素量をスタティックな物質収支計算により操業前に算出するスタティック計算では、操業を的確に表現することができない、(2)ダイナミック制御を行なうためには、脱炭吹錬のように操業途中にサブランスにより、溶鋼温度、炭素濃度を測定する必要があるが、脱燐吹錬では、吹錬時間短縮、コスト削減の制約から、サブランスによる測定が使用できない、というものである。
次に、特許文献3は、吹錬中に時々刻々変化するプロセス実績にもとづいて溶鋼中の成分濃度及び温度を推定することで、上述の(2)の問題は解決できるが、その推定値にもとづいてダイナミック制御を実現しようとする際の、制御パラメータの決定方法がなんら開示されておらず、上述の特許文献1および特許文献2と同様の問題があった。
更に、特許文献1または特許文献2に記載の方法は、基本的にダイナミック制御モデルを用いたものであり、ダイナミック制御モデルで用いている対数関数や双曲線関数は単なる関数の当て嵌めであって、その根拠は薄いという問題点があり、また、ダイナミック制御モデルでは、転炉の使用状況や経年変化などを反映させることが極めて困難であるという問題点もあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、転炉内に酸素を供給して溶銑吹錬を行なうに当たり、従来とは全く異なる手法を用いて吹錬途中から吹錬終点までの送酸量を定め、それにより転炉吹錬終点の溶鋼中成分濃度を目標値に精度良く的中させることのできる転炉吹錬終点制御方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、転炉吹錬中の排ガスを分析し、その分析した情報から吹錬途中の溶鋼中成分濃度、溶鋼温度を推定し、該推定した溶鋼中成分濃度、溶鋼温度に基づき、溶銑条件と吹錬条件とから当該吹錬の特徴を表すベクトルを定め、過去の吹錬実績データベースから当該吹錬のベクトルと類似したベクトルを有する吹錬を選定し、該選定した複数の類似吹錬に基づいて送酸量を推定する近似モデルを作成し、該近似モデルによって求められる送酸量を吹錬終了までの送酸量として決定することを特徴とする転炉吹錬終点制御方法である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の転炉吹錬終点制御方法において、前記類似吹錬を、当該吹錬のベクトルと、過去の吹錬のベクトルとの較差のノルムによって選定することを特徴とする転炉吹錬終点制御方法である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の転炉吹錬終点制御方法において、前記近似モデルを、類似吹錬の集合から得られる回帰式として求めることを特徴とする転炉吹錬終点制御方法である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の転炉吹錬終点制御方法において、前記近似モデルを、類似吹錬の集合から得られる回帰式として求めることを特徴とする転炉吹錬終点制御方法である。
さらに、本発明の請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の転炉吹錬終点制御方法において、前記近似モデルを、当該吹錬と類似吹錬との距離に応じた荷重和から求めることを特徴とする転炉吹錬終点制御方法である。
本発明は、転炉吹錬中の排ガスを分析し、その分析した情報から吹錬途中の溶鋼中炭素濃度、溶鋼中酸素濃度、溶鋼温度を推定し、推定した溶鋼中炭素濃度、溶鋼中酸素濃度、、溶鋼温度に基づき、溶銑条件と吹錬条件とから吹錬の特徴を表すベクトルを定め、このベクトルに基づいて類似する吹錬を選定し、選定した複数の類似吹錬に基づいて、吹錬終点までの送酸量を定めているので、脱燐吹錬においてもダイナミック制御モデルが適用可能とし、従来の制御方法に比べて格段に精度良く、転炉吹錬終点の溶鋼中成分濃度、及び溶鋼温度を目標値に的中させることが可能となる。その結果、製品品質及び鉄歩留まりが向上するのみならず、転炉耐火物の延命効果、二次精錬の負荷低減などの波及効果が得られ、工業上有益な効果がもたらされる。
本発明を実施するための最良の形態について、脱燐吹錬を例として、以下に図および式を参照して具体的に説明を行う。
高炉から出銑された溶銑を転炉に装入し、酸素を上吹き或いは底吹きして脱燐吹錬を開始する。この脱燐吹錬では、主原料として溶銑以外に鉄スクラップ、還元鉄などの冷鉄源を使用してもよく、また、生石灰、ドロマイトなどの媒溶剤や合金鉄代替のマンガン鉱石或いは冷却材としての鉄鉱石、ミルスケールなどを装入してもよい。溶銑配合比、生石灰やマンガン鉱石などの副原料の投入量に応じて、溶鋼成分の炭素、燐、珪素、マンガン及び溶鋼温度を目標値に一致させるように、スタティックな物質収支の計算に基づいて必要な送酸量並びに冷却材の添加量を算出し、その送酸量及び冷却材添加量に沿って脱燐吹錬を開始する。
その後、脱燐吹錬中に、転炉脱燐吹錬中に排出される排ガスを排ガスを排ガス分析装置によって分析して、冶金反応理論に基づいた物理モデルに、その排ガス情報や操業情報などの時々刻々変化する実績情報を入力して、その分析した情報から吹錬途中の溶鋼中成分濃度(C、O、P、Mn、Si)、溶鋼温度を推定する。例えば、溶鋼中の炭素濃度は、定周期で排ガスのCO濃度,CO2 濃度,排ガス流速を測定し、排ガス補正係数Kを用いて、下記に示す公知の式を用いて炭素濃度〔C〕tを推定すればよい。
また、溶鋼温度は、吹錬開始から現時点までの入力熱量および出力熱量との熱収支バランスに基づく温度推移をみることによって算出することができる。溶鋼温度は、吹錬開始から現時点までの入力熱量((5)式)および出力熱量((6)式)との熱収支バランス、にもとづく温度推移をみることによって算出する。
InputQ=Qi+QC+QSi+QMn+QP ・・・・・(5)
OutputQ=QSt+QSl+QG+QO+QSC ・・・・・(6)
Qi:溶銑顕熱
QC:炭素C反応熱
QSi:珪素Si反応熱
QMn:マンガンMn反応熱
QP:燐P反応熱
QSt:溶鋼顕熱
QSl:スラグ顕熱
QG:排ガス顕熱
QO:酸化鉄系冷却剤溶融分解熱
QSC :スケール溶融分解熱
そして、上述の(5)式と(6)式が等しくなる温度が、下記(7)式で算出される。
Tt=f(QSt)=f{InputQ−(QSl+QG+QO+QSC)} ・・・・・(7)
Tt:吹錬開始から時刻tにおける溶鋼温度
InputQ:時刻tにおける入力熱量の積算値
OutputQ=QSt+QSl+QG+QO+QSC ・・・・・(6)
Qi:溶銑顕熱
QC:炭素C反応熱
QSi:珪素Si反応熱
QMn:マンガンMn反応熱
QP:燐P反応熱
QSt:溶鋼顕熱
QSl:スラグ顕熱
QG:排ガス顕熱
QO:酸化鉄系冷却剤溶融分解熱
QSC :スケール溶融分解熱
そして、上述の(5)式と(6)式が等しくなる温度が、下記(7)式で算出される。
Tt=f(QSt)=f{InputQ−(QSl+QG+QO+QSC)} ・・・・・(7)
Tt:吹錬開始から時刻tにおける溶鋼温度
InputQ:時刻tにおける入力熱量の積算値
そして、推定した現時点から吹錬終点までに必要な送酸量を定める方法について説明する。送酸量の設定に当たっては、本発明では、転炉脱燐吹錬における酸素供給量、即ち送酸量を直接計算することのできる近似モデルを作成し、作成した近似モデルから送酸量を計算する。そして本発明では、この近似モデルを作成するに当たり、送酸量の計算対象となるチャージの吹錬と類似した過去のチャージの吹錬を集め、その集まった実績データから適切なモデルを構築する。
このモデルの構築方法及び構築したモデルの学習方法は数多く考えられるが、本発明は、そのうちの1つの方法を提供するものであり、そして、その手法は、送酸量の計算対象となるチャージの吹錬条件の近傍を定め、その近傍で成立するモデルをその都度構築するという手法を用いている。図1に、本発明による送酸量算出方法の手順を示す。
先ず、吹錬の特徴を表す物理量(溶銑温度、溶銑量、溶銑配合比、溶銑成分、目標成分、目標温度、副原料添加量など)からなり、下記の(2)式で表されるベクトルXを定める(S1)。ここで、(8)式に示すxi (i=1,2・・・・n)は、ベクトルXを構成する要素であり、具体的には溶銑温度、溶銑量などの吹錬の特徴を表す物理量である。
X=(x1,x2,x3,・・・,xn) ・・・(8)
次に、所定期間のデータが保存してある吹錬実績データベースから類似データを抽出する。類似データの抽出に当たり、ベクトルXの各要素の平均値μi と標準偏差σi (i =1〜n)とを算出する(S2)。そして、算出した平均値μi 及び標準偏差σi と、下記の(9)式とを用いて要素xi を要素xi'に変換し、要素xi'からなる正規化ベクトルX' を作成する(S3)。
次に、所定期間のデータが保存してある吹錬実績データベースから類似データを抽出する。類似データの抽出に当たり、ベクトルXの各要素の平均値μi と標準偏差σi (i =1〜n)とを算出する(S2)。そして、算出した平均値μi 及び標準偏差σi と、下記の(9)式とを用いて要素xi を要素xi'に変換し、要素xi'からなる正規化ベクトルX' を作成する(S3)。
Xi’=(xi−μi)/σi ・・・・(9)
また、送酸量の計算対象となるチャージのベクトルX0 を作成し、前述した平均値μi 及び標準偏差σi と(9)式とを用いて正規化ベクトルX0'を作成する(S4)。この計算に当たり、終点の溶鋼温度、終点の溶鋼成分などは目標値を使用し、各副原料の添加量は投入予定量を使用する。
また、送酸量の計算対象となるチャージのベクトルX0 を作成し、前述した平均値μi 及び標準偏差σi と(9)式とを用いて正規化ベクトルX0'を作成する(S4)。この計算に当たり、終点の溶鋼温度、終点の溶鋼成分などは目標値を使用し、各副原料の添加量は投入予定量を使用する。
このように吹錬の特徴を示すベクトルを正規化した上で、ベクトルX0'に類似したデータを過去の実績データベースから探して選ぶ(S5)。この場合、類似度の決め方は、個々の要素xi'の値の大きさが所定の範囲内になることなど、様々の手法で類似度を決めることが可能であるが、本発明では、類似度をベクトルの較差のノルムで定義し、較差のノルムの小さいものほど類似度が高いと定義する。類似度をベクトルの較差のノルムで定義する方法を以下に示す。
ベクトルX0'を基準として、データベースに保存される正規化されたベクトルX' との較差ΔX' を下記の(10)式により求める。
ΔX’=X'―X0’ ・・・(10)
求めた較差ΔX' のノルムを下記の(11)式を用いて算出する。但し、(11)式におけるxi'はベクトルX' の要素で、xi 0'はベクトルX0'の要素である。
求めた較差ΔX' のノルムを下記の(11)式を用いて算出する。但し、(11)式におけるxi'はベクトルX' の要素で、xi 0'はベクトルX0'の要素である。
|ΔX|=SQRT{(x1'―x1 0’)+(x2'―x2 0’)+・・・+(xn'―xn 0’)} ・・・(11)
或いは、(11)式において、個々の要素に重み係数wi を導入した下記の(12)式を用いてノルムを算出してもよい。
或いは、(11)式において、個々の要素に重み係数wi を導入した下記の(12)式を用いてノルムを算出してもよい。
|ΔX'|=SQRT{w1(x1'―x1 0’)+w2(x2'―x2 0’)+・・・+wn(xn'―xn 0’)}・・・(12)
このようにして較差ΔX' のノルムを求める。データの近傍数kを定め、較差ΔX' のノルムの小さいものから、即ち(11)式或いは(12)式で算出される|ΔX' |の小さいものから順にk個の過去のチャージを集める。尚、近傍数kは、「赤池の情報量基準」、「予測誤差」、「クロスバリデーション法」などで定めることができる。集めた類似チャージのデータから、吹錬途中のサブランス投入時点から吹錬終点までの送酸量(「末期送酸量」とも呼ぶ)を算出するモデルを作成する(S6)。
このようにして較差ΔX' のノルムを求める。データの近傍数kを定め、較差ΔX' のノルムの小さいものから、即ち(11)式或いは(12)式で算出される|ΔX' |の小さいものから順にk個の過去のチャージを集める。尚、近傍数kは、「赤池の情報量基準」、「予測誤差」、「クロスバリデーション法」などで定めることができる。集めた類似チャージのデータから、吹錬途中のサブランス投入時点から吹錬終点までの送酸量(「末期送酸量」とも呼ぶ)を算出するモデルを作成する(S6)。
ここで、集めた類似チャージのデータから末期送酸量を求める関数は、様々な形式が考えられるが、本発明では、先ず1つの方法として、関連項目による回帰式によって求める方法を説明する。
前述のモデル式による推定時点から吹錬終点までの送酸量即ち末期送酸量を求める回帰式の最も簡単な形は、下記の(13)式となる。但し、(13)式において、ΔOは末期送酸量、ΔCは終点時の目標炭素濃度とサブランス投入時期の溶鋼中炭素濃度との差、a1及びa2 は係数である。
ΔO=a1×ΔC+a2 ・・・・(13)
ここで、ベクトルX0'の近傍データとして集めたデータを用いて(13)式の係数a1 ,a2 を最小二乗法などで求める。このようにして定めた(13)式から、末期送酸量ΔOを算出する(S7)。
ここで、ベクトルX0'の近傍データとして集めたデータを用いて(13)式の係数a1 ,a2 を最小二乗法などで求める。このようにして定めた(13)式から、末期送酸量ΔOを算出する(S7)。
(13)式における回帰された係数a1 ,a2は、データを類似データという或る近傍内に限定しているので、末期送酸量ΔOの推定精度を高めることができる。また、回帰式に用いる項目は上記のΔCに限らず、推定した時点の溶鋼中炭素濃度及び終点時の溶鋼中目標炭素濃度を個々に説明変数としてもよく、更に、推定した時点や終点時の溶鋼中酸素濃度及び溶鋼温度、或いはこれらからなる関数を説明変数としてもよい。
次いで、集めた類似チャージのデータから末期送酸量を求める他の1つの方法である、類似吹錬の距離に応じた積算送酸量の荷重和から求める方法を説明する。
この方法では、ベクトルX0'と各近傍データベクトルX' との距離|ΔX' |を用いて算出する。近傍データベクトルとして選定(S5参照)されたX1'、X2'、…、Xk'のk個の各ベクトルと、ベクトルX0'との距離d1 ,d2 ,…,dk を、下記の(8)式を用いて算出する。このとき、具体的な距離計算式は、前述した(11)式及び(12)式などの他、ノルム計算式ならどれも可能性がある。
di=|Xi ’−X0 ’| ・・・・(14)
ここで最大距離dmax を下記の(15)式とする。
ここで最大距離dmax を下記の(15)式とする。
dmax=max(d1,d2,・・・dk) ・・・・(15)
また、各距離di に基づいた重みkiを下記の(16)式に定義する。(16)式に示すように、重みkiは距離|ΔX' |が小さいほど大きくなる。換言すれば、距離|ΔX' |が小さいほど影響が強くなる。
また、各距離di に基づいた重みkiを下記の(16)式に定義する。(16)式に示すように、重みkiは距離|ΔX' |が小さいほど大きくなる。換言すれば、距離|ΔX' |が小さいほど影響が強くなる。
ki={1−(di/dmax)3}3 ・・・(16)
各ベクトルXi'における末期送酸量の実績をΔOiとすると、ベクトルX0'の末期送酸量ΔO、即ち計算対象のチャージの末期送酸量は、各ベクトルXi'における末期送酸量実績ΔOiと重みkiとから下記の(17)式によって求めることができる(S7)。
各ベクトルXi'における末期送酸量の実績をΔOiとすると、ベクトルX0'の末期送酸量ΔO、即ち計算対象のチャージの末期送酸量は、各ベクトルXi'における末期送酸量実績ΔOiと重みkiとから下記の(17)式によって求めることができる(S7)。
尚、上記の計算は全て計算機によって行なわれる。
このようにして推定演算後の送酸量を定めることで、脱炭吹錬終点時の炭素濃度をはじめとする溶鋼成分が所定の範囲内に精度良く制御され、その結果、製品の品質が向上するのみならず、転炉耐火物の延命効果、二次精錬の負荷低減などの波及効果を得ることができる。
本実施形態は、脱燐吹錬における制御方法を説明したが、脱炭吹錬においても同様に可能であることはいうまでもない。
成分、温度を所定の周期で推定することによって、図2に示すように、連続的に温度推定が可能となる。こうすることで、途中サブランス装入を行わないサブランスレス操業においてもダイナミック計算が可能となる。また、あらかじめ周期的にデータ採集を行っておき、図3に示すようなデータベース構造を時系列のマトリックスとして保持しておく。このようなデータベースを持つことで、図2に示す任意のダイナミック計算時にも、脱P操業が順調に行われたものの中で、対象チャージに最も近い状態の過去実績データを検索することが可能となり、抽出した類似実績によるモデリングを行い、吹止までに必要な酸素量、副原料、その他操業アクションをガイダンスすることが可能となる。
Claims (4)
- 転炉吹錬中の排ガスを分析し、その分析した情報から吹錬途中の溶鋼中成分濃度、溶鋼温
度を推定し、
該推定した溶鋼中成分濃度、溶鋼温度に基づき、溶銑条件と吹錬条件とから当該吹錬の特徴を表すベクトルを定め、
過去の吹錬実績データベースから当該吹錬のベクトルと類似したベクトルを有する吹錬を
選定し、
該選定した複数の類似吹錬に基づいて送酸量を推定する近似モデルを作成し、
該近似モデルによって求められる送酸量を吹錬終了までの送酸量として決定することを特徴とする転炉吹錬終点制御方法。 - 請求項1に記載の転炉吹錬終点制御方法において、
前記類似吹錬を、当該吹錬のベクトルと、過去の吹錬のベクトルとの較差のノルムによって選定することを特徴とする転炉吹錬終点制御方法。 - 請求項1または請求項2に記載の転炉吹錬終点制御方法において、
前記近似モデルを、類似吹錬の集合から得られる回帰式として求めることを特徴とする転
炉吹錬終点制御方法。 - 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の転炉吹錬終点制御方法において、
前記近似モデルを、当該吹錬と類似吹錬との距離に応じた荷重和から求めることを特徴と
する転炉吹錬終点制御方法。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006060632A JP2007238982A (ja) | 2006-03-07 | 2006-03-07 | 転炉吹錬終点制御方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012214850A (ja) * | 2011-04-01 | 2012-11-08 | Jfe Steel Corp | 溶銑温度の推定方法 |
CN110851497A (zh) * | 2019-11-01 | 2020-02-28 | 唐山钢铁集团有限责任公司 | 一种检测转炉吹氧是否不着火的方法 |
CN113388712A (zh) * | 2021-06-15 | 2021-09-14 | 马鞍山钢铁股份有限公司 | 一种低碳lf炉工艺钢转炉冶炼方法 |
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2006
- 2006-03-07 JP JP2006060632A patent/JP2007238982A/ja active Pending
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