JP3874348B2 - ブラシレスdcモータ、ブラシレスdcモータ駆動装置、および圧縮機 - Google Patents

ブラシレスdcモータ、ブラシレスdcモータ駆動装置、および圧縮機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内部に永久磁石を埋め込んでなる回転子を有するブラシレスDCモータ、このブラシレスDCモータを駆動する装置、およびこの装置により駆動されるブラシレスDCモータを駆動源とする圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内部に永久磁石を埋め込んでなる回転子を有するブラシレスDCモータとして、特開平9−140076号公報に示す永久磁石モータ、および特開2000−116043号公報に示すブラシレスDCモータが提案されている。
【0003】
特開平9−140076号公報に示す永久磁石モータは、図1、図2に示すように、磁石両端部を尖端形状(θを約90°)として、リラクタンストルクの向上、トルクリプルの軽減を達成するものである。ただし、高調波騒音(固定子にかかる法線方向の電磁力)に対しての言及はなく、騒音に対しての最適な設計にはなっていない。また、この永久磁石モータでは、磁石両面側の鉄心(Pa1、Pa2)に磁束を流す必要があるため、回転子の最外周に位置する永久磁石の両端部を尖端形状にすることが必須条件となっている。
【0004】
特開2000−116043号公報に示すブラシレスDCモータは、図3に示すように、モータ駆動時の回転子から固定子に流れ込む磁束の急激な変化を、回転子外周に凹部31を設けることにより緩和するものである。この構成は、制御性を向上するため誘起電庄を正弦波状にするためのものであり、また、誘起電圧を正弦波状にすると、固定子にかかる法線方向の電磁力の高調波成分を緩和することができ、騒音に対しても有効である。しかし、このブラシレスDCモータでは、回転子−固定子間のエアギャップを不均一にすることが必要なため、コギングトルク(無負荷トルク脈動)が発生し、効率よく騒音を低減することはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ブラシレスDCモータ、特にリラクタンストルクを併用する永久磁石を回転子に埋め込んでなるブラシレスDCモータにおいては、回転子鉄芯が回転子の表面に存在するため、固定子と回転子との間の磁気的エアギャップが小さく、回転子表面の鉄芯形状により複雑な磁束が流れ、ひいてはその磁束の急激な変化などで高調波成分の磁束が発生する。
【0006】
そして、その高調波成分の磁束は、トルクには寄与しない法線方向の電磁力をも発生させ、それが高調波のモータ加振力となり振動騒音の要因となっていた。
【0007】
また、上記の高調波成分の磁束は、振動騒音以外に鉄損の増加の原因となっていた。
【0008】
さらに、図3に示すように回転子外周に凹部を設ける場合には、モータ組立時に、固定子−回転子の芯を出す工程が困難になってしまう。
【0009】
したがって、簡単な回転子構造で磁石磁束によるトルクとリラクタンストルクを有効に使うことができ、かつ、騒音低減のため誘起電圧を正弦波状にできるモータ形状が望まれている。
【0010】
【発明の目的】
この発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な回転子構造で磁石磁束によるトルクとリラクタンストルクを有効に使うことができ、かつ、誘起電圧を正弦波状に近似できるブラシレスDCモータ、このブラシレスDCモータを駆動する装置、およびこの装置により駆動されるブラシレスDCモータを駆動源とする圧縮機を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1のブラシレスDCモータは、内部に永久磁石を埋め込んでなる回転子を有するものであって、回転子内の各永久磁石とその外周方向に隣接している磁性体との、回転子の中心軸を含む所定の平面と直交する方向の両端に、永久磁石の厚みよりも大きい空隙もしくは非磁性体からなるバリア部を設けてなり、このバリア部として、回転子極に面する側のバリア部先端部を所定量だけ削ってなるのと等価な形状を有しており、前記バリア部の先端部の削り始めに相当する位置を、バリア部の幅の50%の位置に設定し、前記バリア部の先端部と極側面とのなす角度を118°に設定したものを採用するものである。
【0014】
請求項2のブラシレスDCモータは、前記回転子として、真円筒形状を有しているものを採用するものである。
【0015】
請求項3のブラシレスDCモータは、各永久磁石を基準として、両側のバリア部を、回転子極に面する側のバリア部先端部を所定量だけ削ってなるのと等価な形状を有するものとしたものである。
【0016】
請求項4のブラシレスDCモータは、各永久磁石を基準として、回転子の回転側のバリア部を、回転子極に面する側のバリア部先端部を所定量だけ削ってなるのと等価な形状を有するものとしたものである。
【0017】
請求項5のブラシレスDCモータは、固定子として、直巻巻線を有するものを採用するものである。
【0018】
請求項6のブラシレスDCモータ駆動装置は、固定子印加電圧、モータ電流、および請求項1から請求項5の何れかのブラシレスDCモータの機器定数を用いて所定の演算を行って回転子の回転位置を推定し、推定された回転位置に基づいて、請求項1から請求項5の何れかのブラシレスDCモータに電圧もしくは電流を供給するためのインバータを制御するインバータ制御手段を有するものである。
【0019】
請求項7の圧縮機は、請求項6のブラシレスDCモータ駆動装置により駆動されるブラシレスDCモータを駆動源とするものである。
【0020】
【作用】
請求項1のブラシレスDCモータであれば、内部に永久磁石を埋め込んでなる回転子を有するものであって、回転子内の各永久磁石とその外周方向に隣接している磁性体との、回転子の中心軸を含む所定の平面と直交する方向の両端に、永久磁石の厚みよりも大きい空隙もしくは非磁性体からなるバリア部を設けてなり、このバリア部として、回転子極に面する側のバリア部先端部を所定量だけ削ってなるのと等価な形状を有しており、前記バリア部の先端部の削り始めに相当する位置を、バリア部の幅の50%の位置に設定し、前記バリア部の先端部と極側面とのなす角度を118°に設定したものを採用するのであるから、磁束の急激な変化を抑制して磁束の高調波成分を緩和し、ひいては、効率を低下させることなく、低騒音化、低振動化を実現することができ、しかも、トルクリプルの6次、12次、18次、24次の高調波成分を抑制できる。
【0023】
請求項2のブラシレスDCモータであれば、前記回転子として、真円筒形状を有しているものを採用するのであるから、風損の増加を防止できるとともに、ブラシレスDCモータ組立時の工程を容易にできるほか、請求項1と同様の作用を達成することができる。
【0024】
請求項3のブラシレスDCモータであれば、各永久磁石を基準として、両側のバリア部を、回転子極に面する側のバリア部先端部を所定量だけ削ってなるのと等価な形状を有するものとしているので、双方向に回転可能なブラシレスDCモータに好適であるほか、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0025】
請求項4のブラシレスDCモータであれば、各永久磁石を基準として、回転子の回転側のバリア部を、回転子極に面する側のバリア部先端部を所定量だけ削ってなるのと等価な形状を有するものとしているので、一方向のみに回転可能なブラシレスDCモータに好適であるほか、請求項1または請求項2と同様の作用を達成することができる。
【0026】
請求項5のブラシレスDCモータであれば、固定子として、直巻巻線を有するものを採用するのであるから、騒音低減効果を高めることができるほか、請求項1から請求項4の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0027】
請求項6のブラシレスDCモータ駆動装置であれば、固定子印加電圧、モータ電流、および請求項1から請求項5の何れかのブラシレスDCモータの機器定数を用いて所定の演算を行って回転子の回転位置を推定し、推定された回転位置に基づいて、請求項1から請求項5の何れかのブラシレスDCモータに電圧もしくは電流を供給するためのインバータを制御するインバータ制御手段を有するのであるから、ブラシレスDCモータを高温高圧環境下で使用する場合であってもブラシレスDCモータを安定に駆動することができる。
【0028】
請求項7の圧縮機であれば、請求項6のブラシレスDCモータ駆動装置により駆動されるブラシレスDCモータを駆動源とするのであるから、安定に駆動することができるとともに、騒音を低減することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、この発明のブラシレスDCモータ、ブラシレスDCモータ駆動装置、および圧縮機の実施の態様を詳細に説明する。
【0030】
図4はこの発明のブラシレスDCモータの一実施態様に組み込まれる回転子の構成を示す縦断面図である。なお、固定子の構成は従来公知であるから、説明を省略する。
【0031】
この回転子1は、電磁鋼板などを積層してなる回転子コア1aの内部に永久磁石1bを配置しているとともに、永久磁石1bとその外周方向に隣接している磁性体1cとの両端に、磁石厚みよりも大きいバリア部1dを設けている。なお、1eは回転軸、1fはバリア部1d同士の間に位置するリブである。
【0032】
前記永久磁石1bとしては、フェライト磁石、希土類磁石などが例示できる。そして、各永久磁石1bは、回転子1の中心軸と平行、かつ極対数に基づいて定まる所定の半径方向と直交する平面上に位置するように、埋め込み状に装着されている。
【0033】
前記バリア部1dは、各永久磁石1bの磁束短絡を防止するためのものであり、空隙もしくは非磁性体で構成されている。そして、各バリア部1dは、永久磁石1bの延長方向に所定長さだけ延び、続いて回転子コア1aの表面に向かって延びる形状を有している。なお、バリア部1dは、回転子コア1aの表面までは延びておらず、回転子コア1aの表面との間にブリッジ部1gを形成している(図5参照)。
【0034】
また、図5に示すように、バリア部1dは、回転子コア1aの表面と対向する部分の一部が直線状に切除された1d'のと等価な形状を有している。なお、Wはバリア部1dの幅を、θは削り角度(バリア部の先端と極側面とのなす角度)を、η×Wは削り始めまでの距離を、それぞれ表している。
【0035】
ただし、図6に示すように、バリア部1dは、回転子コア1aの表面と対向する部分の一部が円弧状に切除されたのと等価な形状を有していてもよい。なお、ブリッジ部に対応する部分の接線と円弧状部の接線とのなす角Ψが0以上に設定される。
【0036】
上記の構成のブラシレスDCモータの作用は次のとおりである。
【0037】
固定子に流れ込む磁束、つまり固定子巻線に鎖交する磁束は誘起電圧として考えることができる(V=dφ/dt:ここでφは電機子巻線に鎖交する磁束)。図7は回転子を無負荷にて回転させたときの巻線両端にかかる誘起電圧を測定したものである。
【0038】
図7における高調波磁束の発生ポイントは、回転子外周の極とバリア部の境界が固定子歯部先端付近を通過するポイントと一致する。
【0039】
これは、回転子から出た磁束のうち、巻線部を鎖交せず再び回転子に戻っていた磁束(図8を参照)が完全になくなってしまったために起こる。
【0040】
したがって、この磁束の急激な変化を抑えることができれば、誘起電庄の歪率を抑えると共に磁束の高調波成分を緩和することが可能になる。
【0041】
そこで、この実施態様では、バリア部1dの形状を、回転子極に面する側のバリア部先端を削ったのと等価な形状とすることにより(図4参照)、磁束の急激な変化を抑制し、磁束の高調波成分を緩和している。
【0042】
図9は、この実施態様の磁束の流れ{図9中(B)参照}と従来のブラシレスDCモータの磁束の流れ{図9中(A)参照}とを示したもので、この実施態様を採用することによって、回転子外周付近の磁束の急激な変化を緩和していることが分かる。
【0043】
この実施態様の誘起電庄に対する効果の一例を図10に示す。なお、黒四角が従来のブラシレスDCモータにおける高調波次数毎の誘起電圧を、黒菱形がこの実施態様のブラシレスDCモータにおける高調波次数毎の誘起電圧を、それぞれ示している。この図では5次の成分が大きくなっているが、この例は、8f、10f、14f(おもに7次、11次、13次の電流高調波が原因となる)の騒音を低減するために設計したものである。なお、fは駆動信号の基本周波数(例えば、電源周波数)である。
【0044】
また、この実施態様において、削り角度θ=118°、η=0.5に設定した時の振動への効果を、図11に示す。図11から、電磁力の高調波成分が軽減されて、振動が低減していることが分かる。
【0045】
この実施態様において、前記削り角度θを90°<θ<121°を満足するように設定することが好ましい。
【0046】
さらに説明する。
【0047】
前記削り角度θにより磁束の飽和を用いて磁束の不均一を緩和することができる(図9参照)が、削り角度θが大きくなりすぎると飽和が難しくなり振動が大きくなってしまう。
【0048】
図12は、トルクリプルの高調波成分の変化を示す図である。図12から分かるように、6f、12f、18fは削り角度θを大きくすることにより一度は小さくなるが、その後は増加する傾向を示す。6fについてみれば、削り角度θ121°以上で従来形状のバリア部を採用した場合よりも大きくなってしまう。このことより、θは90°<θ<121°を満足するように設定することが好ましく、トルクリプルを小さくすることができる。
【0049】
この実施態様において、回転子のバリア部先端の削り始めの位置をバリア幅の75%以内に設定する(η≦0.75に設定する)ことが好ましい。
【0050】
さらに説明する。
【0051】
削り始め位置を変化させてトルクリプルの高調波成分の変化を測定したところ、図13に示す結果が得られた。図13から分かるように、18f、24fはηを大きくすることにより一度は小さくなるが、その後は増加する傾向を示す。図13の傾向から分かるように、削り始め位置を75%以内(η≦0.75)に設定することが好ましく、トルクリプルを小さくすることができる。
【0052】
この実施態様において、回転子の形状を真円筒状にすることが好ましい。
【0053】
この場合には、風損の増加を防止でき、モータ組立て時の工程を容易にすることができる。
【0054】
この実施態様において、各永久磁石1bを基準とする両端のバリア部1dの形状を、回転子極に面する側のバリア部先端を削ったのと等価な形状としてもよいが、各永久磁石1bを基準とする一方の端のバリア部1dの形状を、回転子極に面する側のバリア部先端を削ったのと等価な形状としてもよい。
【0055】
さらに説明する。
【0056】
回転子のバリア部の最適化は、回転方向にあればよく(図14参照)、法線方向の電磁力低減は両側のバリア部の最適化がなされた場合にも同様に達成される。
【0057】
図15は、バリア部最適化が極の両側にある場合と片側にある場合とバリア部最適化がなされない場合(従来の場合)との電磁化振力を比較した図である。
【0058】
したがって、双方向に回転され得るブラシレスDCモータの場合には、バリア部最適化を極の両側において実現することが好ましく、逆に、一方向のみに回転されるブラシレスDCモータの場合には、バリア部最適化を極の一方の側において実現することが好ましい。
【0059】
この実施態様において、固定子に直巻巻線を施すことが好ましい。
【0060】
さらに説明する。
【0061】
分布巻巻線と直巻巻線とでは、巻線方法の違いにより、直巻よりも分布巻の方が極数を多く作ることができる。そのため分布巻は、固定子歯部1つにかかる電磁力を分散することができ(図16参照)、一般的に直巻巻線よりも電磁力が原因で発生する騒音が低い。
【0062】
また、直巻巻線の固定子の場合、一般的に騒音として問題になるのはトルクリプルによる騒音ではなく、電磁力高調波成分による騒音であり、特に高調波周波数の中では8f、10f、14f、16f{fは駆動信号の基本周波数(例えば、電源周波数)}による騒音となっている(図17参照)。
【0063】
また、図18は、実際の振動低減効果の度合いを示す図である。
【0064】
直巻巻線の固定子を採用した場合には、図18に示すように、8f、10f、14f、16fの電磁力の低減に効果があり、騒音を低減する効果は分布巻よりも直巻のほうが大きいといえる。
【0065】
図19は上記の構成のブラシレスDCモータを駆動するための駆動装置の一実施態様を示すブロック図である。
【0066】
このブラシレスDCモータ駆動装置は、交流電源11を入力とする整流回路12の出力端子間に平滑用コンデンサ13を接続し、平滑化された直流電圧を入力として交流電圧もしくは電流をブラシレスDCモータ15に供給するインバータ14を有している。
【0067】
そして、ブラシレスDCモータ15の固定子巻線への印加電圧を検出する固定子印加電圧検出部15a、モータ電流を検出するモータ電流検出部15bと、検出された固定子印加電圧、およびモータ電流を入力とし、ブラシレスDCモータの機器定数を用いて所定の演算を行って回転子の回転位置、および回転速度を検出する位置・速度検出部16と、速度指令および同定された回転速度を入力として速度制御演算を行い、電流指令を出力する速度制御部17と、電流指令および位相指令を入力として位相制御演算を行う位相制御部18と、位相制御部18からの出力、回転子の回転位置、およびモータ電流を入力として電流制御演算を行い、電圧指令を出力し、インバータ14に供給する電流制御部19とを有している。
【0068】
前記位置・速度検出部16は、位置検出用センサーを用いることなく回転子の回転位置、および回転速度を検出することができるものであり、具体的には、内部にブラシレスDCモータの数式モデルを持ち、推定位置と推定速度起電力とに基づいて演算された推定電流と実際に流れているモータ電流とにより、ロータの位置と速度を同定するもの(「電流推定誤差に基づくセンサレスブラシレスDCモータ制御」:竹下他、平成7年 電学論 D−115,420参照)、ブラシレスDCモータの数式モデルを突極型モータヘ拡張することで突極性を持つブラシレスDCモータの位置推定を行うもの(速度起電力推定に基づくセンサレス突極形ブラシレスDCモータ制御」:竹下他、平成9年 電学論 D−117,98参照)が例示できる。したがって、ブラシレスDCモータに印加する通電期間の影響を受けず、原理的には180°区間すべての位置検出が可能となり、ひいては180°すべての位相を制御できることになる。
【0069】
なお、速度制御部17、位相制御部18、電流制御部19の作用は従来公知であるから、詳細な説明は省略する。
【0070】
上記のブラシレスDCモータ駆動装置を採用した場合には、高温高圧部にセンサーを内蔵すること無しに、安価に、かつ高信頼性での回転子の位置検出が可能となり、また、ブラシレスDCモータに供給する電流の通電期間を制限することが無くなるため、正弦波通電が可能となり、ブラシレスDCモータの高効率化に寄与し、また、電流位相を自由に進める制御を行うことができることにより、磁石トルクとリラクタンストルクとの併用ができ、さらに高効率なモータ駆動ができ、かつ、弱め磁界制御も行うことができるためモータの運転範囲の拡大も達成することができる。
このようにモータ電流、電圧を正確に検出する必要があるが、上記の構成のブラシレスDCモータを用いることで、電圧の歪を小さくすることができ、モータ電流、電圧をより正確に検出することができる。
【0071】
冷凍・空調用の圧縮機の内部は高温・高圧であり、ブラシレスDCモータの位置検出を直接行うためのセンサを内蔵することは難しい。しかし、図19のブラシレスDCモータ駆動装置により駆動されるブラシレスDCモータを駆動源として圧縮機の密閉容器に格納することができる。
【0072】
この場合には、密閉容器などの部材とモータ振動とが共振し、大きな騒音を発生する可能性があるが、上記のブラシレスDCモータを用いることで騒音を大幅に低減できる。
【0073】
【発明の効果】
請求項1の発明は、磁束の急激な変化を抑制して磁束の高調波成分を緩和し、ひいては、効率を低下させることなく、低騒音化、低振動化を実現することができ、しかも、トルクリプルの6次、12次、18次、24次の高調波成分を抑制できるという特有の効果を奏する。
【0076】
請求項2の発明は、風損の増加を防止できるとともに、ブラシレスDCモータ組立時の工程を容易にできるほか、請求項1と同様の効果を奏する。
【0077】
請求項3の発明は、双方向に回転可能なブラシレスDCモータに好適であるほか、請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0078】
請求項4の発明は、一方向のみに回転可能なブラシレスDCモータに好適であるほか、請求項1または請求項2と同様の効果を奏する。
【0079】
請求項5の発明は、騒音低減効果を高めることができるほか、請求項1から請求項4の何れかと同様の効果を奏する。
【0080】
請求項6の発明は、ブラシレスDCモータを高温高圧環境下で使用する場合であってもブラシレスDCモータを安定に駆動することができるという特有の効果を奏する。
【0081】
請求項7の発明は、安定に駆動することができるとともに、騒音を低減することができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の永久磁石モータの構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の永久磁石モータの要部拡大図である。
【図3】従来のブラシレスDCモータの回転子の構成を示す縦断面図である。
【図4】この発明の1実施態様のブラシレスDCモータの回転子の構成を示す縦断面図である。
【図5】図4の要部を拡大して示す図である。
【図6】バリア部の変更例を示す図である。
【図7】誘起電圧波形を示す図である。
【図8】磁束線図を示す図である。
【図9】この発明のブラシレスDCモータと従来のブラシレスDCモータとの磁束線を比較する図である。
【図10】高調波磁束の低減効果を示す図である。
【図11】振動の低減率を示す図である。
【図12】削り角度によるトルクリプルの変化を示す図である。
【図13】削り始め位置によるトルクリプルの変化を示す図である。
【図14】この発明の他の実施態様のブラシレスDCモータの回転子の構成を示す縦断面図である。
【図15】回転子のバリア部の有無、バリア部の最適化に対応させて法線方向の電磁力高調波成分の比較を示す図である。
【図16】固定子歯部にかかる法線方向の加振力を示す図である。
【図17】直巻巻線を用いた固定子の駆動時の振動波形を示す図である。
【図18】振動低減効果の度合いを示す図である。
【図19】この発明の一実施態様のブラシレスDCモータ駆動装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 回転子 1b 永久磁石
1c 磁性体 1d バリア部
14 インバータ 15 ブラシレスDCモータ
16 位置・速度検出部 17 速度制御部
18 位相制御部 19 電流制御部

Claims (7)

  1. 内部に永久磁石(1b)を埋め込んでなる回転子(1)を有するブラシレスDCモータであって、
    回転子内の各永久磁石(1b)とその外周方向に隣接している磁性体(1c)との、回転子(1)の中心軸を含む所定の平面と直交する方向の両端に、永久磁石(1b)の厚みよりも大きい空隙もしくは非磁性体からなるバリア部(1d)を設けてなり、このバリア部(1d)は、回転子極に面する側のバリア部先端部を所定量だけ削ってなるのと等価な形状を有しており、前記バリア部(1d)の先端部の削り始めに相当する位置は、バリア部(1d)の幅の50%の位置であり、前記バリア部(1d)の先端部と極側面とのなす角度は118°であることを特徴とするブラシレスDCモータ。
  2. 前記回転子(1)は、真円筒形状を有している請求項1に記載のブラシレスDCモータ。
  3. 各永久磁石(1b)を基準として、両側のバリア部(1d)は、回転子極に面する側のバリア部先端部を所定量だけ削ってなるのと等価な形状を有している請求項1または請求項2に記載のブラシレスDCモータ。
  4. 各永久磁石(1b)を基準として、回転子(1)の回転側のバリア部(1d)は、回転子極に面する側のバリア部先端部を所定量だけ削ってなるのと等価な形状を有している請求項1または請求項2に記載のブラシレスDCモータ。
  5. 固定子は、直巻巻線を有している請求項1から請求項4の何れかに記載のブラシレスDCモータ。
  6. 固定子印加電圧、モータ電流、および請求項1から請求項5の何れかのブラシレスDCモータ(15)の機器定数を用いて所定の演算を行って回転子の回転位置を推定し、推定された回転位置に基づいて、請求項1から請求項5の何れかのブラシレスDCモータ(15)に電圧もしくは電流を供給するためのインバータ(14)を制御するインバータ制御手段(16)(17)(18)(19)を有することを特徴とするブラシレスDCモータ駆動装置。
  7. 請求項6のブラシレスDCモータ駆動装置により駆動されるブラシレスDCモータを駆動源とする圧縮機。
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