JP3874273B2 - 毛髪処理剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪処理剤に関する。さらに詳しくは、パーマネントウェーブ剤第2剤、縮毛矯正剤第2剤などとして好適に使用しうる毛髪処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ヘアトリートメント、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、パーマネントウェーブ剤、縮毛矯正剤などの毛髪処理剤には、製剤の防腐安定性のために防腐剤が配合されており、そのなかでもパラオキシ安息香酸エステル類(パラペン)が汎用されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【0003】
しかしながら、パラオキシ安息香酸類などの防腐剤は、人体に刺激性を与える場合があり、また、近年、環境ホルモン作用の疑いも持たれていることから、防腐剤を配合しない製品が望まれている。
【0004】
一方、毛髪処理剤には、毛髪に良好な感触や艶などを付与するために多価アルコール類が配合される(例えば、特許文献3および特許文献4参照。)。この多価アルコール類には、抗菌作用を有することが知られており(例えば、非特許文献1参照。)、また、多価アルコール類を用いることで抗菌活性が向上することも報告されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0005】
そこで、酸化剤を含有するとともに、多価アルコール類が配合された毛髪処理剤として、水性パーマネントウェーブ剤第2剤が開発されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0006】
しかしながら、この水性パーマネントウェーブ剤第2剤には、製剤の防腐安定が十分に得られないばかりか、配合される多価アルコールによっては、含有されている酸化剤が経時的に分解するため、その保存安定性に劣るという欠点がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−26252号公報(段落番号[0010]-[0013])
【特許文献2】
特開2001−220333号公報(段落番号[0021])
【特許文献3】
特開平10−7532号公報(段落番号[0012])
【特許文献4】
特開平10−330229号公報(段落番号[0009])
【特許文献5】
特開平10−45558号公報(段落番号[0008]-[0009])
【特許文献6】
特開平3−93713号公報(89頁右上欄10行〜92頁左上欄3行)
【非特許文献1】
「保湿剤の抗菌作用と安全性」、フレグランス ジャーナル、フレグランス ジャーナル社、1989年、第2巻、p.65-73
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、含有されている酸化剤が経時的に分解することがなく、保存安定性および防腐安定性に優れた毛髪処理剤を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、分子末端に水酸基が存在しない炭素数4〜7の多価アルコールおよび1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の水酸基含有化合物が配合されていることを特徴とする臭素酸塩を含有する毛髪処理剤に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の毛髪処理剤は、分子末端に水酸基が存在しない炭素数4〜7の多価アルコール、ジプロピレングリコールおよび1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の水酸基含有化合物(以下、特定の水酸基含有化合物という)が配合されている点に、大きな特徴がある。
【0011】
従来、毛髪処理剤に、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの多価アルコールを使用することが提案されているが、これらの多価アルコールを使用した場合には、防腐安定性が十分でなかったり、含有されている酸化剤が経時的に分解するため、その保存安定性に劣ることがある。
【0012】
これに対して、本発明の毛髪処理剤は、特定の水酸基含有化合物が配合されているので、防腐安定性に優れるのみならず、含有されている酸化剤が経時的に分解することを抑制することができるという保存安定性にも優れたものである。
【0013】
本発明に用いられる分子末端に水酸基が存在しない炭素数4〜7の多価アルコールの代表例としては、2,3−ブタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオールなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものとしては、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオールおよび2,5−ヘキサンジオールが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは混合して用いることができる。
【0014】
毛髪処理剤における特定の水酸基含有化合物の含有量は、充分な防腐安定性および保存安定性を発現させる観点から、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、また配合量に応じた防腐効果が望めないことから、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。これらの観点から、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0015】
本発明の毛髪処理剤には、毛髪のケラチンのシスチン結合部を結合させ、毛髪にウェーブ形状やストレート形状を付与するために、酸化剤が用いられる。
【0016】
酸化剤としては、例えば、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムなどの臭素酸塩、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウムなどの過ホウ酸塩、過酸化水素水などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの酸化剤の中では、臭素酸塩は、毛髪の弾力性を良好にする観点から好ましい。
【0017】
毛髪処理剤における酸化剤の含有量は、ウェーブ効果や縮毛を矯正する効果を充分に発現させる観点から、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上であり、また毛髪の損傷や結晶の析出を回避する観点から、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。これらの観点から、毛髪処理剤における酸化剤の含有量は、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%である。
【0018】
なお、本発明の毛髪処理剤には、必要により、例えば、pH調整剤、キレート剤、油分、シリコーン類、界面活性剤、水、香料、着色剤などの添加剤を本発明の目的が阻害されない範囲内で添加することができる。
【0019】
本発明の毛髪処理剤は、特定の水酸基含有化合物、酸化剤および添加剤の各成分量が所望量となるように、例えば、精製水などの水を用いて、各成分量を調整し、各成分を混合することによって得ることができる。
【0020】
本発明の毛髪処理剤の代表的な態様としては、例えば、酸化染毛剤、パーマネントウェーブ剤、縮毛矯正剤、毛髪脱色剤などが挙げられるが、これらのなかでも、パーマネントウェーブ剤、縮毛矯正剤、特にパーマネントウェーブ剤第2剤または縮毛矯正剤第2剤として好適に使用することができる。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。但し、実施例4は参考例である。
【0022】
実施例1〜5および比較例1〜8
表1に示す組成となるように、各成分を混合して、パーマネントウェーブ剤第2剤を調製した。
【0023】
【表1】
Figure 0003874273
【0024】
次に得られたパーマネントウェーブ剤第2剤の物性として、防腐安定性および保存安定性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表2に示す。
【0025】
〔防腐安定性〕
供試菌には、クロカビ〔アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger) 〕を用い、このクロカビを予め前培養した培養液を、約106 cells/mLに希釈したものを菌懸濁液とした。なお、菌数は、コロニーカウント法により確認した。
【0026】
乾熱滅菌済みのガラス容器内に、得られたパーマネントウェーブ剤第2剤20gを入れた後、前記で得られた菌懸濁液0.2mLを接種し、25℃で培養を行った。
【0027】
1、3、5または7日経過時に、ガラス容器内の内溶液1gを抜き取り、生理食塩水で希釈したものを寒天培地に混釈して48時間培養し、試料中の残存菌数をカウントした。
【0028】
〔保存安定性〕
得られたパーマネントウェーブ剤第2剤200mLを塩化ビニル製容器に入れ、50℃の雰囲気中に1カ月間保存した後、目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
【0029】
<評価基準>
◎:中身液および容器共に変化がない。
○:中身液が若干褐色化しているが、容器に変化がない。
△:中身液が褐色化しているが、容器に変化がない。
×:中身液が褐色化し、容器が若干変形している。
××:中身液が褐色化し、容器が著しく変形している。
【0030】
【表2】
Figure 0003874273
【0031】
表2に示された結果から、各実施例で得られたパーマネントウェーブ剤第2剤は、特定の水酸基含有化合物が配合されているので、優れた防腐性を発現するとともに、酸化剤の分解を抑制し、保存安定性に優れていることがわかる。
【0032】
処方例1〔パーマネントウェーブ剤第2剤の調製〕
以下の各成分を以下の組成となるように混合することにより、パーマネントウェーブ剤第2剤を調製した。
Figure 0003874273
【0033】
処方例2〔縮毛矯正剤第2剤の調製〕
以下の各成分を以下の組成となるように混合することにより、縮毛矯正剤第2剤を調製した。
Figure 0003874273
【0034】
【発明の効果】
本発明の毛髪処理剤は、含有されている酸化剤が経時的に分解することがなく、保存安定性および防腐安定性に優れるという効果を奏する。

Claims (3)

  1. 分子末端に水酸基が存在しない炭素数4〜7の多価アルコールおよび1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の水酸基含有化合物が配合されていることを特徴とする臭素酸塩を含有する毛髪処理剤。
  2. 前記多価アルコールが、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオールおよび2,5−ヘキサンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の毛髪処理剤。
  3. 毛髪処理剤が、パーマネントウェーブ剤第2剤または縮毛矯正剤第2剤である請求項1又は2記載の毛髪処理剤。
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