JP3872880B2 - 感作金属コロイド含有安定化凍結乾燥物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は試薬として用いることのできる、感作金属コロイド含有凍結乾燥物の安定化に関し、特に、主として臨床検査の分野において、抗原抗体反応を利用した免疫学的測定等の特異的結合反応を利用した測定に用いられる感作金属コロイドにつき、その凍結乾燥状態での安定化を改善する製造方法、及び該方法により得られる安定化された感作金属コロイド含有凍結乾燥物に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗原抗体反応を利用した免疫学的測定法において、金属コロイドが広く用いられている。例えば、組織細胞化学的検査において細胞や組織の構成物質を検出するためにその構成物質に対する抗体を感作させた金属コロイドで染色する方法がある。
【0003】
また、抗原と、これに対する抗体を感作させた金属コロイドとの間で形成させた、抗原・抗体−金属コロイドの免疫複合体を判定紙上で展開させ、これを、別の抗体を固定した領域で更なる複合体として補足し該領域の金属コロイドによる着色を判定することによる、免疫クロマト法がある。更には、溶液中で抗体感作金属コロイドと抗原とを反応させ、抗原を介して生じる抗体−金属コロイドの凝集による溶液の色調変化から、抗原の有無や量を判定する凝集比色法がある。
【0004】
このように、これらの測定法においては、測定対象に特異的に結合する物質で金属コロイドを感作したものである感作金属コロイドが利用されている。金属コロイドのうち、特に広く用いられているのは金コロイドである。
【0005】
金属コロイドを感作処理後分散させる溶液の組成についての多くの報告がある。例えば、特開平9−5327には、0.05%ポリエチレングリコ−ル(分子量20,000)/PBS溶液(実施例1)が;特開平2−141665には、0.05Mリン酸ナトリウム−0.15M食塩−0.05%,カ−ボワックス20M(pH7.2)(実施例3)が;特開平8−278305には、10mM HEPES(pH7.1),0.3M D−マンニト−ル,0.05%ポリエチレングリコ−ル(分子量20,000),0.1%牛血清アルブミン(実施例:金コロイド標識抗ヒトヘモグロビンモノクロ−ナル抗体の調製)が;特公平7−46107には、20mMトリス緩衝液(pH8.2),150mM塩化ナトリウム,1%牛血清アルブミン(実施例5,第10頁第20欄第42〜43行)が;特開平7−318560には、0.1Mトリス緩衝液(pH7.6),0.3%牛血清アルブミン,0.25%ポリエチレングリコ−ル(6000),4%シュ−クロ−ス,0.1%アジ化ナトリウム(実施例,第7頁第12欄第11〜15行)が;そして特開平6−94718には、10mMリン酸緩衝液(pH6.4),1%牛血清アルブミン,0.05%アジ化ナトリウム(実施例1、第4頁第5欄第9〜13行)等の組成が記載されている。
【0006】
一方、抗原抗体反応を利用した各種免疫学的測定用試薬を凍結乾燥時に安定化する方法および、凍結乾燥状態で安定化する方法についてもいくつかの報告がある。
【0007】
特開平2−161357には、抗体を結合させたポリスチレン性マイクロプレ−トを、グルコ−ス、フルクト−ス、サッカロ−ス、乳糖、デキストラン又はポリビニルピロリドンを含む溶液で洗浄して凍結乾燥することによる、マイクロプレート結合抗体の凍結乾燥状態での安定化方法が;また、特開昭61−189454には、抗体結合マイクロプレートを、サッカロ−ス及び/又はマンニト−ルを含む水溶液で洗浄した後に凍結乾燥する方法による、マイクロプレ−トに結合した抗体の凍結乾燥状態における安定化が、それぞれ開示されている。
【0008】
また、特開昭62−209362には、抗原又は抗体を感作させた赤血球あるいはラテックスの凍結乾燥に際し、牛血清アルブミン、グルコ−ス、ラクト−ス若しくはサッカロ−スの何れか、又は牛血清アルブミンに加えてこれらの糖の何れかを含有させておくことにより安定化させる方法が;特開昭63−106562には、IgM抗体を感作させたヒツジ固定化赤血球を含む逆受身赤血球凝集反応試薬の凍結乾燥に際し、牛血清アルブミンおよびソルビト−ル、マルト−ス又はサッカロ−スを添加しておくことにより凍結乾燥時の安定化を図れることが、それぞれ開示されている。
【0009】
更には、特開平5−65233には、E血清型緑膿菌に反応性を示すヒトモノクロ−ナル抗体の凍結乾燥製剤を作製するに際して、中性ゼラチンに加えて更にグルコ−ス、サッカロ−ス、マンニト−ル、グリシン又はアルギニンを含む溶液状態から凍結乾燥する方法により、当該抗体が凍結乾燥処理に対して安定化できることが開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、感作金属コロイドを含んだ液状組成物の組成そのものを例示するに過ぎない文献や、遊離の抗体とマイクロプレート又はラテックス若しくは赤血球との結合物についての凍結乾燥時及び凍結乾燥状態での安定化に関する文献、並びに、遊離の抗体のゼラチン等による凍結乾燥時安定化に関する文献は幾つか見られるが、感作金属コロイドについては、これを凍結乾燥状態において安定化するような製造方法も、安定化された凍結乾燥物も知られていない。
【0011】
一方、感作金属コロイド、特に抗体感作金属コロイドにおいては、凍結乾燥状態での試薬としての安定性が低く、低温で保存しない限り反応性が急速に低下するという問題がある。従って、凍結乾燥状態で高い安定性を維持できる感作金属コロイド試薬が従来より求められていた。
【0012】
本発明は、この問題を解消して、感作金属コロイドを凍結乾燥状態で安定化できる製造方法、及び、長期保存可能な感作金属コロイド含有凍結乾燥物を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、第1に、安定化させた感作金属コロイド含有凍結乾燥物の製造方法であって、感作金属コロイド含有溶液の凍結乾燥に際し、該溶液に、サッカロ−ス、トレハロ−ス、β−シクロデキストリン、トレオニン、アスパラギン酸、トリプトファン、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸−アルギニン、ロイシルグリシン、グリシルチロシン、フェニルアラニン及び塩化カルシウムよりなる群より選ばれる物質の1種または2種以上を含有させておくことを特徴とする方法を提供する。この方法に従えば、従来の感作金属コロイド試薬に比して著しく安定性の高い、より長期に亘って反応性を維持できる試薬を得ることができる。
【0014】
従ってまた本発明は、サッカロ−ス、トレハロ−ス、β−シクロデキストリン、トレオニン、アスパラギン酸、トリプトファン、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸−アルギニン、ロイシルグリシン、グリシルチロシン、フェニルアラニン、および塩化カルシウムよりなる群より選ばれる物質の1種または2種以上を含有すること特徴とする、感作金属コロイド含有凍結乾燥物をも提供する。本発明の感作金属コロイド含有凍結乾燥物は、従来より感作金属コロイドを用いて行われている種々の検査、例えば組織化学的検査や免疫クロマト法その他の免疫学的測定を含む検査において、より安定で取り扱い易い試薬として、従来の感作金属コロイド試薬に代えて有利に使用することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において金属コロイドとしては、特に限定されることなく金、銀、セレン、鉄等のコロイドが挙げられるが、これらのうち金コロイドが一般的に利用され易く、特に好ましい。例えば金コロイドを用いる場合、市販品金コロイド試薬(例えば、メイチェックヘモプレートオート:日本商事(株)製)をそのまま使用してもよく、また公知の方法、例えば塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元する方法によって製造してもよい。そのような製造方法としては、Frensの方法(Nature Phys. Sci., 241:p.20 (1973))が知られている。また一例として、具体的には、95℃の蒸留水500mLに10%塩化金酸溶解液(HAuCl・4H2O)を撹拌しながら加え、1分後に2%クエン酸ナトリウム溶液5mLを加え撹拌し冷却後例えば0.1M炭酸カリウム溶液でpH7.0等に調整することにより得られる(特開平8−278305参照)。
【0016】
金属コロイドを感作させる物質としては、例えば抗体又は抗原が挙げられるが、これら以外にも、測定対象に特異的に結合する性質を有する物質であれば利用可能である。
【0017】
また上記の安定化剤は、(1)サッカロ−ス、トレハロ−ス及びβ−シクロデキストリンよりなる群と、(2)トレオニン、アスパラギン酸、トリプトファン、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸−アルギニン、ロイシルグリシン及びグリシルチロシン及びフェニルアラニンよりなる群と、そして(3)塩化カルシウムよりなる群のうち、少なくとも2つの群より選ばれた物質を併用することにより、更に優れた効果をあらわす。
【0018】
本発明において凍結乾燥に際して安定化剤として用いられるサッカロ−ス、トレハロ−ス、β−シクロデキストリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸−アルギニン、ロイシルグリシン、グリシルチロシン又はフェニルアラニンは、感作金属コロイド含有溶液に適宜の濃度に含有させればよいが、好ましくは0.3 W/V%以上の濃度に含有させる。感作金属コロイド含有溶液に可溶である限り上記安定化剤は高い濃度に含有させてもよく、特に上限はないが、通常は、感作金属コロイド含有溶液中に、例えば0.3〜2W/V%の濃度に含有させればよく、更に好ましくは0.5〜1W/V%の濃度に含有させればよい。
【0019】
一方、トリプトファンは、上記安定化剤より微量で有効であり、感作金属コロイド含有溶液中に0.01W/V%以上の濃度に含有させれば優れた効果をあらわす。感作金属コロイド含有溶液に可溶である限りこれより高い濃度に含有させてもよいが、通常好ましいトリプトファンの濃度範囲は0.01〜0.1W/V%であり、より好ましくは0.05〜0.1W/V%である。
【0020】
また、塩化カルシウムも0.01W/V%以上の濃度で効果をあらわす。感作金属コロイド含有溶液に可溶である限りこれより高い濃度に含有させてもよく、特に上限はないが、通常好ましい塩化カルシウムの濃度範囲は0.01〜0.6W/V%であり、より好ましくは0.05〜0.3W/V%である。
【0021】
本発明の感作金属コロイド含有凍結乾燥物としては、感作金属コロイド1重量部に対し:サッカロ−ス、トレハロ−ス、β−シクロデキストリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸−アルギニン、ロイシルグリシン、グリシルチロシン又はフェニルアラニンを含有する場合には、その含有量は4重量部以上であることが好ましく、更に好ましくは4〜25重量部の範囲であればよい。
【0022】
一方、本発明の感作金属コロイド含有凍結乾燥物がトリプトファンを含有する場合には、その含有量は、感作金属コロイド1重量部に対し0.1重量部以上であることが好ましく、0.1〜1重量部の範囲であれば更に好ましい。
【0023】
また、本発明の感作金属コロイド含有凍結乾燥物が塩化カルシウムを含有する場合には、その含有量は、感作金属コロイド1重量部に対し0.1重量部以上であることが好ましく、0.1〜8重量部の範囲であれば更に好ましい。
【0024】
本発明の感作金属コロイド含有凍結乾燥物は、感作金属コロイドに対し上記の安定化剤を上記の重量比率で含有することにより、保存安定性が特に顕著に改善されている。
【0025】
本発明の方法により感作金属コロイド含有溶液を凍結乾燥させるに際しては、溶液には、緩衝剤、アルブミン、防腐剤等を適宜含有させてよい。従ってまた、本発明の感作金属コロイド含有凍結乾燥物には、それら緩衝剤、アルブミン、防腐剤等が適宜含まれていてよい。
【0026】
緩衝剤としては、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、2,2−ビス(2−ヒドロキシメチル)−2,2’,2”−ニトリロトリエタノ−ル(Bis−tris)、2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルフォン酸(ACES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、3−(N−モルフォリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、3−(N−モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、2−(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル)エタンスルホン酸(HEPES)、3−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)及びN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)等、グッド緩衝液の緩衝成分が挙げられるが、これらに限定されない。感作金属コロイド含有溶液に緩衝剤を含有させる場合、溶液のpHは6.0〜9.0の範囲に調整するのが特に好ましく、緩衝剤濃度は1〜100mMの範囲とするのが好ましい。
【0027】
アルブミンとしては、例えば牛血清アルブミンが挙げられる。感作金属コロイド含有溶液にアルブミンを含有させる場合、その好ましい使用濃度は、0.01〜1.0W/V%の範囲である。
【0028】
防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウムが挙げられる。感作金属コロイド含有溶液にこれを含有させる場合、その好ましい使用濃度は0.01〜0.5W/V%の範囲である。
【0029】
測定対象に特異的に結合する活性物質で金属コロイドを感作させるには、例えば The Journal of Histochemistry and Cytochemistry, 30(7): p.691-696 (1982).に記載の方法が使用できる。即ち、溶液中にて抗体等の活性物質をその等電点付近のpHにて金属コロイドと混合すればよい。必要に応じ適宜アルブミンやカゼイン等を加えてもよく、遠心分離等により採取し、適当な緩衝液に再度分散させる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により特に制約を受けるものではない。
【0031】
(実施例1)
(1)感作金属コロイド試薬の凍結乾燥物の作製:
抗ヒトヘモグロビン抗体を感作した金コロイド試薬(メイチェックヘモプレ−トオ−ト:日本商事(株)製)の凍結乾燥品(60mL用製品)を蒸留水2mLに溶解させた溶液と、表1の各安定化剤を蒸留水に溶解させた溶液(但し、対照としては蒸留水のみを使用)とを、混合溶液中の各安定化剤の濃度がそれぞれ表1に示す濃度となるように、1:1の比率で混合した。これらの混合溶液0.4mLを凍結乾燥用の10mLバイアルに分注し、3日間かけて凍結乾燥した後、バイアル内に窒素ガスを充填し封栓し、4℃及び37℃にて1週間放置した。
【0032】
【表1】
Figure 0003872880
【0033】
(2)反応性の測定
ヒトヘモグロビンを、緩衝液A(0.05W/V%牛血清アルブミン、0.1W/V%アスパラギン、0.9W/V%塩化ナトリウム、1.8W/V%ポリエチレングリコ−ル、0.05W/V%アジ化ナトリウム、を含む30mM MES緩衝液 pH5.7)に溶解し、ヘモグロビン濃度0,50,100,200ng/mlの溶液を調整し、−40℃で冷凍保存したものを溶解して検体として使用した。
【0034】
上記(1)の、37℃または4℃で1週間放置した凍結乾燥物を、0.1W/V%牛血清アルブミン、3W/V%マンニト−ル、0.05W/V%アジ化ナトリウム、を含む5mM HEPES緩衝液3mLで溶解して、金コロイド試薬溶液とし、その反応性を以下の方法により測定した
【0035】
検体25μl、緩衝液A50μl、金コロイド試薬溶液100μlをマイクロプレ−ト上に添加し、15秒間専用撹拌器で撹拌した。撹拌開始から60秒後と7分後の吸光度差を、プレ−トリ−ダ−(主波長540nm副波長700nm)を用いて測定した。60秒後の吸光度と7分後の吸光度との差(変化)を検体(ヘモグロビン)に対する金コロイド試薬溶液の反応性の指標とした。4℃にて1週間放置した(1)の各凍結乾燥物を再溶解して得られた金コロイド試薬溶液の反応性(吸光度変化)に対する、37℃にて1週間放置した(1)の対応する凍結乾燥物を再溶解して得られた金コロイド試薬溶液の反応性(吸光度変化)の比率(%)を求め、これを反応性残存率と定義し、37℃にて保存された凍結乾燥物の、温度に対する安定性の指標として用いた。
【0036】
各種安定化剤の効果は前記表1の右欄に示した通りである。表より明らかなように、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム及び塩化カルシウムは、対照と比較して約6倍の反応性残存率を示し、凍結乾燥物の温度に対する安定性をこれらの化合物が著しく高めることが認められた。
【0037】
(実施例2)
実施例1で用いた安定化剤のうち、サッカロ−ス、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム及び塩化カルシウムを選び、それらを組み合わせて感作金コロイド含有溶液を調製すると共に、それら安定化剤の1種類のみを配合した感作金コロイド含有溶液をも調製し、実施例1と同様の方法で各金コロイド凍結乾燥物を作製・放置し、それら凍結乾燥物の温度に対する安定性を同様の方法で求めた。結果を次の表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0003872880
【0039】
表2から明らかなように、安定化剤を組み合わせて配合した処方は、安定化剤を単独で配合した対応する処方と比較して、いずれも更に高い反応性残存率を示した。このことは、これらの安定化剤が、組み合わせることによって一層効果的であることを示している。
【0040】
(実施例3)
実施例1で用いた安定化剤の一部について、安定化効果と安定化剤濃度との関係を調べた。37℃及び4℃での放置期間が5日間であること以外は、実施例1と同様の方法を用いた。結果を次の表3に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0003872880
Figure 0003872880
【0042】
表3より、各安定化剤は濃度の上昇とともに効果が高まることが明らかである。対照の反応性残存率6%と対比するとき、DL−トリプトファンと塩化カルシウムとは、何れも極めて低濃度(0.01W/V%)から既に効果を表していることがわかる。これら以外の物質も、何れも0.3W/V%以上で顕著な効果のあることが示されており、濃度の上昇に伴って反応性残存率が上昇しており、グリシル−L−チロシン及び塩化カルシウムに至っては反応性残存率は100%に達している。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、感作金属コロイドの凍結乾燥状態での安定性を著しく高めることができるため、より長期の保管期間に亘って感作金属コロイド試薬を使用できるようになり、感作金属コロイド試薬を用いた臨床検査分野において、試薬の使用期間の延長や測定精度の向上が可能となる。

Claims (9)

  1. 安定化させた感作金コロイド含有凍結乾燥物の製造方法であって、感作金コロイド含有溶液の凍結乾燥に際し、該溶液に、
    (1)サッカロ−ス、トレハロ−ス及びβ−シクロデキストリン
    (2)トレオニン、アスパラギン酸、トリプトファン、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸−アルギニン、ロイシルグリシン、グリシルチロシン及びフェニルアラニン、並びに
    (3)塩化カルシウム
    よりなる3つの群の物質のうち、少なくとも2つの群より選ばれた物質を含有させておくことを特徴とする方法。
  2. 該感作金コロイドが抗体感作金コロイドであることを特徴とする、請求項1の方法。
  3. 該抗体がヒトヘモグロビンに対する抗体であることを特徴とする請求項2の方法。
  4. 請求項1乃至の何れかの方法であって:
    (A)サッカロ−ス、トレハロ−ス、β−シクロデキストリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸−アルギニン、ロイシルグリシン、グリシルチロシン若しくはフェニルアラニンの含有濃度が少なくとも0.3W/V%であるか、
    (B)トリプトファンの含有濃度が少なくとも0.01W/V%であるか、又は
    (C)塩化カルシウムの含有濃度が少なくとも0.01W/V%であることを特徴とする、方法。
  5. 該感作金コロイド含有溶液のpHが6〜9の範囲にあることを特徴とする、請求項1乃至の何れかの方法。
  6. (1)サッカロ−ス、トレハロ−ス及びβ−シクロデキストリン
    (2)トレオニン、アスパラギン酸、トリプトファン、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸−アルギニン、ロイシルグリシン、グリシルチロシン及びフェニルアラニン、並びに
    (3)塩化カルシウム
    よりなる3つの群の物質のうち、少なくとも2つの群より選ばれた物質を含有することを特徴とする、感作金コロイド含有凍結乾燥物。
  7. 該感作金コロイドが抗体感作金コロイドであることを特徴とする、請求項の凍結乾燥物。
  8. 該抗体がヒトヘモグロビンに対する抗体であることを特徴とする、請求項の凍結乾燥物。
  9. 請求項乃至の何れかの凍結乾燥物であって、該感作金コロイド1重量部に対し:
    (A)サッカロ−ス、トレハロ−ス、β−シクロデキストリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、ヒスチジン、グルタミン酸−アルギニン、ロイシルグリシン、グリシルチロシン若しくはフェニルアラニンの含有量が少なくとも4重量部であるか、
    (B)トリプトファンの含有量が少なくとも0.1重量部であるか、又は
    (C)塩化カルシウムの含有量が少なくとも0.1重量部であることを特徴とする、凍結乾燥物。
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