JP3872614B2 - 射出成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状やサイズの異なった複数のキャビティとキャビティ毎の樹脂通路とを有する金型を用い、射出ユニットから溶融樹脂を射出して複数の成形品を同時に成形する射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
形状やサイズの異なった複数のキャビティを有する射出成形機の金型キャビティ内に溶融樹脂を満遍なく充填する射出成形方法は、従来のものとして、特開平5−433号によって開示された、各キャビティへの樹脂通路にスライドコアを設け、そのスライドコアを移動させることにより樹脂通路面積を変えて、流れの抵抗を変えることにより各キャビティへの充填速度を加減し、充填の完了のタイミングを同時に行うようにした方法がある。
【0003】
また、特公平6−15188号で開示されたものは、各キャビティ毎に溶融樹脂の流量制御と圧力保持制御を行うもので、各キャビティ毎に樹脂ノズルとこれに嵌合する保圧制御プランジャーを用い、流量制御は、ねじを備え回転することにより前後進可能な樹脂ノズルをベベルギアを使って回転させ、ノズル隙間を変えて樹脂流路面積を変化させることにより樹脂流速を調整する構成とし、保圧制御プランジャーを樹脂通路に挿通することにより溶融樹脂の遮断とキャビティ内の圧力保持をするもので、保圧作動はタイマ設定、又はキャビティ内圧力検出、或いは、プランジャー先端圧の検出等で開始し、保圧中は保圧プランジャーを押す油圧シリンダの油圧を多段制御できるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の形状やサイズの異なった複数のキャビティ内に溶融樹脂を満遍なく充填する射出成形方法は、例えば上述の特開平5−433号、特公平6−15188号に示されるものは、ともに樹脂の種類、温度、圧力が変わったとき、同時に充填完了させるための射出条件の調整設定に多くの工数と時間がかかる。また、射出後の樹脂圧力保持時間がどのキャビティについても一定であるため、成形品の形状、サイズに応じた成形品の射出条件になかなか合わないという問題があった。
【0005】
本発明は、形状サイズの異なった複数のキャビティに対して、個々に各キャビティの樹脂通路を閉じ、個別にキャビティ内の樹脂に圧力を加えるように制御して溶融樹脂を満遍なく充填する射出成形方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、以下の各項に記述した射出成形方法を特徴とする。
【0015】
(1)請求項1の発明は、形状やサイズの異なった複数のキャビティと同キャビティ毎の樹脂ゲートを有する金型を用い、射出ユニットから溶融樹脂を射出して複数の成形品を同時に成形する射出成形方法において、射出スクリュのストローク位置を検出するスクリュ位置検出センサと、前記キャビティのそれぞれにキャビティの充填樹脂の圧力検出手段と圧力保持手段と樹脂ゲートの開閉手段とを設け、溶融樹脂の射出開始前に前記開閉手段により全ての前記樹脂ゲートを開き、射出充填工程では予め前記各キャビティ毎に設定した前記ストローク位置に従って個別に前記各キャビティの樹脂ゲートを閉じた後、同各キャビティ内の樹脂圧力を樹脂が溶融状態の間、前記圧力検出手段により検出した個別の樹脂圧力信号を前記圧力保持手段にフィードバックして、予め前記各キャビティ毎に設定したキャビティ内の樹脂圧力のパターンに従うように個別に制御することを特徴とする射出成形方法を提供するものである。
【0016】
請求項1の射出成形方法によれば、予め設定したスクリュ位置に従って、各キャビティの樹脂通路を個別に遮断し、個別のキャビティの樹脂圧力信号を、それぞれの圧力保持手段にフィードバックしてキャビティ内の樹脂圧力を予め設定した保圧パターンとなるように、個別に制御することができるので、樹脂ゲート開閉手段の動作タイミングの設定が簡単になる。樹脂の種類、温度が変わっても射出条件の設定が簡単で工数も時間もかからない。また、射出後の各キャビティの樹脂圧保持時間も個別に設定でき、成形品の形状、サイズに応じた成形品の射出条件に適うことができる。また、この射出成形方法によれば、射出シリンダ、射出スクリュはキャビティの樹脂開閉ゲートが閉じた後は射出圧を保持する必要が無く、直ぐに次の射出に備えた可塑化溶融工程に移行することができるので、ペレットの可塑化溶融工程に余裕が取れ、射出工程全体の工程短縮に役立つ。
【0017】
(2)請求項2の発明は、形状やサイズの異なった複数のキャビティと同キャビティ毎の樹脂ゲートを有する金型を用い、射出ユニットから溶融樹脂を射出して複数の成形品を同時に成形する射出成形方法において、射出スクリュのストローク位置を検出するスクリュ位置検出センサと、前記キャビティのそれぞれにキャビティの充填樹脂の圧力保持手段と樹脂ゲートの開閉手段とを設け、溶融樹脂の射出開始前に前記開閉手段により全ての前記樹脂ゲートを開き、射出充填工程では予め前記各キャビティ毎に設定した前記ストローク位置に従って前記開閉手段により個別に各キャビティの樹脂ゲートを閉じた後、同各キャビティ内の樹脂が溶融状態の間、樹脂の圧縮代、保持圧力の理論計算により予め各キャビティ毎に設定したキャビティ内の樹脂圧力のパターンに従うように、個別に前記圧力保持手段の付加圧力を制御することを特徴とする射出成形方法を提供するものである。
【0018】
本発明の請求項2の射出成形方法によれば、予め設定したスクリュ位置に従って、各キャビティの樹脂通路を個別に遮断し、予め計算して決めた保圧パターンになるように、圧力保持手段が個別に保圧制御することができるので、圧力検出手段等の機能部品が少なくなる。樹脂の種類、温度が変わっても射出条件の設定が簡単で工数も時間もかからない。また、射出後の各キャビティの樹脂圧保持時間も個別に設定でき、成形品の形状、サイズに応じた成形品の射出条件に適うことができる。また、この射出成形方法によれば、射出シリンダ、射出スクリュはキャビティの樹脂開閉ゲートが閉じた後は射出圧を保持する必要が無く、直ぐに次の射出に備えた可塑化溶融工程に移行することができるので、ペレットの可塑化溶融工程に余裕が取れ、射出工程全体の工程短縮に役立つ。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係り本発明者が検討した検討例1の射出成形方法について図を参照して説明する。図1は、本検討例1において使用する、形状やサイズの異なった複数のキャビティを有する金型の構成と射出ユニットの制御系統を示す模式図である。
【0020】
1は射出ユニットの主な構成部品である射出ユニット本体で、この射出ユニット本体1には射出シリンダ1aと射出スクリュ2を回転するモータ4を支え、軸方向にモータ4をガイドするガイド部材1bを備え、射出スクリュ2を軸方向に前後進させる油圧シリンダ1cを備えている。射出スクリュ2の後端は油圧シリンダ1c内の油圧ピストン3に結合し、その油圧ピストン3を突き通した延長軸はモータ4と直結している。
【0021】
油圧シリンダ1cは油圧制御盤26に備えられた図示省略の油圧バルブに配管される。22は制御装置25から配線されたモータ4を駆動する電気動力線である。5は射出スクリュ2の軸に回転可能に取付けられたスクリュ位置センサであり、21はスクリュ位置センサ5の検出信号を制御装置25に伝える信号配線である。
【0022】
7は射出成形機に図示しない固定型盤と支持盤9を介して固定された固定金型で、この固定金型7は可動金型8と結合したとき、溶融樹脂を受け入れる複数の金型キャビティを形成する。図1では、キャビティ(A)11A、キャビティ(B)11Bとキャビティ(C)11Cを示しているが、例えばキャビティ(D)、キャビティ(E)等が同時に設けられてもよい。この金型の構成の説明ではキャビティ(A)11Aとキャビティ(B)11B及びキャビティ(C)11Cを例にして説明する。可動金型8は成形品取り出しのとき固定金型7から離れる方向に移動可能である。
【0023】
固定金型7にホットランナ10が取り付けられており、ホットランナ10には各キャビティ11A〜11Cへ溶融樹脂を供給する樹脂通路が設けられ、溶融樹脂が固まらぬように常時加温されている。ホットランナ10の各キャビティ11A〜11Cへの入り口10aは円錐形状に絞られて、プランジャー形状の樹脂ゲートバルブ13A、13B、13Cのバルブ受け座となっている。
【0024】
樹脂ゲートバルブ13A、13B、13Cは、ホットランナ10を貫通して、支持盤9内部の各キャビティの位置に設けられた各油圧シリンダ9aに結合されている。
【0025】
一方、保圧棒15A、15B、15Cが可動金型8の各キャビティ11A、11B,11Cまでそれぞれ金型8を突き通して移動可能に嵌合している。キャビティ11A〜11Cに樹脂が射出されるまでは、保圧棒15A、15B、15Cの先端はキャビティ11A〜11Cまで若干距離を開けておき、キャビティに樹脂が射出された後、樹脂圧を加えるための圧縮代を設けておかれる。保圧棒15A、15B、15Cの他端部は可動金型8内に備えられた保圧棒と同数の油圧シリンダ8aの各ピストン15aにそれぞれ結合されている。
【0026】
16A、16B、16Cは各キャビティ(A)11A、キャビティ(B)11B、キャビティ(C)11Cそれぞれの樹脂圧を検出する樹脂圧センサである。制御装置25は信号配線23A、23B、23Cを介して各樹脂圧センサ16A、16B、16Cの信号を受け、油圧制御盤26に内蔵する図示省略の各油圧バルブを介して樹脂ゲートバルブ13A、13B、13C、保圧棒15A、15B、15C等を制御する。
【0027】
図1に示した金型と射出ユニットの制御系統によって射出成形するときの工程を図2の工程順ブロック図によって説明する。図2の横軸は時間軸である。最上段は射出ユニットの射出シリンダ1a、射出スクリュ2による溶融樹脂の射出工程を示し、その下段にはキャビティ(A)11Aの充填と樹脂圧力の保持(保圧制御)と冷却をブロックで示し、その下にキャビティ(A)のゲートバルブ13A開閉のタイミングを、又その下に各工程に合わせてキャビティ(A)の内圧の変化を示している。
【0028】
溶融樹脂の射出開始前に油圧シリンダ9aの圧油サイドを切換えて、全樹脂ゲートバルブ13A、13B、13Cを開き、射出スクリュ2が前進して溶融樹脂がホットランナ10の樹脂通路を通り各キャビティ11A〜11Cに射出充填される。
【0029】
キャビティ(A)11Aの樹脂圧検出センサ16Aが予め設定されたこのキャビティ(A)の樹脂圧力POAを検出したとき(TA )、樹脂ゲートバルブ13Aを閉じてキャビティ(A)の樹脂通路を遮断し、同時に可動金型8に内蔵するキャビティ(A)用の油圧シリンダ8aに圧油を送り保圧棒15Aを押し込んでキャビティ(A)に樹脂圧力を掛け、その圧力を樹指圧センサ16Aにより検出し、その検出信号値を制御装置25内の図示省略の演算回路において設定値PA と比較し、この設定値PA と一致するように、油圧制御盤26内の図示省略の油圧調整バルブと油圧切換バルブを介して、キャビティ(A)用の油圧シリンダ8aの油圧を調節し、キャビティ(A)内の樹脂圧力を、樹脂が溶融状態の間、設定値PA に保持するようにフィードバック制御をする。ゲートバルブ13Aは型締昇圧後、次サイクルの射出開始前に開くようにする。
【0030】
図2のキャビティ(A)11Aの作動形態の下側に、キャビティ(B)11Bの充填と樹脂圧力の保持(保圧制御)と冷却をブロック図で示し、これに並行してキャビティ(B)のゲートバルブ13B開閉のタイミング、キャビティ(B)の内圧を示す。
【0031】
キャビティ(B)11Bもキャビティ(A)11Aと同様に、樹脂圧センサ16Bが予め設定されたこのキャビティ(B)の樹脂圧力POBを検出すると(TB )、樹脂ゲートバルブ13Bが閉じてキャビティ(B)の樹脂通路を遮断し、キャビティ(B)用の油圧シリンダ8aに圧油を送り保圧棒15Bによるキャビティ(B)内の圧力を樹指圧センサ16Bにより検出し、その検出信号値を制御装置25において設定値PB と比較し、この設定値PB と一致するように、キャビティ(B)用の油圧シリンダ8aの油圧を調節し、キャビティ(B)内の樹脂圧力が設定値PB を保持するようにフィードバック制御をする。ゲートバルブ13Bはゲートバルブ13Aと同様に型締昇圧後に開くようにする。
【0032】
図2の、キャビティ(B)11Bの作動形態の下側に、キャビティ(C)11Cの射出充填と樹脂圧力の保持(保圧制御)と冷却をブロックで示し、これに並行してキャビティ(C)のゲートバルブ13C開閉のタイミング、キャビティ(C)の内圧を示す。
【0033】
キャビティ(C)11Cについても同じく、樹脂圧検出センサ16Cが予め設定されたこのキャビティ(C)の樹脂圧力POCを検出すると、樹脂ゲートバルブ13Cが閉じてキャビティ(C)の樹脂通路を遮断し、キャビティ(C)用の油圧シリンダ8aに圧油を送り保圧棒15Cによるキャビティ(C)内の圧力を圧力検出センサ16Cにより検出し、その検出信号値を制御装置25において設定値PC と比較し、この設定値PC と一致するように、キャビティ(C)用の油圧シリンダ8aの油圧を調節し、キャビティ(C)内の樹脂圧力が設定値PC を保持するようにフィードバック制御をする。キャビティ(C)のゲートバルブ13Cはゲートバルブ13A、13Bと同様に型締昇圧後に開くようにする。
【0034】
各キャビティ内の樹脂は保圧された状態のまま冷却された後、各保圧棒15A〜15Cによる圧力保持が解かれ、成形品取出し後に各保圧棒15A〜15Cは以前の位置まで戻される。
【0035】
最下段は固定金型7と可動金型8の型締め工程を示し、型締した金型の各キャビティへ溶融樹脂を射出充填、圧力保持冷却の工程中は型締め加圧を継続し(圧力保持)、全てのキャビティ内樹脂の降圧の工程が終了し、成形品の冷却固化後に型締圧を降圧し、型開(降圧型開)、成形品取出が行われ、その後再び、型締(型閉、昇圧型締)が行われた後に次の射出充填が始まる。
【0036】
キャビティ(A)11Aはキャビティ(B)11Bより大型で、キャビティ(C)11Cはキャビティ(B)よりも小型であるとき、溶融樹脂の射出充填の時間は、キャビティ(C)が最も短く、キャビティ(B)はその次ぎに短く、キャビティ(A)が最も長くなる。
【0037】
ホットランナ10内の樹脂通路の断面積、樹脂入口からキャビティ11A〜11Cまでの長さ、樹脂温度に対する樹脂の粘度等により、流動解析を行い、各キャビティ11A〜11Cの溶融樹脂の充満する時間を計算するか、又は各種樹脂の樹脂温度に対する充填時間を成形実験により把握し、各キャビティ11A〜11Cの充填完了タイミングをタイマ、或いは射出スクリュ2のストローク長さに置き換え、動作信号を発することもできる。
【0038】
射出シリンダ1a内の射出スクリュ2は、キャビティ(A)11Aの樹脂ゲートバルブ13Aが閉じた後は射出圧を保持する必要が無くなるので、樹脂圧力を下げ(降圧)、次の射出に備えて射出スクリュ2を回転しながら後退し、新しく供給された樹脂ペレットを可塑化溶融しながらスクリュ2先端に貯溜する(可塑化、射出スクリュ回転戻り)。
【0039】
このように各キャビティ11A〜11Cはその樹脂通路を個別に遮断し、個別の圧力検出手段により検出した樹脂圧力信号を個別の圧力保持手段にフィードバックしてキャビティ内の樹脂圧力を冷却固化するまで保持するので、射出スクリュ2は各キャビティ11A〜11Cの樹脂ゲートバルブ13A〜13Cが閉じた後は射出圧を保持する必要が無く、直ぐに次の射出に備えた可塑化溶融工程に移行することができるので、ペレットの可塑化溶融工程に余裕が取れ、射出工程全体の工程短縮を図ることができる。
【0040】
本発明に係り本発明者が検討した検討例2の射出成形方法について図を参照して説明する。図3は検討例2に係る複数のキャビティを有する金型と射出ユニットの制御系統を示す模式図、図4は図3の金型と射出ユニットの制御形態によって射出成形するときの工程順ブロック図である。これらの図における機能部品の大部分は、検討例1と同じであり、検討例1を説明した図1と同じ機能部品は同部品番号を使用し、金型と射出ユニットの構成の説明は省略する。
【0041】
この検討例2の制御系統を示す図3の模式図のように、検討例1と異なる部分は、最も射出量の大きいキャビティ(A)11Aに樹脂を射出する樹脂通路に樹脂ゲートバルブが無く、キャビティ(A)に樹脂圧を加える油圧シリンダ8a及び油圧配管、保圧棒15Aが省いてあることである。
【0042】
図4の工程順ブロック図で示すように、この射出成形方法においては、射出シリンダ1aと射出スクリュ2による射出圧力と圧力保持時間を、最も射出量の大きいキャビティ(A)11Aの充填、樹脂圧力保持の条件に合わせ、他のより小さなキャビティ(B)11B、キャビティ(C)11Cには、それぞれに樹脂ゲートバルブ13B、13C、圧力保持手段である保圧棒15B、15Cと2組の油圧シリンダ8a、樹脂圧センサ16B、16Cが設けてある。
【0043】
射出充填時には、各キャビティに同時に溶融樹脂が射出充填されるが、キャビティ(A)11Aの溶融樹脂の充填後の圧力保持は、射出シリンダ1a、射出スクリュ2による射出後の保持圧力PS と等しく、キャビティ(A)内の樹脂の流動性が無くなるまで冷却した後、射出スクリュ2は圧力を下げ、樹脂を可塑化しながら回転し、後退する。
【0044】
キャビティ(A)11Aより射出量の少ないキャビティ(B)11Bにおいては、図4に示すように、充填に際し樹脂圧センサ16Bが予め設定されたこのキャビティ(B)11Bの樹脂圧力POBを検出すると、樹脂ゲートバルブ13Bが閉じてキャビティ(B)の樹脂通路を遮断し、キャビティ(B)用の油圧シリンダ8aに圧油を送り保圧棒15Bによるキャビティ(B)内の圧力を樹指圧センサ16Bにより検出し、その検出信号値を制御装置25において設定値PB と比較し、この設定値PB と一致するように、キャビティ(B)用の油圧シリンダ8aの油圧を調節し、キャビティ(B)内の樹脂圧力が設定値PB を保持するようにフィードバック制御する(保圧制御)。ゲートバルブ13Bは型締昇圧後に開くようにする。キャビティ(B)11Bはキャビティ(A)11Aより射出量が少ないので樹脂の充填時間も保圧時間も短くなるのは当然のことである。
【0045】
キャビティ(B)11Bよりさらに射出量の少ないキャビティ(C)11Cにおいても同じく、樹脂圧センサ16Cが予め設定されたこのキャビティ(C)の樹脂圧力POCを検出すると、樹脂ゲートバルブ13Cが閉じてキャビティ(C)の樹脂通路を遮断し、キャビティC用の油圧シリンダ8aに圧油を送り保圧棒15Cによるキャビティ(C)内の圧力を圧力検出センサ16Cにより検出し、その検出信号値を制御装置25において設定値PC と比較し、この設定値PC と一致するように、キャビティ(C)用の油圧シリンダ8aの油圧を調節し、キャビティ(C)内の樹脂圧力が設定値PC を保持するようにフィードバック制御する。
【0046】
このように、前述の検討例1の構成と同様に、射出後の各キャビティ11A〜11Cの樹脂圧保持時間も個別に設定することにより、成形品の形状、サイズに応じた成形品の射出条件に適うことができ、且つ、最も射出量の大きいキャビティ(A)11Aには樹脂ゲートバルブ13Aも保圧棒15Aと油圧シリンダ8a、樹脂圧センサ16Aも省略することができるので、金型の構成部品が減少し、制御部が簡単化するのでコストが低減する。
【0047】
また、上記の検討例1または検討例2の射出成形方法において、小さなキャビティの内、形状とサイズが近似のキャビティについては樹脂圧センサを共通に使用し、樹脂圧センサより検出した樹脂圧力信号を上記の近似のキャビティの油圧シリンダ8aにフィードバックしてキャビティ内の樹脂圧を設定値に保持するように制御するようにすれば(図示略)、上記の検討例1または検討例2の射出成形方法と同様の効果を得ると同時に、さらに金型の構成部品が減少し、制御部が簡単化するので、一層のコスト低減の効果がある。
【0052】
本発明に係る射出成形方法の実施の第1形態は、前述の検討例1で説明した図1の金型と射出ユニットの制御系統を示す模式図に記載してある射出スクリュ2のストローク位置を検出するスクリュ位置センサ5により、各キャビティ11A〜11Cの樹脂ゲートバルブ13A〜13Cの閉動作をさせるものである。
【0053】
即ち、溶融樹脂の射出充填工程で、予め各キャビティ11A〜11C毎に設定したスクリュ位置に従ってそれぞれの樹脂ゲートバルブ13A〜13Cを閉じることにより、個別に各キャビティ11A〜11Cの樹脂通路を遮断し、後は検討例1と同様に各キャビティ11A〜11Cの圧力検出センサ16A〜16Cにより個別のキャビティ内樹脂圧力を検出し、圧力保持用の各保圧棒15A〜15Cの作動油圧シリンダ8aの油圧を調節して各キャビティ11A〜11C内の樹脂圧力を樹脂が冷却固化するまで設定値に保持するように個別に制御する射出成形方法である。
【0054】
図5は図1の金型と射出ユニットの制御系統によって射出成形するときの実施の第1形態に係る射出成型方法の工程順ブロック図であり、各キャビティ11A〜11Cの保圧を時間の経過に対し一定(PA 、PB 、PC )に保持する例である。
【0055】
図6は実施の第1形態に係る射出成型方法の他の例の工程順ブロック図であり、各キャビティ11A〜11Cの型内圧を一定値でなく、時間に対して型内圧が、各キャビティの形状、容量等の条件に適合するような保圧パターン(PAP、PBP、PCP)に合うように保圧力を時間の経過に対し変化させた例である。この場合は、同一金型に形状やサイズが大きく異なった成形品のキャビティが設けられていても、各キャビティを最適の保圧条件にセットすることができる。
【0056】
本実施の第1形態においては、図1に示すホットランナ10内の樹脂通路の断面積、樹脂入口から各キャビティ11A〜11Cまでの長さ、樹脂温度に対する樹脂の粘度等により、流動解析を行い、各キャビティ11A〜11Cの溶融樹脂の充満する時間を計算するか、又は各種樹脂の樹脂温度に対する充填時間を成形実験により把握し、各キャビティ11A〜11Cの充填完了タイミングを射出スクリュ2のストローク長さに置き換えて把握することができる。
【0057】
図5または図6に示すように、このようにして予測した各キャビティ11A〜11Cに対する充填終了のタイミングTA 、TB 、TC は、射出スクリュ2のストローク位置SA 、SB 、SC で示したようになる。溶融樹脂の射出開始前に油圧シリンダ9aの圧油サイドを切換えて、全樹脂ゲートバルブ13A、13B、13Cを開き、射出スクリュ2が前進して溶融樹脂がホットランナ10の樹脂通路を通り各キャビティ11A〜11Cに射出充填される。
【0058】
この射出の工程において、スクリュ位置センサ5が射出スクリュ2のストローク位置SC を検出したとき、その信号のタイミングTC によりキャビティ(C)11Cの樹脂ゲートバルブ13Cが閉じ、キャビティ(C)の保圧棒15Cが押し出されてキャビティ(C)内の溶融樹脂を圧し、その樹脂圧は樹脂圧センサ16Cにより検出される。
【0059】
樹脂の保持圧力は予め適当な値(図5のPC 、又は図6のPCP)に設定されており、樹脂圧センサ16の検出値は制御装置25において設定値(PC 、又はPCP)と比較され、キャビティ(C)11Cの保圧棒15Cを押し出す油圧シリンダ8aの油圧を調節して樹脂圧力が一致するようにフィードバック制御をする。
【0060】
キャビティ(C)11C内の樹脂は保圧された状態のまま冷却され、保圧時間のタイムアウトのタイミングTR で保圧棒15Cによる圧力保持を解くように油圧シリンダ8aの油圧が下げられ、次に成形品取出後に保圧棒15Cは以前の位置まで戻される。
【0061】
同様に、射出スクリュ2がストローク位置SB となるタイミングTB で、キャビティ(B)11Bの樹脂ゲートバルブ13Bが閉じ、保圧棒15Bが押し出され、キャビティ(B)の樹脂圧は樹脂圧センサ16Bにより検出され、樹脂圧が設定値(図5のPB 、又は図6のPBP)と一致するように、キャビティ(B)の保圧棒15Bを押し出す油圧シリンダの油圧を調節してフィードバック制御される。
【0062】
キャビティ(B)11B内の樹脂は保圧された状態のまま冷却された後、タイムアウトのタイミング位置TR で保圧棒15Bによる圧力保持が解かれ、次に成形品取出後に保圧棒15Bは以前の位置まで戻される。
【0063】
同様に、射出スクリュ2がストローク位置SA のタイミングTA では、キャビティ(A)11Aの樹脂ゲートバルブ13Aが閉じ、保圧棒15Aが押し出され、キャビティ(A)の樹脂圧は樹脂圧センサ16Aにより検出され、樹脂圧が設定値(図5のPA 、又は図6のPAP)と一致するように、キャビティ(A)の保圧棒15Aを押し出す油圧シリンダ8aの油圧を調節されフィードバック制御される。
【0064】
キャビティ(A)11A内の樹脂は保圧された状態のまま冷却された後、タイムアウトのタイミング位置TR で保圧棒15Aによる圧力保持が解かれ、次に成形品取出後に保圧棒15Aは以前の位置まで戻される。
【0065】
一方、射出シリンダ1a内の射出スクリュ2は、キャビティ(A)11Aの樹脂ゲートバルブ13Aが閉じた後は射出圧を保持する必要が無くなるので、樹脂圧力を下げ(降圧)、次の射出に備えて射出スクリュ2を回転しながら後退し、新しく供給された樹脂ペレットを可塑化溶融しながらスクリュ2先端に貯溜する(可塑化、射出スクリュ回転戻り)。
【0066】
この各キャビティ11A〜11Cの樹脂通路を個別に遮断し、個別の圧力検出手段により検出した樹脂圧力信号を個別の圧力保持手段にフィードバックしてキャビティ11A〜11C内の樹脂圧力を冷却固化するまで保持する射出成形方法によれば、射出スクリュ2はキャビティ(A)11Aの樹脂ゲートバルブ13Aが閉じた後は射出圧を保持する必要が無く、直ぐに次の射出に備えた可塑化溶融工程に移行することができるので、ペレットの可塑化溶融工程に余裕が取れ、射出工程全体の工程短縮に役立てることができる。
【0067】
このスクリュ位置センサ5により各樹脂ゲートバルブ13A〜13Cの閉動作を行わせる方法は、前述の検討例1、2の樹指圧センサ16A〜16Cによる一定のキャビティ圧力検知により各樹脂ゲートバルブ13の閉動作を行わせる方式と置き換えることが可能である。
【0068】
本発明の実施の第2形態の射出成形方法を、使用する金型と射出ユニットの制御系統の構成について図7の金型と射出ユニットの制御系統を示す模式図により、また、射出成形方法について上記の実施の第1形態と同じ図5及び図6の工程順ブロック図を用いて説明する。
【0069】
図5は図7の金型と射出ユニットの制御系統によって射出成形するときの実施の第2形態に係る射出制御方法の工程順ブロック図であり、各キャビティ11A〜11Cの保圧を時間の経過に対し一定(PA 、PB 、PC )に保持する例である。
【0070】
図6は実施の第2形態に係る射出制御方法の他の例の工程順ブロック図で、各キャビティの形状、容量等の条件に適合するような保圧パターン(PAP、PBP、PCP)に合うように保圧力を時間の経過に対し変化させた例である。
【0071】
図7の金型と射出ユニットの制御系統を示す模式図は、図1に示した模式図と大部分は共通であり、可動金型28と油圧シリンダ28aの制御部だけが異なっているものなので、構成については相違部分についての説明に止め、図1と共通部については同一形状、同一機能に部品は同じ部品番号を付し、説明を省略する。
【0072】
本発明の実施の第2形態は、前述の実施の第1形態と同様に、射出工程の前に各キャビティ11A〜11Cの樹脂通路を開き、各キャビティ11A〜11Cに同時に溶融樹脂を射出充填する時、射出スクリュ2のストローク位置SA 、SB 、SC に従って各キャビティ11A〜11Cの樹脂ゲートバルブ13A〜13Cを閉じ、保圧手段により各キャビティ11A〜11Cに付加する型内圧力を各キャビティの特性に適合するように保持し押圧力を制御する射出成形方法である。
【0073】
本実施の形態における保圧手段による各キャビティの型内圧力制御方法は、実施の第1形態のようにキャビティ11A〜11Cの圧力を検出して保圧棒15A〜15Cをフィードバック制御する制御方法と異なり、予め決めて置いた時間に対する型内圧力のパターンを直接保圧棒の作動油圧制御弁に指令して各キャビティ11A〜11Cへの付加圧力を制御する方式であり、この型内圧力のパターンは、個別に各キャビティ11A〜11Cについて、樹脂のP−V−T曲線(温度と圧力の変化に対する容積変動率)や溶融樹脂の圧縮率のデータを用いて、樹脂の圧縮代、保持圧力を理論計算して決めたものとするもので、この方法によれば、前述の検討例1、2および実施の第1形態においては必要であったキャビティ内の圧力検出手段を省略することができる。
【0074】
図7において、固定金型7は可動金型28と結合したとき、溶融樹脂を受け入れる複数の金型のキャビティ(A)11A、キャビティ(B)11B、キャビティ(C)11Cを形成する。可動金型28は固定金型7から離れる方向に移動可能である。
【0075】
保圧棒15A、15B、15Cはそれぞれ各キャビティ11A〜11Cまで金型28を貫通して移動可能に嵌合し、各キャビティ11A〜11Cに樹脂が射出されるまでは、保圧棒15A、15B、15Cの先端はキャビティまで若干距離を開けておき、キャビティ11A〜11Cに樹脂が射出充填された後、樹脂圧を加えるための圧縮代を設けておかれる。保圧棒15A、15B、15Cの他端部は可動金型28内に備えられた保圧棒15A〜15Cと同数の油圧シリンダ28aの各ピストン15aに結合されている。
【0076】
制御装置35は、スクリュ位置センサ5が検出した射出スクリュ2の位置の信号に従って、各樹脂ゲートバルブ13A〜13Cを作動する油圧シリンダ9aへの作動油圧を同時に、又は、順番に切換えるように油圧制御盤36内の図示しない各油圧切換弁に指示し、図示省略の各油圧切換弁はこの指示に従って油圧を切換え、各樹脂ゲートバルブ13A〜13Cを開閉する。
【0077】
また、制御装置35は各キャビティ11A〜11Cに溶融樹脂が射出充填され、各樹脂ゲートバルブ13A〜13Cが閉となって保圧工程(保圧制御)に入ったとき、油圧制御盤36に内蔵する図示しない各油圧バルブを介して、保圧棒15A、15B、15Cを作動制御する。
【0078】
制御装置35に備えられた記憶部には、個別に各キャビティ11A〜11Cについて、樹脂のP−V−T曲線(温度と圧力の変化に対する容積変動率)や溶融樹脂の圧縮率のデータを用いて、樹脂の圧縮代、保持圧力を理論計算して決めた型内圧力のパターン、例えば、図5のPA 、PB 、PC 、又は図6のPAP、PBP、PCPが記憶されている。
【0079】
また、保圧棒15A、15B、15Cの樹脂加圧側の油圧回路に設けられた油圧調整弁31A、31B、31Cは、保圧棒15A、15B、15Cの樹脂加圧側の油圧を、制御装置35の記憶部に記憶している型内圧パターンから前記圧縮率から換算した値で調整して各キャビティの内圧を直接制御する。
【0080】
実施の第1形態と同じ図5の工程順ブロック図及び他の例として図6の工程順ブロック図を用いて、実施の第2形態に係る射出成形方法を説明する。溶融樹脂の射出開始前に油圧シリンダ9aの圧油サイドを切換えて、全樹脂ゲートバルブ13A、13B、13Cを開き、射出スクリュ2が前進して溶融樹脂がホットランナ10の樹脂通路を通り各キャビティ11A〜11Cに射出充填される。
【0081】
本実施の形態においては前述の実施の第1形態と同様に、図7に示すホットランナ10内の樹脂通路の断面積、樹脂入口から各キャビティ11A〜11Cまでの長さ、樹脂温度に対する樹脂の粘度等により、流動解析を行い、各キャビティ11A〜11Cの溶融樹脂の充満する時間を計算するか、又は各種樹脂の樹脂温度に対する充填時間を成形実験により把握し、各キャビティ11A〜11Cの充填完了タイミングを射出スクリュ2のストローク長さに置き換えて把握することができる。
【0082】
このようにして予測した各キャビティ11A〜11Cに対する充填終了のタイミングTA 、TB 、TC は、射出スクリュ2のストローク位置SA 、SB 、SC で示したようになる。
【0083】
射出充填の工程において、始めにスクリュ位置センサ5が射出スクリュ2のストロークがSC を検出したとき、その信号のタイミングTC によりキャビティ(C)11Cの樹脂ゲートバルブ13Cが閉じ、キャビティ(C)の保圧棒15Cが押し出されてキャビティ(C)内の溶融樹脂を加圧する。
【0084】
このとき、保圧棒15Cの樹脂加圧側の油圧回路に設けられた油圧調整弁13Cは、制御装置35の指示により、保圧棒15Cの背圧を調整してキャビティ(C)の内圧が設定値(図5のPC 、又は図6のPCP)となるように制御する。
【0085】
キャビティ(C)内の樹脂は保圧時間のタイムアウト後、保圧棒15Cによる圧力保持を解くように油圧シリンダ28aの油圧が下げられ、冷却され、次に成形品取出後に保圧棒15Cは以前の位置まで戻される。
【0086】
次に、スクリュ位置センサ5が射出スクリュ2のストローク位置SB を検出すると、その信号のタイミングTB によりキャビティ(B)11Bの樹脂ゲートバルブ13Bが閉じ、保圧棒15Bが押し出されてキャビティ(B)内の溶融樹脂を加圧する。
【0087】
保圧棒15Bの樹脂加圧側の油圧回路に設けられた油圧調整弁31Bは、制御装置35の指示により、保圧棒15Bの背圧を調整してキャビティ(B)11Bの内圧が設定値(図5のPB 、又は図6のPBP)となるように制御する。キャビティ(B)内の樹脂は保圧時間のタイムアウト後、保圧棒15Bより圧力保持が解かれ、冷却され、次に成形品取出後に保圧棒15Bは以前の位置まで戻される。
【0088】
同様に、射出スクリュ2のストローク位置SA の検出のタイミングTA では、キャビティ(A)11Aの樹脂ゲートバルブ13Aが閉じ、保圧棒15Aを押し、保圧棒15Aの樹脂加圧側の油圧回路に設けられた油圧調整弁31Aは、制御装置35の指示により、保圧棒15Aの背圧を調整してキャビティ(A)の内圧が設定値(図5のPA 、又は図6のPAP)となるように制御し、キャビティ(A)内の樹脂は保圧時間のタイムアウト後、保圧棒15Aによる圧力保持が解かれ、冷却され、成形品取出後に保圧棒15Aは以前の位置まで戻される。
【0089】
一方、射出シリンダ1a内の射出スクリュ2は、キャビティ(A)11Aの樹脂ゲート13Aが閉じた後は射出圧を保持する必要が無くなるので、樹脂圧力を下げ(降圧)、次の射出に備えて射出スクリュ2を回転しながら後退し、新しく供給された樹脂ペレットを可塑化溶融しながらスクリュ2先端に貯溜し(可塑化、射出スクリュ回転戻り)、次の射出工程に備える。
【0090】
この各キャビティ11A〜11Cの樹脂通路を個別に遮断し、制御装置35より各キャビティ11A〜11Cに対するそれぞれの油圧調整弁31A〜31Cに設定圧力を指示して、溶融樹脂の保持圧力を個別に直接制御する射出成形方法によれば、射出スクリュ2はキャビティ(A)11Aの樹脂ゲート13Aが閉じた後は射出圧を保持する必要が無く、直ぐに次の射出に備えた可塑化溶融工程に移行することができるので、ペレットの可塑化溶融工程に余裕が取れ、射出工程全体の工程短縮に役立てることができる。また、前述の他の実施の形態においては必要であったキャビティ11A〜11C内の樹指圧センサとその周辺機能部品を省略することができるので、コスト低減の効果がある。
【0091】
【発明の効果】
(1)本発明の請求項1の射出成形方法によれば、射出成型方法を、形状やサイズの異なった複数のキャビティと同キャビティ毎の樹脂ゲートを有する金型を用い、射出ユニットから溶融樹脂を射出して複数の成形品を同時に成形する射出成形方法において、射出スクリュのストローク位置を検出するスクリュ位置検出センサと、前記キャビティのそれぞれにキャビティの充填樹脂の圧力検出手段と圧力保持手段と樹脂ゲートの開閉手段とを設け、溶融樹脂の射出開始前に前記開閉手段により全ての前記樹脂ゲートを開き、射出充填工程では予め前記各キャビティ毎に設定した前記ストローク位置に従って個別に前記各キャビティの樹脂ゲートを閉じた後、同各キャビティ内の樹脂圧力を樹脂が溶融状態の間、前記圧力検出手段により検出した個別の樹脂圧力信号を前記圧力保持手段にフィードバックして、予め前記各キャビティ毎に設定したキャビティ内の樹脂圧力のパターンに従うように個別に制御するように構成したので、予め設定したスクリュ位置に従って、各キャビティの樹脂通路を個別に遮断し、個別のキャビティの樹脂圧力信号を、それぞれの圧力保持手段にフィードバックしてキャビティ内の樹脂圧力を予め設定した保圧パターンとなるように、個別に制御することができるため、樹脂ゲート開閉手段の動作タイミングの設定がより簡単になる効果がある。また、樹脂の種類、温度が変わっても射出条件の設定が簡単で工数も時間もかからない。また、射出後の各キャビティの樹脂圧保持時間も個別に設定でき、成形品の形状、サイズに応じた成形品の射出条件に適うことができる。また、この射出成形方法によれば、射出シリンダ、射出スクリュはキャビティの樹脂開閉ゲートが閉じた後は射出圧を保持する必要が無く、直ぐに次の射出に備えた可塑化溶融工程に移行することができるので、ペレットの可塑化溶融工程に余裕が取れ、射出工程全体の工程短縮に役立つ、等の効果がある。
【0096】
(2)本発明の請求項2の射出成形方法によれば、射出成型方法を、形状やサイズの異なった複数のキャビティと同キャビティ毎の樹脂ゲートを有する金型を用い、射出ユニットから溶融樹脂を射出して複数の成形品を同時に成形する射出成形方法において、射出スクリュのストローク位置を検出するスクリュ位置検出センサと、前記キャビティのそれぞれにキャビティの充填樹脂の圧力保持手段と樹脂ゲートの開閉手段とを設け、溶融樹脂の射出開始前に前記開閉手段により全ての前記樹脂ゲートを開き、射出充填工程では予め前記各キャビティ毎に設定した前記ストローク位置に従って前記開閉手段により個別に各キャビティの樹脂ゲートを閉じた後、同各キャビティ内の樹脂が溶融状態の間、樹脂の圧縮代、保持圧力の理論計算により予め各キャビティ毎に設定したキャビティ内の樹脂圧力のパターンに従うように、個別に前記圧力保持手段の付加圧力を制御するように構成したので、予め設定したスクリュ位置に従って、各キャビティの樹脂通路を個別に遮断し、予め計算して決めた保圧パターンになるように、圧力保持手段が個別に保圧制御することができるため、圧力検出手段等の機能部品が少なくなり、コスト低減の効果がある。また、樹脂の種類、温度が変わっても射出条件の設定が簡単で工数も時間もかからない。また、射出後の各キャビティの樹脂圧保持時間も個別に設定でき、成形品の形状、サイズに応じた成形品の射出条件に適うことができる。また、この射出成形方法によれば、射出シリンダ、射出スクリュはキャビティの樹脂開閉ゲートが閉じた後は射出圧を保持する必要が無く、直ぐに次の射出に備えた可塑化溶融工程に移行することができるので、ペレットの可塑化溶融工程に余裕が取れ、射出工程全体の工程短縮に役立つ、等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係り本発明者が検討した検討例1の射出成形方法における複数のキャビティを有する金型と射出ユニットの制御系統を示す模式図である。
【図2】 図1の金型と射出ユニットの制御系統によって射出成形するときの工程順ブロック図である。
【図3】 本発明に係り本発明者が検討した検討例2の射出成形方法における複数のキャビティを有する金型と射出ユニットの制御系統を示す模式図である。
【図4】 図3の金型と射出ユニットの制御系統によって射出成形するときの工程順ブロック図である。
【図5】 図1の金型と射出ユニットの制御系統によって射出成形するときの本発明の実施の第1形態における工程順ブロック図であり、図7の金型と射出ユニットの制御系統によって射出成形するときの本発明の実施の第2形態における工程順ブロック図である。
【図6】 図1の金型と射出ユニットの制御系統によって射出成形するときの本発明の実施の第1形態の他の例における工程順ブロック図の他の例であり、図7の金型と射出ユニットの制御系統によって射出成形するときの本発明の実施の第2形態の他の例における工程順ブロック図である。
【図7】 本発明の実施の第2形態に係る射出成形方法における金型と射出ユニットの制御系統を示す模式図である。
【符号の説明】
1 射出ユニット本体
2 射出スクリュ
5 スクリュ位置センサ
7 固定金型
8 可動金型
9 支持盤
9a 油圧シリンダ
10 ホットランナ
11A キャビティ(A)
11B キャビティ(B)
11C キャビティ(C)
13A、13B、13C 樹脂ゲートバルブ
15A、15B、15C 保圧棒
16A、16B、16C 樹脂圧センサ
25、35 制御装置
26、36 油圧制御盤
28 可動金型
31A、31B、31C 油圧調整弁
Claims (2)
- 形状やサイズの異なった複数のキャビティと同キャビティ毎の樹脂ゲートを有する金型を用い、射出ユニットから溶融樹脂を射出して複数の成形品を同時に成形する射出成形方法において、射出スクリュのストローク位置を検出するスクリュ位置検出センサと、前記キャビティのそれぞれにキャビティの充填樹脂の圧力検出手段と圧力保持手段と樹脂ゲートの開閉手段とを設け、溶融樹脂の射出開始前に前記開閉手段により全ての前記樹脂ゲートを開き、射出充填工程では予め前記各キャビティ毎に設定した前記ストローク位置に従って個別に前記各キャビティの樹脂ゲートを閉じた後、同各キャビティ内の樹脂圧力を樹脂が溶融状態の間、前記圧力検出手段により検出した個別の樹脂圧力信号を前記圧力保持手段にフィードバックして、予め前記各キャビティ毎に設定したキャビティ内の樹脂圧力のパターンに従うように個別に制御することを特徴とする射出成形方法。
- 形状やサイズの異なった複数のキャビティと同キャビティ毎の樹脂ゲートを有する金型を用い、射出ユニットから溶融樹脂を射出して複数の成形品を同時に成形する射出成形方法において、射出スクリュのストローク位置を検出するスクリュ位置検出センサと、前記キャビティのそれぞれにキャビティの充填樹脂の圧力保持手段と樹脂ゲートの開閉手段とを設け、溶融樹脂の射出開始前に前記開閉手段により全ての前記樹脂ゲートを開き、射出充填工程では予め前記各キャビティ毎に設定した前記ストローク位置に従って前記開閉手段により個別に各キャビティの樹脂ゲートを閉じた後、同各キャビティ内の樹脂が溶融状態の間、樹脂の圧縮代、保持圧力の理論計算により予め各キャビティ毎に設定したキャビティ内の樹脂圧力のパターンに従うように、個別に前記圧力保持手段の付加圧力を制御することを特徴とする射出成形方法。
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