JPH091600A - 射出成形方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 形状が異なり成形条件の違う複数のキャビテ
ィを有する金型を用い、溶融樹脂を射出成形する射出成
形方法に関する。 【構成】 内部に形状が異なる複数のキャビティと、各
キャビティ毎にバルブ手段と流路遮断手段と加圧手段を
有するホットランナ式金型を用いる射出成形方法であっ
て、順次該バルブ手段を用い目的のキャビティのゲート
のみを開き、各キャビティ毎に最適の成形条件で溶融樹
脂を充填し、充填の完了したキャビティは順次該流路遮
断手段でランナより分断し、該加圧手段で加圧する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は成形条件の違う複数の
キャビティからなる金型で成形品を射出成形する方法に
関することである。

【０００２】

【従来の技術】従来の射出成形方法としては特開平２−
９８４１７がある。この方法を図３に基づいて説明す
る。可動型７１と固定型７２からなる金型のパーティン
グ面上に形状の違うキャビティ７３，７４を配し、各キ
ャビティ７３，７４は溶融樹脂注入ゲート７７，８２を
介してホットランナ７８でつながっている。前記キャビ
ティ７３，７４の内、充填量の小さい方のキャビティ７
４のゲート８２には、可動型７１側に設けた油圧シリン
ダ７６により進退するゲート開閉装置７５が設けてあ
る。８１は油圧シリンダ７６に接続した電磁切換弁であ
る。

【０００３】７０は射出装置で、先端のノズル部を前記
固定型７２のスプルーブッシュに押圧して内部のスクリ
ュ８０を前進させると、溶融樹脂７９はホットランナ７
８を通り、キャビティ７３，７４に注入できる。

【０００４】次に作動について説明すると、射出に先立
って電磁切換弁８１のソレノイド８１を励磁して、ゲー
ト開閉装置７５を前進させ、充填量の少ない側のキャビ
ティ７４のゲート８２を閉鎖しておく。スクリュ８０を
前進させて射出を開始すると、溶融樹脂はホットランナ
７８を介し、ゲート７７を通過しキャビティ７３側のみ
に充填を始める。

【０００５】スクリュ８０が全ストロークＳ中の予め定
めた位置Ａまで前進した時、図示していないスクリュ位
置検出装置が同位置を検出し、同検知信号によりソレノ
イド８１が解磁され、ゲート開閉装置７５が後退し、ゲ
ート８２は開放となる。射出は引き続き行われており溶
融樹脂７９は充填量の少ない方のキャビティ７４にも充
填される。前記の全ストロークＳ中のＡ位置はキャビテ
ィ７３に充填される残り量と、充填量の少ない方のキャ
ビティ７４に充填される材料の量がほぼ同一であるよう
な位置としている。このため溶融樹脂７９のがキャビテ
ィ７３，７４に充填を完了する瞬間は該キャビティ７
３，７４ともほぼ同一である。そして次の保圧と冷却は
両キャビティ共同一の成形条件で行われることになる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】一つの金型内に設けら
れるキャビティ７３と７４の形状が良く似ていて、各キ
ャビティ毎に成形条件に違いを設ける必要が無い場合、
はキャビティ７３，７４を一つの成形条件で充填すると
いう従来の技術の方法が非常に短時間で成形でき有利で
ある。然しキャビティ７３とキャビティ７４の形状が大
変違う場合や、各キャビティの成形条件が難しく、それ
ぞれのキャビティの成形法を違える必要がある場合には
対応出来なくなる。即ち時として不良の出易い片方の成
形条件を変えたい場合があるのである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】形状の違う複数のキャビ
ティを有する金型を用いて行う射出成形方法に於いて、
溶融樹脂を各キャビティ毎に順次違った成形条件で充填
し、圧力検出装置により充填の完了を油圧力の上昇で検
出し、次のキャビティの充填開始に移るタイミングとす
ると共に充填の終わった各キャビティ毎に金型付属の保
圧装置で保圧を行う射出成形方法とする。

【０００８】

【作用】金型内のキャビティの形状が著しく違う場合
や、雄雌のコネクタのように精密な成形の場合、各キャ
ビティ毎に違った成形条件で射出充填する必要のある場
合は少なくない。こうした場合各キャビティ毎に最適の
成形条件で溶融樹脂の充填を行い、充填の完了を油圧力
の上昇で検知し、しっかりと保圧装置による保圧に切り
換えた後次のキャビティの射出充填に移行出来る。

【０００９】

【実施例】図１により装置の説明をする。ホットランナ
用金型１０は可動型２４と固定型２５より構成され、異
なった形状のキャビティ１と２を内蔵している。キャビ
ティ１に通ずるゲート２６には駆動ピストン２０と、該
ピストンに連結して該ゲートを開閉する弁棒３６よりな
るバルブ手段が配されている。該弁棒３６はゲート２６
に接続するゲート側ランナ３２内を通り、またピストン
２０は固定盤への取り付け面近くに設けた油室に収納さ
れている。ゲート側ランナ３２にはスプル側ランナ３１
が開口２８で直角に接続している。そして中心に弁棒３
６を圧力密に挿通させつつ該ゲート側ランナ３２の内周
に摺動可能に嵌合する弁体３４が同様に中心に弁棒３６
を挿通させつつ油室に収納されたピストン２１に接続し
ている。

【００１０】一方キャビティ２側にもゲート２７にゲー
ト開閉用の弁棒３７と駆動用のピストン２２よりなるバ
ルブ手段を擁し、またゲート２７に接続するゲート側ラ
ンナ３３には前記のスプル側ランナ３１が同様に開口２
９で直角に接続している。またゲート側ランナ３３の内
周に摺動可能に嵌合する弁体３５と駆動用のピストン２
３には中心を弁棒３７が挿通している。これらの構造は
前記のキャビティ１の場合と同一である。キャビティ１
とキャビティ２の両キャビティはランナ３１で連結され
ており、スプル３０が該ランナ３１と接続しているので
ある。

【００１１】ホットランナ用金型１０に内蔵の各ピスト
ンを駆動する油圧用切換弁として、ピストン２０駆動用
に電磁切換弁１１が、ピストン２１駆動用として電磁切
換弁１２が、ピストン２２駆動用として電磁切換弁１４
が、またピストン２３駆動用として電磁切換弁１３が接
続されて、共通の油圧源１７から油圧力を供給されてい
る。また減圧弁４７，４８は後で説明するゲート側スプ
ル３２，３３を加圧した際の溶融樹脂の加圧力を決める
ものである。

【００１２】ここで弁体３４の機能について説明する。
電磁切換弁１２はこの弁体の駆動用である。図１の如く
電磁切換弁１２がニュートラル状態の時には、ピストン
２１は右方向に移行しており開口２８は開いており、溶
融樹脂は通過可能である。また電磁切換弁１２が励磁さ
れた場合、ピストン２１は左側に移行し、弁体３４はゲ
ート側ランナ３２内に押し込まれる。弁体３４は押し込
まれるに従って開口２８を覆蓋し、ゲート側ランナ３２
とスプル側ランナ３１を分断する流路遮断手段と、また
尚弁体３４が押し込まれることによって開口２８からキ
ャビティ１迄の充填された溶融樹脂を圧縮する加圧手段
の両機能を併せ発揮することになる。また弁体３５も同
様の機能がある。

【００１３】射出装置２０は先端部にノズル３８を配し
た加熱筒４６の内孔に溶融樹脂の逆流を防止する逆止弁
４３付きスクリュ３９が回転及び往復動可能に挿嵌され
ている。４４はスクリュヘッドである。スクリュ３９は
ベアリング受け４５の軸を介して油圧モータ４２に連結
され、且つ２本の射出シリンダ４０にて往復動されるよ
うになっている。

【００１４】射出シリンダ４０と油圧モータ４２には油
圧源１８から電磁切換弁１５を介して油圧力が供給さ
れ、また該油圧シリンダ４０の射出前進側の油室に油圧
力を検出する圧力センサ４１が設けてある。１６は該射
出シリンダ４０と油圧モータ４２の油圧力を制御する電
磁リリーフ弁である。またリリーフ弁５０はスクリュ３
９が回転して樹脂の可塑化を行う際に該スクリュ３９が
後退することにより、射出シリンダ４０より押し出され
る作動油の圧力を制御して後退の抵抗力とする、背圧用
のリリーフ弁である。電磁切換弁４９はスクリュ３９を
強制的に後退させる切換弁で、後述の作動説明から省
く。

【００１５】次に図２により本発明の射出成形方法を説
明する。図中の縦軸Ｐは射出シリンダ４０の油圧力であ
り実線がその圧力のカーブであり、横軸Ｔは時間の流れ
を示す。成形品はマイコンボード等に使用するソケット
の雄雌セット取りである。ソケット類は多数の接続ピン
収納孔を有し、射出充填の速度や充填後の加圧をしっか
り行わないとショートショット等による成形不良が発生
し易い。従って各キャビティ毎に最適の成形条件で成形
する必要がある。また図１に示すＬはスクリュ３８のス
トロークであり、Ｒはキャビティ１が充填を完了する位
置である。

【００１６】図示しない型締装置によりホットランナ用
金型１０を閉鎖して、射出装置２０のノズル３８を固定
型２５の溶融樹脂注入孔に押圧してスクリュ３９を前進
させると溶融樹脂はキャビティ内に注入されることにな
る。射出の直前のほんの短時間は射出待機の工程で、電
磁切換弁１５ｂを励磁して、射出シリンダ４０に圧油を
送り込むと共に電磁リリーフ弁１６を＋（１）の電圧で
励磁する。（図２中の点線が設定圧力である）然し他の
電磁切換弁はニュートラルのままであるのでゲート２
６，２７は閉鎖のままであり、押し込まれた溶融樹脂は
ゲート２６，２７迄到達しキャビティ内には流入してい
ない。そして電磁リリーフ弁１６の制御圧力によりスク
リュ３９を押す力が決まり、溶融樹脂は決められた圧力
で与圧されている。これは閉鎖時期の不安定な逆止弁４
３を予め閉鎖する為と、射出速度の立ち上がりに要する
時間を短くし、溶融樹脂が金型内で冷却されて流動性が
悪くなる前に出来るだけ素早く充填する為である。従っ
て溶融樹脂圧力が上がり次第次工程に移って良い。

【００１７】キャビティ１充填の工程では、ソレノイド
１５ｂ，１１を励磁すると共に、電磁リリーフ弁１６の
ソレノイド１６を＋（２）の電圧で励磁する。また図示
しない油圧の流量制御弁若しくは可変吐出量ポンプにて
作動油の量を２段階に変え、スクリュ３９の速度を変速
している。溶融樹脂の流動性を考慮して最初の大部分の
充填はスクリュ３９を早い速度で前進させ、充填直前で
その速度を落としているのである。速度を落とすのは、
スクリュ３９や油圧モータ４２や射出シリンダ４０のラ
ム等の可動部の慣性力によって、キャビティ１が充填完
了してスクリュ３９が急に停止した際に発生する溶融樹
脂圧のピークを防止するためである。

【００１８】溶融樹脂充填中のスクリュ３９の高速，低
速中は油圧は溶融樹脂の流動に応じた圧力となり、この
時電磁リリーフ弁１６は吹かないように圧力はそれより
高く設定されている。そしてキャビティ１の溶融樹脂の
充填が完了すると油圧力は上昇し、電磁リリーフ弁１６
が吹くことになる。そして射出シリンダ４０に設けた圧
力センサ４１により、該電磁リリーフ弁１６に与えた＋
（２）に相当する油圧力を検知すると、キャビティ１の
充填が完了した信号を出す。しかし図２中のキャビティ
充填の工程の始まりにおいて、圧力カーブが電磁リリー
フ弁１６に与えた＋（２）に相当する油圧力より高い油
圧力（番号６０部分）となるのは、止まっていたスクリ
ュ３９や油圧モー４２等の可動部が予定の射出速度に達
する迄は、射出シリンダ４０の油圧力が電磁リリーフ弁
１６の設定値迄上昇す為である。そこでこの間の時間を
専用のタイマーで指定して、圧力センサ４１が検知する
のを除外している。

【００１９】上記の圧力センサ４１の信号により新たに
ソレノイド１２を励磁してキャビティ１加圧の工程にな
る。ピストン２１がゲート２６方向に押され、弁体３４
がゲート側ランナ３２内に押し込まれると開口２８を覆
蓋し溶融樹脂通路を分断し、そのまま前進してゲート側
ランナ３２内の溶融樹脂を加圧する。この溶融樹脂加圧
力はゲート２６が開いている為間接的にキャビティ１を
加圧するものである。ピストン２１にかける油圧力は減
圧弁４７で任意に調節でき、溶融樹脂を射出による圧力
よりも任意の高い圧力に加圧する。こうしてショートー
やヒケ等の成形不良を効果的に防止出来る。この切換の
作動はタイマーによによって管理され、溶融樹脂の加圧
に入る作動が完了する数秒があてられる。

【００２０】上記タイマーのタイムアウト後に、キャビ
ティ２充填の工程となる。この時もキャビティ１は加圧
の継続する。各ソレノイド１５ｂ，１２，１１，１４を
励磁し、また電磁リリーフ弁１６を＋（３）の電圧で励
磁する。こうしてキャビティ２充填が始まるが、その作
動は前記のキャビティ１充填の場合と同一である。然し
スクリュ３９の速度や電磁リリーフ弁１６の設定圧力は
キャビティ２の形状に応じてた最適値としてある。充填
が完了して油圧力が上昇し、射出シリンダ４０に設けた
圧力センサ４１により、該電磁リリーフ弁１６に与えた
＋（３）に相当する油圧力を検知すると、キャビティ２
の充填が完了した信号を出す。

【００２１】上記の圧力センサ４１の信号により新たに
ソレノイド１３を励磁してキャビティ２加圧になる。ピ
ストン２３がゲート２７方向に押され、弁体３５がゲー
ト側ランナ３３内に押し込まれると開口２９を覆蓋し溶
融樹脂通路を分断し、そのまま前進してゲート側ランナ
３３内の溶融樹脂を加圧する。この作動は前工程と同じ
くタイマーによって管理され、溶融樹脂の加圧が完了す
る数秒があてられる。

【００２２】この後可塑化の工程に移り電磁切換弁１５
のソレノイド１５ａを励磁して油圧モータ４２を回転し
てスクリュ３９を駆動し、また電磁リリーフ弁１６には
前記油圧モータ４２を駆動した際に発生する油圧力より
も少し高い油圧力となるよう＋（４）の電圧で励磁す
る。スクリュ３９の回転により新たな樹脂ペレットを溶
融可塑化する。ホットランナ用金型１０内ではソレノイ
ドは１１，１２，１３，１４が励磁されており、キャビ
ティ１とキャビティ２はそれぞれの加圧力で加圧された
まま冷却される。

【００２３】冷却が完了するとソレノイドは全て解磁さ
れホットランナ用金型１０内の各ピストンは図２の最初
の状態に戻る。同時にスクリュ３９による可塑化は継続
中であっても関係無く、図示しない型締装置を開いてホ
ットランナ用金型１０から成形品を取り出す。型開工程
は圧抜きから始まって２〜３の工程を経る時間のかかる
工程で、ホットランナ用金型１０内に配される各ピスト
ンが、図２に示す最初の状態への戻る為の所用時間は、
型締装置の圧抜きの途中（まだホットランナ用金型１０
は閉鎖中）で終了する。こうしてゲート２６，２７を閉
鎖し開口２８，２９を開放して、ホットランナ用金型１
０を開いたときにゲート２８，２９から洟垂れするのを
防止するのである。

【００２４】可塑化と、成形品を取り出し次の型締め完
了が確認されると新たな射出の工程が始まる。

【００２５】実施例では金型内に形状の違う２個のキャ
ビティを有する場合を示したが、キャビティ数はそれ以
上であっても良く、各キャビティ毎にバルブ手段と流路
遮断手段及び加圧手段を持つ必要があることは言うまで
もない。

【００２６】また説明上キャビティ充填の順序をキャビ
ティ１から開始の場合を説明したが、金型によってはキ
ャビティ１が溶融樹脂充填後の冷却の早い薄物で、キャ
ビティ２が冷却の遅い厚物である場合や、又は金型固有
の性質で一方のキャビティの冷却が遅れるということが
成形を開始してから判明するような場合は、成形サイク
ル短縮のため前者ではキャビティ２から充填を開始する
必要があり、後者では冷却の遅れるキャビティから充填
をする必要がある。こうした場合には金型への配管や配
線を変更する事無く電気的な操作のみにより、簡単にキ
ャビティ充填順序の変更が可能である。

【００２７】

【発明の効果】本発明は複数の形状の違うキャビティを
持つ金型に対する射出成形方法であって、各キャビティ
に一度の射出により同時に材料を充填する従来の方法に
比べて、各キャビティ毎に順次最適の成形条件で成形を
行っている。各々のキャビティの形状が極度に違った
り、成形上条件を変える必要がある場合に最適である。

【００２８】またキャビティの充填を油圧力で確認する
ので、充填完了の瞬間が自動的に確実に捉えることがで
き、加圧への移行もロスタイム無しにスムーズに行え
て、成形条件の設定が容易である。

【００２９】各キャビティの充填順序を電気的な操作に
より変えることができるので、成形トライ中に配管や配
線の変更無しに容易に実行でき、各種の成形トライを手
軽に試すことがが可能である。このため最短の成形サイ
クルの達成が容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の射出成形方法の説明図

【図２】射出シリンダにおける油圧カーブ図及びソレノ
イド図表

【図３】従来の射出成形方法の説明図

【符号の説明】

１，２ キャビティ １０ 金型 １６ 電磁リリーフ弁 ２０，２２ ピストン ２１，２３ ピストン ２４ 可動型 ２５ 固定型 ２６，２７ ゲート ２８，２９ 開口 ３０ スプル ３１ スプル側ランナ ３２，３３ ゲート側ランナ ３４，３５ 弁体 ３９ スクリュ ４１ 圧力センサ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 形状の異なる複数のキャビティと、各キ
   ャビティ毎に設けたゲートを開閉するバルブ手段及びラ
   ンナをゲート側ランナとスプル側ランナに分断する流路
   遮断手段及び分断された該ゲート側ランナを加圧する加
   圧手段を有するホットランナ式金型を用いて行う射出成
   形方法に於いて、 該バルブ手段を用い、順次目的とするキャビティのゲー
   トのみを開くことにより、各キャビティ毎に順次最適の
   成形条件で溶融樹脂を充填し、充填が完了したキャビテ
   ィは順次該流路遮断手段で該スプル側ランナから分断
   し、該加圧手段で該ゲート側ランナを加圧することを特
   徴とする射出成形方法。
2. 【請求項２】 請求項１に於いて、各キャビティへの溶
   融樹脂充填の完了を射出シリンダの油圧力で検出するこ
   とを特徴とする射出成形方法。
3. 【請求項３】 請求項１若しくは請求項２に於いて溶融
   樹脂を各キャビティ内に充填する順序は配線の変更を除
   く電気的な操作によって変更できることを特徴とする射
   出成形方法。