JP3872239B2 - レンズ駆動装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ディスクに情報を記録したり、記録された情報を読み取るディスクプレーヤのレンズ駆動装置に関するものであり、特に平面状コイルを用いたレンズ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学的に情報を記録したディスクからの読み取りビームをディスク面に集束させるため対物レンズをレンズ光軸方向(フォーカス方向)に駆動すると共に、読み取りビームを情報トラックに追従させるため対物レンズをレンズ光軸方向と直角方向に駆動するレンズ駆動装置が知られている。
このレンズ駆動装置を構成する可動部は、小型軽量であることが望ましく、図15(a)に示すように対物レンズ1を内蔵するコイルボビン2にフォーカスコイル3とトラッキングコイル4を巻回するコイルボビンタイプ5に代えて、図15(b)に示すように対物レンズ1を内蔵するホルダ6の両側面にフォーカスコイル3とトラッキングコイル4をパターンニングし、エッチングして形成した平面状のコイル基板7を接着剤等で固定したプリントコイルタイプ8が提案されている(例えば、特開平8−203103号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平8−203103号公報のようなコイル基板7を用いる場合、図15(c)に示すように、フォーカスコイル3は、マグネット9のN極とS極に股がるように配置することでフォーカス(図中矢印F)方向の駆動力を得ている。また、4つで構成するトラッキングコイル4は、2つのトラッキングコイル4をマグネット9のN極側に、他の2つのトラッキングコイル4をマグネット9のS極側に配置すると共に、各トラッキングコイル4の約半分(トラッキング図中矢印T方向)だけをマグネット9の磁場に入るように配置することでトラッキング方向の駆動力を得ている。つまり、プリントコイルタイプ8の場合は、トラッキングコイル4が4つ必要で、しかもコイル基板7をマグネット9の外形よりも左右に大きく張り出して構成する必要があり、トラッキングコイル4に対するマグネット9の有効磁界が減少する。また、マグネット9の外形に比してコイル基板7が大型化すると云う問題があった。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み成されたものであり、その目的は、コイル数を減らすことで、コイル基板の小型化、低価格化が可能なレンズ駆動装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、レンズホルダに取り付けられたフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段と、を有するレンズ駆動装置であって、駆動コイルは、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される一対のコイルからなり、磁束付与手段は、各コイルのフォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、一対のコイルは、ジッタ方向に垂直な同一の面内に配されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、一対のコイルは、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一のプリント基板上に設けられた平面コイルであることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1乃至3の何れかに記載のレンズ駆動装置であって、磁気付与手段は、駆動コイルに対して対面する磁極面を含んで構成され、磁極面は2つの領域に対応して磁極が異なることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、レンズホルダに取り付けられフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向に駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段と、を有するレンズ駆動装置であって、駆動コイルは、各々がジッタ方向に垂直な第1の面内に配されるとともに、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される第1コイル及び第2コイルと、各々が前記第1の面と平行な第2の面内に配されるとともに、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される第3コイル及び第4コイルとからなり、第1コイル及び第2コイルの一群と第3コイル及び第4コイルの一群は、光軸に対して対称に配され、
磁束付与手段は、各コイルのフォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、第1コイル及び第2コイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給され、第3コイル及び第4コイルのうち、第1コイル及び第2コイルの加算電流が供給される方に対面するコイルには差分電流が供給され、差分電流が供給される方に対して対面するコイルには加算電流が供給されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項5に記載のレンズ駆動装置であって、第1コイル及び第2コイルは、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一のプリント基板上に設けられ、第3コイル及び第4コイルは、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一のプリント基板上に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1乃至6の何れかに記載のレンズ駆動装置であって、仮想線は、フォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても45度傾斜した直線であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、フォーカス方向に伸長する軸に嵌合する軸受孔を有し、前記軸に対して摺動且つ回動可能とされたレンズホルダと、前記レンズホルダに取り付けられフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、前記駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段と、を有するレンズ駆動装置であって、
前記駆動コイルは、前記軸を含む面に対して対称に配置され且つフォーカス方向に対して垂直となるコイル軸を有する一対のコイルを含んで構成され、前記磁束付与手段は、前記コイルの前記フォーカス方向及び前記トラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対して、互いに反対向きの磁束を付与し、前記一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されることを特徴とする。
【0013】
【作用】
本発明のレンズ駆動装置は、フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、レンズホルダに取り付けられたフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段とを有し、駆動コイルは、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される一対のコイルからなり、磁束付与手段は、各コイルのフォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されるように構成したので、従来に比べてコイル数を減らすことが可能となり、それにより、コストダウン、小型化を実現することができる。
【0014】
【発明の実施形態】
図1は、本発明の実施形態によるレンズ駆動装置150の要部外観図である。図1を参照しつつレンズ駆動装置150の構成を説明する。尚、図1(a)はレンズ駆動装置150の上面図を、図1(b)はレンズ駆動装置150の側面図を示した。
本発明の実施形態によるレンズ駆動装置150は、板状のアクチュエータベース10上に磁場形成用のV字マグネット11或は逆Vマグネット12を固定した一対のL状のヨーク13が所定の磁気ギャップを設けて対向配置され、複数のネジ14で固定されると共に、アクチュエータベース10上にネジ14により固定された支持ベース20の4本の支持ワイヤ21で吊設された可動部100がV字マグネット11と逆Vマグネット12で形成される磁気ギャップ内に配置されている。
【0015】
V字マグネット11は、例えば両極着磁された直角三角形の磁石と両極着磁された直角三角形の2つの磁石により方形に形成された3分割多極磁石であり、中央にN極の磁極面がV字状に配置され、該N極の磁極面の左右にS極の磁極面を配した構造をしている。また、逆Vマグネット12は、両極着磁された直角三角形の磁石と両極着磁された直角三角形の2つの磁石により方形に形成された3分割多極磁石であり、中央にS極の磁極面が逆V字状に配置され、該S極の磁極面の左右にN極の磁極面を配した構造をしている。
【0016】
可動部100は、内部に対物レンズ31を収納した略方形状のレンズホルダ30と、V字マグネット11と対向するレンズホルダ30のジッタ(図中矢印J)方向の側面に接着剤等で固定されたV字状駆動コイル40と、逆Vマグネット12と対向するレンズホルダ30のジッタ方向の側面に接着剤等で固定された逆V状駆動コイル90とで構成され、レンズホルダ30のトラッキング(図中矢印T)方向に突出して形成された4本の保持部32a、32bが4本の支持ワイヤ21で支持されることでフォーカス(図中矢印F)方向及びトラッキング方向に移動可能に吊設されている。
【0017】
支持ワイヤ21は、導電性の棒状或は板状の弾性部材で構成され、一方端が圧延拡大して引出部22aが形成され、支持ベース20の成形時に支持ワイヤ21の一部がアウトサート成形等により一体成形される。また、支持ワイヤ21の他方端は、同様に、圧延拡大されて接続部22bが形成され、レンズホルダ30に設けられた4本の保持部32a、32bに接着剤等で固定される。
【0018】
本発明の第1実施形態によるレンズ駆動装置150は、上述したV字状駆動コイル40の構造及びその駆動方法に特徴がある。そこで、図2を用いてV字状駆動コイル40の構造を説明する。尚、図2(a)はV字状駆動コイル40の表面側の平面図を、図2(b)はV字状駆動コイル40の裏面側を透視した状態の平面図を、図2(c)はV字状駆動コイル40の断面図を示した。
【0019】
V字状駆動コイル40は、例えばガラスエポキシ材等の両面銅張積層構造のプリント基板41に同一形状でパターンニングし、エッチングすることで形成した楕円形状したA駆動コイル43とB駆動コイル48からなる一対の駆動コイルであり、光軸(対物レンズ31を通過するビームの軌跡を表す軸であり図中C線で示した。)を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に形成されている。また、A及びB駆動コイル43、48は、2つの長辺を3分割着磁されたV字マグネット11のN極とS極の磁極面に股がるように配置するため、A駆動コイル43はその長軸が光軸に対して略右45度に傾斜するように形成され、B駆動コイル48はその長軸が光軸に対して略左45度に傾斜するように形成されている。
【0020】
V字状駆動コイル40は、図2(a)に示すようにプリント基板41の表面側の銅箔に略楕円形状の1のA駆動コイル43aと1のB駆動コイル48aをC線に対して対称に形成すると共に、裏面側の銅箔に上記と同一形状の2のA駆動コイル43bと2のB駆動コイル48bを上記と同一位置に形成し、1のA駆動コイル43aと2のA駆動コイル43bを2つのスルホール44、45で連結することで直列に接続されたA駆動コイル43を形成すると共に、1のB駆動コイル48aと2のB駆動コイル48bを2つのスルホール49、50で連結することで直列に接続されたB駆動コイル48を形成している。
尚、上記スルホール44、45、49、50は、表面側と背面側の銅箔を貫通する孔に銀ペーストを注入し、銀ペーストを焼成して形成するか、或は表面側のと背面側の銅箔を貫通する孔の内面を銅メッキすることで表面側の銅箔と裏面側の銅箔を接続したものであり、図中スルホール部分を二重丸で示した。
【0021】
プリント基板41の表面側の外周縁部に形成されたA入力端子42は、銅箔パターンを介して1のスルホール44に接続され、1のスルホール44は、裏面側に形成された2のA駆動コイル43bに接続されている。2のA駆動コイル43bは、左回転で外周から内周に渦巻状に形成され、2のスルホール45に接続される。2のスルホール45は、表面側に形成された1のA駆動コイル43aに接続されている。1のA駆動コイル43aは、左回転で内周から外周に渦巻状に形成され、A出力端子46に接続される。従って、2つのA駆動コイル43a、43bは、A入力端子42とA出力端子46との間で直列に接続される。
【0022】
また、プリント基板41の表面側の外周縁部に形成されたB入力端子47は、銅箔パターンを介して3のスルホール49に接続され、3のスルホール49は、裏面側に形成された2のB駆動コイル48bに接続されている。2のB駆動コイル48bは、右回転で外周から内周に渦巻状に形成され、4のスルホール50に接続される。4のスルホール50は、表面側に形成された1のB駆動コイル48aに接続され、1のB駆動コイル48aは、右回転で内周から外周に渦巻状に形成され、B出力端子51に接続される。従って、2つのB駆動コイル48a、48bは、B入力端子47とB出力端子51との間で直列に接続される。
【0023】
次に、V字状駆動コイル40とV字マグネット11との位置関係及び逆V状駆動コイル90と逆Vマグネット12との位置関係を図3を用いて説明する。
V字状駆動コイル40は、レンズホルダ30のジッタ方向に垂直な一方の側面(第1の面)33aに固定され、磁気付与手段であるV字マグネット11と所定の磁気ギャップを設けて対向配置される。V字状駆動コイル40を構成するA駆動コイル(第1コイル)43及びB駆動コイル(第2コイル)48は、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一プリント基板41上に設けられた平面コイルであり、V字マグネット11によりA駆動コイル43及びB駆動コイル48の駆動力発生部に対してジッタ方向に沿った磁束が付与される。
【0024】
一方、逆V状駆動コイル90は、V字状駆動コイル40を180度回転させたものでありレンズホルダ30のジッタ方向に垂直な他方の側面(第2の面)33bに固定され、逆V状駆動コイル90を構成するA駆動コイル(第3コイル)43及びB駆動コイル(第4コイル)48は、逆Vマグネット12と所定の磁気ギャップを設けて対向配置される。従って、V字状駆動コイル40のA駆動コイル(第1コイル)43と逆V状駆動コイル90のB駆動コイル(第4コイル)48は、レンズホルダ30を介して対向配置されると共に、V字状駆動コイル40のB駆動コイル(第2コイル)48と逆V状駆動コイル90のA駆動コイル(第3コイル)43は、レンズホルダ30を介して対向配置される。そして、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43同士を直列に接続すると共に、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48同士を直列に接続する。
【0025】
これらの各巻線の端末は、レンズホルダ30の4本の保持部32a、32bに接着された支持ワイヤ21の接続部22bに半田付け等により接続される。また、支持ワイヤ21の引出部22aには、図示しないリッツ線等が接続され、外部からV字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90に後述する駆動回路70からフォーカスエラー補正信号であるフォーカス駆動電流とトラッキングエラー補正信号であるトラッキング駆動電流の加算電流、又はフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給される。つまり、V字状駆動コイル40の第1コイルに加算電流が供給され、第2コイルに差分電流が供給された場合は、第1コイルに対向する第3コイルに加算電流が供給され、第2コイルに対向する第3コイルに差分電流が供給される。
可動部100は、支持ワイヤ21を介してV字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90に上記駆動電流が供給されると、磁気ギャップ内で駆動電流に応じてトラッキング方向及びフォーカス方向に自在に変移される。
【0026】
次に、V字状駆動コイル40の駆動方法を図4を用いて説明する。
尚、図4(a)はV字状駆動コイル40の平面図を、図4(b)は駆動回路70を示した。また、逆V状駆動コイル90は省略してある。
駆動回路70は、図示しないフォーカス及びトラッキングサーボ回路から供給されるプラスマイナスに変動する直流電圧であるフォーカスエラー補正信号とトラッキングエラー補正信号の和差信号を生成し出力する回路である。
駆動回路70は、A及びB入力バッファ72、77と、2つの加算器73、78と、A及びB出力バッファ74、79と、インバータ81とで構成され、A駆動端子75はV字状駆動コイル40のA入力端子42に、B駆動端子80はV字状駆動コイル40のB入力端子47に各々接続されている。また、A駆動端子46及びB駆動端子51は、アース電位に接続されている。
【0027】
フォーカス端子71に供給されるフォーカスエラー補正信号は、A入力バッファ72を介してインバータ81及び加算器73に供給される。加算器73は、フォーカスエラー補正信号とB入力バッファ77から出力されるトラッキングエラー補正信号を加算し、A出力バッファ74及び抵抗R1を介してA駆動端子75からA駆動信号として出力する。つまり、A駆動信号は、フォーカスエラー補正信号とトラッキングエラー補正信号の加算電流である。
また、トラッキング端子76に供給されるトラッキングエラー補正信号は、B入力バッファ77を介して加算器78に供給される。加算器78は、トラッキングエラー補正信号と、インバータ81で極性が反転されたフォーカスエラー補正信号とを加算し、B出力バッファ79及び抵抗R2を介してB駆動端子80からB駆動信号として出力する。つまり、B駆動信号は、フォーカスエラー補正信号とトラッキングエラー補正信号の差分電流である。
【0028】
例えば、+1Vのフォーカスエラー補正信号がフォーカス端子71に供給され、0Vのトラッキングエラー補正信号がトラッキング端子76に供給された場合を例に動作を説明する。
フォーカスエラー補正信号は、A入力バッファ72を介してインバータ81及び加算器73に供給される。加算器73は、トラッキングエラー補正信号が0Vなので、フォーカスエラー補正信号である+1VをA駆動信号として出力する。また、トラッキングエラー補正信号は0Vであるが、上記インバータ81によりトラッキングエラー補正信号の極性が反転(−1V)され加算器78に供給されているので、加算器78は−1VをB駆動信号として出力する。
【0029】
V字状駆動コイル40のA駆動コイル43は、+1VのA駆動信号がA入力端子42に供給され、A出力端子46はアース電位に接続されているので、A入力端子42からA出力端子46に向う(図中矢印)方向の駆動電流が流れる。
また、V字状駆動コイル40のB駆動コイル48は、−1VのB駆動信号がB入力端子47に供給され、B出力端子51はアース電位に接続されているので、B出力端子51からB入力端子47に向う方向の駆動電流が流れる。これらの駆動電流は、フォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した電流として供給される。
【0030】
また、図中カッコで示すように、例えばフォーカス端子71に−0.5Vのフォーカスエラー補正信号が供給され、トラッキング端子76に0Vのトラッキングエラー補正信号が供給された場合は、A駆動信号は−0.5Vであり、B駆動信号は+0.5Vとなる。従って、A駆動コイル43とB駆動コイル48に供給される駆動電流は、上記の場合と値が異なると共に、駆動電流の方向が逆になる。つまり、駆動回路70は、V字状駆動コイル40に対してフォーカスエラー補正信号及びトラッキングエラー補正信号の大きさと極性に対応した駆動電流の大きさと流れる方向を規定している。
【0031】
次に、平面状コイルが駆動される仕組みを図5を用いて説明する。尚、図5は、模式的に示した駆動コイル58をV字マグネット11に対向配置させた動作説明図であり、図5(a)は例えば正方形の一対の駆動コイル58を用いた場合の平面図であり、図5(b)は左側の駆動コイル58bの部分駆動力を示すベクトル図を、図5(c)は右側の駆動コイル58aの部分駆動力を示すベクトル図を、図5(d)は合成駆動力を示すベクトル図を、図5(e)は例えば円形の駆動コイル59を用いた場合の平面図である。
尚、図中の丸中点印は紙面の裏面から表面に向って貫く磁束の方向を示し、図中丸クロス印は紙面の表面から裏面に向って貫く磁束の方向を示している。また、駆動コイル58、59の内部の矢印は、駆動コイル58、59に流れる電流の方向を示し、図中白抜矢印は駆動コイル58、59の部分駆動力を示している。
【0032】
上述したように、磁束付与手段であるV字マグネット11は、両極着磁された直角三角形の磁石と両極着磁された直角三角形の2つの磁石により方形に形成された3分割多極磁石であり、中央にN極の磁極面がV字状に配置され、該N極の磁極面の左右にS極の磁極面を配した構造をしている。従って、中央のN極の磁極面と左右のS極の磁極面の境界線(仮想線Lと呼ぶ)は、光軸に対して左右45度に配置される。そして、駆動コイル58は、図5(a)に示すように正方形の対角線が上記仮想線L上に配置される。つまり、V字マグネット11のN極の磁束を受ける駆動コイル58の一方の領域S1と、V字マグネット11のS極の磁束を受ける駆動コイル58の他方の領域S2は、同一である。従って、駆動コイル58は、仮想線Lにより分割された2つの領域S1、S2はジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束が付与され、そして正方形の一対の駆動コイル58は、光軸に対して左右対称に配置される。
【0033】
例えば、右側に配置された駆動コイル58aの一方の領域S1は、N極の磁極面により紙面の裏面から表面に向って貫く磁束が与えられ、駆動コイル58aに矢印方向の電流が供給されると、駆動コイル58aのイ部は垂直上方向の部分駆動力が発生し、ロ部は水平左方向の部分駆動力が発生する。また、駆動コイル58aの他方の領域S2は、S極の磁極面により紙面の表面から裏面に向って貫く磁束が与えられているので、駆動コイル58aに矢印方向の電流が供給されると、駆動コイル58aのハ部は垂直上方向の部分駆動力が発生し、駆動コイル58aのニ部は水平左方向の部分駆動力が発生する。従って、駆動コイル58aは、イ部及びハ部の垂直上方向の部分駆動力と、ロ部及びニ部の水平左方向の部分駆動力は、合成され図5(c)に示すように左45度上方向のコイル駆動力(図中横線矢印)を発生する。つまり、仮想線Lに対して垂直左方向の駆動力が発生する。
【0034】
また、左側に配置された駆動コイル58bの一方の領域S1は、N極の磁極面側に配置されているので、駆動コイル58bに右側に配置された駆動コイル58aと同方向の電流が供給されるとイ部は、垂直上方向の部分駆動力が発生し、ニ部は水平右側方向の部分駆動力を発生する。また、駆動コイル58bの他方の領域S2は、S極の磁極面側に配置されているので、駆動コイル58bのロ部は、水平右方向の部分駆動力を発生し、ハ部は垂直上方向の部分駆動力が発生する。従って、左側に配置された駆動コイル58bは、イ部及びハ部の垂直上方向の部分駆動力と、ロ部及びニ部の水平右方向の部分駆動力は、合成され図5(b)に示すように右45度上方向のコイル駆動力を発生する。つまり、仮想線Lに対して垂直右方向の駆動力が発生する。そして、左右一対の正方形の駆動コイル58a、58bの駆動力は、合成され図5(d)に示すように垂直上方向、つまりフォーカス方向の合成駆動力(図中ハッチング矢印)を発生する。
【0035】
また、図6(e)に示すように、円形の駆動コイル59の場合は、円形の駆動コイル59の中心線が仮想線L上に配置されるので、V字マグネット11のN極の磁束を受ける駆動コイル59の一方の領域S3と、V字マグネット11のS極の磁束を受ける駆動コイル59の他方の領域S4は、同一となる。
円形の駆動コイル59は、ホ部及びヘ部から共に放射状に部分駆動力が発生するが、仮想線L付近における部分駆動力は、互いに逆方向で同一の大きさを持っているので、相殺され、例えば右側に配置された駆動コイル59aは、上記同様左45度上方向の合成駆動力が発生し、左側に配置された駆動コイル59bは、右45度上方向の合成駆動力が発生するので、左右一対の円形の駆動コイル59a、59bの駆動力は、合成され図5(d)に示すように垂直上方向、つまりフォーカス方向の合成駆動力を発生する。
【0036】
上述したように、駆動コイル58は、V字マグネット11の仮想線L上に2つの領域S1、S2の面積が同一になるように配置し、且つ一方の領域S1と、他方の領域S2に互いに逆方向の磁束が付与されることで、フォーカス方向に正確に駆動される。また、一対の駆動コイル58は、互いに逆方向の電流が供給されるとトラッキング方向の合成駆動力が得られる。つまり、駆動コイル58は、形状に限定されないが、仮想線Lに対して左右対称の形状であり、且つ左右の2つの領域S1、S2の面積が同一であれば、左右の駆動コイル58で発生する部分駆動力を合成した時、正確なフォーカス駆動力又はトラッキング駆動力が得られることを示している。
【0037】
次に、図6乃至図8を用いてV字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90の動作を説明する。尚、図6乃至図8は、模式的に示したV字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90を直列に接続し、これを駆動回路70で駆動する時の動作説明図であり、図6は後述する合成駆動力がフォーカス方向の駆動力を、図7は合成駆動力がトラッキング方向の駆動力を、図8は合成駆動力が左60度上方向の駆動力を発生する時の動作説明図である。また、図中(a)は駆動回路70を、図中(b)はV字状駆動コイル40の平面図を、図中(c)は逆V状駆動コイル90の平面図を、そして図中(d)は合成駆動力Cdを示した。また、図6と図7において、動作を明確にするため、フォーカスエラー補正信号及びトラッキングエラー補正信号は、0Vまたはプラスマイナス1Vに固定した場合で説明する。
【0038】
先ず、図6を用いてV字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90がトラッキング方向の駆動力を得る時の動作を説明する。
図6(a)に示すように、フォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として例えば+1Vが供給され、トラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として例えば0Vが供給された場合は、A駆動端子75から+1VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から−1VのB駆動信号が出力される。
【0039】
駆動回路70のA駆動端子75は、図6(b)に示すようにV字マグネット11に対向配置されたV字状駆動コイル40のA入力端子42に接続され、V字状駆動コイル40のA出力端子46は、図6(c)に示すよう逆Vマグネット12に対向配置された逆V状駆動コイル90のA入力端子42に接続されている。そして、逆V状駆動コイル90のA出力端子46はアース電位に接続されていので、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43には、図に示す方向(A駆動コイル43内部の矢印)の電流が流れる。
一方、B駆動端子80は、V字状駆動コイル40のB入力端子47に供給され、V字状駆動コイル40のB出力端子51は、逆Vマグネット12に対向配置された逆V状駆動コイル90のB入力端子47に接続され、逆V状駆動コイル90のB出力端子51はアース電位に接続されている。従って、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48には、図に示す(B駆動コイル43の内部の矢印)方向の電流が流れる。
【0040】
V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90を構成するA及びB駆動コイル43、48は、夫々の長辺が互いにN極の磁極面とS極の磁極面に股がるように配置され、一対の駆動力発生部を形成している。A及びB駆動コイル43、48の駆動力発生部は、フォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した方向に駆動電流が流されるので、V字マグネット11及び逆Vマグネット12により駆動力発生部に対してジッタ方向に沿った互いに逆向きの磁束が供給される。つまり、V字状駆動コイル40のA駆動コイル43は、図に示す方向の駆動電流が供給され、V字マグネット11から図に示す方向の磁束が付与されると、光軸に対して左側45度上方のA駆動力(図中白抜矢印)を発生する。また、V字状駆動コイル40のB駆動コイル48は、A駆動コイル43と逆方向の駆動電流が供給されているので、光軸に対して右側45度上方のB駆動力を発生する。従って、V字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48のフォーカス方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸上方向の合成駆動力Cd(図中ハッチング矢印)が生じる。
【0041】
また、逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43は、図に示す方向の駆動電流が供給され、逆Vマグネット12から図に示す方向の磁束が付与されると、光軸に対して左側45度上方のA駆動力を発生する。また、逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48は、A駆動コイル43と逆方向の駆動電流が供給されているので、光軸に対して右側45度上方のB駆動力を発生する。
従って、逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48のフォーカス方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸上方向の合成駆動力Cd(図中ハッチング矢印)が生じる。
駆動回路70から供給されるA及びB駆動信号に対して、A及びB駆動コイル43、48が発生するA及びB駆動力が比例関係にあると仮定すれば、A及びB駆動力は共に”1”である。また、A駆動力とB駆動力は光軸に対して互いに45度なので、A駆動力とB駆動力によって生成される合成駆動力Cdは、A及びB駆動力の21/2倍となる。
【0042】
次に、図6(a)のカッコで示すようにフォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として例えば−1Vが供給され、トラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として例えば0Vが供給された場合は、A駆動端子75から−1VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から+1VのB駆動信号が出力される。すると、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43には、図に示す方向と逆方向の電流が流れると共に、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48には、図に示す方向と逆方向の電流が流れる。従って、V字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48は、図に示す方向と逆方向の駆動力が発生すると共に、逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48は、図に示す方向と逆方向の駆動力が発生するので、A及びB駆動コイル43、48のフォーカス方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸下方向(図中カッコで示す)の合成駆動力Cdが生じる。
【0043】
次に、図7を用いてV字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90がトラッキング方向の駆動力を得る時の動作を説明する。
図7(a)に示すように、フォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として例えば0Vが供給され、トラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として例えば+1Vが供給された場合は、A駆動端子75から+1VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から+1VのB駆動信号が出力される。
【0044】
図6で説明したように、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48に、図に示す方向の電流が流れ、V字及び逆Vマグネット11、12から図に示す方向の磁束が付与されると、V字状駆動コイル40のA駆動コイル43は、光軸に対して左側45度上方のA駆動力を発生する。
また、V字状駆動コイル40のB駆動コイル48は、A駆動コイル43と逆方向の駆動電流が供給されているので、光軸に対して左側45度下方のB駆動力を発生する。従って、A及びB駆動コイル43、48のトラッキング方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸左方向の合成駆動力Cdが生じる。
【0045】
同様に、逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43は、光軸に対して左側45度上方のA駆動力を発生し、B駆動コイル48は、光軸に対して左側45度下方のB駆動力を発生する。従って、逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48のトラッキング方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸左方向の合成駆動力Cdが生じる。そして、上記同様、A駆動力とB駆動力によって生成される合成駆動力Cdは、A及びB駆動力の21/2倍となる。
【0046】
次に、図7(a)のカッコで示すようにフォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として0Vが供給されトラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として例えば−1Vが供給された場合は、A駆動端子75から−1VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から−1VのB駆動信号が出力される。
従って、V字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48は、図に示す方向と逆方向の駆動力が発生すると共に、逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48は、図に示す方向と逆方向の駆動力が発生するので、A及びB駆動コイル43、48のトラッキング方向の駆動力は、合成され、図7(d)に示すように光軸右方向(図中カッコで示す)の合成駆動力Cdが生じる。
【0047】
上述したようにV字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48は、光軸に対して線対称に形成されているので、V字状駆動コイル40の重心(Gc)は、プリント基板41の略中央に有る。また、A及びB駆動コイル43、48の重心(Cc)は、A及びB駆動コイル43、48の略中央に有る。従って、V字状駆動コイル40のA駆動コイル43は、光軸に対して左側45度上方の駆動力が発生し、B駆動コイル48は光軸に対して左側45度下方の駆動力が発生すると、図7(b)に示すようにV字状駆動コイル40はプリント基板41の重心(Gc)を中心に左(図中矢印イ)方向の回転駆動力が発生する。
【0048】
また、図7(c)に示すように逆V状駆動コイル90の場合は、A駆動コイル43が光軸に対して45度上方の駆動力が発生し、B駆動コイル48が光軸に対して45度下方の駆動力が発生するので、逆V状駆動コイル90はプリント基板41の重心(Gc)を中心に右(図中矢印ロ)方向の回転駆動力が発生する。
従って、V字状駆動コイル40は、例えば左方向の回転駆動力を発生し、逆V状駆動コイル90は、例えば右方向の回転駆動力が発生すると、互いに相殺され可動部100は、左右何れの方向にも回転力は生じない。つまり、本発明のレンズ駆動装置150は、V字状駆動コイル40で発生する回転駆動力を相殺するためV字状駆動コイル40を180度回転させた逆V状駆動コイル90と逆Vマグネット12を用いて構成しているのである。
【0049】
次に、V字状駆動コイル40を例えば左斜め60度上方向に変移させる時の動作を図8及び図9を用いて説明する。尚、図8は、1つの角に60度を有する直角三角形の三角関数の関係から、フォーカスエラー補正信号として例えば1.732Vを、トラッキングエラー補正信号として+1Vを供給した場合を示している。また、図9は、V字状駆動コイル40のベクトル図であり、図9(a)はA駆動コイル43のA駆動力を、図9(b)はB駆動コイル48のB駆動力を、図9(c)は合成駆動力Cdを示した。
【0050】
図8(a)に示すように、フォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として1.732Vが供給され、トラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として+1Vが供給されると、A駆動端子75から2.732VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から−0.732VのB駆動信号が出力される。
V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43は、A駆動端子75から2.732VのA駆動信号が供給されることにより図に示す方向の電流が流れ、V字及び逆Vマグネット11、12から図に示す方向の磁束が付与されると、図9(a)に示すように光軸に対して左側45度上方のA駆動力(2.732)を発生する。同様に、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48は、B駆動端子80から−0.732VのB駆動信号が供給されることにより図に示す方向の電流が流れ、V字及び逆Vマグネット11、12から図に示す方向の磁束が付与されると、図9(b)に示すように光軸に対して右側45度上方のB駆動力(0.732)を発生する。
【0051】
A駆動力(2.732)は、x軸及びy軸方向のベクトル(1.932)に分解される。同様に、B駆動力(0.732)は、x軸及びy軸方向のベクトル(0.518)に分解される。そして、A駆動力とB駆動力のx軸及びy軸方向同士のベクトルを合成すると、図9(c)に示すようにx軸方向のベクトルとして1.414が得られ、y軸方向のベクトルとして2.45得られる。
そして、これらの合成駆動力Cdは、2.828が得られる。また、合成駆動力Cdの角度θは、θ=tan-1(x/y)=60°となる。
つまり、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90の夫々の合成駆動力Cdは、左斜め60度上方向に変移する駆動力が得られる。何れもA及びB駆動信号の21/2倍となる。
【0052】
上述したように、V字状駆動コイル40は、トラッキング方向の駆動力が発生すると回転駆動力が発生するので、逆V状駆動コイル90の回転駆動力で相殺していた。しかし、V字状駆動コイル40は、例えば左斜め60度上方向の駆動電流が供給されると、同様の回転駆動力が発生する。つまり、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43は、光軸に対して左側45度上方のA駆動力(2.732)を発生し、y軸方向のA駆動力Ayは、1.932である。また、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48は、光軸に対して右側45度上方のB駆動力(0.732)を発生し、y軸方向のB駆動力Byは、0.518である。従って、V字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48は、共にy軸方向の駆動力Ay、Byが発生するが、大きさが異なるため、プリント基板41の重心(Gc)ではなく、2つの駆動力Ay、Byを按分したベクトル中心(Vc)を軸に回転駆動力が生じる。
【0053】
つまり、A駆動コイル43の重心(Cc)からベクトル中心(Vc)間での距離(L1)とB駆動コイル48の重心(Cc)からベクトル中心(Vc)間での距離(L2)の比は、2つの駆動力Ay、Byの比の逆数に等しい。そして、V字状駆動コイル40のベクトル中心(Vc)は、逆V状駆動コイル90のベクトル中心(Vc)と光軸に対して対向位置にあるので、互いに相殺され、可動部100に回転力が生じない。
【0054】
以上述べたように、本発明の第1実施形態によるレンズ駆動装置150に用いられるV字状駆動コイル40は、プリント基板41上に略45度傾斜して配したA駆動コイル43とB駆動コイル48からなる一対の略楕円形状の駆動コイルを光軸に対して対称に配すると共に、ジッタ方向に対して垂直となる面内に形成した。従って、V字状駆動コイル40は、対向配置されるV字マグネット11の外形と略同一の大きさに形成することが可能となり、V字状駆動コイル40を構成するA駆動コイル43及びB駆動コイル48に対しV字マグネット11の磁束が効率的に付与される。
【0055】
尚、本発明のレンズ駆動装置150に用いられるV字状駆動コイル40を構成するA駆動コイル43とB駆動コイル48は、光軸に対して互いに45度傾けて形成する例で説明したが、傾きの角度に限定されない。
例えば、図10(a)はA駆動コイル43及びB駆動コイル48の傾きを光軸に対して45度以上にした時の状態を示したものであり、フォーカス方向の駆動力は45度の場合に比して高められる(図10(b)に示す)。また、図10(c)はA駆動コイル43及びB駆動コイル48の傾きを光軸に対して45度以下にした時の状態を示したものであり、トラッキング方向の駆動力は45度の場合に比して高められる(図10(d)に示す)。つまり、A及びB駆動コイル43、48の傾きは、フォーカス方向及びトラッキング方向の駆動力に影響するので、フォーカス駆動電流及びトラッキング駆動電流等の兼ね合いで最適な光軸に対する傾きを決定するようにしている。
【0056】
また、本発明のレンズ駆動装置150に用いられるV字マグネット11或は逆Vマグネット12は、図11に示す3分割多極磁石を用いて構成しても良い。
尚、図11(a)は両極着磁された直角三角形の磁石の異なる磁極面同士を隣接配置させて方形に形成された2分割磁石を2組異極同士隣接して構成したV字マグネット15であり、図10(b)はV字マグネット15を180度回転させたものである。
このようなV字マグネット15を用いた場合は、A駆動コイル43又はB駆動コイル48の結線を変更し、A駆動コイル43又はB駆動コイル48に流れる電流の方向を変えることにより、上述した図6及び図7で示した場合と同様のフォーカス方向及びトラッキング方向の駆動力が得られる。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態によるレンズ駆動装置200の構成を図12を用いて説明する。尚、図12(a)はレンズ駆動装置200の上面図を、図12(b)はレンズ駆動装置200の側面図を示した。
本発明の第2実施形態によるレンズ駆動装置200は、板状のアクチュエータベース10上に磁場形成用のV字マグネット11或は逆Vマグネット12を固定した一対のL状のヨーク13の背面側を互いに隣接配置し、複数のネジ14で固定すると共に、アクチュエータベース10上にネジ14により固定された支持ベース20の4本の支持ワイヤ21で吊設された可動部110の開口部35がV字マグネット11と逆Vマグネット12に対して所定の磁気ギャップを設けて挿入されている。
【0058】
可動部110は、対物レンズ36を収納し、略中央に方形の開口部35を形成したレンズホルダ37と、開口部35のジッタ方向の内側の一方の側面に接着剤等で固定されたV字状駆動コイル40と他方の側面に固定された逆V状駆動コイル90とで構成され、開口部35のV字状駆動コイル40側をV字マグネット11側に、開口部35の逆V状駆動コイル90側を逆Vマグネット12側に互いに対向配置させ、レンズホルダ37のトラッキング方向に突出して形成された4本の保持部38a、38bが支持ベース20の4本の支持ワイヤ21で支持さることで、フォーカス方向及びトラッキング方向に対して移動可能に吊設される。
尚、第2実施形態によるレンズ駆動装置200は、第1実施形態によるレンズ駆動装置150と同様に動作するので詳細な説明は省略する。
【0059】
次に、本発明の第3実施形態によるレンズ駆動装置210の構成を図13を用いて説明する。尚、図13(a)はレンズ駆動装置210を構成する可動部120の斜視図を、図13(b)はレンズ駆動装置210を構成するV字マグネット128を固定したヨークベース126の斜視図を、図13(c)はレンズ駆動装置210の上面図を示した。
【0060】
図13に示すレンズ駆動装置210は、軸摺動型と呼ばれ、かかるレンズ駆動装置210を構成する可動部120は、略円筒状に形成している。可動部120のレンズホルダ121は、略中央に軸受孔122が形成され、軸受孔122からジッタ(図中J)方向に偏芯した位置に対物レンズ123が配置されている。また、レンズホルダ121には、トラッキング方向の一方の側面にV字状駆動コイル124が、トラッキング方向の他方の側面に逆V状駆動コイル125が夫々接着剤等で固定されており、図示されるように、一対のコイルを含むプリント基板は湾曲した状態で固定される。このとき一対のコイルはコイル軸がフォーカス方向に垂直となるように配置される。
【0061】
また、レンズ駆動装置210を構成するアクチュエータベース126は、トラッキング方向の左右に一対のヨーク127がL状に形成され、かかるヨーク127のトラッキング方向の一方の内面(V字状駆動コイル124と対向する側)に湾曲したV字マグネット128が接着剤等で固定され、ヨーク127のトラッキング方向の他方の内面(逆V状駆動コイル125と対向する側)に湾曲した逆Vマグネット129が接着剤等で固定されると共に、V字マグネット128と逆Vマグネット129の略中央にフォーカス方向に伸長した支持軸130が圧入又は溶接等により固定されている。可動部120は、レンズホルダ121の軸受孔122をアクチュエータベース126の支持軸130に軸着することで回転可能で、且つ上下動可能に支持される。
【0062】
つまり、レンズ駆動装置210は、図13(c)に示すようにレンズ駆動装置210を構成する支持軸130を含み、トラッキング方向に平行な面をXとすると、V字状駆動コイル124及び逆V状駆動コイル125を構成する一対の平面状コイルは、上記Xに対して左右対称に配置されるので、図6及び図8を用いて説明したようにフォーカス方向の駆動力が発生した場合は、可動部120は上下方向に摺動されると共に、トラッキング方向の駆動力が発生した場合は、可動部120は支持軸129を回転軸に左右に回動する。
【0063】
本発明の第3実施形態によるレンズ駆動装置210は、軸摺動型に構成することで、第1及び第2実施形態によるレンズ駆動装置150、200と構造的に異なるので、これに伴い、湾曲したV字マグネット128と逆Vマグネット129を用いると共に、略円筒状に形成されたレンズホルダ121の側面にV字状駆動コイル124と逆V状駆動コイル125を湾曲させて固定するように構成した。従って、動作的には、第1及び第2実施形態によるレンズ駆動装置150、200と同一であり説明を省略する。
以上説明したように、第3実施形態によるレンズ駆動装置210は、駆動コイルの数が少なく構成でき、可動部120の重量を低減することができる。
【0064】
次に、本発明のその他の実施形態によるレンズ駆動装置220として、図14に示す構造が考えられる。
上述したように、第1及び第2実施形態によるレンズ駆動装置150、200は、夫々の可動部100、110が回転駆動力を発生することから、V字状駆動コイル40と、該V字状駆動コイル40を180度回転させた逆V状駆動コイル90を用いて構成したが、第3及びその他の実施形態によるレンズ駆動装置220は、軸摺動型を採用したことで可動部120に回転駆動力が発生しない。
そこで、その他の実施形態によるレンズ駆動装置220は、図14に示すように、可動部120の一方の側面にV字状駆動コイル124を固定すると共に、アクチュエータベース126の一方の側面にヨーク127を設け、その内面に湾曲したV字マグネット128を配置して構成している。つまり、V字状駆動コイル124だけでフォーカス方向及びトラッキング方向に駆動することができるので、更に部品点数が低減され、小型軽量化が可能となる。
【0065】
なお、図13及び図14に示した軸摺動型の実施形態においては、V字状駆動コイル124及び逆V字状駆動コイル125を構成する一対のコイルが平面Xに対して対称に配置されているが、この形態に限られることはなく支持軸130を含む面に対して対象に配置されるのであれば、どのような形態であっても良い。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のレンズ駆動装置は、フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、レンズホルダに取り付けられたフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段とを有し、駆動コイルは、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される一対のコイルからなり、磁束付与手段は、各コイルのフォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されるように構成したので、従来に比べてコイル数を減らすことが可能となり、それにより、コストダウン、小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるレンズ駆動装置の要部外観図。
【図2】本発明の第1実施形態によるレンズ駆動装置に用いられるV字用駆動コイルの構造図。
【図3】V字マグネットとV字用駆動コイル等の位置関係を模式的に示した斜視図。
【図4】V字用駆動コイルの駆動方法を説明する図。
【図5】平面状コイルが駆動される仕組みを説明するために用いた図。
【図6】V字用駆動コイル及び逆V用駆動コイルの合成駆動力がフォーカス方向の駆動力を得る時の動作説明図。
【図7】V字用駆動コイル及び逆V用駆動コイルの合成駆動力がトラッキング方向の駆動力を得る時の動作説明図。
【図8】V字用駆動コイル及び逆V用駆動コイルの合成駆動力が左60度上方向の駆動力を得る時の動作説明図。
【図9】図8のベクトルを示す図。
【図10】A駆動コイルとB駆動コイルの傾きと駆動力の関係を示す図。
【図11】V字マグネットと逆Vマグネットの異なる形態を説明する図。
【図12】本発明の第2実施形態によるレンズ駆動装置の要部外観図。
【図13】本発明の第3実施形態によるレンズ駆動装置の要部外観図。
【図14】本発明のその他の実施形態によるレンズ駆動装置の要部外観図。
【図15】従来例における平面コイルとマグネットとの関係を示す図。
【符号の説明】
10・・・アクチュエータベース
11・・・V字マグネット
12・・・逆Vマグネット
13・・・ヨーク
14・・・ネジ
20・・・支持ベース
21・・・支持ワイヤ
30・・・レンズホルダ
40・・・V字用駆動コイル
90・・・逆V用駆動コイル
【産業上の利用分野】
本発明は、ディスクに情報を記録したり、記録された情報を読み取るディスクプレーヤのレンズ駆動装置に関するものであり、特に平面状コイルを用いたレンズ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学的に情報を記録したディスクからの読み取りビームをディスク面に集束させるため対物レンズをレンズ光軸方向(フォーカス方向)に駆動すると共に、読み取りビームを情報トラックに追従させるため対物レンズをレンズ光軸方向と直角方向に駆動するレンズ駆動装置が知られている。
このレンズ駆動装置を構成する可動部は、小型軽量であることが望ましく、図15(a)に示すように対物レンズ1を内蔵するコイルボビン2にフォーカスコイル3とトラッキングコイル4を巻回するコイルボビンタイプ5に代えて、図15(b)に示すように対物レンズ1を内蔵するホルダ6の両側面にフォーカスコイル3とトラッキングコイル4をパターンニングし、エッチングして形成した平面状のコイル基板7を接着剤等で固定したプリントコイルタイプ8が提案されている(例えば、特開平8−203103号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平8−203103号公報のようなコイル基板7を用いる場合、図15(c)に示すように、フォーカスコイル3は、マグネット9のN極とS極に股がるように配置することでフォーカス(図中矢印F)方向の駆動力を得ている。また、4つで構成するトラッキングコイル4は、2つのトラッキングコイル4をマグネット9のN極側に、他の2つのトラッキングコイル4をマグネット9のS極側に配置すると共に、各トラッキングコイル4の約半分(トラッキング図中矢印T方向)だけをマグネット9の磁場に入るように配置することでトラッキング方向の駆動力を得ている。つまり、プリントコイルタイプ8の場合は、トラッキングコイル4が4つ必要で、しかもコイル基板7をマグネット9の外形よりも左右に大きく張り出して構成する必要があり、トラッキングコイル4に対するマグネット9の有効磁界が減少する。また、マグネット9の外形に比してコイル基板7が大型化すると云う問題があった。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み成されたものであり、その目的は、コイル数を減らすことで、コイル基板の小型化、低価格化が可能なレンズ駆動装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、レンズホルダに取り付けられたフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段と、を有するレンズ駆動装置であって、駆動コイルは、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される一対のコイルからなり、磁束付与手段は、各コイルのフォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、一対のコイルは、ジッタ方向に垂直な同一の面内に配されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1に記載のレンズ駆動装置であって、一対のコイルは、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一のプリント基板上に設けられた平面コイルであることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1乃至3の何れかに記載のレンズ駆動装置であって、磁気付与手段は、駆動コイルに対して対面する磁極面を含んで構成され、磁極面は2つの領域に対応して磁極が異なることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、レンズホルダに取り付けられフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向に駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段と、を有するレンズ駆動装置であって、駆動コイルは、各々がジッタ方向に垂直な第1の面内に配されるとともに、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される第1コイル及び第2コイルと、各々が前記第1の面と平行な第2の面内に配されるとともに、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される第3コイル及び第4コイルとからなり、第1コイル及び第2コイルの一群と第3コイル及び第4コイルの一群は、光軸に対して対称に配され、
磁束付与手段は、各コイルのフォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、第1コイル及び第2コイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給され、第3コイル及び第4コイルのうち、第1コイル及び第2コイルの加算電流が供給される方に対面するコイルには差分電流が供給され、差分電流が供給される方に対して対面するコイルには加算電流が供給されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項5に記載のレンズ駆動装置であって、第1コイル及び第2コイルは、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一のプリント基板上に設けられ、第3コイル及び第4コイルは、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一のプリント基板上に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、請求項1乃至6の何れかに記載のレンズ駆動装置であって、仮想線は、フォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても45度傾斜した直線であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に記載の発明に係るレンズ駆動装置は、フォーカス方向に伸長する軸に嵌合する軸受孔を有し、前記軸に対して摺動且つ回動可能とされたレンズホルダと、前記レンズホルダに取り付けられフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、前記駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段と、を有するレンズ駆動装置であって、
前記駆動コイルは、前記軸を含む面に対して対称に配置され且つフォーカス方向に対して垂直となるコイル軸を有する一対のコイルを含んで構成され、前記磁束付与手段は、前記コイルの前記フォーカス方向及び前記トラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対して、互いに反対向きの磁束を付与し、前記一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されることを特徴とする。
【0013】
【作用】
本発明のレンズ駆動装置は、フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、レンズホルダに取り付けられたフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段とを有し、駆動コイルは、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される一対のコイルからなり、磁束付与手段は、各コイルのフォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されるように構成したので、従来に比べてコイル数を減らすことが可能となり、それにより、コストダウン、小型化を実現することができる。
【0014】
【発明の実施形態】
図1は、本発明の実施形態によるレンズ駆動装置150の要部外観図である。図1を参照しつつレンズ駆動装置150の構成を説明する。尚、図1(a)はレンズ駆動装置150の上面図を、図1(b)はレンズ駆動装置150の側面図を示した。
本発明の実施形態によるレンズ駆動装置150は、板状のアクチュエータベース10上に磁場形成用のV字マグネット11或は逆Vマグネット12を固定した一対のL状のヨーク13が所定の磁気ギャップを設けて対向配置され、複数のネジ14で固定されると共に、アクチュエータベース10上にネジ14により固定された支持ベース20の4本の支持ワイヤ21で吊設された可動部100がV字マグネット11と逆Vマグネット12で形成される磁気ギャップ内に配置されている。
【0015】
V字マグネット11は、例えば両極着磁された直角三角形の磁石と両極着磁された直角三角形の2つの磁石により方形に形成された3分割多極磁石であり、中央にN極の磁極面がV字状に配置され、該N極の磁極面の左右にS極の磁極面を配した構造をしている。また、逆Vマグネット12は、両極着磁された直角三角形の磁石と両極着磁された直角三角形の2つの磁石により方形に形成された3分割多極磁石であり、中央にS極の磁極面が逆V字状に配置され、該S極の磁極面の左右にN極の磁極面を配した構造をしている。
【0016】
可動部100は、内部に対物レンズ31を収納した略方形状のレンズホルダ30と、V字マグネット11と対向するレンズホルダ30のジッタ(図中矢印J)方向の側面に接着剤等で固定されたV字状駆動コイル40と、逆Vマグネット12と対向するレンズホルダ30のジッタ方向の側面に接着剤等で固定された逆V状駆動コイル90とで構成され、レンズホルダ30のトラッキング(図中矢印T)方向に突出して形成された4本の保持部32a、32bが4本の支持ワイヤ21で支持されることでフォーカス(図中矢印F)方向及びトラッキング方向に移動可能に吊設されている。
【0017】
支持ワイヤ21は、導電性の棒状或は板状の弾性部材で構成され、一方端が圧延拡大して引出部22aが形成され、支持ベース20の成形時に支持ワイヤ21の一部がアウトサート成形等により一体成形される。また、支持ワイヤ21の他方端は、同様に、圧延拡大されて接続部22bが形成され、レンズホルダ30に設けられた4本の保持部32a、32bに接着剤等で固定される。
【0018】
本発明の第1実施形態によるレンズ駆動装置150は、上述したV字状駆動コイル40の構造及びその駆動方法に特徴がある。そこで、図2を用いてV字状駆動コイル40の構造を説明する。尚、図2(a)はV字状駆動コイル40の表面側の平面図を、図2(b)はV字状駆動コイル40の裏面側を透視した状態の平面図を、図2(c)はV字状駆動コイル40の断面図を示した。
【0019】
V字状駆動コイル40は、例えばガラスエポキシ材等の両面銅張積層構造のプリント基板41に同一形状でパターンニングし、エッチングすることで形成した楕円形状したA駆動コイル43とB駆動コイル48からなる一対の駆動コイルであり、光軸(対物レンズ31を通過するビームの軌跡を表す軸であり図中C線で示した。)を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に形成されている。また、A及びB駆動コイル43、48は、2つの長辺を3分割着磁されたV字マグネット11のN極とS極の磁極面に股がるように配置するため、A駆動コイル43はその長軸が光軸に対して略右45度に傾斜するように形成され、B駆動コイル48はその長軸が光軸に対して略左45度に傾斜するように形成されている。
【0020】
V字状駆動コイル40は、図2(a)に示すようにプリント基板41の表面側の銅箔に略楕円形状の1のA駆動コイル43aと1のB駆動コイル48aをC線に対して対称に形成すると共に、裏面側の銅箔に上記と同一形状の2のA駆動コイル43bと2のB駆動コイル48bを上記と同一位置に形成し、1のA駆動コイル43aと2のA駆動コイル43bを2つのスルホール44、45で連結することで直列に接続されたA駆動コイル43を形成すると共に、1のB駆動コイル48aと2のB駆動コイル48bを2つのスルホール49、50で連結することで直列に接続されたB駆動コイル48を形成している。
尚、上記スルホール44、45、49、50は、表面側と背面側の銅箔を貫通する孔に銀ペーストを注入し、銀ペーストを焼成して形成するか、或は表面側のと背面側の銅箔を貫通する孔の内面を銅メッキすることで表面側の銅箔と裏面側の銅箔を接続したものであり、図中スルホール部分を二重丸で示した。
【0021】
プリント基板41の表面側の外周縁部に形成されたA入力端子42は、銅箔パターンを介して1のスルホール44に接続され、1のスルホール44は、裏面側に形成された2のA駆動コイル43bに接続されている。2のA駆動コイル43bは、左回転で外周から内周に渦巻状に形成され、2のスルホール45に接続される。2のスルホール45は、表面側に形成された1のA駆動コイル43aに接続されている。1のA駆動コイル43aは、左回転で内周から外周に渦巻状に形成され、A出力端子46に接続される。従って、2つのA駆動コイル43a、43bは、A入力端子42とA出力端子46との間で直列に接続される。
【0022】
また、プリント基板41の表面側の外周縁部に形成されたB入力端子47は、銅箔パターンを介して3のスルホール49に接続され、3のスルホール49は、裏面側に形成された2のB駆動コイル48bに接続されている。2のB駆動コイル48bは、右回転で外周から内周に渦巻状に形成され、4のスルホール50に接続される。4のスルホール50は、表面側に形成された1のB駆動コイル48aに接続され、1のB駆動コイル48aは、右回転で内周から外周に渦巻状に形成され、B出力端子51に接続される。従って、2つのB駆動コイル48a、48bは、B入力端子47とB出力端子51との間で直列に接続される。
【0023】
次に、V字状駆動コイル40とV字マグネット11との位置関係及び逆V状駆動コイル90と逆Vマグネット12との位置関係を図3を用いて説明する。
V字状駆動コイル40は、レンズホルダ30のジッタ方向に垂直な一方の側面(第1の面)33aに固定され、磁気付与手段であるV字マグネット11と所定の磁気ギャップを設けて対向配置される。V字状駆動コイル40を構成するA駆動コイル(第1コイル)43及びB駆動コイル(第2コイル)48は、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一プリント基板41上に設けられた平面コイルであり、V字マグネット11によりA駆動コイル43及びB駆動コイル48の駆動力発生部に対してジッタ方向に沿った磁束が付与される。
【0024】
一方、逆V状駆動コイル90は、V字状駆動コイル40を180度回転させたものでありレンズホルダ30のジッタ方向に垂直な他方の側面(第2の面)33bに固定され、逆V状駆動コイル90を構成するA駆動コイル(第3コイル)43及びB駆動コイル(第4コイル)48は、逆Vマグネット12と所定の磁気ギャップを設けて対向配置される。従って、V字状駆動コイル40のA駆動コイル(第1コイル)43と逆V状駆動コイル90のB駆動コイル(第4コイル)48は、レンズホルダ30を介して対向配置されると共に、V字状駆動コイル40のB駆動コイル(第2コイル)48と逆V状駆動コイル90のA駆動コイル(第3コイル)43は、レンズホルダ30を介して対向配置される。そして、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43同士を直列に接続すると共に、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48同士を直列に接続する。
【0025】
これらの各巻線の端末は、レンズホルダ30の4本の保持部32a、32bに接着された支持ワイヤ21の接続部22bに半田付け等により接続される。また、支持ワイヤ21の引出部22aには、図示しないリッツ線等が接続され、外部からV字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90に後述する駆動回路70からフォーカスエラー補正信号であるフォーカス駆動電流とトラッキングエラー補正信号であるトラッキング駆動電流の加算電流、又はフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給される。つまり、V字状駆動コイル40の第1コイルに加算電流が供給され、第2コイルに差分電流が供給された場合は、第1コイルに対向する第3コイルに加算電流が供給され、第2コイルに対向する第3コイルに差分電流が供給される。
可動部100は、支持ワイヤ21を介してV字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90に上記駆動電流が供給されると、磁気ギャップ内で駆動電流に応じてトラッキング方向及びフォーカス方向に自在に変移される。
【0026】
次に、V字状駆動コイル40の駆動方法を図4を用いて説明する。
尚、図4(a)はV字状駆動コイル40の平面図を、図4(b)は駆動回路70を示した。また、逆V状駆動コイル90は省略してある。
駆動回路70は、図示しないフォーカス及びトラッキングサーボ回路から供給されるプラスマイナスに変動する直流電圧であるフォーカスエラー補正信号とトラッキングエラー補正信号の和差信号を生成し出力する回路である。
駆動回路70は、A及びB入力バッファ72、77と、2つの加算器73、78と、A及びB出力バッファ74、79と、インバータ81とで構成され、A駆動端子75はV字状駆動コイル40のA入力端子42に、B駆動端子80はV字状駆動コイル40のB入力端子47に各々接続されている。また、A駆動端子46及びB駆動端子51は、アース電位に接続されている。
【0027】
フォーカス端子71に供給されるフォーカスエラー補正信号は、A入力バッファ72を介してインバータ81及び加算器73に供給される。加算器73は、フォーカスエラー補正信号とB入力バッファ77から出力されるトラッキングエラー補正信号を加算し、A出力バッファ74及び抵抗R1を介してA駆動端子75からA駆動信号として出力する。つまり、A駆動信号は、フォーカスエラー補正信号とトラッキングエラー補正信号の加算電流である。
また、トラッキング端子76に供給されるトラッキングエラー補正信号は、B入力バッファ77を介して加算器78に供給される。加算器78は、トラッキングエラー補正信号と、インバータ81で極性が反転されたフォーカスエラー補正信号とを加算し、B出力バッファ79及び抵抗R2を介してB駆動端子80からB駆動信号として出力する。つまり、B駆動信号は、フォーカスエラー補正信号とトラッキングエラー補正信号の差分電流である。
【0028】
例えば、+1Vのフォーカスエラー補正信号がフォーカス端子71に供給され、0Vのトラッキングエラー補正信号がトラッキング端子76に供給された場合を例に動作を説明する。
フォーカスエラー補正信号は、A入力バッファ72を介してインバータ81及び加算器73に供給される。加算器73は、トラッキングエラー補正信号が0Vなので、フォーカスエラー補正信号である+1VをA駆動信号として出力する。また、トラッキングエラー補正信号は0Vであるが、上記インバータ81によりトラッキングエラー補正信号の極性が反転(−1V)され加算器78に供給されているので、加算器78は−1VをB駆動信号として出力する。
【0029】
V字状駆動コイル40のA駆動コイル43は、+1VのA駆動信号がA入力端子42に供給され、A出力端子46はアース電位に接続されているので、A入力端子42からA出力端子46に向う(図中矢印)方向の駆動電流が流れる。
また、V字状駆動コイル40のB駆動コイル48は、−1VのB駆動信号がB入力端子47に供給され、B出力端子51はアース電位に接続されているので、B出力端子51からB入力端子47に向う方向の駆動電流が流れる。これらの駆動電流は、フォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した電流として供給される。
【0030】
また、図中カッコで示すように、例えばフォーカス端子71に−0.5Vのフォーカスエラー補正信号が供給され、トラッキング端子76に0Vのトラッキングエラー補正信号が供給された場合は、A駆動信号は−0.5Vであり、B駆動信号は+0.5Vとなる。従って、A駆動コイル43とB駆動コイル48に供給される駆動電流は、上記の場合と値が異なると共に、駆動電流の方向が逆になる。つまり、駆動回路70は、V字状駆動コイル40に対してフォーカスエラー補正信号及びトラッキングエラー補正信号の大きさと極性に対応した駆動電流の大きさと流れる方向を規定している。
【0031】
次に、平面状コイルが駆動される仕組みを図5を用いて説明する。尚、図5は、模式的に示した駆動コイル58をV字マグネット11に対向配置させた動作説明図であり、図5(a)は例えば正方形の一対の駆動コイル58を用いた場合の平面図であり、図5(b)は左側の駆動コイル58bの部分駆動力を示すベクトル図を、図5(c)は右側の駆動コイル58aの部分駆動力を示すベクトル図を、図5(d)は合成駆動力を示すベクトル図を、図5(e)は例えば円形の駆動コイル59を用いた場合の平面図である。
尚、図中の丸中点印は紙面の裏面から表面に向って貫く磁束の方向を示し、図中丸クロス印は紙面の表面から裏面に向って貫く磁束の方向を示している。また、駆動コイル58、59の内部の矢印は、駆動コイル58、59に流れる電流の方向を示し、図中白抜矢印は駆動コイル58、59の部分駆動力を示している。
【0032】
上述したように、磁束付与手段であるV字マグネット11は、両極着磁された直角三角形の磁石と両極着磁された直角三角形の2つの磁石により方形に形成された3分割多極磁石であり、中央にN極の磁極面がV字状に配置され、該N極の磁極面の左右にS極の磁極面を配した構造をしている。従って、中央のN極の磁極面と左右のS極の磁極面の境界線(仮想線Lと呼ぶ)は、光軸に対して左右45度に配置される。そして、駆動コイル58は、図5(a)に示すように正方形の対角線が上記仮想線L上に配置される。つまり、V字マグネット11のN極の磁束を受ける駆動コイル58の一方の領域S1と、V字マグネット11のS極の磁束を受ける駆動コイル58の他方の領域S2は、同一である。従って、駆動コイル58は、仮想線Lにより分割された2つの領域S1、S2はジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束が付与され、そして正方形の一対の駆動コイル58は、光軸に対して左右対称に配置される。
【0033】
例えば、右側に配置された駆動コイル58aの一方の領域S1は、N極の磁極面により紙面の裏面から表面に向って貫く磁束が与えられ、駆動コイル58aに矢印方向の電流が供給されると、駆動コイル58aのイ部は垂直上方向の部分駆動力が発生し、ロ部は水平左方向の部分駆動力が発生する。また、駆動コイル58aの他方の領域S2は、S極の磁極面により紙面の表面から裏面に向って貫く磁束が与えられているので、駆動コイル58aに矢印方向の電流が供給されると、駆動コイル58aのハ部は垂直上方向の部分駆動力が発生し、駆動コイル58aのニ部は水平左方向の部分駆動力が発生する。従って、駆動コイル58aは、イ部及びハ部の垂直上方向の部分駆動力と、ロ部及びニ部の水平左方向の部分駆動力は、合成され図5(c)に示すように左45度上方向のコイル駆動力(図中横線矢印)を発生する。つまり、仮想線Lに対して垂直左方向の駆動力が発生する。
【0034】
また、左側に配置された駆動コイル58bの一方の領域S1は、N極の磁極面側に配置されているので、駆動コイル58bに右側に配置された駆動コイル58aと同方向の電流が供給されるとイ部は、垂直上方向の部分駆動力が発生し、ニ部は水平右側方向の部分駆動力を発生する。また、駆動コイル58bの他方の領域S2は、S極の磁極面側に配置されているので、駆動コイル58bのロ部は、水平右方向の部分駆動力を発生し、ハ部は垂直上方向の部分駆動力が発生する。従って、左側に配置された駆動コイル58bは、イ部及びハ部の垂直上方向の部分駆動力と、ロ部及びニ部の水平右方向の部分駆動力は、合成され図5(b)に示すように右45度上方向のコイル駆動力を発生する。つまり、仮想線Lに対して垂直右方向の駆動力が発生する。そして、左右一対の正方形の駆動コイル58a、58bの駆動力は、合成され図5(d)に示すように垂直上方向、つまりフォーカス方向の合成駆動力(図中ハッチング矢印)を発生する。
【0035】
また、図6(e)に示すように、円形の駆動コイル59の場合は、円形の駆動コイル59の中心線が仮想線L上に配置されるので、V字マグネット11のN極の磁束を受ける駆動コイル59の一方の領域S3と、V字マグネット11のS極の磁束を受ける駆動コイル59の他方の領域S4は、同一となる。
円形の駆動コイル59は、ホ部及びヘ部から共に放射状に部分駆動力が発生するが、仮想線L付近における部分駆動力は、互いに逆方向で同一の大きさを持っているので、相殺され、例えば右側に配置された駆動コイル59aは、上記同様左45度上方向の合成駆動力が発生し、左側に配置された駆動コイル59bは、右45度上方向の合成駆動力が発生するので、左右一対の円形の駆動コイル59a、59bの駆動力は、合成され図5(d)に示すように垂直上方向、つまりフォーカス方向の合成駆動力を発生する。
【0036】
上述したように、駆動コイル58は、V字マグネット11の仮想線L上に2つの領域S1、S2の面積が同一になるように配置し、且つ一方の領域S1と、他方の領域S2に互いに逆方向の磁束が付与されることで、フォーカス方向に正確に駆動される。また、一対の駆動コイル58は、互いに逆方向の電流が供給されるとトラッキング方向の合成駆動力が得られる。つまり、駆動コイル58は、形状に限定されないが、仮想線Lに対して左右対称の形状であり、且つ左右の2つの領域S1、S2の面積が同一であれば、左右の駆動コイル58で発生する部分駆動力を合成した時、正確なフォーカス駆動力又はトラッキング駆動力が得られることを示している。
【0037】
次に、図6乃至図8を用いてV字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90の動作を説明する。尚、図6乃至図8は、模式的に示したV字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90を直列に接続し、これを駆動回路70で駆動する時の動作説明図であり、図6は後述する合成駆動力がフォーカス方向の駆動力を、図7は合成駆動力がトラッキング方向の駆動力を、図8は合成駆動力が左60度上方向の駆動力を発生する時の動作説明図である。また、図中(a)は駆動回路70を、図中(b)はV字状駆動コイル40の平面図を、図中(c)は逆V状駆動コイル90の平面図を、そして図中(d)は合成駆動力Cdを示した。また、図6と図7において、動作を明確にするため、フォーカスエラー補正信号及びトラッキングエラー補正信号は、0Vまたはプラスマイナス1Vに固定した場合で説明する。
【0038】
先ず、図6を用いてV字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90がトラッキング方向の駆動力を得る時の動作を説明する。
図6(a)に示すように、フォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として例えば+1Vが供給され、トラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として例えば0Vが供給された場合は、A駆動端子75から+1VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から−1VのB駆動信号が出力される。
【0039】
駆動回路70のA駆動端子75は、図6(b)に示すようにV字マグネット11に対向配置されたV字状駆動コイル40のA入力端子42に接続され、V字状駆動コイル40のA出力端子46は、図6(c)に示すよう逆Vマグネット12に対向配置された逆V状駆動コイル90のA入力端子42に接続されている。そして、逆V状駆動コイル90のA出力端子46はアース電位に接続されていので、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43には、図に示す方向(A駆動コイル43内部の矢印)の電流が流れる。
一方、B駆動端子80は、V字状駆動コイル40のB入力端子47に供給され、V字状駆動コイル40のB出力端子51は、逆Vマグネット12に対向配置された逆V状駆動コイル90のB入力端子47に接続され、逆V状駆動コイル90のB出力端子51はアース電位に接続されている。従って、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48には、図に示す(B駆動コイル43の内部の矢印)方向の電流が流れる。
【0040】
V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90を構成するA及びB駆動コイル43、48は、夫々の長辺が互いにN極の磁極面とS極の磁極面に股がるように配置され、一対の駆動力発生部を形成している。A及びB駆動コイル43、48の駆動力発生部は、フォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した方向に駆動電流が流されるので、V字マグネット11及び逆Vマグネット12により駆動力発生部に対してジッタ方向に沿った互いに逆向きの磁束が供給される。つまり、V字状駆動コイル40のA駆動コイル43は、図に示す方向の駆動電流が供給され、V字マグネット11から図に示す方向の磁束が付与されると、光軸に対して左側45度上方のA駆動力(図中白抜矢印)を発生する。また、V字状駆動コイル40のB駆動コイル48は、A駆動コイル43と逆方向の駆動電流が供給されているので、光軸に対して右側45度上方のB駆動力を発生する。従って、V字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48のフォーカス方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸上方向の合成駆動力Cd(図中ハッチング矢印)が生じる。
【0041】
また、逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43は、図に示す方向の駆動電流が供給され、逆Vマグネット12から図に示す方向の磁束が付与されると、光軸に対して左側45度上方のA駆動力を発生する。また、逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48は、A駆動コイル43と逆方向の駆動電流が供給されているので、光軸に対して右側45度上方のB駆動力を発生する。
従って、逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48のフォーカス方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸上方向の合成駆動力Cd(図中ハッチング矢印)が生じる。
駆動回路70から供給されるA及びB駆動信号に対して、A及びB駆動コイル43、48が発生するA及びB駆動力が比例関係にあると仮定すれば、A及びB駆動力は共に”1”である。また、A駆動力とB駆動力は光軸に対して互いに45度なので、A駆動力とB駆動力によって生成される合成駆動力Cdは、A及びB駆動力の21/2倍となる。
【0042】
次に、図6(a)のカッコで示すようにフォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として例えば−1Vが供給され、トラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として例えば0Vが供給された場合は、A駆動端子75から−1VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から+1VのB駆動信号が出力される。すると、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43には、図に示す方向と逆方向の電流が流れると共に、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48には、図に示す方向と逆方向の電流が流れる。従って、V字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48は、図に示す方向と逆方向の駆動力が発生すると共に、逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48は、図に示す方向と逆方向の駆動力が発生するので、A及びB駆動コイル43、48のフォーカス方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸下方向(図中カッコで示す)の合成駆動力Cdが生じる。
【0043】
次に、図7を用いてV字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90がトラッキング方向の駆動力を得る時の動作を説明する。
図7(a)に示すように、フォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として例えば0Vが供給され、トラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として例えば+1Vが供給された場合は、A駆動端子75から+1VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から+1VのB駆動信号が出力される。
【0044】
図6で説明したように、V字状駆動コイル40と逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48に、図に示す方向の電流が流れ、V字及び逆Vマグネット11、12から図に示す方向の磁束が付与されると、V字状駆動コイル40のA駆動コイル43は、光軸に対して左側45度上方のA駆動力を発生する。
また、V字状駆動コイル40のB駆動コイル48は、A駆動コイル43と逆方向の駆動電流が供給されているので、光軸に対して左側45度下方のB駆動力を発生する。従って、A及びB駆動コイル43、48のトラッキング方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸左方向の合成駆動力Cdが生じる。
【0045】
同様に、逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43は、光軸に対して左側45度上方のA駆動力を発生し、B駆動コイル48は、光軸に対して左側45度下方のB駆動力を発生する。従って、逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48のトラッキング方向の駆動力は、合成され、図6(d)に示すように光軸左方向の合成駆動力Cdが生じる。そして、上記同様、A駆動力とB駆動力によって生成される合成駆動力Cdは、A及びB駆動力の21/2倍となる。
【0046】
次に、図7(a)のカッコで示すようにフォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として0Vが供給されトラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として例えば−1Vが供給された場合は、A駆動端子75から−1VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から−1VのB駆動信号が出力される。
従って、V字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48は、図に示す方向と逆方向の駆動力が発生すると共に、逆V状駆動コイル90のA及びB駆動コイル43、48は、図に示す方向と逆方向の駆動力が発生するので、A及びB駆動コイル43、48のトラッキング方向の駆動力は、合成され、図7(d)に示すように光軸右方向(図中カッコで示す)の合成駆動力Cdが生じる。
【0047】
上述したようにV字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48は、光軸に対して線対称に形成されているので、V字状駆動コイル40の重心(Gc)は、プリント基板41の略中央に有る。また、A及びB駆動コイル43、48の重心(Cc)は、A及びB駆動コイル43、48の略中央に有る。従って、V字状駆動コイル40のA駆動コイル43は、光軸に対して左側45度上方の駆動力が発生し、B駆動コイル48は光軸に対して左側45度下方の駆動力が発生すると、図7(b)に示すようにV字状駆動コイル40はプリント基板41の重心(Gc)を中心に左(図中矢印イ)方向の回転駆動力が発生する。
【0048】
また、図7(c)に示すように逆V状駆動コイル90の場合は、A駆動コイル43が光軸に対して45度上方の駆動力が発生し、B駆動コイル48が光軸に対して45度下方の駆動力が発生するので、逆V状駆動コイル90はプリント基板41の重心(Gc)を中心に右(図中矢印ロ)方向の回転駆動力が発生する。
従って、V字状駆動コイル40は、例えば左方向の回転駆動力を発生し、逆V状駆動コイル90は、例えば右方向の回転駆動力が発生すると、互いに相殺され可動部100は、左右何れの方向にも回転力は生じない。つまり、本発明のレンズ駆動装置150は、V字状駆動コイル40で発生する回転駆動力を相殺するためV字状駆動コイル40を180度回転させた逆V状駆動コイル90と逆Vマグネット12を用いて構成しているのである。
【0049】
次に、V字状駆動コイル40を例えば左斜め60度上方向に変移させる時の動作を図8及び図9を用いて説明する。尚、図8は、1つの角に60度を有する直角三角形の三角関数の関係から、フォーカスエラー補正信号として例えば1.732Vを、トラッキングエラー補正信号として+1Vを供給した場合を示している。また、図9は、V字状駆動コイル40のベクトル図であり、図9(a)はA駆動コイル43のA駆動力を、図9(b)はB駆動コイル48のB駆動力を、図9(c)は合成駆動力Cdを示した。
【0050】
図8(a)に示すように、フォーカス端子71にフォーカスエラー補正信号として1.732Vが供給され、トラッキング端子76にトラッキングエラー補正信号として+1Vが供給されると、A駆動端子75から2.732VのA駆動信号が出力され、B駆動端子80から−0.732VのB駆動信号が出力される。
V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43は、A駆動端子75から2.732VのA駆動信号が供給されることにより図に示す方向の電流が流れ、V字及び逆Vマグネット11、12から図に示す方向の磁束が付与されると、図9(a)に示すように光軸に対して左側45度上方のA駆動力(2.732)を発生する。同様に、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48は、B駆動端子80から−0.732VのB駆動信号が供給されることにより図に示す方向の電流が流れ、V字及び逆Vマグネット11、12から図に示す方向の磁束が付与されると、図9(b)に示すように光軸に対して右側45度上方のB駆動力(0.732)を発生する。
【0051】
A駆動力(2.732)は、x軸及びy軸方向のベクトル(1.932)に分解される。同様に、B駆動力(0.732)は、x軸及びy軸方向のベクトル(0.518)に分解される。そして、A駆動力とB駆動力のx軸及びy軸方向同士のベクトルを合成すると、図9(c)に示すようにx軸方向のベクトルとして1.414が得られ、y軸方向のベクトルとして2.45得られる。
そして、これらの合成駆動力Cdは、2.828が得られる。また、合成駆動力Cdの角度θは、θ=tan-1(x/y)=60°となる。
つまり、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90の夫々の合成駆動力Cdは、左斜め60度上方向に変移する駆動力が得られる。何れもA及びB駆動信号の21/2倍となる。
【0052】
上述したように、V字状駆動コイル40は、トラッキング方向の駆動力が発生すると回転駆動力が発生するので、逆V状駆動コイル90の回転駆動力で相殺していた。しかし、V字状駆動コイル40は、例えば左斜め60度上方向の駆動電流が供給されると、同様の回転駆動力が発生する。つまり、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のA駆動コイル43は、光軸に対して左側45度上方のA駆動力(2.732)を発生し、y軸方向のA駆動力Ayは、1.932である。また、V字状駆動コイル40及び逆V状駆動コイル90のB駆動コイル48は、光軸に対して右側45度上方のB駆動力(0.732)を発生し、y軸方向のB駆動力Byは、0.518である。従って、V字状駆動コイル40のA及びB駆動コイル43、48は、共にy軸方向の駆動力Ay、Byが発生するが、大きさが異なるため、プリント基板41の重心(Gc)ではなく、2つの駆動力Ay、Byを按分したベクトル中心(Vc)を軸に回転駆動力が生じる。
【0053】
つまり、A駆動コイル43の重心(Cc)からベクトル中心(Vc)間での距離(L1)とB駆動コイル48の重心(Cc)からベクトル中心(Vc)間での距離(L2)の比は、2つの駆動力Ay、Byの比の逆数に等しい。そして、V字状駆動コイル40のベクトル中心(Vc)は、逆V状駆動コイル90のベクトル中心(Vc)と光軸に対して対向位置にあるので、互いに相殺され、可動部100に回転力が生じない。
【0054】
以上述べたように、本発明の第1実施形態によるレンズ駆動装置150に用いられるV字状駆動コイル40は、プリント基板41上に略45度傾斜して配したA駆動コイル43とB駆動コイル48からなる一対の略楕円形状の駆動コイルを光軸に対して対称に配すると共に、ジッタ方向に対して垂直となる面内に形成した。従って、V字状駆動コイル40は、対向配置されるV字マグネット11の外形と略同一の大きさに形成することが可能となり、V字状駆動コイル40を構成するA駆動コイル43及びB駆動コイル48に対しV字マグネット11の磁束が効率的に付与される。
【0055】
尚、本発明のレンズ駆動装置150に用いられるV字状駆動コイル40を構成するA駆動コイル43とB駆動コイル48は、光軸に対して互いに45度傾けて形成する例で説明したが、傾きの角度に限定されない。
例えば、図10(a)はA駆動コイル43及びB駆動コイル48の傾きを光軸に対して45度以上にした時の状態を示したものであり、フォーカス方向の駆動力は45度の場合に比して高められる(図10(b)に示す)。また、図10(c)はA駆動コイル43及びB駆動コイル48の傾きを光軸に対して45度以下にした時の状態を示したものであり、トラッキング方向の駆動力は45度の場合に比して高められる(図10(d)に示す)。つまり、A及びB駆動コイル43、48の傾きは、フォーカス方向及びトラッキング方向の駆動力に影響するので、フォーカス駆動電流及びトラッキング駆動電流等の兼ね合いで最適な光軸に対する傾きを決定するようにしている。
【0056】
また、本発明のレンズ駆動装置150に用いられるV字マグネット11或は逆Vマグネット12は、図11に示す3分割多極磁石を用いて構成しても良い。
尚、図11(a)は両極着磁された直角三角形の磁石の異なる磁極面同士を隣接配置させて方形に形成された2分割磁石を2組異極同士隣接して構成したV字マグネット15であり、図10(b)はV字マグネット15を180度回転させたものである。
このようなV字マグネット15を用いた場合は、A駆動コイル43又はB駆動コイル48の結線を変更し、A駆動コイル43又はB駆動コイル48に流れる電流の方向を変えることにより、上述した図6及び図7で示した場合と同様のフォーカス方向及びトラッキング方向の駆動力が得られる。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態によるレンズ駆動装置200の構成を図12を用いて説明する。尚、図12(a)はレンズ駆動装置200の上面図を、図12(b)はレンズ駆動装置200の側面図を示した。
本発明の第2実施形態によるレンズ駆動装置200は、板状のアクチュエータベース10上に磁場形成用のV字マグネット11或は逆Vマグネット12を固定した一対のL状のヨーク13の背面側を互いに隣接配置し、複数のネジ14で固定すると共に、アクチュエータベース10上にネジ14により固定された支持ベース20の4本の支持ワイヤ21で吊設された可動部110の開口部35がV字マグネット11と逆Vマグネット12に対して所定の磁気ギャップを設けて挿入されている。
【0058】
可動部110は、対物レンズ36を収納し、略中央に方形の開口部35を形成したレンズホルダ37と、開口部35のジッタ方向の内側の一方の側面に接着剤等で固定されたV字状駆動コイル40と他方の側面に固定された逆V状駆動コイル90とで構成され、開口部35のV字状駆動コイル40側をV字マグネット11側に、開口部35の逆V状駆動コイル90側を逆Vマグネット12側に互いに対向配置させ、レンズホルダ37のトラッキング方向に突出して形成された4本の保持部38a、38bが支持ベース20の4本の支持ワイヤ21で支持さることで、フォーカス方向及びトラッキング方向に対して移動可能に吊設される。
尚、第2実施形態によるレンズ駆動装置200は、第1実施形態によるレンズ駆動装置150と同様に動作するので詳細な説明は省略する。
【0059】
次に、本発明の第3実施形態によるレンズ駆動装置210の構成を図13を用いて説明する。尚、図13(a)はレンズ駆動装置210を構成する可動部120の斜視図を、図13(b)はレンズ駆動装置210を構成するV字マグネット128を固定したヨークベース126の斜視図を、図13(c)はレンズ駆動装置210の上面図を示した。
【0060】
図13に示すレンズ駆動装置210は、軸摺動型と呼ばれ、かかるレンズ駆動装置210を構成する可動部120は、略円筒状に形成している。可動部120のレンズホルダ121は、略中央に軸受孔122が形成され、軸受孔122からジッタ(図中J)方向に偏芯した位置に対物レンズ123が配置されている。また、レンズホルダ121には、トラッキング方向の一方の側面にV字状駆動コイル124が、トラッキング方向の他方の側面に逆V状駆動コイル125が夫々接着剤等で固定されており、図示されるように、一対のコイルを含むプリント基板は湾曲した状態で固定される。このとき一対のコイルはコイル軸がフォーカス方向に垂直となるように配置される。
【0061】
また、レンズ駆動装置210を構成するアクチュエータベース126は、トラッキング方向の左右に一対のヨーク127がL状に形成され、かかるヨーク127のトラッキング方向の一方の内面(V字状駆動コイル124と対向する側)に湾曲したV字マグネット128が接着剤等で固定され、ヨーク127のトラッキング方向の他方の内面(逆V状駆動コイル125と対向する側)に湾曲した逆Vマグネット129が接着剤等で固定されると共に、V字マグネット128と逆Vマグネット129の略中央にフォーカス方向に伸長した支持軸130が圧入又は溶接等により固定されている。可動部120は、レンズホルダ121の軸受孔122をアクチュエータベース126の支持軸130に軸着することで回転可能で、且つ上下動可能に支持される。
【0062】
つまり、レンズ駆動装置210は、図13(c)に示すようにレンズ駆動装置210を構成する支持軸130を含み、トラッキング方向に平行な面をXとすると、V字状駆動コイル124及び逆V状駆動コイル125を構成する一対の平面状コイルは、上記Xに対して左右対称に配置されるので、図6及び図8を用いて説明したようにフォーカス方向の駆動力が発生した場合は、可動部120は上下方向に摺動されると共に、トラッキング方向の駆動力が発生した場合は、可動部120は支持軸129を回転軸に左右に回動する。
【0063】
本発明の第3実施形態によるレンズ駆動装置210は、軸摺動型に構成することで、第1及び第2実施形態によるレンズ駆動装置150、200と構造的に異なるので、これに伴い、湾曲したV字マグネット128と逆Vマグネット129を用いると共に、略円筒状に形成されたレンズホルダ121の側面にV字状駆動コイル124と逆V状駆動コイル125を湾曲させて固定するように構成した。従って、動作的には、第1及び第2実施形態によるレンズ駆動装置150、200と同一であり説明を省略する。
以上説明したように、第3実施形態によるレンズ駆動装置210は、駆動コイルの数が少なく構成でき、可動部120の重量を低減することができる。
【0064】
次に、本発明のその他の実施形態によるレンズ駆動装置220として、図14に示す構造が考えられる。
上述したように、第1及び第2実施形態によるレンズ駆動装置150、200は、夫々の可動部100、110が回転駆動力を発生することから、V字状駆動コイル40と、該V字状駆動コイル40を180度回転させた逆V状駆動コイル90を用いて構成したが、第3及びその他の実施形態によるレンズ駆動装置220は、軸摺動型を採用したことで可動部120に回転駆動力が発生しない。
そこで、その他の実施形態によるレンズ駆動装置220は、図14に示すように、可動部120の一方の側面にV字状駆動コイル124を固定すると共に、アクチュエータベース126の一方の側面にヨーク127を設け、その内面に湾曲したV字マグネット128を配置して構成している。つまり、V字状駆動コイル124だけでフォーカス方向及びトラッキング方向に駆動することができるので、更に部品点数が低減され、小型軽量化が可能となる。
【0065】
なお、図13及び図14に示した軸摺動型の実施形態においては、V字状駆動コイル124及び逆V字状駆動コイル125を構成する一対のコイルが平面Xに対して対称に配置されているが、この形態に限られることはなく支持軸130を含む面に対して対象に配置されるのであれば、どのような形態であっても良い。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明のレンズ駆動装置は、フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、レンズホルダに取り付けられたフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段とを有し、駆動コイルは、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される一対のコイルからなり、磁束付与手段は、各コイルのフォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されるように構成したので、従来に比べてコイル数を減らすことが可能となり、それにより、コストダウン、小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるレンズ駆動装置の要部外観図。
【図2】本発明の第1実施形態によるレンズ駆動装置に用いられるV字用駆動コイルの構造図。
【図3】V字マグネットとV字用駆動コイル等の位置関係を模式的に示した斜視図。
【図4】V字用駆動コイルの駆動方法を説明する図。
【図5】平面状コイルが駆動される仕組みを説明するために用いた図。
【図6】V字用駆動コイル及び逆V用駆動コイルの合成駆動力がフォーカス方向の駆動力を得る時の動作説明図。
【図7】V字用駆動コイル及び逆V用駆動コイルの合成駆動力がトラッキング方向の駆動力を得る時の動作説明図。
【図8】V字用駆動コイル及び逆V用駆動コイルの合成駆動力が左60度上方向の駆動力を得る時の動作説明図。
【図9】図8のベクトルを示す図。
【図10】A駆動コイルとB駆動コイルの傾きと駆動力の関係を示す図。
【図11】V字マグネットと逆Vマグネットの異なる形態を説明する図。
【図12】本発明の第2実施形態によるレンズ駆動装置の要部外観図。
【図13】本発明の第3実施形態によるレンズ駆動装置の要部外観図。
【図14】本発明のその他の実施形態によるレンズ駆動装置の要部外観図。
【図15】従来例における平面コイルとマグネットとの関係を示す図。
【符号の説明】
10・・・アクチュエータベース
11・・・V字マグネット
12・・・逆Vマグネット
13・・・ヨーク
14・・・ネジ
20・・・支持ベース
21・・・支持ワイヤ
30・・・レンズホルダ
40・・・V字用駆動コイル
90・・・逆V用駆動コイル
Claims (8)
- フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、前記レンズホルダに取り付けられたフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、前記駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段と、を有するレンズ駆動装置であって、
前記駆動コイルは、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される一対のコイルからなり、前記磁束付与手段は、前記各コイルの前記フォーカス方向及び前記トラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、前記一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されることを特徴とするレンズ駆動装置。 - 前記一対のコイルは、ジッタ方向に垂直な同一の面内に配されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
- 前記一対のコイルは、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一のプリント基板上に設けられた平面コイルであることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
- 前記磁気付与手段は、前記駆動コイルに対して対面する磁極面を含んで構成され、前記磁極面は前記2つの領域に対応して磁極が異なることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のレンズ駆動装置。
- フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能に支持されたレンズホルダと、前記レンズホルダに取り付けられフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向に駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、前記駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段と、を有するレンズ駆動装置であって、
前記駆動コイルは、各々がジッタ方向に垂直な第1の面内に配されるとともに、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される第1コイル及び第2コイルと、各々が前記第1の面と平行な第2の面内に配されるとともに、光軸を含みトラッキング方向に垂直な面に対して対称に配される第3コイル及び第4コイルとからなり、前記第1コイル及び第2コイルの一群と前記第3コイル及び第4コイルの一群は、前記光軸に対して対称に配され、前記磁束付与手段は、前記各コイルの前記フォーカス方向及び前記トラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対してジッタ方向に沿った互いに反対向きの磁束を付与し、前記第1コイル及び第2コイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給され、前記第3コイル及び第4コイルのうち、前記第1コイル及び第2コイルの前記加算電流が供給される方に対面するコイルには前記差分電流が供給され、前記差分電流が供給される方に対して対面するコイルには加算電流が供給されることを特徴とするレンズ駆動装置。 - 前記第1コイル及び第2コイルは、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一のプリント基板上に設けられ、前記第3コイル及び第4コイルは、ジッタ方向に垂直な面に平行な同一のプリント基板上に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のレンズ駆動装置。
- 前記仮想線は、前記フォーカス方向及びトラッキング方向の何れに対しても45度傾斜した直線であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のレンズ駆動装置。
- フォーカス方向に伸長する軸に嵌合する軸受孔を有し、前記軸に対して摺動且つ回動可能とされたレンズホルダと、前記レンズホルダに取り付けられフォーカス方向の駆動力とトラッキング方向の駆動力とが合成された合成駆動力を発生する駆動コイルと、前記駆動コイルに磁束を付与する磁束付与手段と、を有するレンズ駆動装置であって、
前記駆動コイルは、前記軸を含む面に対して対称に配置され且つフォーカス方向に対して垂直となるコイル軸を有する一対のコイルを含んで構成され、前記磁束付与手段は、前記コイルの前記フォーカス方向及び前記トラッキング方向の何れに対しても傾斜した仮想線により分割された2つの領域に対して、互いに反対向きの磁束を付与し、前記一対のコイルの一方にはフォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の加算電流が供給され、他方には、フォーカス駆動電流とトラッキング駆動電流の差分電流が供給されることを特徴とするレンズ駆動装置。
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