JP3871565B2 - 野球用グラブのウエブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、野球用グラブの親指袋と人差し指袋との間に設けられるウエブの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
野球用グラブのウエブは、天然皮革、合成皮革、その他これらと同効質のシート素材を用い、親指袋と人差し指袋との間の空間全体を塞ぐように形成された、一般に「タータンウエブ」といわれるものや、親指袋と人差し指袋との間の空間の指先間に渡る横方向の帯片と、1本または2本の縦方向の帯片を十字状に形成した一般に「クロスウエブ」といわれるもの等各種の形態があるが、いずれの形態のウエブでも、速いボールをウエブ部で捕球した時に、ウエブの上端部が逆方向に折れ曲がってボールが抜け出さないように、ウエブの上端部に皮紐等のウエブ結束紐を螺旋状に巻着し、補強する形態となっていた。
【0003】
ウエブの上端部は、1枚の皮革等を折り返して2枚重ねとして縫着し、ウエブの上端部に結束紐挿通孔を一定間隔に穿孔し、ウエブの上端部の中を親指袋側から人差し指袋側に結束紐を横通し、人差し指袋先端部に挿通した後、前記結束紐挿通孔に順次挿通して、ウエブの2枚重ねの皮革等とウエブの上端部の中に通した結束紐を螺旋状に強く巻着していた。
従って、ウエブが曲がりにくく、捕球時に確実に捕球できず、落球したりグラブの操作性を悪くしていた。
【0004】
そこで、捕球時のウエブの屈曲性を向上させるものとして、タータンウエブの中央部にベロ状折り重なり部分を形成し、捕球時にベロ状折り重なり部分が伸びて確実に捕球できるグラブが特公昭50−2301号に示されている。
【0005】
また、ウエブの背面側に外側に膨らむ弧状のスリットを形成することで、ウエブの柔軟性を向上させるものが特開2001−129146号に示されている。
【0006】
実公昭62−9905号では、ウエブの上端部に切り目を入れて短冊状片を設け、この短冊状片を交互に前列と後列に振り分け、前列と後列に紐を挿通し、ウエブの上端部を柔軟にしたグラブが示されている。
【0007】
また、実開平4−32774号では、ウエブの上部挿通孔の一方を縦長に設けるか、一方の挿通孔の上部に縦長の切れ目を設けるか、一方の挿通孔の間に縦長の切れ目又は挿通孔を設けて、上部を柔軟にしたウエブが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記特公昭50−2301号、特開2001−129146号および実開平4−32774号のウエブは、ウエブ自体の柔軟性が向上し、確実な捕球には効果があるが、ウエブの上端部の結束方法は従来どおりであるので、手、特に親指と人差し指によるグラブの開閉がしにくいという問題点がある。
実公昭62−9905号のウエブは、ウエブの上端部に切り目を入れて短冊状片としているので、上端部の柔軟性は向上するが、短冊状片を前列と後列に振り分けて、結束紐を平行に挿通しているだけのため、上端部の強度が低下し過ぎるという問題点がある。
【0009】
そこで本発明は、ウエブの柔軟性を向上させるとともに、ウエブの上端部の強度を調節できるようにすることで、硬式用、軟式用、ソフトボール用、少年用等の使用の目的に応じて最適のウエブをグラブに取り付けられるようにしようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、野球用グラブの親指袋と人差し指袋との間に設けられるウエブにおいて、ウエブの上端部を折り返して2枚重ねとし、該上端部を貫通する結束紐挿通孔の間に結束紐巻着孔を明けたウエブとするものである。
このように、結束紐巻着孔を明けて、ウエブの上端部に横通した結束紐のみを巻着することで、該部分の柔軟性を向上することができる。
【0011】
なお、ウエブの上端部に前記結束紐挿通孔と結束紐巻着孔を、交互に形成することで、ウエブの上端部を均等に柔軟にすることができる。
【0012】
また、結束紐挿通孔の直径と結束紐巻着孔の幅を同じ大きさとすることで、ウエブの上端部に横通した結束紐をしっかり巻着することができる。
【0013】
さらに、結束紐巻着孔の内、中央部の結束紐巻着孔の幅を結束紐挿通孔の直径の2〜3倍とすることで、ウエブの屈曲性を向上することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
従来の野球用グラブのウエブは、図6に示すようにウエブの上端部の折り返し線7から対称に結束紐挿通孔4を等間隔に穿孔し、折り返し線で折り返して一対の結束紐挿通孔を合わせて結束紐挿通孔4の下部を縫着し、ウエブの上端部の中を横通する結束紐6とウエブ1の上端部を、結束紐6で螺旋状に強く巻着していた。
【0015】
本発明の野球用グラブのウエブは、従来のウエブと同様に1枚の皮革等を折り返して縫着し形成するが、図4に示すようにウエブ1の上端部の折り返し線7から対称に結束紐挿通孔4を等間隔に穿孔し、一対の結束紐挿通孔4と次の一対の結束紐挿通孔4との中間に結束紐巻着孔5を穿孔し、結束紐挿通孔4と結束紐巻着孔5が交互になるようにしている。該結束紐巻着孔5は、結束紐挿通孔4の直径と同じ大きさの幅で、両端を半円とし前記折り返し線7から左右同じ長さの孔である。なお、結束紐巻着孔5の長さは任意であるが、ウエブの上端部の中を横通する結束紐6を巻着する最小限の長さとすることが、結束紐6をしっかり巻着することができるので望ましい。
【0016】
また、図5に示すように図4と同様に結束紐挿通孔4と結束紐巻着孔5を開孔するが、中央部の結束紐巻着孔5aの幅を結束紐挿通孔4の直径の2〜3倍とすることもできる。この場合、中央部の結束紐巻着孔5aではウエブの上端部の中を横通する結束紐6が2または3回巻着されることになる。従って、ウエブの上端部中央がより屈曲しやすくなり、親指と人差し指によるグラブの開閉がよりし易くなる。
なお、前記中央部の結束紐挿通孔5aのように幅の広い結束紐巻着孔5は、ウエブの上端部中央に限定されることなく、特に屈曲し易くしたい位置に設けることができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明のウエブを装着した野球用グラブの捕球面側の斜視図である。
このウエブ1はクロスウエブで、親指袋2と人差し指袋3との間の横方向の帯片は、1枚の皮革の上下を背面側に折り返して、端部を重ねて縫着し帯片としたものである。該帯片で親指袋2先端部と人差し指袋3先端部との間の帯片は、図4に示すように、結束紐挿通孔4と結束紐巻着孔5を交互に明けて、折り返し線7で折り返してウエブの上端部を形成している。結束紐6の挿通は、図1、2に示すように、該ウエブ1の上端部の中に、親指袋2側から人差し指袋3側に厚さ2mm、幅4mmの皮革の結束紐6を横通し、人差し指袋3先端部に挿通した後、結束紐挿通孔4より取り出し、反対側の結束紐挿通孔4に挿通し、折り返したウエブ1の上端部とウエブ1の上端部の中に横通した結束紐6を巻着する。次の、結束紐巻着孔5より取り出し、ウエブ1の上端部の中に横通した結束紐6を巻着し、次の結束紐挿通孔4の内側から外側に挿通し、前記巻着を順次繰り返して親指袋2先端部に挿通し、結束するようにしている。
【0018】
図3は本発明の他のウエブ1を装着した野球用グラブの捕球面側斜視図である。このウエブ1は、図1に示すウエブ1と同様のものであるが、親指袋2先端部と人差し指袋3先端部との間の帯片は、図5に示すように、中央部の結束紐巻着孔5aの幅を結束紐挿通孔5の幅の2倍としたものである。
【0019】
なお、前記実施例はクロスウエブであるが、タータンウエブ等他の形態のいずれのウエブ1でも実施することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明のウエブは、ウエブの上端部に結束紐巻着孔を明けて、ウエブの上端部の中に横通する結束紐のみを巻着するようにすることで、従来のウエブよりも柔軟性を向上することができる。
【0021】
結束紐巻着孔の数を増減したり、結束紐巻着孔の幅を大きくしたりすることで、ウエブの上端部の強度を調節することができるので、硬式用、軟式用、ソフトボール用、少年用等の使用の目的に応じて最適のウエブをグラブに取り付けることができる。
【0022】
また、ウエブの上端部の結束紐が凹凸となり、意匠の面からも新規なグラブとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のウエブを装着した野球用グラブの捕球面側斜視図
【図2】 図1のウエブの上端部拡大図
【図3】 本発明の他のウエブを装着した野球用グラブの捕球面側斜視図
【図4】 本発明のウエブの上端部展開図
【図5】 本発明の他のウエブの上端部展開図
【図6】 従来のウエブの上端部展開図
【符号の説明】
1 ウエブ
2 親指袋
3 人差し指袋
4 結束紐挿通孔
5 結束紐巻着孔
5a 中央部の結束紐巻着孔
6 結束紐
7 折り返し線
Claims (4)
- 野球用グラブの親指袋(2)と人差し指袋(3)との間に設けられるウエブ(1)において、ウエブ(1)の上端部を折り返して2枚重ねとし、
該上端部を貫通し、ウエブ(1)の上端部の中を横通する結束紐(6)と、ウエブ(1)の上端部とを巻着するための結束紐挿通孔(4)と、
該結束紐挿通孔(4)の間に、ウエブ(1)の上端部の折り返し線(7)から左右同じ長さの孔であって、ウエブ(1)上端部に横通した結束紐(6)のみを巻着するための結束紐巻着孔(5)とを空け、
該ウエブ(1)の上端部の中に、親指袋(2)側から人差し指袋(3)側に結束紐(6)を横通し、
該結束紐挿通孔(4)においては、折り返したウエブ(1)の上端部とウエブ(1)の上端部の中に横通した結束紐(6)とを結束紐で巻着し、
該結束紐巻着孔(5)においては、ウエブ(1)の上端部の中に横通した結束紐(6)を結束紐で巻着したことを特徴とする野球用グラブのウエブ(1)。 - ウエブ(1)の上端部に前記結束紐挿通孔(4)と結束紐巻着孔(5)を、交互に形成したことを特徴とする請求項1記載の野球用グラブのウエブ(1)。
- 前記結束紐挿通孔(4)の直径と結束紐巻着孔(5)の幅を同じ大きさとしたことを特徴とする請求項2に記載の野球用グラブのウエブ(1)。
- 前記結束紐巻着孔(5)の内、中央部の結束紐巻着孔(5a)の幅を結束紐挿通孔(4)の直径の2〜3倍としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の野球用グラブのウエブ(1)。
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